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審決分類 審判 査定不服 特36条4項詳細な説明の記載不備 補正却下を取り消す 原査定を取り消し、特許すべきものとする  G06F
審判 査定不服 特17条の2、3項新規事項追加の補正 補正却下を取り消す 原査定を取り消し、特許すべきものとする  G06F
審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 補正却下を取り消す 原査定を取り消し、特許すべきものとする  G06F
審判 査定不服 2項進歩性 補正却下を取り消す 原査定を取り消し、特許すべきものとする  G06F
管理番号 1285724
審判番号 不服2013-18616  
総通号数 173 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2014-05-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2013-09-26 
確定日 2014-04-01 
事件の表示 特願2008-143531「情報処理装置、情報処理システム及び情報処理プログラム」拒絶査定不服審判事件〔平成21年12月10日出願公開、特開2009-289197、請求項の数(6)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1.手続の経緯

本願は、平成20年5月30日の出願であって、平成24年11月16日付け拒絶理由通知に対する応答時、同年12月17日付けで手続補正がなされ、平成25年4月16日付け最後の拒絶理由通知に対する応答時、同年5月22日付けで手続補正がなされたが、当該手続補正について、同年6月28日付けで補正の却下の決定がなされるとともに、同日付けで拒絶査定がなされ、これに対して、同年9月26日付けで拒絶査定不服審判の請求がなされたものである。

第2.審判請求の趣旨

本件審判請求の趣旨は、平成25年6月28日付けでなされた、平成25年5月22日付けの手続補正に対する補正の却下の決定を取り消すとともに、原査定を取り消し、本願は特許をすべきものであるとの審決を求めるものである。

