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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G06Q |
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管理番号 | 1284829 |
審判番号 | 不服2012-24452 |
総通号数 | 172 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2014-04-25 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2012-12-10 |
確定日 | 2014-02-14 |
事件の表示 | 特願2012- 77197「会計処理システム」拒絶査定不服審判事件〔平成25年10月 7日出願公開、特開2013-206343〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本願の手続の経緯は,以下のとおりである。 平成24年 3月29日 出願 平成24年 4月20日 手続補正 平成24年 5月25日付け 拒絶理由通知 平成24年 6月20日 手続補正 平成24年 8月 8日付け 拒絶理由通知 平成24年 8月27日 手続補正 平成24年10月24日付け 拒絶査定 平成24年12月10日 審判請求 第2 本願発明 本願の請求項1に係る発明(以下,「本願発明」という。)は,平成24年8月27日の手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された,次のとおりのものである。 <本願発明> 「会計資料をオンラインストレージにネットワークを介してアップロードすることができるアップロード端末と、顧客事務所の会計処理ソフトが利用できる会計処理端末と、該会計処理端末を顧客事務所外からネットワークを介して遠隔操作して前記オンラインストレージにネットワークを介して接続し会計資料にアクセスすることができ、かつ、該会計資料から算出した会計情報を会計処理端末に入力する入力手段を備える会計事務所端末から構成される会計処理システム。」 第3 引用文献 1.松山 俊一 ほか1名,体験版TOP勘定奉行 for WindowsNT/95,エーアイ出版株式会社,1999年7月15日,第1版,p.238-239(以下,「引用文献1」という。) 原査定において引用された引用文献1には,次の事項が記載されている。 ア.「1-2 リモートコントロール 遠隔地にあるPC(パーソナルコンピュータ)をあたかも自分のPCであるかのように、遠隔操作することをリモートコントロールといいます。TOP勘定奉行とリモートコントロールを使用することで、作業効率を大幅にアップすることができます。ここでは、本支店管理と会計事務所の例を挙げてリモートコントロールを説明しましょう。」(第238ページ第2行?第6行) イ.「1.本支店管理の場合 本支店管理を行う場合は、本店に各支店のデータを集約する必要があります。しかし、各支店にいる会計を担当する社員が必ずしもパソコンに詳しくないという問題もあります。これまで本店でデータを合算する際には、これまでは各支店からのデータをフロッピーデイスクに保存してから、郵送や宅配便を使って本店に送り、本店の担当者が処理を行うというような運用形態が多く見られました。 しかし、郵送や宅配便では各支店からのデータが全て揃うまでに時間がかかり、全社単位の経営データをオンタイムに確認できないという弊害も起こりかねません。 また、パソコン通信などを使って、データの送信をしようとしても、送信するファイルサイズが大きくなればファイルを圧縮しなくてはなりませんし、パソコンに詳しくないユーザにとってみれば、意外と面倒なものです。このような場合に、リモートコントロールが大変役に立ちます。 手元のパソコンから支店を呼び出して接続すれば、あたかも自分のパソコンを操作しているかのように、支店のパソコンを扱えますから、本店で扱うのと同じように支店のTOP勘定奉行を起動して、必要なデータを書き出せばいいわけです。書き出したデータは、リモートコントロールソフトに付属するファイル転送ツールを使って、手元のパソコンにデータをコピー(または移動)します。 転送後、TOP勘定奉行のファイル受け入れ機能を使って合算します。」(第238ページ第7行?第28行) ウ.「2.会計事務所の場合 会計事務所では顧問先のパソコンとリモートコントロールソフトを使って接続ができるようにしておくと便利です。