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審決分類 審判 訂正 ただし書き2号誤記又は誤訳の訂正 訂正する H01B
管理番号 1286716
審判番号 訂正2013-390219  
総通号数 174 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2014-06-27 
種別 訂正の審決 
審判請求日 2013-12-13 
確定日 2014-02-14 
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第5418933号に関する訂正審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 特許第5418933号に係る明細書及び特許請求の範囲を本件審判請求書に添付された訂正明細書及び特許請求の範囲のとおり一群の請求項ごとに訂正することを認める。 
理由 第1 手続の経緯
本件訂正審判の請求(以下、「本件請求」という。)に係る特許第5418933号(以下、「本件特許」という。)は、平成25年 6月24日(優先権主張 平成24年 8月29日、平成25年 4月24日)に出願がされて、平成25年11月29日に設定登録がされたものである。
そして、平成25年12月13日付けで本件請求がされ、平成26年 1月28日付けで手続補正書が提出されたものである。

第2 請求の要旨
本件請求の要旨は、本件特許の特許請求の範囲を、本件審判請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおりに一群の請求項ごとに訂正することを求めるものである。

第3 訂正の内容
本件請求に係る訂正(以下「本件訂正」という。)の内容は、特許請求の範囲について、次のとおり訂正することを求めるものである(下線部が訂正箇所である。)。

なお、訂正特許請求の範囲において、請求項3?9はいずれも請求項2を引用する関係にあることから、上記の一群の請求項には、請求項2?9が該当する。

特許請求の範囲の請求項2における、「


を、



に訂正する(以下、「訂正事項A」という。)。


第4 当審の判断
1.訂正の目的について
本件特許の特許請求の範囲の請求項2には、
「【請求項2】
有機インジウム化合物、ドーパント用有機金属化合物、有機粘性剤、を高沸点有機溶剤中(沸点:180℃以上)で攪拌しながら加熱溶解・反応させて高濃度溶解液を得る加熱溶解工程、前記加熱溶解工程で得られた高濃度溶解液を中沸点有機溶剤(沸点:100℃以上180℃未満)、低沸点有機溶剤(沸点:50℃以上100℃未満)のいずれか一つ以上で希釈する希釈工程の各工程からなる透明導電膜形成用塗布液の製造方法であって、
前記高濃度溶解液の有機インジウム化合物とドーパント用有機金属化合物との合計含有量が、20?60重量%、
前記有機粘性剤の含有量が、有機インジウム化合物とドーパント用有機金属化合物との合計含有量(重量)の1/20?1/3、
前記有機インジウム化合物が、アセチルアセトンインジウムで、
前記有機粘性剤が、セルロース誘導体で、
前記高沸点有機溶剤(沸点:180℃以上)が、アルキルフェノール、及び二塩基酸エステルを少なくとも含有する高沸点有機溶剤(沸点:180℃以上)で、
前記中沸点有機溶剤(沸点:100℃以上180℃未満)、低沸点有機溶剤(沸点:50℃以上100℃未満)のいずれか一つ以上の有機溶剤がケトン系有機溶剤であって、
前記加熱溶解工程の加熱溶解・反応条件の加熱温度(T:℃)が、130≦T≦180℃の範囲内で、加熱時間(L:hr)が下記(1)式を満たし、かつ、透明導電膜形成用塗布液を室温に3ヶ月放置した場合の粘度変化が初期粘度の0.5?1.5倍以内(±50%以内)となるように調節されている、
ことを特徴とする透明導電膜形成用塗布液の製造方法。
【数1】

」と記載されている。

このような記載では、前記加熱溶解工程の、「加熱溶解・反応条件の加熱温度(T:℃)が、130≦T≦180℃の範囲内で、加熱時間(L:hr)が下記(1)式を満た」すと特定され、当該(1)式には、加熱温度(T:℃)が130≦T<170℃の範囲内のときの、加熱時間(L:hr)は記載されているが、加熱温度(T:℃)が170≦T≦180℃の範囲内での、加熱時間(L:hr)の記載がないため、この(1)式では、加熱温度(T:℃)が170≦T≦180℃の範囲内のときの、加熱時間(L:hr)の記載が欠落していることは明らかである。

そして、本件特許の明細書の発明の詳細な説明の段落【0020】?【0021】、【0054】?【0058】の記載、および、【図1】の記載によれば、前記加熱溶解工程の、加熱温度(T:℃)が170≦T≦180℃の範囲内のときの、加熱時間(L:hr)は、「L>-0.025T+4.75」であると認められる。

