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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 B65D
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 B65D
審判 査定不服 4号2号請求項の限定的減縮 特許、登録しない。 B65D
管理番号 1285347
審判番号 不服2013-9708  
総通号数 172 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2014-04-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2013-05-27 
確定日 2014-03-06 
事件の表示 特願2008- 89877「滑り防止機能付き自立袋」拒絶査定不服審判事件〔平成21年10月22日出願公開、特開2009-241949〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1.手続の経緯
本件出願は、平成20年3月31日の出願であって、平成24年8月28日付けで拒絶理由が通知され、同年11月5日付けで手続補正がなされたところ、平成25年2月21日付けで拒絶査定がなされた。
これに対し、平成25年5月27日に本件審判の請求と同時に手続補正(以下「本件補正」という。)がなされ、同年9月25日付けで審尋がなされたところ、同年11月22日に回答書が提出されたものである。


第2.本件補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
本件補正を却下する。
[理由]
1.補正の内容
本件補正により、特許請求の範囲の請求項1ないし3は以下のとおり補正された。

(1)補正前
「【請求項1】
袋の胴部が前後の壁面の積層フィルムの両側の端縁部を縦方向の側部シール部でヒートシールして形成され、袋の底部が積層フィルムを内側に折り返してなるガセット部を有する形式で形成され、該ガセット部がその中央部が低くその両側が袋の側部に向かって徐々に高くなる船底形の底部シール部でヒートシールされて形成される自立袋であって、前記両側の側部シール部の、一方の側部シール部が、上部からシール幅を内側に広げてなる広幅シール部を有する形状に形成され、該広幅シール部に滑りを防止するために、手で持つ位置に、その高さもしくは深さが0.3?3mmの範囲の複数個の凸部と凹部が交互に設けられ、もう一方の側部シール部にも、内側にシール幅を広げてなる広幅シール部が設けられると共に、該広幅シール部またはその下方の底部シール部の側部のいずれかに、その高さもしくは深さが0.3?3mmの範囲の1個以上の前記凸部と凹部が交互に設けられていることを特徴とする滑り防止機能付き自立袋。
【請求項2】
前記凸部と凹部の平面形状が、円形状、矩形状、その他の多角形状、直線状、折れ線状、曲線状、波形状のいずれかであることを特徴とする請求項1に記載の滑り防止機能付き自立袋。
【請求項3】
前記自立袋の上部の一方のコーナー部に、外周をヒートシールしてなる狭い幅の注出口部が設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の滑り防止機能付き自立袋。」

(2)補正後
「【請求項1】
袋の胴部が前後の壁面の積層フィルムの両側の端縁部を縦方向の側部シール部でヒートシールして形成され、袋の底部が積層フィルムを内側に折り返してなるガセット部を有する形式で形成され、該ガセット部がその中央部が低くその両側が袋の側部に向かって徐々に高くなる船底形の底部シール部でヒートシールされて形成される自立袋であって、前記両側の側部シール部の、一方の側部シール部が、上部からシール幅を内側に広げてなる広幅シール部を有する形状に形成され、該広幅シール部に滑りを防止するために、手で持つ位置に、その高さもしくは深さが0.3?3mmの範囲の複数個の凸部と凹部が間隔をあけて交互に設けられ、もう一方の側部シール部にも、内側にシール幅を広げてなる広幅シール部が設けられると共に、該広幅シール部またはその下方の底部シール部の側部のいずれかに、その高さもしくは深さが0.3?3mmの範囲の1個以上の前記凸部と凹部が間隔をあけて交互に設けられていることを特徴とする滑り防止機能付き自立袋。
【請求項2】
前記間隔が4mm程度であることを特徴とする請求項1に記載の滑り防止機能付き自立袋。
【請求項3】
前記凸部と凹部の平面形状が、円形状、矩形状、その他の多角形状、直線状、折れ線状、曲線状、波形状のいずれかであることを特徴とする請求項1又は2に記載の滑り防止機能付き自立袋。
【請求項4】
前記自立袋の上部の一方のコーナー部に、外周をヒートシールしてなる狭い幅の注出口部が設けられていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の滑り防止機能付き自立袋。」