日常業務は顧問先の担当者が行い、月次でそのデータを会計事務所に転送することが可能です。 また、仕訳についての問い合わせの際には、なかなか電話やFAXでは、先方の問い合わせ事項が伝わらないこともあります。このような場合も顧問先に接続し、先方のコンピュータの画面を会計事務所から確認しながら操作して説明するというような使い方も可能です。必要であれば、顧問先のデータを直接修正することもできますから、多くの顧問先を抱える会計事務所にとっては、わざわざ出向く手間も省けるので、作業効率が上がります。」(第239ページ第1行?第12行) エ.「3. CoSession95、 CoSessioin95 for LAN ここで紹介するCoSessionシリーズはWindows95対応で、従来のシリアル接続(電話回線によるモデム接続)に加えLAN対応です。LAN (Local Area Network)に対応していますから、遠隔地だけでなくLAN のネットワーク環境がある他部署のパソコンをリモートコントロールすることができます。 ●特徴 【機能】 ・画面のリモートコントロール操作が可能です。 ・ファイル転送、キーボード入力が高速処理されます。 ・ダイヤルバック機能により、電話料金の課金先の変更が可能です。 ・セキュリティ機能によりファイルの暗号化による転送、パスワードの設定が可能です。 ・専用線、ISDNへの対応しています。 ・ LAN対応になり、ネットワーク上のPCを操作できます。(CoSession95、CoSession95 for LAN)」(第239ページ第13行?第28行) 前記ア.?エ.によれば,引用文献1には,次の事項が記載されているといえる。 ・前記ア.の「遠隔地にあるPC(パーソナルコンピュータ)をあたかも自分のPCであるかのように、遠隔操作することをリモートコントロールといいます。TOP勘定奉行とリモートコントロールを使用することで、作業効率を大幅にアップすることができます。ここでは、本支店管理と会計事務所の例を挙げてリモートコントロールを説明しましょう。」の記載, 前記ウ.の「会計事務所では顧問先のパソコンとリモートコントロールソフトを使って接続ができるようにしておくと便利です。」の記載によれば, 引用文献1には,「顧問先のパソコンを会計事務所のパソコンから遠隔操作するリモートコントロールにおいて, 会計事務所のパソコンは,リモートコントロールソフトを使って顧問先のパソコンと接続でき」が記載されているといえる。 ・前記エ.の「ここで紹介するCoSessionシリーズはWindows95対応で、従来のシリアル接続(電話回線によるモデム接続)に加えLAN対応です。LAN (Local Area Network)に対応していますから、遠隔地だけでなくLAN のネットワーク環境がある他部署のパソコンをリモートコントロールすることができます。」の記載によれば, 「CoSession」はリモートコントロールソフトであり,電話回線に接続して遠隔地のパソコンをリモートコントロールすることができる。 したがって,引用文献1には,「リモートコントロールソフトは,電話回線に接続して遠隔地のパソコンをリモートコントロールし」が記載されているといえる。 ・前記ウ.の「日常業務は顧問先の担当者が行い、月次でそのデータを会計事務所に転送することが可能です。」の記載によれば, 引用文献1には,「日常業務は顧問先の担当者が行い,月次でそのデータを会計事務所に転送し」が記載されているといえる。 ・前記ウ.の「また、仕訳についての問い合わせの際には、なかなか電話やFAXでは、先方の問い合わせ事項が伝わらないこともあります。このような場合も顧問先に接続し、先方のコンピュータの画面を会計事務所から確認しながら操作して説明するというような使い方も可能です。必要であれば、顧問先のデータを直接修正することもできますから、多くの顧問先を抱える会計事務所にとっては、わざわざ出向く手間も省けるので、作業効率が上がります。」の記載によれば, 引用文献1には「仕訳についての問い合わせの際に,顧問先のパソコンの画面を会計事務所から確認しながら操作して説明する使い方も可能であり,必要であれば,顧問先のデータを直接修正することもでき」が記載されているといえる。 ・前記ア.の「TOP勘定奉行とリモートコントロールを使用することで、作業効率を大幅にアップすることができます。」の記載によれば, 引用文献1には,「TOP勘定奉行とリモートコントロールを使用することで,作業効率を大幅にアップすることができる」が記載されているといえる。 