• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) H04N
管理番号 1285204
審判番号 不服2011-23657  
総通号数 172 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2014-04-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2011-11-02 
確定日 2014-02-26 
事件の表示 特願2005-180703「ワークステーションとスキャナ装置との間の無線相互接続の使用を介し、リモートワークステーションを対象とした文書スキャニングジョブを実行する装置及びシステム」拒絶査定不服審判事件〔平成18年 1月12日出願公開、特開2006- 14319〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯

a.経緯
本願は、平成17年6月21日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2004年6月22日、欧州特許庁)を出願日とする出願であって、手続の概要は以下のとおりである。

拒絶理由通知 :平成22年 8月27日(起案日)
手続補正 :平成22年11月24日
拒絶査定 :平成23年 7月28日(起案日)
拒絶査定不服審判請求 :平成23年11月 2日
手続補正 :平成23年11月 2日
審尋 :平成24年 1月31日(起案日)
回答 :平成24年 7月 6日
拒絶理由通知(当審、最初) :平成24年10月23日(起案日)
手続補正 :平成25年 1月30日
拒絶理由通知(当審、最初) :平成25年 4月 1日(起案日)
手続補正 :平成25年 8月 1日

b.拒絶の理由
当審が平成25年4月1日付け(起案日)で通知した拒絶の理由Bは、概略以下のとおりである。

この出願の請求項1ないし12に係る発明は、その出願前日本国内又は外国において頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

引用刊行物
1.特開2003-224687号公報
2.特開2003- 76650号公報
3.特開平 5-273823号公報
4.特開平11-234465号公報
5.特開平10- 32700号公報
6.特開平11-177787号公報
7.特開2002-200797号公報
8.特開2003- 15828号公報
9.特開2003- 46705号公報
10.特開平 9-130559号公報

第2 本願発明
本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、平成25年8月1日付けの手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される、以下のとおりのものである。

【請求項1】
携帯機器に対するユーザーの介入なしに、前記携帯機器を対象とした文書スキャニングジョブを前記携帯機器とスキャナ装置との間の無線相互接続の使用を介し実行する方法であって:
前記携帯機器と前記スキャナ装置との間の無線接続の確立を自動的に行うステップ;
前記携帯機器で、自動的に確立された接続を介して、スキャニングテンプレートと、特定のユーザー若しくは特定の携帯機器を識別するための識別子とを自動的に送信するステップ;
前記スキャナ装置で、前記自動的に確立された接続を介して前記スキャニングテンプレート及び前記識別子の受信を自動的に行い、さらに、システムによる前記識別子に基づく認証チェックの後、スキャンジョブを特定する1又は複数のパラメータを有する前記受信が行われたスキャニングテンプレートを表示し、その後に、必要に応じて前記スキャナ装置のユーザーインターフェースを介した前記スキャンジョブの特定を待ち受け、且つ、ジョブ開始指示が出るのを待ち受け、その後に、スキャンデータを創出すべく前記スキャンジョブを特定されたように実行するステップ;及び
前記スキャナ装置で、前記自動的に確立された接続を介して前記スキャンデータを、ユーザーの介入を受けていない前記携帯機器に自動的に送信し、その後に、前記自動的に確立された接続を閉じ、かつ、その後に、前記スキャニングテンプレート及び自動的に送信された前記スキャンデータを自動的に削除するステップ;
を実行することを特徴とする方法。

第3 刊行物の記載事項
当審における拒絶の理由の通知において引用された特開2003-224687号公報(平成15年8月8日公開、以下、「刊行物1」という。)には、図面と共に以下の事項が記載されている。