第3.平成25年6月28日付けの補正の却下の決定の適否

1.補正の内容

平成25年5月22日付けの手続補正(以下、「本件補正」という。)は、特許請求の範囲について、
「【請求項1】
第1の言語によって表示されている画像内の対象の位置と該第1の言語と翻訳関係にある第2の言語によって表示されている画像内の対象の位置を対応させて記憶する記憶手段と、
前記第1の言語によって表示されている画像への書き込みの位置を受け取る書込受取手段と、
前記記憶手段を用いて、前記書込受取手段によって受け取られた書き込みの位置に対応する前記第2の言語によって表示されている画像への書き込みの位置を算出する書込位置算出手段と、
前記書込受取手段によって受け取られた書き込みの位置に基づいて、前記第1の言語によって表示されている対象への書き込みであるか否かを判断する対象判断手段と、
前記対象判断手段によって、前記第1の言語によって表示されている対象への書き込みではないと判断された場合は、前記画像内における該書き込みと該書き込みが行われた図形との位置を維持するように、前記書込受取手段によって受け取られた書き込みの位置に対応する前記第2の言語によって表示すべき画像に対する書き込みの位置を算出する第2の書込位置算出手段と、
前記書込位置算出手段と前記第2の書込位置算出手段によって算出された位置に基づいて、前記第2の言語によって表示されている画像に対して書き込みが行われた画像を生成する画像生成手段
を具備し、
前記第2の書込位置算出手段が行う位置の算出は、前記第1の言語によって表示されている画像が横長、前記第2の言語によって表示されている画像が縦長であって、該第1の言語によって表示されている画像内において左下の位置にある、前記書込受取手段によって受け取られた書き込みが、該第2の言語によって表示されている画像内の左下の位置になるように行う
ことを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記書込受取手段によって受け取られた書き込みの位置に基づいて、前記第1の言語によって表示されている対象への書き込みであるか否かを判断する対象判断手段
を具備し、
前記書込位置算出手段は、前記対象判断手段によって、前記第1の言語によって表示されている対象への書き込みであると判断された場合は、前記記憶手段を用いて、前記書込受取手段によって受け取られた書き込みの位置に対応する前記第2の言語によって表示すべき対象への書き込みの位置を算出する
ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記書込受取手段によって受け取られた書き込みの位置に基づいて、複数の対象に対する書き込みであるか否かを判断する対象判断手段
を具備し、
前記書込位置算出手段は、前記対象判断手段によって、複数の対象に対する書き込みであると判断された場合は、前記記憶手段を用いて、前記書込受取手段によって受け取られた書き込みの位置に対応する前記第2の言語によって表示すべき複数の対象への書き込みの位置を算出する
ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項4】
第1の情報処理端末と第2の情報処理端末と情報処理装置を通信回線を介して接続しており、
前記第1の情報処理端末は、
第1の言語によって表示されている画像に対する書き込みの位置を検出する検出手段と、
前記検出手段によって検出された書き込みの位置を情報処理装置に送信する位置送信手段
を具備し、
前記情報処理装置は、
第1の言語によって表示されている前記第1の情報処理端末の画像内の対象の位置と該第1の言語と翻訳関係にある第2の言語によって表示されている前記第2の情報処理端末の画像内の対象の位置を対応させて記憶する記憶手段と、
前記第1の情報処理端末の位置送信手段によって送信された書き込みの位置を受信する位置受信手段と、
前記記憶手段を用いて、前記位置受信手段によって受信された書き込みの位置に対応する前記第2の言語によって表示されている画像への書き込みの位置を算出する書込位置算出手段と、
前記位置受信手段によって受信された書き込みの位置に基づいて、前記第1の言語によって表示されている対象への書き込みであるか否かを判断する対象判断手段と、
前記対象判断手段によって、前記第1の言語によって表示されている対象への書き込みではないと判断された場合は、前記画像内における該書き込みと該書き込みが行われた図形との位置を維持するように、前記位置受信手段によって受信された書き込みの位置に対応する前記第2の言語によって表示すべき画像に対する書き込みの位置を算出する第2の書込位置算出手段と、
前記書込位置算出手段と前記第2の書込位置算出手段によって算出された位置に基づいて、前記第2の言語によって表示されている画像に対して書き込みが行われた画像を生成する画像生成手段と、
前記画像生成手段によって生成された画像を前記第2の情報処理端末に送信する画像送信手段
を具備し、
前記第2の書込位置算出手段が行う位置の算出は、前記第1の言語によって表示されている画像が横長、前記第2の言語によって表示されている画像が縦長であって、該第1の言語によって表示されている画像内において左下の位置にある、前記位置受信手段によって受信された位置の書き込みが、該第2の言語によって表示されている画像内の左下の位置になるように行い、
前記第2の情報処理端末は、
前記情報処理装置の画像送信手段によって送信された画像を受信する画像受信手段と、
前記画像受信手段によって受信された画像を表示する表示手段
を具備することを特徴とする情報処理システム。
【請求項5】
第1の情報処理端末と第2の情報処理端末と情報処理装置を通信回線を介して接続しており、
前記第1の情報処理端末は、
第1の言語によって表示されている画像に対する書き込みの位置を検出する検出手段と、
前記検出手段によって検出された書き込みの位置を情報処理装置に送信する位置送信手段
を具備し、
前記情報処理装置は、
第1の言語によって表示されている前記第1の情報処理端末の画像内の対象の位置と該第1の言語と翻訳関係にある第2の言語によって表示されている前記第2の情報処理端末の画像内の対象の位置を対応させて記憶する記憶手段と、
前記第1の情報処理端末の位置送信手段によって送信された書き込みの位置を受信する位置受信手段と、
前記記憶手段を用いて、前記位置受信手段によって受信された書き込みの位置に対応する前記第2の言語によって表示されている画像への書き込みの位置を算出する書込位置算出手段と、
前記位置受信手段によって受信された書き込みの位置に基づいて、前記第1の言語によって表示されている対象への書き込みであるか否かを判断する対象判断手段と、
前記対象判断手段によって、前記第1の言語によって表示されている対象への書き込みではないと判断された場合は、前記画像内における該書き込みと該書き込みが行われた図形との位置を維持するように、前記位置受信手段によって受信された書き込みの位置に対応する前記第2の言語によって表示すべき画像に対する書き込みの位置を算出する第2の書込位置算出手段と、
前記書込位置算出手段と前記第2の書込位置算出手段によって算出された位置を前記第2の情報処理端末に送信する算出位置送信手段
を具備し、
前記第2の書込位置算出手段が行う位置の算出は、前記第1の言語によって表示されている画像が横長、前記第2の言語によって表示されている画像が縦長であって、該第1の言語によって表示されている画像内において左下の位置にある、前記位置受信手段によって受信された位置の書き込みが、該第2の言語によって表示されている画像内の左下の位置になるように行い、
前記第2の情報処理端末は、
前記情報処理装置の算出位置送信手段によって送信された算出位置を受信する算出位置受信手段と、
前記算出位置受信手段によって受信された算出位置に基づいて、前記第2の言語によって表示されている画像に対して書き込みが行われた画像を生成する画像生成手段と、
前記画像生成手段によって生成された画像を表示する表示手段
を具備することを特徴とする情報処理システム。
【請求項6】
コンピュータを、
第1の言語によって表示されている画像内の対象の位置と該第1の言語と翻訳関係にある第2の言語によって表示されている画像内の対象の位置を対応させて記憶する記憶手段と、
前記第1の言語によって表示されている画像への書き込みの位置を受け取る書込受取手段と、
前記記憶手段を用いて、前記書込受取手段によって受け取られた書き込みの位置に対応する前記第2の言語によって表示されている画像への書き込みの位置を算出する書込位置算出手段と、
前記書込受取手段によって受け取られた書き込みの位置に基づいて、前記第1の言語によって表示されている対象への書き込みであるか否かを判断する対象判断手段と、
前記対象判断手段によって、前記第1の言語によって表示されている対象への書き込みではないと判断された場合は、前記画像内における該書き込みと該書き込みが行われた図形との位置を維持するように、前記書込受取手段によって受け取られた書き込みの位置に対応する前記第2の言語によって表示すべき画像に対する書き込みの位置を算出する第2の書込位置算出手段と、
前記書込位置算出手段と前記第2の書込位置算出手段によって算出された位置に基づいて、前記第2の言語によって表示されている画像に対して書き込みが行われた画像を生成する画像生成手段
として機能させ、
前記第2の書込位置算出手段が行う位置の算出は、前記第1の言語によって表示されている画像が横長、前記第2の言語によって表示されている画像が縦長であって、該第1の言語によって表示されている画像内において左下の位置にある、前記書込受取手段によって受け取られた書き込みが、該第2の言語によって表示されている画像内の左下の位置になるように行う
ことを特徴とする情報処理プログラム。」
と補正する補正事項を含むものである。

