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審決分類 審判 査定不服 発明同一 特許、登録しない。 H01L
管理番号 1285720
審判番号 不服2013-12952  
総通号数 173 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2014-05-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2013-07-05 
確定日 2014-03-10 
事件の表示 特願2007-294451「発光素子パッケージおよびそれを実装した発光装置」拒絶査定不服審判事件〔平成21年 6月 4日出願公開、特開2009-123823〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由
1 手続の経緯

本願は、平成19年11月13日の出願であって、平成24年10月30日付けで拒絶理由通知がなされ、この通知に対して、平成24年12月28日に手続補正がなされたが、平成25年4月11日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、平成25年7月5日に拒絶査定不服審判請求がなされたものである。

2 本願発明

本願の請求項に係る発明は、平成24年12月28日に補正された特許請求の範囲の請求項1ないし4に記載された事項により特定されるものと認められるところ、その請求項1に係る発明は次のとおりのものである。

「発光素子と、
前記発光素子の電極部と電気的に接続される第1パターン金属部と、当該第1パターン金属部と電気的に接続される第2パターン金属部とを有する樹脂基材層とを備え、
前記樹脂基材層に当該樹脂基材層を貫設する金属貫通部を設け、当該金属貫通部上に前記発光素子を実装するように構成し、
前記樹脂基材層の、厚みが25?70μmである第2パターン金属部側を平坦にするように、隣り合う第2パターン金属部同士の隙間を埋めるように配置される充填部を設けた発光素子パッケージ。」(以下「本願発明」という。)

3 先願明細書の記載事項

原査定の拒絶の理由に引用された、本願の出願前の出願であって、本願の出願後に出願公開された特願2007-220189号(以下「先願」という。)の特許請求の範囲、明細書及び図面(以下、これらを総称して「先願明細書」という。特開2009-54801号公報を参照。)には、以下の記載がある(下線は、当審による。)。

(1)「【請求項1】
金属部材と、
前記金属部材の上面上に絶縁層を介して形成された導体層と、
前記導体層の上面側に開口端を有し、前記導体層および前記絶縁層を貫通することにより前記金属部材に底面が形成された溝部と、
前記溝部の内面上の少なくとも一部に形成された熱伝導部材とを備えることを特徴とする、放熱部材。
……
【請求項13】
発光素子を含む発光装置と、
請求項1?12のいずれか1項に記載の放熱部材とを備えることを特徴とする、発光モジュール。
……
【請求項15】
前記発光装置は、上面側の第1電極層および下面側の第2電極層を含み、所定領域に形成された貫通孔を介して前記第1電極層と前記第2電極層とが互いに熱的に接続された基板をさらに備え、
前記発光素子は、前記上面側の第1電極層上に搭載されているとともに、前記上面側の第1電極層と熱的に接続された前記下面側の第2電極層は、前記放熱部材に設けられた前記熱伝導部材を介して、前記放熱部材の前記金属部材と熱的に接続されていることを特徴とする、請求項13または14に記載の発光モジュール。
……
【請求項18】
前記絶縁基板は、前記発光素子に電力を供給するための配線用の第3電極層をさらに含み、
前記上面側の第1電極層および前記下面側の第2電極層は、それぞれ、前記配線用の第3電極層と電気的に絶縁分離されていることを特徴とする、請求項15?17のいずれか1項に記載の発光モジュール。」

(2)「【0011】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の目的は、実装される表面実装部品の構造を設計変更することなく、表面実装部品からの熱を効率よく放熱することが可能な放熱部材を提供することである。
【0012】
この発明の他の目的は、良好な放熱特性を有する発光モジュールを提供することである。」

