• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 G11B
管理番号 1286091
審判番号 不服2013-8908  
総通号数 173 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2014-05-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2013-05-15 
確定日 2014-04-08 
事件の表示 特願2011-503914「ディスク媒体再生装置のデータアプリケーションの提供方法」拒絶査定不服審判事件〔平成21年10月15日国際公開、WO2009/126000、平成23年 6月23日国内公表、特表2011-518401、請求項の数(11)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由
第1 手続の経緯

本願は、2009年4月10日(パリ条約による優先権主張 外国庁受理 2008年4月10日 韓国)を国際出願日とする出願であって、平成24年9月11日付けの拒絶理由通知に対して同年12月18日付けで手続補正がなされたが、平成25年1月10日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、同年5月15日付けで拒絶査定不服審判が請求されるとともに手続補正がなされ、同年6月27日付けの審尋に対し、同年10月1日付けで回答書が提出されたものである。


第2 平成25年5月15日付けの手続補正(以下「本件補正」という。)の適否

1 本件補正

本件補正は、特許請求の範囲について、本件補正前に、
「【請求項1】
ディスク媒体再生装置のデータアプリケーションの提供方法において、
(a)前記データアプリケーションの場面に対する場面構成情報を獲得する段階と、
(b)前記場面構成情報に基づいて前記場面を構成する一つ以上のコンポーネントを獲得する段階と、
(c)前記場面構成情報および前記一つ以上のコンポーネントに基づいて前記データアプリケーションを提供する段階と、
を含み、
前記場面構成情報は、前記ディスク媒体再生装置の識別情報および前記ディスク媒体再生装置を使う使用者の識別情報中、少なくとも一つに基づいて選択される場面に対する場面構成を定義することを特徴とするデータアプリケーションの提供方法。
【請求項2】
前記(c)段階は、
(c-1)前記場面構成情報に基づいて前記場面に対するレイアウトを構成する段階と、
(c-2)前記レイアウトによって前記一つ以上のコンポーネントをディスプレイする段階と、
を含み、
前記(c-2)段階は前記一つ以上のコンポーネントを受信した順序に前記レイアウトによってディスプレイする段階を含むことを特徴とする請求項1に記載のデータアプリケーションの提供方法。
【請求項3】
前記(a)段階は前記ディスク媒体再生装置に挿入されるディスク媒体を読み取って前記場面構成情報を獲得する段階を含むことを特徴とする請求項1に記載のデータアプリケーションの提供方法。
【請求項4】
前記(a)段階は前記ディスク媒体再生装置内に保存された前記場面構成情報を獲得する段階を含むことを特徴とする請求項1に記載のデータアプリケーションの提供方法。
【請求項5】
前記(a)段階は通信網を通じて前記場面構成情報を受信する段階を含むことを特徴とする請求項1に記載のデータアプリケーションの提供方法。
【請求項6】
前記(a)段階は前記ディスク媒体再生装置と連結された保存装置から前記場面構成情報を獲得する段階を含むことを特徴とする請求項1に記載のデータアプリケーションの提供方法。
【請求項7】
前記場面構成情報は前記場面構成情報を解釈するための実行コードを含むことを特徴とする請求項1に記載のデータアプリケーションの提供方法。
【請求項8】
前記場面構成情報は前記場面に対するテキストデータを含むことを特徴とする請求項1に記載のデータアプリケーションの提供方法。
【請求項9】
前記一つ以上のコンポーネント各々は、独立的に実行可能な実行コード、テキストデータ、イメージデータ、オーディオデータおよび動画データ中、少なくとも一つを含むことを特徴とする請求項1に記載のデータアプリケーションの提供方法。
【請求項10】
前記場面構成情報は前記一つ以上のコンポーネント各々に対する位置情報を含むものであって、
前記(b)段階は前記位置情報に基づいて前記一つ以上のコンポーネントを獲得する段階、
を含むことを特徴とする請求項1に記載のデータアプリケーションの提供方法。
【請求項11】
前記位置情報中、少なくとも一つ以上はダウンロード位置情報を含み、
前記(b)段階は、
(b-1)前記一つ以上のコンポーネントを提供する装置に前記一つ以上のコンポーネントに対する伝送要請を送信する段階と、
(b-2)前記ダウンロード位置情報によって前記装置から前記一つ以上のコンポーネント各々を受信する段階と、
を含むことを特徴とする請求項10に記載のデータアプリケーションの提供方法。
【請求項12】
前記伝送要請は前記ディスク媒体再生装置の識別情報および前記ディスク媒体再生装置を使う使用者の識別情報のいずれか一つを含むことを特徴とする請求項11に記載のデータアプリケーションの提供方法。」
とあったところを、