【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、携帯端末装置に記憶されている設定情報に従って、画像形成装置の動作条件を設定する画像形成装置およびその制御方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、原稿画像をスキャンして生成された画像データを、ネットワークを介して、相手先デバイスに送信するFAX等の画像形成装置が、オフィスやコンビニエンスストア等、不特定多数のユーザが使用する場所に設置されつつある。
【0003】この装置においては、送信を行う前に、原稿の読み取り解像度等の画像読み取り条件や、宛先や電話番号等の送信条件等、装置の動作条件を設定する必要がある。
【0004】このために、ユーザは、送信の都度、動作条件を設定する必要があり、所定のユーザが使用している装置を、割り込みで使用する場合に、設定を変更すると、割り込み終了後に、変更された設定を、元の設定に戻さなければならないという欠点がある。
【0005】この欠点を解消する画像形成装置が、特開平6-312562号公報で提案されている。この従来の画像形成装置は、装置の各種設定情報をカードに記憶し、上記カードを装置に接続することによって、カードに記憶されている設定情報に従って、装置の動作条件を設定し、カードを装置から取り外すことによって、装置の動作条件を、カード接続前の状態に戻す装置である。
【0006】すなわち、この従来装置を複数のユーザで使用する場合に、所定のユーザがカードを使用し、設定した場合、次の使用者がスムーズに装置を使用できるという利点がある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかし、特開平6-312562号公報に記載されている従来技術によれば、カードを装置に正しく装着することが前提であり、カードと装置との接続部の接触が不十分であれば、カードまたは装置本体の故障を回避する手段をとらなければならず、カードの抜き差し操作が非常に煩雑であるという問題がある。
【0008】また、特開平6-312562号公報に記載されている従来技術は、カードを物理的に装着するため、カードの抜き差し操作が頻繁に行われる場合には、カード、装着部共の耐久性に問題があった。
【0009】本発明は、画像形成装置において、画像形成装置を複数のユーザで使用する場合、所定のユーザが画像形成装置の動作条件を設定した後に、次の使用者が画像形成装置を使用するときに、上記次の使用者が画像形成装置をスムーズに使用することができ、ユーザの操作性を格段に向上させることができる画像形成装置およびその制御方法を提供することを目的とするものである。
【0010】また、本発明は、画像形成装置の設定情報を記憶する他の装置と画像形成装置間のインタフェースの耐久性を向上させることを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明は、携帯端末装置が無線通信の有効通信範囲内に存在していることを検知した場合に、上記携帯端末装置から受信した設定情報に従って、上記画像形成装置の動作条件を設定し、一方、上記携帯端末装置が無線通信の有効通信範囲内から外れていることを検知した場合に、上記画像形成装置の動作条件を、上記携帯端末装置と通信する前の状態に戻すように制御する。
【0012】
【発明の実施の形態および実施例】図1は、本発明の一実施例である画像形成装置1100を示すブロック図である。
【0013】画像形成装置1100は、画像形成装置1100の各種設定情報を記憶可能な携帯端末装置として、PDA(Personal Digital Assistant)を用いる。また、無線通信手段として、IrDAによる赤外線通信を用い、画像形成装置の設定情報として、原稿画像の読み取り条件と読み取った画像データの送信条件とを含む所定複数の設定内容である送信条件設定グループを用いる。
【0014】画像形成装置1100において、コントローラユニット(Controller Unit)1000は、画像入力デバイスであるスキャナ1070と、画像出力デバイスであるプリンタ1095とに接続され、一方では、イーサネット(登録商標)等のLAN1011、公衆回線(WAN)1051、PDA2000と接続することによって、画像情報、デバイス情報を入出力するためのコントローラである。
【0015】コントローラユニット1000において、CPU1001は、システム全体を制御し、RAM1002は、CPU1001が動作するためのシステムワークメモリであり、画像データを一時記憶する画像メモリでもあり、また、PDA2000から転送されるデータを一時的に格納する機能も有する。ROM1003は、ブートROMを有し、システムのブートプログラムを格納している。
【0016】ハードディスクドライブ(HDD)1004は、システムソフトウェアや画像データを格納する。SRAM1015は、保持しているデータが電源遮断によって失われることを防ぐために、電池でバックアップされているメモリである。
【0017】操作部I/F1006は、操作部(UI)1012とのインタフェース部であり、操作部1012に表示すべき画像データを、操作部1012に出力する。また、操作部1012を介して、ユーザが入力した情報を、CPU1001に伝える。
【0018】ネットワーク部(Network)1010は、LAN1011に接続され、情報の入出力を行う。モデム(Modem)1050は、公衆回線1051に接続され、情報を入出力する。
【0019】IrDA通信部I/F1009は、IrDA通信部1013とのインタフェース部であり、PDA2000への送信データをIrDA通信部1013に出力し、また、PDA2000から赤外線通信1014によって、IrDA通信部1013が受信したデータを、CPU1001に伝える。
【0020】上記各デバイスが、システムバス1007上に配置されている。
【0021】イメージバスインタフェース(Image Bus I/F)1005は、システムバス1007と、画像データを高速で転送する画像バス1008との間に接続され、データ構造を変換するバスブリッジである。画像バス1008は、PCIバスまたはIEEE1394で構成されている。
【0022】画像バス1008上には、ラスターイメージプロセッサ(RIP)1060と、デバイスI/F部1020と、スキャナ画像処理部1080と、プリンタ画像処理部1090と、画像回転部1030と、画像圧縮部1040とが配置されている。
【0023】ラスターイメージプロセッサ(RIP)1060は、PDLコードをビットマップイメージに展開する。デバイスI/F部1020は、画像入出力デバイスであるスキャナ1070とプリンタ1095とコントローラ1000とに接続され、画像データを同期系または非同期系に変換する。
【0024】スキャナ画像処理部1080は、スキャナ1070から入力された画像データを、補正、加工、編集する。
【0025】プリンタ画像処理部1090は、プリント出力画像データについて、プリンタ1095を、補正、解像度変換等を行う。
【0026】画像回転部1030は、画像データを回転する。画像圧縮部1040は、多値画像データについて、JPEGの圧縮伸張処理を行い、2値画像データについて、JBIG、MMR、MHの圧縮伸張処理を行う。
【0027】なお、CPU1001は、ROM1003内のプログラム用ROMまたはHDD1004に記憶されている制御プログラム等に基づいて、システムバス1007に接続されている各種デバイスとの間におけるアクセスを総括的に制御する。
【0028】そして、画像入力部インタフェース1071を介して接続されているスキャナ1070から入力情報を読み込み、印刷部インタフェース1096を介して接続されているプリンタ1095に、出力情報としての画像信号を出力する。
【0029】ROM1003内のプログラム用ROMには、後述するフローチャートに示す動作に対応する制御プログラムが記憶されている。また、ROM1003内のデータ用ROMは、電気的に書き換え可能なEPPROMのデータ用ROMであり、後述する各種データ等を格納可能である。RAM1002は、CPU1001の主メモリであり、ワークエリア等として機能する。
【0030】なお、携帯端末装置は、ノートPCであっても、携帯電話でも、電子手帳であってもよい。プリンタ1095は、レーザビーム方式であっても、レーザビーム方式以外の電子写真方式(たとえばLED方式)でも、液晶シャッタ方式、インクジェット方式、熱転写方式、昇華方式でもその他のプリント方式であってもよい。IrDA通信部1013とPDA2000との間で行う通信として、赤外線通信1014の代わりに、赤外線通信以外のBluetooth通信等の無線電波を使用するようにしてもよい。
【0031】図2は、画像形成装置1100のシステム構成を示す図である。
【0032】画像形成装置1100において、画像入力デバイスであるスキャナ1070は、原稿上の原稿画像を照明し、CCDラインセンサを走査することによって、ラスターイメージデータ1071として、原稿画像を電気信号に変換する。原稿用紙を、原稿フィーダ1072のトレイ1073にセットし、操作部1012を介して、ユーザが読み取り起動指示することによって、コントローラCPU1001がスキャナ1070に指示1071を与え、フィーダ1072は、原稿用紙を1枚ずつフィードし、原稿画像を読み取る。
【0033】画像出力デバイスであるプリンタ1095は、ラスターイメージデータ1096を、用紙上の画像に変換する部分である。プリント動作の起動は、コントローラCPU1001からの指示1096によって開始する。プリンタ1095は、異なる用紙サイズまたは異なる用紙向きを選択できるように、複数の給紙段を持ち、それに対応した用紙カセット1101、1102、1103、1104を有する。また、排紙トレイ1111は、印字し終わった用紙を受けるものである。
【0034】IrDA通信部1013は、赤外線通信1014によって、PDA2000との間でデータの送受信を行う。この際、IrDA通信部1013は、CPU1001から供給された送信データをエンコードし、送信し、受信データをデコードし、IrDA通信部I/F1009に入力する。
【0035】次に、PDA2000について説明する。
【0036】図3は、PDA2000の構成を示すブロック図である。
【0037】PDA2000は、各種情報を表示するLCD2001と、赤外線通信1014を介して、画像形成装置1100との間でデータを送受信するIrDA通信部2003と、各種入力ボタン2002とを有する。
【0038】PDA2000は、その全体の制御を行うCPU2004と、PDA2000を制御するプログラムを格納しているROM2005と、このプログラムを実行する上で必要な各種データや、PDA2000に入力された文字、画像等のデータや、画像形成装置1100から受信したデータを記憶するRAM2006を備えている。CPU2004は、IrDA通信部I/F2010とIrDA通信部2003とを介して、画像形成装置1100と間でデータを送受信する。
【0039】LCD表示部2001において、LCD上にタッチパネルシート2007が貼られている。また、LCD表示部2001には、操作画面とソフトキーとが表示され、それらのキーが押下されると、その座標の位置情報がCPU2004に伝えられる。
【0040】入力I/F2008は、タッチパネル2007またはボタン2002から、ユーザ入力を受け取り、入力I/F2008を介して、CPU2004が操作内容を取得する。
【0041】取得した操作内容と制御プログラムとに基づいて、CPU2004が表示画面データを生成し、画面出力デバイスを制御する出力I/F2009を介して、LCD表示部2001に表示画面を出力する。
【0042】次に、画像形成装置1100におけるPDAの検知方法、送信条件設定グループの読み込み、記憶の処理手順について説明する。
【0043】図4は、画像形成装置1100における第1の制御処理手順の一例を示すフローチャートである。
【0044】ROM1003内のプログラム用ROMに格納されているプログラムに基づいて、CPU1001が、必要に応じて適時実行する。
【0045】まず、S5001では、現在表示している画面について、操作部1012からの入力を監視する。いずれかの入力があると、ステップS5002に移行し、送信条件設定グループをPDA2000から読み込む指示が入力されたか否かを判定する。読み込む指示が入力されなければ、ステップS5001に戻り、操作部1012からの入力の監視を繰り返す。
【0046】一方、送信条件設定グループをPDA2000から読み込む指示が入力されたと判断された場合(S5002)、S5003では、CPU1001が、IrDA通信部I/F1009を介して、IrDA通信部1013からPDA検出信号を送信させる。この際、制限時間内に、PDA2000が画像形成装置1100の有効通信範囲内にあるか否かを検知するために、CPU1001が、図示しないタイマを作動させる。
【0047】S5004では、タイマの制限時間内に、PDA2000から応答信号を受信したか否かを判断し、応答信号を受信していないと判断された場合には、S5006では、PDA2000が画像形成装置1100の有効通信範囲内にないことを、操作部1012を介して、ユーザに通知する。その後、ステップS5001の処理に戻り、操作部1012からの入力の監視を繰り返す。
【0048】一方、S5004で、タイマの制限時間内にPDA2000から応答信号を受信したと判断した場合、S5005では、CPU1001が、IrDA通信部I/F1009を介して、IrDA通信部1013からPDA2000に、送信条件設定グループのデータを要求する信号を送信する。この際、制限時間内に、送信条件設定グループのデータを、PDA2000から正しく受信できるか否かを検知するために、CPU1001はタイマを作動させる。
【0049】S5007では、タイマの制限時間内に、PDA2000から送信条件設定グループのデータを正しく受信したか否かを判断し、正しく受信していないと判断した場合には、S5003に戻り、PDA検出信号を送信し、画像形成装置1100の有効通信範囲内にPDA2000が存在しているか否かを再度検知する。
【0050】一方、S5007で、タイマの制限時間内に、PDA2000から送信条件設定グループのデータを正しく受信したと判断した場合、S5008では、現在の送信条件設定グループのデータを、SRAM1015に退避させる。
【0051】次に、S5009で、PDA2000から受信した送信条件設定グループのデータをRAM1002に格納し、それを送信条件設定グループとして設定する。
【0052】次に、S5010では、PDA2000の所有者が画像形成装置1100を使用している状態であるか否かを検知するために、CPU1001が、IrDA通信部I/F1009を介して、IrDA通信部1013からPDA検出信号を送信する。この際、制限時間内に、画像形成装置1100の有効通信範囲内にPDA2000が存在しているか否かを検知するために、CPU1001はタイマを作動させる。
【0053】そして、S5011では、タイマの制限時間内に、PDA2000から応答信号を受信したか否かを判断し、応答信号を受信したと判断した場合、ステップS5010の処理に戻る。
【0054】一方、S5011で、PDA2000が画像形成装置1100の有効範囲内に存在しなくなり、タイマの制限時間内に、PDA2000から応答信号を受信していないと判断した場合、S5012では、SRAM1015から、変更前の送信条件設定グループのデータを読み出し、この読み出されたデータを、送信条件設定グループとして設定する。
【0055】S5013では、PDA2000から受信した送信条件設定グループのデータを、RAM1002から消去する。その後、ステップS5001の処理に戻り、操作部1012からの入力の監視を繰り返す。