2.補正の適否
(1)目的要件について
本件補正が、特許法第17条の2第5項の規定を満たしているかどうかについて検討する。
本件補正前後の特許請求の範囲の記載を比較すると、補正後の請求項1、2は補正前の請求項1に規定された発明特定事項をすべて含んでおり、補正後の請求項3は補正前の請求項2に規定された発明特定事項をすべて含んでおり、また、補正後の請求項4は補正前の請求項3に規定された発明特定事項をすべて含んでいる。
そこで、本件補正が、特許法第17条の2第5項第2号にいう「特許請求の範囲の減縮」に該当するかどうかを検討すると、同条第5項第2号にいう「特許請求の範囲の減縮」は、補正前の請求項と補正後の請求項との対応関係が明白であって、かつ、補正後の請求項が補正前の請求項を限定した関係になっていることが明確であることが要請されるものというべきであって、補正前の請求項と補正後の請求項とは、一対一又はこれに準ずるような対応関係に立つものでなければならない。(東京高裁知財4部判決(平成15年(行ケ)第230号)を参照)
しかしながら、本件補正においては、補正後の請求項数が補正前の請求項数より増加しているから、補正前後の各請求項の間に、一対一又はこれに準ずるような対応関係は成立しない。
そうであってみれば、本件補正は、補正後の各請求項の記載により特定される各発明が、全体として、補正前の請求項の記載により特定される発明よりも限定されたものになっているとしても、上述したような一対一又はこれに準ずるような対応関係がない以上、特許法第17条の2第5項第2号にいう「特許請求の範囲の減縮」には該当しないというべきである。
また、本件補正は、特許法第17条の2第5項に掲げる請求項の削除、誤記の訂正、又は、明りょうでない記載の釈明のいずれかの事項を目的するものにも該当しないことが明らかである。
したがって、本件補正は、特許法第17条の2第5項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

(2)独立特許要件について
(a)
本件補正が「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものに該当すると仮定しても、以下に示すとおり、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

(b)補正発明
本件補正後の請求項1に係る発明は、本件補正後の明細書、特許請求の範囲、及び、図面の記載からみて、上記第2.1.(2)の請求項1に記載のとおりのものと認める。(以下、「補正発明」という。)

(c)刊行物に記載された発明
これに対し、原査定の拒絶理由で引用され、本件出願日前に頒布された刊行物である特開2002-104441号公報(以下、「刊行物1」という。)には、図面とともに、以下の事項が記載されている。
「【0009】
【発明の実施の形態】以下本発明の実施の形態を図面を用いて詳細に説明する。本発明は、図1の斜視図に示すように、液体洗剤やシャンプー等を収納する包装袋に関するものであり、特に内容物を他の容器に詰め替えるための注出用のノズル部(17)が上端部に付いた詰替用の注ぎ口付包装袋(1)で、一般的には表裏2枚の方形状の側面シート(10)の両側縁(12)と上縁(16)内面でシールされ、その底縁(14)が底面シート(18)とシールされて袋とした所謂スタンディングパウチであり、それに滑り止め機能を施して注ぎ易いようにした滑止め機能を有する注ぎ口付包装袋(1)に関するものである。
【0010】上記本発明の滑止め機能を有する注ぎ口付包装袋(1)は、図6の積層側断面図に示すように、例えば最内層がシーラント層(32)でなり、最外層が基材フィルム(34)でなる複合フィルム(30)を用いて、図1の斜視図に示すように、例えば方形状の表裏2枚の側面シート(10)の両側縁(12)と上縁(16)のシーラント層の面面でシールされ、この上縁(16)の左側のコーナーに、突出した注ぎ口となるノズル部(17)を有し、前記複合フィルムでなる側面シート(10)の底縁(14)のシーラント層面で底面シート(18)がシールされている自立する注ぎ口付包装袋(1)(通称スタンディングパウチという)において、左側上部コーナーのノズル部(17)と対向側の側縁(12)の略中央に、内側に湾曲したシール部(12a)を設け、このシール部(12a)に直径1mm程度の微細な孔(20)を多数個穿設したものである。」
「【0013】また、本発明では、図2のB-B断面として図3(a)に示すように、穿設された微細な孔(20)の周縁が、表裏いずれかの側面シート(10)側に突出しているか、あるいは図2のB-B断面として図3(b)に示すように、穿設された微細な孔(20)の周縁が、表裏側面シート(10)に交互に突出しているようにしたものである。」
「【0016】また、最内層のシーラント層(32)としては、ヒートシール性のある直鎖低密度ポリエチレン(LLDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)のフィルムあるいは無延伸ポリプロピレンフィルム(CPP)などが挙げられ、これら樹脂でなるシーラント層(32)同志がヒートシールされて周縁にシール部を有する注ぎ口付包装袋(1)を形成する。」
「【0019】以上のような本発明の滑止め機能を有する注ぎ口付包装袋(1)を用いて、その内容物を他のボトルへの詰め替えに際し、図5の斜視図に示すように、側面シート(10)の一方の側縁(12)側に微細な孔(20)が穿設された内側に湾曲したシール部(12a)があるので、一目で手で掴む位置がわかり、その内側に湾曲したシール部(12a)に片方の手(40)を掛けて掴み、もう一方の手(図示せず)でボトル(5)を支え、滑止め機能を有する注ぎ口付包装袋(1)を傾けて、切断されて開口したノズル部(17)をボトル(5)の口元(50)へ入れて、液状の内容物を零すことなく安全に確実に注ぐことができる。
【0020】またこのとき、図3(a)および図3(b)に示すように、内側に湾曲したシール部(12a)に穿設された多数の微細な孔(20)の周縁が表裏側面シート(10)のいずれかに、あるいは表裏側面シート(10)に交互に突出しているので、それが滑り止め効果を発揮し、例えば図5に示すように、例え手(50)や側面シート(10)の表面に液体洗剤等が付着していたとしても、滑って落としたりする危惧がないので、より安全に確実に詰め替えが可能な滑止め機能を有する注ぎ口付包装袋(1)とすることができる。」
また、【図2】、【図3】(b)、【図5】より、内側に湾曲したシール部(12a)は広幅であり、広幅のシール部(12a)に手で持つ位置に、複数個の凸部と凹部が間隔をあけて交互に設けられていることが了知できる。

