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審決分類 |
審判 査定不服 4号2号請求項の限定的減縮 特許、登録しない。 C08F 審判 査定不服 1項3号刊行物記載 特許、登録しない。 C08F 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 C08F |
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管理番号 | 1284601 |
審判番号 | 不服2013-11149 |
総通号数 | 172 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2014-04-25 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2013-06-13 |
確定日 | 2014-02-06 |
事件の表示 | 特願2008- 8419「グラフト共重合体、それを含有する樹脂組成物及び成形体」拒絶査定不服審判事件〔平成21年 7月30日出願公開、特開2009-167327〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
第1.手続の経緯 本願は、平成20年1月17日を出願日とする特許出願であって、平成22年12月3日に手続補正書が提出され、平成24年7月17日付けで拒絶理由が通知され、同年10月16日に意見書とともに手続補正書が提出されたが、平成25年3月15日付けで拒絶査定がなされ、同年6月13日に拒絶査定不服審判が請求されると同時に手続補正書が提出され、同年7月22日付けで前置報告がなされ、当審で同年8月12日付けで審尋がなされ、同年10月10日に回答書が提出されたものである。 第2.平成25年6月13日付けの手続補正についての補正の却下の決定 [結論] 平成25年6月13日付けの手続補正を却下する。 [理由] 1.手続補正の内容 平成25年6月13日付けの手続補正(以下、「本件補正」という。)は、平成24年10月16日提出の手続補正書により補正された特許請求の範囲をさらに補正するものであって、本件補正前の特許請求の範囲の請求項1及び2について、 「 【請求項1】 Fox式で求めたガラス転移温度が0℃以下の(メタ)アクリル酸エステル系重合体(A)の存在下に、(メタ)アクリル酸エステル単量体を含有する単量体混合物(B)を重合して得られる半導体封止材用グラフト共重合体において、 単量体混合物(B)を重合して得られる重合体の、Fox式で求めたガラス転移温度が0℃を超え、 単量体混合物(B)が架橋性単量体を1.0mol%以上11.0mol%以下(但し、(B)を100mol%とする)含有し、 重合体(A)が66?95質量%であり、単量体混合物(B)を重合して得られるグラフト部が5?34質量%(但し、重合体(A)と、単量体混合物(B)を重合して得られるグラフト部の合計を100質量%とする)であることを特徴とする半導体封止材用グラフト共重合体。 【請求項2】 Fox式で求めたガラス転移温度が0℃以下の(メタ)アクリル酸エステル系重合体(A)の存在下に、(メタ)アクリル酸エステル単量体を含有する単量体混合物(B)を重合して得られる接着剤用グラフト共重合体において、 単量体混合物(B)を重合して得られる重合体の、Fox式で求めたガラス転移温度が0℃を超え、 単量体混合物(B)が架橋性単量体を1.0mol%以上11.0mol%以下(但し、(B)を100mol%とする)含有し、 重合体(A)が66?95質量%であり、単量体混合物(B)を重合して得られるグラフト部が5?34質量%(但し、重合体(A)と、単量体混合物(B)を重合して得られるグラフト部の合計を100質量%とする)であることを特徴とする接着剤用グラフト共重合体。」 を 「 【請求項1】 Fox式で求めたガラス転移温度が0℃以下の(メタ)アクリル酸エステル系重合体(A)の存在下に、(メタ)アクリル酸エステル単量体を含有する単量体混合物(B)を重合して得られる半導体封止材用樹脂組成物用のグラフト共重合体において、 単量体混合物(B)を重合して得られる重合体の、Fox式で求めたガラス転移温度が0℃を超え、 単量体混合物(B)が架橋性単量体を1.0mol%以上11.0mol%以下(但し、(B)を100mol%とする)含有し、 重合体(A)が66?95質量%であり、単量体混合物(B)を重合して得られるグラフト部が5?34質量%(但し、重合体(A)と、単量体混合物(B)を重合して得られるグラフト部の合計を100質量%とする)であることを特徴とする半導体封止材用樹脂組成物用のグラフト共重合体。 