第4 刊行物に記載された発明
以上の記載によれば、刊行物1には次の発明(以下、刊行物1発明という。)が記載されている。

a.画像形成装置と携帯端末装置との通信
上記刊行物1の【0001】の記載によれば、刊行物1に記載された発明は「本発明は、携帯端末装置に記憶されている設定情報に従って、画像形成装置の動作条件を設定する画像形成装置およびその制御方法に関するものである。」とあるから、画像形成装置の制御方法の発明であるといえる。
そして、【0032】、【0033】、【0034】記載によれば、画像形成装置は、画像をスキャンするスキャナと、スキャンした画像をプリントするプリンタと、PDA2000との間でデータの送受信を行うIrDA通信部とを備えている。
また、【0042】ないし【0052】の記載によれば、画像形成装置は、PDA2000との間で通信を行い、PDA2000から送信条件設定グループのデータを受信し、それを送信条件設定グループとして設定している。【0013】によれば、送信条件設定グループは、「原稿画像の読み取り条件と読み取った画像データの送信条件とを含む所定複数の設定内容である」から、画像形成装置の動作条件の設定内容といえ、画像形成装置は、当該設定内容に従い、画像の読み取りや、送信、印刷等を行っていることが記載されているといえる。
以上のことから、刊行物1には、画像をスキャンするスキャナと、スキャンした画像をプリントするプリンタと、PDA2000との間でデータの送受信を行うIrDA通信部とを備えた画像形成装置において、画像形成装置は、PDA2000との間で通信を行い、PDA2000から送信条件設定グループのデータを受信し、当該設定内容に従い、画像の読み取りや、送信、印刷等を行う画像形成装置の制御方法に関する発明が開示されているといえる。

b.画像形成装置とPDA2000との通信の開始
上記刊行物1の【0045】、【0046】の記載によれば、「まず、S5001では、現在表示している画面について、操作部1012からの入力を監視する。いずれかの入力があると、ステップS5002に移行し、送信条件設定グループをPDA2000から読み込む指示が入力されたか否かを判定する。読み込む指示が入力されなければ、ステップS5001に戻り、操作部1012からの入力の監視を繰り返す。一方、送信条件設定グループをPDA2000から読み込む指示が入力されたと判断された場合(S5002)、S5003では、CPU1001が、IrDA通信部I/F1009を介して、IrDA通信部1013からPDA検出信号を送信させる。この際、制限時間内に、PDA2000が画像形成装置1100の有効通信範囲内にあるか否かを検知するために、CPU1001が、図示しないタイマを作動させる。」とあるから、画像形成装置と、PDA2000との通信は、操作部1012からの入力が送信条件設定グループをPDA2000から読み込む指示であった場合開始されるといえる。
すなわち、画像形成装置に対して、操作者が送信条件設定グループをPDA2000から読み込む指示を与えると、画像形成装置とPDA2000との通信が開始されるといえる。

c.送信条件設定グループの送信(受信)
上記刊行物1の【0046】ないし【0051】の記載によれば、送信条件設定グループをPDA2000から読み込む指示が入力されたと判断された場合、PDA検出信号を送信させ、PDA2000から応答信号を受信したと判断した場合、S5005では、CPU1001が、IrDA通信部I/F1009を介して、IrDA通信部1013からPDA2000に、送信条件設定グループのデータを要求する信号を送信し、PDA2000から送信条件設定グループのデータを正しく受信したと判断した場合、PDA2000から受信した送信条件設定グループのデータをRAM1002に格納し、それを送信条件設定グループとして設定しているといえる。
したがって、画像形成装置とPDA2000との通信が確立していると判断された場合、操作者の操作によることなく(すなわち自動的に)、PDA2000から、送信条件設定グループが送信され、画像形成装置は上記PDA2000から送信された送信条件設定グループを受信しているということができる。