「【請求項1】
ディスク媒体再生装置のデータアプリケーションの提供方法において、
(a)前記データアプリケーションの場面に対する場面構成情報を獲得する段階と、
(b)前記場面構成情報に基づいて前記場面を構成する2つ以上のコンポーネントを獲得する段階と、
(c)前記場面構成情報および前記2つ以上のコンポーネントに基づいて前記データアプリケーションを提供する段階と、
を含み、
前記場面構成情報は、前記ディスク媒体再生装置の識別情報および前記ディスク媒体再生装置を使う使用者の識別情報中、少なくとも一つに基づいて選択される場面に対する場面構成を定義し、
前記場面構成情報は、前記2つ以上のコンポーネントの配置を定義するレイアウト情報を含み、
前記(c)段階は、
(c-1)前記レイアウト情報に基づいて前記場面に対するレイアウトを構成する段階と、
(c-2)前記レイアウトに従って前記2つ以上のコンポーネントを各々ディスプレイする段階と、
を含み、
前記(c-2)段階は、前記2つ以上のコンポーネントのうち1つのコンポーネントを受信後ディスプレイした後に別のコンポーネントを受信後ディスプレイするように、受信した順序に従って各コンポーネントを順次ディスプレイする段階を含むことを特徴とするデータアプリケーションの提供方法。
【請求項2】
前記(a)段階は前記ディスク媒体再生装置に挿入されるディスク媒体を読み取って前記場面構成情報を獲得する段階を含むことを特徴とする請求項1に記載のデータアプリケーションの提供方法。
【請求項3】
前記(a)段階は前記ディスク媒体再生装置内に保存された前記場面構成情報を獲得する段階を含むことを特徴とする請求項1に記載のデータアプリケーションの提供方法。
【請求項4】
前記(a)段階は通信網を通じて前記場面構成情報を受信する段階を含むことを特徴とする請求項1に記載のデータアプリケーションの提供方法。
【請求項5】
前記(a)段階は前記ディスク媒体再生装置と連結された保存装置から前記場面構成情報を獲得する段階を含むことを特徴とする請求項1に記載のデータアプリケーションの提供方法。
【請求項6】
前記場面構成情報は前記場面構成情報を解釈するための実行コードを含むことを特徴とする請求項1に記載のデータアプリケーションの提供方法。
【請求項7】
前記場面構成情報は前記場面に対するテキストデータを含むことを特徴とする請求項1に記載のデータアプリケーションの提供方法。
【請求項8】
前記一つ以上のコンポーネント各々は、独立的に実行可能な実行コード、テキストデータ、イメージデータ、オーディオデータおよび動画データ中、少なくとも一つを含むことを特徴とする請求項1に記載のデータアプリケーションの提供方法。
【請求項9】
前記場面構成情報は前記一つ以上のコンポーネント各々に対する位置情報を含むものであって、
前記(b)段階は前記位置情報に基づいて前記一つ以上のコンポーネントを獲得する段階、
を含むことを特徴とする請求項1に記載のデータアプリケーションの提供方法。
【請求項10】
前記位置情報中、少なくとも一つ以上はダウンロード位置情報を含み、
前記(b)段階は、
(b-1)前記一つ以上のコンポーネントを提供する装置に前記一つ以上のコンポーネントに対する伝送要請を送信する段階と、
(b-2)前記ダウンロード位置情報によって前記装置から前記一つ以上のコンポーネント各々を受信する段階と、
を含むことを特徴とする請求項9に記載のデータアプリケーションの提供方法。
【請求項11】
前記伝送要請は前記ディスク媒体再生装置の識別情報および前記ディスク媒体再生装置を使う使用者の識別情報のいずれか一つを含むことを特徴とする請求項10に記載のデータアプリケーションの提供方法。」
とすることを含むものである。

本件補正について検討するに、

本件補正は、本件補正前の請求項2を独立形式請求項として請求項1としたうえで、「前記場面構成情報は、前記2つ以上のコンポーネントの配置を定義するレイアウト情報を含み、」との特定事項を追加して限定し、本件補正前の請求項2の「(c-1)前記場面構成情報に基づいて」との特定事項を、「(c-1)前記レイアウト情報に基づいて」として場面構成情報の下位概念であるレイアウト情報に限定し、同「前記(c-2)段階は前記一つ以上のコンポーネントを受信した順序に前記レイアウトによってディスプレイする段階」との特定事項を、「前記(c-2)段階は、前記2つ以上のコンポーネントのうち1つのコンポーネントを受信後ディスプレイした後に別のコンポーネントを受信後ディスプレイするように、受信した順序に従って各コンポーネントを順次ディスプレイする段階」と限定し、同「一つ以上のコンポーネント」との特定事項を、「2つ以上のコンポーネント」と限定するものである。
そして、本件補正前の請求項2を独立形式請求項として請求項1としたことに伴い、他の請求項の項番号を繰り上げ、また補正前の請求項11、12において、引用する請求項の項番号を繰り上げて請求項10、11と形式的に補正するものである。

よって、本件補正は、特許法第17条の2第3項、第4項の規定に該当するとともに、本件補正前の請求項1に記載された発明を特定するために必要な事項を限定するものであるから、特許法第17条の2第5項第2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。

そこで、本件補正後における特許請求の範囲に記載されている事項により特定される請求項1に係る発明(以下「本願補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項に規定する要件を満たすか)について以下に検討する。