してみると、本件特許の特許請求の範囲の請求項2における、(1)式についての、


」との記載は、



と記載するべきであったのを誤記したことは明らかであるから、訂正事項Aは、特許法第126条第1項ただし書第2号に掲げる誤記の訂正を目的とするものである。

2.新規事項、特許請求の範囲の拡張・変更について
訂正事項Aにより、特許請求の範囲の請求項2の記載は、願書に最初に添付した特許請求の範囲の請求項2の記載と一致することとなるから、願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲に記載した事項の範囲内においてするものであり、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。

3.独立特許要件について
訂正事項Aは誤記の訂正を目的とするものであることは前記のとおりであるところ、訂正後における特許請求の範囲の一群の請求項である請求項2?9に記載されている事項により特定される発明が特許出願の際独立して特許を受けることができないとする理由を発見しない。

第5 むすび
以上のとおりであるから、本件訂正は、特許法第126条第1項ただし書第2号に掲げる事項を目的とし、かつ、同法同条第5?7項の規定に適合する。
よって、結論のとおり審決する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
透明導電膜形成用塗布液の製造方法
【技術分野】
【0001】
本発明は、透明導電膜形成用塗布液の製造方法に関する。さらに詳しくは、ガラスやセラミックなどの耐熱基板上に、塗布法、特にスピンコート法、ディップコート法を用いて、透明性と高い導電性を兼ね備えた透明導電膜を形成できる透明導電膜形成用塗布液を、その品質を安定させ、かつ低コストで簡便に作製できる透明導電膜形成用塗布液の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶ディスプレイ、エレクトロルミネッセンス、プラズマディスプレイ等の表示素子用透明電極、タッチパネル、太陽電池等の透明電極、熱線反射、電磁波シールド、帯電防止、防曇等の機能性コーティングに用いられる透明導電膜の形成材料として、錫ドープ酸化インジウム(以下、「ITO」と表記する場合がある)が知られている。
【0003】
透明導電膜(ITO膜)の製造方法としては、真空蒸着法、スパッタリング法、化学蒸着法等の物理的手法が広く用いられている。これらの方法は、透明性と導電性に優れた均一な透明導電膜(ITO膜)を基板上に形成することができる。しかしながら、これに使用する膜形成装置は真空容器をベースとするため非常に高価であり、また基板成膜毎に製造装置内の成分ガス圧を精密に制御しなければならないため、製造コストと量産性に問題がある。
【0004】
上記の問題を解決する製造方法として、インジウム化合物と錫化合物を溶剤に溶解させた透明導電膜形成用塗布液を用いて基板上に塗布する方法(以下、「塗布法」と表記する場合がある。)が検討されている。この方法では、透明導電膜形成用塗布液の基板上への塗布、乾燥、焼成という簡単な製造工程で透明導電膜(ITO膜)が形成される。
この塗布液の基板上への塗布法としてはスピンコート法、ディップ法、スプレーコート法、スクリーン印刷法、ワイヤーバーコート法等が挙げられる。尚、曲面を有する基板や管の外面や内面に塗布する場合には、ディップ法、スプレーコート法が適用できる。
【0005】
上記した塗布法では、インジウム化合物及び錫化合物を含む塗布液として従来種々の塗布液が開発されており、例えば特許文献1には、ハロゲンイオンまたはカルボキシル基を含む硝酸インジウムとアルキル硝酸錫の混合液、特許文献2には、アルコキシル基などを含む有機インジウム化合物と有機錫化合物の混合物、特許文献3には、硝酸インジウムと有機錫化合物の混合物、特許文献4には、硝酸インジウム、硝酸錫等の無機化合物混合物、特許文献5には、ジカルボン酸硝酸インジウムなどの有機硝酸インジウムとアルキル硝酸錫などの有機硝酸錫の混合物、特許文献6には、アセチルアセトンを配位した有機インジウム錯体と錫錯体からなる混合溶液、特許文献7には上記と同様の有機化合物混合溶液、特許文献8にも同様な有機化合物混合物がそれぞれ開示されているが、これらの特許文献に見られるように、従来の塗布液の多くはインジウムや錫の硝酸塩、ハロゲン化物からなる有機または無機化合物、あるいは金属アルコキシドなどの有機金属化合物等が用いられている。
【0006】
しかし、硝酸塩やハロゲン化物を用いた塗布液は、焼成時において窒素酸化物や塩素などの腐食性ガスが発生するため、設備腐食や環境汚染を生ずるといった問題がある。また金属アルコキシドを用いた塗布液では、原料が加水分解し易いため、塗布液の安定性に問題がある。さらに上記の特許文献に記載された有機金属化合物を用いた塗布液の多くは、基板に対する濡れ性が悪く、不均一膜が形成されやすいといった問題も抱えている。
【0007】
本発明の出願人の提案による特許文献9には、これらの問題点を改良した塗布液としてアセチルアセトンインジウム(正式名称:トリス(アセチルアセトナト)インジウム:In(C_(5)H_(7)O_(2))_(3))、アセチルアセトン錫(正式名称:ジ-n-ブチル ビス(2,4-ペンタンジオナト)錫:[Sn(C_(4)H_(9))_(2)(C_(5)H_(7)O_(2))_(2)])、ヒドロキシプロピルセルロース、アルキルフェノール及び/又はアルケニルフェノールと二塩基酸エステル及び/又は酢酸ベンジルを含有する透明導電膜形成用塗布液が開示されている。
