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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 G11B
管理番号 1285277
審判番号 不服2013-24842  
総通号数 172 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2014-04-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2013-12-17 
確定日 2014-03-31 
事件の表示 特願2009-232524「基板搬送装置、及び磁気記録媒体の製造方法」拒絶査定不服審判事件〔平成22年 6月17日出願公開、特開2010-135049、請求項の数(1)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1.手続の経緯

本願は、平成21年10月6日(優先権主張 平成20年10月28日)の出願であって、平成25年5月10日付け拒絶理由通知に対する応答時、同年7月9日付けで手続補正がなされたが、同年9月24日付けで拒絶査定がなされ、これに対して、同年12月17日付けで拒絶査定不服審判の請求がなされたものである。

第2.本願発明

本願の請求項1に係る発明は、平成25年7月9日付けの手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される、次のとおりのものである。
「【請求項1】
ゲートバルブを介して互いに連結された第1チャンバおよび第2チャンバと、
前記ゲートバルブが開かれた状態で前記第1チャンバから前記第2チャンバに搬送路に沿ってキャリアを搬送する搬送機構と、
前記第2チャンバの中の停止位置に前記キャリアが停止したときに前記キャリアの先端を検知するための第1停止位置センサと、
前記停止位置に前記キャリアが停止したときに前記キャリアの後端を検知するための第2停止位置センサと、
前記第1停止位置センサと前記第2停止位置センサとの間に配置され、前記キャリアが前記停止位置に到達する前に前記キャリアを検知するセンサと、
前記センサからの検知信号に基づいて、前記キャリアが前記停止位置に到達する前に前記ゲートバルブに閉動作を開始させ、前記第1停止位置センサおよび前記第2停止位置センサの検知信号に基づいて、前記第2チャンバの中で所定の処理が行われるように制御を行う制御部と、
を備えることを特徴とする基板搬送装置。」

第3.原査定の理由の概要

「1.この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。


<引用文献等一覧>
1.特表2002-516240号公報
2.特開2005-066753号公報
3.特開2005-138010号公報
4.特開2004-018922号公報

[理由1]
・請求項 :1-6
・引用文献:1-4
・備考
引用文献1(特に、段落0096、0097、図9、10)には、基板搬送装置の発明であって、基板を各処理チャンバに搬送するためのシャトルを有し、シャトルが目標位置に達しない処理チャンバの中間位置に達したことを検出するセンサを備えた発明が記載されている。さらに、引用文献1には、上記の点に加えて、レーザーを用いて基板の前縁を感知させてもよいことが記載されている。
ここで、引用文献2(特に、段落0004-0006)には、ワーク搬送システムの発明において、高スループット化のために、チャンバのゲートが閉動作をしている途中で、ワークをゲートに接触させないようにゲート位置を通過させる点が記載されている。
また、チャンバのシャッターの開閉制御を行う際に、基材が搬送される処理室内に基材感知センサを設け、該センサの感知信号により行うものや、基板搬送の動作時間に基づいて行うものは、引用文献3(特に、段落0024)や引用文献4(特に、段落0045)に記載されているように、周知技術に過ぎない。
してみると、引用文献1に記載された発明において、チャンバーのゲートが閉動作をしている途中で、ワークをゲートに接触させないようにゲート位置を通過させ、また、シャッターの開閉制御を、センサや基板搬送の動作時間に基づいて行うことは、当業者であれば容易に想到し得るものである。そして、センサの配置については、設計的な事項に過ぎない。
したがって、請求項1-6に係る発明は、引用文献1-4に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明することができるものである。」

第4.当審の判断

1.刊行物の記載事項
(1)引用例1
原査定の拒絶の理由に引用された特表2002-516240号公報(以下、「引用例1」という。)には、「基板搬送・処理装置」について、図面とともに以下の各記載がある(なお、下線は当審で付与した。)。
ア.「【請求項24】 動き方向に対して前縁を有する基板を処理する装置であって、前記装置は:
第1のチャンバと;
前記第1のチャンバと連通する第2のチャンバであって、前記第2のチャンバ内の目標位置で基板にプロセスを実行するように構成され、目標位置で基板を支持するリフトメカニズムを含む第2のチャンバと;
上部に画定される基板保持位置で基板を保持し、基板保持位置から所与の距離離間隔をおいた前方縁を有し、前記第1のチャンバと前記第2のチャンバ間のシャトル経路に沿って可動の基板搬送シャトルであって、目標位置にあるとき、前記基板搬送シャトルとリフトメカニズム間で基板が交換されるように構成および配設された基板搬送シャトルと;
シャトル経路に沿って配置され、基板搬送シャトルの前方縁または基板の前縁が前記所定距離だけ目標位置から離れた中間位置に達する時を検出するように構成されたセンサと;
シャトル経路に沿って基板搬送シャトルの動きを制御し、基板搬送シャトルの前方縁または基板の前縁が中間位置に達したことを示すセンサからの入力を受信するように構成され、基板搬送シャトルが中間位置を超えて所定距離移動するとき、前記基板搬送シャトルの動きを終了させる、制御システムと、
を具備する、基板処理装置。」

イ.「【請求項31】 前記基板搬送シャトルが、その下側に歯形ラックを有し、前記第1および第2のチャンバの周囲に沿って配置された複数のガイドローラにより支持され、各駆動メカニズムが、モータとピニオンギヤを有し、前記ピニオンギヤを前記歯型ラックに機械的に結合可能にして、前記基板搬送シャトルを移動させる、請求項30記載の装置。」

