• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 A61B
管理番号 1285791
審判番号 不服2013-3531  
総通号数 173 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2014-05-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2013-02-25 
確定日 2014-04-01 
事件の表示 特願2007-102309「画像診断装置」拒絶査定不服審判事件〔平成20年10月30日出願公開、特開2008-259543、請求項の数(9)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
本願は,平成19年4月10日を出願日とする出願であって,平成24年5月18日付けで拒絶理由が通知され,同年8月22日付けで手続補正がなされ、同年10月19日付けで拒絶査定がなされ、平成25年2月25日に拒絶査定不服審判の請求がなされたものである。

第2 本願発明
本願の請求項1に係る発明は、平成24年年8月22日付け手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される、以下のとおりのものである。(以下、「本願発明」という。)
「【請求項1】
被検体を撮像する撮像部と、
オペレータによって複数の入力項目に操作データが入力されることにより、前記撮像部の動作を操作する操作部と
を有する画像診断装置であって、
前記操作部は、
音声を出力する音声出力部と、
前記入力項目に入力された操作データに基づいて、設定項目に対応するように設定データを設定する設定部と、
を含み、
前記設定部は、前記複数の入力項目にて一の入力項目に操作データが入力された後に、
当該一の入力項目に入力された操作データが変更された際には、当該一の入力項目において変更された操作データに基づいて、前記設定項目に対応するように設定した設定データを変更し、
前記音声出力部は、前記設定部によって前記設定データが変更された際には、前記設定データが変更された旨の設定変更情報を、オペレータに音声で提供する、画像診断装置。」

第3 原審の拒絶理由において提示された引用刊行物およびその記載事項
1 原審の平成24年5月18日付け拒絶理由において引用された刊行物は以下の3件(以下、それぞれ「刊行物1」、「刊行物2」、「刊行物3」という。)である。
(1)特開2003-280681号公報
(2)特開昭63-40537号公報
(3)特開2004-28657号公報

2 引用刊行物の記載事項(下線は当審で付与した。)
(1)上記刊行物1には、「医用画像処理装置、医用画像処理方法、プログラム、及び記録媒体」について、図面とともに次の事項が記載されている。
(1-ア)
「【特許請求の範囲】
【請求項1】入力された撮影条件に基づいて、放射線医用画像データに画像処理を施す医用画像処理装置において、
音声を入力する音声入力手段と、
前記音声入力手段により入力された音声信号を認識する音声認識手段と、
前記音声認識手段により認識された音声信号に対応する処理を実行する処理実行手段と、
を備えたことを特徴とする医用画像処理装置。
【請求項2】前記処理実行手段により実行された処理の結果に基づいて、処理結果を通知するための音声テキストデータを合成する音声合成手段と、
前記音声合成手段により合成された音声テキストデータを音声信号に変換して出力する音声出力手段と、
を更に備えたことを特徴とする請求項1記載の医用画像処理装置。」

