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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 B01D
管理番号 1284106
審判番号 不服2013-7408  
総通号数 171 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2014-03-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2013-04-22 
確定日 2014-01-27 
事件の表示 特願2010-515132「ろ過用媒体パック、フィルタエレメント、および方法」拒絶査定不服審判事件〔平成20年12月31日国際公開、WO2009/003119、平成22年 9月30日国内公表、特表2010-531731〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続きの経緯
本願は、平成20年6月26日(パリ条約による優先権主張 2007年(平成19年)6月26日 米国)を国際出願日とする出願であって、平成24年3月13日付けで拒絶理由が通知され、同年9月19日付けで意見書及び手続補正書が提出されたが、同年12月14日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、平成25年4月22日に審判請求がなされたものである。

2.本願発明
平成24年9月19日付けの手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1に係る発明は、以下のとおりのものである。
「【請求項1】
ろ過用媒体パックであって、
(a)前記ろ過用媒体パックは、ひだ付きシートと、対面シートと、前記ひだ付きシートと前記対面シートとの間に伸びていてかつ前記ろ過用媒体パックの第1面から前記ろ過用媒体パックの第2面まで伸びている縦溝流路長を持っている複数の縦溝流路と、を含む片面構造体媒体の複数の層を有し、
(b)前記ろ過用媒体パックは、前記ろ過用媒体パックの前記第1面または前記第2面のうちの1つの面へ流入し、前記ろ過用媒体パックの前記第1面または前記第2面のうちの他の面へ流出する流体が、媒体を通過して前記流体をろ過するように、前記複数の縦溝流路の第1部分に流入しようとするろ過されていない流体に対して閉じている前記複数の縦溝流路の第1部分と、前記複数の縦溝流路の第2部分から流出しようとするろ過されていない流体に対して閉じている前記複数の縦溝流路の第2部分と、を有し、
(c)前記複数の縦溝流路は、12.7cm(5インチ)未満の縦溝流路の平均長さを持ち、
(d)前記ろ過用媒体パックは、下記式による縦溝流路の密度(ρ)が、少なくとも5.4流路/cm^(2)(35.0流路/インチ^(2))を示し、
ρ=チャンネルの数(開いたおよび閉じたチャンネル)/(2×Z型媒体パックの断面積)
ここで、前記チェンネルの数は計数されたものであり、前記Z型媒体パックの断面積は測定されたものであり、
前記ひだ付きシートは、前記対面シートに向かう方向に面している繰り返しの内部ピークと、前記対面シートから離れる方向に面している繰り返しの外部ピークと、を有し、前記繰り返しの内部ピークと前記繰り返しの外部ピークとのうちの少なくとも一部は、鋭いピーク先端部を画定することを特徴とするろ過用媒体パック。」(以下、「本願発明」という。)

3.刊行物に記載された事項および引用発明
(1)原査定で引用され、本願の優先日前に頒布された刊行物である特表2002-542417号公報(以下、「刊行物1」という。)には、図面とともに下記の事項が記載されている。
ア「 【0001】
(発明の分野)
本発明の開示は、エンジン用のフィルタ構造および濾過とフィルタ調製との方法に関するものである。特に、この開示は密封システムを有するフィルタ装置を説明する。」

イ「 【0005】
・・・・
【発明の実施の形態】
A.図1?7
図1に注目する。図1は、フィルタ・パック50の第1実施形態の斜視図である。図示された好ましいフィルタ・パック50は、濾過材55と密封システム60とを含む。好ましい構造では、濾過材55は、濾過材55を通過する空気などの流体から粒子を除去するために設計されているが、密封システム60は、図8、9に示すようにハウジングまたはダクトの側壁に対してフィルタ・パック50を密封するために設計されている。・・・・
【0006】
ある好ましい実施形態では、濾過材55は直線的な流れのために構成されることになる。「直線的な流れ」という用語によって、濾過材55は、(図示された実施形態では入口端に相当する)第1流れ面105および(図示された実施形態では出口端に相当する)反対側の第2流れ面110を有し、流体の流れは第1流れ面105を通って一方向114に入り第2流れ面110から同じ方向116に出るという構造100に形成されていることを意味する。・・・・
【0009】
一般にフィルタ構造100は巻き構造になる。すなわち構造100は一般的に中心の周りに完全にまたは繰返し巻かれた濾過材の層を含む。一般的に巻き構造はコイルになり、この構造では濾過材の層が中心の周りに一連の巻回数だけ巻きつけられる。巻コイル構造が使用される装置では、フィルタ構造100は濾過材、一般的に透過性の段付き濾過材のロールとなる。」