2 引用例及びその記載事項

(1)原査定の拒絶の理由に引用され、本願の優先権主張の日前に頒布された刊行物である特開2004-246509号公報(平成16年9月2日公開、以下「引用例1」という。)には、図面とともに以下の事項が記載されている(なお、下線は当審で付した。)。

a「【0010】
【発明の属する技術分野】
本発明はインターネットなどに接続される情報家電などのポータル画面のサービスを提供する装置に関する。」

b「【0020】
<概要>
【0021】
図1は本実施形態の情報取得装置の概要の一例である。たとえば、利用者は休日に釣りに行きたいと思ったとする。そこで、情報取得装置が有する釣りのトピックを特集したポータル画面を表示するように情報取得装置などに指示する。すると、情報取得装置は釣りのポータル画面コンテンツ情報と釣りのテンプレートを基に、情報取得装置を有する情報家電などに釣り専門のポータル画面を表示させる。また、ある時には、経済の情報が知りたいと思ったとする。そこで、情報取得装置が有する経済のトピックを特集したポータル画面を表示するように情報取得装置などに指示し、情報取得装置は経済のポータル画面コンテンツ情報と経済のテンプレートを基に、情報取得装置を有する情報家電などにポータル画面を表示させる。このように、利用者は知りたい情報に応じて自由にポータル画面を構成することができる。
【0022】
<構成>
【0023】
図2は実施形態1の機能ブロックの一例を示すものである。実施形態1の情報取得装置0200はテンプレート保持部0201とポータル画面コンテンツ情報保持部0202と情報取得部0203とからなる。
【0024】
「ポータル画面」とは、情報取得装置において情報を取得するための入り口となる画面をいう。たとえば、情報取得装置などの電源がオンにされた際にディスプレイに最初に表示される情報取得のための画面などをいう。一例として、情報取得装置は、通信用機器や情報処理装置などが内蔵されている情報による付加価値を高めた家庭用電化製品である。
【0025】
「テンプレート保持部」はテンプレートを複数保持する。「テンプレート」とは、ポータル画面のポータル画面コンテンツ情報を表示するための形式を定めた情報である。たとえば、テンプレートの一例として、ポータル画面に利用するタイトルなどの文字及び画像の属性の情報、または、ポータル画面に利用する文字及び画像の情報の配置位置を決定する情報、または、ポータル画面の遷移の情報、または、ポータル画面上に表示される操作ボタンの属性の情報などを挙げることができる。「ポータル画面コンテンツ情報」とは、前記テンプレートを利用したポータル画面のコンテンツを構成するための情報である。たとえば、ポータル画面コンテンツ情報は、ポータル画面のコンテンツである特定のトピックの内容の情報であり、ポータル画面に表示される情報であり、文字や数字や画像の情報であってもよいし、外部のホームページへリンクする情報であってもよい。「複数保持」とは、テンプレート保持部が前記テンプレートを複数有していることをいう。」

c「【0032】
図3に本実施形態の釣り専門のポータル画面の一例を示す。釣り専門のポータル画面に表示されるポータル画面コンテンツ情報として釣果の情報0301や著名な釣り場所の天気0302(インターネットを通じて5分ごとに更新されるポータル画面コンテンツ情報)や釣り場の地図0303や釣りに関連する道具の情報0304などが表示される。また、各地の釣りの同友会などの情報0305が表示される。そして、利用者などは前日の釣り場の様子を情報取得装置に接続されたパソコンなどに録画しておくことで、他人が釣れているかを録画の映像を通じて確認してもよい。このように、利用者の要望に応じたポータル画面が自由に構成され、利用者はポータル画面を通じて簡単に欲しい情報を得ることができる。」

d「【0035】
<処理の流れ>
【0036】
図6に示すのは実施形態1のフローの一例である。実施形態1は以下のステップを有してもよい。まず、テンプレートを指定する(ステップS0601)。そして、テンプレートを取り出す(ステップS0602)。そして、テンプレートと関連するポータル画面コンテンツ情報を取り出す(ステップS0603)。そして、テンプレートとポータル画面コンテンツ情報よりポータル画面を構成する(ステップS0604)。以上の処理は情報取得装置の利用者がポータル画面を変更する必要が生じた際に処理されてもよい。そして、利用者がポータル画面を変更する必要がない時には、情報取得装置を有する情報家電などに固定的に設定されたポータル画面を通じて利用者は情報を取得してもよい。」

e「【0136】
実施形態9の情報取得装置は情報家電である。たとえば、情報家電などに本実施形態の情報取得装置が内蔵されてもよい。「情報家電」とは、通信用機器や情報処理装置などが内蔵されている、情報による付加価値を高めた家庭用電化製品をいう。例えば、情報家電は、インターネットに接続して情報の送受信をする機能を有している。そして、利用者が情報家電などの外観からは情報取得装置が具備されていることがわからないように内蔵されている。たとえば、本実施形態の情報家電とは、セットトップボックス、デジタルテレビ、ホームサーバ(パソコン)、デジタル電話機及び携帯電話機、ホームシアター機器、DVDプレーヤ及びレコーダ、デジタルビデオ、デジタルビデオカメラ、デジタルカメラ、FAX、インターホン及びテレビドアホン、カーナビゲーションシステム、カーオーディオシステム、デジタルオーディオ機器、電子楽器、プリンタ、魚群探知機、電動自転車及び自動車、補聴器、冷蔵庫、レンジ、IH調理器、トースタ、浄水器、食器洗い及び乾燥機、生ごみ処理機、洗濯機、衣類乾燥機、掃除機、除湿機、空気清浄機、懐中電灯、冷暖房エアコン、扇風機、加湿器、電気カーペット、電気温風器、電気ストーブ、コタツ、ホームエレベータ、換気扇、発電システム、照明器具、マッサージ椅子、シェーバ、ドライヤなどである。」