ウ.「ロードロックチャンバ50および52の間には、ロードロックチャンバ間で直列に接続された複数の処理チャンバ54Aから54Cがある。各処理チャンバ54Aから54Cは、各処理チャンバの第1および第2の端部でそれぞれ、第1および第2の仕切弁56Aから56Cおよび58Aから58Cを含む(図3も参照)。仕切弁56Aは、閉鎖時に処理チャンバ54Aからロードロックチャンバ50を選択的に密封し、開放時に仕切弁56Aを通して基板を搬送させる。・・・・(以下、略)」

エ.「【0050】
処理区域の両側に沿って(図1、3、5、7Aから7C)、各ロードロックチャンバおよび各処理チャンバは、シャトルがチャンバを通るさいに、片方または両方のシャトルを支持および案内するように配置された複数のガイドローラ対98(例えば、処理チャンバの側面には2つローラおよびロードロックの側面には3つのローラ)を含む。ガイドローラ98は、Teflon(登録商標)コートされたアルミニウム、Vespel(登録商標)、または微粒子を発生させず、振動を小さくするために柔軟な任意の他の材料であってよい。この替わりとして、運動を滑らかにするために、サスペンションが採用されてもよい。
・・・・・(中 略)・・・・・
【0052】
図3を参照すると、処理チャンバ54Aから54Cのそれぞれとロードロックチャンバとの間に、ハウジングがそれぞれシャトル駆動メカニズム100を含むチャンバ遮断弁がある。図1、3、9に示されているように、チャンバ50および54A間には、駆動メカニズム100があり、チャンバ54Aおよび54B間には、駆動メカニズム100’があり、チャンバ54Bおよび54C間には、駆動メカニズム100’’があり、さらにチャンバ54Cおよび52間には、駆動メカニズム100’’’がある。駆動メカニズム100に関して、この駆動メカニズムは、チャンバ50との間にバルブドアがないため、チャンバ50内にあるものと考えてよい。したがって、この駆動メカニズムを「第1のチャンバ用駆動メカニズム」と呼ぶことがある。同様に、駆動メカニズム100’は、「第2のチャンバ用駆動メカニズム」であり、以下同様である。これらの駆動メカニズムについて総括的に記載する場合、本願明細書では、「駆動メカニズム100」という用語が使用され、上記の駆動メカニズムすべてに関して一般に記載しているものであることを理解されたい。さらに、各駆動メカニズム100は、シャトルのラックを係合して、作業流れ経路の関連部分に沿ってシャトルを移動させるピニオンギヤ106と関連付けしたものである。同様に、駆動メカニズム100がピニオンギヤ106を駆動し、駆動メカニズム100’がピニオンギヤ106’を駆動し、以下同様である。
【0053】
駆動メカニズムが弁ハウジング内に配置される上記のような構造により、例えば、TFT形成時には要求されることが多い処理チャンバ内の微粒子の汚染が低減される。また、このような処理区域のレイアウトにより、各チャンバが同様の構造をもち、相互に交換可能であるため、高度な基準寸法が容易になる。各遮断弁のハウジング内には1つの駆動メカニズムがある状態では、使用するシャトルの長さは、以下にさらに詳細に記載するように、駆動メカニズム間の関連する距離よりも一般に長いものである。さらに、使用するシャトルの全長は、シャトルが通過する任意の処理チャンバよりも一般に長いものである。」

オ.「【0063】
基板126の任意の加熱およびロードロックチャンバ50および第1の処理チャンバ54Aのポンプダウン後、基板126がロードロックチャンバ50にあるシャトル70上に支持されると、弁56Aは、ロードロックチャンバ50および処理チャンバ54A間を連通するように開かれてよい。シャトルがこのような初期位置に動くと、ロードロック50の駆動メカニズム100のピニオンギヤが、シャトルのレールの下流の端部に隣接するシャトル70のラックに係合される。基板を処理チャンバに移動させるために、駆動メカニズム100のモータに動力を供給して、弁56Aを介して、第1の処理チャンバへとシャトルを下流に移動させる。シャトルが第1の処理チャンバ54Aの目標位置に到達すると、その動きが停止し、シャトルと基板が目標位置に留まる。」