この塗布液は、アセチルアセトンインジウム、アセチルアセトン錫の混合溶液にヒドロキシプロピルセルロースを含有させることによって塗布液の基板に対する濡れ性を改善すると同時に、粘性剤であるヒドロキシプロピルセルロースの含有量によって塗布液の粘度を調整し、スピンコート、スプレーコート、ディップコート、スクリーン印刷、ワイヤーバーコート等の各種塗布法の採用を可能にしている。
【0008】
更に、同じく同出願人による特許文献10では、特許文献9に記載のアセチルアセトンインジウム、アセチルアセトン錫、ヒドロキシプロピルセルロース、アルキルフェノールと二塩基酸エステルを含有する透明導電膜形成用塗布液を塗布・乾燥・焼成して得られる透明導電膜(ITO膜)において、焼成時に低湿度の空気雰囲気(例えば、露点温度が-10℃以下、より好ましくは-20℃以下)を用いると、透明導電膜が緻密化して、透明性、導電性、膜強度を向上できることが開示されている。
したがって、上記焼成時の雰囲気に通常の大気を用いた場合では、その露点温度は、例えば、夏場は10?23℃程度(気温25℃程度で相対湿度40?90%と仮定)と高く、冬場は-23?-10℃程度(気温5℃程度で相対湿度10?30%と仮定)と低くなるため、露点温度が高い夏場には緻密な透明導電膜(ITO膜)が得られ難くなることになる。
【0009】
実際に、提案された透明導電膜形成用塗布液を用いた透明導電膜(ITO膜)の形成において、焼成時の雰囲気として冬場の低湿度の大気を用いた場合には、比較的緻密な高品質の透明導電膜が得られるが、夏場の高湿度の大気を用いた場合には、緻密性の良くない低品質の透明導電膜しか得られないという明確な傾向が認められている。特に、焼成時の雰囲気として夏場の高湿度の大気を用いる場合に、透明導電膜形成用塗布液の製造条件等の違いから生じる透明導電膜形成用塗布液の品質のばらつきにより、得られる透明導電膜の緻密性も大幅にばらつくことが判っており、より安定した品質を有する透明導電膜形成用塗布液の製造方法が望まれている。
【0010】
なお、上記緻密性のばらつきにより、得られる透明導電膜の膜構造は、ITO等の導電性酸化物微粒子(通常、粒径:数nm?数十nm)が緻密に充填した空孔(空隙)が小さく、かつ少ない緻密膜から、導電性酸化物微粒子が粗密に充填した空孔(空隙)が大きく、かつ多い粗密膜(ポーラス膜)まで変化する。そして、上記緻密膜では、粗密膜(ポーラス膜)に比べて、透明性が高く(ヘイズが小さく)、低抵抗でかつ抵抗経時安定性に優れ、膜強度も高く、高性能の透明導電膜が実現できる。
【0011】
ここで、上記透明性は、一般に、透明導電膜における可視光線(波長380?780nmの光線)の散乱度合(ヘイズ、またはヘイズ値)で評価され、ヘイズが小さい程透明性が高いと言える。
更に、上記のような導電性酸化物微粒子が充填した膜構造においては、可視光線の短波長領域(青色)の光線が、中波長(緑色)?長波長領域(赤色)の光線に比べて著しく散乱され易いため(レイリー散乱が生じやすいため)、透明導電膜が粗密になる程、青色の散乱度合(以後、「ブルーヘイズ」と呼ぶ)が大きくなることが知られている。なお、上記短波長領域(青色)とは、可視光線の短波長領域の中でも、色覚反応(人間の目が色を良く感じる反応)の強い波長450nm近傍の波長領域を指している。
【0012】
このブルーヘイズは、透明導電膜に強力な可視光線(例えば太陽光線)が照射された際により際立って知覚され顕在化するため、可視光線のヘイズが比較的小さい値であってもブルーヘイズは大きいという場合があり(逆の、ブルーヘイズは比較的小さい値で可視光線のヘイズが大きい、という場合はない)、特に、大気中の湿度が高く(露点温度が高く)緻密な透明導電膜の得難い夏場においても、可視光線のヘイズはもとよりブルーヘイズを低減できる高品質の透明導電膜形成用塗布液が望まれている。
【0013】
また、上記透明導電膜形成用塗布液の製造条件等の違いから生じる透明導電膜形成用塗布液の品質のばらつきに関しては、上記得られる透明導電膜の緻密性の問題とは別に、透明導電膜形成用塗布液の粘度が経時増加して、最悪の場合は数日?数ヶ月の期間でゲル化(プリン化)する場合があり、その問題の解決も望まれている。
【0014】
更に、透明導電膜形成用塗布液の低コスト化という観点からは、上記透明導電膜形成用塗布液をより簡便で短時間に作製できることが要望されている。
【0015】
しかしながら、特許文献9や特許文献10では、アセチルアセトンインジウムやヒドロキシプロピルセルロース等の成分を有機溶剤に溶解させた溶液を60?200℃で0.5?12hr加熱攪拌する製造方法が提案されているが、その製造条件は広範囲であり、その実施例においては160℃で1hrの加熱(特許文献9)や、130℃で1.5hrの加熱(特許文献10)という製造条件が示されているのみで、その製造条件は限定的であるために、透明導電膜形成用塗布液の品質の安定化、及び低コスト化という観点からも、より適正化された製造方法が望まれている状況であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【特許文献1】特開昭57-138708号公報
