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審決分類 |
審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 取り消して特許、登録 C02F 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 C02F |
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管理番号 | 1284606 |
審判番号 | 不服2013-22144 |
総通号数 | 172 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2014-04-25 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2013-11-12 |
確定日 | 2014-02-25 |
事件の表示 | 特願2012- 34143「残留性有機汚染物質を含有する水の処理方法」拒絶査定不服審判事件〔平成24年 9月27日出願公開、特開2012-183531、請求項の数(7)〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本願は平成24年2月20日(優先権主張 平成23年2月18日)の出願であって、平成25年5月9日付けで拒絶理由が通知され、同年7月1日付けで意見書及び手続補正書が提出され、同年8月8日付けで拒絶査定がなされ、同年11月12日付けで拒絶査定不服審判の請求がなされると共に早期審理に関する事情説明書が提出され、これに対して、同年12月6日付けで当審より拒絶理由(以下、「当審拒絶理由」という。)が通知され、同年12月27日付けで手続補正書が提出されたものである。 第2 本願発明について 本願の請求項1-7に係る発明は、平成25年12月27日付け手続補正書によって補正された特許請求の範囲の請求項1-7に記載される事項によって特定される以下のとおりのものである。 (各請求項に係る発明を請求項の順に「本願発明1」「本願発明2」のように記載し、それらを総称して「本願発明」と記載する。) 「 【請求項1】 ベンゼンヘキサクロリド、ポリ塩化ビフェニル、及びダイオキシンからなる群から選択される少なくとも1種の残留性有機汚染物質を含有する水と、粉末活性炭と、炭酸カルシウム、消石灰、及び酸化マグネシウムを含む鉱物性吸着剤とを混合する吸着工程;及び 吸着工程で得られた混合物と、凝集剤とを混合する凝集工程; を含む水処理方法。 【請求項2】 残留性有機汚染物質がベンゼンヘキサクロリドである、請求項1に記載の水処理方法。 【請求項3】 残留性有機汚染物質がポリ塩化ビフェニル又はダイオキシンである、請求項1に記載の水処理方法。 【請求項4】 吸着工程においてポリ硫酸第二鉄を更に混合する、請求項1?3のいずれか1項に記載の水処理方法。 【請求項5】 凝集工程で得られた混合物を固体と液体とに分離する分離工程を含む、請求項1?4のいずれか1項に記載の水処理方法。 【請求項6】 ベンゼンヘキサクロリド、ポリ塩化ビフェニル、及びダイオキシンからなる群から選択される少なくとも1種の残留性有機汚染物質を含有する水と、粉末活性炭と、炭酸カルシウム、消石灰、及び酸化マグネシウムを含む鉱物性吸着剤とを混合する吸着工程;及び吸着工程で得られた混合物と、凝集剤とを混合する凝集工程;を含む水処理方法を実施するための水処理装置であって、 残留性有機汚染物質を含有する水を収容する第1容器と、 先端部が第1容器の内部に位置するように配設されている、粉末活性炭を投入する粉末活性炭投入手段と、 粉末活性炭投入手段の先端部に近設されている、残留性有機汚染物質を含有する水及び粉末活性炭を混合して第1混合物を形成する第1攪拌手段と、 を含む第1吸着槽; 第1混合物を収容する第2容器と、 先端部が第2容器の内部に位置するように配設されている、鉱物性吸着剤を投入する鉱物性吸着剤投入手段と、 鉱物性吸着剤投入手段の先端部に近設されている、第1混合物及び鉱物性吸着剤を混合して第2混合物を形成する第2攪拌手段と、 を含む第2吸着槽; 第1混合物を第1容器から第2容器へ輸送する第1輸送手段; 第2混合物を収容する第3容器と、 先端部が第3容器の内部に位置するように配設されている、凝集剤を投入する凝集剤投入手段と、 凝集剤投入手段の先端部に近設されている、第2混合物及び凝集剤を混合する第3攪拌手段と、 を含む凝集槽;並びに 第2混合物を第2容器から第3容器へ輸送する第2輸送手段; を備える前記装置。 