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審決分類 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 A01N
審判 査定不服 特17条の2、3項新規事項追加の補正 特許、登録しない。 A01N
審判 査定不服 4号2号請求項の限定的減縮 特許、登録しない。 A01N
審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 特許、登録しない。 A01N
管理番号 1286297
審判番号 不服2013-1660  
総通号数 173 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2014-05-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2013-01-29 
確定日 2014-03-26 
事件の表示 特願2009- 30496「外来性植物駆除工法」拒絶査定不服審判事件〔平成21年 9月24日出願公開、特開2009-215285〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1.手続の経緯
本願は、平成21年2月12日(優先権主張 平成20年2月14日)を出願日とする特許出願であって、平成23年12月22日付けで拒絶理由が通知され、平成24年3月2日に意見書とともに手続補正書が提出され、同年6月5日付けで拒絶理由が通知され、同年8月6日及び同年同月7日に意見書とともに手続補正書が提出され、同年同月21日に上申書が提出されたが、同年11月12日付けで拒絶査定がなされ、それに対して、平成25年1月29日に拒絶査定不服審判の請求がなされると同時に手続補正書が提出され、同年2月22日に前置報告がなされ、同年6月28日付けで審尋がなされ、同年9月3日並びに同年同月17日に上申書が提出されたものである。

第2.補正の却下の決定
[結論]
平成25年1月29日付けの手続補正を却下する。

[理由]
1.手続補正の内容
平成25年1月29日付け手続補正(以下、「本件手続補正」という。)は、平成24年8月7日提出の手続補正書による手続補正により補正された特許請求の範囲及び明細書を補正するものであり、そのうち特許請求の範囲について、
「【請求項1】
有機質資材(3)を燻製した粉状又は粗粒の燻製炭、又は泥炭腐植土、又はピートモス、又はココピート、又はフミン酸及び炭、又はバーク堆肥、又はおが屑、又は稲わら、又は籾殻にモル濃度で1.0?18.0molL^(-1)の硫酸、又は塩酸、又は酢酸、又は竹酢液、又は木酢液をしみ込ませて製造し、当該有機質資材を用いた客土(2)を緑化基盤材吹付機(12)で対象地盤(G)に吹き付けることにより、セイタカアワダチソウの外来生物を駆除することを特徴とする外来性植物駆除工法。
【請求項2】
モル濃度で1.0?18.0molL^(-1)の硫酸、又は塩酸、又は酢酸、又は竹酢液、又は木酢液をしみ込ませた有機質資材(3)を単独で、又は当該硫酸、又は塩酸、又は酢酸、又は竹酢液、又は木酢液をしみ込ませた有機質資材(3)と燻製した粉状又は粗粒の燻製炭からなる有機質資材(3)を5.0?95.0%:95.0?5.0%の割合に設定してハイドロシーダー又はモルタル・コンクリート吹付機等の客土吹付機(12)中で混合して客土(2)を製造し、当該客土吹付機(12)によって対象地盤(G)への吹き付けることにより、セイタカアワダチソウの外来生物を駆除することを特徴とする外来性植物駆除工法。
【請求項3】
有機質資材(3)はpH(H_(2)O)で3.0?4.5、電気伝導度が0.05ms/cm以上となる直径が1.0mm程度の粉状のもの及び直径が2.0?5.0mmの粗粒状のものを含み、且つ塩基飽和度の値は、25.0?50.0%までの値のものを利活用する請求項2記載の外来性植物駆除工法。
【請求項4】
有機質資材(3)を燻製した粉状又は粗粒状の燻製炭の炭化温度を100℃?300℃で炭化させて極強酸性とした請求項1記載の外来性植物駆除工法。」