【特許文献2】特開昭61-26679号公報
【特許文献3】特開平4-255768号公報
【特許文献4】特開昭57-36714号公報
【特許文献5】特開昭57-212268号公報
【特許文献6】特公昭63-25448号公報
【特許文献7】特公平2-20706号公報
【特許文献8】特公昭63-19046号公報
【特許文献9】特開平6-203658号公報
【特許文献10】WO2010/064719 A1の明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
本発明の目的は、透明性と高い導電性を兼ね備えた透明導電膜をスピンコート法やディップコート法等の塗布法により形成できる透明導電膜形成用塗布液を、その品質を安定させ、かつ低コストで簡便に作製できる透明導電膜形成用塗布液の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0018】
上記の目的を達成するために、発明者らは、有機インジウム化合物としてのアセチルアセトンインジウム、ドーパント用有機金属化合物、有機粘性剤としてのセルロース誘導体(ヒドロキシプロピルセルロース等)、高沸点有機溶剤(沸点:180℃以上)としてのアルキルフェノール、及び二塩基酸エステルを含有する透明導電膜形成用塗布液の製造方法について鋭意研究を重ねた結果、上記アセチルアセトンインジウム、ドーパント用有機金属化合物、セルロース誘導体を、アルキルフェノール、及び二塩基酸エステルを少なくとも含有する高沸点有機溶剤(沸点:180℃以上)中で攪拌しながら加熱溶解・反応させて高濃度溶解液を得る加熱溶解工程において、その加熱溶解・反応条件としての加熱温度及び加熱時間を特定範囲内に設定することにより、スピンコート法やディップコート法等の塗布法で透明性と高い導電性を兼ね備えた透明導電膜を形成できる透明導電膜形成用塗布液を、その品質を安定させ、かつ低コストで簡便に製造することができることを見出し、本発明を完成したものである。
【0019】
すなわち、上記の目的を達成するための本発明の第1の発明は、有機インジウム化合物、ドーパント用有機金属化合物、有機粘性剤、を高沸点有機溶剤中(沸点:180℃以上)で攪拌しながら加熱溶解・反応させて高濃度溶解液を得る加熱溶解工程、前記加熱溶解工程で得られた高濃度溶解液を中沸点有機溶剤(沸点:100℃以上180℃未満)、低沸点有機溶剤(沸点:50℃以上100℃未満)のいずれか一つ以上で希釈する希釈工程の各工程からなる透明導電膜形成用塗布液の製造方法であって、その高濃度溶解液の有機インジウム化合物とドーパント用有機金属化合物との合計含有量が20?60重量%、有機粘性剤の含有量が有機インジウム化合物とドーパント用有機金属化合物との合計含有量(重量)の1/20?1/3、有機インジウム化合物がアセチルアセトンインジウム、有機粘性剤がセルロース誘導体で、高沸点有機溶剤(沸点:180℃以上)がアルキルフェノール、及び二塩基酸エステルを少なくとも含有する高沸点有機溶剤(沸点:180℃以上)で、中沸点有機溶剤(沸点:100℃以上180℃未満)、低沸点有機溶剤(沸点:50℃以上100℃未満)のいずれか一つ以上の有機溶剤がケトン系有機溶剤で、そして加熱溶解工程の加熱溶解・反応条件が、加熱温度(T:℃)が130≦T≦180℃の範囲内で、かつ、加熱時間(L:hr)が、-0.7T+104<L<-1.1T+168(130≦T<140℃)、-0.3T+48<L<-0.6T+98(140≦T<150℃)、-0.15T+25.5<L<-0.4T+68(150≦T<160℃)、-0.1T+17.5<L<-0.2T+36(160≦T<170℃)、-0.025T+4.75<L<-0.1T+19(170≦T≦180℃)の範囲内であることを特徴とするものである。
【0020】
本発明の第2の発明は、有機インジウム化合物、ドーパント用有機金属化合物、有機粘性剤、を高沸点有機溶剤中(沸点:180℃以上)で攪拌しながら加熱溶解・反応させて高濃度溶解液を得る加熱溶解工程、前記加熱溶解工程で得られた高濃度溶解液を中沸点有機溶剤(沸点:100℃以上180℃未満)、低沸点有機溶剤(沸点:50℃以上100℃未満)のいずれか一つ以上で希釈する希釈工程の各工程からなる透明導電膜形成用塗布液の製造方法であって、その高濃度溶解液の有機インジウム化合物とドーパント用有機金属化合物との合計含有量が20?60重量%、有機粘性剤の含有量が有機インジウム化合物とドーパント用有機金属化合物との合計含有量(重量)の1/20?1/3、有機インジウム化合物がアセチルアセトンインジウムで、有機粘性剤がセルロース誘導体で、高沸点有機溶剤(沸点:180℃以上)がアルキルフェノール、及び二塩基酸エステルを少なくとも含有する高沸点有機溶剤(沸点:180℃以上)で、中沸点有機溶剤(沸点:100℃以上180℃未満)、低沸点有機溶剤(沸点:50℃以上100℃未満)のいずれか一つ以上の有機溶剤がケトン系有機溶剤であって、加熱溶解工程の加熱溶解・反応条件の加熱温度(T:℃)が130≦T≦180℃の範囲内で、加熱時間(L:hr)が下記式(1)を満足し、かつ、透明導電膜形成用塗布液を室温に3ヶ月放置した場合の粘度変化が初期粘度の0.5?1.5倍以内(±50%以内)となるように調節されていることを特徴とする透明導電膜形成用塗布液の製造方法である。
【0021】
【数1】