ウ「 【0010】
図2に注目する。図2は、本明細書に記載のフィルタ構造において使用できるある好ましい濾過材の動作の原理を実証する概略斜視図である。図2では、流路構成を全体的に122で示す。流路構成122は、複数の流路124と1つの面シート132を有する波形のシート123を含むことが好ましい。図2の実施形態は、面シート132の2枚の部分を132A(波形のシート123の上に図示されている)と132B(波形のシート123の下に図示されている)に示す。一般的に、本明細書に記載の装置において使用される好ましい媒体構造125は、下面シート132Bに確保された波形のシート123を含む。この媒体構造125を巻回状態で使用するときは、これは一般的に、下面シート132Bが波形層123の上を覆うように、それ自体の周りに巻きつけられる。波形層の上を覆う面シート132を132Aとして図示する。面シート132A、132Bは同じシート132であることを理解すべきである。
【0011】
この形式の媒体構造125を使用するときは、流路室124は交代する頂部126と谷部128を構成することが好ましい。頂部126と谷部128は流路を上行と下行とに分ける。図2に示す特定の構成では、上段と下段が下流端で閉じた流路室136を形成するが、上流端で閉じた流路室134は段の下行を形成する。流路室134は第1端ビード(玉状液体、bead)138によって閉じられ、第1端ビードは、流路シート130と第2対向シート132Bとの間における上流端の一部分を充填している。同様に、第2端ビード140は交代する流路136の下流端を閉じている。・・・・
【0012】
媒体構成125の形で組み立てられた濾過材を使用すると、使用中に、空気などの濾過されない流体は陰付き矢印144に示すように流路室136に入る。流路室136の上流端146は開いている。濾過されない流体の流れは、流路室136の下流端148が第2端ビード140によって閉じられているので、流路室136の下流端148を通過することはできない。したがって、流体は段付きシート130または面シート132を通るように強制される。濾過されない流体は段付きシート130または面シート132を通過するので、流体は清浄化または濾過される。清浄化された流体は陰のない矢印150で示されている。それから流体は(閉じた上流端151を有する)流路室134を通過して、開いた下流端152(図1)を通って流れ、流路構成122から出る。・・・・」

エ「 【0074】
1.図1?8
図2の濾過材100の軸方向長は3インチ(約8cm)?10インチ(約25cm)であり、ある1つの例では約6インチ(約15cm)になる。・・・・」

オ 図2には、濾過材を構成する媒体構造125が示され、波形シート123と面シート132Bを組み合わせて媒体構造125とし、波形シート123と面シート132Bの間に複数の流路124が形成され、波形シート123が、面シート132Bに向かう方向に面している繰り返しの谷部128と、面シート132Bから離れる方向に面している繰り返しの頂部126を有していることが記載されている。

カ 図1及び図2には、媒体構造125を繰返し巻回してフィルタ構造100を形成し、フィルタ構造100が入口端と出口端を有し、媒体構造125の流路124が入口端から出口端まで軸方向に伸びる流路長を有していることが記載されている。