【請求項2】 Fox式で求めたガラス転移温度が0℃以下の(メタ)アクリル酸エステル系重合体(A)の存在下に、(メタ)アクリル酸エステル単量体を含有する単量体混合物(B)を重合して得られる接着剤用樹脂組成物用のグラフト共重合体において、 単量体混合物(B)を重合して得られる重合体の、Fox式で求めたガラス転移温度が0℃を超え、 単量体混合物(B)が架橋性単量体を1.0mol%以上11.0mol%以下(但し、(B)を100mol%とする)含有し、 重合体(A)が66?95質量%であり、単量体混合物(B)を重合して得られるグラフト部が5?34質量%(但し、重合体(A)と、単量体混合物(B)を重合して得られるグラフト部の合計を100質量%とする)であることを特徴とする接着剤用樹脂組成物用のグラフト共重合体。」 とする下記補正事項を含むものである。 なお、補正後の請求項1及び2に係る発明を以下それぞれ「補正発明1」「補正発明2」といい、それらをまとめて「補正発明」ということがある。 <補正事項1>「半導体封止用グラフト共重合体」なる事項を「半導体封止用樹脂組成物用のグラフト共重合体」とする補正。 <補正事項2>「接着剤用グラフト共重合体」なる事項を「接着剤用樹脂組成物用のグラフト共重合体」とする補正。 2.補正の適否について 2-1 判断 上記補正発明1は、「グラフト共重合体」と化合物自体の発明であるところ、「半導体封止用樹脂組成物用のグラフト共重合体」と用途限定が付された化合物の発明となっている。ここで、用途限定を含む化合物は、特許庁審査基準第II部第2章1.5.2(2)ただし書きに記載のとおり、用途限定のない化合物そのものであると解されることからすると、「半導体封止材用グラフト共重合体」なる事項を「半導体封止材用樹脂組成物用のグラフト共重合体」とする本件補正は、補正前の請求項における「発明を特定するための事項」の一つ以上を、概念的により下位の「発明を特定するための事項」とする補正とはいえないから、特許請求の範囲の減縮であるとはいえない。また、本件補正は、請求項の削除、誤記の訂正および明りょうでない記載の釈明のいずれかを目的とするものでもない。また、補正事項2についても同様である。 したがって、補正事項1及び2を含む本件補正は、特許法第17条の2第5項の各号に掲げるいずれの事項を目的とするものにも該当せず、同法第17条の2第5項の規定に違反するものであるから、同法第53条第1項の規定により却下されるべきものである。 なお、仮に、本件補正が、特許請求の範囲の限定的減縮を目的としているとしても、補正発明1及び2は、以下に述べるように、特許出願の際独立して特許を受けることができない。 2-2 独立特許要件について 補正発明1及び2が、特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか)について以下に検討する。 (1)補正発明 補正発明1及び2は、次のとおりのものである。 「【請求項1】 Fox式で求めたガラス転移温度が0℃以下の(メタ)アクリル酸エステル系重合体(A)の存在下に、(メタ)アクリル酸エステル単量体を含有する単量体混合物(B)を重合して得られる半導体封止材用樹脂組成物用のグラフト共重合体において、 単量体混合物(B)を重合して得られる重合体の、Fox式で求めたガラス転移温度が0℃を超え、 単量体混合物(B)が架橋性単量体を1.0mol%以上11.0mol%以下(但し、(B)を100mol%とする)含有し、 重合体(A)が66?95質量%であり、単量体混合物(B)を重合して得られるグラフト部が5?34質量%(但し、重合体(A)と、単量体混合物(B)を重合して得られるグラフト部の合計を100質量%とする)であることを特徴とする半導体封止材用樹脂組成物用のグラフト共重合体。 【請求項2】 Fox式で求めたガラス転移温度が0℃以下の(メタ)アクリル酸エステル系重合体(A)の存在下に、(メタ)アクリル酸エステル単量体を含有する単量体混合物(B)を重合して得られる接着剤用樹脂組成物用のグラフト共重合体において、 単量体混合物(B)を重合して得られる重合体の、Fox式で求めたガラス転移温度が0℃を超え、 単量体混合物(B)が架橋性単量体を1.0mol%以上11.0mol%以下(但し、(B)を100mol%とする)含有し、 重合体(A)が66?95質量%であり、単量体混合物(B)を重合して得られるグラフト部が5?34質量%(但し、重合体(A)と、単量体混合物(B)を重合して得られるグラフト部の合計を100質量%とする)であることを特徴とする接着剤用樹脂組成物用のグラフト共重合体。」 (2)刊行物の記載事項 以下、特開平5- 65391号公報を「刊行物A」、 特開平9-176455号公報を「刊行物B」という。 A.本願の出願日前に頒布された刊行物A(平成24年7月17日付け拒絶理由通知で引用した引用文献1。)には、以下の事項が記載されている。なお、下線は当審で付した。 A1「【請求項1】 (A)エポキシ樹脂、(B)ガラス転移温度-30℃以下の(メタ)アクリレート系重合体から成るコア20?80重量%とガラス転移温度70℃以上の架橋性単量体単位を含有する(メタ)アクリレート系重合体から成るシェル80?20重量%とから構成された重量平均粒子径が0.1?3.0μmのコアを用いて得られるコアシェル型粉末状重合体、及び(C)エポキシ樹脂用潜在型硬化剤を含有し、かつ該(B)成分の含有量が(A)成分100重量部当たり10?100重量部の範囲にあることを特徴とするエポキシ樹脂系接着性組成物。 