【請求項7】 第1混合物の一部を、第1容器から粉末活性炭投入手段へ循環させ、粉末活性炭を第1容器に導入する、開閉自在に連通された第1循環手段;及び 第2混合物の一部を、第2容器から鉱物性吸着剤投入手段へ循環させ、鉱物性吸着剤を第2容器へ導入する、開閉自在に連通された第2循環手段; を更に備える、請求項6に記載の水処理装置。」 第3 拒絶理由の概要 1.原査定の理由の概要 原査定の理由は、請求項1-9に係る発明(本願発明1-5に対応するものを含む)は下記の引用文献1に記載された発明に基づいて当業者が容易に想到し得たものであるから特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない、とするものである。 引用文献1:特開2007-14870号公報 2.当審拒絶理由の概要 当審拒絶理由の概要は、特許請求の範囲の請求項1-11に記載した発明(本願発明1-7に対応するものを含む)は、本願明細書に記載の課題が達成されるものでないから、特許請求の範囲の記載が特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない、というものである。 第4 刊行物の記載 原査定の拒絶の理由に引用文献1として引用された特開2007-14870号公報には、次の事項が記載されている。 (1-ア)「【請求項1】 廃棄物焼却炉の解体時に排出される汚水に、浮遊物質量に応じて、 粉末活性炭、Y型又はX型ゼオライトを添加し、 さらにゼオライト凝集剤を混合し、 上記添加及び混合を1バッチで処理することを特徴とするダイオキシン類除去法。」(【特許請求の範囲】) (1-イ)「【請求項2】 上記ゼオライト凝集剤が、Na-P1型ゼオライトを塩化カルシウム飽和液で処理したCa型ゼオライト、硫酸バンド及び水酸化カルシウム及びポリアクリルアミドアニオン系高分子凝集剤からなる請求項1記載のダイオキシン類除去法。」(【特許請求の範囲】) (1-ウ)「焼却炉の燃焼過程において有機塩素化合物からダイオキシン類が生成する。焼却炉解体に際しては炉壁、煙道に付着する灰にダイオキシン類や重金属類が残留している。焼却炉の解体は、汚染除去作業時に発生する発塵防止のため高圧水による洗浄で焼却炉設備内の付着物を除去し、その際にダイオキシン類を含む排水(汚水)が排出される。」(【0009】) (1-エ)「さらに上記活性炭および上記凝集剤が汚水中の浮遊物質を凝集して低減する。」(【0011】) (1-オ)「本発明は上述の除去法及び除去剤によったもので、ダイオキシン類とY型ゼオライト及び又はX型ゼオライトとの接触面積が大で、ダイオキシン類及び重金属の吸着能を増加し、かつダイオキシン類及び重金属を1バッチ(1工程)で処理することができ、急速沈降による固液分離後の液分のみフィルター処理し、処理時間の短縮と装置の簡略化を実現することができる。」(【0013】) (1-カ)「上記ゼオライト凝集剤はNa-P1型ゼオライトを塩化カルシウム飽和液で処理したCa型ゼオライト20重量%、硫酸バンド60重量%、水酸化カルシウム19重量%及びポリアクリルアミドアニオン系高分子凝集剤1.0重量%よりなり、 添加混合順序は上記粉末活性炭、Y型もしくはX型ゼオライト、上記ゼオライト凝集剤の順序であって、 上記添加混合によって上記汚水は1個のバッチ内において攪拌、静止により自然沈降固液分離する。」(【0019】) (1-キ)「【実施例1】 以下に実施例を上げて本発明を具体的に説明する。焼却炉飛灰排水を懸濁濃度約1000mg/lに調整する。この排水にまず、活性炭を2000mg/l添加して30分攪拌、攪拌後Y型もしくはX型またはフライアッシュから生成するY型もしくX型ゼオライトを2000mg/l添加して30分攪拌、その後ゼオライト凝集剤を500mg/l添加して30分攪拌したのち30分間静沈して固液分離する。静沈後0.45μmの高分子フィルターで分離液分を濾過処理する。」(【0024】) 第5 審判合議体の判断 5-1.原査定の理由について 5-1-1.本願発明1について (1)引用文献1に記載された発明の認定 i)引用文献1の摘示事項(1-ア)(以下、単に「(1-ア)」のように記す。)