(1-イ)
「【0021】まず、構成を説明する。図1は、本実施の形態の全体構成を概念的に示す図である。図1に示す様に、医用画像処理装置1は、ケーブル2を介して、放射線医用画像情報を読み取る医用画像読取装置3に接続されている。なお、医用画像読取装置3は、1台あるいは複数台を医用画像処理装置1に接続することが可能である。
【0022】医用画像処理装置1は、放射線技師等により撮影が指示されると、医用画像読取装置3の動作を制御して、撮影された放射線医用画像情報を取得して表示画面上に表示させる。
【0023】医用画像読取装置3は、X線照射部を備えた医用画像読取装置であり、ケーブル2を介して接続されたコントローラ1から入力される指示によりX線照射部からX線が照射されると、支持体上に蓄積性蛍光体を積層して成るシート状の輝尽性蛍光体プレートにX線照射部から照射されたX線による人体等の被検体の放射線画像情報を一旦蓄積したものにレーザ光を走査して、蓄積された放射線画像情報を順次輝尽発光させ、この輝尽発光光を光電的に順次読取って画像信号を得る。医用画像読取装置3は、このようにして得られた画像信号を、医用画像データとしてケーブル2を介してコントローラ1に送信する。そして、医用画像読取装置3は、画像信号を読取った後、輝尽性蛍光体プレートに消去光を照射して、このプレートに残留する放射線エネルギーを放出させ、次の撮影に備える。
【0024】図2は、医用画像処理装置1の機能的構成を示すブロック図である。以下、図2を参照して医用画像処理装置1の内部構成を詳細に説明する。
【0025】図2に示す様に、医用画像処理装置1は、制御部11、入力部12、表示部13、RAM14、記録媒体15aを有する記憶部15、I/F16、画像解析部17、画像処理部18、音声入力部19、音声合成部20、音声出力部21により構成され、各部はバスにより接続されている。
・・・
【0035】音声入力部19は、マイク、音声認識部等(何れも図示せず)によって構成される。音声入力部19は、入力部12の音声入力ボタン押下後にマイクから入力されるユーザの音声信号を音声認識部にて音声認識してテキストデータに変換し、変換したテキストデータを音声入力情報として制御部11に出力する。音声解除ボタンが押下されると、音声入力は停止される。音声解除ボタンが押下されると、音声入力は停止される。
【0036】音声合成部20は、音声入力部19の音声認識結果から得られる音声内容に対応する、或いは入力部12から入力された内容に対応する警告音声データを、記録媒体15aに格納される警告音声ファイル153を参照して合成する。また、音声認識、あるいは入力された内容に基づいて行われた処理結果に対応する確認通知音声データを、確認通知音声ファイル154を参照して合成する。また、ガイダンス音声データを、ガイダンス音声ファイル152を参照して合成する。
【0037】音声出力部21は、スピーカ、D/Aコンバータ、及び増幅器等(何れも図示せず)により構成され、CPU11からの音声出力指示信号が入力されると、出力すべき音声のテキストデータをデジタル音声信号に変換し、該デジタル音声信号をD/Aコンバータによりアナログ信号に変換後、このアナログ音声信号を増幅器により所定の音量に増幅して、スピーカから音声として出力する。」

(1-ウ)
「【0038】次に、動作について説明する。まず、医用画像処理装置1により実行される音声入力処理について図3のフローチャートを参照して説明する。
【0039】制御部11は、入力部12の所定キーが操作され、撮影条件入力画面等の入力画面の表示が指示されると、表示部13に、入力画面を表示させる(ステップS1)。入力画面上で音声入力ボタンが押下されると(ステップS2;YES)、制御部11は、以後音声入力部19のマイクから入力される音声を、入力指示信号として認識するように、音声入力モードへ切り換え(ステップS3)、当該入力画面における入力方法のガイダンス音声データを、ガイダンス音声ファイル152から読み出して音声合成部20により合成し、音声出力部21から出力させる(ステップS4)。
【0040】音声入力モードへの切り換え後、マイクより音声が入力されると(ステップS5)、制御部11は、音声入力部19に、入力されたユーザの音声信号を音声認識部にて音声認識させ、テキストデータに変換させる(ステップS6)。そして、制御部11は、表示部13に表示される入力画面ごとに、該入力画面上に表示される各種入力ボタンが押下された際に実行する処理とテキストデータとを対応付けて記憶する、音声処理対応付ファイル151を参照して、入力されたテキストデータに対応する処理があるか否かを判断する(ステップS7)。
【0041】入力されたテキストデータに対応する処理が無いと判断すると(ステップS7;NO)、制御部11は、音声合成部20により、入力された音声内容に対応する警告音声データを、警告音声ファイル153を参照して合成し、音声出力部21から出力させる(ステップS8)。また、制御部11は、音声合成部20により、入力された音声内容に対応するガイダンス音声データを、ガイダンス音声ファイル152を参照して合成し、音声出力部21から出力させる(ステップS9)。
【0042】制御部11は、ステップS7において、入力されたテキストデータに対応する処理があると判断すると(ステップS7;YES)、入力されたテキストデータに対応する処理を実行する(ステップS10)。そして、制御部11は、処理結果を、表示部13に表示させると共に、確認通知音声ファイル154を参照して、音声合成部20により確認通知音声データを合成し、音声出力部21から出力させる(ステップS11)。」