したがって,引用文献1には,次の発明(以下,「引用発明」という。)が記載されているといえる。 <引用発明> 「顧問先のパソコンを会計事務所のパソコンから遠隔操作するリモートコントロールにおいて, 会計事務所のパソコンは,リモートコントロールソフトを使って顧問先のパソコンと接続でき, リモートコントロールソフトは,電話回線に接続して遠隔地のパソコンをリモートコントロールし, 日常業務は顧問先の担当者が行い,月次でそのデータを会計事務所に転送し, 仕訳についての問い合わせの際に,顧問先のパソコンの画面を会計事務所から確認しながら操作して説明する使い方も可能であり,必要であれば,顧問先のデータを直接修正することもでき, TOP勘定奉行とリモートコントロールを使用することで,作業効率を大幅にアップすることができる,リモートコントロール。」 2.特開2006-106879号公報(以下,「引用文献2」という。) 原査定において引用された引用文献2には,次の事項が記載されている(下線は,当審において付与した。) オ.「【0038】 具体的には、経営情報システムは、図1に示すように、会計事務所が所持する事務所用端末機10と、この会計事務所の顧客が所持する顧客用端末機20と、これら事務所用端末機10及び顧客用端末機20と所定のネットワークNTを介して接続された経営情報サーバ装置30とを備える。」 カ.「【0053】 まず、経営情報システムにおいては、図3に示すように、ステップS1において、顧客が、自己の撮像装置40や読み取り装置50等の変換装置を用いて、会計事務所に提出したい証憑に基づくJPEG(Joint photographic expert group)形式等の画像データを作成する。具体的には、顧客は、撮像装置40を用いて自己が所持する証憑を撮像することにより、又は読み取り装置50を用いて当該証憑を光学的に読み取ることにより、当該証憑に基づく画像データを作成する。ここで、この証憑としては、例えば、普通預金通帳、当座照合表、定期積金通帳、定期預金通帳、領収証、請求書、出納帳、銀行帳、給料明細書、手形帳、売掛金集計表、売上帳、買掛金集計表、仕入帳、固定資産台帳、各種契約書等が挙げられる。」 キ.「【0055】 顧客用端末機20は、このようにして経営情報サーバ装置30に対するアクセスが可能な状態となると、ステップS4において、ステップS1にて作成した画像データのファイルや、所定のアプリケーションプログラムを実行して顧客が入力した財務データのファイル、その他例えば画像データをPDF(Portable Document Format)等の汎用フォーマットに変換したファイル等を、通信部15を介して、FTP等のファイル転送プロトコルを用いて経営情報サーバ装置30に対して送信する。これに応じて、経営情報サーバ装置30は、送信されたデータを受信すると、ステップS5において、当該データを、当該顧客用端末機20を所持する顧客専用のフォルダに閲覧可能な状態に保存する。これにより、経営情報システムにおいては、顧客用端末機20は勿論のこと、当該フォルダにアクセスしてきた事務所用端末機10によって当該データを閲覧したり操作したりすることが可能となる。顧客用端末機20は、このようにして作成したデータを経営情報サーバ装置30に保存させると、所定のログオフ操作を行うことにより、当該経営情報サーバ装置30との間に確立された通信路を遮断することができ、また、必要に応じてステップS2に示したログイン操作を行うことにより、任意に顧客専用のフォルダにアクセスしてデータの操作を行うことができる。」 ク.「【0058】 続いて、事務所用端末機10は、ステップS11において、CPU11の制御のもとに、経営情報サーバ装置30から取得したデータに基づいて、所定のアプリケーションプログラムを実行して財務データ及び/又は税務データを作成する。ここで、これら財務データ及び/又は税務データとしては、例えば、貸借対照表や損益計算書等の財務諸表データや、財務データに基づいて作成される税務申告書等が挙げられる。事務所用端末機10は、このような財務データ及び/又は税務データを作成すると、CPU11の制御のもとに、当該財務データ及び/又は当該税務データを記憶部14等に取り込む。」 ケ.「【0061】 事務所用端末機10は、このようにして財務データ及び/又は税務データ、並びに解説データを作成すると、ステップS13において、作成した財務データ及び/又は税務データのファイル、並びに解説データのファイル等を、通信部15を介して、FTP等のファイル転送プロトコルを用いて経営情報サーバ装置30に対して送信する。