d.画像形成装置の処理
刊行物1の画像形成装置は【0001】ないし【0004】の記載を見ると、原稿画像をスキャンして生成された画像データを、ネットワークを介して、相手先デバイスに送信するFAX等の画像形成装置であって、送信を行う前に、原稿の読み取り解像度等の画像読み取り条件や、宛先や電話番号等の送信条件等、装置の動作条件を設定するものであることが前提であることが理解できる。
すなわち、刊行物1の画像形成装置は、原稿の読み取り解像度等の画像読み取り条件や、宛先や電話番号等の送信条件等、装置の動作条件を設定し、その設定に基づき画像をスキャンして、生成された画像データを送信するものを前提しているといえる。
そして、【0004】ないし【0007】の記載を見ると、従来技術として、上記設定をカードに記憶されている設定情報に基づき行うときに生じる課題を解決することを目的とし、【0011】に記載された、設定情報を携帯端末から得る構成を採用したといえる。
また、上記画像形成装置に与える「原稿の読み取り解像度等の画像読み取り条件や、宛先や電話番号等の送信条件等、装置の動作条件」は【0013】の記載によれば、「画像形成装置の設定情報として、原稿画像の読み取り条件と読み取った画像データの送信条件とを含む所定複数の設定内容である送信条件設定グループを用いる。」とあるから、送信条件設定グループと言い換えることができる。
以上のことから、刊行物1の画像形成装置は、携帯端末(PDA2000)から得た送信条件設定グループに基づき、原稿の読み取り解像度等の画像読み取り条件や、宛先や電話番号等の送信条件等、装置の動作条件を設定し、その設定に基づき画像をスキャンして、生成された画像データを送信するものといえる。

e.接続の終了
刊行物1の【0054】、【0055】の記載によれば、PDA2000が画像形成装置1100の有効範囲内に存在しなくなり、PDA2000から応答信号を受信していないと判断したとき、変更前の送信条件設定グループのデータを読み出し、この読み出されたデータを、送信条件設定グループとして設定し、PDA2000から受信した送信条件設定グループのデータを、RAM1002から消去する構成が開示されている。
PDA2000が画像形成装置1100の有効範囲内に存在しなくなり、PDA2000から応答信号を受信していない状態は、画像形成装置とPDA2000との通信が行われていないことに等しいから、画像形成装置とPDAとの通信が行われなくなるとPDA2000から受信した送信条件設定グループのデータを、ユーザが操作すること無しに(すなわち、自動的に)削除しているといえる。

f.まとめ
以上まとめると、刊行物1に記載された発明(刊行物1発明)として以下の発明を認定できる。

画像をスキャンするスキャナと、スキャンした画像をプリントするプリンタと、PDA2000との間でデータの送受信を行うIrDA通信部とを備えた画像形成装置において、画像形成装置は、PDA2000との間で通信を行い、PDA2000から送信条件設定グループのデータを受信し、当該設定内容に従い、画像の読み取りや、送信、印刷等を行う画像形成装置の制御方法に関する発明であって、
画像形成装置に対して、操作者が送信条件設定グループをPDA2000から読み込む指示を与えると、画像形成装置とPDA2000との通信が開始され、
画像形成装置とPDA2000との通信が確立していると判断された場合、操作者の操作によることなく(すなわち自動的に)、PDA2000から、送信条件設定グループが送信され、画像形成装置は上記PDA2000から送信された送信条件設定グループを受信し、
携帯端末(PDA2000)から得た送信条件設定グループに基づき、原稿の読み取り解像度等の画像読み取り条件や、宛先や電話番号等の送信条件等、装置の動作条件を設定し、その設定に基づき画像をスキャンして、生成された画像データを送信し、
画像形成装置とPDAとの通信が行われなくなるとPDA2000から受信した送信条件設定グループのデータを自動的に削除する方法。

第5 対比
上記刊行物1発明と、本願発明とを対比する。

a.「携帯機器に対するユーザーの介入なしに、前記携帯機器を対象とした文書スキャニングジョブを前記携帯機器とスキャナ装置との間の無線相互接続の使用を介し実行する方法であって」

刊行物1発明の「PDA2000」、「原稿の読み取り」、「スキャナを有する画像形成装置」が、
本願発明の「携帯端末」、「文書スキャニングジョブ」、「スキャナ装置」に対応することは明らかであるから、刊行物1発明は、携帯機器を対象とした文書スキャニングジョブを前記携帯機器とスキャナ装置との間の無線相互接続の使用を介し実行する方法であるといえる。
もっとも、刊行物1発明では、携帯機器に対するユーザーの介入の有無に関して特定されていないから、携帯機器に対するユーザーの介入なしにであるか明らかでない点で相違する。

b.「前記携帯機器と前記スキャナ装置との間の無線接続の確立を自動的に行うステップ」
刊行物1発明は、前記携帯機器と前記スキャナ装置との間の無線接続の確立を操作者が画像形成装置(の操作部1012)に対して指示することで行っているといえ、「前記携帯機器と前記スキャナ装置との間の無線接続の確立を行うステップ」を有しているといえるものの、当該確立を、本願発明では「自動的に行う」のに対し、刊行物1発明では、操作者が画像形成装置(の操作部1012)に対して指示することで行っている点で異なる。

c.「前記携帯機器で、自動的に確立された接続を介して、スキャニングテンプレートと、特定のユーザー若しくは特定の携帯機器を識別するための識別子とを自動的に送信するステップ」
本願発明のスキャニングテンプレートと刊行物1発明の送信条件設定グループは、上記スキャナにて画像を読み取る処理を行うための各種設定値、あるいは設定条件である点で相違はない。
したがって、刊行物1発明の「画像形成装置とPDA2000との通信が確立していると判断された場合、操作者の操作によることなく(すなわち自動的に)、PDA2000から、送信条件設定グループが送信され」ることは、本願発明の「前記携帯機器で、確立された接続を介して、スキャニングテンプレートを自動的に送信するステップ」といえる。
もっとも、刊行物1発明は、上記b.で検討したように、その接続は自動的に確立されたものではなく、また、本願発明の「特定のユーザー若しくは特定の携帯機器を識別するための識別子」を自動的に送信する構成は有していない。