【請求項2】 (B)成分のコアシェル型粉末状重合体が、ガラス転移温度-30℃以下の(メタ)アクリレート系重合体から成るコアに(メタ)アクリレート系単量体及び単量体全重量に基づき0.01?10重量%の架橋性単量体を用いてグラフト共重合させ、ガラス転移温度70℃以上の架橋性単量体単位を含有する(メタ)アクリレート系重合体から成る平均厚さ50Å以上のシェルを形成させたものである請求項1記載のエポキシ樹脂系接着性組成物。」 A2「【0002】 【従来の技術】従来、エポキシ樹脂は種々の優れた性質を有することから、例えば接着剤、接着フイルム、母材樹脂、注型用樹脂、粉体成形用樹脂、塗料、電子回路封止剤、各種複合材用基材樹脂などの用途に幅広く用いられている。」 B.本願の出願日前に頒布された刊行物B(平成24年7月17日付け拒絶理由通知で引用した引用文献2。)には、以下の事項が記載されている。なお、下線は当審で付した。 B1「【請求項1】 T_(G )値<0℃をもつエラストマーからなるコアと、その上にグラフトされている、架橋コポリマーのシェルとからなり、該シェルのコポリマーにおける架橋成分の割合が、該シェルコポリマー中のコモノマーの総量に基づいて5ないし90重量%であるコア/シェル粒子。 ・・・ 【請求項3】 前記コアがポリブタジエンまたはポリ(メタ)アクリレートからなる請求項1に記載のコア/シェル粒子。 【請求項4】 前記コアの量が、前記コア/シェル粒子に基づいて10ないし90重量%、好ましくは20ないし80重量%である請求項1に記載のコア/シェル粒子。 【請求項5】 前記シェルが、架橋成分およびコモノマーとして、官能基を含むことのできるビニルモノマーをベースとする、および脂肪族ポリオールの多官能価(メタ)アクリレート、ビスフェノールジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、エトキシ化ビスフェノールのジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールジグリシジルエーテル以外の(メタ)アクリル酸とジ-もしくはポリエポキシド化合物との付加反応生成物をベースとする、またはアリル(メタ)アクリレートもしくはジビニルベンゼンをベースとする架橋コポリマーからなる、請求項1に記載のコア/シェル粒子。 【請求項6】 前記シェルが(メタ)アクリル酸ビニルモノマー、(メタ) アクリレート、式I (式中、R_(2 )またはR_(3 )の一方が基 を表し、他方の基は-Hまたはアルキル基を表し; R_(1 )およびR_(4 )はおのおの-H、-CH_(3 )または-C_(2 )H_(5 )を表し、およびnは2ないし30を表す。)で表されるポリエチレングリコールもしくはポリプロピレングリコールから誘導された(メタ)アクリレート、スチレン、アクリロニトリルまたはグリシジル(メタ)アクリレートをベースとする架橋コポリマーである請求項5に記載のコア/シェル粒子。 ・・・ 【請求項9】 前記シェルのコポリマーの架橋成分の割合が前記シェルポリ マーのコノモノマーの総量に基づいて6ないし60重量%である請求項1に記載のコア/シェル粒子。 【請求項10】 (a)分子中に平均1より多くの1,2-エポキシド基を含むエポキシ樹脂またはエポキシ樹脂混合物、 (b)T_(G )値<0℃をもつエラストマーからなるコアと、その上にグラフトされている、架橋コポリマーのシェルとからなり、該シェルのコポリマーにおける架橋成分の割合が、該シェルコポリマー中のコモノマーの総量に基づいて5ないし90重量%であるコア/シェル粒子、および(c)エポキシ樹脂成分(a)のための硬化剤または硬化触媒からなるエポキシ樹脂組成物。」 なお、上記式Iで表される構造式とその説明は以下省略し「式I」とのみ記す。 B2「【0020】新規なコア/シェル粒子において、シェルの量はコア/シェル粒子に基づいて一般に90-20重量%、好ましくは80ないし20重量%、特に70ないし30重量%である。」 B3「【0062】新規なエポキシ樹脂組成物は注型樹脂、積層樹脂、接着剤、成型材料、塗料組成物として、さらに電気部品および電子部品のための封入系として好適である。好ましくは封入系または塗料組成物、ならびに注型樹脂および積層樹脂または接着剤である。」 B4「【0071】 【実施例】本発明を以下の実施例でさらに詳細に説明する。 以下の実施例では、使用する物質に関して以下の略称を使用する。 ┌─────────────────┬───────┐ │ポリブタジエンラテックス │ PBdL │ │n-ブチルアクリレート │ BA │ │メチレンメタクリレート │ MMA │ │アクリロニトリル │ AN │ │グリシジルメタクリレート │ GMA │ │エチレングリコールジメタクリレート│ EGDMA │ │第三ドデシルメルカプタン │ t-DM │ │過硫酸アンモニウム │ APS │ │ドデシル硫酸ナトリウム │ SDS │ │1-メチルイミダゾール │ Melm │ │ベンジルジメチルアミン │ BDMA │ │石英粉 │ QP │ │脱イオン水 │ DW │ └─────────────────┴───────┘ ・・・ 【0073】実施例B:実施例Aと同様にして、下記に示すモノマー混合物および開始剤/乳化剤溶液をPBdL51.2gおよびDW98.8gの混合物に計り入れる。添加後、混合物を80℃でさらに6時間攪拌して重合させる。 固形分:26.8重量% シェル中の架橋成分の割合:15重量% ┌────────────────┬───────────────┐ │ モノマー混合物 │ 開始剤/乳化剤溶液 │ ├──────────┬─────┼─────────┬─────┤ │MMA │ 21g│ APS │0.15g│ │EGDMA │ 4.5g│ SDS │ 0.5g│ │ビソマーPPM6E* │ 4.5g│ DW │ 30g│ │t-DM │0.15g│ │ │ └──────────┴─────┴─────────┴─────┘ *) ビソマー(Bisomer) PPM6Eは平均6プロピレングリコール単位を含むポリプロピレングリコールモノメタクリレートであり、ブリティッシュペトローム社(British Petroleum)から入手できる。 ・・・ 【0080】実施例I:DW70g、BA19.6g、EGDMA0.4g、SDS0.05gおよびAPS0.1gを窒素下でガラスアンカースターラー、温度計、ガス連結部および2つの計測連結部を備える350mlスルホン化フラスコ中に窒素下で導入する。混合物を攪拌しおよび70℃(内部温度)に加熱する。0.5時後、以下に示すコアモノマー混合物および開始剤/乳化剤溶液を1時間10分かけて計り入れ、この添加後、以下に示すシェルモノマー混合物および乳化剤溶液を1時間かけて計り入れる。0.5時間後、DW1g中のAPS0.03gの溶液を添加する。1時間後、別のDW1g中のAPS0.03gの溶液を添加する。混合物を70℃でさらに2時間攪拌して重合させる。次にこのエマルジョンを室温に冷却しおよびろ紙によりろ過する。固形分37.5重量%および粒径0.2-0.7μmをもちそしてシェルポリマーのモノマーの量に基づいてシェルポリマーの架橋成分6重量%の割合をもつ得られたエマルジョンポリマーは強化剤として使用される。 ┌────────────────┬───────────────┐ │ コアモノマー混合物 │ 乳化剤溶液 │ ├──────────┬─────┼─────────┬─────┤ │BA │58.8g│ SDS │0.75g│ │EGDMA │ 1.2g│ DW │ 84g│ ├──────────┴─────┼─────────┴─────┐ │ シェルモノマー混合物 │ 乳化剤溶液 │ ├──────────┬─────┼─────────┬─────┤ │MMA │63.2g│ SDS │0.75g│ │EGDMA │ 4.8g│ DW │ 84g│ │ビソマーPPM6E │ 12g│ │ │ └──────────┴─────┴─────────┴─────┘ 」 (3)刊行物に記載された発明 A.刊行物Aに記載された発明 摘示A1の記載からみて、刊行物Aには以下の発明(以下「刊行物A発明」という。)が記載されている。 「ガラス転移温度-30℃以下の(メタ)アクリレート系重合体から成るコア20?80重量%とガラス転移温度70℃以上の架橋性単量体単位を含有する(メタ)アクリレート系重合体から成るシェル80?20重量%とから構成された重量平均粒子径が0.1?3.0μmのコアを用いて得られるコアシェル型粉末状重合体において、 コアシェル型粉末状重合体が、ガラス転移温度-30℃以下の(メタ)アクリレート系重合体から成るコアに(メタ)アクリレート系単量体及び単量体全重量に基づき0.01?10重量%の架橋性単量体を用いてグラフト共重合させ、ガラス転移温度70℃以上の架橋性単量体単位を含有する(メタ)アクリレート系重合体から成る平均厚さ50Å以上のシェルを形成させたものである コアシェル型粉末状重合体。」 B.刊行物Bに記載された発明 摘示B1及びB2の記載からみて、刊行物Bには以下の発明(以下「刊行物B発明」という。)が記載されている。 「T_(G )値<0℃をもつエラストマーからなるコアと、その上にグラフトされている、架橋コポリマーのシェルとからなるコア/シェル粒子であって、 前記コアがポリブタジエンまたはポリ(メタ)アクリレートからなり、 前記コアの量が、前記コア/シェル粒子に基づいて20ないし80重量%であり、 コア/シェル粒子において、シェルの量はコア/シェル粒子に基づいて80ないし20重量%であり、 前記シェルのコポリマーの架橋成分の割合が前記シェルポリマーのコモノマーの総量に基づいて6ないし60重量%であり、 前記シェルが(メタ)アクリル酸ビニルモノマー、(メタ)アクリレート、式Iで表されるポリエチレングリコールもしくはポリプロピレングリコールから誘導された(メタ)アクリレート、スチレン、アクリロニトリルまたはグリシジル(メタ)アクリレートをベースとする架橋コポリマーである、 コア/シェル粒子。」 (4)対比・判断 A.刊行物A発明との対比・判断 (A-1)補正発明1について 補正発明1と刊行物A発明とを比較する。 刊行物A発明における「ガラス転移温度-30℃以下の(メタ)アクリレート系重合体」は、補正発明1における「Fox式で求めたガラス転移温度が0℃以下の(メタ)アクリル酸エステル系重合体(A)」に相当する。 刊行物A発明における「ガラス転移温度70℃以上の架橋性単量体単位を含有する(メタ)アクリレート系重合体」は、補正発明1における「(メタ)アクリル酸エステル単量体を含有する単量体混合物(B)」及び「単量体混合物(B)を重合して得られる重合体の、Fox式で求めたガラス転移温度が0℃を超え」に相当する。 刊行物A発明における、「コアシェル型粉末状重合体が、ガラス転移温度-30℃以下の(メタ)アクリレート系重合体から成るコアに(メタ)アクリレート系単量体及び架橋性単量体を用いてグラフト共重合させ」は、補正発明1における「Fox式で求めたガラス転移温度が0℃以下の(メタ)アクリル酸エステル系重合体(A)の存在下に、(メタ)アクリル酸エステル単量体を含有する単量体混合物(B)を重合して得られるグラフト共重合体」に相当し、上記から、刊行物A発明における、「コア」「シェル」は、それぞれ補正発明1における「(メタ)アクリル酸エステル系重合体(A)」「単量体混合物(B)を重合して得られるグラフト部」に相当する。 また、刊行物A発明における、「コア20?80重量%」と「シェル80?20重量%」は、補正発明1における「重合体(A)が66?95質量%」「単量体混合物(B)を重合して得られるグラフト部が5?34質量%」(但し、重合体(A)と、単量体混合物(B)を重合して得られるグラフト部の合計を100質量%とする)と重複一致する。 そして、上記「2.」「2-1」に記載のとおり、用途限定を含む化合物は、用途限定のない化合物そのものであると解される。そうすると、刊行物A発明における、「コアシェル型粉末状重合体」は、グラフト共重合体であるから、補正発明1における「半導体封止材用樹脂組成物用のグラフト共重合体」に相当する。 以上をまとめると、補正発明1と刊行物A発明との一致点及び相違点は次のとおりである。 〔一致点〕 Fox式で求めたガラス転移温度が0℃以下の(メタ)アクリル酸エステル系重合体(A)の存在下に、(メタ)アクリル酸エステル単量体を含有する単量体混合物(B)を重合して得られる半導体封止材用樹脂組成物用のグラフト共重合体において、 単量体混合物(B)を重合して得られる重合体の、Fox式で求めたガラス転移温度が0℃を超え、 重合体(A)が66?95質量%であり、単量体混合物(B)を重合して得られるグラフト部が5?34質量%(但し、重合体(A)と、単量体混合物(B)を重合して得られるグラフト部の合計を100質量%とする)であることを特徴とする半導体封止材用樹脂組成物用のグラフト共重合体。 〔相違点A〕 補正発明1において、単量体混合物(B)が「架橋性単量体を1.0mol%以上11.0mol%以下(但し、(B)を100mol%とする)含有」すると特定しているのに対し、刊行物A発明において「単量体全重量に基づき0.01?10重量%の架橋性単量体」と特定している点。 上記相違点Aについて検討する。 刊行物A発明が、架橋性単量体の割合を重量で規定していることから、重量による記載を補正発明1と同様にmol%に換算する。ここで、刊行物Aには、単量体と架橋性単量体として複数の化合物が記載されているところ、それらの代表例として実施例で用いられているメチルメタクリレート(以下「MMA」と記す。)とトリメリット酸トリアリル(以下「TTA」と記す。)とを対象とすると、刊行物A発明における重量割合の規定から、MMA90?99.99重量%とTTA10?0.01重量%で用いることとなり、それらの分子量はMMAが100でありTTAが330.33であることから、刊行物A発明における、「単量体全重量に基づき0.01?10重量%の架橋性単量体」は、「単量体全重量に基づき0.003(=100*0.01/330.33/(0.01/330.33+99.99/100))?3.25(=100*10/330.33/(10/330.33+90/100))mol%の架橋性単量体」となり、補正発明1における「架橋性単量体を1.0mol%以上11.0mol%以下(但し、(B)を100mol%とする)含有」と重複一致していることから、この点は実質的な相違点ではない。 よって、補正発明1と刊行物A発明との間に差異はない。 (A-2)補正発明2について 補正発明2と補正発明1とは、補正発明1における用途限定の「半導体封止材用」なる事項を「接着剤用」としている点でのみ相違している。