「【請求項1】
有機質資材(木材、竹、おが屑,稲わら、籾殻)を燻製した粉状又は粗粒の燻製炭、又は泥炭腐植土、又はピートモス、又はココピート、又は炭、又はバーク堆肥にモル濃度で1.0?18.0molL^(-1)の硫酸、又は塩酸、又は酢酸、又は木酢液、竹酢液をしみ込ませて製造し、当該有機質資材を用いた客土を緑化基盤材吹付機で対象地盤に吹き付けることにより、外来生物であるセイタカアワダチソウを駆除することを特徴とする外来性植物駆除工法。
【請求項2】
有機質資材(木材、竹、おが屑,稲わら、籾殻)(3)を燻製した粉状又は粗粒の燻製炭,又は泥炭腐植土、又はピートモス、又はココピート、又は炭、又はバーク堆肥にモル濃度で1.0?18.0molL^(-1)の硫酸、又は塩酸、又は酢酸、又は木酢液、竹酢液をしみ込ませて製造した資材と酸性液を染み込ませていない泥炭腐植土、又はピートモス、又はココピート、又は炭,又はバーク堆肥と粗粒砂を5.0?95.0%:45.0%?5%:50.0%?0%の割合に設定して、ハイドロシーダー又はモルタルコンクリート吹付機等の緑化基盤材吹付機(12)で混合して客土(2)を製造し、当該緑化基盤材吹付機(12)によって対象地盤(G)への吹き付けを行うようにしたことを特徴とする外来性植物駆除工法。
【請求項3】
燻製した粉状又は粗粒の燻製炭は、pH(H_(2)O)で3.0?4.5、電気伝導度が0.05mS/cm以上となる直径が1.0mm程度の粉状のもの及び直径が2.0?5.0mmの粗粒状のものを含み、且つ塩基飽和度の値は、25.0?50.0%までの値のものを利活用する請求項2に記載の外来性植物駆除工法。
【請求項4】
有機質資材(3)を炭化温度100?300℃で炭化させて,強酸性とした粉状又は粗粒状の燻製炭とする請求項1の外来性植物駆除工法。」
と補正するものである。

2.本件手続補正の適否について
(1)本件手続補正は、審判請求と同時にされた補正であるから、その補正は、特許法第17条の2第3項の規定により、願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した範囲内においてしなければならないだけでなく、第17条の2第5項第1号から第4号に掲げるいずれかの事項を目的とするものに限られる。
そこで、本件手続補正について検討する。

(1-1)請求項2について
本件手続補正は、補正前の特許請求の範囲の請求項2について、上記1.のとおり補正するものであり、以下の補正事項1、2を含むものである。

補正事項1
有機質資材の配合について、
「モル濃度で1.0?18.0molL^(-1)の硫酸、又は塩酸、又は酢酸、又は竹酢液、又は木酢液をしみ込ませた有機質資材(3)」(以下、「成分A」という。)を単独、又は、成分Aと「燻製した粉状又は粗粒の燻製炭からなる有機質資材(3)」(以下、「成分B」という。)とを併用する、2つの態様
から、
「有機質資材(木材、竹、おが屑,稲わら、籾殻)(3)を燻製した粉状又は粗粒の燻製炭,又は泥炭腐植土、又はピートモス、又はココピート、又は炭、又はバーク堆肥にモル濃度で1.0?18.0molL^(-1)の硫酸、又は塩酸、又は酢酸、又は木酢液、竹酢液をしみ込ませて製造した資材」(以下、「成分C」という。)と「酸性液を染み込ませていない泥炭腐植土、又はピートモス、又はココピート、又は炭,又はバーク堆肥」(以下、「成分D」という。)と粗粒砂(ただし、粗粒砂の割合が0%、つまり、粗粒砂を併用しない態様を含む)とを併用する、2つの態様
に変更する補正

補正事項2
有機質資材の配合割合について、
成分Aを単独、又は、成分Aと成分Bを「5.0?95.0%:95.0?5.0%の割合」
から、
成分Cと成分Dと粗粒砂を「5.0?95.0%:45.0%?5%:50.0%?0%の割合」
に変更する補正