ア 上記aの「【0010】【発明の属する技術分野】本発明はインターネットなどに接続される情報家電などのポータル画面のサービスを提供する‥‥‥」との記載において、情報家電は、具体的には、上記eの「【0136】‥‥‥たとえば、本実施形態の情報家電とは、‥‥‥DVDプレーヤ‥‥‥などである。」との記載から、DVDプレーヤということができるから、引用例1には、「インターネットなどに接続されるDVDプレーヤのポータル画面のサービスの提供」について記載されているということができる。

イ 上記bの「【0021】‥‥‥情報取得装置は‥‥‥ポータル画面コンテンツ情報と‥‥‥テンプレートを基に、情報取得装置を有する情報家電などに釣り専門のポータル画面を表示させる。‥‥‥」との記載において、ポータル画面を表示させる情報取得装置を有する情報家電は、DVDプレーヤと捉えることができるから(上記ア)、引用例1には、DVDプレーヤのポータル画面のサービスの提供において、「ポータル画面コンテンツ情報とテンプレートを基に、ポータル画面を表示させる」ことが記載されているということができる。

ウ 上記dの「【0036】‥‥‥実施形態1は以下のステップを有してもよい。‥‥‥テンプレートを取り出す(ステップS0602)。そして、テンプレートと関連するポータル画面コンテンツ情報を取り出す(ステップS0603)。そして、テンプレートとポータル画面コンテンツ情報よりポータル画面を構成する(ステップS0604)。‥‥‥」との記載から、各ステップは方法として捉えることができ、また、この方法は、ポータル画面を構成して、DVDプレーヤのポータル画面のサービスを提供する(上記ア)方法ということができるから、引用例1には、「テンプレートを取り出すステップと、テンプレートと関連するポータル画面コンテンツ情報を取り出すステップと、テンプレートとポータル画面コンテンツ情報よりポータル画面を構成するステップと、を有する、」「DVDプレーヤのポータル画面のサービスを提供する方法」が記載されているということができる。

エ 上記bの「【0025】‥‥‥「テンプレート」とは、ポータル画面のポータル画面コンテンツ情報を表示するための形式を定めた情報である。‥‥‥テンプレートの一例として、ポータル画面に利用する文字及び画像の情報の配置位置を決定する情報、‥‥‥などを挙げることができる。「ポータル画面コンテンツ情報」とは、前記テンプレートを利用したポータル画面のコンテンツを構成するための情報である。たとえば、ポータル画面コンテンツ情報は、ポータル画面のコンテンツである特定のトピックの内容の情報であり、‥‥‥」との記載から、引用例1には、「テンプレートは、ポータル画面に利用する文字及び画像の情報の配置位置を決定する情報を含む」ことが記載されているということができる。

オ 上記bの「【0025】‥‥‥「ポータル画面コンテンツ情報」とは、前記テンプレートを利用したポータル画面のコンテンツを構成するための情報である。‥‥‥」との記載において、「ポータル画面コンテンツ情報」とは、具体的には、上記cの「【0032】‥‥‥ポータル画面コンテンツ情報として釣果の情報0301や著名な釣り場所の天気0302‥‥‥や釣り場の地図0303や釣りに関連する道具の情報0304などが表示される。また、各地の釣りの同友会などの情報0305が表示される。」との記載から、「ポータル画面コンテンツ情報は、釣果の情報釣果の情報、著名な釣り場所の天気、釣り場の地図などの情報」であるといえるから、引用例1には、「ポータル画面コンテンツ情報は、ポータル画面のコンテンツを構成するための情報であって、具体的には、釣果の情報、著名な釣り場所の天気、釣り場の地図などの情報が表示される」ことが記載されているということができる。

したがって、上記引用例1に記載された事項、図面の記載、及び上記アないしオを総合すると、引用例1には、次の事項が記載されている(以下、引用発明という。)。

「インターネットなどに接続されるDVDプレーヤのポータル画面のサービスの提供において、
ポータル画面コンテンツ情報とテンプレートを基に、ポータル画面を表示させるものであって、
テンプレートを取り出すステップと、
テンプレートと関連するポータル画面コンテンツ情報を取り出すステップと、
テンプレートとポータル画面コンテンツ情報よりポータル画面を構成するステップと、
を有し、
テンプレートは、ポータル画面に利用する文字及び画像の情報の配置位置を決定する情報を含み、
ポータル画面コンテンツ情報は、ポータル画面のコンテンツを構成するための情報であって、具体的には、釣果の情報、著名な釣り場所の天気、釣り場の地図などの情報を表示する、
DVDプレーヤのポータル画面のサービスを提供する方法。」