d.「前記スキャナ装置で、前記自動的に確立された接続を介して前記スキャニングテンプレート及び前記識別子の受信を自動的に行い、さらに、システムによる前記識別子に基づく認証チェックの後、スキャンジョブを特定する1又は複数のパラメータを有する前記受信が行われたスキャニングテンプレートを表示し、その後に、必要に応じて前記スキャナ装置のユーザーインターフェースを介した前記スキャンジョブの特定を待ち受け、且つ、ジョブ開始指示が出るのを待ち受け、その後に、スキャンデータを創出すべく前記スキャンジョブを特定されたように実行するステップ」
刊行物1発明の画像形成装置は「画像形成装置とPDA2000との通信が確立していると判断された場合、操作者の操作によることなく(すなわち自動的に)、PDA2000から、送信条件設定グループが送信され、画像形成装置は上記PDA2000から送信された送信条件設定グループを受信し」ているから、送信条件設定グループを、自動的に受信しているといえる。
そして、上記b.で検討したように、刊行物1発明は、その接続は自動的に確立されたものではなく、また、上記c.で検討したように刊行物1発明は識別子の構成を有していないから、「(特定のユーザー若しくは特定の携帯機器を識別するための)前記識別子」を自動的に受信する構成は有しておらず、したがって、「さらに、システムによる前記識別子に基づく認証チェックの後」の構成も有していない。
さらに、刊行物1発明は、「携帯端末(PDA2000)から得た設定情報に基づき、原稿の読み取り解像度等の画像読み取り条件や、宛先や電話番号等の送信条件等、装置の動作条件を設定し、その設定に基づき画像をスキャンして、生成された画像データを送信」するのであるから、スキャンデータを創出すべく前記スキャンジョブを携帯端末から得た設定情報に基づき特定されたように実行するステップを有しているといえる。
もっとも、本願発明は、上記スキャンジョブを特定されたように実行する際に、「スキャンジョブを特定する1又は複数のパラメータを有する前記受信が行われたスキャニングテンプレートを表示し、その後に、必要に応じて前記スキャナ装置のユーザーインターフェースを介した前記スキャンジョブの特定を待ち受け、且つ、ジョブ開始指示が出るのを待ち受け、その後に」スキャンジョブを特定されたように実行すると特定されているが、刊行物1発明は、そのような構成を有していない点で相違する。
すなわち、本願発明と刊行物1発明とは、携帯機器から受信したスキャニングテンプレートに基づき特定されたように実行する点で共通するものの、上記「基づき」が、本願発明では「スキャンジョブを特定する1又は複数のパラメータを有する前記受信が行われたスキャニングテンプレートを表示し、その後に、必要に応じて前記スキャナ装置のユーザーインターフェースを介した前記スキャンジョブの特定を待ち受け、且つ、ジョブ開始指示が出るのを待ち受け、その後に」と特定されているのに対し、刊行物1発明では、そのように特定されていないといえる。
以上まとめると、刊行物1発明は、「前記スキャナ装置で、確立された接続を介して前記スキャニングテンプレートの受信を自動的に行い、スキャンデータを創出すべく前記スキャンジョブを携帯機器から受信したスキャニングテンプレートに基づき特定されたように実行するステップ」を有している点で、本願発明と相違がない。
もっとも、本願発明は、接続は自動的に確立されたものであるのに対し、刊行物1発明は、自動的に確立されたものではなく、
また、本願発明は、特定のユーザー若しくは特定の携帯機器を識別するための識別子を自動的に受信し、さらに、システムによる前記識別子に基づく認証チェックを行う構成を有しているのに対し、刊行物1発明はそのような構成を有しておらず、
さらに、本願発明は、「上記スキャンジョブを携帯機器から受信したスキャニングテンプレートに基づき特定されたように実行する」の「基づき」が、「スキャンジョブを特定する1又は複数のパラメータを有する前記受信が行われたスキャニングテンプレートを表示し、その後に、必要に応じて前記スキャナ装置のユーザーインターフェースを介した前記スキャンジョブの特定を待ち受け、且つ、ジョブ開始指示が出るのを待ち受け、その後に」と特定されているのに対し、刊行物1発明では、「基づき」がそのように特定されていない点で相違する。

e.「前記スキャナ装置で、前記自動的に確立された接続を介して前記スキャンデータを、ユーザーの介入を受けていない前記携帯機器に自動的に送信し、その後に、前記自動的に確立された接続を閉じ、かつ、その後に、前記スキャニングテンプレート及び自動的に送信された前記スキャンデータを自動的に削除するステップ」
刊行物1発明の画像形成装置は「携帯端末(PDA2000)から得た送信条件設定グループに基づき、原稿の読み取り解像度等の画像読み取り条件や、宛先や電話番号等の送信条件等、装置の動作条件を設定し、その設定に基づき画像をスキャンして、生成された画像データを送信し、
画像形成装置とPDAとの通信が行われなくなるとPDA2000から受信した送信条件設定グループのデータを自動的に削除する」構成を有しており、刊行物1発明の画像形成装置、送信条件設定グループ、PDAが、本願発明のスキャナ装置、スキャニングテンプレート、携帯機器に相当することは、先に検討したとおりであるから、刊行物1発明は、「前記スキャナ装置で、確立された接続を介して前記スキャンデータを、自動的に送信し、前記スキャニングテンプレートを自動的に削除するステップ」を有しているといえる。
もっとも、刊行物1発明の確立された接続は、前記自動的に確立された接続ではないことは先に検討したとおりである。
また、刊行物1発明は、その前提とする技術が「相手先デバイスに送信するFAX等の画像形成装置」であるから、前記スキャンデータを、ユーザーの介入を受けていない前記携帯機器に送信しているということはできない。
また、本願発明では、「(自動的に送信し、)その後に、前記自動的に確立された接続を閉じ、かつ、その後に、」前記スキャニングテンプレートを自動的に削除するのに対し、刊行物1発明では、「(自動的に送信し、)画像形成装置とPDAとの通信が行われなくなると」送信条件設定グループのデータを自動的に削除する点で相違する。
さらに、本願発明では、自動的に送信された前記スキャンデータを自動的に削除する構成を有しているのに対し、刊行物1発明では、そのような構成を有していない。

f.まとめ(対比)
以上まとめると、本願発明と刊行物1発明とは、以下の一致点で一致し、相違点で相違するといえる。

(一致点)
携帯機器を対象とした文書スキャニングジョブを前記携帯機器とスキャナ装置との間の無線相互接続の使用を介し実行する方法であって:
前記携帯機器と前記スキャナ装置との間の無線接続の確立を行うステップ;
前記携帯機器で、前記確立された接続を介して、スキャニングテンプレートを自動的に送信するステップ;
前記スキャナ装置で、前記確立された接続を介して前記スキャニングテンプレートの受信を自動的に行い、スキャンデータを創出すべく前記スキャンジョブを携帯機器から受信したスキャニングテンプレートに基づき特定されたように実行するステップ;及び
前記スキャナ装置で、前記確立された接続を介して前記スキャンデータを、自動的に送信し、前記スキャニングテンプレートを自動的に削除するステップ;
を実行することを特徴とする方法。

相違点1
刊行物1発明では、携帯機器に対するユーザーの介入の有無に関して特定されていないから、携帯機器に対するユーザーの介入なしに(無線相互接続の使用を介し実行する方法)であるか明らかでない点。

相違点2
携帯機器とスキャナ装置との間の無線接続の確立を、本願発明では「自動的に行う」のに対し、刊行物1発明では、操作者が画像形成装置(の操作部1012)に対して指示することで行っている点。

相違点3
刊行物1発明は識別子の構成を有しておらず、したがって、
「携帯機器で、特定のユーザー若しくは特定の携帯機器を識別するための識別子を自動的に送信する構成」、
「スキャナ装置で、前記識別子の受信を自動的に行い、さらに、システムによる前記識別子に基づく認証チェックの後」の構成、
をそれぞれ有していない点。

相違点4
本願発明は、「上記スキャンジョブを携帯機器から受信したスキャニングテンプレートに基づき特定されたように実行する」の「基づき」が、「スキャンジョブを特定する1又は複数のパラメータを有する前記受信が行われたスキャニングテンプレートを表示し、その後に、必要に応じて前記スキャナ装置のユーザーインターフェースを介した前記スキャンジョブの特定を待ち受け、且つ、ジョブ開始指示が出るのを待ち受け、その後に」と特定されているのに対し、刊行物1発明では、「基づき」がそのように特定されていない点。