まず、補正事項1について検討するに、補正前の請求項2における、酸性液をしみ込ませた有機質資材(成分A)と併用する成分Bは「燻製した粉状又は粗粒の燻製炭からなる有機質資材(3)」であり、補正後の請求項2における、酸性液をしみ込ませた有機質資材(成分C)と併用する成分Dである「泥炭腐植土、又はピートモス、又はココピート、又は炭,又はバーク堆肥」とは異なる成分であることは明らかである。
そして、願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲及び図面(以下、「当初明細書等」という。)には、酸性液をしみ込ませた有機質資材を用いた客土(請求項1)、及び、粗粒砂又は浄水ケーキを含む粗粒砂を併用する態様について記載されているが、「酸性液を染み込ませていない泥炭腐植土、又はピートモス、又はココピート、又は炭,又はバーク堆肥」を併用する態様について何ら記載されておらず、また、かかる事項は技術常識から記載されているに等しいものともいえないから、補正事項1は、当初明細書等の全ての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、酸性液をしみ込ませた有機質資材に「酸性液を染みこませていない泥炭腐植土、又はピートモス、又はココピート、又は炭,又はバーク堆肥」を併用するという新たな技術的事項を追加するものであって、当初明細書等に記載した事項の範囲においてしたものではない。
次に、補正事項2について検討するに、補正前の請求項2における、「5.0?95.0%:95.0?5.0%の割合」は、酸性液をしみ込ませた成分である成分Aと、成分Bとの2成分の配合割合であるのに対し、補正後の請求項2における、「5.0?95.0%:45.0%?5%:50.0%?0%の割合」は、酸性液をしみ込ませた成分Cと、成分Dと、粗粒砂との3成分の配合割合(ただし、粗粒砂の割合が0%の場合は、2成分の配合割合)であり、配合割合の基準となる全体の配合組成物として、有機質資材のみから粗粒砂を含有するものに変更されている。さらに、酸性液をしみ込ませた有機質資材と、「酸性液を染み込ませていない泥炭腐植土、又はピートモス、又はココピート、又は炭,又はバーク堆肥」との配合割合を設定することについて当初明細書等には何ら記載されておらず、かかる事項は技術常識から記載されているに等しいものともいえないから、補正事項2は、当初明細書等の全ての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、酸性液をしみ込ませた有機質資材と、「酸性液を染み込ませていない泥炭腐植土、又はピートモス、又はココピート、又は炭,又はバーク堆肥」と、粗粒砂との配合割合が「5.0?95.0%:45.0%?5%:50.0%?0%の割合」であるという新たな技術的事項を追加するものであって、当初明細書等に記載した事項の範囲においてしたものではない。

(1-2)請求項3について
本件手続補正は、補正前の特許請求の範囲の請求項3に記載の事項である「セイタカアワダチソウの外来生物を駆除することを特徴とする外来性植物駆除工法」を「外来性植物駆除方法」とする補正事項(以下、「補正事項3」という。)を含むものである。
しかしながら、補正前の請求項3に係る発明は、「外来性植物駆除方法」について、駆除する外来性植物の対象を「セイタカアワダチソウ」に限定しているのに対し、補正後の請求項3に係る発明は、当該限定を削除する、すなわち、外来性植物の対象をセイタカアワダチソウ以外の外来性植物一般にまで拡張したものといえる。
したがって、補正事項3は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものではない。また、補正事項3は、明りょうでない記載の釈明を目的とするものにも該当せず、さらに、請求項の削除、誤記の訂正のいずれかを目的とするものでもないことは、明らかである。

