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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H05K
管理番号 1286169
審判番号 不服2013-2443  
総通号数 173 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2014-05-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2013-02-08 
確定日 2014-03-27 
事件の表示 特願2012-508087「部品集合体」拒絶査定不服審判事件〔平成23年10月 6日国際公開、WO2011/121993〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本願は、2011年3月29日(優先権主張2010年3月30日、日本国)を国際出願日とする出願であって、 平成24年11月6日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、平成25年2月8日に拒絶査定不服審判の請求がなされたものである。

2.本願発明
本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、平成24年10月18日付けの手続補正により補正された明細書、特許請求の範囲及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される次のとおりのものである。
「【請求項1】
主基板の部品内蔵層に内蔵される部品集合体において、
前記主基板の部品内蔵層に内蔵される集合体基板と、
前記集合体基板の部品内蔵層に配列して内蔵された複数の電子部品と、
前記集合体基板の一主面に形成され前記各電子部品の電極と電気的に接着される複数の電極パッドとを備え、
前記集合体基板の部品内蔵層のガラス転移温度を前記主基板の部品内蔵層のガラス転移温度より高くしたことを特徴とする部品集合体。」

3.引用文献の記載事項
(1)原査定の拒絶の理由に引用された、本願の優先権主張の日前に頒布された刊行物である特開2001-7531号公報(以下、「引用文献1」という。)には、図面(特に、図2及び図9を参照。)とともに次の事項が記載されている。
ア.「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、配線基板の製造方法に関し、特に、複数のチップ状電子部品を内蔵しながらも容易に製造可能な配線基板の製造方法に関する。」

イ.「【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、静電容量の大きなコンデンサを形成することは困難であり、歩留まりも低く高価である。そこで、静電容量は比較的小さいが、安価なチップ状コンデンサを多数内蔵させて、これらを並列に接続して全体として大きな静電容量のコンデンサを合成することが考えられる。ところが、このように多数のチップ状コンデンサを1つずつ内蔵させるのは、面倒であり工数もかかる上、位置ズレを生じて接続不良となったものがあると、その分静電容量値が低くなるなど、特性や性能が不安定になって歩留まりが低下しやすい。」

ウ.「【0012】チップコンデンサ集合体(以下、単に集合体ともいう)20は、図2に示すように、同形状のチップコンデンサ24を、エポキシ樹脂からなるモールド体25で多数(本例では、8ヶ)集積したものであり、各チップコンデンサ24は、それぞれ略四角柱状の本体部24Aとその端部を取り巻いて形成された端子部24B,24Cを備える。集合体20の上面20Aには、各端子部24B,24Cにそれぞれ接続する上面接続パッド21を備える。図2では図示しないが、同様に集合体20の下面20Bにも、各端子部24B,24Cにそれぞれ接続する下面接続パッド22が形成されている(図1参照)。チップコンデンサ24は、2段4列に並べられており、互いにわずかに隙間を空けて配置されている。これらチップコンデンサ24同士の隙間、チップコンデンサ24の上方と下方、及びこれらの周縁には、モールド体25が配置されている。」

エ.「【0032】 凹部11内のフラックスを洗浄除去した後、図6(b)に示すように、凹部11内の他、コア基板本体上面10A及び上面20A上に、エポキシ樹脂を主成分とする充填樹脂32を注入及び塗布し硬化させる。これにより、集合体20が底部スルーホール導体12に接続されつつ、凹部11内において充填樹脂32(32A)で固定されて、コア基板本体10に内蔵され、熱や振動等が掛かった場合にも、下面接続パッド22と底部スルーホール導体12との間が破断する不具合が防止される。」

オ.「【0041】以降は、同様にして樹脂絶縁層42,52、配線層46,56及びフリップチップパッド101、樹脂絶縁層(ソルダレジスト層)43,53を順に形成し、さらに、樹脂絶縁層43から露出するフリップチップパッド101にハンダペーストを塗布しリフローすることで、ハンダからなるフリップチップバンプ102を形成する。・・・」