(1-エ)
「【0044】次に、上記音声入力処理を、撮影条件入力画面を例にとり説明する。図4は、撮影条件入力画面131の一例を示す図である。図4に示す撮影条件入力画面131の上部中央には、撮影対象となる患者の撮影ID及び氏名が表示されている。画面上部右側には、音声入力モードへ切り換えるための「音声入力」ボタン、音声入力モードを解除するための「音声解除」ボタン、入力した撮影条件を登録するための「確認」ボタン、入力した撮影条件を削除するための「削除」ボタン、当該撮影条件の入力をキャンセルするための「キャンセル」ボタン等が表示されている。画面右側下部には、画面を前ページに移行するための「前ページ」ボタン、画面を次のページに移行するための「次ページ」ボタンが表示されている。
【0045】また、領域131aは、選択済み条件表示領域であり、選択された撮影条件を表示する。選択済み条件表示領域131aの下には、部位領域131bが表示されており、その更に下には、選択肢領域131cが表示されている。部位領域131bの中の部位(例えば、腹部)が選択されると、選択肢領域131cの先頭に腹部の選択肢の先頭が表示されるようにジャンプして表示される。
【0046】この撮影条件入力画面131が表示され(図3のステップS1)、「音声入力」ボタンが押下されると(図3のステップS2)、制御部11は、音声入力モードに切り換え(図3のステップS3)、「撮影条件を入力して下さい」という音声ガイダンスを出力する(図3のステップS4)。マイクから「頭蓋骨PA」と入力されると(ステップS5)、ステップS6?S10を実行し、選択済み条件表示領域131aに「頭蓋骨P→A」と表示すると共に、音声出力部21から「頭蓋骨PA」という確認通知音声を出力させる(図3のステップS11)。マイクから「頭蓋骨レーゼ」と音声入力されると(図3のステップS5)、制御部11は、ステップS6及びS7の実行後、「入力に誤りがあります。再度入力してください。」という指示ミス警告及び入力ガイダンスを出力する(図3のステップS8及びS9)。
【0047】このように、音声入力により撮影条件を入力すると、100種類以上にも及ぶ撮影部位の選択肢を、いちいち画面切り換えにより表示させて選択する必要がなく、迅速に入力を行う事ができる。
【0048】以上説明した様に、医用画像処理装置1によれば、制御部11は、入力画面上で音声入力ボタンが押下されると、以後音声入力部19のマイクから入力される音声を、入力指示信号として認識するように、音声入力モードへ切り換える。音声入力モードへの切り換え後、マイクより音声が入力されると、制御部11は、音声入力部19に入力されたユーザの音声信号を音声認識部にて音声認識させ、テキストデータに変換して出力させる。そして、制御部11は、表示部13に表示される入力画面ごとに、該入力画面上に表示される各種入力ボタンが押下された際に実行する処理とテキストデータとを対応付けて記憶する、音声処理対応付ファイル151を参照して、入力されたテキストデータに対応する処理を実行し、処理結果を、表示部13に表示させると共に、音声合成部20により確認通知音声データ合成し、音声出力部21から出力させる。
【0049】従って、入力操作を音声により行うので、煩雑だった入力操作を容易にかつ迅速に行うことができる。また、入力指示された結果を音声によって通知するので、入力ミスを直ちにユーザに気付かせることができ、画面上で処理結果を確認する場合にしばしば発生していた確認もれが大幅に減少し、入力ミスを減少させることができる。その結果、医用画像処理装置における操作性が向上する。
【0050】なお、上記実施の形態における記述内容は、本発明に係る医用画像処理装置1の好適な一例であり、これに限定されるものではない。例えば、本実施の形態においては、医用画像処理装置1と医用画像読取装置3をケーブルにより接続したシステムを例示しているが、これに限定されず、LANやインターネット等のネットワークにより接続してもよい。更に、患者情報や撮影条件等の予約情報を入力する予約装置や、サーバ、プリンタ等をネットワーク上に接続し、医用画像処理装置1と相互にデータの送受信が可能なように構成し、画像読取システムを構成するようにしてもよい。本発明を、予約装置に適用してもよい。」