そうすると、上記「(A-1)補正発明1について」で述べたとおり、化合物自体の発明において、用途限定の有無が相違点とはならないから、補正発明2と刊行物A発明との間に差異はない。 B.刊行物B発明との対比・判断 (B-1)補正発明1について 補正発明1と刊行物B発明とを比較する。 刊行物B発明における「T_(G )値<0℃をもつエラストマーからなるコア」「コアがポリブタジエンまたはポリ(メタ)アクリレートからなり」は、それぞれ補正発明1における「Fox式で求めたガラス転移温度が0℃以下の重合体(A)」「(メタ)アクリル酸エステル系重合体(A)」に相当する。 刊行物B発明における「前記シェルが(メタ)アクリル酸ビニルモノマー、(メタ)アクリレート、式Iで表されるポリエチレングリコールもしくはポリプロピレングリコールから誘導された(メタ)アクリレート、スチレン、アクリロニトリルまたはグリシジル(メタ)アクリレートをベースとする」は、補正発明1における「(メタ)アクリル酸エステル単量体を含有する単量体混合物(B)」に相当する。 上記(A)成分、(B)成分との関係から、刊行物B発明における、「T_(G )値<0℃をもつエラストマーからなるコアと、その上にグラフトされている、架橋コポリマーのシェルとからなるコア/シェル粒子」は、補正発明1における「Fox式で求めたガラス転移温度が0℃以下の(メタ)アクリル酸エステル系重合体(A))の存在下に、(メタ)アクリル酸エステル単量体を含有する単量体混合物(B)を重合して得られるグラフト共重合体」に相当し、上記から、刊行物B発明における、「コア」「シェル」は、それぞれ補正発明1における「(メタ)アクリル酸エステル系重合体(A)」「単量体混合物(B)を重合して得られるグラフト部」に相当する。 また、刊行物B発明における、「コア20?80重量%」と「シェル80?20重量%」は、補正発明1における「重合体(A)が66?95質量%」「単量体混合物(B)を重合して得られるグラフト部が5?34質量%」(但し、重合体(A)と、単量体混合物(B)を重合して得られるグラフト部の合計を100質量%とする)と重複一致する。 そして、上記「2.」「2-1」に記載のとおり、用途限定を含む化合物は、用途限定のない化合物そのものであると解される。そうすると、刊行物B発明における、「コア/シェル粒子」は、グラフト共重合体であるから、補正発明1における「半導体封止材用樹脂組成物用のグラフト共重合体」に相当する。 以上をまとめると、補正発明1と刊行物B発明との一致点及び相違点は次のとおりである。 〔一致点〕 Fox式で求めたガラス転移温度が0℃以下の(メタ)アクリル酸エステル系重合体(A)の存在下に、(メタ)アクリル酸エステル単量体を含有する単量体混合物(B)を重合して得られる半導体封止材用樹脂組成物用のグラフト共重合体において、 重合体(A)が66?95質量%であり、単量体混合物(B)を重合して得られるグラフト部が5?34質量%(但し、重合体(A)と、単量体混合物(B)を重合して得られるグラフト部の合計を100質量%とする)であることを特徴とする半導体封止材用樹脂組成物用のグラフト共重合体。 〔相違点B1〕 補正発明1において、「単量体混合物(B)を重合して得られる重合体の、Fox式で求めたガラス転移温度が0℃を超え」ると特定しているのに対し、刊行物B発明においてそのような特定がない点。 〔相違点B2〕 補正発明1において「架橋性単量体を1.0mol%以上11.0mol%以下(但し、(B)を100mol%とする)含有」すると特定しているのに対し、刊行物B発明は「シェルのコポリマーの架橋成分の割合が前記シェルポリマーのコモノマーの総量に基づいて6ないし60重量%」と特定している点。 上記相違点B1、2について検討する。 〔相違点B1〕について 刊行物Bには、シェルモノマー混合物として、MMA;63.2g、EGDMA;4.8g、ビソマーPPM6E;12gを用いることが記載(摘示B4)されている。ここで、本願の明細書段落【0022】の記載から、上記モノマー混合物から架橋性単量体であるEGDMAを除いたモノマー混合物を以下「混合物B」という。また、Fox式は下記のとおり表される。 1/T_(g)=W_(1)/T_(g1)+W_(2)/T_(g2)+・・W_(i)/T_(gi)+・・+W_(n)/T_(gn )(上記Fox式は、n種の単量体からなる重合体を構成する各モノマーのホモポリマーのガラス転移温度をT_(gi)(K)とし、各モノマーの質量分率をW_(i)、としており、W_(1)+W_(2)+・・+W_(i)・・+W_(n)=1である。) 上記式から、共重合成分の質量分率が変わらないなら、各モノマーのホモポリマーのT_(i)が低いほど、Fox式で求められるT_(g)は低くなることがわかる。ここで、混合物Bの配合割合においてT_(g)が0℃となるMMAのコモノマーのT_(g)を計算すると、MMAのT_(g)は378(K)であるから、 1/273=63.2/75.2*1/378+12/75.2*1/T_(g)から、T_(g)=111(K)=-162(℃)となる。