(1-3)請求項4について
本件手続補正は、補正前の特許請求の範囲の請求項4に記載の事項である「極強酸性」を「強酸性」とする補正事項(以下、「補正事項4」という。)を含むものである。
しかしながら、pH(H_(2)O)による土壌酸性の程度の区分において、極強酸性と強酸性の区分が異なることは当業者の技術常識である(参考文献:高野直行等、「新潟県における土づくりのすすめ方」、新潟県農林水産部、平成17年2月、第71頁)。
そして、当初明細書等には、「強酸性」とした「燻製炭」について何ら記載されておらず、また、かかる事項は技術常識から記載されているに等しいものともいえないから、補正事項4は、当初明細書等の全ての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、「強酸性」とした「燻製炭」という新たな技術的事項を追加するものであって、当初明細書等に記載した事項の範囲においてしたものではない。

(1-4)小括
以上のとおりであるから、本件手続補正は、特許法第17条の2第3項及び第5項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

(2)独立特許要件について
ここで、仮に、本件手続補正が、新規事項の追加ではなく、かつ、特許請求の範囲の減縮を目的とするものとした場合、本件手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1?4に係る発明(以下、まとめて「補正発明」という。)が、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項に規定する要件(いわゆる、独立特許要件)を満足するか否かについて、以下に検討する。
補正発明は、上記1.のとおりのものである。そして、補正発明における、発明を特定するために必要な事項(以下、「発明特定事項」という。)である、「有機質資材」について、請求項1には、「有機質資材(木材、竹、おが屑、稲わら、籾殻)」と「当該有機質資材」が記載されているが、前者の「有機質資材」は燻製炭の原料である木材、竹、おが屑、稲わら、籾殻を意味する語として用いられているのに対し、後者の「有機質資材」については、「・・・しみ込ませて製造し、当該有機質資材を用いた客土を」と記載されていることから、「有機質資材」は燻製炭の原料である木材、竹、おが屑、稲わら、籾殻を意味するものではないことは明らかである。してみると、「有機質資材」が何を意味するのか不明確である。
さらに、請求項1における「当該有機質資材」なる記載について、「当該」は通常、同一請求項内で前出した用語と同じ用語を用いる際に使われる用語であるところ、「当該有機質資材」が指す対象は、「有機質資材(木材、竹、おが屑、稲わら、籾殻)」であるといえる。しかしながら、「当該有機質資材」は燻製炭の原料である木材、竹、おが屑、稲わら、籾殻を意味するものではないことは明らかであることから、「当該有機質資材」が指す対象と「当該有機質資材」とはその内容が異なり矛盾している。してみると、「当該有機質資材」なる用語は発明を不明確とするものである。
以上より、補正発明が明確であるとはいえず、本願は特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしておらず、特許出願の際独立して特許を受けることができない。
したがって、仮に本件手続補正が、新規事項の追加ではなく、かつ、特許請求の範囲の減縮に該当するとしても、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

(3)むすび
以上のとおりであるから、本件手続補正は、特許法第17条の2第3項及び同第5項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものであり、仮に本件手続補正が、新規事項の追加ではなく、特許請求の範囲の減縮に該当するとしても、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

第3.本願発明
本件手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1?4に係る発明(以下、まとめて「本願発明」という。)は、平成24年8月7日提出の手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1?4に記載された事項により特定される、次のとおりのものである。
「【請求項1】
有機質資材(3)を燻製した粉状又は粗粒の燻製炭、又は泥炭腐植土、又はピートモス、又はココピート、又はフミン酸及び炭、又はバーク堆肥、又はおが屑、又は稲わら、又は籾殻にモル濃度で1.0?18.0molL^(-1)の硫酸、又は塩酸、又は酢酸、又は竹酢液、又は木酢液をしみ込ませて製造し、当該有機質資材を用いた客土(2)を緑化基盤材吹付機(12)で対象地盤(G)に吹き付けることにより、セイタカアワダチソウの外来生物を駆除することを特徴とする外来性植物駆除工法。
【請求項2】
モル濃度で1.0?18.0molL^(-1)の硫酸、又は塩酸、又は酢酸、又は竹酢液、又は木酢液をしみ込ませた有機質資材(3)を単独で、又は当該硫酸、又は塩酸、又は酢酸、又は竹酢液、又は木酢液をしみ込ませた有機質資材(3)と燻製した粉状又は粗粒の燻製炭からなる有機質資材(3)を5.0?95.0%:95.0?5.0%の割合に設定してハイドロシーダー又はモルタル・コンクリート吹付機等の客土吹付機(12)中で混合して客土(2)を製造し、当該客土吹付機(12)によって対象地盤(G)への吹き付けることにより、セイタカアワダチソウの外来生物を駆除することを特徴とする外来性植物駆除工法。
【請求項3】
有機質資材(3)はpH(H_(2)O)で3.0?4.5、電気伝導度が0.05ms/cm以上となる直径が1.0mm程度の粉状のもの及び直径が2.0?5.0mmの粗粒状のものを含み、且つ塩基飽和度の値は、25.0?50.0%までの値のものを利活用する請求項2記載の外来性植物駆除工法。
【請求項4】
有機質資材(3)を燻製した粉状又は粗粒状の燻製炭の炭化温度を100℃?300℃で炭化させて極強酸性とした請求項1記載の外来性植物駆除工法。」