【0022】
本発明の第3の発明は、第1及び第2の発明における有機インジウム化合物とドーパント用有機金属化合物の含有割合が、有機インジウム化合物/ドーパント用有機金属化合物モル比=99/1?87/13であることを特徴とする透明導電膜形成用塗布液の製造方法である。
【0023】
本発明の第4の発明は、第1?第3の発明における透明導電膜形成用塗布液の有機インジウム化合物とドーパント用有機金属化合物の合計含有量が、5?15重量%であることを特徴とする透明導電膜形成用塗布液の製造方法である。
【0024】
本発明の第5の発明は、第1?第4の発明におけるドーパント用有機金属化合物が、アセチルアセトン錫であることを特徴とする透明導電膜形成用塗布液の製造方法である。
【0025】
本発明の第6の発明は、第1?第5の発明におけるセルロース誘導体が、ヒドロキシプロピルセルロースであることを特徴とする透明導電膜形成用塗布液の製造方法である。
【0026】
本発明の第7の発明は、第1?第6の発明におけるアルキルフェノールが、パラターシャリーブチルフェノール(沸点237℃)であることを特徴とする透明導電膜形成用塗布液の製造方法である。
【0027】
本発明の第8の発明は、第1?第7の発明における二塩基酸エステルが、マロン酸ジメチル(沸点:181?183℃)、コハク酸ジメチル(沸点:196℃)、グルタル酸ジメチル(沸点:210?215℃)、アジピン酸ジメチル(沸点:215?225℃)のいずれか一つ以上であることを特徴とする透明導電膜形成用塗布液の製造方法である。
【0028】
本発明の第9の発明は、第1?第8の発明におけるケトン系有機溶剤が、シクロヘキサノン(沸点:155.7℃)、メチルエチルケトン(沸点:79.6℃)のいずれか一つ以上であることを特徴とする透明導電膜形成用塗布液の製造方法である。
【発明の効果】
【0029】
本発明の透明導電膜形成用塗布液の製造方法によれば、ガラスやセラミックなどの耐熱基板上に、塗布法、特にスピンコート法、ディップコート法を用いて、透明性と高い導電性を兼ね備えた透明導電膜を形成できる透明導電膜形成用塗布液を、その品質を安定させ、かつ低コストで簡便に作製できる。
【0030】
さらに本発明の透明導電膜形成用塗布液の製造方法で得られる透明導電膜形成用塗布液を用い、スピンコート法やディップコート法等の塗布法により基板上に形成された透明導電膜は、透明性と高い導電性を兼ね備え、かつ低コストのため、各種ディスプレイにおける表示素子透明電極、タッチパネル、太陽電池、フィールドエミッションランプ等の透明電極への利用が期待できる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明に係る透明導電膜形成用塗布液の製造方法における加熱溶解工程の加熱溶解・反応条件(加熱温度(T:℃)、及び加熱時間(L:hr))と透明導電膜形成用塗布液の良否の関係を示す図である。
【図2】本発明に係る透明導電膜形成用塗布液の製造方法における加熱溶解工程の加熱溶解・反応条件(加熱温度(T:℃)、及び加熱時間(L:hr))において、良好な透明導電膜形成用塗布液が得られる範囲の加熱温度(T:℃)と基準となる加熱時間[基準加熱時間](L:hr)の関係を示す図である。
【図3】実施例1と比較例1に係る透明導電膜形成用塗布液を用いて透明導電膜が形成されたガラス基板に強力な可視光線(擬似太陽光)を照射した際の透明導電膜の外観(可視光線の散乱具合)を示す図である。
【図4】室温に3ヶ月放置された実施例3と比較例2に係る透明導電膜形成用塗布液の室温での外観(流動性)を示す図である。
【図5】実施例8と比較例5に係る透明導電膜形成用塗布液を用いて透明導電膜が形成されたガラス基板に強力な可視光線(擬似太陽光)を照射した際の透明導電膜の外観(可視光線の散乱具合)を示す図である。