の記載から、引用文献1には、 「廃棄物焼却炉の解体時に排出される汚水に、浮遊物質量に応じて、 粉末活性炭、Y型又はX型ゼオライトを添加し、 さらにゼオライト凝集剤を混合し、 上記添加及び混合を1バッチで処理するダイオキシン類除去法。」について記載されている。 ii)(1-ウ)には、「廃棄物焼却炉の解体時に排出される汚水」には「ダイオキシン類や重金属類」が含まれることが示されており、「廃棄物焼却炉の解体時に排出される汚水」は「ダイオキシン類を含む排水(汚水)」ということができる。 iii)(1-オ)には、「本発明は上述の除去法及び除去剤によったもので、ダイオキシン類とY型ゼオライト及び又はX型ゼオライトとの接触面積が大で、ダイオキシン類及び重金属の吸着能を増加し」と記載されるから、「Y型又はX型ゼオライト」は「ダイオキシン類」を吸着するといえる。 また、(1-エ)には「凝集剤が汚水中の浮遊物質を凝集」することが記載されており、「ゼオライト凝集剤」は「凝集」作用を行うものといえる。 iv)(1-カ)には、「添加混合順序は上記粉末活性炭、Y型もしくはX型ゼオライト、上記ゼオライト凝集剤の順序であ」ることが記載されている。そして、(1-キ)には「排水にまず、活性炭を2000mg/l添加して30分攪拌、攪拌後Y型もしくはX型またはフライアッシュから生成するY型もしくX型ゼオライトを2000mg/l添加して30分攪拌、その後ゼオライト凝集剤を500mg/l添加して30分攪拌した」と記載されており、「粉末活性炭」、「Y型もしくはX型ゼオライト」、「ゼオライト凝集剤」は、それぞれ「添加」した後で「30分撹拌」されており、それらは十分に「排水」に「混合」されているものといえる。 よって、上記「ダイオキシン類除去法」では、「ダイオキシン類を含む排水(汚水)」に、「粉末活性炭」、「Y型もしくはX型ゼオライト」を先に「添加混合」し、その後に「ゼオライト凝集剤」を「添加混合」するものであるといえる。 v)「添加及び混合を1バッチで処理する」は「粉末活性炭、Y型又はX型ゼオライトを添加」混合することと「ゼオライト凝集剤」を添加「混合」することを「1バッチで処理する」ことといえる。 vi)以上で検討したことを本願発明1の記載に沿って整理すると、引用文献1には、 「ダイオキシン類を含む排水(汚水)に、浮遊物質量に応じて、 粉末活性炭、ダイオキシン類を吸着するY型又はX型ゼオライトを添加混合し、その後に、凝集作用を行うゼオライト凝集剤を添加混合し、 これらの添加混合を1バッチで処理するダイオキシン類除去法。」の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。 (2)本願発明1と引用発明との対比 i)引用発明の「ダイオキシン類を含む排水(汚水)」と本願発明1の「ベンゼンヘキサクロリド、ポリ塩化ビフェニル、及びダイオキシンからなる群から選択される少なくとも1種の残留性有機汚染物質を含有する水」とは、「ダイオキシンを含む排水(汚水)」である点で共通する。 ii)引用発明は「ダイオキシン類を含む排水(汚水)」から「ダイオキシン類」を「除去する」ことで水処理を行うものだから、引用発明の「ダイオキシン類除去法」は本願発明1の「水処理方法」に相当するといえる。 iii)引用発明の「粉末活性炭」は、本願発明1の「粉末活性炭」に相当する。 iv)本願発明1の「炭酸カルシウム、消石灰、及び酸化マグネシウムを含む鉱物性吸着剤」は、「ベンゼンヘキサクロリド、ポリ塩化ビフェニル、及びダイオキシンからなる群から選択される少なくとも1種の残留性有機汚染物質を含有する水」に対して「吸着剤」として用いられるものであるのに対して、引用発明の「ダイオキシン類を吸着するY型又はX型ゼオライト」は「ダイオキシン類を含む排水(汚水)」中から「ダイオキシン類を吸着する」ものだから、両者は「吸着剤」である点で共通するといえる。 v)引用発明では、「ダイオキシン類を含む排水(汚水)」に、「粉末活性炭」と「ダイオキシン類を吸着するY型又はX型ゼオライト」とを先に「添加混合」し、その後に、「凝集作用を行うゼオライト凝集剤」を「添加混合」しており、前者の「添加混合」は、「ダイオキシン類を吸着」するから本願発明1の「吸着工程」にあたり、後者の「添加混合」は、前者の添加混合で得られた混合物に、上記「ゼオライト凝集剤」を「添加混合」するもので、「ゼオライト凝集剤」が「凝集作用」を行うから、本願発明1の「吸着工程で得られた混合物と、凝集剤とを混合する凝集工程」にあたるといえる。 