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審決分類 |
審判 判定 同一 属する(申立て成立) H02K |
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管理番号 | 1285447 |
判定請求番号 | 判定2013-600041 |
総通号数 | 172 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許判定公報 |
発行日 | 2014-04-25 |
種別 | 判定 |
判定請求日 | 2013-11-22 |
確定日 | 2014-03-13 |
事件の表示 | 上記当事者間の特許第5062473号の判定請求事件について、次のとおり判定する。 |
結論 | イ号写真に示す充電式インパクトドライバTD133Dは、特許第5062473号の請求項1に係る特許発明の技術的範囲に属する。 |
理由 |
第1.請求の趣旨と手続の経緯 判定請求人の請求の趣旨は、イ号写真に示す充電式インパクトドライバTD133Dは、特許第5062473号の請求項1に係る特許発明の技術的範囲に属する、との判定を求めるものである。 また、本件に係る手続の経緯は、以下のとおりである。 平成19年 5月28日 本件特許に係る特許出願 平成23年11月18日 拒絶理由 平成24年 1月25日 意見書及び補正書提出 平成24年 7月10日 特許査定 平成24年 8月17日 特許登録 平成25年11月22日 判定請求 平成26年 1月23日 答弁書提出 第2.本件特許発明 特許第5062473号の請求項1ないし2に係る特許発明は、願書に添付した明細書及び図面(以下、「特許明細書」という。)の記載からみて、特許請求の範囲の請求項1ないし2に記載されたとおりのものであり、そのうちの請求項1に係る発明(以下、「本件特許発明」という。)の構成要件を分説すると以下のとおりである。 【請求項1】 A.吸気口が設けられたハウジング部と、 B.該ハウジング部に収容され、ステータコイルが巻回され回転軸方向に延びる外周部及び内周部を有する略円筒状のステータと、該ステータの内部に略同心状に配置されたロータとを有するブラシレスモータと、 C.前記ハウジング部内に収容され、前記回転軸に装着される冷却ファンと、 D.該ブラシレスモータにより駆動される先端工具取付部材とを備えた電動工具において、 E.前記ハウジング部の内周部から前記ステータの外周部へ突出して前記ステータの外周部を保持する突出部を設け、 F.前記ハウジング部の内周部と前記ステータの外周部との間に形成される空間部を流通路として前記冷却ファンによって前記吸気口から前記ハウジング部内に取り込まれた前記ステータの冷却用気体を流通させ、 G.前記回転軸と略直角方向に延び、前記回転軸が貫通する穴部を有する基板を前記冷却ファンが設けられた側と反対側の前記ステータの一端部に近接して配置し、該一端部を覆うように形成したことを特徴とする電動工具。 第3.イ号物件 1.イ号物件についての証拠 本件特許発明の技術的範囲に含まれるか否かを判断する対象物(以下、「イ号物件」という。)は、イ号写真に示す充電式インパクトドライバTD133Dである。 そして、イ号写真1ないし11として、充電式インパクトドライバTD133Dの写真の写しが提出されているほかに、証拠方法として、以下の書証が提出されている。 甲第1号証の1 本件特許公報 甲第1号証の2 登録原簿謄本の写し 甲第2号証 イ号物件が掲載されたカタログの写し 甲第3号証 イ号物件の取扱説明書の写し 甲第4号証 イ号物件についてのプレスリリース記事の写し 甲第5号証 請求人が被請求人に対して送った書簡の写し 甲第6号証 本件特許に係る出願手続での拒絶理由通知書の写し 甲第7号証 本件特許に係る出願手続での手続補正書の写し 甲第8号証 本件特許に係る出願手続での意見書の写し 第4.答弁書における被請求人の主張 被請求人の答弁の趣旨は、イ号写真に示すインパクトドライバTD133Dは、特許第5062473号の請求項1に係る特許発明の技術的範囲に属しないとの判定を求めるものである。 そして、被請求人は、イ号物件が本件特許発明の技術的範囲に含まれることを認めるわけではないが、請求人の主張に対する個別具体的な反論の主張をしていない。 第5.当審の判断 1.イ号写真及び各証拠によって示されるイ号物件に関する事項 イ号写真及び上記の各証拠を総合すると、イ号物件について、以下の事項を認めることができる。 なお、用語や符号については、イ号写真1ないし11に記載された用語や符合を用いる。 (1)イ号写真1ないし2について イ号物件がハウジング部50a、及びハンドルハウジング部50cを有し、当該ハウジング部50aの側面に吸気口17が設けられ、その後方側面に排気口18が設けられていること。 イ号物件の先端側の端部に先端工具取付部材10bが設けられていること。 (2)イ号写真3ないし4について ハウジング部50aの内部には、吸気口17に対応する位置にモータ3が設けられ、排気口18に対応する位置に冷却ファン15が設けられていること。 (3)イ号写真5について モータ3が、ステータ12と回転軸11とを有していること。 モータ3のステータ12の前方側の端部に、基板22が設けられていること。 基板22が、回転軸11と略直角方向に延びていること。 (4)イ号写真6について 回転軸11、ロータ13、及び冷却ファン15が同軸に設けられていること。 冷却ファン15が遠心式のファンであること。 (5)イ号写真7及び8について ステータ12が略円筒形で、内周部12b及び外周部12cを有すること。 基板22には、ステータ12の内周部12bに通じる円形の穴部が設けられていること。 (6)イ号写真9について ステータ12の内部には、ステータコイル12aが巻回されていること。 基板22が、ステータコイル12aの前方側の端部を覆っていること。 (7)イ号写真4、及び10ないし11について ハウジング部50aの内部には、ステータ12の外周部12cと当接する突出部23a、23bが設けられ、当該突出部23a、23bによりステータ12の外周部12cが保持されていること。 (8)イ号写真11について ハウジング部50aの内周部とステータ12の外周部12cとの間に形成される空間部と連通するように、吸気口17が設けられていること。 (9)甲第3号証について イ号物件が、充電式インパクトドライバであること(第1及び第3ページ)。 イ号物件のモータが、DCブラシレスモータであること(第3ページ)。 イ号物件の先端側の端部に先端工具取付部材10bが設けられていること(第20ページ)。 2.イ号物件の構成 (1)構成a. 上記1.(1)に認定する事項からみて、イ号物件は、吸気口17が設けられたハウジング部50aを備えている。 (2)構成b. 上記1.(2)ないし(6)、及び(9)に認定する事項からみて、イ号物件は、ハウジング部50aに収容され、ステータコイル12aが巻回され回転軸11方向に延びる外周部12c及び内周部12bを有する略円筒状のステータ12と、該ステータ12の内部に略同心状に配置されたロータ13とを有するDCブラシレスモータ3を備えている。 (3)構成c. 上記1.(2)及び(4)に認定する事項からみて、イ号物件は、ハウジング部50a内に収容され、回転軸11に装着される冷却ファン15を備えている。 (4)構成d. 上記1.(1)及び(9)に認定する事項からみて、イ号物件は、DCブラシレスモータ3により駆動される先端工具取付部材10bを備えた充電式インパクトドライバである。 (5)構成e. 上記1.(7)に認定する事項からみて、イ号物件には、ハウジング部50aの内周部からステータ12の外周部12cへ突出して前記ステータ12の外周部12cを保持する突出部23a、23bが設けられている。 (6)構成f. 上記1.(2)及び(8)に認定する事項からみて、イ号物件は、ハウジング部50aの内周部とステータ12の外周部12cとの間に形成される空間部と連通するように、吸気口17が設けられており、また、吸気口17に対応する位置にモータ3が設けられているから、イ号物件において、吸気口17からハウジング部内に取り込まれた気体は、ハウジング部50aの内周部とステータ12の外周部12cとの間に形成される空間部を流通して、モータ3のステータ12の外周部12cに接して冷却することは明らかである。 したがって、イ号物件は、ハウジング部50aの内周部とステータ12の外周部12cとの間に形成される空間部を流通路として冷却ファン15によって吸気口17から前記ハウジング50a内に取り込まれたステータ12の冷却用気体を流通させている。 (7)構成g. 上記1.(3)、及び(5)ないし(6)に認定する事項からみて、イ号物件は、回転軸11と略直角方向に延び、前記回転軸11が貫通する穴部を有する基板22を冷却ファン15が設けられた側と反対側のステータ12の一端部に配置し、該一端部を覆うように形成している。 (8)イ号物件の構成 上記(1)ないし(7)の構成を本件特許発明の記載に沿って整理すると、イ号物件の構成は、以下のとおりのものと認めることができる。 a.吸気口17が設けられたハウジング部50aと、 b.該ハウジング部50aに収容され、ステータコイル12aが巻回され回転軸11方向に延びる外周部12c及び内周部12bを有する略円筒状のステータ12と、該ステータ12の内部に略同心状に配置されたロータ13とを有するDCブラシレスモータ3と、 c.前記ハウジング部50a内に収容され、前記回転軸11に装着される冷却ファン15と、 d.該DCブラシレスモータ3により駆動される先端工具取付部材10bとを備えた充電式インパクトドライバにおいて、 e.前記ハウジング部50aの内周部から前記ステータ12の外周部12cへ突出して前記ステータ12の外周部12cを保持する突出部23a、23bを設け、 f.前記ハウジング部50aの内周部と前記ステータ12の外周部12cとの間に形成される空間部を流通路として前記冷却ファン15によって前記吸気口17から前記ハウジング部50a内に取り込まれた前記ステータ12の冷却用気体を流通させ、 g.