上記の記載事項及び技術常識を考慮すると、刊行物1には下記の発明が記載されていると認められる。
「波形シートと面シートを組み合わせた媒体構造を繰返し巻回して複数の層を形成し、
この媒体構造は、波形シートと面シートの間に伸びていてかつフィルタ構造の入口端から出口端まで伸びている流路長を持っている複数の流路と、入口端側が第1端ビードで閉じられ出口端側が開かれた流路室と、入口端側が開かれて出口端側が第2端ビードで閉じられた流路室を有し、
濾過されていない流体は、入口端側が開かれて出口端側が第2端ビードで閉じられた流路室に入り、波形シートまたは面シートを通って清浄化または濾過され、清浄化された流体は、入口端側が第1端ビードで閉じられ出口端側が開かれた流路室を通って流出し、
媒体構造の流路の軸方向の流路長は3インチ?10インチであり、波形シートが、面シートに向かう方向に面している繰り返しの谷部と、面シートから離れる方向に面している繰り返しの頂部を有している、フィルタ構造。」(以下、「引用発明」という。)

(2)同じく原査定で引用され、本願の優先日前に頒布された刊行物である特開2002-113798号公報(以下、「刊行物2」という。)には、図面とともに下記の事項が記載されている。
ア「【特許請求の範囲】
・・・・
【請求項3】 金属繊維製不織布の平板と金属繊維製不織布をコルゲート加工した波板とを交互に重ね合わせて巻き回すことにより多数のガス流通セルを形成したハニカム体とし、該ハニカム体の一方の端部において平板とその外側に隣接する波板とで形成するセルを閉塞し、ハニカム体の他方の端部において平板とその内側に隣接する波板とで形成するセルを閉塞してなることを特徴とするハニカム体。
・・・・
【請求項8】 前記金属繊維製不織布の波板の波形状が、半円形、正弦波形状、台形、四角形、三角形のいずれかであることを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載のハニカム体。」

イ「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ディーゼルエンジンの排気ガス中のカーボン等の微粒子(パティキュレート)を捕集・除去するためのパティキュレートトラップや、内燃機関の排気ガス浄化等の目的で用いられる触媒を担持するためのメタル担体に使用することのできるハニカム体に関するものである。」

ウ「【0029】本発明の金属繊維製不織布の波板の波形状としては、上記(8)のように半円形、正弦波形状、台形、四角形、三角形のいずれを用いてもよい。・・・・三角形であれば、波板と平板の表面の大部分を無駄なくパティキュレート捕獲等の目的に使用することができ、かつ波板と平板とで形成される鋭角部の角度を大きくすることができる。
【0030】金属製不織布の波板の波ピッチ及び波高さを小さくするほど、ハニカム体のセル密度(セルに垂直な面におけるハニカム体単位面積あたりのセル個数)が高くなる。セル密度が高くなると、ハニカム体単位容積あたりのセル内表面積が大きくなるので、パティキュレート捕集及び触媒反応効率を向上させることができる。一方、セル密度が高くなるほど、セル開口率(セルに垂直な面におけるハニカム体単位面積あたりのセル開口面積率)が低くなるため、及びセル内表面での抵抗が増大するため、ハニカム体をガスが通過する際の圧力損失の増大を招く。従って、発明の適用用途及び目的毎に最適なセル密度を選択することが好ましい。・・・・」

4.対比・判断
本願発明と引用発明を対比すると、引用発明の「フィルタ構造」、「波形シート」、「面シート」、「流路」、「入口端」、「出口端」、「入口端側が第1端ビードで閉じられ出口端側が開かれた流路室」、「入口端側が開かれて出口端側が第2端ビードで閉じられた流路室」は、それぞれ本願発明の「ろ過用媒体パック」、「ひだ付きシート」、「対面シート」、「縦溝流路」、「第1面または第2面のうちの1つの面」、「第1面または第2面のうちの他の面」、「複数の縦溝流路の第1部分に流入しようとするろ過されていない流体に対して閉じている複数の縦溝流路の第1部分」、「複数の縦溝流路の第2部分から流出しようとするろ過されていない流体に対して閉じている複数の縦溝流路の第2部分」に相当する。