これに応じて、経営情報サーバ装置30は、送信されたデータを受信すると、ステップS14において、当該データを、顧客専用のフォルダに閲覧可能な状態に保存する。これにより、経営情報システムにおいては、事務所用端末機10は勿論のこと、当該フォルダにアクセスしてきた顧客用端末機20によって当該データを閲覧したり操作したりすることが可能となる。」 前記オ.?ケ.によれば,引用文献2には,次の事項が記載されているといえる。 <引用文献2の記載事項> 「会計事務所が所持する事務所用端末機10と,この会計事務所の顧客が所持する顧客用端末機20と,事務所用端末機10及び顧客用端末機20と所定のネットワークNTを介して接続された経営情報サーバ装置30とを備えた経営情報システムであって, 顧客用端末機20は,領収証,請求書,給料明細書,売上帳,仕入帳,契約書等の証憑に基づいた画像データを,経営情報サーバ装置30に送信し, 経営情報サーバ装置30は,送信された画像データを受信すると,当該顧客用端末機20を所持する顧客専用のフォルダに閲覧可能な状態に保存し,顧客用端末機20,事務所用端末機10によって画像データを閲覧したり操作したりすることが可能となり, 事務所用端末機10は,経営情報サーバ装置30から取得した画像データに基づいて,貸借対照表や損益計算書等の財務データや,財務データに基づいて作成される税務申告書等の税務データを作成し,作成した財務データまたは税務データを経営情報サーバ装置30に送信し, 経営情報サーバ装置30は,財務データまたは税務データを受信すると,顧客専用のフォルダに閲覧可能な状態に保存し,これにより,事務所用端末機10,顧客用端末機20によって財務データまたは税務データを閲覧したり操作したりすることが可能となる,経営情報システム。」 第4 対比 次に,本願発明と引用発明とを対比する。 ・引用発明の「TOP勘定奉行」が,会計処理ソフトの名称であることは自明であり,本願発明の「会計処理ソフト」に相当する。 引用発明は,この「TOP勘定奉行」を,顧問先と会計事務所のいずれで(あるいは,両方で)使用するのかを明示していないものの,顧問先が日常業務を行って,そのデータを会計事務所に転送していることや,顧問先から仕訳の問い合わせがあると,会計事務所が顧問先のパソコンの画面を操作して説明したり,顧問先のデータを直接修正していることから,「TOP勘定奉行」は,顧問先のパソコンで日常業務のために使用され,会計事務所は,この「TOP勘定奉行」の画面を遠隔操作して,仕訳の説明をしたりデータ修正をしていることは明らかである。 したがって,引用発明の,TOP勘定奉行を使用する顧問先のパソコンは,本願発明の「顧客事務所の会計処理ソフトが利用できる会計処理端末」に相当する。 ・引用発明の「会計事務所のパソコン」は,リモートコントロールソフトを使って顧問先のパソコンと接続し,日常業務のデータを会計事務所に転送させるから,会計処理端末を顧客事務所外から遠隔操作して会計資料にアクセスすることができる会計事務所端末といえる。 また,リモートコントロールソフトは電話回線に接続するから,遠隔操作が,電話回線のような「ネットワーク」を介して行われることも明らかである。 さらに,顧問先のデータを直接修正することは,会計事務所のパソコンから,会計情報を顧問先のパソコンに入力することにほかならない。 したがって,引用発明における,リモートコントロールソフトを使って顧問先のパソコンに接続し,日常業務のデータを会計事務所に転送させたり,顧問先のデータを直接修正したりする会計事務所のパソコンと,本願発明の「該会計処理端末を顧客事務所外からネットワークを介して遠隔操作して前記オンラインストレージにネットワークを介して接続し会計資料にアクセスすることができ、かつ、該会計資料から算出した会計情報を会計処理端末に入力する入力手段を備える会計事務所端末」は,「該会計処理端末を顧客事務所外からネットワークを介して遠隔操作して会計資料にアクセスすることができ,かつ,会計情報を会計処理端末に入力する入力手段を備える会計事務所端末」の点で共通する。 ・引用発明の「顧問先のパソコン」と「会計事務所のパソコン」からなるシステムは,本願発明の「会計処理システム」に相当する。 したがって,本願発明と引用発明は,以下の点で一致する。 <一致点> 「顧客事務所の会計処理ソフトが利用できる会計処理端末と,該会計処理端末を顧客事務所外からネットワークを介して遠隔操作して会計資料にアクセスすることができ,かつ,会計情報を会計処理端末に入力する入力手段を備える会計事務所端末から構成される会計処理システム。」 