(2)原査定に周知例として引用され、本願の優先権主張の日前に頒布された刊行物である特開2002-82746号公報(平成14年3月22日公開、以下「引用例2」という。)には、図面とともに以下の事項が記載されている(なお、下線は当審で付した。)。

「【0011】このような問題点に対して、本発明は端末側でポータルサイトの画面レイアウトを利用者が任意に変更できるシステムを提供するものである。」

「【0047】図3は顧客の情報及びポータルサイトを構成する画像/文字列/記号列等の情報(属性)を記憶するデータベースのテーブルを示す図である。このテーブルは顧客の情報の一例であり、このようなテーブルが顧客毎の固有情報としてユニークに構成されている。このテーブルはレコード番号、項目、内容から構成され、レコード1ではレコード番号「01」、項目「お得意様コード」、内容「1234546789」である。また、レコード番号「23」では、項目「機種」が、内容「ABC12-234」であって、端末の機種が格納されている。レコード番号「24」では、項目「画面サイズ(有効表示面積)」が、内容「640,400」dpiで格納され端末の画面サイズを示している。レコード番号「26」では、項目「カレンダー」が、内容「540,150:表示する」である。すなわち、情報端末12の画面上で座標が500,150(左上を座標の原点とする)の位置にカレンダーを表示することを意味している。「表示しない」にすれば端末上でカレンダーの表示がなされなくなるものである。
【0048】同様にメモリスト、お知らせ、お知らせ01、サイト01・・の表示/非表示や画面上の表示位置の情報を格納しているものである。」

上記記載から、引用例2には、ポータルサイトの画面レイアウトを利用者が任意に変更できるシステムを提供するにあたり(【0011】)、顧客の情報及びポータルサイトを構成する情報(属性)を記憶するデータベースのテーブルが、顧客毎の固有情報としてユニークに構成され、具体的には、「お得意様コード」、及び「カレンダー」の、情報端末12の画面上での表示座標が格納され(【0047】)、同様に「お知らせ」についても表示座標が格納されている(【0048】、図3)ことが記載されているといえる。

ここで、「カレンダー」、「お知らせ」がポータルサイトの画面レイアウトの対象であることは明らかであるから、引用例2には、次の技術事項が記載されているということができる。

「ポータルサイトの画面レイアウトを利用者が任意に変更するにあたり、顧客毎の固有情報(「お得意様コード」)に対応してポータルサイトを構成するテーブルに格納された、情報端末12の画面上での表示座標を用い、カレンダー、お知らせを表示すること。」

(3)原査定に周知例として引用され、本願の優先権主張の日前に頒布された刊行物である特開2004-78276号公報(平成16年3月11日公開、以下「引用例3」という。)には、図面とともに以下の事項が記載されている(なお、下線は当審で付した。)。

「【0013】
図2は前述で説明したポータルシステムへのアクセス時の処理動作を説明するフローチャート、図3はシステムへのアクセス時にクライアントに送られるポータル画面の例を示す図であり、次に、これについて説明する。
【0014】
まず、クライアント201からリクエストがWebサーバ202に届くと(ステップ301)、ポータルのコンテンツ管理部がユーザの認証を行う(ステップ302)。この認証が終了すれば、ポータル画面がクライアント201送られ、ユーザは、ポータルにアクセスすることが可能となり(ステップ303)、そこから従来システム207、ポータル用ホームページ208にアクセスする(ステップ304)。ユーザは、システムの使用が終了したら、ログアウトをして処理を終了する(ステップ305)。
【0015】
前述したように、ユーザがクライアント201を使用してポータルシステム200にログインすると、図3に示すようなポータル画面がポータルシステム200を構成するWebサーバ202から送られてクライアント201の表示装置に表示される。このポータル画面は、認証されたユーザがすでに自分用にカスタマイズしたポータル画面を有している場合、コンテンツ管理テーブル206から読み出されたそのユーザのポータル画面であり、そうでない場合、ポータルシステム200により作成された標準のポータル画面である。」

「【0027】
図6はコンテンツ管理テーブルの構成例を説明する図である。コンテンツ管理テーブル206は、ユーザ毎のポータル画面のポートレットの配置を記録管理するテーブルであり、ユーザ名407を記述するユーザ欄401と、ユーザの所属する部署名404、業務名405を記述する属性欄402と、POSたる画面に含まれる複数のポートレットの名前406、それぞれの表示位置の情報を記述するコンテンツ欄403から構成される。
【0028】
図5により説明した処理で、ユーザが自分のポータル画面のカスタマイズ処理を終了し、それを登録すると、そのカスタマイズしたポータル画面の情報が前述のコンテンツ管理テーブル206に格納され、以後、ユーザがクライアント201からポータルシステム200にアクセスしたとき、このコンテンツ管理テーブル206の内容に基づいて、そのユーザ用のカスタマイズされたポータル画面がクライアント201に送信されて表示される。」

上記記載から、引用例3には、ユーザがポータルシステム200にアクセスしたとき、このコンテンツ管理テーブル206の内容に基づいて、そのユーザ用のカスタマイズされたポータル画面を表示する(【0028】)にあたり、コンテンツ管理テーブル206には、ユーザ名407、複数のポートレットの名前406、それぞれの表示位置の情報が記述され、ユーザ毎のポータル画面のポートレットの配置が記録管理されている(【0027】)ことが記載されているといえる。