これらの記載事項を、技術常識を考慮しながら補正発明に照らして整理すると、刊行物1には以下の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認める。
「複合フィルム(30)からなる表裏2枚の側面シート(10)の両側縁(12)のシーラント層面でシールされ、側面シート(10)の底縁(14)のシーラント層面で底面シート(18)がシールされている自立する注ぎ口付包装袋(1)において、左側上部コーナーのノズル部(17)と対向側の側縁(12)の略中央に、内側に湾曲した広幅のシール部(12a)を設け、この広幅のシール部(12a)に滑り止め効果を発揮するように、手で持つ位置に、複数個の凸部と凹部が間隔をあけて交互に設けられており、滑止め機能を有する注ぎ口付包装袋(1)。」

(d)対比
補正発明と引用発明とを対比すると、引用発明の「表裏2枚の側面シート(10)」は袋の胴部を構成する複合フィルムであるから、補正発明の「前後の壁面の積層フィルム」に相当し、引用発明の「両側縁(12)」は補正発明の「両側の端縁部」に相当し、引用発明の「両側縁(12)のシーラント層面」は縦方向にヒートシールされるものであって補正発明の「縦方向の側部シール部」に相当するから、引用発明の「複合フィルムからなる表裏2枚の側面シート(10)の両側縁(12)のシーラント層面でシールされ」は、補正発明の「袋の胴部が前後の壁面の積層フィルムの両側の端縁部を縦方向の側部シール部でヒートシールして形成され」との要件を充足する。また、引用発明の「側面シート(10)の底縁(14)のシーラント層面」は補正発明の「底部シール部」に相当し、引用発明の「底面シート(18)」は袋の底部を構成するから、引用発明の「側面シート(10)の底縁(14)のシーラント層面で底面シート(18)がシールされている」は、補正発明の「袋の底部が」「底部シール部でヒートシールされて形成される」との要件を充足する。さらに、引用発明の「自立する注ぎ口付包装袋(1)」は補正発明の「自立袋」に、引用発明の「内側に湾曲した広幅のシール部(12a)」は、補正発明の「シール幅を内側に広げてなる広幅シール部」にそれぞれ相当し、引用発明の注ぎ口付包装袋(1)が「滑止め機能を有する」は、補正発明の自立袋が「滑り防止機能付き」であるとの要件を充足する。
そうすると、補正発明と引用発明とは、
「袋の胴部が前後の壁面の積層フィルムの両側の端縁部を縦方向の側部シール部でヒートシールして形成され、袋の底部が底部シール部でヒートシールされて形成される自立袋であって、前記両側の側部シール部の、一方の側部シール部が、シール幅を内側に広げてなる広幅シール部を有する形状に形成され、該広幅シール部に滑りを防止するために、手で持つ位置に、複数個の凸部と凹部が間隔をあけて交互に設けられている滑り防止機能付き自立袋。」
の点で一致し、以下の点で相違する。