(3)「【0047】
また、メタルベース基板120上に表面実装される表面実装型LED130は、図2に示すように、基板131と、基板131上に搭載された発光ダイオード素子(LED素子)132と、基板131上にLED素子132を囲むように固定(接着)された反射枠体133と、反射枠体133の内側に充填された透光性部材134とを備えている。なお、LED素子132は、本発明の「発光素子」の一例である。
【0048】
また、基板131は、図3に示すように、ガラスエポキシや液晶ポリマー(Liquid Crystal Polymer:LCP)などから構成される絶縁基材142の上面上および下面上に、それぞれ、複数の電極層が形成された両面基板から構成されている。また、基板131は、図7および図8に示すように、平面的に見て、X方向に、約3.5mmの長さを有するとともに、X方向と直交するY方向にも、約3.5mmの長さを有する正方形形状に形成されている。また、基板131は、約0.2mmの厚みを有している。
【0049】
また、絶縁基材142の上面上に形成された複数の電極層は、図2および図9に示すように、正の極性を持つ複数(3つ)の有極性電極層147、および、負の極性を持つ複数(3つ)の有極性電極層148と、有極性電極層147および148と絶縁溝149を介して電気的に絶縁分離された電気的な極性を持たない無極性(中性)電極層146とに分けられる。また、有極性電極層147および148は、図6に示すように、絶縁基材142の上面上であるとともに、反射枠体133の開口部133aの内側に位置する領域にそれぞれ形成されている。また、無極性電極層146は、絶縁基材142の上面上であるとともに、有極性電極層147および148が形成されている領域以外の領域に形成されている。具体的には、図9に示すように、無極性電極層146は、有極性電極層147および148、有極性電極層147および148の周囲の絶縁溝149、および、基板131の上面の外周部の領域以外の領域に形成されている。なお、有極性電極層147および148は、本発明の「配線用の第3電極層」の一例であり、無極性電極層146は、本発明の「上面側の第1電極層」の一例である。
【0050】
また、絶縁基材142の下面上に形成された電極層は、図7および図8に示すように、主として配線用に用いられる電極層157および158と、主として放熱用に用いられ、広面積に形成された電極層156とから構成されている。また、配線用に用いられる電極層157および158は、上記した複数の有極性電極層147および148にそれぞれ対応するように複数形成されており、図3に示すように、絶縁基材142の貫通孔142aを介して有極性電極層147および148とそれぞれ電気的に接続されている。また、図7および図8に示すように、配線用に用いられる電極層157および158には、絶縁基材142の一方端側(X1方向側)および他方端側(X2方向側)にそれぞれ形成された電極端子157aおよび158aが一体的に連結されている。なお、主として配線用に用いられる電極層157および158は、本発明の「配線用の第3電極層」の一例であり、主として放熱用に用いられる電極層156は、本発明の「下面側の第2電極層」の一例である。
【0051】
また、放熱用に用いられる電極層156は、図3に示すように、絶縁基材142の複数の貫通孔142bを介して無極性電極層146と直接接触している。すなわち、放熱用に用いられる電極層156は、絶縁基材142の複数の貫通孔142bを介して無極性電極層146と熱的に接続されている。なお、有極性電極層147および148、無極性電極層146、電極層157および158、電極端子157aおよび158aは、銅などの熱伝導性の優れた導電性材料から構成されている。
【0052】
さらに、絶縁基材142の下面側の所定領域には、図8に示すように、レジスト層159が、配線用に用いられる電極層157および158を覆うように形成されている。このレジスト層159は、表面実装型LED130を半田160によって表面実装する際に、半田160が広がることに起因して、電極層156と電極層157(158)とが電気的に短絡するという不都合が生じるのを抑制する機能を有している。また、放熱用に用いられる電極層156上および電極端子157a、158a上には、図3に示すように、それぞれ、メッキ層166および167が形成されている。これにより、表面実装型LED130では、基板131の下面側が平坦面となるように構成されている。
【0053】
また、図2および図6に示すように、無極性電極層146の上面上であるとともに、反射枠体133の開口部133aの内側に位置する領域上には、3個の上記LED素子132が、接着剤172(図3参照)によって固定されている。このLED素子132は、正の有極性電極層147と負の有極性電極層148との間に、互いに所定の間隔を隔てて配列されている。また、3個のLED素子132は、それぞれ、赤色、緑色、および、青色の光を発光する機能を有している。
【0054】
また、図2および図3に示すように、正の有極性電極層147の上面と、LED素子132の電極部とは、それぞれ、ボンディングワイヤ137を介して電気的に接続されているとともに、負の有極性電極層148の上面と、LED素子132の電極部とは、それぞれ、ボンディングワイヤ138を介して電気的に接続されている。これにより、電極層157の電極端子157aと電極層158の電極端子158aとの間に電圧を加えることによって、ボンディングワイヤ137および138を介してLED素子132に電流が流れ、それぞれのLED素子132が固有の波長で発光する。そして、これらのLED素子132が同時に発光した場合には、その色が混色されて出射される。また、この場合、青色の光を発光するLED素子132のみを搭載するとともに、透光性部材134中に蛍光体を分散させることによって、表面実装型LED130からの出射光が白色光となるように構成してもよい。なお、ボンディングワイヤ137および138は、Au、Alなどの金属細線から構成されている。
……
【0060】
このように構成された表面実装型LED130は、上述したメタルベース基板120の上面上に半田160によって表面実装され、これによって、第1実施形態による発光モジュールが構成される。この際、表面実装型LED130は、図3に示すように、下面側の電極層156とメタルベース基板120の放熱用の導体層126bとが半田160によって熱的に接続された状態となっているとともに、下面側の電極端子157aおよび158aとメタルベース基板120の配線用の導体層126aとが半田160によって電気的に接続された状態となっている。」

