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審決分類 |
審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) G03F |
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管理番号 | 1285958 |
審判番号 | 不服2013-6499 |
総通号数 | 173 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2014-05-30 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2013-04-09 |
確定日 | 2014-03-19 |
事件の表示 | 特願2010- 25323「リソグラフィー用ペリクル」拒絶査定不服審判事件〔平成23年 8月25日出願公開、特開2011-164259〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本願は、平成22年2月8日の出願であって、平成24年12月28日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、平成25年4月9日に審判請求がなされ、同時に手続補正がなされたものである。 その後、当審において、平成25年11月11日付けで拒絶理由が通知され、これに対し、平成26年1月10日に意見書が提出された。 第2 本願の特許性 1.請求項1の記載 本願の請求項1の記載は、平成25年4月9日付けの手続補正書の特許請求の範囲の請求項1に記載された、以下のとおりのものである。 「ペリクルフレームの一端面に膜接着剤が設けられ、その接着剤によりフレームにペリクル膜が張接され、もう一方のフレーム端面に粘着層が設けられ、前記接着剤層の表面の平坦度が10μm以下であり、かつ、前記粘着層の表面の平坦度が15μm以下であることを特徴とするリソグラフィー用ペリクル。」 2.特許法第36条第6項第2号に関する検討 当審の拒絶理由で示したとおり、請求項1の「表面の平坦度」の指し示す技術的内容(技術的外縁)が、本願明細書及び図面の記載を参酌しても、明確に特定できない。 すなわち、当業者の技術常識に照らせば、いわゆる「平坦度」というパラメータの値が、測定領域(表面のどの部分を測定対象領域とするのか)や基準面の決め方、どのような測定装置を用いて測定するか等の種々の要因に基づいて、異なるものになることはよく知られている。 一方、本願明細書及び図面には、平坦度の測定に関して段落【0020】の「このペリクルの平坦度をXYステージを有するレーザー変位計にて測定した。膜接着剤側の平坦度は8μm、粘着剤表面の平坦度も15μmであった。」と記載されているのみである。 当該記載は「ペリクルの平坦度」に関するものであって、「接着剤層の表面の平坦度」に関するものではないのみならず、平坦度の明確な定義やその具体的な測定方法等、当該用語の指し示す技術的内容を明確に特定するものではない。 また、本願の出願時点で、本願の属する技術分野において「表面の平坦度」という用語が特定の定義や特定の測定方法を指し示すものであるという証拠もない。 この点について、請求人は上記意見書においてJIS規格(JIS G 3141:2005 冷間圧延鋼板及び鋼帯)、特開2008-256925号公報及び特開2003-045795号公報を根拠に、「表面の平坦度の測定は、広く知られている標準規格である上記JIS規格を基礎として実施することが通例であり、そのため、当業者の技術常識に照らせば、「表面の平坦度」の指し示す技術的内容は、十分に認識することができる」と主張する。 しかしながら、上記JIS規格が適用範囲を冷間圧延鋼板及び鋼帯と規定していること、上記各文献には平坦度に関して上記JIS規格を適用した旨の記載はなく、当該技術分野の表面の平坦度測定において上記JIS規格が流用されている根拠が依然として不明なこと、及び各文献が「接着剤層の表面の平坦度」に関するものでないこと、等を考慮すれば、請求人の上記主張には理由がない。 したがって、請求項1に係る発明は明確でない。 よって、本願は特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。 なお、上記のとおり、本願明細書及び図面には「接着剤層の表面の平坦度」をどのように測定し、どのような値を得たのかについては具体的な記載がないことから、本願は、特許法第36条第4項第1号及び同法同条第6項第1号に規定する要件も満たしているとはいえない。 第3 むすび 以上のとおりであるから、本願は特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしておらず、本願の請求項1に係る発明は特許を受けることができない。 したがって、本願は拒絶すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2014-01-22 |
結審通知日 | 2014-01-23 |
審決日 | 2014-02-04 |
出願番号 | 特願2010-25323(P2010-25323) |
審決分類 |
P
1
8・
537-
WZ
(G03F)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 赤尾 隼人 |
特許庁審判長 |
神 悦彦 |
特許庁審判官 |
土屋 知久 伊藤 昌哉 |
発明の名称 | リソグラフィー用ペリクル |
代理人 | 嶋崎 英一郎 |