カ.「【0068】
基板126を支持するシャトル70が処理チャンバ54Aに入ると、基板126およびシャトルフィンガ86A、86B、88A、88Bは、図8Aに示すように、第1の高さにあるサセプタ130の上方を通る。リフトピン134は、サセプタ130に対して延長した位置にあるか、または後退した位置にあるものであってよい(図8Aおよび図8Bに図示)。基板126およびシャトル70が、サセプタ130のすぐ上側の目標位置で停止すると、サセプタ130および/またはリフトピン134が上昇する。リフトピンプレート138、リフトピン134および/またはサセプタ130が上昇すると、ピン(延長位置で静止)は、基板126(図8A)の下側と接触し、シャトル70との係合を解除して基板126を上昇させる(図8B)。このような中間位置に基板126を設けた状態で、シャトル70は、処理チャンバ54Aから引き抜かれ、フィンガ86A、86B、88A、88Bが、リフトピン134の周辺と基板126とサセプタ130間を通り、シャトル70の交差部材80A、80Bの少なくとも1つが、基板126の上方を通る。シャトル70は、ロードロックチャンバ50に引かれてもよいし、第2の処理チャンバ54Bまたはそれを超えた場所に運ばれて、例えば、他のチャンバなどに輸送することで他の基板用に働いてもよい。しかしながら、シャトル70がチャンバ54Aから出ると、チャンバ54Aは、弁56A(および、弁58Aおよび56Bが開いていればこれらの弁も)を閉めることにより、密閉されてよい。次いで、リフトピン134は、サセプタ130に対して下降されて、サセプタ130の上方に基板を配置する。
【0069】
この点で、処理が開始されてよい。処理が終了し、任意の処理ガスが排気されると(必要であれば)、弁56Aを開いて、ロードロックチャンバ50と処理チャンバ54Aを連通させてもよい。また、弁58Aおよび56Bは、シャトルが下流に運ばれる場合、開いているものであることは言うまでもない。次いで、リフトピン134およびピンプレート138が上昇して、サセプタ130の上方に基板を上昇させることで、基板はリフトピン上に支持される。基板126を処理チャンバ54Aに配送する場合と同様の方法で、シャトル70は処理チャンバ54Aに戻される。シャトルが目標位置に近づくと、フィンガ86A、86B、88A、88Bは、リフトピン134の周辺を通過しながら、基板126とサセプタ130間を通過する。交差部材80Aは、基板126上を通過する。シャトル70が目標位置に到達すると、サセプタ130および/またはピン134は、フィンガ86A、86B、88A、88Bがピン134から基板126を獲得している間、図8Aの位置まで降下されてよい。」

キ.「【0096】
図10を参照すると、各チャンバは、横断中央平面304を有する。各横断中央平面304は、関連するチャンバを通るシャトルの経路と交差して延び、このような基板がチャンバ内で処理を行うために所望の位置に配置されるとき、基板の横断中央線により画定される目標位置と一致する。各処理チャンバは、このようなチャンバの横断中央平面304内に略配置されたセンサ306を含む。チャンバの中央の位置は、チャンバの外部の位置が熱膨張により変化しても、温度に対して略不変である。したがって、センサ306の位置は、基板をチャンバに配置するために、目標位置に対して温度に略不変である。また、センサが対称に設けられていることにより、右側と左側のシャトルが、同じセンサのセットを容易に使用できる。
【0097】
センサ306は、シャトル経路に沿ってセンサ306のそばを通るシャトルのトリガ特徴と相互作用する構造をもつ。図10Aに図示した実施形態では、センサ306は、フォトディテクタ307Bの方向に光ビームを向けるフォトエミッタ307Aからなるものであってよい。光ビームは、センサ306を隣接して通るシャトルレール74Aの前縁により分裂される。光ビームが分裂すると、シャトルが、目標位置に達しない位置である処理チャンバの中間位置に達したことを表す入力信号を制御システム111に送信する。図10に示されているように、レールの前縁は、シャトル70上の所望の位置に保持された基板126の横断中央線309で規定されるシャトル70上の基板保持位置から所定距離Dだけ前方に位置する。センサから入力信号を受信すると、制御システムにより、中間位置からさらに前方にシャトル70が運ばれ、シャトル70が同じ距離Dだけ前方に移動して、基板をチャンバに搬送するための所望の位置上にシャトル70が到達すると、シャトル70の移動が終了する。また、以下に記載するように、エラー補正が用いられてもよい。」

・上記引用例1に記載の「基板搬送・処理装置」は、上記「ア.」の記載事項によれば、第1のチャンバと、第1のチャンバと連通する第2のチャンバであって、当該第2のチャンバ内の目標位置で基板にプロセスを実行するように構成され、目標位置で基板を支持するリフトメカニズムを含む第2のチャンバ(処理チャンバ)と、基板を保持し、第1のチャンバと第2のチャンバ間のシャトル経路に沿って可動の基板搬送シャトルであって、目標位置にあるとき、当該基板搬送シャトルとリフトメカニズム間で基板が交換されるように構成および配設された基板搬送シャトルとを具備する基板搬送・処理装置に関するものである。
・上記「イ.」、「エ.」の記載事項、及び図3等によれば、基板搬送シャトルは、その下側に歯形ラックを有し、第1および第2のチャンバの周囲に沿って配置された複数のガイドローラにより支持され、2つのチャンバ間にはモータとピニオンギヤを有する駆動メカニズムが設けられ、ピニオンギヤを基板搬送シャトルの歯型ラックに機械的に結合して当該基板搬送シャトルを移動させるようにしたものである。
・上記「ウ.」、「オ.」、「カ.」の記載事項、及び図3等によれば、2つのチャンバ間には仕切弁が設けられ、基板搬送シャトルによって基板を処理チャンバに搬送する際には仕切弁を開き、処理チャンバ内で基板に対してプロセスを実行する際には仕切弁を閉じるようになされるものである。
・上記「ア.」、「オ.」、「キ.」の記載事項、及び図10によれば、シャトル経路に沿ったチャンバの中央位置に配置され、基板搬送シャトルの前方縁が所定距離だけ目標位置から離れた中間位置に達する時を検出するように構成されたセンサと、シャトル経路に沿って基板搬送シャトルの動きを制御し、基板搬送シャトルの前方縁が中間位置に達したことを示すセンサからの入力を受信するように構成され、基板搬送シャトルが中間位置を超えて所定距離だけ移動して目標位置に到達すると、基板搬送シャトルの動きを終了させる制御システムとを備えるものである。
・そして、上記「エ.」の段落【0053】に記載のように、基板搬送シャトルの全長は、処理チャンバのよりも長く、そのため、上記「カ.」に記載のように、基板を支持する基板搬送シャトルが処理チャンバに入った後、処理チャンバ内で基板に対してプロセスを実行するために仕切弁を閉じるには、まず、基板を基板搬送シャトルからリフトメカニズム(リフトピン)に受け渡し、基板搬送シャトルを処理チャンバから引き抜く(退避させる)必要がある。