上記(1-ア)?(1-エ)の記載と第1?7図を参照すると,上記刊行物1には, 次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されているといえる。
「 制御部11、入力部12、表示部13、RAM14、記録媒体15aを有する記憶部15、I/F16、画像解析部17、画像処理部18、音声入力部19、音声合成部20、音声出力部21により構成される医用画像処理装置1であって、
100種類以上にも及ぶ撮影部位の選択肢を、いちいち画面切り換えにより表示させて選択する必要がない音声入力により撮影条件を入力し、
制御部11は、音声入力部19に入力されたユーザの音声信号を音声認識部にて音声認識させ、テキストデータに変換し、音声処理対応付ファイル151を参照して、入力されたテキストデータに対応する処理を実行し、
撮影が指示されると、医用画像読取装置3の動作を制御して、撮影された放射線医用画像情報を取得して表示画面上に表示させるもので、
音声出力部21は、スピーカ、D/Aコンバータ、及び増幅器等(何れも図示せず)により構成され、CPU11からの音声出力指示信号が入力されると、出力すべき音声のテキストデータをデジタル音声信号に変換し、該デジタル音声信号をD/Aコンバータによりアナログ信号に変換後、このアナログ音声信号を増幅器により所定の音量に増幅して、スピーカから音声として出力する医用画像処理装置1と、
X線照射部を備えた医用画像読取装置3と、
をケーブルにより接続したシステム。」

(2)上記刊行物2には、「音声ガイド付きCT装置」について、図面とともに次の事項が記載されている。
(2-ア)
「従来このようなX線CT装量を操作するには、臨床放射線技師の資格とは別にCT装置そのものに関する高度な知識を必要としていた。即ち、CT装置の持つ能力を充分に利用するにはCT装置について専門的な知識を有する専門技師の操作が必要であった。」(1頁右下欄14?19行)

(2-イ)
「本発明の目的は、以上のような従来CT装置の問題点を解決し、CT装置に関する専門知識の無い者であってもCT装置を適切に操作し、CT装置の能力を充分に発揮することができるようにすることにある。
[発明の構成]
(問題点を解決するための手段)
上記目的を達成するため本発明は、CT装置の少なくとも操作手順を記憶するメモリと、コントロール・コンソールによる入力に応じてCPUにより前記メモリか選択された操作手順等を音声にして発する音声発生装置とを具備した構成とした。
(作 用)
本発明は上記の構成としたので、次のように作用する。
即ち、操作者がコントロール・コンソールにより指令を入力すると、CPUが入力に応じた操作手順をメモリから選択し、該操作手順が音声発生装置から発っせられる。従って操作者がCT装置に関する専門知識の無い者であっも、音声発生装置から発っせられる操作手順にガイドされてCT装置を適切に操作することかでき、CT装置の能力を充分に発揮することができる。」(2頁左上欄9行?右上欄12行)

(3)上記刊行物3には、「入力支援装置、入力支援方法および入力支援プログラム」について、図面とともに次の事項が記載されている。
(3-ア)
「【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、入力支援装置、入力支援方法および入力支援プログラムに関する。
・・・
【0006】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、放射能測定を行う際の作業者による操作性を向上し、誤入力を防止することができ、さらに入力メニューの項目及び表示順序を容易に変更可能として入力作業の能率向上を図ることができる入力支援装置、入力支援方法および入力支援プログラムを提供することを目的とする。
・・・
【0023】
図5は、入力支援装置100の表示装置15に表示される画面であって、利用者がある表示順序パターンの登録内容を変更するための入力画面の一例の図である。利用者はマウス13を使用してこの入力画面の操作を行い、メニュー候補1732及び設定項目1733の登録内容を変更することができる。
【0024】
図5において、画面51内にはメニュー候補1732に登録されている全メニュー候補に対応するボタンが表示される。例えば、図3のFormID17の「フィルタ厚さ選択」のボタンB511、FormID14の「採取流量入力」のボタンB512、FormID15の「オフガス流量入力」のボタンB513などがある。利用者は、画面追加用ボタンB501をクリックして画面追加入力画面を表示し、メニュー候補1732に新たなメニュー候補を追加することができる。
【0025】
画面52内には、設定項目1733の登録内容に基づいて、現在編集中の表示順序パターンに該当するメニュー候補に対応するボタンが、該当する表示順序で表示される。例えば、図4のID_A1の表示順序パターンでは、先ずOrderNo1に対応するFormID5の「施設名選択」のボタンB521が表示され、以降、FormID6の「試料名選択」のボタンB522、FormID7の「試料形状選択」のボタンB523、FormID8の「試料位置選択」のボタンB524、FormID29の「分析情報入力」のボタンB525、FormID9の「測定者選択」のボタンB526、というようにOrderNoによる表示順序に従って、順次、該当するメニュー候補に対応するボタンが表示される。
【0026】
利用者は、ドラッグ・アンド・ドロップ操作により、画面51内のボタンを画面52内へ移動することにより、該ボタンのメニュー候補を現在編集中の表示順序パターンのIDの新規メニュー候補として設定項目1733へ追加登録することができる。反対に画面52内のボタンを画面51内へ移動することにより、該ボタンのメニュー候補を設定項目1733の登録内容から削除することができる。また、画面52内において、ボタンの位置を
変更することにより、該変更後の位置に従った表示順序に設定項目1733の表示順序の登録内容を変更することができる。
ボタンB502はメニュー候補1732及び設定項目1733の登録内容を図5の入力画面の内容に従って更新するためのボタンである。ボタンB503は図5の入力画面の内容に基づく更新をキャンセルするためのボタンである。」

