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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) G06F
管理番号 1284504
審判番号 不服2011-24553  
総通号数 172 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2014-04-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2011-11-14 
確定日 2014-02-05 
事件の表示 特願2007-538029「移動体デバイスにロケーション特有のイメージを表示させるシステムおよび方法」拒絶査定不服審判事件〔平成18年 5月 4日国際公開、WO2006/047213、平成20年 5月29日国内公表、特表2008-518325〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本件審判請求に係る出願(以下、「本願」という。)は、2005年10月20日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2004年10月25日、米国)を国際出願日とする出願であって、平成20年1月11日付けで手続補正がなされ、平成22年7月8日付けで拒絶理由通知がなされ、同年12月13日付けで意見書が提出されるとともに同日付けで手続補正がなされ、平成23年2月2日付けで最後の拒絶理由通知がなされ、同年6月8日付けで意見書が提出されるとともに同日付けで手続補正がなされたが、同年6月24日付けで補正の却下の決定がなされるとともに同日付で拒絶査定がなされたものである。
これに対して、本件審判請求は、「原査定を取り消す。本願は特許をすべきものである、との審決を求める。」ことを請求の趣旨として、平成23年11月14日付けで審判請求がなされるとともに、同日付けで手続補正がなされたものである。
そして、平成24年1月13日付けで審査官により特許法第164条第3項に定める報告(前置報告)がなされ、同年7月23日付けで当審により特許法第134条第4項の規定に基づく審尋がなされ、平成25年1月24日付けで回答書の提出がなされ、同年4月10日付けで当審により拒絶理由通知がなされ、同年8月16日付けで意見書が提出されるとともに、同日付けで手続補正がなされたものである。

2.本願発明
本願の特許請求の範囲の請求項17に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、上記平成25年8月16日付け手続補正書により補正された明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項17に記載された以下のとおりのものと認める。
「【請求項17】
イメージを表示することができる移動体デバイスにおいて、
前記移動体デバイスは、
イメージを受信する手段と、
イメージを表示する手段と、
イメージを取り込む手段と、
前記移動体デバイスの位置を識別する手段と、
関係付け手段と、
送信手段と、
命令を記憶するメモリを有するプロセッサ手段と
を具備し、
前記命令は、
前記受信する手段に、ロケーション特有のイメージを記憶する、移動体イメージシステム内のロケーション特有のイメージデータベース中に記憶されている1組のロケーション特有のイメージの中から、前記移動体デバイスの位置およびユーザプロファイルに基づいているロケーション特有のイメージを受信させるための命令と、
前記表示する手段に、受信されたロケーション特有のイメージをスクリーン上に表示させるための命令と、
前記取り込む手段に、追加のイメージを取り込ませるための命令と、
前記位置を識別する手段に、前記移動体デバイスの位置を識別させる命令と、
前記関係付け手段に、前記追加のイメージを、前記位置を識別する手段によって識別された位置に関係付けさせるための命令と、
前記送信手段に、前記識別された位置に関係付けられた前記追加のイメージを、前記ロケーション特有のイメージデータベース中に記憶させるために、前記移動体イメージシステムに送信させるための命令と
を含み、
前記移動体イメージシステムは、前記移動体デバイスからユーザIDを受信し、前記受信されたユーザIDに関係付けられたユーザプロファイルにアクセスするように動作可能であり、
前記取り込む手段は、前記移動体デバイスのユーザによって決定される任意の時間および場所において、前記追加のイメージを撮影するように動作可能である、移動体デバイス。」

3.当審における拒絶理由の概要
当審において平成25年4月10日付けで通知した拒絶理由の概要は、この出願の請求項1ないし34に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないというものである。

4.引用例
(1)引用例1
(1-1)当審において通知した拒絶の理由に引用された、特開2003-315069号公報(平成15年11月6日出願公開。以下、「引用例1」という。)には、次の記載がある。
(a)「【0012】次に、図2を参照して本形態のシステム構成を説明する。図2は、本形態のシステム構成を示すブロック図である。まず、情報センタ10から説明すると、情報センタ10は、経路探索用の経路探索用データや音声や画像などの経路案内用内データを集積した経路案内データベース12、POI情報を集積したPOIデータベース14、車両50から提供された画像データを集積した画像データベース16を備えている。
【0013】経路案内データベース12の経路探索用データには、交差点に関するデータ、道路に関するデータ、ノード点に関するデータ、地図データなどが含まれており、前記道路に関するデータには、該道路を地図データ上で識別するための道路識別データが含まれている。このほか、経路案内データベース12には、目的地を設定する電話番号や住所などの目的地設定用データなどが含まれている。POIデータベース14には、ある地点とその位置に存在する施設等を関連付けた情報が集積されている(例えば、施設の情報としては施設の名称、略称、電話番号、住所、コンビニや映画館といった施設のジャンルなどがあり、地点に関連する情報とは、東経北緯で表されたその施設の所在地、その施設の敷地の形状、施設への出入り口の場所など)。なお、経路案内データベース12とPOIデータベース14を合わせたものが請求項の道路地図データベースに相当する。
【0014】画像データベース16には、車両50から提供された道路や施設の画像データがその関連情報とともに集積されている。図8には、画像データベース16に集積されている保存データの一例が示されている。同図(A)は、画像の被写体が道路である場合の保存データの一例が示されている。道路情報には、緯度、経度などの「位置情報」、リンクID(国内でユニークなID)やリンク方向(順逆フラグ)を含む「リンク情報」(道路識別データ)、水平方向カメラ角度や垂直方向カメラ角度などを含む「撮影角度」(撮影方向に関するデータ)、画像データ及びそのフォーマット情報を含む「撮影画像」のほか、画像データをセンタ側が受信した「受信時刻」が含まれている。
【0015】同図(B)には、被写体が施設である場合の保存データの一例が示されており、前記道路情報と同様に、「位置情報」、「撮影角度」、「撮影画像」、「受信時刻」が含まれており、更に、全国でユニークなID(例えば電話番号など)などの施設ID(施設特定データ)が含まれている。なお、これらの情報に含まれる「撮影角度」において、水平方向カメラ角度θは、車両50の進行方向とカメラのなす角度であり、例えば、カメラが進行方向を向いている場合はθ=0°であり、進行方向と逆向きの場合はθ=180°とする。また、垂直方向カメラ角度φは、水平平面とカメラのなす角度であるとするという具合である。
【0016】前記経路案内データベース12及びPOIデータベース14は、図示しない外部情報収集部(例えば上述した交通情報センタ)に接続されている。このような外部情報収集部を設けることにより、道路工事、交通規制、道路や施設の新設など、最新の道路・交通情報を電話回線などを利用して収集し、各データベースに格納された各種データを随時更新することができる。