【図6】実施例8と比較例5に係る透明導電膜形成用塗布液を用いて透明導電膜が形成されたガラス基板の可視光線領域(波長380?780nm)における拡散光線透過率プロファイルを示す図である。
【図7】室温に3ヶ月放置された実施例8と比較例6に係る透明導電膜形成用塗布液の室温での外観(流動性)を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
本発明では、有機インジウム化合物、ドーパント用有機金属化合物、有機粘性剤、を高沸点有機溶剤中(沸点:180℃以上)で攪拌しながら加熱溶解・反応させて高濃度溶解液を得る加熱溶解工程、その加熱溶解工程で得られた高濃度溶解液を中沸点有機溶剤(沸点:100℃以上180℃未満)、低沸点有機溶剤(沸点:50℃以上100℃未満)のいずれか一つ以上で希釈する希釈工程によって透明導電膜形成用塗布液を製造しており、加熱溶解工程での加熱温度と加熱時間を特定範囲内に設定することで、高品質の透明導電膜形成用塗布液の低コストかつ簡便な製造方法を可能としている。
【0033】
まず、有機インジウム化合物としては、アセチルアセトンインジウム(正式名称:トリス(アセチルアセトナト)インジウム)[In(C_(5)H_(7)O_(2))_(3)](以下AcAcInと記す場合がある)を用いる。アセチルアセトンインジウムは、有機溶剤への溶解性が高く、200?250℃程度の温度での大気中で、熱分解・燃焼(酸化)して酸化物となるため好ましい。
【0034】
次に、ドーパント用有機金属化合物としては、有機錫化合物、有機チタン化合物、有機ゲルマニウム化合物、有機亜鉛化合物、有機タングステン化合物、有機ジルコニウム化合物、有機タンタル化合物、有機ニオブ化合物、有機ハフニウム化合物、有機バナジウム化合物のいずれか1種以上が好ましく、中でも有機錫化合物がより好ましい。
【0035】
ドーパント用有機金属化合物の有機錫化合物(化合物中の錫の価数は2価、4価にこだわらない)としては、例えば、アセチルアセトン錫(正式名称:ジ-n-ブチル ビス(2,4-ペンタンジオナト)錫)[Sn(C_(4)H_(9))_(2)(C_(5)H_(7)O_(2))_(2)](以下AcAcSnと記す場合がある)、オクチル酸錫、2-エチルヘキサン酸錫、酢酸錫(II)[Sn(CH_(3)COO)_(2)]、酢酸錫(IV)[Sn(CH_(3)COO)_(4)]、ジ-n-ブチル錫ジアセテート[Sn(C_(4)H_(9))_(2)(CH_(3)COO)_(2)]、蟻酸錫、錫アルコキシドとしての錫-tert-ブトキシド[Sn(C_(4)H_(9)O)_(4)]等が挙げられるが、基本的には、溶剤に溶解し、透明導電膜形成用塗布液の塗布・乾燥・焼成による透明導電膜の形成工程において塩素ガスや窒素酸化物ガスなどの有害ガスが発生せずに酸化物に分解する有機錫化合物であれば良い。これらの中でも、アセチルアセトン錫は、比較的安価で入手し易いので好ましい。
【0036】
ドーパント用有機金属化合物の有機チタン化合物としては、例えば、チタンアセチルアセトン錯体としてのアセチルアセトンチタン(正式名称:チタンジ-n-ブトキシド ビス(2,4-ペンタンジオネート)[Ti(C_(4)H_(9)O)_(2)(C_(5)H_(7)O_(2))_(2)])、チタニル(IV)アセチルアセトネート[(C_(5)H_(7)O_(2))4TiO]、チタンジイソプロポキシド ビス(2,4-ペンタンジオネート)[C_(16)H_(36)O_(4)Ti]等や、チタンアルコキシドとしてのチタンテトラエトキシド[Ti(C_(2)H_(5)O)_(4)]、チタン(IV)-tert-ブトキシド[Ti(C_(4)H_(9)O)_(4)]、チタンテトラ-n-ブトキシド[Ti(C_(4)H_(9)O)_(4)]、チタンテトライソプロポキシド[Ti(C_(3)H_(7)O)_(4)]等が挙げられるが、基本的には、溶剤に溶解し、透明導電膜形成用塗布液の塗布・乾燥・焼成による透明導電膜の形成工程において塩素ガスや窒素酸化物ガスなどの有害ガスが発生せずに酸化物に分解する有機チタン化合物であれば良い。これらの中でも、アセチルアセトンチタン、チタンテトラ-n-ブトキシド、チタンテトライソプロポシドは、安価で入手し易いので好ましい。