カ.「【0043】(変形形態1)次いで、変形形態1にかかる配線基板200を、図9を参照しつつ説明する。上記実施形態では、チップコンデンサ集合体20は、その上面20A及び下面20Bにそれぞれ上面接続パッド21及び下面接続パッド22を有し、下面接続パッド23は、凹部11の底部11Tに形成した底部スルーホール導体12とそれぞれ接続し、配線層55,56によってLGAパッド103と接続していた。これに対し、本変形形態では、チップコンデンサ集合体220の下面220Bにはパッドは形成されておらず、凹部211の底部にも底部スルーホール導体は形成されていない。従って、集合体220は、その上面220A側の上面接続パッド221でのみ接続できる点で異なるが、その他は同様である。従って、異なる部分を中心に説明し、同様な部分についてはその説明を省略あるいは簡略化する。
【0044】配線基板200は、上記実施形態の配線基板100と同様、略正方形板状で、その上面200Aに、破線で示すICチップ201と接続するためのフリップチップパッド201、及び、略半球状高温ハンダからなるフリップチップバンプ202が形成されている。一方、配線基板下面200BにはLGAパッド203が多数形成されている。この配線基板200は、破線で示すチップコンデンサ224を多数集合してなるチップコンデンサ集合体220を固着内蔵するコア基板本体210、これらの上下に積層された樹脂絶縁層241,242,243,251,252,253及びこれらの層間に及び樹脂絶縁層を貫通して形成された各配線層245,246,255,256を備える。」

キ.「【0046】集合体220は、同形状のチップコンデンサ224を、エポキシ樹脂でモールドし集積したものであり、各チップコンデンサ224は、実施形態1のチップコンデンサ24と同様である。集合体220の上面220Aには、実施形態1と同様に上面接続パッド221を備える。・・・
【0047】チップコンデンサ224の一方の端子部と接続する上部接続パッド221Bは、実施形態1と同様に、配線層245のうち第1転換層260によって互いに接続されている(図1参照)。同様に、図示しないが、他方の端子部と接続する上部接続パッドも、配線層245のうち第2転換層によって互いに接続されている。このため、実施形態1と同様、各チップコンデンサ224は並列に接続され、静電容量の大きな1つの合成コンデンサが形成される。なお、第1転換層260や第2転換層はいずれも、配線層246やフリップチップパッド201を介してICチップ201と接続することができる。
【0048】・・・特に、本変形形態では、集合体220を、ICチップ201の直下(フリップチップパッド201の直下)に配置する構造としたので、両者間の距離(両者を結ぶ配線の長さ)をごく短くすることができ、この間でノイズが重畳されることが少なく、特にノイズ除去に有効となる。」

上記記載事項及び図示内容から、以下の事項が認められる。
ク.段落【0012】の「チップコンデンサ24は、2段4列に並べられており、互いにわずかに隙間を空けて配置されている。これらチップコンデンサ24同士の隙間、チップコンデンサ24の上方と下方、及びこれらの周縁には、モールド体25が配置されている。」との記載、及び【図2】の図示内容から、チップコンデンサはモールド体に配列して複数内蔵されていることが理解できる。

ケ.【図9】の図示内容から、チップコンデンサ集合体220の上面220A側に上部接続パッド221が複数備えられている。

以上の記載事項、認定事項及び図面からみて、本願発明の記載ぶりに倣って整理すると、引用文献1には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されている。

「配線基板200のコア基板本体210に固着内蔵されるチップコンデンサ集合体220において、
前記チップコンデンサ集合体220のモールド体に配列して内蔵された複数のチップコンデンサ224と、
前記チップコンデンサ集合体220の上面220A側に備えた前記各チップコンデンサ224の端子部と接続される複数の上部接続パッド221とを備えるチップコンデンサ集合体220。」

