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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A61F
管理番号 1284821
審判番号 不服2013-2950  
総通号数 172 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2014-04-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2013-02-15 
確定日 2014-02-10 
事件の表示 特願2008-24084号「折りたたみ式立体アイマスク」拒絶査定不服審判事件〔平成21年8月20日出願公開、特開2009-183353号〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 I.手続の経緯
本願は、平成20年2月4日の出願であって、平成24年8月7日付けで拒絶理由が通知され、これに対して同年9月27日付けで意見書が提出されるとともに、同日付けで手続補正がなされ、同年11月14日付けで拒絶査定がなされたところ、同査定を不服として平成25年2月15日に拒絶査定不服審判の請求がなされると同時に手続補正がなされたものである。

II.本願発明
平成25年2月15日付けの手続補正(以下、「本件補正」という。)は、本件補正前の特許請求の範囲の請求項2?4を削除するものであるから、本件補正は、特許法第17条の2第5項第1号に掲げる請求項の削除を目的としたものに該当する。
また、本件補正は、特許法第17条の2第3項及び第4項に規定する要件を満たすものである。
したがって、本件補正は、特許法第17条の2第3項乃至第5項の規定に適合するので、本願の請求項1に係る発明(以下、同項記載の発明を、「本願発明」という。)は、平成25年2月15日付けの手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1に記載される、以下のとおりのものである。
「両横辺が張り出す形状の遮光性で可撓性の平面板状中央片と、1辺が前記中央片の張り出し辺に対応する遮光性で可撓性の平面板状左右片とが、前記張り出し辺で接合されており、該接合の部分にしたがって折り畳まれた、重なり状態を呈することができることを特徴とする折りたたみ式立体アイマスク(膨出形状の芯材を含むものを除く。)。」

III.引用例の記載事項
原査定の拒絶の理由に引用され、本願の出願前に頒布された刊行物である実願昭51-86017号(実開昭53-4797号)のマイクロフィルム(以下「引用例」という。)には、図面とともに以下の事項が記載されている。

ア:「(1) 両眼を覆う大きさのメガネ状で、該両眼部夫々の中央部裁断線を縫い合せることにより両眼部分を外方に膨出させた生地2枚を夫々表裏地とし、該表裏地と同じ膨出形状で外形も同じに形成された芯材とを重ねて周囲を縁取りすると共に、前記表地面に適宜な模様を形成したことを特徴とする光線遮蔽具。
(2) 表裏地夫々の両眼部の中央部裁断線を互に向い合う凸円弧状に形成したことを特徴とする実用新案登録請求の範囲第1項記載の光線遮蔽具。」(1頁4?13行)

イ:「本考案は明るい所での睡眠中の光線を遮蔽する光線遮蔽具に関するものである。
従来も明るい所での睡眠中眼を覆って光線を遮蔽する光線遮蔽具は知られているが、これは平面状に形成されていたのでこの光線遮蔽具を装着すると、まばたきの際内面生地でまぶたがこすられる不都合があった。又表面生地は一般に無地が使われていたのでフアツシヨン性に乏しかった。
本考案は前記従来の光線遮蔽具と異なり、両眼部の中央部裁断線を縫い合せることにより外方に膨出させてまばたきによる不都合を無くし、かつ表面に適宜な模様を形成してフアツシヨン性を持たせた光線遮蔽具を提供せんとするものである。
以下図面の実施例により本考案を説明すると、
(1)(2)は両眼部夫々の中央部裁断線(1’)(1’)を縫い合せることにより両眼部分を外方に膨出させた表裏生地である。この表裏生地(1)(2)の両眼部の膨出形状を得るには、第3図に示す如く左右に凸円弧状の裁断線(3a)(3a’)を有する中央片(4a)と、裁断線(3a)(3a’)に対向する同形の凸円弧状の裁断線(3b)(3b’)を形成した左右片(4b)(4b’)に於ける前記裁断線(3a)(3b)及び(3a’)(3b’)を夫々突き合せて縫い合せることにより形成する。この場合の裁断線(3a)(3b)及び(3a’)(3b’)は夫々両眼部のほぼ中央部に位置するものである。又第4図は生地(5)の両眼部の夫々中央上方部(6)(6’)を中心として下方にデルタ状に開く切欠きを形成し、該切欠き縁(7a)(7b)及び(7a’)(7b’)を互いに縫い合せることにより膨出形状を形成するものである。又表地(1)は天然繊維、合成繊維等よりなる布帛(織物、メリヤス、レース等)の任意厚さの生地が使用され、裏地(2)は織物、メリヤス等の比較的柔かく、かつ光線を透し難い黒色等に染色されたものがよい。(8)は芯材でウレタンフオーム、不織布等が用いられ、表裏生地(1)(2)と同じく中央部裁断線を縫い合せて膨出形状を形成してもよく、更に熱可塑性素材を使用して加熱プレスにより膨出形状を形成しでもよい。表裏生地(1)(2)及びこれと同形状の芯材(8)は両眼部を覆う形状のメガネ状であれば差支えないが、両眼部を図面のような円形状の他、角形その他任意の形状とすることができる。(9)は表地(1)の面に形成された任意の模様で、プリント、転写、ししゆう、編織出し等により形成される。(10)はレース等の縁取り、(11)は耳掛けである。
以上詳細に説明した如く本考案は、表地の両眼部を中央部裁断線を縫い合せることにより外方に膨出させたので、裏生地がまぶたに触れるようなことはなく、従来のようなまばたきによる不都合もなく、かつ目の周囲にピツタリ合うので従来品の如く鼻の周囲より光線が侵入するような欠点はなく、使用心地もよい。又表地には適宣な模様を形成したので、従来にない新規なフアツシヨン性を備えており、又周囲の縁取りをレース等の模様飾りとすれば一段とファッション性を高めることができる。」(3頁6行?5頁20行)