【0017】次に、通信制御部18(受信手段におよび送信手段に相当)は、モデムやルータなどを必要に応じて備えており、図示しない公衆回線網及び無線基地局を介して、無線により車両のナビゲーション装置52、82との間でデータの送受信を行うためのものである。このほか、自動車電話、携帯電話、PHSなどの通信システムを利用してもよい。経路案内データ作成部20(経路探索手段に相当)は、車両50又は80の現在位置(ナビゲーションの開始位置あるいは出発地)から目的地(ナビゲーションの終了位置)までの経路を、経路案内データベース12を参照して探索する経路探索機能のほか、探索された経路を所定の大きさのセグメントに分割したり、これによって分割された経路データ中に含まれる案内データを経路案内データベース12を参照して検索し抽出する機能、抽出した各データを通信制御部18を介してナビゲーション装置52及び82に送信する機能などが含まれている。
【0018】画像情報収集部22は、通信制御部18を介して車両50から提供された映像データ及び該映像データに関する関連情報を収集する機能を有する。被写体特定部26(被写体推定手段に相当)は、前記画像情報収集部22によって収集した映像データの被写体を特定して分類するもので、被写体推定部26A、道路特定部26B、施設特定部26Cを備えている。被写体推定部26Aは、映像の被写体が道路であるか否かを推定する。例えば、受信した関連情報の中に道路識別データが含まれているか否かを判断し、道路識別データが含まれている場合には被写体を道路と推定し、道路識別データが含まれていない場合には被写体を施設と推定する。
【0019】道路特定部26Bは、前記被写体推定部26Aで映像の被写体が道路であると推定されたときに、前記道路識別データに基づいて経路案内データベース12を参照し、道路識別データに該当する道路のデータから、道路の方向と受信した関連情報に含まれる撮影方向が一致するか否かを判断し、一致した場合には、前記被写体を前記道路識別データによって特定された道路であると推定する。また、道路の方向と映像の撮影方向が一致しない場合には、被写体が施設であると推定する。
【0020】施設特定部26Cは、被写体推定部26A又は道路特定部26Bによって映像データの被写体が施設であると推定されると、POI検索部28を介して、POIデータベース14と経路案内データベース12中の地図データを参照し、受信した映像関連データに含まれる車両50の位置や撮影方向に関するデータから、地図データ上での撮影範囲を特定し、その範囲に存在する施設を検索し、検索結果に該当する施設が被写体であると推定する。
【0021】画像情報管理部30は、前記被写体特定部26で被写体が特定された画像データを、その関連情報とともに分類して保存する。画像情報管理部30には、受信した画像データを画像データベース16に保存するための処理を行ったり、ナビゲーション装置に送信するための処理を画像データに施すデータ作成部30A、これによって処理された画像データを関連情報とともに被写体の分類結果に応じて画像データベース16に記憶する記憶制御部30B、車両50又は80からのリクエストに応じて画像データベース16を検索し、該当する画像データを抽出する検索部30Cを含んでいる。なお、記憶制御部30Bは、画像データの削除なども行う。例えば、画像から交通情報を得る場合には、古い画像は役に立たない場合が多いので、たとえば保存後30分経過した画像データは破棄するなどとする。
【0022】画像情報配信部32は、車両50又は80から画像データ配信要求を受信するとともに、その要求に応じて画像情報管理部30の検索部30Cが画像データベース16から抽出した画像データを、通信制御部18を介して車両50又は80のリクエスト側に送信するものである。更に、情報センタ10には、計時部34が設けられており、車両50からデータを受信した時刻やデータの更新時刻などを計時している。」
(b)「【0023】次に、ナビゲーション装置52について説明すると、演算処理部54は、CPUを中心に構成されている。撮影部56は、撮影用のカメラを含んでいる。カメラとしては、例えばCCDなどを利用したものが用いられる。このようなカメラは、図1に示す例では車両50の前方に配置されているが、必要に応じて後方に配置するようにしてもよい。また、カメラの撮影方向は固定であってもよいが、本実施形態においては任意に方向を調節することが可能となっている。
【0024】入力部58には、各種スイッチ、表示部60の表面に取り付けられたタッチパネル、リモコン、音声認識を利用した入力装置などが含まれる。タッチパネルでは、表示部60に表示されたアイコンなどを利用者が指でタッチすることによって、対応するデータや命令が入力される。音声認識を利用した入力装置では、利用者が音声を発することによって、それに対応するデータや命令が入力される。
【0025】表示部60は、液晶やCRTなどによるディスプレイで、上述したようにタッチパネルを備えている。通信部64は、情報センタ10とデータの送受信を行うための通信装置で、送信装置、受信装置を含む通信機器によって構成されている。これも、情報センタ10と同様に、自動車電話、携帯電話、PHSなどのシステムを利用してよい。
【0026】次に、位置計測部62は、いわゆるGPSなどを利用して車両の位置を計測するためのもので、複数のGPS衛星からの信号を受信して車両の絶対位置を計測するGPS受信機、車両50の相対位置を計測するための速度センサや方位センタなどを備えており、車両50の位置を検出することができる。音声出力部66は、情報センタ10からの経路案内データに基づいてナビゲーションを行う際に、音声によるナビゲーションを行うために設けられたスピーカなどである。
【0027】メモリ70は、前記演算処理部54で実行するプログラムを格納するプログラム格納部72、外部から入手した情報や各種プログラムの実行によって得られたデータなどを記憶するためのデータ記憶部76を備えている。演算処理部54は、プログラム格納部72から必要なプログラムをロードして実行する。このほか、ナビゲーション装置52には、各種道路地図データを集積した道路地図データベース68が備えられている。前記道路地図データには、各道路を地図データ上で識別することができる道路識別データや、施設を特定することができる施設特定データが含まれている。なお本実施形態ではナビゲーション装置52に道路地図データベース68を備えることとしたが、必要な地図データは情報センタ10から随時ダウンロードするように構成することで、道路地図データベース68は不用とすることも可能である。
【0028】具体的に説明すると、プログラム格納部72には、
(1)情報センタ10から送信される経路データや案内データに基づいて、経路、ランドマーク、交差点図などを表示部60に表示したり、経路案内の音声を音声出力部66から出力する経路案内プログラム74A、
(2)位置計測部62によって得た位置データに基づいて、道路地図データベース68を参照し、車両50が道路を走行中である場合には、走行中の道路を特定するとともに該道路の識別データを取得し、走行中であることを認識できない場合にはその旨を知らせるデータを取得する識別データ取得プログラム74B、
(3)撮影部56による撮影の各種設定や、画像データ及び撮影方向などの撮影条件に関するデータを取得する撮影管理プログラム74C、
(4)ナビゲーション装置52の利用者によって特定の場所が指定されたときに、道路地図データベース68を参照し、場所を特定するデータとして指定された位置に存在する対象物を特定する識別データ(道路識別データ又は施設特定データ、あるいは東経北緯などの位置データそのもの)を取得し、該識別データとともに対象物の画像データの配信を情報センタ10にリクエストする画像リクエストプログラム74D、
(5)撮影部56によって撮影された画像データや、情報センタ10から受信した画像データなどに必要な処理を施すデータ処理プログラム74E、
(6)撮影部56によって撮影された画像データ及び該画像データの関連情報を情報センタ10へ送信する転送プログラム74F、などの各種プログラムが含まれている。