したがって、引用例3には、次の技術事項が記載されているということができる。

「ユーザー名に対応したポートレットの表示位置情報に基づいて、ポータル画面のポートレットの配置がカスタマイズされたポータル画面が表示されること。」

(4)原査定に周知例として引用され、本願の優先権主張の日前に頒布された刊行物である特開2006-23972号公報(平成18年1月26日公開、以下「引用例4」という。)には、図面とともに以下の事項が記載されている(なお、下線は当審で付した。)。

「【0020】
本ポータルシステムを利用する際は、個人を特定するためにログインする必要があり、利用者はユーザ情報管理テーブル107に登録されている必要がある。このため本実施形態による前記ユーザ情報管理テーブル107は、図11に示す如く、ユーザ毎にユニークに設定されたユーザID1101と、その氏名1102と、ユーザの所属組織を表す所属コード1103と、ユーザの役職を表す役職コード1104と、ログイン認証のためのパスワード1105との各欄とから構成される。該所属コード1103及び役職コード1104は、企業情報ポータルにおいて所属部署や役職によってアクセスできる情報に制限をかける場合等に用いるものであって、インターネット上などで不特定多数に向けて提供するサービスの場合は不要なものである。レイアウト管理テーブル108
【0021】
レイアウト管理テーブル108は、個人単位に最適な情報を提供するために個人毎にレイアウト情報を格納するものであって、図12に示す如く、利用者を特定するユーザID1101と、ポートレットの並びを表すレイアウト情報1202の各欄から構成される。前記ユーザID1201は、図11に示したユーザ情報管理テーブル107に登録されている必要があり、同様にポートレットIDは、図10のポートレット管理テーブルに登録されている必要がある。
【0022】
この様に構成されたシステムは、ユーザがクライアント101を使用し、ネットワークを介してポータルサーバ100内のHTTPサーバ102にリクエストを出すと、クライアント101がHTTPサーバ102を経由してポータルの描画プログラム103を呼び出し、この描画プログラム103がユーザ情報管理テーブル107及びレイアウト管理テーブル108を参照してユーザのレイアウト情報を取得し、そのレイアウト情報により指定された並びに従って各ポートレットのプログラム104を呼び出して描画を行う様に動作する。」

上記記載から、引用例4には、クライアント101がポータルの描画プログラム103を呼び出し、この描画プログラム103がレイアウト管理テーブル108を参照してユーザのレイアウト情報を取得し、そのレイアウト情報により指定された並びに従って各ポートレットのプログラム104を呼び出して描画するにあたり(【0022】)、レイアウト管理テーブル108は、個人毎にレイアウト情報を格納するものであって、利用者を特定するユーザID1101と、ポートレットの並びを表すレイアウト情報1202からなる(【0021】)ことが記載されているといえる。

したがって、引用例4には、次の技術事項が記載されているということができる。

「ポータルを描画するにあたり、利用者を特定するユーザIDに対応して、ポートレットの並びを表すレイアウト情報を参照し、各ポートレットを描画すること。」


3 対比

本願補正発明と引用発明とを対比する。

(1)引用発明の「DVDプレーヤ」は、「ディスク媒体再生装置」といえるから、引用発明の「DVDプレーヤ」は、本願補正発明の「ディスク媒体再生装置」に相当する。

(2)引用発明の「ポータル画面のサービス」は、「具体的には、釣果の情報、著名な釣り場所の天気、釣り場の地図などの情報を表示する」サービスということができ、このようなポータル画面のサービスはデータアプリケーションを用いるものであって、データアプリケーションの提供を前提にするものといえるから、引用発明の「ポータル画面のサービスの提供」は、本願補正発明の「データアプリケーションの提供」と捉えることができる。

(3)引用発明の「テンプレートを取り出すステップ」において、「テンプレートは、ポータル画面に利用する文字及び画像の情報の配置位置を決定する情報を含」むことから、「テンプレート」は、ポータル画面という場面を構成する情報、すなわち場面構成情報ということができる。
そして、ポータル画面は、「データアプリケーション」が提供されて作成されるものであるから(上記(2))、場面構成情報は、「データアプリケーションの場面に対する場面構成情報」と捉えることができ、したがって、引用発明の「テンプレートを取り出すステップ」は、本願補正発明と、「(a)前記データアプリケーションの場面に対する場面構成情報を獲得する段階」である点で共通する。

(4)引用発明の「テンプレートと関連するポータル画面コンテンツ情報を取り出すステップ」において、「テンプレートは、」「ポータル画面に利用する文字及び画像の情報の配置位置を決定する情報を含」むことから、「ポータル画面コンテンツ情報」、すなわち、「ポータル画面のコンテンツを構成するための情報であって、具体的には、釣果の情報釣果の情報、著名な釣り場所の天気、釣り場の地図などの情報」の配置位置をテンプレート、すなわち場面構成情報に基づいて決定するものということができる。
そして、「ポータル画面コンテンツ情報」、すなわち、ポータル画面における「釣果の情報」、「著名な釣り場所の天気」、「釣り場の地図」は、それぞれ、ポータル画面の内容を構成するコンポーネントと捉えることができるから、引用発明の「テンプレートと関連するポータル画面コンテンツ情報を取り出すステップ」は、本願補正発明の「前記場面構成情報に基づいて前記場面を構成する2つ以上のコンポーネントを獲得する段階」である点で共通する。