(4)図2、図3、図6、図7及び図8は次のものである。



4 先願発明

(1)上記3(3)(特に【0053】を踏まえて、上記3(4)の図6及び図7をみると、絶縁基材142の中央付近において、貫通孔142b上の無極性電極146にLED素子132が固定されることがみてとれる。

(2)上記3(3)(特に【0050】、【0052】)を踏まえて、上記3(4)の図8をみると、絶縁基材142の下面側において、電極層157、158上の電極端子157a、158aが連結されていない部分、隣り合う電極層157と電極層158の間であって電極層156が形成されていない部分、隣り合う電極層157の間、及び隣り合う電極層158の間にレジスト層159が形成されていることがみてとれる。

(3)上記3(3)(特に【0050】、【0052】、【0060】)を踏まえて、上記3(4)の図3をみると、電極層157、158に連結された電極端子157a、158a上に形成されたメッキ層167とメタルベース基板120の配線用の導体層126aとが半田160によって電気的に接続されていることがみてとれる。

(4)上記3(3)(特に【0052】)及び上記(2)によると、基板131の下面が平坦面となるように、電極層157、158に連結された電極端子157a、158a上及び電極層156上にメッキ層166、167が形成され、電極層157、158上の電極端子157a、158aが連結されていない部分、隣り合う電極層157と電極層158の間であって電極層156が形成されていない部分、隣り合う電極層157の間、及び隣り合う電極層158の間にレジスト層159が形成されていることが把握できる。