したがって、上記記載事項及び図面を総合勘案すると、引用例1には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されている。
「第1のチャンバと、
前記第1のチャンバと仕切弁を介して連通する第2のチャンバであって、当該第2のチャンバ内の目標位置で基板にプロセスを実行するように構成され、目標位置で基板を支持するリフトメカニズムを含む第2のチャンバと、
基板を保持し、前記第1のチャンバと前記第2のチャンバ間のシャトル経路に沿って可動し、前記第2のチャンバ内の目標位置にあるとき、前記基板搬送シャトルとリフトメカニズム間で基板が交換されるように構成および配設された基板搬送シャトルであって、その下側には歯形ラックを有し、前記第1および第2のチャンバの周囲に沿って配置された複数のガイドローラにより支持された基板搬送シャトルと、
前記第1および第2のチャンバ間に設けられ、モータとピニオンギヤを有し、当該ピニオンギヤを前記基板搬送シャトルの前記歯形ラックに機械的に結合して当該基板搬送シャトルを移動させる駆動メカニズムと、
シャトル経路に沿った前記第2のチャンバの中央位置に配置され、前記基板搬送シャトルの前方縁が所定距離だけ目標位置から離れた中間位置に達する時を検出するように構成されたセンサと、
シャトル経路に沿って前記基板搬送シャトルの動きを制御し、当該基板搬送シャトルの前方縁が前記中間位置に達したことを示す前記センサからの入力を受信するように構成され、前記基板搬送シャトルが前記中間位置を超えて前記所定距離だけ移動して目標位置に到達すると、前記基板搬送シャトルの動きを終了させる制御システムと、を備え、
前記基板搬送シャトルによって基板を前記第2のチャンバに搬送する際には前記仕切弁を開き、前記第2のチャンバ内で基板に対してプロセスを実行する際には前記仕切弁を閉じるようになされ、その際、前記基板搬送シャトルの全長は前記第2のチャンバのよりも長いため、基板を支持する前記基板搬送シャトルが前記第2のチャンバに入った後、当該第2のチャンバ内で基板に対してプロセスを実行するには、まず、基板を前記基板搬送シャトルから前記リフトメカニズムに受け渡し、前記基板搬送シャトルを前記第2のチャンバから退避させ、その後に前記仕切弁を閉じるようにした基板搬送・処理装置。」

(2)引用例2
同じく原査定の拒絶の理由に引用された特開2005-66753号公報(以下、「引用例2」という。)には、「ワーク搬送システムの制御方法」について、図面とともに以下の各記載がある(なお、下線は当審で付与した。)。
ア.「【請求項1】
それぞれゲートをそなえた複数のチャンバと、前記チャンバ相互間にワークを搬入および搬出させる搬送ロボットをそなえたワーク搬送システムにおいて、搬送元チャンバから搬送先チャンバに前記搬送ロボットによりワークを搬送する搬送軌跡を設定し、前記搬送軌跡に沿って搬送されるワークが、チャンバのゲートが開閉動作中に、このゲートに接触しない程度に近接してゲート位置を通過する搬送速度を演算し、速度制御することを特徴とするワーク搬送システムの制御方法。
【請求項2】
前記搬送軌跡に、搬入されるワークを搬送先チャンバのゲートに接触しないように停止させることができる距離にある第1の点と、ワーク先端が前記ゲートに機械的に干渉する直前の第2の点を設定し、第1の点において、搬送ロボットの速度パターンにより第2の点に到達する時間と、ゲートがワークと接触しない開度になる時間とを演算し、2つの時間によって第2の点までの速度を算出する請求項1のワーク搬送システムの制御方法。
【請求項3】
前記搬送軌跡に、搬出されるワークの後端が搬出元チャンバのゲートに機械的に干渉しない位置である第2の点を設定し、前記搬送軌跡によるワークの搬出時に、ワークが第2の点に搬出される時間と、ゲートがワークと接触しない開度に閉じる時間とを演算し、2つの時間によって、搬出開始とゲートの閉動作の開始との時間を算出し、搬送のタイミングと速度を制御する請求項1のワーク搬送システムの制御方法。」

イ.「【0004】
しかるに、このような従来の搬送制御方法では、ワークWが搬送元のチャンバ31から完全に搬出されるまではゲート32を閉じる操作が行われず、ゲートの閉動作が遅れ、このゲート32が完全に閉じてからでないと搬送先のチャンバ33のゲート34を開くことができないので、ゲート34の開動作が遅れることになる。また、搬送先のチャンバ33のゲート34が完全に開くまではワークWの搬入を行わないため、ゲート34が完全に開いた状態のときに、ワークWはゲート前の点P15までしか搬送できない。このため、ゲートの開閉やワークの搬出搬入に実質的な待ち時間を生じている。
本発明は、ゲートの開閉動作中であっても、ワークをゲート位置に搬送させて、高スループット化を実現させることを目的とする。」