(5)引用発明の「テンプレートとポータル画面コンテンツ情報よりポータル画面を構成するステップ」において、「ポータル画面」は、ポータル画面を構成するデータアプリケーションが提供されることによってなされるということができ、また、引用発明の「テンプレート」、「ポータル画面のコンテンツを構成するための情報であって、具体的には、釣果の情報、著名な釣り場所の天気、釣り場の地図などの情報」である「ポータル画面コンテンツ情報」は、それぞれ、本願補正発明の「場面構成情報」、「コンポーネント」に相当するから、引用発明の「テンプレートとポータル画面コンテンツ情報よりポータル画面を構成するステップ」は、本願補正発明の「(c)前記場面構成情報および前記2つ以上のコンポーネントに基づいて前記データアプリケーションを提供する段階」と捉えることができる。

(6)引用発明は「テンプレートとポータル画面コンテンツ情報よりポータル画面を構成するステップ」を有し、「テンプレートは、ポータル画面に利用する文字及び画像の情報の配置位置を決定する情報を含」むものであるから、「テンプレート」は、「ポータル画面コンテンツ情報」の配置位置を決定するものであるから、引用発明の「テンプレート」は、本願補正発明と、「前記場面構成情報は、場面に対する場面構成を定義」する点で共通する。

(7)引用発明は「テンプレートとポータル画面コンテンツ情報よりポータル画面を構成するステップ」を有し、「テンプレートは、ポータル画面に利用する文字及び画像の情報の配置位置を決定する情報を含」むものであるから、「テンプレート」は、「ポータル画面コンテンツ情報」、すなわち、「釣果の情報」、「著名な釣り場所の天気」、「釣り場の地図」などの情報の配置位置を決定する情報を含むものであり、また、「配置位置を決定する情報」は、「レイアウト情報」と捉えることができる。
したがって、引用発明の「テンプレート」は、本願補正発明の「前記場面構成情報は、前記2つ以上のコンポーネントの配置を定義するレイアウト情報を含」むものである。

(8)引用発明は「テンプレートとポータル画面コンテンツ情報よりポータル画面を構成するステップ」を有し、ここで、「テンプレート」は、「レイアウト情報を含」むものであり(上記(7))、これにより、「ポータル画面コンテンツ情報」の配置位置、すなわち、ポータル画面に対するレイアウトを決定するものということができるから、引用発明の前記ステップは、「(c-1)前記レイアウト情報に基づいて前記場面に対するレイアウトを構成する段階」を含むものである。

(9)引用発明は「ポータル画面コンテンツ情報とテンプレートを基に、ポータル画面を表示させる」ものであって、具体的には、テンプレートに従って、ポータル画面コンテンツ情報である、釣果の情報、著名な釣り場所の天気、釣り場の地図などを表示するものということができる。
ここで、「ポータル画面のコンテンツを構成するための情報であって、具体的には、釣果の情報、著名な釣り場所の天気、釣り場の地図などの情報」である「ポータル画面コンテンツ情報」は、本願補正発明の「コンポーネント」に相当し(上記(5))、「テンプレート」は、「レイアウト情報を含」むものであり、レイアウト情報に従って、「ポータル画面コンテンツ情報」、すなわち、「釣果の情報」、「著名な釣り場所の天気」、「釣り場の地図」などの情報の配置位置を決定するものといえるから(上記(7))、引用発明の「ポータル画面コンテンツ情報とテンプレートを基に、ポータル画面を表示させる」ことは、本願補正発明の「(c-2)前記レイアウトに従って前記2つ以上のコンポーネントを各々ディスプレイする段階」を含むものである。

(10)引用発明の「ポータル画面のサービスを提供する方法」において、「ポータル画面のサービスを提供する」ことは、ポータル画面を構成するデータアプリケーションが提供されること(上記(5))と捉えることができるから、本願補正発明の「データアプリケーションの提供方法」に相当する。

すると、本願補正発明と引用発明とは、次の<一致点>及び<相違点>を有する。

<一致点>
「ディスク媒体再生装置のデータアプリケーションの提供方法において、
(a)前記データアプリケーションの場面に対する場面構成情報を獲得する段階と、
(b)前記場面構成情報に基づいて前記場面を構成する2つ以上のコンポーネントを獲得する段階と、
(c)前記場面構成情報および前記2つ以上のコンポーネントに基づいて前記データアプリケーションを提供する段階と、
を含み、
前記場面構成情報は、場面に対する場面構成を定義し、
前記場面構成情報は、前記2つ以上のコンポーネントの配置を定義するレイアウト情報を含み、
前記(c)段階は、
(c-1)前記レイアウト情報に基づいて前記場面に対するレイアウトを構成する段階と、
(c-2)前記レイアウトに従って前記2つ以上のコンポーネントを各々ディスプレイする段階と、
を含む、
データアプリケーションの提供方法。」