【0029】また、データ記憶部76には、情報センタ10から受信した経路案内データ78A、撮影部56により撮影した画像データとその関連情報(映像関連データ)を含み、情報センタ10に送信される撮影データ78B、ある場所を特定する識別データを含み、これによって特定される場所の画像データを情報センタ10に要求するリクエストデータ78Cが含まれている。更に、前記リクエストデータ78Cに基づいて情報センタ10から配信された画像データを含む配信データ78Dも含まれる。図9には、前記撮影データ78Bの一例が示されている。同図に示すように、撮影データ78Bには、「位置情報」、「リンク情報」、「撮影角度」、「撮影画像」などが含まれている。このほか、データ記憶部76は、プログラムの実行に際して適宜利用されるワーキングエリアとして機能するほか、図示しない車両固有のIDデータ、位置計測部62により計測される車両の現在地データ(経度・緯度)、目的地データなども格納される。」
(c)「【0031】<動作>……次に、本実施形態の動作について説明する。なお、ここでは、経路案内プログラム74Aによる経路案内が行われているものとして説明する。
(1)ナビゲーション装置側における撮影データ送信(自動撮影)……最初に、図3を参照して、ナビゲーション装置52で自動的に撮影を行った映像のデータを、情報センタ10へ提供する動作について説明する。図3には、ナビゲーション装置52側における自動撮影から撮影データの送信までの動作がフローチャートとして示されている。なお、ここでは、ナビゲーション装置52の撮影管理プログラム74Cの実行により、例えば、5分毎に撮影部56のカメラによって自動的に撮影されることとなっている。
【0032】まず、車両50で、ナビゲーション装置52のスイッチがONとなるか、あるいはその旨のスイッチ操作が行われると、位置計測部62によって現在位置の測定が行われ、その位置情報(緯度及び経度の座標値)が取得される(ステップS100)。位置情報が取得されると、演算処理部54は、道路地図データベース68を参照して、マップマッチングしているか判断する(ステップS102)。ここで、マップマッチングしていると判断されたときには(ステップS102でYes)、識別データ取得プログラム74Bの実行により、道路地図データベース68から現在走行中の道路のリンク情報(すなわち道路識別データ)が取得される(ステップS104)。
【0033】ここで、撮影管理プログラム74Cにより、過去5分以内に当該リンクで既に撮影が行われているか否かが判断される(ステップS106)。5分以内に同一道路で撮影が行われている場合(ステップS106でYes)には、ステップS100に戻り、現在位置の測定が行われる。なお、ここでは、ある一定時間ごとに撮影を行うことを基準として撮影判断が行われるが、道路リンク通過ごとに撮影を行うようにしてもよい。しかしながら、ある一定時間ごとに撮影を行うように判断基準を設定することにより、同一道路に数分以上留まっている場合、例えば、渋滞中の道路を走行している場合などに、その映像をある一定時間ごとに情報センタ10側へ送信することで、情報センタ10側では渋滞情報に関する映像を収集することが可能となる。
【0034】一方、過去5分以内に同一道路で撮影が行われていないと判断された場合には(ステップS106でNo)、撮影管理プログラム74Cにより、カメラの方向が撮影方向を向いているか否かが判断される(ステップS108)。本動作のように、自動撮影が行われる場合の対象は主に道路状況である。従って、カメラは前方設置なら前方(進行方向)、後方設置なら後方(後退方向)を向いていなければならない。このようにカメラの設置場所に応じた撮影向きとなっているかが判断される。ここで、カメラの向きが適切である場合には(ステップS108でYes)、撮影管理プログラム74Cの実行により撮影が行われる(ステップS110)。また、カメラの向きが適切でない場合には(ステップS108でNo)、カメラの向きがセットされ(ステップS118)、撮影が行われる(ステップS110)。
【0035】撮影が終了すると、データ処理プログラム74Eにより情報センタ10へ送信される撮影データ78Bが作成される(ステップS112)。このような撮影データ78Bの一例が、図9に示されている。同図に示す撮影データ78Bには、位置計測部62により取得した「位置情報」、識別データ取得プログラム74Bにより取得した「リンク情報(道路識別データ)」、撮影部56の撮影結果に基づいて、撮影管理プログラム74Cにより取得された「撮影角度(撮影方向に関するデータ)」及び「撮影画像(画像データ)」が含まれている。これらの情報が、データ処理プログラム74Eにより、一つの撮影データ78Bとしてまとめられる。作成された撮影データ78Bは、転送プログラム74Fにより、車両50のナビゲーション装置52の通信部64から、無線基地局や回線網(いずれも図示せず)を介して情報センタ10へ送信される(ステップS114)。」
(d)「【0038】(2)ナビゲーション装置側における撮影データ送信(任意撮影)……次に、図4を参照して、車両50の利用者が任意のタイミングで撮影した場合における画像データの提供動作について説明する。図4には、ナビゲーション装置52側の任意撮影から情報センタ10への撮影データ送信までの動作がフローチャートとして示されている。
【0039】ナビゲーション装置52では、撮影管理プログラム74Cが常に実行されており、車両50の利用者による撮影に関する指示を待つ状態となっている。まず、利用者が撮影を行うために所定の操作によりカメラの向きを指定すると、撮影管理プログラム74Cにより、指示に基づいてカメラの向きが設定される(ステップS120)。次に、撮影管理プログラム74Cは、例えば、所定のスイッチ操作などにより利用者からの撮影指示があるか否か判断し(ステップS122)、指示がない場合(ステップS122でNo)には、ステップS120に戻って撮影指示を待つ。
【0040】利用者による撮影指示が確認されたときには(ステップS122でYes)、位置計測部62により現在位置の測定が行われ(ステップS124)、その位置情報(緯度及び経度の座標値)が取得される。位置情報が取得されると、演算処理部54は、道路地図データベース68を参照して、マップマッチングしているか判断する(ステップS126)。ここで、マップマッチングしていると判断されたときには(ステップS126でYes)、識別データ取得プログラム74Bの実行により、道路地図データベース68から現在走行中の道路のリンク情報が取得される(ステップS128)。なお、マップマッチングしてないと判断された場合(ステップS126でNo)には、直接ステップS130へ進む。
【0041】次に、撮影管理プログラム74Cは、カメラの向き又は撮影角度の変更があるか否かを判断する(ステップS130)。すなわち、利用者が前記ステップS120において、表示部60の入力画面で設定した撮影角度と、現在のカメラの角度が同じか否かを判断する。ここで、利用者が新たに撮影角度を設定するなどの理由によって撮影角度が変更されている場合(ステップS130でYes)には、撮影管理プログラム74Cは、その設定に基づいてカメラの方向を変更し(ステップS132)、撮影処理を行う(ステップS134)。また、カメラの向きに更新がない場合(ステップS130でNo)は、直接ステップS134に進み撮影を実行する。
【0042】撮影が終了したら、データ処理プログラム74Eにより情報センタ10へ送信される撮影データ78Bが作成される(ステップS136)。なお、ここで作成される撮影データは、マップマッチングが行われており、走行中のリンク情報を取得できる場合には、上述した図9の場合と同様である。また、道路走行中を認識できない場合には、リンク情報(道路識別データ)の代わりに、道路識別不能を示すデータが撮影データに含まれる。作成された撮影データ78Bは、転送プログラム74Fにより、車両50のナビゲーション装置52から、通信部64を介して情報センタ10へ送信される(ステップS138)。」