a.アの「両眼を覆う大きさのメガネ状で、・・・両眼部分を外方に膨出させた生地2枚を夫々表裏地とし、該表裏地と同じ膨出形状で外形も同じに形成された芯材とを重ねて周囲を縁取りする・・・光線遮蔽具」との記載からして、引用例には「膨出形状の両眼を覆う光線遮蔽具」が記載されている。

b.アの記載事項、イの記載事項及び第3図の図示内容からして、表地は「両横辺が張り出す形状の平面板状中央片と、1辺が前記中央片の張り出し辺に対応する平面板状左右片とが、前記張り出し辺で縫い合わされ、適宜な模様が形成された」構成のものといえる。
また、イの「表地(1)は天然繊維、合成繊維等よりなる布帛(織物、メリヤス、レース等)の任意厚さの生地が使用され」との記載からして、表地は可撓性を有するものといえる。

c.アの記載事項、イの記載事項及び第3図の図示内容からして、芯材は「両横辺が張り出す形状の平面板状中央片と、1辺が前記中央片の張り出し辺に対応する平面板状左右片とが、前記張り出し辺で縫い合わされた」構成のものといえる。
また、イの「(8)は芯材でウレタンフオーム、不織布等が用いられ」との記載からして、芯材は可撓性を有するものといえる。

d.アの記載事項、イの記載事項及び第3図の図示内容からして、裏地は「両横辺が張り出す形状の平面板状中央片と、1辺が前記中央片の張り出し辺に対応する平面板状左右片とが、前記張り出し辺で縫い合わされた」構成のものといえる。
また、イの「裏地(2)は織物、メリヤス等の比較的柔かく、かつ光線を透し難い黒色等に染色されたものがよい。」との記載からして、裏地は可撓性と遮光性を有するものといえる。

以上によれば、引用例には次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されている。
「両横辺が張り出す形状の可撓性の平面板状中央片と、1辺が前記中央片の張り出し辺に対応する可撓性の平面板状左右片とが、前記張り出し辺で縫い合わされた芯材と、
両横辺が張り出す形状の可撓性の平面板状中央片と、1辺が前記中央片の張り出し辺に対応する可撓性の平面板状左右片とが、前記張り出し辺で縫い合わされ、適宜な模様が形成された表地と、
両横辺が張り出す形状の遮光性で可撓性の平面板状中央片と、1辺が前記中央片の張り出し辺に対応する遮光性で可撓性の平面板状左右片とが、前記張り出し辺で縫い合わされた裏地と、
を重ねて形成した
膨出形状の両眼を覆う光線遮蔽具。」

IV.対比、判断
引用発明の「縫い合わされ」ること、「膨出形状の両眼を覆う光線遮蔽具」は、本願発明の「接合され」ること、「立体アイマスク」に、それぞれ相当する。

引用発明は、少なくとも「裏地」が遮光性を有するものであるから、「両横辺が張り出す形状の可撓性の平面板状中央片と、1辺が前記中央片の張り出し辺に対応する可撓性の平面板状左右片とが、前記張り出し辺で縫い合わされた」構成をそれぞれが有する、「表地」、「裏地」及び「芯材」を重ねて形成したものが、全体として「遮光性」と「可撓性」を有し、「光線遮蔽具」を構成することは明らかである。
そうすると、「表地」、「裏地」及び「芯材」を重ねて形成した引用発明の「膨出形状の両眼を覆う光線遮蔽具」は、「両横辺が張り出す形状の遮光性で可撓性の平面板状中央片と、1辺が前記中央片の張り出し辺に対応する遮光性で可撓性の平面板状左右片とが、前記張り出し辺で接合された」構成を有するといえる。