(5)してみれば、先願明細書には、以下の発明(以下「先願発明」という。)が記載されていると認められる。

「発光素子を含む発光装置であって、
上面側の第1電極層および下面側の第2電極層を含み、所定領域に形成された貫通孔を介して前記第1電極層と第2電極層とが互いに熱的に接続された基板をさらに備え、
発光素子は、上面側の第1電極層上に搭載されているとともに、上面側の第1電極層と熱的に接続された下面側の第2電極層は、放熱部材に設けられた熱伝導部材を介して、放熱部材の金属部材と熱的に接続され、
基板は、発光素子に電力を供給するための配線用の第3電極層をさらに含み、
上面側の第1電極層および下面側の第2電極層は、それぞれ、配線用の第3電極層と電気的に絶縁分離されており、
発光素子はLED素子132であり、
基板131は、液晶ポリマーから構成される絶縁基材142の上面上および下面上に、それぞれ、複数の電極層が形成された両面基板から構成され、
絶縁基材142の上面上に形成された複数の電極層は、配線用の第3電極層である、正の極性を持つ複数の有極性電極層147および負の極性を持つ複数の有極性電極層148と、有極性電極層147および148と絶縁溝149を介して電気的に絶縁分離された、第1電極層である、電気的な極性を持たない無極性電極層146とから構成され、
絶縁基材142の下面上に形成された電極層は、配線用の第3電極層である、主として配線用に用いられる電極層157および158と、第2電極層である、主として放熱用に用いられ、広面積に形成された電極層156とから構成され、配線用に用いられる電極層157および158は、有極性電極層147および148にそれぞれ対応するように複数形成されており、絶縁基材142の貫通孔142aを介して有極性電極層147および148とそれぞれ電気的に接続され、
放熱用に用いられる電極層156は、絶縁基材142の複数の貫通孔142bを介して無極性電極層146と直接接触し、
基板131の下面が平坦面となるように、電極層157、158に連結された電極端子157a、158a上及び電極層156上にメッキ層167、166が形成され、電極層157、158上の電極端子157a、158aが連結されていない部分、隣り合う電極層157と電極層158の間であって電極層156が形成されていない部分、隣り合う電極層157の間、及び隣り合う電極層158の間にレジスト層159が形成され、
有極性電極層147および148、無極性電極層146、電極層157および158、電極端子157aおよび158aは、銅などの熱伝導性の優れた導電性材料から構成され、
LED素子132は、貫通孔142b上の無極性電極146に接着剤172によって固定され、
電極層157、158に連結された電極端子157a、158a上に形成されたメッキ層167とメタルベース基板120の配線用の導体層126aとが半田160によって電気的に接続され、
正の有極性電極層147の上面と、LED素子132の電極部とは、それぞれ、ボンディングワイヤ137を介して電気的に接続されているとともに、負の有極性電極層148の上面と、LED素子132の電極部とは、それぞれ、ボンディングワイヤ138を介して電気的に接続される発光装置。」

5 対比

本願発明と先願発明とを対比する。

(1)先願発明の「LED素子132」及び「発光装置」は、それぞれ本願発明の「発光素子」及び「発光素子パッケージ」に相当する。

(2)先願発明の「『正の極性を持つ複数の有極性電極層147』及び『負の極性を持つ複数の有極性電極層148』」は、「銅などの熱伝導性の優れた導電性材料から構成され」、「LED素子132の電極部」と「ボンディングワイヤ137、138を介して電気的に接続され」るので、本願発明の「第1パターン金属部」に相当し、
先願発明の「主として配線用に用いられる電極層157および158」は、「銅などの熱伝導性の優れた導電性材料から構成され」、「絶縁基材142の貫通孔142aを介して有極性電極層147および148とそれぞれ電気的に接続され」、先願発明の「電極端子157a、158a」は、「銅などの熱伝導性の優れた導電性材料から構成され」、「電極層157、158に連結され」、先願発明の「メッキ層167」は、「電極端子157a、158a上に形成され」、「メタルベース基板120の配線用の導体層126a」に「半田160によって電気的に接続され」るから、先願発明の「『電極層157、158』、『電極端子157a、158a』及び『メッキ層167』」は、本願発明の「第2パターン金属部」に相当し、
先願発明の「基板131」は、「液晶ポリマーから構成される絶縁基材142の上面上および下面上に」、「正の極性を持つ複数の有極性電極層147および負の極性を持つ複数の有極性電極層148」と「主として配線用に用いられる電極層157および158」「が形成された両面基板から構成され」るので、本願発明の「樹脂基材層」に相当し、
先願発明は、本願発明の「発光素子の電極部と電気的に接続される第1パターン金属部と、当該第1パターン金属部と電気的に接続される第2パターン金属部とを有する樹脂基材層とを備え」たとの特定事項を備えているといえる。

(3)先願発明では、「銅などの熱伝導性の優れた導電性材料から構成され」る「放熱用に用いられる電極層156」と「無極性電極層146」が「貫通孔142bを介して」「直接接触」し、「LED素子132は、貫通孔142b上の無極性電極146に接着剤172によって固定され」るから、先願発明の「貫通孔142b」は、本願発明の「金属貫通部」に相当し、先願発明は、本願発明の「樹脂基材層に当該樹脂基材層を貫設する金属貫通部を設け、当該金属貫通部上に前記発光素子を実装するように構成し」たとの特定事項を備えているといえる。