第4.原査定における拒絶の理由の概要
原査定の拒絶の理由とされた、平成24年6月5日付け拒絶理由通知書に記載された理由1、2の概要は、以下のとおりである。
「1.この出願は、特許請求の範囲の記載が下記の点で、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。
2.平成24年3月2日付けでした手続補正は、下記の点で願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてしたものでないから、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしていない。


<<理由1>>
1.請求項2の「モル濃度で1.0?18.0molL^(-1)の硫酸、又は塩酸、又は酢酸、又は竹酢液、又は木酢液をしみ込ませていない有機質資材(3)」は、何もしみ込ませていない有機質資材を意味するのか、あるいは、上記と異なるモル濃度の例えば0.5molL^(-1)の硫酸をしみ込ませた有機質資材(3)であれば含まれるのか、その意味するところが不明りょうである。
また、特許請求の範囲全体において、「有機質資材」は、燻製炭の原料のことを意味しているのか、燻製炭等に硫酸等をしみ込ませたものを意味するのか、不明りょうである。

2.請求項2には、
「(a)モル濃度で1.0?18.0molL^(-1)の硫酸、又は塩酸、又は酢酸、又は竹酢液、又は木酢液をしみ込ませた有機質資材を単独で、又は(b)当該有機質資材とモル濃度で1.0?18.0moL^(-1)の硫酸、又は塩酸、又は酢酸、又は竹酢液、又は木酢液をしみ込ませていない有機質資材(3)を5.0?95.0%:95.0?5%の割合に設定し、又は(c)当該有機質資材とモル濃度で1.0?18.0molL^(-1)の硫酸、又は塩酸、又は酢酸、又は竹酢液、又は木酢液をしみ込ませていない有機質資材(3)を5.0?95.0%:95.0?5%:95?5%の割合に設定して」という3種のいずれかの有機質資材を、「ハイドロシーダー又はモルタル・コンクリート吹付機等の客土吹付機中で混合して客土(2)を製造し」と記載されているが、上記の3種のいずれかの有機質資材を何と混合するのか、不明確である。
また、上記の(b)と(c)とは、何が異なるのか、明確ではない。
さらに、上記の「%」は、「重量%」であるのか否か、明確ではない。

3.特許請求の範囲の「モル濃度で1.0?18.0molL^(-1)の」という記載は、硫酸だけでなく「竹酢液」「木酢液」にもかかるといえるが、「竹酢液」「木酢液」は多数成分の混合物であるから、これらのモル濃度は、どのようにして計算するのか、不明りょうである。

4.(略)

5.請求項1の記載からすれば、[有機質資材(3)」とは、「燻製した粉状または粗粒の燻製炭、・・・又は籾殻にモル濃度で・・・をしみ込ませ」たものを意味するともいえるが、請求項3,4の「有機質資材(3)」も、この硫酸等をしみ込ませた後のものを意味しているのか、否か、明確ではない。
(意見書において、本願明細書の段落【0011】の「竹を・・・300℃以下で燻製とした場合には著しく酸性となることに着目した」との記載との関係についても説明する必要がある。)