ウ.「【0009】
図2のトランスチャンバ20からプロセスチャンバ23に、ワークWを搬入する場合について、搬送制御方法を説明する。
まずワークWがアーム22に保持され搬送を開始すると、速度パターンB生成処理(ステップ1)で点P3を最終位置とした速度パターンBを生成し、この速度パターンによって搬送ロボット21がワークWを搬送軌跡Aに沿って搬送させる。ワークWが点P1に到達した時点(ステップ2)で、ゲート24の開度検出器25よりゲートの開閉情報26を入手してゲートの開度状態をチェックする(ステップ3)。ゲート24が既に開いている場合は(ステップ8)でそのまま速度パターンBの速度を継続し、何らかの事情でゲートが閉じている場合は(ステップ9)で直ちに減速停止させる。ゲートが開動作の途中であれば、速度パターンBの速度を維持して搬送した場合にワークがゲートと接触するかどうかを(ステップ4)で演算し判断する。
【0010】
たとえば、ゲート開閉情報26が、図3のゲート開度G1であれば、ゲートの開速度は決まっているので、ワークWがゲート位置に到達するまでの時間(P1からP2への搬送時間)と、その時間でゲートがワークに接触しない位置G2まで開くか否かにより、ワークとゲートが接触するかどうかが判断される。
この判断結果で、接触しない場合は(ステップ8)によりそのまま速度を継続する。接触すると判断された場合は、(ステップ5)で接触しない速度を算出し、変更した速度パターンCを生成し(ステップ6)連続して搬送する。なお、速度パターンBは、搬送時間を小さくするため、できるだけ高速にしているため、速度パターンCは速度パターンBより通常は減速される。
ワークが点P2を通過(ステップ7)した後は、ゲート24はワークと接触しないよう十分に開いているので、(ステップ8)で速度パターンBに戻して搬送終点点P3で停止させる。」

エ.「【0012】
ワークWをプロセスチャンバ23から搬出する時は、搬出速度と点P3から点P2までの距離によってワークWを点P2まで搬出する時間と、ゲートがワークと接触しない開度G2まで閉まる時間を演算し、この2つの時間によって、搬出開始とゲートの閉動作の開始との時間を算出する。
点P3と点P2の距離が小さく、搬出時間がゲートの閉動作時間より長いときは、搬出を開始して前記2つの時間の時間差に応じたタイミングでゲートの閉動作を行わせ、搬出時間がゲートの閉動作時間より小さいときは、先にゲートを動作させ、時間差で搬出を開始する。これにより搬出開始からゲートが完全に閉まるまでの時間を短縮できる。
なお、点P3と点P2の距離が十分に大きければ、点P3とP2の間にP1に相当する点を設け、速度パターンを変えるようにすることができる。」

・上記引用例2に記載の「ワーク搬送システムの制御方法」は、上記「ア.」の【請求項1】、「イ.」の記載事項によれば、それぞれゲートをそなえた複数のチャンバと、前記チャンバ相互間にワークを搬入および搬出させる搬送ロボットをそなえたワーク搬送システムにおいて、チャンバのゲートが開閉動作中であっても、ワークをゲートに接触しない程度に近接してゲート位置を通過させることにより、高スループット化を実現させるようにしたワーク搬送システムの制御方法に関するものである。
・具体的には、上記「ア.」の【請求項2】、「ウ.」の記載事項によれば、チャンバへのワークの搬入時には、搬入されるワークをチャンバのゲートに接触しないように停止させることができる距離にある第1の点と、ワーク先端が前記ゲートに機械的に干渉する直前の第2の点を設定し、第1の点において、搬送ロボットの速度パターンBにより第2の点に到達する時間と、ゲートがワークと接触しない開度になる時間とを演算し、2つの時間を比較することによって、ワークとゲートが接触するかどうかを判断し、接触しないと判断した場合には、そのままの速度を継続し、接触すると判断した場合には、接触しなくなるような減速した速度を算出し、第2の点までその算出した速度パターンCに変更してワークを搬送するように制御するものである。
・また、上記「ア.」の【請求項3】、「エ.」の記載事項によれば、チャンバからのワークの搬出時には、ワーク後端がゲートに機械的に干渉しない位置である第2の点を設定し、ワークが第2の点に搬出される時間と、ゲートがワークと接触しない開度に閉じる時間とを演算して、2つの時間を比較し、搬出時間がゲートの閉動作時間より小さいときは、先にゲートを動作させ、時間差で搬出を開始するように制御するものである。