相違点5
刊行物1発明は、その前提とする技術が「相手先デバイスに送信するFAX等の画像形成装置」であるから、前記スキャンデータを、ユーザーの介入を受けていない前記携帯機器に送信しているということはできない点。

相違点6
本願発明では、「(自動的に送信し、)その後に、前記自動的に確立された接続を閉じ、かつ、その後に、」前記スキャニングテンプレートを自動的に削除するのに対し、刊行物1発明では、「(自動的に送信し、)画像形成装置とPDAとの通信が行われなくなると」送信条件設定グループのデータを自動的に削除する点。

相違点7
本願発明では、自動的に送信された前記スキャンデータを自動的に削除する構成を有しているのに対し、刊行物1発明では、そのような構成を有していない点。

第6 判断
a.相違点1、相違点2について
まず、本願発明の相違点1に係る構成である「携帯機器に対するユーザーの介入なしに、前記携帯機器を対象とした文書スキャニングジョブを前記携帯機器とスキャナ装置との間の無線相互接続の使用を介し実行する方法」の記載について検討する。
意見書において請求人は、『請求項1、2、及び9のそれぞれに「携帯機器に対するユーザーの介入なしに、」なる記載を追加しました。この補正は、明細書の段落[0011]等の記載に基づいており、特許法第17条の2第3項の規定に反するものではありません。』と述べている。
本願明細書の発明の詳細な説明【0011】には、以下のとおりの記載がある。

【0011】
それにより当該近傍は、無線信号強度が所定の閾値を得られる領域として自動的に規定される。閾値の及ぶ範囲は、ユーザーによる明示的な介入なしに、スキャニングテンプレートのアップロードをバックグラウンドで自動的にトリガーする。間欠的かつ積極的に近傍のスキャナ装置を探索する携帯機器のアクティブプロセスを介して認識が行われる。当然のことながら、係るアクティブプロセスはユーザー個人により選択的に非アクティブとされてもよい。当該認識では、識別信号を放送するためのトランシーバハードウェアを駆動する放送送信プロセスが、本発明に従ったワークステーションにおいてバックグラウンドで起動されている。当該プロセスはまた、スキャニングステーションからのリターン信号を受けて、アドレスの動的割り当てを可能にし、複数のワークステーションが単一のスキャンステーションに並行してサインアップできるようにしてもよい。

上記記載は、スキャンジョブに付随する操作の全体的な手順を表すフローチャートのブロックS1(処理のスタート)からブロックS2(クライアントワークステーションが近隣に存在するかが確認される)の間に、近傍のスキャナ装置を探索する携帯機器のアクティブプロセスを介して認識が行われる処理について説明している記載である。
したがって、本願発明の「携帯機器に対するユーザーの介入なしに、前記携帯機器を対象とした文書スキャニングジョブを前記携帯機器とスキャナ装置との間の無線相互接続の使用を介し実行する」とは、携帯機器とスキャナ装置との接続を開始する際に、近傍のスキャナ装置を探索する携帯機器のアクティブプロセスを介して認識が行われるから、上記接続がユーザの介入なしに行われることをいうものであると捉えることができる。
すなわち、相違点1の「携帯機器に対するユーザーの介入なしに(無線相互接続の使用を介し実行する方法)」の携帯機器に対するユーザの介入なしにとは、通信の確立を行う際に携帯機器に対する操作者の操作が必要無いことであるといえる。
ところで、相違点2は「携帯機器とスキャナ装置との間の無線接続の確立を、本願発明では「自動的に行う」のに対し、刊行物1発明では、操作者が画像形成装置(の操作部1012)に対して指示することで行っている点。」であるから、本願発明ではスキャナ装置と携帯機器との無線接続の確立を操作者の操作を必要としない構成について相違点2としているから、結局相違点1と相違点2とは同じ構成に対する相違点のことを指すといえる。
したがって、以下では、相違点1、相違点2について、本願発明では「通信の確立を行う際に携帯機器に対する操作者の操作が必要無い」こと、すなわち、「携帯機器とスキャナ装置との間の無線接続の確立を自動的に行う」のに対して、刊行物1発明では、操作者の操作に基づき通信の確立を行う点について検討する。

刊行物1には「IrDA通信部1013とPDA2000との間で行う通信として、赤外線通信1014の代わりに、赤外線通信以外のBluetooth通信等の無線電波を使用するようにしてもよい。」の記載があり、刊行物1発明のIrDA通信部1013とPDA2000との間で行う通信を、Bluetooth通信を採用しても良い示唆がある。
したがって、刊行物1発明のIrDA通信部1013とPDA2000との間で行う通信を、Bluetooth通信を採用した構成について検討する。
Bluetooth通信がどのような通信方式であるかは、当審における拒絶の理由の通知において引用された刊行物2(特開2003-76650号公報)に以下のとおり記載されている。

【0114】そして、Bluetooth 等のインターフェースを介して、外部機器5からアクセスがあった場合には、所定の通信プロトコルによる通信の確立を行い、その後、ジョブなどの動作指示があった場合には、そのジョブをジョブ管理テーブル15bにおいて管理すると共に、動作指示の順序に従って処理を行う。
【0115】ここで、Bluetooth による無線通信を例として、各外部機器5から依頼された処理を順次行うと共に、各外部機器5から得られた外部機器に関する情報に応じてデジタル複合機10の動作範囲を特定する処理手順について、図1に示すフローチャートを用いて説明すれば、以下の通りである。
【0116】なお、本実施形態のデジタル複合機10は、基本的に常時Bluetooth による各外部機器5からのアクセスを監視している。
【0117】例えば、スキャナ部11またはプリンタ部12の待機中はもちろんのこと、原稿の読み取り、原稿の複写、プリント等の受け付けた処理を行っているとき、さらに、デジタル複合機10の一部が何らかの要因で一時的に停止している時であっても、各外部機器5からのアクセスが可能な状態となっている。
【0118】デジタル複合機10は、図1に示すように、ステップ1(以下、S1と記す。ステップ2以下についても同様)において、Bluetooth による新たな通信がないか常に監視している。
【0119】そして、新たな通信要求があれば、Bluetooth ユニット4を介して、外部機器5からの送信要求を受信し、S2において、Bluetooth で規定された必須プロファイルであるGAP(Generic Access Profile)、SDP(Service Discoveryapplication Profile )、およびその他通信内容に応じたプロファイルの交信を行う。
【0120】そして、デジタル複合機10は、S3において、外部機器5に関する機器情報に含まれる利用者情報を受信する。
【0121】この利用者情報は、外部機器5の利用者に関するユーザIDやパスワードであり、該利用者情報を基にしてデジタル複合機10に通信してきた外部機器5の利用者を特定できる。
【0122】なお、S2で通信を行うGAP、SDPと重複する通信内容は、S3で省略するか、もしくはS2・S3の何れか一方のみで行ってもよい。
【0123】続いて、デジタル複合機10は、S4において、受信した利用者情報を基にして、アクセスしてきた外部機器5の利用者の判別を行うとともに、利用者管理テーブル15aに登録された利用者情報と該判別した利用者とが一致するか否かの確認を行う。
【0124】そして、S5において、一致するか否かの確認の結果に応じて、デジタル複合機10の動作範囲の特定内容を決定するが、この特定内容を決定する工程に関しては、後段にて詳述する。