そして,本願発明と引用発明は,以下の点で相違する。 <相違点1> 本願発明は,「会計資料をオンラインストレージにネットワークを介してアップロードすることができるアップロード端末」を備えるのに対し,引用発明は,上記アップロード端末を備えていない点。 <相違点2> 会計処理端末が,本願発明では,「前記オンラインストレージにネットワークを介して接続し会計資料にアクセスすることができ」るのに対し,引用発明では,オンラインストレージがなく,「前記オンラインストレージにネットワークを介して接続し会計資料にアクセスすることができ」るものではない点。 <相違点3> 会計情報が,本願発明では,「該会計資料から算出した」ものであるのに対し,引用発明では,「該会計資料から算出した」ものかどうか不明である点。 第5 判断 <相違点1><相違点2>について コンピュータの技術分野において,パソコンがデータを記憶するためにストレージを使用することは周知である。したがって,引用発明において,顧問先が,日常業務のデータを記憶するためにストレージを使用することは,ごく普通に想到されることである。 また,コンピュータのストレージとして,ネットワークを介して接続されるオンラインストレージは周知である。オンラインストレージは,複数の端末で共用されることが普通であり,自身の端末からアップロードしたデータにアクセスするだけでなく,他の端末からアップロードされたデータにアクセスするような利用形態も周知である。例えば,引用文献2に記載された経営情報サーバ装置30は,ネットワークを介して顧客用端末機20と事務所用端末機10と接続され,画像データなどを保存する機能を有するところから,オンラインストレージといえるものであり,一方の端末から送信されたデータを他の端末から閲覧するために利用される。そのほかにも,ローカルエリアネットワーク(LAN)に接続されるネットワーク接続ストレージ(一般に,NASと呼ばれる。)やファイルサーバ,あるいは,インターネットのクラウドサービスのようなオンラインストレージも周知であり,これらにおいても,ある端末からアップロードされたデータを,他の端末からアクセスするような利用が行われる。 してみると,引用発明において,顧問先が日常業務のデータ(会計資料)を記憶するために周知のオンラインストレージを用い,このデータを会計事務所へ転送する際に,顧問先のパソコンがオンラインストレージにネットワークを介して接続してデータ(会計資料)にアクセスし,また,そのデータをオンラインストレージにネットワークを介してアップロードすることができるアップロード端末を設け,上記相違点1,2に係る構成を備えるようにすることは容易に想到し得ることである。 <相違点3>について 顧客の会計資料から会計情報を算出して顧客に提供することは,会計事務所の周知の業務内容にすぎない。したがって,引用発明において,会計事務所が,顧問先から取得した日常業務のデータに基づいて会計情報を算出し,その会計情報を顧問先に提供することは普通に予想されることである。 また,引用発明のリモートコントロールは,会計事務所から顧問先のパソコンにデータを入力することができるから,会計情報を顧問先に提供するために,リモートコントロールを使用することも,適宜なし得ることである。 してみると,引用発明において,会計事務所のパソコン(会計事務所端末)が,「会計資料から算出した会計情報」を顧問先のパソコン(会計処理端末)に入力する入力手段を備えることは,容易に相当し得ることである。 そして,本願発明の作用効果も,引用発明,引用文献2の記載事項,及び周知技術から当業者が予測できる範囲のものである。 第6 むすび 以上のとおり,本願発明は,引用発明,引用文献2の記載事項,及び周知技術に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 よって,結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2013-11-19 |
結審通知日 | 2013-11-26 |
審決日 | 2013-12-17 |
出願番号 | 特願2012-77197(P2012-77197) |
審決分類 |
P
1
8・
121-
Z
(G06Q)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 阿部 潤 |
特許庁審判長 |
手島 聖治 |
特許庁審判官 |
石川 正二 須田 勝巳 |
発明の名称 | 会計処理システム |
代理人 | 三浦 光康 |