【0037】
ドーパント用有機金属化合物の有機ゲルマニウム化合物としては、例えば、ゲルマニウムアルコキシドとしてのゲルマニウムテトラエトキシド[Ge(C_(2)H_(5)O)_(4)]、ゲルマニウムテトラ-n-ブトキシド[Ge(C_(4)H_(9)O)_(4)]、ゲルマニウムテトライソプロポキシド[Ge(C_(3)H_(7)O)_(4)]等や、β-カルボキシエチルゲルマニウムオキシド[(GeCH_(2)CH_(2)COOH)_(2)O_(3)]、テトラエチルゲルマニウム[Ge(C_(2)H_(5))_(4)]、テトラブチルゲルマニウム[Ge(C_(4)H_(9))_(4)]、トリブチルゲルマニウム[Ge(C_(4)H_(9))_(3)]等が挙げられるが、基本的には、溶剤に溶解し、透明導電膜形成用塗布液の塗布・乾燥・焼成による透明導電膜の形成工程において塩素ガスや窒素酸化物ガスなどの有害ガスが発生せずに酸化物に分解する有機ゲルマニウム化合物であれば良い。
これらの中でも、ゲルマニウムテトラエトキシド、ゲルマニウムテトラ-n-ブトキシド、ゲルマニウムテトライソプロポキシドは、比較的安価で入手し易いので好ましい。
【0038】
ドーパント用有機金属化合物の有機亜鉛化合物としては、例えば、亜鉛アセチルアセトン錯体としてのアセチルアセトン亜鉛(正式名称:亜鉛-2,4-ペンタンジオネート)[Zn(C_(5)H_(7)O_(2))_(2)]、亜鉛-2,2,6,6-テトラメチル-3,5-ヘプタンジオネート[Zn(C_(11)H_(19)O_(2))_(2)]等が挙げられるが、基本的には、溶剤に溶解し、透明導電膜形成用塗布液の塗布・乾燥・焼成による透明導電膜の形成工程において塩素ガスや窒素酸化物ガスなどの有害ガスが発生せずに酸化物に分解する有機亜鉛化合物であれば良い。これらの中でも、アセチルアセトン亜鉛は、安価で入手し易いので好ましい。
【0039】
ドーパント用有機金属化合物の有機タングステン化合物としては、例えば、タングステンアルコキシドとしてのタングステン(V)エトキシド[W(C_(2)H_(5)O)_(5)]、タングステン(VI)エトキシド[W(C_(2)H_(5)O)_(6)]等が挙げられるが、基本的には、溶剤に溶解し、透明導電膜形成用塗布液の塗布・乾燥・焼成による透明導電膜の形成工程において塩素ガスや窒素酸化物ガスなどの有害ガスが発生せずに酸化物に分解する有機タングステン化合物であれば良い。
【0040】
ドーパント用有機金属化合物の有機ジルコニウム化合物としては、例えば、ジルコニウムアセチルアセトン錯体としてのジルコニウム ジ-n-ブトキシド ビス(2,4-ペンタンジオネート)[Zr(C_(4)H_(9)O)_(2)(C_(5)H_(7)O_(2))_(2)]、アセチルアセトンジルコニウム(正式名称:ジルコニウム-2,4-ペンタンジオネート)[Zr(C_(5)H_(7)O_(2))_(4)]、ジルコニウムアルコキシドとしてのジルコニウムエトキシド[Zr(C_(2)H_(5)O)_(4)]、ジルコニウム-n-プロポキシド[Zr(C_(3)H_(7)O)_(4)]、ジルコニウムイソプロポキシド[Zr(C_(3)H_(7)O)_(4)]、ジルコニウム-n-ブトキシド[Zr(C_(4)H_(9)O)_(4)]、ジルコニウム-tert-ブトキシド[Zr(C_(4)H_(9)O)_(4)]、ジルコニウム-2-メチル-2-ブトキシド[Zr(C_(5)H_(11)O)_(4)]、ジルコニウム-2-メトキシメチル-2-プロポキシド[Zr(C_(5)H_(11)O_(2))_(4)]等が挙げられるが、基本的には、溶剤に溶解し、透明導電膜形成用塗布液の塗布・乾燥・焼成による透明導電膜の形成工程において塩素ガスや窒素酸化物ガスなどの有害ガスが発生せずに酸化物に分解する有機ジルコニウム化合物であれば良い。