したがって、上記記載事項及び図面を総合勘案すると、引用例2には、次の技術事項が記載されている。
「それぞれゲートをそなえた複数のチャンバと、前記チャンバ相互間にワークを搬入および搬出させる搬送ロボットをそなえたワーク搬送システムにおいて、チャンバのゲートが開閉動作中であっても、ワークをゲートに接触しない程度に近接してゲート位置を通過させることにより、高スループット化を実現させるようにしたワーク搬送システムの制御方法であって、
チャンバへのワークの搬入時には、搬入されるワークをチャンバのゲートに接触しないように停止させることができる距離にある第1の点と、ワーク先端が前記ゲートに機械的に干渉する直前の第2の点を設定し、第1の点において、搬送ロボットの速度パターンBにより第2の点に到達する時間と、ゲートがワークと接触しない開度になる時間とを演算して2つの時間を比較することによって、ワークとゲートが接触するかどうかを判断し、接触しないと判断した場合には、そのままの速度を継続し、接触すると判断した場合には、接触しなくなるような減速した速度を算出し、第2の点までその算出した速度パターンCに変更してワークを搬送するように制御し、
チャンバからのワークの搬出時には、ワーク後端がゲートに機械的に干渉しない位置である第2の点を設定し、ワークが第2の点に搬出される時間と、ゲートがワークと接触しない開度に閉じる時間とを演算して、2つの時間を比較し、搬出時間がゲートの閉動作時間より小さいときは、先にゲートを動作させ、時間差で搬出を開始するように制御すること。」

(3)引用例3
同じく原査定の拒絶の理由に引用された特開2005-138010号公報(以下、「引用例3」という。)には、「常圧プラズマ処理装置」について、図面とともに以下の各記載がある(なお、下線は当審で付与した。)。
ア.「【0022】
次に、搬送ライン前段のプラズマ処理装置2について説明する。
図2に示すように、プラズマ処理装置2は、ハウジング20と、このハウジング20内に収容されたプラズマ処理ヘッド50(処理本体部)と、ハウジング20の外部に設けられた処理ガス供給源Sおよび電源V(電界印加手段)を備えている。
ハウジング20は、搬送ラインに沿う前後細長状をなしている。ハウジング20の後端部は、前記浸漬洗浄装置3のハウジング30の前端部と一体に連なっている。ハウジング20の内部に、コンベア1の前半部が収容されている。
・・・・・(中 略)・・・・・
【0024】
ハウジング20の前端の壁21と、隔壁22,23と、ハウジング20の後端の壁(浸漬洗浄ハウジング30との隔壁)24には、それぞれ基材90のための搬入出口21a,22a,23a,24aが形成されている。各搬入出口21a,22a,23a,24aには、それを開閉するシャッター(扉)41,42,43,44が設けられている。これらシャッター41,42,43,44は、通常、閉じられている。そして、基材90を出し入れするときのみ、開くようになっている。しかも、各バッファ室20b,20cにおいて、前後2つのシャッターのうちの一方が、基材90を出し入れすべく開いている時、他方のシャッターは、必ず閉じられている(図3、図4)。図示は省略するが、各搬入出口21a,22a,23a,24aの近傍には、そこに基材90が位置しているか否かを感知する基材感知センサがそれぞれ設けられている。各基材感知センサの感知信号は、装置M全体の動作を統括するコントローラ(制御手段)100に入力される。コントローラ100は、この入力信号に基づいてシャッター41?44の開閉制御を行なうようになっている。」

上記記載事項及び図面を総合勘案すると、引用例3には、次の技術事項が記載されている。
「プラズマ処理装置のハウジングに形成された基材のための各搬入出口には、基材を出し入れするときのみ開くシャッターが設けられるとともに、各搬入出口の近傍には、そこに基材が位置しているか否かを感知する基材感知センサがそれぞれ設けられ、コントローラ(制御手段)が、各基材感知センサの感知信号に基づいて各シャッターの開閉制御を行うこと。」

(4)引用例4
同じく原査定の拒絶の理由に引用された特開2004-18922号公報(以下、「引用例4」という。)には、「基板処理装置」について、図面とともに以下の各記載がある(なお、下線は当審で付与した。)。
ア.「【請求項8】
請求項7記載の基板処理装置であって、
前記制御手段は、前記第1の処理容器内が前記第1の圧力から前記第2の圧力となった時点で前記第1の処理容器と前記搬送室との間のゲートバルブを開き、基板交換作業が終了した時点で該ゲートバルブを閉じることを特徴とする基板処理装置。」

イ.「【0037】
真空ポンプ8の回転数が最大回転数の3.2×105rpmに達すると、第1の処理容器4内の圧力は10-4Paに到達し(ステップS3)、搬送室6内の圧力に等しくなる。この時点でゲートバルブ7Dを開き(ステップS4)、第1の処理容器4に搬送室6の基板搬送機構6aのアームが進入できるようにする。また、この時点で、回転数制御部9は、第1の処理容器の真空ポンプの回転数を下げ始める。
【0038】
ゲートバルブ7Dが開いたら、第1の処理容器4内の処理が終了した基板を搬基板搬送機構6aにより保持して搬出し、第2の処理容器5内に移すと同時に、次に処理を行う基板を、PCEM3から搬出して第1の処理容器4内へ搬入する。次に処理を行う基板の搬入作業入が終了したら(ステップS5)、ゲートバルブ7Dを閉じる(ステップS6)。」

ウ.「【0045】
なお、真空ポンプ8の回転数制御部9を含む基板処理装置全体の動作は、制御部10(制御手段)により制御される。したがって、基板搬送機構6aの制御、各ゲートバルブ7A?7Eの開閉動作、第1の処理容器への原料ガス及びパージガスの供給用バルブの開閉動作も、制御部10により行われる。これらの制御は、例えば処理容器の圧力や基板搬送機構の動作を検出するセンサからの信号に基づいて行われてもよく、また、予め動作時間に基づいたシーケンスを作成して行うこともできる。」