また、本願明細書の段落【0024】には「2つの媒体コンポーネントを使用するZ型フィルタ媒体の種類は、媒体構造物を形成するために互いに結合される。ここで、2つのコンポーネントは、ひだ付き媒体シートと対面媒体シートは、「単一フェーサ媒体(single facer media、single faced media)」と呼ぶことができる。」と記載され、さらに、平成24年9月19日付けの意見書(「(2)補正について[請求項1])においては「補正前の請求項1に記載の「単一フェーサ媒体」は、本願明細書段落[0024]に記載の「single facer media」の翻訳であり、図1に示すように、「ひだ付き媒体シート3が対面媒体シート4の片面に結合されて形成される媒体構造物である片面構造体媒体」を指します。」と説明されていることから、本願発明の「片面構造体媒体」は、引用発明の「波形シートと面シートを組み合わせた媒体構造」に相当するといえる。

そうすると、本願発明と引用発明は、
「ろ過用媒体パックであって、
前記ろ過用媒体パックは、ひだ付きシートと、対面シートと、前記ひだ付きシートと前記対面シートとの間に伸びていてかつ前記ろ過用媒体パックの第1面から前記ろ過用媒体パックの第2面まで伸びている縦溝流路長を持っている複数の縦溝流路と、を含む片面構造体媒体の複数の層を有し、
前記ろ過用媒体パックは、前記ろ過用媒体パックの前記第1面または前記第2面のうちの1つの面へ流入し、前記ろ過用媒体パックの前記第1面または前記第2面のうちの他の面へ流出する流体が、媒体を通過して前記流体をろ過するように、前記複数の縦溝流路の第1部分に流入しようとするろ過されていない流体に対して閉じている前記複数の縦溝流路の第1部分と、前記複数の縦溝流路の第2部分から流出しようとするろ過されていない流体に対して閉じている前記複数の縦溝流路の第2部分と、を有するろ過用媒体パック」で一致し、下記の点で相違する。

・相違点1
本願発明のろ過用媒体パックは、「(c)前記複数の縦溝流路は、12.7cm(5インチ)未満の縦溝流路の平均長さを持ち、(d)前記ろ過用媒体パックは、下記式による縦溝流路の密度(ρ)が、少なくとも5.4流路/cm^(2)(35.0流路/インチ^(2))を示し、
ρ=チャンネルの数(開いたおよび閉じたチャンネル)/(2×Z型媒体パックの断面積)
ここで、前記チェンネルの数は計数されたものであり、前記Z型媒体パックの断面積は測定されたもの」であるのに対し、引用発明の媒体構造の流路の軸方向の流路長は3インチ?10インチであるものの、流路の密度については特定されていない点。
・相違点2
本願発明のろ過用媒体パックのひだ付きシートは、「対面シートに向かう方向に面している繰り返しの内部ピークと、対面シートから離れる方向に面している繰り返しの外部ピークと、を有し、繰り返しの内部ピークと繰り返しの外部ピークとのうちの少なくとも一部は、鋭いピーク先端部を画定する」のに対し、引用発明の波形シートが、面シートに向かう方向に面している繰り返しの谷部と、面シートから離れる方向に面している繰り返しの頂部を有しているものの、繰り返しの谷部と頂部が鋭いピーク先端部を画定するものとは特定されていない点。

そこで、上記相違点について検討する。
・相違点1について
本願明細書の段落【0071】に「一般に、平均縦溝流路の密度を増加させることは、規格Bの媒体パックに対する縦溝流路の密度よりも大きな縦溝流路の密度を持つ媒体パックを提供することを言う。例えば、増加した縦溝流路の密度は、35.0流路/インチ^(2)より大きい縦溝流路の密度を持つ媒体パックに対して言うことができる。」と記載され、本願明細書の実施例中には、35.0流路/インチ^(2)より大きい縦溝流路密度となる縦溝流路寸法の具体例として、例えば、高さJを0.102インチ、ピッチDを0.254インチとした縦溝流路(表2(a)エレメント9)、高さJを0.095インチ、ピッチDを0.237インチとした縦溝流路(表2(a)エレメント17)が例示されている。