(2)原査定の拒絶の理由に引用された、本願の優先権主張の日前に頒布された刊行物である特開平11-163524号公報(以下、「引用文献2」という。)には、図面とともに次の事項が記載されている。
サ.「【0036】実施の形態2.本発明の実施の形態2にかかる多層配線基板について、図2を参照しながら説明する。図2は、本実施の形態にかかる多層配線基板20の断面図である。即ち、インナビアホール28により接続された配線層26をその片面または両面に備えたコア絶縁層23が、ガラス転移温度の高いエポキシ系樹脂を用いたアラミド強化エポキシ系樹脂からなり、上記コア絶縁層23上に形成され、インナビアホール28により上記配線層と接続された外部絶縁層27が、ガラス転移温度の低いエポキシ系樹脂を用いたアラミド強化エポキシ系樹脂からなる多層配線基板であって、半導体素子の実装温度における上記コア絶縁層23の剛性率を、上記外部絶縁層21等の剛性率より高くしたことを特徴とする多層配線基板である。
【0037】通常の半導体素子の実装は、150℃程度で行われるため、ガラス転移温度の高いエポキシ系樹脂としては、ガラス転移温度が150?200℃であることが好ましく、ガラス転移温度の低いエポキシ系樹脂としては、ガラス転移温度が100?150℃であることが好ましい。尚、実装温度を変える場合には、その実装温度を基準として、実装温度よりガラス転移温度が、高く、または低くなるように、各エポキシ系樹脂を選択すれば良い。また、アラミド強化エポキシ系樹脂のアラミド繊維の含有率は、40?60重量%、特に、50重量%であることが好ましい。
【0038】具体的に説明すると、多層配線基板20は、実施の形態1と同様に、コア絶縁層23および外部絶縁層21、22、24、25は、夫々アラミド繊維を60重量%含有したエポキシ系樹脂から形成され、コア配線層26、積層配線層27が、夫々インナビアホール28により電気的に接続されている。従来構造では、各絶縁層には、ガラス転移温度が100℃のエポキシ系樹脂が用いられるが、本実施の形態では、コア絶縁層23のエポキシ樹脂中に硬化剤を混ぜることにより、コア絶縁層23のエポキシ樹脂のガラス転移温度を150℃と従来より高くしている。従って、多層配線基板20に用いられる絶縁層中に、ガラス転移温度が150℃と高い絶縁層が含まれるため、高温(100℃から150℃の間)での多層配線基板20全体の剛性率の低下を防ぎ、従来より剛性率を高く維持することが可能となる。
【0039】即ち、多層配線基板20上に表面実装部品や半導体素子を実装する工程では、通常、多層配線基板20表面の積層配線層27と半導体素子等との間に導電性接着剤を塗布した後、120℃で約1時間保持して導電性接着剤により両者を固定するが、本実施の形態のように、コア絶縁層23のガラス転移温度を実装温度(120℃)より高くすることにより、多層配線基板20は、かかる実装温度においても高い剛性率を維持することができ、多層配線基板20の表面は良好な平坦性を保ち、良好な実装性を得ることが可能となる。」
以上の記載事項及び図面からみて、引用文献2には、次の事項(以下、「引用文献2に記載されている事項」という。)が記載されている。
「多層配線基板20において、コア絶縁層23のガラス転移温度を外部絶縁層27のガラス転移温より高くすることにより、実装温度においても多層配線基板20を高い剛性率を維持し、該多層配線基板20の表面の平坦性を保つことで、半導体素子の実装性を向上させること。」

4.対比
本願発明と引用発明を対比すると、その意味、機能または構造からみて、
後者の「配線基板200」は前者の「主基板」に相当し、後者の「配線基板200のコア基板本体210」は前者の「主基板の部品内蔵層」に相当し、後者の「配線基板200のコア基板本体210に固着内蔵される」「チップコンデンサ集合体220」は、前者の「主基板の部品内蔵層に内蔵される」「部品集合体」及び「主基板の部品内蔵層に内蔵される」「集合体基板」に相当する。
後者の「チップコンデンサ集合体220の」「モールド体」は前者の「集合体基板の」「部品内蔵層」に相当し、後者の「複数のチップコンデンサ224」は前者の「複数の電子部品」に相当する。
後者の「チップコンデンサ集合体220の上面220A側」は前者の「集合体基板の一主面」に相当し、後者の「端子部」は前者の「電極」に相当し、後者の「上部接続パッド221」は前者の「電極パッド」に相当するところ、「上部接続パッド221」を半田等により「端子部」に電気的に接着することは技術常識であるから、後者の「チップコンデンサ集合体220の上面220A側に備えた前記各チップコンデンサ224の端子部と接続される複数の上部接続パッド221」は前者の「集合体基板の一主面に形成され前記各電子部品の電極と電気的に接着される複数の電極パッド」に相当する。