3 対比・判断
(1)対比
本願発明と引用発明とを対比する。
ア 引用発明の「X線照射部を備えた医用画像読取装置3」は、本願発明の「被検体を撮像する撮像部」に相当する。

イ 引用発明の「音声入力により撮影条件を入力」することは、本願発明の「オペレータによって複数の入力項目に操作データが入力される」ことに相当する。そして引用発明は「音声入力により撮影条件を入力し、撮影が指示されると、医用画像読取装置3の動作を制御」するのであるから、引用発明の「音声入力部19は、本願発明の「前記撮像部の動作を操作する操作部」に相当する。

ウ 引用発明の「システム」は、「医用画像処理装置1と、X線照射部を備えた医用画像読取装置3と、をケーブルにより接続した」ものであるから、本願発明の「画像診断装置」に相当する。

エ 引用発明の「音声出力部21」は、本願発明の「音声出力部」に相当する。

そうすると,両者は,
(一致点)
「被検体を撮像する撮像部と、
オペレータによって複数の入力項目に操作データが入力されることにより、前記撮像部の動作を操作する操作部と
を有する画像診断装置であって、
前記操作部は、
音声を出力する音声出力部と、
を含む画像診断装置。」である点で一致し,以下の点で相違するといえる。

(相違点)
本願発明では「操作部は、前記入力項目に入力された操作データに基づいて、設定項目に対応するように設定データを設定する設定部を含み、前記設定部は、前記複数の入力項目にて一の入力項目に操作データが入力された後に、
当該一の入力項目に入力された操作データが変更された際には、当該一の入力項目において変更された操作データに基づいて、前記設定項目に対応するように設定した設定データを変更し、
前記音声出力部は、前記設定部によって前記設定データが変更された際には、前記設定データが変更された旨の設定変更情報を、オペレータに音声で提供する」のに対して、引用発明では、そのような特定をしていない点。