さらに、刊行物Bの段落【0002】には、コアがゴム様材料を含むコア/シェル粒子について、「シェルはコアよりガラス転移温度をもつ。代表的には、コアのガラス転移温度が<0℃であり、シェルのガラス転移温度が>25℃である」と記載されている。そうすると、Fox式で求めた混合物Bのガラス転移温度は0℃を超える蓋然性が高いといえることから、この点は実質的な相違点ではない。 〔相違点B2〕について 刊行物B発明が、架橋性単量体の割合を重量で規定していることから、重量による記載を補正発明1と同様にmol%に換算する。ここで、刊行物Bには、混合物Bが記載されていることから、混合物Bを対象とすると、MMA;63.2g、EGDMA;4.8g、ビソマーPPM6E;12gを用いることとなり、それらの分子量はMMAが100であり、EGDMAが130であり、ビソマーPPM6Eが434であることから、刊行物A発明における、架橋性単量体EGDMAは、単量体全重量に基づき5.3(=100*4.8/130/(4.8/130+63.2/100+12/434))mol%となり、補正発明1における「架橋性単量体を1.0mol%以上11.0mol%以下(但し、(B)を100mol%とする)含有」と重複一致していることから、この点は実質的な相違点ではない。 よって、補正発明1と刊行物B発明との間に差異はない。 (B-2)補正発明2について 補正発明2と補正発明1とは、補正発明1における用途限定の「半導体封止材用」なる事項を「接着剤用」としている点でのみ相違している。そうすると、上記「(B-1)補正発明1について」で述べたとおり、化合物自体の発明において、用途限定の有無が相違点とはならないから、補正発明2と刊行物B発明との間に差異はない。 (5)請求人の主張について 請求人は、平成25年10月10日付回答書において、 「【請求項2】 Fox式で求めたガラス転移温度が0℃以下の(メタ)アクリル酸エステル系重合体(A)の存在下に、(メタ)アクリル酸エステル単量体を含有する単量体混合物(B)を重合して得られる接着剤用樹脂組成物用のグラフト共重合体において、 単量体混合物(B)を重合して得られる重合体の、Fox式で求めたガラス転移温度が0℃を超え、 単量体混合物(B)が架橋性単量体を1.0mol%以上11.0mol%以下(但し、(B)を100mol%とする)含有し、 重合体(A)が66?95質量%であり、単量体混合物(B)を重合して得られるグラフト部が5?34質量%(但し、重合体(A)と、単量体混合物(B)を重合して得られるグラフト部の合計を100質量%とする)であることを特徴とする接着剤用樹脂組成物用のグラフト共重合体とエポキシ樹脂を含有する接着剤用エポキシ樹脂組成物。」 とする補正案を提示している。 しかし、刊行物Aには、コアシェル型粉末状重合体をエポキシ樹脂に配合する記載(摘示A1)があり、刊行物A発明は接着性組成物であること、及び、刊行物Aには接着剤にも使用可能であるとの記載(摘示A2)があること、刊行物Bには、コア/シェル粒子をエポキシ樹脂に配合する記載(摘示B1)があり、刊行物Bには接着剤にも使用可能であるとの記載(摘示B3)があることからすると、上記補正案で提示している発明は、刊行物A発明又は刊行物B発明と相違するものではないから、上記補正案を採用することはできない。 (6)まとめ したがって、補正発明は、刊行物Aに記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。よって、本件補正は特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 第3.本願発明について 1.本願発明 本件補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1-5に係る発明は、平成24年10月16日提出の手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1-5に記載された事項により特定されるものであるところ、その請求項1及び2に係る発明(以下、「本願発明1」及び「本願発明2」といい、まとめて「本願発明」という場合がある。)は、次のとおりのものである。 「【請求項1】 Fox式で求めたガラス転移温度が0℃以下の(メタ)アクリル酸エステル系重合体(A)の存在下に、(メタ)アクリル酸エステル単量体を含有する単量体混合物(B)を重合して得られる半導体封止材用グラフト共重合体において、 単量体混合物(B)を重合して得られる重合体の、Fox式で求めたガラス転移温度が0℃を超え、 単量体混合物(B)が架橋性単量体を1.0mol%以上11.0mol%以下(但し、(B)を100mol%とする)含有し、 重合体(A)が66?95質量%であり、単量体混合物(B)を重合して得られるグラフト部が5?34質量%(但し、重合体(A)と、単量体混合物(B)を重合して得られるグラフト部の合計を100質量%とする)であることを特徴とする半導体封止材用グラフト共重合体。 