上記記載事項及び図面を総合勘案すると、引用例4には、次の技術事項が記載されている。
「基板処理装置において、基板搬送機構の制御、各ゲートバルブの開閉動作、第1の処理容器への原料ガスなどの供給用バルブの開閉動作等、基板処理装置全体の動作を制御する制御部を有し、これらの制御は、例えば処理容器の圧力や基板搬送機構の動作を検出するセンサからの信号に基づいて行われてもよく、
前記制御部は、各ゲートバルブの開閉動作について、第1の処理容器内が第1の圧力から搬送室内の圧力に等しい第2の圧力となった時点で前記第1の処理容器と前記搬送室との間のゲートバルブを開き、基板交換作業が終了した時点で当該ゲートバルブを閉じるように制御すること。」

2.対比
そこで、本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)と引用発明とを対比すると、
(1)引用発明における「第1のチャンバ」、「第2のチャンバ」、「仕切弁」は、それぞれ本願発明における「第1チャンバ」、「第2チャンバ」、「ゲートバルブ」に相当し、
引用発明における「第1のチャンバと、前記第1のチャンバと仕切弁を介して連通する第2のチャンバであって、当該第2のチャンバ内の目標位置で基板にプロセスを実行するように構成され、目標位置で基板を支持するリフトメカニズムを含む第2のチャンバと」によれば、
本願発明と引用発明とは、「ゲートバルブを介して互いに連結された第1チャンバおよび第2チャンバと」を備える点で一致する。

(2)引用発明における「シャトル経路」、「基板搬送シャトル」、「駆動メカニズム」は、それぞれ本願発明における「搬送路」、「キャリア」、「搬送機構」に相当し、
引用発明における「基板を保持し、前記第1のチャンバと前記第2のチャンバ間のシャトル経路に沿って可動し、前記第2のチャンバ内の目標位置にあるとき、前記基板搬送シャトルとリフトメカニズム間で基板が交換されるように構成および配設された基板搬送シャトルであって、その下側には歯形ラックを有し、前記第1および第2のチャンバの周囲に沿って配置された複数のガイドローラにより支持された基板搬送シャトルと、前記第1および第2のチャンバ間に設けられ、モータとピニオンギヤを有し、当該ピニオンギヤを前記基板搬送シャトルの前記歯形ラックに機械的に結合して当該基板搬送シャトルを移動させる駆動メカニズムと」、「前記基板搬送シャトルによって基板を前記第2のチャンバに搬送する際には前記仕切弁を開き・・」によれば、
本願発明と引用発明とは、「前記ゲートバルブが開かれた状態で前記第1チャンバから前記第2チャンバに搬送路に沿ってキャリアを搬送する搬送機構と」を備える点で一致することは明らかである。

(3)引用発明における「目標位置」、「センサ」、「制御システム」は、それぞれ本願発明における「停止位置」、「センサ」、「制御部」に相当し、
引用発明における「シャトル経路に沿った前記第2のチャンバの中央位置に配置され、前記基板搬送シャトルの前方縁が所定距離だけ目標位置から離れた中間位置に達する時を検出するように構成されたセンサと、シャトル経路に沿って前記基板搬送シャトルの動きを制御し、当該基板搬送シャトルの前方縁が前記中間位置に達したことを示す前記センサからの入力を受信するように構成され、前記基板搬送シャトルが前記中間位置を超えて前記所定距離だけ移動して目標位置に到達すると、前記基板搬送シャトルの動きを終了させる制御システムと」によれば、
センサは、目標位置に到達する前の中間位置にて基板搬送シャトルを検出しており、制御システムは、センサからの検出信号である入力に基づいて所定の制御を行っている(具体的には、基板搬送シャトルが中間位置を超えて所定距離だけ移動して目標位置に到達するように、当該基板搬送シャトルの動きを制御している)ことから、
本願発明と引用発明とは、後述の相違点を除いて「前記キャリアが前記停止位置に到達する前に前記キャリアを検知するセンサと、前記センサからの検知信号に基づいて、所定の制御を行う制御部と」を備える点で共通するということができる。

(4)そして、引用発明における「基板搬送・処理装置」は、本願発明における「基板搬送装置」に相当する。

よって、本願発明と引用発明とは、
「ゲートバルブを介して互いに連結された第1チャンバおよび第2チャンバと、
前記ゲートバルブが開かれた状態で前記第1チャンバから前記第2チャンバに搬送路に沿ってキャリアを搬送する搬送機構と、
前記キャリアが前記停止位置に到達する前に前記キャリアを検知するセンサと、
前記センサからの検知信号に基づいて、所定の制御を行う制御部と、
を備えることを特徴とする基板搬送装置。」
である点で一致し、以下の点で相違する。

[相違点1]
本願発明では、「前記第2チャンバの中の停止位置に前記キャリアが停止したときに前記キャリアの先端を検知するための第1停止位置センサと、前記停止位置に前記キャリアが停止したときに前記キャリアの後端を検知するための第2停止位置センサと」を備え、制御部が「前記第1停止位置センサおよび前記第2停止位置センサの検知信号に基づいて、前記第2チャンバの中で所定の処理が行われる」ように制御する旨特定するのに対し、引用発明では、そのような特定がない点。