(2)相違点についての検討
本願の明細書には、「設定項目」について、「【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
<実施形態1>
(装置構成)
図1は、本発明にかかる実施形態1において、磁気共鳴イメージング装置1の構成を示す構成図である。
・・・
【0042】
設定部323は、コンピュータと、そのコンピュータを用いて所定のデータ処理を実行するプログラムを記憶するメモリとを有しており、入力項目に入力された操作データに基づいて、設定項目に対応するように設定データを設定する。本実施形態においては、設定部323は、入力項目に入力された操作データに基づいて、スキャン時間などの設定項目について、そのスキャン時間に対応する設定データを算出し、設定する。・・・
【0045】
(動作)
以下より、上記の本発明にかかる実施形態1の磁気共鳴イメージング装置1を用いて、被検体を撮像する際の動作について説明する。
・・・
【0050】
図4に示すように、たとえば、被検体の氏名,被検体の体重などの被検体情報を、入力項目として、文字情報によって、表示部33が表示画面に表示する。また、たとえば、スライス枚数(# of Slice),エコー数(# of TE per Scan),エコー時間(TE),繰り返し時間(TR),バンド幅(BW)のスキャンパラメータなどの入力項目を、文字情報として、表示部33が表示画面に表示する。そして、これと共に、これらの被検体情報、スキャンパラメータなどの入力項目に対応する操作データを入力するダイヤログボックスを、各入力項目の文字情報に対応して並ぶように、表示画面に表示する。そして、スキャンパラメータなどの入力項目に入力された操作データに基づいて算出される、スキャン時間(Scan Time)などの設定項目を、文字情報として表示する。そして、さらに、クレードル移動(Cradle In)の指示およびスキャン開始(Scan)の指示を入力する入力項目を、文字情報によって、表示部33が表示画面に表示する共に、この指示を入力するボタンの画像を表示する。
・・・
【0064】
図6に示すように、たとえば、被検体の体重が「60」,スライス枚数(# of Slice)が「10」,エコー数(# of TE per Scan)が「1」,エコー時間(TE)が「15」,繰り返し時間(TR)が「500」,バンド幅(BW)が「19.5」である旨の操作データが、順次、入力された際には、その入力された操作データに対応する文字情報を、これに対応するスキャンパラメータのダイヤログボックスに表示部33が文字情報として表示する。
【0065】
そして、その入力項目に入力された操作データに基づいて、設定部323が、設定項目に対応するように設定データを設定する。本実施形態においては、入力項目に入力された操作データに基づいて、スキャン時間などの設定項目について、そのスキャン時間に対応する設定データを算出して、設定する。そして、図6に示すように、そのスキャン時間(Scan Time)などの設定項目に対応するダイヤログボックスに、スキャンパラメータなどの入力項目に入力された操作データに基づいて算出されたスキャン時間に対応する設定データを、文字情報として表示する。たとえば、「1:00」のように、表示する。
・・・
【0081】
<実施形態2>
以下より、本発明にかかる実施形態2について説明する。
【0082】
本実施形態は、音声出力部322と設定部323との動作が実施形態1と異なる。この点を除き、実施形態1と同様である。このため、重複する個所については、説明を省略する。
・・・
【0085】
たとえば、実施形態1において図6に示したように、繰り返し時間(TR)を、先に入力した操作データである「500」から、図7に示すように、「300」に変更するように操作データが入力した際には、先に設定されたスキャン時間(Scan Time)の設定データである「1:00」を、設定部323が、「2:00」に変更する。ここでは、予め定められた計算式に対応するように計算処理を実施することによって、このスキャン時間などの設定項目において設定された設定データを変更し、その変更された設定データに対応するように表示する。」と記載され、本願の明細書全体をとおして「設定項目」とは、「入力された操作データ」ではなく、「入力項目に入力された操作データに基づいて、算出し、設定すもので、スキャン時間などの設定データ」である。
そうすると、引用発明の「入力されたユーザの音声信号を音声認識部にて音声認識させ」、「変換し」た「テキストデータ」は「操作データ」に対応するものであって、「設定項目」に対応するものではないので、引用発明は、入力項目に入力された操作データに基づいて、算出し、設定する設定項目も設定手段も備えていない。
つまり、引用発明は、「操作部は、前記入力項目に入力された操作データに基づいて、設定項目に対応するように設定データを設定する設定部を含み、前記設定部は、前記複数の入力項目にて一の入力項目に操作データが入力された後に、
当該一の入力項目に入力された操作データが変更された際には、当該一の入力項目において変更された操作データに基づいて、前記設定項目に対応するように設定した設定データを変更し、
前記音声出力部は、前記設定部によって前記設定データが変更された際には、前記設定データが変更された旨の設定変更情報を、オペレータに音声で提供する」構成を備えていない。
また、刊行物2,3にも本願発明の「設定項目」に対応する構成は記載されていない。
してみると、引用発明と刊行物2、3記載の事項を如何に組み合わせたとしても、相違点に記載の本願発明の構成を容易に想到できたものとはいえない。

(3)作用効果についての検討
上記相違点に係る本願発明の構成によって、本願発明は、明細書【0018】に記載された顕著な作用効果を奏する。

第4 まとめ
以上のとおり、本願発明は、引用発明および刊行物2、3記載の事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるとすることができないから、原査定の理由によって拒絶すべきものとすることはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2014-03-18 
出願番号 特願2007-102309(P2007-102309)
審決分類 P 1 8・ 121- WY (A61B)
最終処分 成立  
前審関与審査官 宮澤 浩  
特許庁審判長 岡田 孝博
特許庁審判官 信田 昌男
森林 克郎
発明の名称 画像診断装置  
代理人 佐藤 隆久  

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