【請求項2】 Fox式で求めたガラス転移温度が0℃以下の(メタ)アクリル酸エステル系重合体(A)の存在下に、(メタ)アクリル酸エステル単量体を含有する単量体混合物(B)を重合して得られる接着剤用グラフト共重合体において、 単量体混合物(B)を重合して得られる重合体の、Fox式で求めたガラス転移温度が0℃を超え、 単量体混合物(B)が架橋性単量体を1.0mol%以上11.0mol%以下(但し、(B)を100mol%とする)含有し、 重合体(A)が66?95質量%であり、単量体混合物(B)を重合して得られるグラフト部が5?34質量%(但し、重合体(A)と、単量体混合物(B)を重合して得られるグラフト部の合計を100質量%とする)であることを特徴とする接着剤用グラフト共重合体。」 2.原査定の拒絶の理由の概要 原査定の拒絶の理由とされた平成24年7月17日付け拒絶理由通知書に記載した理由1の概要は、 この出願の本願発明1-5は、その出願日前に日本国内又は外国において頒布された下記引用例1又は2に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。 引用例1:特開平5- 65391号公報 引用例2:特開平9-176455号公報 というものを含むものである。 3.当審の判断 (1)引用例の記載事項 A.引用例1の記載事項 引用例1は、前記「第2.」「2.」「2-2」「(2)」の刊行物Aと同じであるから、前記「第2.」「2.」「2-2」「(2)」「A.」に記載した事項が記載されている。 B.引用例2の記載事項 引用例2は、前記「第2.」「2.」「2-2」「(2)」の刊行物Bと同じであるから、前記「第2.」「2.」「2-2」「(2)」「B.」に記載した事項が記載されている。 (2)引用例に記載された発明 A.引用例1に記載された発明 引用例1には、前記「第2.」「2.」「2-2」「(3)」「A.」に記載したとおりの発明が記載されている。 B.引用例2に記載された発明 引用例2には、前記「第2.」「2.」「2-2」「(3)」「B.」に記載したとおりの発明が記載されている。 (3)対比・判断 A.本願発明1、2と引用例1に記載の発明との対比・判断 本願発明1と補正発明1とは、化合物自体に関する発明であり、上記「第2.」「2.」「2-1」にも記載したとおり、両者に実質的な差異はないから、補正発明1が前記「第2.」「2.」「2-2」「(4)」「A.」「(A-1)」に記載したとおり、刊行物Aに記載された発明であるから、本願発明1もまた引用例1(刊行物Aと同じ)に記載された発明である。 また、本願発明2と補正発明2との関係は、本願発明1と補正発明1との間の関係と同じであるから、補正発明2が前記「第2.」「2.」「2-2」「(4)」「A.」「(A-2)」に記載したとおり、刊行物Aに記載された発明であるから、本願発明2もまた引用例1(刊行物Aと同じ)に記載された発明である。 B.本願発明1、2と引用例2に記載の発明との対比・判断 本願発明1と補正発明1とは、化合物自体に関する発明であり、上記「第2.」「2.」「2-1」にも記載したとおり、両者に実質的な差異はないから、補正発明1が前記「第2.」「2.」「2-2」「(4)」「B.」「(B-1)」に記載したとおり、刊行物Bに記載された発明であるから、本願発明1もまた引用例2(刊行物Bと同じ)に記載された発明である。 また、本願発明2と補正発明2との関係は、本願発明1と補正発明1との間の関係と同じであるから、補正発明2が前記「第2.」「2.」「2-2」「(4)」「B.」「(B-2)」に記載したとおり、刊行物Bに記載された発明であるから、本願発明2もまた引用例2(刊行物Bと同じ)に記載された発明である。 第4.むすび 以上のとおり、本願の請求項1及び2に係る発明は、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができないという原査定の理由は妥当なものであり、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願はこの理由により拒絶すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2013-11-22 |
結審通知日 | 2013-11-26 |
審決日 | 2013-12-09 |
出願番号 | 特願2008-8419(P2008-8419) |
審決分類 |
P
1
8・
113-
Z
(C08F)
P 1 8・ 572- Z (C08F) P 1 8・ 575- Z (C08F) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 阪野 誠司、川上 智昭 |
特許庁審判長 |
小野寺 務 |
特許庁審判官 |
加賀 直人 大島 祥吾 |
発明の名称 | グラフト共重合体、それを含有する樹脂組成物及び成形体 |
代理人 | 青木 篤 |
代理人 | 古賀 哲次 |
代理人 | 小林 直樹 |
代理人 | 出野 知 |
代理人 | 小林 良博 |
代理人 | 石田 敬 |