一方、刊行物2(段落【0030】)には、平板と波板からフィルタのハニカム体を形成するにあたり、波板の波ピッチ及び波高さを小さくするほど、平板と波板で形成されたセルのハニカム体単位面積あたりの密度が大きくなって、ハニカム体の単位容積あたりのセル内表面積が大きくなり、パティキュレートすなわち微粒子の捕集効率を向上させることができるものの、セル密度が高くなるほどセル内表面での抵抗が増大して、ハニカム体を流体が通過する際の圧力損失が増大することになることから、発明の適用用途及び目的に応じて最適なセル密度を選択することが好ましい旨記載されている(上記3.(2)ウ参照)。
また、波形シートと面シートからなるフィルタの各流路の高さと幅(ピッチ)として、高さが0.1インチ程度、ピッチが0.25インチ程度の寸法は、従来より一般的に選択しうる寸法の範囲内(周知例として特表2005-511269号公報(段落【0028】)参照。)であるといえる。

(周知例)特表2005-511269号公報
「【0028】
・・・・ 図4で示した特定の例では、上流山頂74の高さ86は、少なくとも0.05インチ、0.5インチ未満であり、通常は0.10?0.25インチ、たとえば約0.15?0.20インチである。・・・・距離90は少なくとも0.2インチ、0.5インチ未満、通常は0.25?0.4インチであり、たとえば約0.32?0.35インチである。・・・・」(ここで、「高さ86」が流路の高さ、「距離90」が流路のピッチに相当)

さらに、セルの流路長さが長くなってセル内表面の面積が増えれば、流体がセル内を流れる際のセル内表面の流路抵抗も増え、圧力損失が増えることになるのは技術常識であるといえるから、ハニカム体のセル内を流れる流体の圧力損失を検討する際には、当業者であればセルの流路長さによる流路抵抗の増減も当然考慮するはずである。

そうすると、フィルタの適用用途や目的から要求される捕集能力と許容される圧力損失を考慮して、捕集応力と圧力損失に影響するパラメータであるセル密度と流路長さを、フィルタのセル(流路)寸法として選択しうる一般的な寸法範囲の中から適宜設定して、流路長さを12.7cm(5インチ)未満、流路密度を少なくとも5.4流路/cm^(2)(35.0流路/インチ^(2))とすることは、当業者が容易に成し得たものである。

・相違点2について
刊行物2(段落【0029】)には、平板と波板からハニカム体を形成するにあたり、波板の形状を三角形とすると、波板と平板の表面の大部分を無駄なくパティキュレート(微粒子)捕獲等の目的に使用することができる旨記載されている(上記3.(2)ウ参照)。
微粒子のフィルタへの捕集効率を向上させるために、限られたフィルタ容積中のフィルタ媒体をできるだけ有効に利用しようとすることは、当業者が当然考慮する事項であるから、引用発明の波形シートの面シートに対する当接部を、刊行物2に記載のように三角形状のような鋭い先端部として、波形シートと面シートの表面を無駄なく利用できるようにすることは、当業者が容易に想到し得たものである。

そして、本願発明により奏される効果は、引用発明、刊行物2に記載された技術的事項及び周知の技術的事項から容易に予測できるものである。
よって、本願発明は、引用発明、刊行物2に記載された技術的事項及び周知の技術的事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものである。

5.むすび
したがって、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないので、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2013-08-30 
結審通知日 2013-09-02 
審決日 2013-09-13 
出願番号 特願2010-515132(P2010-515132)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (B01D)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 菊谷 純三崎 仁  
特許庁審判長 石川 好文
特許庁審判官 豊永 茂弘
井上 茂夫
発明の名称 ろ過用媒体パック、フィルタエレメント、および方法  
代理人 木村 秀二  
代理人 大塚 康徳  
代理人 大塚 康弘  
代理人 高柳 司郎  

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