2.補正の却下の理由の概要

「補正により、請求項1において、第2の書込位置算出手段に関し、『前記画像内における該書き込みと該書き込みが行われた図形との位置を維持するように、前記書込受取手段によって受け取られた書き込みの位置に対応する前記第2の言語によって表示すべき画像に対する書き込みの位置を算出する』との機能が特定された。
これについて検討する。上記機能に関連する記載として、本願の願書に最初に添付した明細書【0044】段落には、図形オブジェクト1111(請求項における『書き込みが行われた図形』に相当)に対して、横長文書から縦長文書への変換を行うことと、書込オブジェクト1112(請求項における『書き込み』に相当)に対して、同様に、横長文書から縦長文書への変換を行うことが記載されている。しかしながら、書込オブジェクト1112と図形オブジェクト1111に対して、横長文書から縦長文書への「同様な変換」が行われたからといって、書込オブジェクト1112と図形オブジェクト1111との位置が維持されるといったことは必ずしも保証されるものではないから、明細書のこのような記載を、請求項に対する上記補正の根拠と認めることはできない。
また、これ以外の願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面の記載全てを検討しても、上記補正の根拠となる記載は認められない。
したがって、この補正は、願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてしたものでない。
よって、この補正は特許法第17条の2第3項の規定に違反するものであるから、同法第53条第1項の規定により上記結論のとおり決定する。
(なお、上記では請求項1について説明したが、請求項4-6についても同様である。)」