前記回転軸11と略直角方向に延び、前記回転軸11が貫通する穴部を有する基板22を前記冷却ファン15が設けられた側と反対側の前記ステータ12の一端部に配置し、該一端部を覆うように形成した充電式インパクトドライバ。 3.本件特許発明とイ号物件との対比及び判断について (1)構成要件A.の充足性について イ号物件の「吸気口17」が、本件特許発明の「吸気口」に対応し、同様に「ハウジング部50a」が「ハウジング部」に対応するから、イ号物件は、本件特許発明の構成要件A.を充足する。 (2)構成要件B.の充足性について イ号物件の「ステータコイル12aが巻回され回転軸11方向に延びる外周部12c及び内周部12bを有する略円筒状のステータ12」が、本件特許発明の「ステータコイルが巻回され回転軸方向に延びる外周部及び内周部を有する略円筒状のステータ」に対応し、同様に「ステータ12の内部に略同心状に配置されたロータ13」が「ステータの内部に略同心状に配置されたロータ」に対応し、「DCブラシレスモータ3」が「ブラシレスモータ」に対応するから、イ号物件は、本件特許発明の構成要件B.を充足する。 (3)構成要件C.の充足性について イ号物件の「回転軸11に装着される冷却ファン15」が、本件特許発明の「回転軸に装着される冷却ファン」に対応するから、イ号物件は、本件特許発明の構成要件C.を充足する。 (4)構成要件D.の充足性について イ号物件の「DCブラシレスモータ3により駆動される先端工具取付部材10b」が、本件特許発明の「ブラシレスモータにより駆動される先端工具取付部材」に対応し、同様に「充電式インパクトドライバ」が「電動工具」に対応するから、イ号物件は、本件特許発明の構成要件D.を充足する。 (5)構成要件E.の充足性について イ号物件の「ハウジング部50aの内周部からステータ12の外周部12cへ突出して前記ステータ12の外周部12cを保持する突出部23a、23b」が、本件特許発明の「ハウジング部の内周部からステータの外周部へ突出して前記ステータの外周部を保持する突出部」に対応するから、イ号物件は、本件特許発明の構成要件E.を充足する。 (6)構成要件F.の充足性について イ号物件において「ハウジング部50aの内周部とステータ12の外周部12cとの間に形成される空間部を流通路として冷却ファン15によって吸気口17から前記ハウジング部50a内に取り込まれた前記ステータ12の冷却用気体を流通させ」ることが、本件特許発明において「ハウジング部の内周部とステータの外周部との間に形成される空間部を流通路として冷却ファンによって吸気口から前記ハウジング部内に取り込まれた前記ステータの冷却用気体を流通させ」ることに対応するから、イ号物件は、本件特許発明の構成要件F.を充足する。 (7)構成要件G.の充足性について イ号物件の「回転軸11と略直角方向に延び、前記回転軸11が貫通する穴部を有する基板22」が、本件特許発明の「回転軸と略直角方向に延び、前記回転軸が貫通する穴部を有する基板」に対応し、同様に、「冷却ファン15が設けられた側と反対側の前記ステータ12の一端部」が「冷却ファンが設けられた側と反対側の前記ステータの一端部」に対応する。また、本件特許発明において、「一端部に近接して配置し」ていることは、「一端部に配置し」ていることを当然に含むから、イ号物件において「冷却ファン15が設けられた側と反対側の前記ステータ12の一端部に配置し、該一端部を覆うように形成した」ことは、本件特許発明において「冷却ファンが設けられた側と反対側の前記ステータの一端部に近接して配置し、該一端部を覆うように形成した」ことに対応し、イ号物件は、本件特許発明の構成要件G.を充足する。 (8)まとめ 以上のとおり、イ号物件は、本件特許発明の構成要件A.ないしG.を全て充足するから、本件特許発明の技術的範囲に属する。 (9)被請求人の主張について 上記第4.に示すとおり、被請求人は、イ号物件の認定や、本件特許発明とイ号物件との対比及び判断について、個別具体的な反論をしていないから、被請求人の主張は、上記(1)ないし(8)における判断を妨げるものではない。 第6.むすび したがって、イ号物件は、本件特許発明の技術的範囲に属する。 よって、結論のとおり判定する。 |
別掲 |
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判定日 | 2014-03-03 |
出願番号 | 特願2007-140152(P2007-140152) |
審決分類 |
P
1
2・
1-
YA
(H02K)
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最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 安食 泰秀 |
特許庁審判長 |
栗田 雅弘 |
特許庁審判官 |
刈間 宏信 長屋 陽二郎 |
登録日 | 2012-08-17 |
登録番号 | 特許第5062473号(P5062473) |
発明の名称 | 電動工具 |
代理人 | 小塚 善高 |
代理人 | 筒井 大和 |
代理人 | 筒井 章子 |
代理人 | 青山 仁 |