(e)「【0062】(2)施設情報の要求(目的地設定時)……次に、図12及び図13を参照して本実施形態の具体例2について説明する。本例は、ナビゲーション装置52で目的地を設定する際に、該当する施設の情報を情報センタ10から受信する例である。図12(A)は、ナビゲーション装置52と情報センタ10との情報授受の様子を示すシーケンス図であり、ナビゲーション装置52から情報センタ10への情報要求から、配信された施設画像の表示までの動作が示されている。同図(B)は、前記動作において情報センタ10からナビゲーション装置52へ送信されるPOI情報の一例を示す図である。図13は、ナビゲーション装置52側で表示部60に表示される画面例を示す図である。
【0063】ナビゲーション装置52側で、利用者が表示部60に表示される目的地検索用の画面110において、ボタン112により目的地の名称又はジャンルを入力して目的地(本例の場合は施設)を設定すると(矢印F20)。POI情報の要求が情報センタ10へ送信される(矢印F21)。情報センタ10では、要求を受信すると、POI検索部28によるPOIデータベース14の検索が実行され、リクエストの条件に該当する施設のPOI情報を検索する(矢印F22)。検索されたPOI情報は、ナビゲーション装置52側へ送信される(矢印F23)。
【0064】このとき送信されるPOI情報の一例が図12(B)に示されている。同図に示すように、POI情報には、正式名称やカナ名称などの「名前」、施設の所在地である「住所」、「電話番号」、コンビニやホテルなどの「ジャンル名称」、緯度や経度などの「位置情報」、電話番号などの全国でユニークなIDである「施設ID」などが含まれている。
【0065】ナビゲーション装置52側では、表示部60に、図12(B)に示すような検索結果の画面114が表示され、利用者により画像データの配信を要求する施設が選択される(矢印F24)。施設が選択されると、画像リクエストプログラム74Dは、情報センタ10に対して、施設ID及び画像サイズなどを含むリクエストデータ78Cとともに画像情報の配信を要求する(矢印F25)。情報センタ10では、リクエストを受信すると、指定された施設IDなどに基づいて、画像情報管理部30の検索部30Cにより、画像データベース16の検索を実行する(矢印F26)。
【0066】検索の結果抽出された画像データは、その関連情報とともに画像情報としてナビゲーション装置52に送信される(矢印F27)。ナビゲーション装置52では、受信した情報に含まれる画像データを抽出し、表示部60に画像を表示する(矢印F28)。図13(C)に示される施設の画像116には、情報表示欄118に、「××店 □月○時△分頃 撮影」のような画像情報が表示されている。
【0067】このように、本例によれば、情報センタ10側で検索を行った結果をナビゲーション装置52側に送信し、ナビゲーション装置側52では、検索結果を表示部60に表示する。そして、検索結果の中に含まれる施設を指定して、該施設のリアルタイムの画像データを情報センタ10から得ることとした。これにより、例えば、車両50の利用者が、これから食事をする店を決定しようとする際に、その店の画像から混雑状況などを確認することができ、目的地(施設)を設定する判断材料とすることができる。なお、本例においても、上述した具体例と同様に、車両80が画像情報を得ることも可能である。」
(1-2)以上の記載によれば、引用例1には次のことが記載されている。
(ア)上記(a)の記載によると、第【0012】段落から、情報センタは、経路探索用の経路探索用データや音声や画像などの経路案内用データを集積した経路案内データベース、POI情報を集積したPOIデータベース、車両から提供された画像データを集積した画像データベースを備えており、また、第【0013】段落から、POIデータベースには、ある地点とその位置に存在する施設等を関連付けた情報が集積されていること、また、第【0014】及び【0015】段落から、画像データベースには、車両から提供された道路や施設の画像データがその関連情報(位置情報など)とともに集積されていること、第【0017】段落から、車両のナビゲーション装置と無線によるデータの送受信を行うための通信制御部を備えていること、また、第【0021】及び【0022】段落から、画像情報管理部は車両からのリクエストに応じて画像データベースを検索し、該当する画像データを抽出し、画像情報配信部は抽出した画像データを通信制御部を介して車両に送信することが記載されている。
よって、ここには、経路探索用の経路探索用データや音声や画像などの経路案内用内データを集積した経路案内データベース、POI情報を集積したPOIデータベース、車両から提供された画像データを集積した画像データベース、車両のナビゲーション装置と無線によるデータの送受信を行うための通信制御部を備え、POIデータベースには、ある地点とその位置に存在する施設等を関連付けた情報が集積され、画像データベースには、車両から提供された道路や施設の画像データがその関連情報(位置情報など)とともに集積され、画像情報管理部は車両からのリクエストに応じて画像データベースを検索し、該当する画像データを抽出し、画像情報配信部は抽出した画像データを通信制御部を介して車両に送信する情報センタが記載されているといえる。
(イ)上記(b)の記載によると、ここにはナビゲーション装置について記載されており、第【0023】段落から、CPUから構成される演算処理部と、カメラを含む撮影部と、また、第【0025】段落から、表示部と、情報センタとデータの送受信を行うための通信部と、また、第【0026】段落から、GPSを利用した位置計測部を備えていることが記載されている。
また、第【0027】及び【0028】段落から、メモリには演算処理部で実行する、撮影部による撮影の各種設定や、画像データ及び撮影方向などの撮影条件に関するデータを取得する撮影管理プログラム、対象物の画像データの配信を情報センタにリクエストする画像リクエストプログラム、撮影部によって撮影された画像データや、情報センタから受信した画像データなどに必要な処理を施すデータ処理プログラム、撮影部によって撮影された画像データ及び該画像データの関連情報を情報センタへ送信する転送プログラムなどが格納されている。
よって、ここには、CPUから構成される演算処理部と、カメラを含む撮影部と、表示部と、情報センタとデータの送受信を行うための通信部と、GPSを利用した位置計測部と、演算処理部で実行する、撮影部による撮影の各種設定や、画像データ及び撮影方向などの撮影条件に関するデータを取得する撮影管理プログラム、対象物の画像データの配信を情報センタにリクエストする画像リクエストプログラム、撮影部によって撮影された画像データや、情報センタから受信した画像データなどに必要な処理を施すデータ処理プログラム、撮影部によって撮影された画像データ及び該画像データの関連情報を情報センタへ送信する転送プログラムなどが格納されるメモリ、を備えたナビゲーション装置が記載されているといえる。
(ウ)上記(c)によると、ナビゲーション装置において、撮影管理プログラムにより自動的にカメラで撮影した撮影画像と、位置計測部によって測定した位置情報とをデータ処理プログラムにより一つの撮影データとしてまとめ、作成された撮影データを転送プログラムにより、通信部から情報センタへ送信することが記載されているといえる。
(エ)上記(d)によると、ナビゲーション装置において、車両の利用者が任意のタイミングで撮影管理プログラムに撮影の指示を行い、該撮影指示によりカメラで撮影した撮影画像と、位置計測部によって測定した位置情報とをデータ処理プログラムにより一つの撮影データとしてまとめ、作成された撮影データを転送プログラムにより、通信部から情報センタへ送信することが記載されているといえる。
(オ)上記(e)によると、ナビゲーション装置において、目的地を設定する際に、目的地とする施設の画像データを、画像リクエストプログラムにより情報センタに要求し、情報センタでは、リクエストを受信すると画像情報管理部が画像データベースを検索し、該当する画像データを抽出してナビゲーション装置に送信し、ナビゲーション装置では受信した画像データを表示部に表示することが記載されているといえる。
(カ)以上のことから、引用例1には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されている。