3.当審の判断

本件補正により、独立形式で記載された請求項1,4?6の各請求項において、発明を特定するために必要な事項である「第2の書込位置算出手段」について、第2の言語によって表示すべき画像に対する書き込みの位置の算出を、画像内における「書き込みと該書き込みが行われた図形との位置を維持するように」行うこと、及び、「前記第1の言語によって表示されている画像が横長、前記第2の言語によって表示されている画像が縦長であって、該第1の言語によって表示されている画像内において左下の位置にある、前記書込受取手段によって受け取られた書き込みが、該第2の言語によって表示されている画像内の左下の位置になるように」行うことの特定(限定)が付加された。
これに対して、願書に最初に添付した明細書の段落【0044】には、
「図11を用いて、書き込みが翻訳対象へのものでない場合の処理について説明する。つまり、図形等は翻訳対象ではないので、その図形等に対して書き込みが行われた場合に、その書き込みへの変換は行わずに描画する例である。
図11(a)は、文書画像710に翻訳対象であるオブジェクト711、712、713と翻訳対象ではない図形オブジェクト1111があり、図形オブジェクト1111に対して書込オブジェクト1112がある場合を示している。
前述と同様に、オブジェクト711、712、713に対しては、翻訳及びレイアウト変換が行われ、図11(b)の例に示すように、文書画像720にオブジェクト721、722、723が配置されるが、図形オブジェクト1111は文書画像710の左下にあるので、文書画像720においても図形オブジェクト1121は左下に位置する。つまり、図形等の座標に対しては、横長文書から縦長文書への変換を行う。例えば、横長文書において左下にあるオブジェクトは、縦長文書においても左下の座標になるような変換を行う。ただし、この変換は、レイアウト変換テーブル300を用いるものではない。
そして、書込オブジェクト1112の所定距離内にある図形オブジェクト1111はレイアウト変換テーブル300内にないので、書込オブジェクト1112は、翻訳対象への書き込みではないと判断される。そして、書込オブジェクト1112の座標に対して、図形オブジェクト1111と同様に、横長文書から縦長文書への変換を行う。その結果、書込オブジェクト1122は図形オブジェクト1121の下に描画することになる。」
と記載(下線は、当審で付与した。)されており、かかる記載によれば、図形オブジェクト1111及び書込オブジェクト1112はともに、レイアウト変換テーブル300を用いることなく、横長文書において左下にあるオブジェクトは、縦長文書においても左下の座標になるような、横長文書から縦長文書への変換が行われるものと理解される。つまり、書込オブジェクト1112(すなわち「書き込み」)と当該書き込みが行われた図形オブジェクト1111(すなわち「書き込みが行われた図形」)はともに、「第2の書込位置算出手段」によって、横長文書(横長画像)において左下に位置するものは、縦長文書(縦長画像)においても左下に位置するように同じ変換処理がなされるものであると解され、したがって当該変換処理による変換後の書込オブジェクト1122(すなわち「書き込み」)と変換後の図形オブジェクト1121(すなわち「書き込みが行われた図形」)との位置が維持されることは、願書に最初に添付した図面の図11からしても自明というべきことである。
よって、本件補正により、第2の書込位置算出手段について行った上記特定(限定)は、願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてしたものであるとするのが相当である。

4.補正の却下の決定についてのむすび

以上のとおりであるから、本件補正を特許法第53条第1項の規定により却下するとした決定の判断は妥当なものではない。

よって、平成25年6月28日付けでなされた、平成25年5月22日付けの手続補正に対する補正の却下の決定を取り消す。

第4.本願発明について

平成25年5月22日付けの手続補正に対する補正の却下の決定は上記のとおり取り消されたので、本願の特許請求の範囲に係る発明は、その平成25年5月22日付け手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし6(上記「第3.1.」を参照)に記載された事項により特定されるとおりのものである。

そして、原査定は上記補正の却下を前提としたものであり、原査定の拒絶理由を検討してもその理由は上記手続補正によって解消しているといえ、当該理由によって拒絶すべきものとすることはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2014-03-18 
出願番号 特願2008-143531(P2008-143531)
審決分類 P 1 8・ 561- WYA (G06F)
P 1 8・ 536- WYA (G06F)
P 1 8・ 537- WYA (G06F)
P 1 8・ 121- WYA (G06F)
最終処分 成立  
前審関与審査官 成瀬 博之  
特許庁審判長 石井 研一
特許庁審判官 井上 信一
酒井 伸芳
発明の名称 情報処理装置、情報処理システム及び情報処理プログラム  
代理人 清水 昇  

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