6.請求項4の「有機質資材(3)を燻製した粉状又・・・燻製炭」における「有機質資材(3)」とは、燻製する前の材料のことを意味しているのか、否か、不明りょうである。
また、「粉状又は粗目の粉状又は粗粒状の」の記載は、引用する請求項1には、「粉状又は粗粒の」との記載と対応していないので、不適切である。

7.?8.(略)
<<理由2>>
平成24年3月2日付けでした手続補正書において、請求項2の「有機質資材(3)と粗粒砂(4)、又は有機質資材(3)と浄水ケーキを含む粗粒砂(4)を5.0?95.0%:5.0?95.0%の割合に設定して」を、
「(a)モル濃度で1.0?18.0molL^(-1)の硫酸、又は塩酸、又は酢酸、又は竹酢液、又は木酢液をしみ込ませた有機質資材を単独で、又は
(b)当該有機質資材とモル濃度で1.0?18.0molL^(-1)の硫酸、又は塩酸、又は酢酸、又は竹酢液、又は木酢液をしみ込ませていない有機質資材(3)を5.0?95.0%:95.0?5%の割合に設定し、又は
(c)当該有機質資材とモル濃度で1.0?18.0molL^(-1)の硫酸、又は塩酸、又は酢酸、又は竹酢液、又は木酢液をしみ込ませていない有機質資材(3)を5.0?95.0%:95.0?5%:95?5%の割合に設定して」という3種のいずれかの有機質資材を」とする補正がなされた。

しかしながら、当初明細書には、硫酸等をしみ込ませた有機質資材を、粗粒砂あるいは浄水ケーキを含む粗粒砂と「5.0?95.0%:95.0?5%の割合」で混合して客土とすることが記載されていたものの、上記(a)?(c)という3種の有機質資材を用いることについては記載されていない。特に、「5.0?95.0%:95.0?5%の割合」は、硫酸等をしみ込ませた有機質資材と粗粒砂あるいは浄水ケーキを含む粗粒砂との比として記載していたのであって、硫酸等をしみ込ませた有機質資材としみ込ませていない有機質資材との比として記載されていたわけではない。

したがって、上記請求項2についての補正は、新たな技術的事項を導入するものであり、当初明細書等に記載した範囲内においてしたものではない。

(補正の根拠を当初明細書等の記載に基づいて具体的に説明する必要がある。)」

第5.当審の判断
(1)理由1について
本願発明は、上記第3.のとおりのものである。そして、本願発明における、発明特定事項である「有機質資材」について、請求項1には、「有機質資材(3)」と「当該有機質資材」が記載されているが、前者の「有機質資材」は、「有機質資材(3)を燻製した粉状又は粗粒の燻製炭」なる記載からみて、燻製炭の原料を意味する語として用いられているのに対し、後者の「有機質資材」については、「・・・しみ込ませて製造し、当該有機質資材を用いた客土を」と記載されていることから、「有機質資材」は燻製炭の原料を意味するものではないことは明らかである。してみると、「有機質資材」が何を意味するのか不明確である。
さらに、本願発明における「当該有機質資材」なる記載について、「当該」は通常、同一請求項内で前出した用語と同じ用語を用いる際に使われる用語であるところ、「当該有機質資材」が指す対象は、「有機質資材(3)」である、すなわち、燻製炭の原料である「有機質資材」であるといえる。しかしながら、「当該有機質資材」は燻製炭の原料を意味するものではないことは明らかであることから、「当該有機質資材」が指す対象と「当該有機質資材」とはその内容が異なり矛盾している。してみると、「当該有機質資材」なる用語は発明を不明確とするものである。
以上より、本願発明が明確であるとはいえず、本願は特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。