[相違点1]
補正発明では、袋の底部が「積層フィルムを内側に折り返してなるガセット部を有する形式で形成され、該ガセット部がその中央部が低くその両側が袋の側部に向かって徐々に高くなる船底形の底部シール部でヒートシールされて形成される」のに対して、引用発明では、袋の底部を有するものの、その具体的な構造については特定されていない点。
[相違点2]
補正発明では、両側の側部シール部の、一方の側部シール部が、「上部から」シール幅を内側に広げてなる広幅シール部を有する形状に形成され、該広幅シール部に滑りを防止するために、手で持つ位置に、「その高さもしくは深さが0.3?3mmの範囲の」複数個の凸部と凹部が間隔をあけて交互に設けられ、「もう一方の側部シール部にも、内側にシール幅を広げてなる広幅シール部が設けられると共に、該広幅シール部またはその下方の底部シール部の側部のいずれかに、その高さもしくは深さが0.3?3mmの範囲の1個以上の前記凸部と凹部が間隔をあけて交互に設けられている」のに対して、引用発明では、「両側の側部シール部の、一方の側部シール部が、シール幅を内側に広げてなる広幅シール部を有する形状に形成され、該広幅シール部に滑りを防止するために、手で持つ位置に、複数個の凸部と凹部が間隔をあけて交互に設けられている」ものの、一方の側部シール部に形成される広幅シール部のシール幅を内側に広げる具体的な態様や、凸部と凹部の高さもしくは深さ、及び、もう一方の側部シール部等への配置については、特定されていない点。

(e)相違点の検討
[相違点1について]
底部を有する自立袋において、船底形の底部シール部でヒートシールして底部ガセットを構成したものは、例えば特開2007-246157号公報、特開2003-137315号公報等に示されており、従来周知である。
引用発明の注ぎ口付包装袋においても自立性が必要とされるから、自立のために上記相違点1に係る構成とした点については、当業者が適宜に選択できる事項と認められる。

[相違点2について]
原査定の拒絶理由で引用され、本件出願日前に頒布された刊行物である、特開2001-213450号公報(以下、「刊行物2」という。)には、【図9】とともに、
「ヒートシールされた外装シート12、13やガセットシート15の縁部Eは、滑らかに波打ったような凹凸形状に形成されている・・・・こういった自立性を有する容器では、ほとんどの場合、胴部11を持って取り扱うことになるので、図9(a)、(b)に示すように、少なくとも、持ったときに手に触れる胴部11の両側の縁部Eを凹凸形状に形成しておけばよい。」
(段落【0018】-段落【0020】)
と記載されており、胴部を持って取り扱う自立性の容器の側部シール部に凹凸形状を形成するにあたり、凹凸形状を胴部の両側に設けたものが開示されている。
引用発明においても、注ぎ詰め替え等の際に胴部を持って取り扱うことは当然に予想されることであるから、取り扱い性を考慮し、持ったときに手に触れる胴部の両側の縁部を凹凸形状に形成しようとするのは、当業者が容易に思い付く事項であり、その際に、側部シール部をどの部分から広幅とするかは、当業者が適宜に選択できる設計的事項に過ぎないものと認められる。
また、凸部と凹部について、「その高さもしくは深さが0.3?3mmの範囲」とした点については、当業者が手に触れたときに滑らないように通常採用し得る範囲を特定したものに過ぎず、刊行物2の「凹部の深さが0.2mm以上になるように形成しておくことが望ましい。凹凸のピッチが大きくなったり、凹部の深さが小さくなると、滑らかな凹凸形状になり、その縁部に沿って手が滑りやすくなる」(段落【0011】)といった記載からみて格別の数値とは解されないし、補正発明が0.3mm以上と限定したことによって異質の効果を生じるものともいえないから、安全に確実に詰め替えが可能な滑止め機能を有する引用発明と比較して、特段の相違を有するものとも認められない。
したがって、引用発明に刊行物2に記載の技術事項を適用して上記相違点2に係る構成とした点についても、困難性は認められない。