「経路探索用の経路探索用データや音声や画像などの経路案内用内データを集積した経路案内データベース、POI情報を集積したPOIデータベース、車両から提供された画像データを集積した画像データベース、車両のナビゲーション装置と無線によるデータの送受信を行うための通信制御部を備え、POIデータベースには、ある地点とその位置に存在する施設等を関連付けた情報が集積され、画像データベースには、車両から提供された道路や施設の画像データがその関連情報(位置情報など)とともに集積され、画像情報管理部は車両からのリクエストに応じて画像データベースを検索し、該当する画像データを抽出し、画像情報配信部は抽出した画像データを通信制御部を介して車両に送信する情報センタとデータの送受信を行うナビゲーション装置であって、
CPUから構成される演算処理部と、カメラを含む撮影部と、表示部と、情報センタとデータの送受信を行うための通信部と、GPSを利用した位置計測部と、演算処理部で実行する、撮影部による撮影の各種設定や、画像データ及び撮影方向などの撮影条件に関するデータを取得する撮影管理プログラム、対象物の画像データの配信を情報センタにリクエストする画像リクエストプログラム、撮影部によって撮影された画像データや、情報センタから受信した画像データなどに必要な処理を施すデータ処理プログラム、撮影部によって撮影された画像データ及び該画像データの関連情報を情報センタへ送信する転送プログラムなどが格納されるメモリを備え、
撮影管理プログラムにより自動的にカメラで撮影した撮影画像と、位置計測部によって測定した位置情報とをデータ処理プログラムにより一つの撮影データとしてまとめ、作成された撮影データを転送プログラムにより、通信部から情報センタへ送信し、
または、車両の利用者が任意のタイミングで撮影管理プログラムに撮影の指示を行い、該撮影指示によりカメラで撮影した撮影画像と、位置計測部によって測定した位置情報とをデータ処理プログラムにより一つの撮影データとしてまとめ、作成された撮影データを転送プログラムにより、通信部から情報センタへ送信し、
目的地を設定する際に、目的地とする施設の画像データを、画像リクエストプログラムにより情報センタに要求し、情報センタでは、リクエストを受信すると画像情報管理部が画像データベースを検索し、該当する画像データを抽出してナビゲーション装置に送信し、ナビゲーション装置では受信した画像データを表示部に表示する、
ナビゲーション装置。」

(2)引用例2
(2-1)当審において通知した拒絶の理由に引用された、特開2000-266551号公報(平成12年9月29日出願公開。以下、「引用例2」という。)には、次の記載がある。
(a)「【0068】次にエージェント処理部11は、把握した現在の状況に基づき、イベントに規定されている条件検索知識DB番号に該当する条件検索知識DBを、目的地検索条件知識DB294にアクセスして参照する(ステップ54)。そして、エージェント処理部11は、ステップ53で把握した状況に対応する目的地設定条件を該当する番号の検索条件知識DBから抽出しRAMに格納する(ステップ56)。例えば、発生したイベントが「昼食を案内する」である場合、検索条件知識DB番号1の飲食店検索条件知識DB(図3)を利用して、ユーザに推薦する車両現在位置周辺の飲食店(レストラン、喫茶店、ファーストフード等)を目的地データベース309の中から抽出するための検索条件を決定する。この番号1の飲食店検索条件知識DBによれば、時間が「昼食」なので検索条件「焼き肉は省く」が設定され、さらに運転目的が「デート」であれば、「洋食を優先する」、「料金を高めに設定する」、「景色のいいお店を優先する」、「静かなお店を優先する」、「焼き肉は省く」、「有名店を優先する」等の複数の条件が設定される。これら検索条件の数は、把握した状況に応じて1つの場合、複数の場合がある。なお、目的地を検索する場合に、相互にジャンルの異なる施設が検索されるようにするために、さらに検索条件を付加するようにしてもよい。また、本実施形態では、「焼き肉は省く」という検索条件が、時間「お昼」からと、運転目的「デート」の両方から設定されるが、このように同一の検索条件が複数設定される場合には、その条件項目は1つだけ設定される場合よりもより強く反映するようになっている。
【0069】他の例として、発生したイベントが「観光案内する」である場合、条件検索知識DB番号2の観光地検索条件知識DBを利用してユーザに推薦する観光施設を抽出するための検索条件を決定する。例えば、京都市に到着して観光案内をする場合、ユーザが「若かったら」金閣寺等の著名な施設が検索されるように検索条件「著名な神社仏閣を優先する」が設定され、逆に「年配だったら」有名な場所はすでに観光したことがある可能性が高いので著名性や知名度は問題とせずに「落ち着ける神社仏閣を優先する」が設定される。この「観光案内をする」イベントに対する検索条件を設定する場合においても、ユーザのプロフィール等に応じて1又は複数の検索条件(重複を許す)が設定される。
【0070】以上のようにしてステップ56における目的地検索条件が設定されると、エージェント処理部11は、設定した目的地検索条件を満たしている度合いが高い、車両現在位置周辺の目的地を5件(5ジャンル各1件の目的地)抽出し(ステップ58)、表示装置27に選択画面を表示する(ステップ59)。図14は、5ジャンル各1件で推薦すべき目的地を抽出する、目的地抽出処理の処理動作を表したフローチャートである。抽出して推薦する目的地は、5ジャンルに限られず2ジャンル、3ジャンル、その他の任意のジャンル数としてもよい。エージェント処理部11は、ナビゲーションデータ記憶装置30の目的地データベース309から、イベント内容や運転目的に対応する目的地データを抽出することで目的地を絞り込む(ステップ70)。すなわち、エージェント処理部11は、現在位置から例えば半径3キロメートル以内に存在する目的地を絞り込むと共に、発生しているイベントに対応するジャンルの目的地を抽出して絞り込む。さらに、その中から、初期項目設定処理(図6)で取得した運転目的と一致する運転目的分類区分の目的地を抽出してさらに絞り込む。または、このように車両現在位置からの距離と運転目的の両条件によって目的地を絞り込む代わりに、いずれか一方の条件で目的地を絞り込んでもよいし、また、絞り込みを行うことなく、目的地データベース309に記憶されている全ての目的地に対してステップ72以下の処理を行ってもよい。」
(b)「【0079】この推薦目的地選択画面27dにおいて、ユーザによって推薦目的地表示欄281に表示された5ジャンルの目的地(飲食店)のうちのいずれか1つが選択されると、選択された目的地の詳細説明画面27eが表示される。図17は、詳細説明画面27eの表示内容を表したものである。この図17に示されるように、コメント欄280には、エージェントEの発声と同一内容のコメント「このお店に設定していい?」が表示される。このコメント欄280のすぐ下側には、5ジャンルの推薦目的地表示欄281のうち、選択されたお店の推薦目的地表示欄281aと、その他件数表示欄282aが表示される。そして、選択された目的地「そば処銀座いけたに」に関する詳しい解説情報が、解説欄286に表示される。この解説欄286に記載された解説文については、エージェントEが読み上げるようにしてもよい。この場合のエージェントとしては、料理解説専門のエージェントが別個現れて解説するようにしてもよい。また、画面右上には画像欄287が配置されており、現在選択されている目的地の特徴を表す画像が表示される。例えば、料理の写真画像であったり、店内の写真画像であったり、観光地であればその景色や建造物の外観の写真画像等が表示される。このように目的地に関する画像データが表示されることで、ユーザはその目的地の雰囲気を確認することができるようになる。」
(2-2)以上の記載によれば、引用例2には次の技術(以下、「引用例2記載事項」という。)が記載されている。
「目的地の候補を、車両現在位置とユーザのプロフィールに基づいて抽出し、目的地に関する画像を表示する技術。」

(3)周知例
(3-1)当審において通知した拒絶の理由に周知例として引用された、特開平11-265398号公報(平成11年9月28日出願公開。以下、「周知例1」という。)には、次の記載がある。