[相違点2]
本願発明では、キャリアが停止位置に到達する前に当該キャリアを検知するセンサが、「前記第1停止位置センサと前記第2停止位置センサとの間に配置され」るものであり、そのセンサからの検知信号に基づいて制御部が、「前記キャリアが前記停止位置に到達する前に前記ゲートバルブに閉動作を開始させ」るように制御する旨特定するのに対し、引用発明では、そのような特定がない点。

3.判断
まず、上記[相違点2]について検討する。
(a)引用発明においても、キャリア(基板搬送シャトル)が停止位置に到達する前に当該キャリアを検知するセンサが設けられているものの、当該センサの検知信号に基づいて制御部(制御システム)は、キャリアがさらに所定距離だけ移動して停止位置に到達するように、当該キャリアの動きを制御するものであって(前記「2.(3)」を参照)、ゲートバブル(仕切弁)の閉動作を制御することについては、引用例1に記載も示唆もない。
しかも、第2のチャンバ内で基板に対してプロセスを実行する際には当然、ゲートバブルを閉じるようになされるが、引用発明は、「前記基板搬送シャトルの全長は前記第2のチャンバのよりも長いため、基板を支持する前記基板搬送シャトルが前記第2のチャンバに入った後、当該第2のチャンバ内で基板に対してプロセスを実行するには、まず、基板を前記基板搬送シャトルから前記リフトメカニズムに受け渡し、前記基板搬送シャトルを前記第2のチャンバから退避させ、その後に前記仕切弁を閉じる」ようにする必要があるものであり、このことを踏まえると、たとえ、引用例2(前記「1.(2)」を参照)には、上位概念として捉えて「チャンバのゲートが開閉動作中であっても、ワークをゲートに接触しない程度に近接してゲート位置を通過させることにより、高スループット化を実現させるようにした」ことが記載されているとしても、かかる技術事項を引用発明に適用すべき動機付けは見出せない。
そしてさらに言えば、
(b)引用例2では具体的には、チャンバへのワークの「搬入時」には、ワークとゲートが接触するかどうかを判断し、接触しないと判断した場合には、そのままの速度を継続し、接触すると判断した場合には、接触しなくなるような減速した速度を算出し、その算出した速度に変更してワークを搬送するように制御し、一方、チャンバからワークの「搬出時」には、搬出時間がゲートの閉動作時間より小さいときは、先にゲートを動作させ、時間差で搬出を開始するように制御することは記載されているが、本願発明のように、第2チャンバへのキャリアの「搬入時」において、「前記キャリアが前記停止位置に到達する前に前記ゲートバブルに閉動作を開始させ」るように制御を行うことの記載まではなく、キャリアが停止位置に到達する前に当該キャリアを検知するための「センサ」を有することの記載もない。
(c)引用例3(前記「1.(3)」を参照)についても、搬入出口の近傍に、そこに基材が位置しているか否かを感知する基材感知センサを設け、コントローラが基材検知センサの感知信号に基づいてシャッターの開閉制御を行うと漠然とした記載がなされているのみであり、引用例4(前記「1.(4)」を参照)についても、基板搬送機構の制御、各ゲートバルブの開閉動作、第1の処理容器への原料ガスなどの供給用バルブの開閉動作等、基板処理装置全体の動作を制御する制御部を有し、これらの制御は、例えば処理容器の圧力や基板搬送機構の動作を検出するセンサからの信号に基づいて行われてもよいことが漠然として記載されているのみであって、本願発明のように、「前記キャリアが前記停止位置に到達する前に前記キャリアを検知するセンサ」を設け、「前記センサからの検知信号に基づいて、前記キャリアが前記停止位置に到達する前に前記ゲートバルブに閉動作を開始させ」る制御を行うことが記載あるいは示唆されているということはできない。
(d)また、引用例1?4のいずれにも、停止位置にキャリアが停止したときに、当該キャリアの先端を検知する「第1の停止位置センサ」、及び当該キャリアの後端を検知する「第2の停止位置センサ」とを設けることについて、記載も示唆なされていない。

したがって以上のことから、少なくとも本願発明における、キャリアを検知するセンサを「前記第1停止位置センサと前記第2停止位置センサとの間に配置」し、当該センサからの検知信号に基づいて、制御部が「前記キャリアが前記停止位置に到達する前に前記ゲートバルブに閉動作を開始させ」るように制御を行うという発明特定事項については、引用発明及び引用例2?4に記載の技術事項に基づいて当業者であれば容易に想到し得たものとすることはできない。
そして、本願発明は、上記発明特定事項を有することにより、「処理チャンバでの処理時間を短縮でき、スループット及び生産性を向上させることができる」という効果を奏するものである(特に、本願明細書の段落【0009】、【0050】を参照)。

よって、他の相違点(相違点1)について検討するまでもなく、本願発明は、引用発明及び引用例2?4に記載の技術事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたとはいえない。

第4.むすび

以上のとおり、本願の請求項1に係る発明は、引用発明及び引用例2?4に記載の技術事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとすることができないから、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2014-03-17 
出願番号 特願2009-232524(P2009-232524)
審決分類 P 1 8・ 121- WY (G11B)
最終処分 成立  
前審関与審査官 原田 貴志  
特許庁審判長 酒井 伸芳
特許庁審判官 井上 信一
萩原 義則
発明の名称 基板搬送装置、及び磁気記録媒体の製造方法  
代理人 大塚 康弘  
代理人 下山 治  
代理人 木村 秀二  
代理人 大塚 康徳  
代理人 永川 行光  
代理人 高柳 司郎  
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