vi)本願発明1は「粉末活性炭」、「鉱物性吸着剤」、「凝集剤」の添加を複数バッチに分けて行うことを特定しないから、本願発明1は「粉末活性炭」、「鉱物性吸着剤」、「凝集剤」を1バッチで添加することも包含するといえる。 vii)以上のことを整理すれば、本願発明1と引用発明とは、 「ダイオキシンを含む排水(汚水)と、粉末活性炭と、吸着剤とを混合する吸着工程;及び 吸着工程で得られた混合物と、凝集剤とを混合する凝集工程; を含む水処理方法。」である点で一致し、以下の点で相違する。 <相違点>「吸着剤」について、本願発明1では「ベンゼンヘキサクロリド、ポリ塩化ビフェニル、及びダイオキシンからなる群から選択される少なくとも1種の残留性有機汚染物質を含有する水」に対して用いられる「炭酸カルシウム、消石灰、及び酸化マグネシウムを含む鉱物性吸着剤」であるのに対して、引用発明では「ダイオキシン類を吸着するY型又はX型ゼオライト」である点。 (3)相違点の検討 上記相違点に係る本願発明1の特定事項である「ベンゼンヘキサクロリド、ポリ塩化ビフェニル、及びダイオキシンからなる群から選択される少なくとも1種の残留性有機汚染物質を含有する水」に対して用いられる「炭酸カルシウム、消石灰、及び酸化マグネシウムを含む鉱物性吸着剤」について、原査定の拒絶の理由に引用された周知文献について検討する。 i)原査定の拒絶の理由に周知文献として引用された特開2001-259685号公報(以下、「周知例1」という。)には、上記相違点に関連する箇所として以下の記載がされている。 「【従来の技術】従来水に含まれたダイオキシンの分離方法としては活性炭又はゼオライトによる吸着方法が提案されている。」(【0002】) 上記の記載は「ダイオキシン」を「活性炭又はゼオライト」が吸着できるということを示すのみで、上記相違点に係る本願発明1の特定事項については記載も示唆も認められない。 ii)原査定の拒絶の理由に周知文献として引用された特開平4-180884号公報(以下、「周知例2」という。)には、上記相違点に関連する箇所として以下の記載がされている。 ア)「2.石灰粉粒体、ゼオライト粉粒体および活性炭粉粒体の少なくとも2種以上を湖沼、河川、海域等の水域に散布し、または該水域中の水と流動接触せしめ、該水域中の有機物、リン酸、硫化物、アンモニア、色度として測定される物質等の水質汚濁原因物質を低減させることを特徴とする水質および底質の改善方法。」(2.特許請求の範囲) イ)「本発明で用いられる石灰粉粒体としては、酸化カルシウム、炭酸カルシウム、水酸化カルシウム等の他、ドロマイト石灰のような石灰複合物も使用できる。・・・石灰粉粒体、ゼオライト粉粒体および活性炭粉粒体は、少なくとも2種以上が併用され・・・使用される。」(2頁左上欄11行-同頁右上欄5行) ウ)「石炭(当審注:「石灰」の誤記と認める。以下、「石灰」と記す。)、ゼオライトおよび活性炭は、それぞれ単独で特徴ある作用効果を有しているが、これらの混合物からなる難溶性の被膜は、それぞれの欠点を補完しながら、複合化による相剰作用により、水中の有機物、リン酸、硫化物、アンモニア、色度成分等を吸着、保持し、これら水質汚濁原因物質の多くを一度に除去する。」(2頁右上欄18行-同頁左下欄5行) 上記ア)には「石灰粉粒体、ゼオライト粉粒体および活性炭粉粒体の少なくとも2種以上」の物質が「水質汚濁原因物質を低減させる」ことが示されており、上記イ)には「石灰粉粒体としては、・・・炭酸カルシウム、水酸化カルシウム」を使用できることが示され、これは本願発明1の「炭酸カルシウム、消石灰、及び酸化マグネシウムを含む鉱物性吸着剤」の成分と一部共通する。 しかしながら、上記ウ)に記載されるように、「石灰、ゼオライトおよび活性炭」は「水中の有機物、リン酸、硫化物、アンモニア、色度成分等を吸着、保持」して「これら水質汚濁原因物質の多くを一度に除去する」もので、「吸着、保持」して「除去」される成分は「水中の有機物、リン酸、硫化物、アンモニア、色度成分等」であって、「ベンゼンヘキサクロリド、ポリ塩化ビフェニル、及びダイオキシンからなる群から選択される少なくとも1種の残留性有機汚染物質」は想定されていない。 