上記記載によれば、デジタル複合機(刊行物1発明の画像形成装置に対応する。)は、常時Bluetooth による各外部機器5(刊行物1発明のPDA2000に対応する。)からのアクセスを監視し、Bluetooth による新たな通信がないか常に監視し、新たな通信要求があれば、Bluetooth ユニット4を介して、外部機器5からの送信要求を受信し、S2において、Bluetooth で規定された必須プロファイルであるGAP(Generic Access Profile)、SDP(Service Discoveryapplication Profile )、およびその他通信内容に応じたプロファイルの交信を行い、デジタル複合機10は、外部機器5に関する機器情報に含まれる利用者情報を受信し、デジタル複合機10は、受信した利用者情報を基にして、アクセスしてきた外部機器5の利用者の判別を行うとともに、利用者管理テーブル15aに登録された利用者情報と該判別した利用者とが一致するか否かの確認を行い、一致するか否かの確認の結果に応じて、デジタル複合機10の動作範囲の特定内容を決定する構成であることが理解できる。
また、刊行物2の構成において、「Bluetooth による各外部機器5(刊行物1発明のPDA2000に対応する。)からのアクセスを監視し、Bluetooth による新たな通信がないか常に監視し、新たな通信要求があれば」とは、外部機器が、Bluetooth による通信が可能となる範囲にあること、すなわち、通信が有効となる範囲内に外部機器があるか否かを監視していることといえる。
すなわち、デジタル複合機と外部機器との通信は、デジタル複合機が外部機器からの通信要求を監視し、外部機器が通信が有効となる範囲内に存在することを検出したときから開始され、通信が確立されているといえるから、当該通信の確立に操作者の操作が必要無いことは明らかである。
そして、刊行物1には、【0011】に「【課題を解決するための手段】本発明は、携帯端末装置が無線通信の有効通信範囲内に存在していることを検知した場合に、上記携帯端末装置から受信した設定情報に従って、上記画像形成装置の動作条件を設定し、一方、上記携帯端末装置が無線通信の有効通信範囲内から外れていることを検知した場合に、上記画像形成装置の動作条件を、上記携帯端末装置と通信する前の状態に戻すように制御する。」とあるように、刊行物1発明では、携帯端末装置が無線通信の有効通信範囲内に存在していることを検知した場合に、上記携帯端末装置から受信した設定情報に従って、上記画像形成装置の動作条件を設定する構成を実現しようとしており、刊行物1発明に、刊行物1に記載された示唆に基づき、Bluetooth通信を採用するとき、刊行物2ある、外部機器が通信が有効となる範囲内に存在することを検出することで通信を開始する、通信の確立に操作者の操作が必要無い構成を採用することは当業者が容易になし得たことである。

なお、本願発明の「携帯機器に対するユーザーの介入なしに、前記携帯機器を対象とした文書スキャニングジョブを前記携帯機器とスキャナ装置との間の無線相互接続の使用を介し実行する方法」について、請求人の主張に基づいて、相違点2の「携帯機器とスキャナ装置との間の無線接続の確立を自動的に行う」ことと同じことであるとして判断したが、本願発明では、携帯機器に対するユーザーの操作を必要とせずに、本願発明の各ステップの動作が実現しているので、上記本願発明の「携帯機器に対するユーザーの介入なしに」が、当該各ステップにおいて「携帯機器に対するユーザーの介入なしに」動作することをいう場合についても検討する。

刊行物1発明は、
「画像をスキャンするスキャナと、スキャンした画像をプリントするプリンタと、PDA2000との間でデータの送受信を行うIrDA通信部とを備えた画像形成装置において、画像形成装置は、PDA2000との間で通信を行い、PDA2000から送信条件設定グループのデータを受信し、当該設定内容に従い、画像の読み取りや、送信、印刷等を行う画像形成装置の制御方法に関する発明であって、
画像形成装置に対して、操作者が送信条件設定グループをPDA2000から読み込む指示を与えると、画像形成装置とPDA2000との通信が開始され、
画像形成装置とPDA2000との通信が確立していると判断された場合、操作者の操作によることなく(すなわち自動的に)、PDA2000から、送信条件設定グループが送信され、画像形成装置は上記PDA2000から送信された送信条件設定グループを受信し、
携帯端末(PDA2000)から得た送信条件設定グループに基づき、原稿の読み取り解像度等の画像読み取り条件や、宛先や電話番号等の送信条件等、装置の動作条件を設定し、その設定に基づき画像をスキャンして、生成された画像データを送信し、
画像形成装置とPDAとの通信が行われなくなるとPDA2000から受信した送信条件設定グループのデータを自動的に削除する方法。」
であって、「携帯機器に対するユーザーの介入なしに無線相互接続の使用を介し実行する方法」であるか特定されていない点は、上記「第5 a.」にて検討したとおりである。

しかし、上記刊行物1発明の方法において「送信条件設定グループが送信」、「送信条件設定グループを受信」、「装置の動作条件を設定」、「画像をスキャン」、「画像データを送信」、「送信条件設定グループのデータを自動的に削除」の各動作が行われるきっかけとして、操作者は携帯端末に対して、何らの操作も行っていない。
また、「通信が開始」に際して、刊行物1発明では操作者の操作が必要であるが、これを刊行物2に記載されたBluetooth通信を採用し、操作者の操作を必要としない構成とすることは、先に検討したとおり当業者が容易になし得たことである。
したがって、仮に、本願発明の「携帯機器に対するユーザーの介入なしに」が、本願発明の各ステップにおいて「携帯機器に対するユーザーの介入なしに」動作することをいうとしても、刊行物1発明において、上記相違点1の構成とすることは、当業者が容易になし得たことである。

b.相違点3について
刊行物1発明において、上記相違点2についてで検討したように、刊行物1の示唆に基づきBluetooth通信を採用することは容易になし得たことであるといえる。
ところで、刊行物1発明は、引用文献1の【0002】を参酌すると、「オフィスやコンビニエンスストア等、不特定多数のユーザが使用する場所に設置され」るような画像形成装置を想定している。
このような、不特定多数のユーザが使用するような画像形成装置に、Bluetooth通信を採用すれば、ユーザが装置にある程度近づけば通信の確立がなされる(規格として想定しているのは10m程度)ことは技術常識であり、通信の確立がなされた他の装置により画像形成装置の操作が可能であることが十分想定できる。
すなわち、IrDAのように通信の確立をユーザの意志で開始する構成から、Bluetooth通信のように通信の確立が自動で行われる構成に変更した場合、何らかのセキュリティ対策を行わなければ、悪意を持ったユーザが画像形成装置に近づき、自動的に通信を確立させ、画像形成装置を悪意を持って操作することが可能であることは十分想定することができ、そのような操作を防止するため、利用者を特定するIDやパスワードを用いて利用者の認証を行った後、画像形成装置の操作を可能とすることは、上記b.に摘記した刊行物2(特開2003-76650号公報)の、例えば【0120】-【0123】にあるように普通に採用される構成であるから、刊行物1発明に当該構成を採用することは、当業者が容易になし得たことである。