(4)先願発明の「レジスト層159」は、「隣り合う電極層157と電極層158の間であって電極層156が形成されていない部分、隣り合う電極層157の間、及び隣り合う電極層158の間に」「形成され」、該「レジスト層159」と「電極層157、158に連結された電極端子157a、158a上及び電極層156上に」「形成され」た「メッキ層166、167」とにより、「基板131の下面が平坦面となる」から、先願発明の「レジスト層159」は、本願発明の「充填部」に相当し、先願発明は、本願発明の「樹脂基材層の」「第2パターン金属部側を平坦にするように、隣り合う第2パターン金属部同士の隙間を埋めるように配置される充填部を設けた」との特定事項を備えているといえる。

(5)なお、請求人は、審判請求書において、先願発明は、基板131の下面を電極層表面に形成したレジスト層159と半田160で平坦にしている構成である旨、及び先願発明の各電極層の間には隙間が存在する旨主張するが、上記(2)のとおり、先願発明の「電極層157、158」、「電極端子157a、158a」及び「メッキ層167」を併せたものが、本願発明の「第2パターン金属部」に相当し、上記(4)のとおり、先願発明は、「メッキ層167」とその間に形成された「レジスト層159」とにより、基板131の下面が平坦面となるものであって、採用できない。

以上によれば、両者は、

「発光素子と、
前記発光素子の電極部と電気的に接続される第1パターン金属部と、当該第1パターン金属部と電気的に接続される第2パターン金属部とを有する樹脂基材層とを備え、
前記樹脂基材層に当該樹脂基材層を貫設する金属貫通部を設け、当該金属貫通部上に前記発光素子を実装するように構成し、
前記樹脂基材層の第2パターン金属部側を平坦にするように、隣り合う第2パターン金属部同士の隙間を埋めるように配置される充填部を設けた発光素子パッケージ。」

で一致し、以下の点で一応相違するものと認められる。

本願発明では、第2パターン金属部の厚みが25?70μmであるのに対し、先願発明では、第2パターン金属部の厚みが特定されない点(以下「相違点」という。)。

6 判断

(1)本願明細書の

「【0020】
……
第2パターン金属部153は厚み(例えば25μm?70μmの厚み)があり、この厚みによって基板のへの実装を困難にすることを回避するために、第2パターン金属部面側を平坦にするように充填部31が設けられている。」

との記載によれば、第2パターン金属部の厚みを25?70μmとすること、すなわち、相違点に係る本願発明の構成について、設計上の適宜の範囲を定めた以上の意義は認められない。

(2)そして、先願発明において、第2パターン金属部の厚みを如何にするかは、当業者が適宜設定し得る設計的事項というべきところ、発光素子パッケージにおいて、25?70μmの範囲内の厚みを有する導体は周知の技術である(例えば、特開2000-188358号公報の【0032】、【0033】には、銀層25、ニッケル層26、及び金メッキ層27の3層からなる金属導体部2において、銀層25、ニッケル層26、及び金メッキ層27の厚みを、18?33μm、5μm程度、及び0.3μm程度とすることが記載されている。また、特開2005-209763号公報の【0019】には、金属パターンの膜厚を5?50μm程度とすることが記載されている。)ことを踏まえると、相違点に係る本願発明の構成は単に設計上適宜設定される事項を特定したにとどまるものであって、技術思想に実質的な差異を生じるものとは認められないから、本願発明と先願発明は実質的に同一の発明というべきである。
また、先願の発明者は本願の発明者と同一ではなく、本願の出願時において、先願の出願人は本願の出願人と同一でもない。

7 むすび

したがって、本願発明は、特許法第29条の2の規定により特許を受けることができない。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2013-11-18 
結審通知日 2013-11-19 
審決日 2014-01-17 
出願番号 特願2007-294451(P2007-294451)
審決分類 P 1 8・ 161- Z (H01L)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 岡田 吉美  
特許庁審判長 江成 克己
特許庁審判官 中田 誠
畑井 順一
発明の名称 発光素子パッケージおよびそれを実装した発光装置  
復代理人 丹野 寿典  
代理人 特許業務法人 ユニアス国際特許事務所  

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