以上のことから、補正発明は、引用発明、刊行物2に記載の技術事項、及び、周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際、独立して特許を受けることができないものである。

(f)審判請求人の主張について
審判請求人は、審尋の回答書において、
「万一、上記の意見が受け入れられない場合、出願人は、請求項1を下記のように補正することを検討しておりますので、ご審理の際に補正の機会を賜りますようお願い申し上げます。
下記の補正は、本願明細書の段落[0025]及び段落[0028]の記載に基づいて、事項Aに係る『一方の側部シール部』の『複数個の凸部と凹部』との記載を『複数個の凸部と1個以上の凹部』に補正し、また、事項Bに係る『もう一方の側部シール部』の『該広幅シール部またはその下方の底部シール部の側部のいずれかに、』との記載を『該広幅シール部に、』に補正したものであります。
[請求項1]
袋の胴部が前後の壁面の積層フィルムの両側の端縁部を縦方向の側部シール部でヒートシールして形成され、袋の底部が積層フィルムを内側に折り返してなるガセット部を有する形式で形成され、該ガセット部がその中央部が低くその両側が袋の側部に向かって徐々に高くなる船底形の底部シール部でヒートシールされて形成される自立袋であって、前記両側の側部シール部の、一方の側部シール部が、上部からシール幅を内側に広げてなる広幅シール部を有する形状に形成され、該広幅シール部に滑りを防止するために、手で持つ位置に、その高さもしくは深さが0.3?3mmの範囲の複数個の凸部と1個以上の凹部が間隔をあけて交互に設けられ、もう一方の側部シール部にも、内側にシール幅を広げてなる広幅シール部が設けられると共に、該広幅シール部に、その高さもしくは深さが0.3?3mmの範囲の1個以上の前記凸部と凹部が間隔をあけて交互に設けられていることを特徴とする滑り防止機能付き自立袋。」
と述べている。
しかしながら、請求人が希望する「補正の機会」に法律上の根拠はない。しかも、補正案によっても、上記の相違点1及び相違点2の他に新たな相違点が生ずるとは認められず、請求人が希望する補正を行ったとしても、本件補正発明が独立して特許を受けることができる発明になる訳ではない。

3.むすび
以上のとおり、本件補正は、特許法第17条の2第5項の規定に違反し、また、仮に本件補正が、同法第17条の2第5項第2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当するものであったとしても、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。


第3.本願発明について
1.本願発明
本件補正は、上記のとおり却下されたので、本件出願の請求項1ないし3に係る発明は、平成24年11月5日に補正された明細書、特許請求の範囲及び図面の記載からみて、特許請求の範囲の請求項1ないし3に記載された事項により特定されるとおりのものであると認められるところ、請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、上記第2.1.(1)に示すとおりである。

2.刊行物等
これに対して、原査定の拒絶理由に引用された刊行物1、及び、その記載内容は上記第2.2.(2)(c)に示したとおりである。

3.対比・検討
本願発明は、上記第2.2.(2)で検討した補正発明において、凸部と凹部の配置について付加された限定事項を削除するものである。
そうすると、本願発明を構成する事項のすべてを含み、さらに他の事項を付加した補正発明が、上記第2.2.(2)(e)で示したとおり、引用発明、刊行物2に記載の技術事項、及び、周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も同様の理由により当業者が容易に発明をすることができたものである。

4.むすび
したがって、本願発明は特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本件出願は拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2013-12-25 
結審通知日 2014-01-07 
審決日 2014-01-22 
出願番号 特願2008-89877(P2008-89877)
審決分類 P 1 8・ 572- Z (B65D)
P 1 8・ 121- Z (B65D)
P 1 8・ 575- Z (B65D)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 会田 博行  
特許庁審判長 千葉 成就
特許庁審判官 河原 英雄
渡邊 真
発明の名称 滑り防止機能付き自立袋  
代理人 伊藤 裕介  
代理人 藤枡 裕実  
代理人 後藤 直樹  
代理人 深町 圭子  
代理人 立石 英之  
代理人 伊藤 英生  

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