(a)「【請求項2】 予め登録されたユーザの位置情報の取得に必要な位置管理情報及びユーザの連絡先を示す連絡先情報を保持するユーザ管理情報保持手段と、前記ユーザ管理情報保持手段に登録された位置管理情報に基づいて、各ユーザの現在位置情報を取得する位置認識手段と、広告、イベント情報などの提供情報と各々の提供情報に対応づけられる少なくとも位置に関する提供対象範囲を示す範囲情報とを複数保持する提供情報テーブルと、前記位置認識手段が認識したユーザの現在位置と前記提供情報テーブルの各々の提供情報の範囲情報との比較の結果に応じて、前記提供情報テーブル上の一部の提供情報を抽出する情報抽出手段と、前記ユーザ管理情報保持手段から前記ユーザの連絡先情報を取得して、取得した連絡先情報に応じた宛先に前記情報抽出手段が抽出した提供情報を送出する情報送出手段とを設けたことを特徴とする情報提供システム。」
(b)「【請求項4】 請求項1又は請求項2記載の情報提供システムにおいて、予め登録されたユーザの特性を示す個人情報を保持する個人情報保持手段を設けるとともに、前記提供情報テーブルが、各々の提供情報に対応づけられる提供対象者の属性を示す属性情報を保持し、前記情報抽出手段が、情報提供対象ユーザの個人情報を前記個人情報保持手段から取得して、取得した個人情報と前記提供情報テーブル上の各々の提供情報の属性情報との比較の結果に応じて、前記提供情報テーブルから抽出される提供情報を限定することを特徴とする情報提供システム。」
(c)「【0057】ステップS17においては、ユーザIDに基づいて、ユーザ管理サーバ130に登録されている様々なユーザ情報のうち、ユーザの属性と趣向の情報を取得する。ここで使用するユーザIDは、ユーザがこの情報提供システムと接続する際にユーザがIDとして入力した情報である。このユーザIDはステップS11で取得される。
【0058】ステップS17で取得するユーザの属性には、年齢、性別、年収、職種及び職業が含まれる。なお、年齢の情報については、生年月日の情報に基づき計算により取得する。また、ステップS17で取得するユーザの趣向には、図13のデータ項目に示される「興味対象1」?「興味対象10」の各項目のデータレコードが含まれる。
【0059】ステップS18では、情報提供サーバ110の内部時計117から、現在の日時の情報を入力する。ステップS19では、ステップS16で取得した注目位置の情報と、ステップS17で取得したユーザの属性及び趣向の情報と、ステップS18で取得した現在の日時に基づいて、広告イベント情報D3の検索を実施する。」
(d)「【0079】図8のステップS51では、登録されたユーザの位置情報取得方法を識別する。すなわち、図13に示すユーザ情報テーブルを参照して、該当ユーザがPHS端末を所持している場合には、データ項目「電話番号4」のデータレコードの内容(PHS電話番号)を取得する。ステップS52においては、ステップS51で取得した番号に基づき、位置情報提供サービス190を利用してユーザの現在位置の情報(緯度、経度)を取得する。この例では、ステップS52で取得されるユーザの現在位置が変化した場合に、ステップS53からS54に進む。
【0080】ステップS54では、ステップS52で検出されたユーザの現在位置を注目位置の座標として決定する。ステップS55、S56、S57及びS58では、それぞれ既に説明した図5のステップS17、S18、S19及びS20と同じ処理を実行する。つまり、注目位置をユーザの現在位置に置き換えて、その位置に対して広告イベント情報を検索し、抽出された情報からフレーム情報D4を生成する。
【0081】ステップS59では、ステップS58で生成されるフレーム情報D4をユーザ端末200に送出する。ユーザ端末200がインターネット180を介してこの情報提供システムに接続している場合には、ステップS59ではインターネット180を介してユーザ端末200に広告イベント情報を提供する。
【0082】ユーザ端末200が情報提供システムに接続されていない場合には、テレフォニーサーバ120及び通信回線250を介してユーザ端末200と接続し、ユーザに広告イベント情報を提供する。情報の送出先については、図13に示すユーザ情報テーブルの内容に基づいて、自動的に選択する。なお、上記実施の形態では、PHS端末を用いてユーザの位置を検出する場合について説明したが、他の方法、例えばGPS衛星からの電波を利用してユーザの位置を検出してもよい。」
(3-2)また、当審において通知した拒絶の理由に周知例として引用された、特開2001-290727号公報(平成13年10月19日出願公開。以下、「周知例2」という。)には、次の記載がある。
(e)「【請求項1】通信回線で接続された携帯情報端末、センター及び情報提供者向け端末とを備える情報提供システムであり、
前記携帯情報端末は、
その携帯情報端末の位置を取得し、管理する位置管理手段と、
前記位置情報と前記位置情報を測定した時刻の情報とユーザを特定するユーザIDを送信データとして管理し前記センターに送信し、センターからのデータから受信する通信管理手段と、
前記センターから受信したデータを提示する情報提示手段
とを含み、
前記センターは、
前記携帯情報端末と前記情報提供者向け端末とデータを送受信する通信管理手段と、
前記ユーザからの受信データから、各ユーザの現在時間、現在位置を抽出し、保存するユーザ情報素材抽出手段と、
位置情報と説明内容からなるレストランや観光地などのスポット情報を格納したスポット情報データベースと、
前記ユーザ情報素材抽出手段で格納された情報と前記スポット情報データベースから、前記ユーザの嗜好を学習する嗜好学習手段と、前記嗜好学習手段が学習し生成したユーザ毎の嗜好情報を格納したユーザ嗜好情報データベースと、
前記ユーザ嗜好情報データベースに格納された情報によりユーザ集団の嗜好情報を学習する集団嗜好学習手段と、前記集団嗜好学習手段が学習し生成したユーザ集団毎の嗜好情報を格納した集団嗜好情報データベースと、
前記ユーザの現在時間、現在位置と前記ユーザIDにより前記ユーザ嗜好情報データベースから取得した嗜好情報と、前記集団嗜好情報データベースから取得したユーザ集団の嗜好情報をもとにスポット情報を選択し、選択したスポット情報を前記通信管理手段に対し該ユーザの携帯情報端末へ送信するよう要求するユーザ状況マッチング手段と、
情報提供者ごとに対象とするユーザ集団の嗜好情報を前記集団嗜好情報データベースで検索し結果を前記情報提供者向け端末へ送信するよう前記通信管理手段へ要求を出す情報提供者向け情報作成手段と、
前記情報提供者向け端末からの前記スポット情報をスポット情報データベースへ入力する情報入力手段とを含み、
前記情報提供者向け端末は、
前記センターとデータを送受信する通信管理手段と、
情報提供者がスポット情報のコンテンツを作成する際に用い、作成した後に前記センターへスポット情報を送信するよう通信管理手段へ要求するスポット情報オーサリング手段と、
前記スポット情報オーサリング手段で作成された前記スポット情報を格納するスポット情報データベースと、前記通信管理手段が受信した前記センターからの前記集団嗜好情報を受信する集団嗜好情報データベースとを含むことを特徴とするモバイルユーザ向け情報提供システム。」
(3-3)以上の周知例1及び2の記載によれば、次の技術は周知技術と認められる。
「提供する情報及びその位置情報と、各ユーザの属性や嗜好情報等のいわゆるユーザプロファイルをセンタに格納し、ユーザ端末からユーザID及び現在位置が送信され、センタでは該ユーザIDにより特定されたユーザプロファイルと現在位置に基づいて提供する情報を検索して提供する技術。」

5.対比
(1)本願発明と引用発明とを対比する。
(ア)引用発明の「ナビゲーション装置」は、車両に設置され車両とともに移動する装置であるから、これも移動体デバイスであることは明らかである。
また、引用発明の「ナビゲーション装置では受信した画像データを表示部に表示する」によれば、「ナビゲーション装置」は画像データすなわちイメージを表示することができるものである。
そうすると、本願発明と引用発明とは、「イメージを表示することができる移動体デバイス」である点で一致する。