以上によれば、本願発明と引用発明とは、次の点で一致する。
「両横辺が張り出す形状の遮光性で可撓性の平面板状中央片と、1辺が前記中央片の張り出し辺に対応する遮光性で可撓性の平面板状左右片とが、前記張り出し辺で接合された立体アイマスク」
そして、両者は次の点で相違する。
(相違点)
本願発明は、「立体アイマスク」が、「膨出形状の芯材を含むものを除く」ものであって、「該接合の部分にしたがって折り畳まれた、重なり状態を呈することができる」「折りたたみ式」であるのに対して、
引用発明では、「膨出形状の両眼を覆う光線遮蔽具」(立体アイマスク)が、「両横辺が張り出す形状の可撓性の平面板状中央片と、1辺が前記中央片の張り出し辺に対応する可撓性の平面板状左右片とが、前記張り出し辺で縫い合わされた芯材」を有するものであって、縫い合わされた(接合の)部分にしたがって折り畳まれた、重なり状態を呈することができるか否か不明である点。

(判断)
引用例の「本考案は前記従来の光線遮蔽具と異なり、両眼部の中央部裁断線を縫い合せることにより外方に膨出させてまばたきによる不都合を無くし」(記載イ)との記載、「(1)(2)は両眼部夫々の中央部裁断線(1’)(1’)を縫い合せることにより両眼部分を外方に膨出させた表裏生地である。(1)(2)は両眼部夫々の中央部裁断線(1’)(1’)を縫い合せることにより両眼部分を外方に膨出させた表裏生地である。この表裏生地(1)(2)の両眼部の膨出形状を得るには、第3図に示す如く左右に凸円弧状の裁断線(3a)(3a’)を有する中央片(4a)と、裁断線(3a)(3a’)に対向する同形の凸円弧状の裁断線(3b)(3b’)を形成した左右片(4b)(4b’)に於ける前記裁断線(3a)(3b)及び(3a’)(3b’)を夫々突き合せて縫い合せることにより形成する。」(記載イ)との記載、「以上詳細に説明した如く本考案は、表地の両眼部を中央部裁断線を縫い合せることにより外方に膨出させた」(記載イ)との記載等からして、引用発明の両眼を覆う光線遮蔽具の膨出部は、「両横辺が張り出す形状の可撓性の平面板状中央片と、1辺が前記中央片の張り出し辺に対応する可撓性の平面板状左右片とが、前記張り出し辺で縫い合わされた」構成により形成され、該構成を有する表地と裏地とが、芯材が無くとも膨出部を形成し得ることは明らかであって、芯材は、該構成により形成された表地及び裏地の膨出形状を補強するために補完的に設けられたものにすぎないといえる。
他方、製造コストを下げるために物品を構成する部品の数を少なくすることは一般的課題であるから、「本考案は前記従来の光線遮蔽具と異なり、両眼部の中央部裁断線を縫い合せることにより外方に膨出させてまばたきによる不都合を無くし、かつ表面に適宜な模様を形成してフアツシヨン性を持たせた光線遮蔽具を提供せんとするものである。」(記載イ)という引用発明の課題を解決するに当たり、引用発明の膨出形状の両眼を覆う光線遮蔽具(立体アイマスク)から芯材を省き、「膨出形状の芯材を含むものを除く」ものとすることは、引用例の上記記載に接した当業者であれば容易に想到し得る程度の事項である。
そして、可撓性の表地と裏地とからなる(芯材を省いた)引用発明の両眼を覆う光線遮蔽具(立体アイマスク)が、「該接合の部分にしたがって折り畳まれた、重なり状態を呈することができる」「折りたたみ式」のものとなることは明らかである。
以上によれば、相違点に係る本願発明の発明特定事項は引用発明に基いて当業者が容易に想到し得るものである。

そして、本願発明の効果は、引用発明から当業者が予測し得る範囲内のものである。
したがって、本願発明は引用発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。

V.むすび
以上のとおり、本願発明は、引用発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができない。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2013-12-13 
結審通知日 2013-12-16 
審決日 2013-12-27 
出願番号 特願2008-24084(P2008-24084)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (A61F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 寺澤 忠司  
特許庁審判長 横林 秀治郎
特許庁審判官 蓮井 雅之
松下 聡
発明の名称 折りたたみ式立体アイマスク  
代理人 嶋崎 英一郎  
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