よって、周知例2には、上記相違点に係る本願発明1の特定事項である「ベンゼンヘキサクロリド、ポリ塩化ビフェニル、及びダイオキシンからなる群から選択される少なくとも1種の残留性有機汚染物質を含有する水」に対して用いられる「炭酸カルシウム、消石灰、及び酸化マグネシウムを含む鉱物性吸着剤」について示されているものとはいえない。 なお、原査定の拒絶の理由に補足の文献として記載された特開平10-309584号公報(以下、「補足文献」という。)には、上記相違点に関連する箇所である【請求項1】、【0022】には、「陽イオン交換容量の高い天然ゼオライト微粉末と、アルカリ土類金属の化合物塩を配合してなる処理剤」の「アルカリ土類金属の化合物塩」として「Ca(OH)_(2)(消石灰)」、「CaCO_(3) (炭酸カルシウム)」、「MgO(酸化マグネシム)」を用い得ることが示されるが、、【0027】には上記「処理材」の吸着する対象となる「処理対象水」中の成分は「窒素成分、リン成分又は重金属類」であることが示され、「ベンゼンヘキサクロリド、ポリ塩化ビフェニル、及びダイオキシンからなる群から選択される少なくとも1種の残留性有機汚染物質」は想定されていないから、上記相違点に係る本願発明1の特定事項について示されているものとはいえない。 iii)以上から、周知例1、2には上記相違点に係る本願発明1の特定事項について示されているものとはいえないし、補足文献についても同様である。 さらに、上記相違点に係る本願発明1の特定事項について、当業者にとって技術常識から自明な事項であるとも認められない。 そして、上記相違点に係る本願発明1の特定事項により、「粉末活性炭に吸着され」た「汚染水」中の「残留性有機汚染物質」は、上記の「鉱物性吸着剤を混合することにより凝集力の弱い粉末活性炭が凝集力の強い鉱物性吸着剤に吸着される」ことで「吸着効果をより向上させることができる」(本願明細書【0013】)という効果が奏されるものといえる。 したがって、上記相違点に係る本願発明1の特定事項は、当業者が容易に想到し得るものであるとすることはできない。 (4)小括 以上から、本願発明1は、引用発明、上記周知例1、2に記載された技術手段及び技術常識に基づいて当業者が容易に想到し得たものであるということはできない。 さらに上記補足文献に記載された技術手段まで考慮しても同様である。 よって、本願発明1は拒絶理由を有しない。 5-1-2.本願発明2-5について 本願発明2-5は、いずれも結果的に請求項1の記載を引用し、本願発明1の特定事項を有しているので、本願発明1が上記のように拒絶理由を有するものではないから、本願発明2-5も拒絶理由を有するものでない。 なお、本願発明6、7についても、本願発明1の上記相違点に係る特定事項と同一の特定事項を有するので、拒絶理由を有するものでない。 5-2.当審拒絶理由について 平成25年12月27日付け手続補正書によって、特許請求の範囲の請求項の記載は、除去対象である「残留性有機汚染物質」が特定され、「凝集工程」が付加されたので、請求項に記載された発明は、発明の詳細な説明に記載された課題が解決されるものとなった。 よって、本願発明は、サポート要件を満足するものとなり、当審拒絶理由は解消した。 第6 むすび 以上のとおりであるから、本願については、原査定の拒絶理由及び当審拒絶理由を検討しても、それらの理由によって拒絶すべきものとすることはできない。 また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審決日 | 2014-02-07 |
出願番号 | 特願2012-34143(P2012-34143) |
審決分類 |
P
1
8・
537-
WY
(C02F)
P 1 8・ 121- WY (C02F) |
最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 片山 真紀 |
特許庁審判長 |
吉水 純子 |
特許庁審判官 |
中澤 登 川端 修 |
発明の名称 | 残留性有機汚染物質を含有する水の処理方法 |
代理人 | 平木 祐輔 |
代理人 | 島村 直己 |
代理人 | 岩崎 正路 |
代理人 | 藤田 節 |
代理人 | 島村 直己 |
代理人 | 平木 祐輔 |
代理人 | 平木 祐輔 |
代理人 | 岩崎 正路 |
代理人 | 藤田 節 |
代理人 | 岩崎 正路 |
代理人 | 島村 直己 |
代理人 | 藤田 節 |