そうすると、両者は本願発明の用語を用いて表現すると、次の点で一致する。
[一致点]
「主基板の部品内蔵層に内蔵される部品集合体において、
前記主基板の部品内蔵層に内蔵される集合体基板と、
前記集合体基板の部品内蔵層に配列して内蔵された複数の電子部品と、
前記集合体基板の一主面に形成され前記各電子部品の電極と電気的に接着される複数の電極パッドとを備える部品集合体。」

そして、両者は次の点で相違する。
[相違点]
本願発明は、「集合体基板の部品内蔵層のガラス転移温度を主基板の部品内蔵層のガラス転移温度より高く」するのに対し、
引用発明は、チップコンデンサ集合体220のモールド体のガラス転移温度と配線基板200のコア基板本体210のガラス転移温度との大小関係は不明である点。

5.判断
(1)上記相違点の検討
引用文献2には、上記3.(2)のとおり、「多層配線基板20において、コア絶縁層23のガラス転移温度を外部絶縁層27のガラス転移温より高くすることにより、実装温度においても多層配線基板20を高い剛性率を維持し、該多層配線基板20の表面の平坦性を保つことで、半導体素子の実装性を向上させること。」が記載されている。
引用発明は、引用文献1(段落【0048】)の「本変形形態では、集合体220を、ICチップ201の直下(フリップチップパッド201の直下)に配置する構造とした」との記載及び【図9】の図示内容によれば、ICチップ201をチップコンデンサ集合体220直上の配線基板200の表面に実装することが予定されるものであり、また、同じく引用文献1(段落【0041】)には、「樹脂絶縁層43から露出するフリップチップパッド101にハンダペーストを塗布しリフローすることで、ハンダからなるフリップチップバンプ102を形成する。」と記載されるように、該ICチップ201はリフロー行程を経て実装されるものであるから、引用発明と引用文献2に記載されている事項に接した当業者であれば、引用発明において、引用文献2に記載されている事項のコア絶縁層23に相当するコア基板本体210及びチップコンデンサ集合体220のガラス転移温度を高くして剛性率を高くし、平坦性を維持することは適宜になし得ることである。また、その際に、引用発明においては、(あ)ICチップ201の直下にチップコンデンサ集合体220が配置されていること、(い)引用発明のチップコンデンサ集合体220の上面220A側に備えた複数の「上部接続パッド221」は、配線層に接続されるものであるところ、引用文献1の段落【0003】には、「ところが、このように多数のチップ状コンデンサを1つずつ内蔵させるのは、面倒であり工数もかかる上、位置ズレを生じて接続不良となったものがあると、その分静電容量値が低くなるなど、特性や性能が不安定になって歩留まりが低下しやすい。」と記載されるように、内蔵されるチップ状コンデンサの接続部と配線層との接続不良を課題としていること、(う)コア基板本体210及びチップコンデンサ集合体220とは別体であること、これらを考慮すると、コア基板本体210及びチップコンデンサ集合体220の中でも、特にチップコンデンサ集合体220の剛性率を高くする必要性があるといえるから、チップコンデンサ集合体220を形成するモールド体のガラス転移温度をコア基板本体210のガラス転移温度より高くすることは当業者が容易に想到し得ることである。
よって、引用発明において、上記相違点に係る本願発明の発明特定事項とすることは、当業者が容易に想到し得たことである。

(2)作用効果について
本願発明の奏する作用効果は、引用発明及び引用文献2に記載されている事項から、当業者が予測できる範囲内のものであって、格別ではない。

(3)まとめ
したがって、本願発明は、引用発明及び引用文献2に記載されている事項に基づいて容易に発明できたものである。

6.むすび
以上総合すると、本願発明(請求項1に係る発明)は、引用発明及び引用文献2に記載されている事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
そして、本願の請求項1に係る発明が特許を受けることができない以上、本願の請求項2ないし6に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2014-01-22 
結審通知日 2014-01-28 
審決日 2014-02-12 
出願番号 特願2012-508087(P2012-508087)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (H05K)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 内田 博之  
特許庁審判長 島田 信一
特許庁審判官 森川 元嗣
冨岡 和人
発明の名称 部品集合体  
代理人 梁瀬 右司  
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