(イ)引用発明の「CPUから構成される演算処理部」は、いわゆるプロセッサであって、また、「演算処理部で実行する、撮影部による撮影の各種設定や、画像データ及び撮影方向などの撮影条件に関するデータを取得する撮影管理プログラム、対象物の画像データの配信を情報センタにリクエストする画像リクエストプログラム、撮影部によって撮影された画像データや、情報センタから受信した画像データなどに必要な処理を施すデータ処理プログラム、撮影部によって撮影された画像データ及び該画像データの関連情報を情報センタへ送信する転送プログラムなどが格納されるメモリ」は、各種プログラムすなわち命令を記憶するメモリであることから、引用発明の「CPUから構成される演算処理部」及び「演算処理部で実行する、撮影部による撮影の各種設定や、画像データ及び撮影方向などの撮影条件に関するデータを取得する撮影管理プログラム、対象物の画像データの配信を情報センタにリクエストする画像リクエストプログラム、撮影部によって撮影された画像データや、情報センタから受信した画像データなどに必要な処理を施すデータ処理プログラム、撮影部によって撮影された画像データ及び該画像データの関連情報を情報センタへ送信する転送プログラムなどが格納されるメモリ」は、本願発明の「命令を記憶するメモリを有するプロセッサ手段」に相当するものである。
また、引用発明の「カメラを含む撮影部」はイメージを取り込むものであるから、本願発明の「イメージを取り込む手段」に相当し、また、引用発明の「表示部」は上記(ア)でも示したようにイメージを表示するものであるから、本願発明の「イメージを表示する手段」に相当するものである。
また、引用発明の「情報センタとデータの送受信を行うための通信部」は、「情報センタでは、リクエストを受信すると画像情報管理部が画像データベースを検索し、該当する画像データを抽出してナビゲーション装置に送信し、ナビゲーション装置では受信した画像データを表示部に表示する」によれば画像データすなわちイメージを受信するものであるから、本願発明の「イメージを受信する手段」及び「送信手段」に相当するものである。
また、引用発明の「GPSを利用した位置計測部」は、「ナビゲーション装置」の位置を測定し識別するものであるから、本願発明の「前記移動体デバイスの位置を識別する手段」に相当するものである。
(ウ)引用発明の「撮影管理プログラムにより自動的にカメラで撮影した撮影画像と、位置計測部によって測定した位置情報とをデータ処理プログラムにより一つの撮影データとしてまとめ、作成された撮影データを転送プログラムにより、通信部から情報センタへ送信し、または、車両の利用者が任意のタイミングで撮影管理プログラムに撮影の指示を行い、該撮影指示によりカメラで撮影した撮影画像と、位置計測部によって測定した位置情報とをデータ処理プログラムにより一つの撮影データとしてまとめ、作成された撮影データを転送プログラムにより、通信部から情報センタへ送信し」によれば、ここでは「撮影管理プログラム」の命令により、カメラで撮影して新たな撮影画像を取り込み、位置計測部により位置情報を測定させ、また、「データ処理プログラム」の命令により、撮影画像と位置計測部によって測定した位置情報とを一つの撮影データとしてまとめていることから、引用発明の「撮影管理プログラム」は本願発明の「前記取り込む手段に、追加のイメージを取り込ませるための命令」及び「前記位置を識別する手段に、前記移動体デバイスの位置を識別させる命令」に相当し、また、引用発明の「データ処理プログラム」は本願発明の「関係付け手段」及び「前記関係付け手段に、前記追加のイメージを、前記位置を識別する手段によって識別された位置に関係付けさせるための命令」に相当するといえる。
また、ここで引用発明の「情報センタ」は、「経路探索用の経路探索用データや音声や画像などの経路案内用内データを集積した経路案内データベース、POI情報を集積したPOIデータベース、車両から提供された画像データを集積した画像データベース、車両のナビゲーション装置と無線によるデータの送受信を行うための通信制御部を備え、POIデータベースには、ある地点とその位置に存在する施設等を関連付けた情報が集積され、画像データベースには、車両から提供された道路や施設の画像データがその関連情報(位置情報など)とともに集積され、画像情報管理部は車両からのリクエストに応じて画像データベースを検索し、該当する画像データを抽出し、画像情報配信部は抽出した画像データを通信制御部を介して車両に送信する情報センタ」によれば、車両から提供された画像データとその関連情報(位置情報)を画像データベースに集積するとともに、車両からのリクエストに応じて画像データベースを検索し、該当する画像データを抽出して車両に送信する機能を備えており、この「情報センタ」の「画像データベース」は本願発明の「移動体イメージシステム」内の「ロケーション特有のイメージを記憶する」「ロケーション特有のイメージデータベース」に相当するものといえることから、引用発明の「情報センタ」と本願発明の「移動体イメージシステム」は、「ロケーション特有のイメージデータベース」に対して、受信した画像の追加及び検索して抽出した画像を送信する機能を備える点において共通するものである。
そして、引用発明における「転送プログラム」の命令により、一つにまとめた撮影データを通信部から情報センタへ送信することにより、情報センタでは送信された画像データと関連情報(位置情報)を画像データベースに集積することから、引用発明の「転送プログラム」は本願発明の「前記送信手段に、前記識別された位置に関係付けられた前記追加のイメージを、前記ロケーション特有のイメージデータベース中に記憶させるために、前記移動体イメージシステムに送信させるための命令」に相当するものと認められる。
また、引用発明の「車両の利用者が任意のタイミングで撮影管理プログラムに撮影の指示を行い」によれば、利用者の任意のタイミング、言い換えれば任意の時間および場所において撮影が可能であるから、本願発明の「前記取り込む手段は、前記移動体デバイスのユーザによって決定される任意の時間および場所において、前記追加のイメージを撮影するように動作可能である」点でも一致するといえる。
(エ)引用発明の「目的地を設定する際に、目的地とする施設の画像データを、画像リクエストプログラムにより情報センタに要求し、情報センタでは、リクエストを受信すると画像情報管理部が画像データベースを検索し、該当する画像データを抽出してナビゲーション装置に送信し、ナビゲーション装置では受信した画像データを表示部に表示する」によると、「画像リクエストプログラム」の命令により情報センタへ画像データのリクエストを行い、情報センタにおいて画像データベースから検索された画像データを受信していることから、引用発明と本願発明は「前記受信する手段に、ロケーション特有のイメージを記憶する、移動体イメージシステム内のロケーション特有のイメージデータベース中に記憶されている1組のロケーション特有のイメージの中から、ロケーション特有のイメージを受信させるための命令」を備える点で共通する。
また、引用発明の「ナビゲーション装置では受信した画像データを表示部に表示する」こともプログラムの命令により実行されるものであることは自明であるから、これは本願発明の「前記表示する手段に、受信されたロケーション特有のイメージをスクリーン上に表示させるための命令」に相当するものといえる。
(2)以上のことから、本願発明と引用発明との一致点及び相違点は、次のとおりである。
〔一致点〕
「イメージを表示することができる移動体デバイスにおいて、
前記移動体デバイスは、
イメージを受信する手段と、
イメージを表示する手段と、
イメージを取り込む手段と、
前記移動体デバイスの位置を識別する手段と、
関係付け手段と、
送信手段と、
命令を記憶するメモリを有するプロセッサ手段と
を具備し、
前記命令は、
前記受信する手段に、ロケーション特有のイメージを記憶する、移動体イメージシステム内のロケーション特有のイメージデータベース中に記憶されている1組のロケーション特有のイメージの中から、ロケーション特有のイメージを受信させるための命令と、
前記表示する手段に、受信されたロケーション特有のイメージをスクリーン上に表示させるための命令と、
前記取り込む手段に、追加のイメージを取り込ませるための命令と、
前記位置を識別する手段に、前記移動体デバイスの位置を識別させる命令と、
前記関係付け手段に、前記追加のイメージを、前記位置を識別する手段によって識別された位置に関係付けさせるための命令と、