(2)理由2について
平成24年8月7日付け手続補正は、平成24年3月2日付け手続補正によって補正された請求項2に記載の、
「モル濃度で1.0?18.0molL^(-1)の硫酸、又は塩酸、又は酢酸、又は竹酢液、又は木酢液をしみ込ませた有機質資材を単独で、又は当該有機質資材とモル濃度で1.0?18.0molL^(-1)の硫酸、又は塩酸、又は酢酸、又は竹酢液、又は木酢液をしみ込ませていない有機質資材(3)を5.0?95.0%:95.0?5%の割合に設定し、又は当該有機質資材とモル濃度で1.0?18.0molL^(-1)の硫酸、又は塩酸、又は酢酸、又は竹酢液、又は木酢液をしみ込ませていない有機質資材(3)を5.0?95.0%:95.0?5%:95?5%の割合に設定してハイドロシーダー又はモルタル・コンクリート吹付機等の客土吹付機(12)中で混合して客土(2)を製造し、当該客土吹付機(12)によって対象地盤(G)への吹き付けを行うようにした請求項1記載の外来性植物駆除工法。」(以下、「記載1」という。)を、
「モル濃度で1.0?18.0molL^(-1)の硫酸、又は塩酸、又は酢酸、又は竹酢液、又は木酢液をしみ込ませた有機質資材(3)を単独で、又は当該硫酸、又は塩酸、又は酢酸、又は竹酢液、又は木酢液をしみ込ませた有機質資材(3)と燻製した粉状又は粗粒の燻製炭からなる有機質資材(3)を5.0?95.0%:95.0?5.0%の割合に設定してハイドロシーダー又はモルタル・コンクリート吹付機等の客土吹付機(12)中で混合して客土(2)を製造し、当該客土吹付機(12)によって対象地盤(G)への吹き付けることにより、セイタカアワダチソウの外来生物を駆除することを特徴とする外来性植物駆除工法。」(以下、「記載2」という。)とする補正事項Aを含むものである。
しかしながら、記載2には、酸性液をしみ込ませた有機質資材と、「燻製した粉状又は粗粒の燻製炭からなる有機質資材(3)」とを併用する態様を含むものである。ここで、「燻製した粉状又は粗粒の燻製炭からなる有機質資材(3)」は酸性液をしみ込ませていない燻製炭からなる有機質資材を包含していないとはいえない。してみると、記載2についても、記載1と同様に、酸性液をしみ込ませた有機質成分と、酸性液をしみ込ませていない有機質成分とを併用すること、ならびに、これら両成分の配合割合を規定する態様を含むものであることは明らかであるといえる。
したがって、原審が拒絶理由の理由2において指摘した、上記記載1に対する新規事項の追加を指摘した内容は、そのまま、上記記載2に対しても当てはまる。
そして、上記「第2.補正の却下の決定」における2.(1-1)での指摘と同様に、
(ア)「モル濃度で1.0?18.0molL^(-1)の硫酸、又は塩酸、又は酢酸、又は竹酢液、又は木酢液をしみ込ませた有機質資材(3)」と「燻製した粉状又は粗粒の燻製炭からなる有機質資材(3)」とを併用する事項に関して、酸性液をしみ込ませない「燻製した粉状又は粗粒の燻製炭からなる有機質資材(3)」を併用する態様について当初明細書等に何ら記載されておらず、かかる事項は技術常識から記載されているに等しいものともいえないから、当初明細書等の全ての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を追加するものであって、当初明細書等に記載した事項の範囲においてしたものではない。
(イ)「モル濃度で1.0?18.0molL^(-1)の硫酸、又は塩酸、又は酢酸、又は竹酢液、又は木酢液をしみ込ませた有機質資材(3)」と「燻製した粉状又は粗粒の燻製炭からなる有機質資材(3)」を「5.0?95.0%:95.0?5.0%の割合」とする事項に関して、酸性液をしみ込ませた有機質資材と酸性液をしみ込ませていない「燻製した粉状又は粗粒の燻製炭からなる有機質資材(3)」との配合割合を設定することについて当初明細書等には何ら記載されておらず、かかる事項は技術常識から記載されているに等しいものともいえないから、当初明細書等の全ての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を追加するものであって、当初明細書等に記載した事項の範囲においてしたものではない。
以上より、平成24年8月7日付け手続補正は、当初明細書等の記載の範囲内でなされたものではないから、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしていない

第6.請求人の主張についての検討
請求人は、平成24年8月7日提出の意見書において、
「発明者・出願人が検討した結果、「請求項2」を構成要件に分説した(b)を次のように補正します。
「補正事項」
「(b) 当該硫酸、又は塩酸、又は酢酸、又は竹酢液、又は木酢液をしみ込ませた有機資材と燥製(当審注:「燻製」の誤記と認められる。)した粉状又は粗粒砂(当審注:「粗粒」の誤記と認められる。)の薫製炭の有機質資材(3)と、粗粒砂とを5.0?95.0%:95.0?5%:95.0?5%の割合に設定し、又は」に補正します。」
旨主張している。
仮に、請求人の上記主張のとおりの補正がなされていたとしても、上記「第5.当審の判断」における(2)での検討のとおり、当該補正は、新たに酸性液をしみ込ませていない「燻製した粉状又は粗粒の燻製炭からなる有機質資材(3)」を併用する態様を包含するものであり、また、酸性液をしみ込ませた有機質資材と酸性液をしみ込ませていない「燻製した粉状又は粗粒の燻製炭からなる有機質資材(3)」と粗粒砂との3成分の配合割合を新たに設定するものであり、上記「第5.当審の判断」における(2)での検討と同様に、当初明細書等の記載の範囲内でなされたものではない。
また、平成25年9月17日提出の上申書において、以下の請求項2の補正案、
「【請求項2】
「有機質資材(3)が木材、竹、おが屑、稲わら、籾殻を燻製した粉状又は粗粒の燻製炭を製造して、これには酸液をしみ込ませない資材と、
泥炭腐植土、又はピートモス、又はココピート、又は炭、又はバーク堆肥にモル濃度で1.0?18.0molL^(-1)の硫酸、又は塩酸、又は酢酸、又は木酢液、又は竹酢液をしみ込ませた資材とからなり、
当該有機質資材(3)と浄水ケーキを含む粗粒砂(4)との割合を5.0:95.0%、又は95.0:5.0%に設定すると共に、化学短繊維(8)を用水(9)と混合して得た混合物(7)と共に吹付機(12)に投入し、ハイドロシーダー又はモルタル・コンクリート吹付機等の緑化基盤材の吹付機(12)で混合して客土(2)を製造し,当該吹付機(12)によって対象地盤(G)への吹き付けを行うようにしたことを特徴とする外来性植物駆除工法。」
が記載されている。
しかしながら、当該請求項2の補正案は、酸性液をしみ込ませていない有機質資材を併用する態様を包含するものであり、また、酸性液をしみ込ませた有機質資材と酸性液をしみ込ませていない有機質資材からなる有機質資材と、粗粒砂との成分の配合割合を新たに設定するものであり、上記「第5.当審の判断」における(2)での検討と同様に、当初明細書等の記載の範囲内でなされたものではない。

第7.むすび
以上のとおり、原査定の拒絶の理由1、2は妥当なものであるから、本願は、これらの理由により拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2014-01-30 
結審通知日 2014-01-31 
審決日 2014-02-12 
出願番号 特願2009-30496(P2009-30496)
審決分類 P 1 8・ 575- Z (A01N)
P 1 8・ 572- Z (A01N)
P 1 8・ 537- Z (A01N)
P 1 8・ 561- Z (A01N)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 藤原 浩子  
特許庁審判長 田口 昌浩
特許庁審判官 塩見 篤史
大島 祥吾
発明の名称 外来性植物駆除工法  
代理人 磯野 政雄  
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