c.相違点4について
刊行物1発明において「携帯端末(PDA2000)から得た設定情報に基づき、原稿の読み取り解像度等の画像読み取り条件や、宛先や電話番号等の送信条件等、装置の動作条件を設定し、その設定に基づき画像をスキャン」するとき、常時携帯端末から得た設定情報のままスキャンができるとは限らず、必要に応じて、上記設定情報を変更することは当然想定することができる。
そして、そのような設定変更の必要性を考慮し、設定情報を画像形成装置に送信した後、画像形成装置に設定状態を表示し、ユーザが当該設定状態の変更を可能とすることは、当審における拒絶の理由の通知において引用された刊行物3(特開平5-273823号公報、特に【0038】等)にあるように、よく知られた構成であるから、刊行物1発明において、当該構成を採用し、上記相違点4の構成とすることは、当業者が容易になし得たことである。

刊行物3(特開平5-273823号公報)
【0038】
このようにして、使用者が複写機本体3に近づくまでに、所有するICカード2に記憶された動作モードの設定情報が複写機本体3に設定される。そして、使用者は、このように動作モードが設定された複写機本体3に原稿を置くと、設定された動作モードを見て、変更したい部分があれば、モードキー311 を操作して動作モードを変更し、希望の動作モードが設定できた時点でプリントキー314 をオンする。

d.相違点5について
相違点5は、刊行物1発明においてスキャンした画像の送信先は、「宛先や電話番号等」で指定される外部機器であるのに対し、本願発明ではその送信先がスキャン等の設定状態を記憶した携帯端末である点で相違するというものである。
刊行物1の携帯端末(PDA)の構成について検討する。
【0035】-【0041】にはPDAの構成が記載されているが、上記PDAは【0037】に「各種情報を表示するLCD2001と、赤外線通信1014を介して、画像形成装置1100との間でデータを送受信するIrDA通信部2003と、各種入力ボタン2002とを有する。」とあるから、PDAは画像形成装置から、データを受信する構成を有している。
また、【0038】には「このプログラムを実行する上で必要な各種データや、PDA2000に入力された文字、画像等のデータや、画像形成装置1100から受信したデータを記憶するRAM2006を備えている。」とあるから、上記画像形成装置から受信したデータを記憶する構成を有している。
そして、【0039】には「CPU2004が表示画面データを生成し、画面出力デバイスを制御する出力I/F2009を介して、LCD表示部2001に表示画面を出力する。」とあるから、PDAは表示画面にCPUが生成した表示画面データを表示する構成を有している。
上記記載に、RAMには、「文字データ」、「画像データ」、「画像形成装置から受信したデータ」を記憶するとあるから、画像形成装置から受信した何らかのデータを記憶することを前提としており、また、画像データを記憶することも可能なRAMであるから、画像形成装置において、スキャンした画像を受信して記憶することが可能であることは、当業者であれば容易に想起し得たことである。
そして、画像形成装置から、携帯端末に画像を送信する構成は、当審における拒絶の理由の通知において引用された刊行物2にあるように普通に行われることであり、刊行物1発明において画像形成装置でスキャンし送信した画像を、その後利用(例えば、送信した画像を確認する等。)しようとすることは、当然想定されうることであるから、刊行物1発明において、画像形成装置でスキャンした画像を受信し記憶すること、すなわち、画像形成装置が携帯端末に送信するようにすることは、当業者が容易になし得たことである。

e.相違点6について
刊行物1発明において、「画像形成装置とPDAとの通信が行われなくなる」状態について検討する。
刊行物1の記載(【0052】ないし【0054】)によれば、「画像形成装置をPDA2000の所有者が使用している状態であるか否かを検出するため・・・画像形成装置1100の有効通信範囲内にPDA2000が存在しているか否かを検知・・・S5011で、PDA2000が画像形成装置1100の有効範囲内に存在しなくなり、タイマの制限時間内に、PDA2000から応答信号を受信していないと判断した場合」とあるから画像形成装置とPDAとの通信が行われなくなる」状態とは、画像形成装置をPDA2000の所有者が使用していない状態であるといえる。
すなわち、PDA2000の所有者が画像形成装置を使用しているか否かを、通信が行われているか否かを検出することにより、間接的に検出しているといえる。
ところで、PDA2000の所有者は、画像形成装置を使用して、画像をスキャンし送信するのであるから、使用している状態から、使用しているか否かを検出し、使用していない状態となるには、普通、上記使用を完結して(すなわち、スキャンし送信し終える。)使用しない状態となることを想定することは当然のことである。
すなわち、上記刊行物1発明の、画像形成装置とPDAとの通信が行われなくなる状態を判別することは、結局、ユーザがスキャンした画像を送信し終えたことを間接的に検出していることであるといえ、上記ユーザによる送信という処理が終われば、当該ユーザによるスキャン処理は終了しているのであるから、上記終了の後すみやかに、他のユーザが画像形成装置を利用することができるように、スキャニングテンプレートの削除を行おうとすることは当業者が容易に想到し得たことである。
このとき、先に処理が終了したユーザとの接続が閉じられていないと、例えば、先のユーザの携帯端末にあるスキャニングテンプレートが、再び画像形成装置に送られてしまうような事態が発生することも考えられることから、(送信し、)その後に、確立された接続を閉じ、かつ、その後に、スキャニングテンプレートを自動的に削除することは当業者が容易になし得たことである。

f.相違点7について
ジョブの終了後、画像処理装置に一時的に保存された画像データを自動的に削除することは、当審における拒絶の理由の通知において引用された刊行物4ないし7等にあるとおり、本願出願前周知の技術事項であり、当該構成を刊行物1発明に適用することは当業者が容易になし得たことである。

第7 効果
以上のように、上記相違点は、当業者が容易に想到し得たものと認められ、本願発明全体としてみても格別のものはなく、その作用効果も、上記構成の採用に伴って当然に予測される程度のものにすぎず、格別顕著なものがあるとは認められない。

第8 まとめ
したがって、本願発明は、刊行物1ないし3に記載された発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

第9 むすび
以上のとおり、本願の請求項1に係る発明は、刊行物1ないし3に記載さ
れた発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、本願は、残る請求項2ないし12に係る発明について検討するまでもなく、拒絶をすべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2013-09-24 
結審通知日 2013-10-01 
審決日 2013-10-15 
出願番号 特願2005-180703(P2005-180703)
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (H04N)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 國分 直樹  
特許庁審判長 渡邊 聡
特許庁審判官 松尾 淳一
千葉 輝久
発明の名称 ワークステーションとスキャナ装置との間の無線相互接続の使用を介し、リモートワークステーションを対象とした文書スキャニングジョブを実行する装置及びシステム  
代理人 伊東 忠重  
代理人 伊東 忠彦  
代理人 大貫 進介  

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