前記送信手段に、前記識別された位置に関係付けられた前記追加のイメージを、前記ロケーション特有のイメージデータベース中に記憶させるために、前記移動体イメージシステムに送信させるための命令と
を含み、
前記取り込む手段は、前記移動体デバイスのユーザによって決定される任意の時間および場所において、前記追加のイメージを撮影するように動作可能である、移動体デバイス。」

〔相違点1〕
本願発明では、「移動体イメージシステム内のロケーション特有のイメージデータベース中に記憶されている1組のロケーション特有のイメージの中から、前記移動体デバイスの位置およびユーザプロファイルに基づいているロケーション特有のイメージ」を選択するのに対して、引用発明ではそのようになっていない点。
〔相違点2〕
本願発明では、「前記移動体イメージシステムは、前記移動体デバイスからユーザIDを受信し、前記受信されたユーザIDに関係付けられたユーザプロファイルにアクセスするように動作可能であり」であるのに対し、引用発明ではそのようになっていない点。

6.相違点についての判断
(1)相違点1及び相違点2について
上記引用例2記載事項によれば、「目的地の候補を、車両現在位置とユーザのプロフィールに基づいて抽出し、目的地に関する画像を表示する技術」はナビゲーションの技術分野においてはすでに公知であることから、同じナビゲーションの技術である引用発明において適用することに格別の困難性はないし、また、引用発明においては上記「目的地の候補」及び「目的地に関する画像」がナビゲーション内ではなく「情報センタ」に存在しているため「情報センタ」における検索処理が必要になるが、上記4.(3)の周知例1及び周知例2で示したように「提供する情報及びその位置情報と、各ユーザの属性や嗜好情報等のいわゆるユーザプロファイルをセンタに格納し、ユーザ端末からユーザID及び現在位置が送信され、センタでは該ユーザIDにより特定されたユーザプロファイルと現在位置に基づいて提供する情報を検索して提供する技術」は周知の技術であることから、引用発明において、「情報センタ」にユーザプロファイルを格納し、「ナビゲーション装置」からユーザID及び位置情報を「情報センタ」に送信し、「情報センタ」において送信されたユーザIDによりユーザプロファイルを特定し、特定されたユーザプロファイルと位置情報に基づいて目的地に関する画像を検索する構成として、上記相違点1及び2に係る構成とすることは当業者であれば容易に想到しえたことである。
(2)そして、これらの相違点を総合的に勘案しても、本願発明の奏する作用効果は、引用発明、引用例2記載事項及び周知技術の奏する作用効果から予測される範囲内のものにすぎず、格別顕著なものということはできない。
したがって、本願発明は、引用発明、引用例2記載事項及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

7.審判請求人の主張について
(1)審判請求人は、平成25年8月16日付け意見書において、進歩性について以下のとおり主張している。
「(3)進歩性
補正後の請求項1において、「前記追加のイメージは、前記移動体デバイスのユーザによって決定される任意の時間および場所において、前記移動体デバイスにより撮影される」のように規定しました。
この特徴により、本願の明細書段落0029に記載されていますように、本願では、表示されたロケーション特有のイメージが、不鮮明または低品質のものであるときに、移動体デバイスのユーザが、同一のロケーションにおいて高品質イメージを撮影して、高品質のイメージを低品質のイメージと置き換えるためにアップロードすることができたり、また、ユーザが車、家等からロックアウトされたときに、ユーザは車、家等を含む彼のロケーションのイメージを撮影して、ワイヤレス通信ネットワークにより、ディスプレイを有する錠前師のコンピューティングデバイスに、ロケーション特有のイメージを送ることができたりする、という有利な効果を有しております。

これに対し、引例1の段落0027-0035を参照しますと、引例1では、車両ナビゲーション装置において、撮影プログラムの指示を受けて、端末で撮影を実行して、自動的にデータを生成することを開示しているに過ぎず、本願の請求項1記載の上記の特徴について何ら開示しておりません。
また、引例2では、カーナビゲーション装置において、ユーザ情報や、時間、車両内温度等に基づいて、ユーザの嗜好に合うような目的地を抽出して、エージェントキャラクタをナビゲーション画面に表示させて案内することを開示しているに過ぎず、本願の請求項1記載の上記の特徴について何ら開示しておりません。
さらに、引例3では、情報提供システムにおいて、ユーザの個人情報に基づいて、情報の選別や連絡先の決定などを実施することを開示しているに過ぎず、本願の請求項1記載の上記の特徴について何ら開示しておりません。
なお、従属請求項について引用されておりました、引例4ないし8もまた、各種のナビゲーション機能や、管理者端末における中央管理された画像追加等について開示しているに過ぎず、本願の請求項1記載の上記の特徴について何ら開示しておりません。

また、補正後の独立請求項17、23、および、30は、本願の補正後の請求項1と同様の特徴について規定するものであります。
このように、引例1ないし8は、補正後の独立請求項1、17、23、および、30記載の特徴を開示していないことから、引例1ないし8に記載されている発明から、本願の補正後の独立請求項記載の発明を容易になし得ないことは明白であります。したがいまして、本願の補正後の独立請求項記載の発明は特許性を有しており、また、独立請求項が特許性を有することから、これらの従属請求項も特許性を有すると思料致します。」
(2)しかしながら、審判請求人が主張する「前記追加のイメージは、前記移動体デバイスのユーザによって決定される任意の時間および場所において、前記移動体デバイスにより撮影される」点について、確かに引用例1の第【0027】ないし【0035】段落には、審判請求人が主張するように「車両ナビゲーション装置において、撮影プログラムの指示を受けて、端末で撮影を実行して、自動的にデータを生成すること」が記載されているが、引用例1にはそれだけではなく、第【0038】ないし【0042】段落に「車両50の利用者が任意のタイミングで撮影した場合における画像データの提供動作」について記載されており(上記4.引用例(1)(1-1)(d)参照)、上記5.対比(1)(ウ)で示したとおりであるから、審判請求人の主張を採用することはできない。

8.むすび
以上のとおり、本願発明は、引用発明、引用例2記載事項及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法29条2項の規定により特許を受けることができないから、本願は、他の請求項について検討するまでもなく、拒絶すべきものである。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2013-09-04 
結審通知日 2013-09-10 
審決日 2013-09-24 
出願番号 特願2007-538029(P2007-538029)
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (G06F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 久々宇 篤志野崎 大進  
特許庁審判長 金子 幸一
特許庁審判官 山崎 達也
田中 秀人
発明の名称 移動体デバイスにロケーション特有のイメージを表示させるシステムおよび方法  
代理人 幸長 保次郎  
代理人 中村 誠  
代理人 峰 隆司  
代理人 村松 貞男  
代理人 堀内 美保子  
代理人 野河 信久  
代理人 岡田 貴志  
代理人 砂川 克  
代理人 白根 俊郎  
代理人 高倉 成男  
代理人 佐藤 立志  
代理人 河野 直樹  
代理人 竹内 将訓  
代理人 河野 哲  
代理人 井関 守三  
代理人 福原 淑弘  
代理人 蔵田 昌俊  

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