<相違点>
(ア)本願補正発明は、「前記ディスク媒体再生装置の識別情報および前記ディスク媒体再生装置を使う使用者の識別情報中、少なくとも一つに基づいて選択される場面」に対する場面構成であるのに対し、引用発明は、このような特定がない点。

(イ)本願補正発明は「前記(c-2)段階は、前記2つ以上のコンポーネントのうち1つのコンポーネントを受信後ディスプレイした後に別のコンポーネントを受信後ディスプレイするように、受信した順序に従って各コンポーネントを順次ディスプレイする段階を含む」のに対し、引用発明は、このような特定がない点。


4 判断

(1)請求項1について

<相違点>(ア)について
利用者、ユーザー名、ユーザーIDに対応して配置(レイアウト)されたポータル画面のコンテンツを表示することは、例えば、引用例2(上記2(2))、引用例3(上記2(3))、引用例4(上記2(4))に記載されているように周知な事項であり、このような配置(レイアウト)は、ユーザーに基づいて選択された配置(レイアウト)ということができるから、引用発明において、「テンプレートとポータル画面コンテンツ情報よりポータル画面を構成する」にあたり、ユーザーの識別情報に基づいて、ポータル画面を構成することに格別の困難性を有しない。
したがって、本願補正発明のように「ディスク媒体再生装置を使う使用者の識別情報に基づいて選択される場面」に対する場面構成とすることは当業者が容易になし得る事項である。

そして、本願補正発明において、「場面」の「選択」は、「前記ディスク媒体再生装置の識別情報」と「前記ディスク媒体再生装置を使う使用者の識別情報」のいずれかに基づいてなされるものであって、選択的な記載であるから、本願補正発明の<相違点>(ア)に係る構成のようにすることは当業者が容易になし得る事項である。

<相違点>(イ)について
本願補正発明は「前記2つ以上のコンポーネントのうち1つのコンポーネントを受信後ディスプレイした後に別のコンポーネントを受信後ディスプレイする」ものであって、2つ以上のコンポーネントのうち、1つのコンポーネントに対する一連の処理(受信→ディスプレイ)が終わって初めて別のコンポーネントに対する一連の処理(受信→ディスプレイ)を行うものである(本願審判請求書3.(3.1))。
一方、引用発明は、「ポータル画面コンテンツ情報は、ポータル画面のコンテンツを構成するための情報であって、具体的には、釣果の情報、著名な釣り場所の天気、釣り場の地図などの情報」であって、「ポータル画面コンテンツ情報」、すなわち、ポータル画面における「釣果の情報」、「著名な釣り場所の天気」、「釣り場の地図」は、それぞれ、ポータル画面の内容を構成するコンポーネントと捉えることができるから(上記3(4))、本願発明の「2つ以上のコンポーネント」を有するものの、「釣果の情報」、「著名な釣り場所の天気」、「釣り場の地図」をそれぞれどのように受信して表示するか、すなわち、例えば、「釣果の情報」を受信後表示した後に、「著名な釣り場所の天気」を受信後表示することについて特定がない。
また、引用例2ないし4の記載をみても、本願発明の特定事項である、「前記2つ以上のコンポーネントのうち1つのコンポーネントを受信後ディスプレイした後、別のコンポーネントを受信後ディスプレイする」ことについて記載も示唆もない。
そして、このような処理を行うことによって、データアプリケーションの大きさが大きすぎる場合、メモリーの大きさやCPUなどの処理速度などのようなディスク媒体再生装置の資源の限界によってデータアプリケーションを実行することができないという問題点(本願明細書段落【0010】)を解決し、提供可能なデータアプリケーションの大きさに対する制限を最小化する(本願明細書段落【0014】)という作用効果を奏するものである。

したがって、補正発明は、引用発明及び引用例2ないし4に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたとはいえない。

(2)請求項2ないし11について

請求項2ないし11は、請求項1を直接または間接的に引用する請求項である。したがって、請求項2ないし11は、請求項1に従属する請求項であり、本願補正発明の発明特定事項をすべて含みさらに発明特定事項を追加して限定したものであるから、上記(1)と同じ理由により、引用発明及び引用例2ないし4に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたとはいえない。

よって、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合する。


5 本件補正についてのむすび

本件補正は、特許法第17条の2第3項ないし第6項の規定に適合する。


第3 本願発明について

本件補正は上記のとおり、特許法17条の2第3項ないし第6項の規定に適合するから、本願の請求項1ないし11に係る発明は、本件補正により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし11に記載された事項により特定されるとおりのものである。
そして、本願については、原査定の拒絶理由を検討してもその理由によって拒絶すべきものとすることはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。

よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2014-03-27 
出願番号 特願2011-503914(P2011-503914)
審決分類 P 1 8・ 121- WY (G11B)
最終処分 成立  
前審関与審査官 五貫 昭一  
特許庁審判長 酒井 伸芳
特許庁審判官 石井 研一
萩原 義則
発明の名称 ディスク媒体再生装置のデータアプリケーションの提供方法  
代理人 阿仁屋 節雄  
代理人 奥山 知洋  
代理人 清野 仁  
代理人 福岡 昌浩  
代理人 油井 透  

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