これらの中でも、ジルコニウム-n-プロポキシド、ジルコニウム-n-ブトキシドは、比較的安価で入手し易いので好ましい。
【0041】
ドーパント用有機金属化合物の有機タンタル化合物としては、例えば、タンタルアセチルアセトン錯体としてのタンタル(V)テトラエトキシド-ペンタンジオネート[Ta(C_(5)H_(7)O_(2))(OC_(2)H_(5))_(4)]、タンタルアルコキシドとしてのタンタルメトキシド[Ta(CH_(3)O)_(5)]、タンタルエトキシド[Ta(C_(2)H_(5)O)_(5)]、タンタルイソプロポキシド[Ta(C_(3)H_(7)O)_(5)]、タンタル-n-ブトキシド[Ta(C_(4)H_(9)O)_(5)]、テトラエトキシアセチルアセトナトタンタル[Ta(C_(2)H_(5)O)_(4)(C_(5)H_(7)O_(2))]等が挙げられるが、基本的には、溶剤に溶解し、透明導電膜形成用塗布液の塗布・乾燥・焼成による透明導電膜の形成工程において塩素ガスや窒素酸化物ガスなどの有害ガスが発生せずに酸化物に分解する有機タンタル化合物であれば良い。
【0042】
ドーパント用有機金属化合物の有機ニオブ化合物としては、例えば、ニオブアルコキシドとしてのニオブエトキシド[Nb(C_(2)H_(5)O)_(5)]、ニオブ-n-ブトキシド[Nb(C_(4)H_(9)O)_(5)]等が挙げられるが、基本的には、溶剤に溶解し、透明導電膜形成用塗布液の塗布・乾燥・焼成による透明導電膜の形成工程において塩素ガスや窒素酸化物ガスなどの有害ガスが発生せずに酸化物に分解する有機ニオブ化合物であれば良い。
【0043】
ドーパント用有機金属化合物の有機ハフニウム化合物としては、例えば、ハフニウムアセチルアセトン錯体としてのハフニウム ジ-n-ブトキシド ビス(2,4-ペンタンジオネート)[Hf(C_(4)H_(9)O)_(2)(C_(5)H_(7)O_(2))_(2)]、アセチルアセトンハフニウム(正式名称:ハフニウム-2,4-ペンタンジオネート)[Hf(C_(5)H_(7)O_(2))_(4)]、ハフニウムアルコキシドとしてのハフニウムエトキシド[Hf(C_(2)H_(5)O)_(4)]、ハフニウム-n-ブトキシド[Hf(C_(4)H_(9)O)_(4)]、ハフニウム-tert-ブトキシド[Hf(C_(4)H_(9)O)_(4)]、ハフニウム(VI)イソプロポキシドモノイソプロピレート[Hf(C_(3)H_(7)O)_(4)(C_(3)H_(7)OH)]等が挙げられるが、基本的には、溶剤に溶解し、透明導電膜形成用塗布液の塗布・乾燥・焼成による透明導電膜の形成工程において塩素ガスや窒素酸化物ガスなどの有害ガスが発生せずに酸化物に分解する有機ハフニウム化合物であれば良い。
これらの中でも、ハフニウム-n-ブトキシドは、比較的安価で入手し易いので好ましい。
【0044】
ドーパント用有機金属化合物の有機バナジウム化合物としては、例えば、バナジウムアセチルアセトン錯体としてのバナジウム(IV)オキサイドビス-2,4-ペンタンジオネート[VO(C_(5)H_(7)O_(2))_(2)]、アセチルアセトンバナジウム(正式名称:バナジウム(III)-2,4-ペンタンジオネート)[V(C_(5)H_(7)O_(2))_(3)]等が挙げられるが、基本的には、溶剤に溶解し、透明導電膜形成用塗布液の塗布・乾燥・焼成による透明導電膜の形成工程において塩素ガスや窒素酸化物ガスなどの有害ガスが発生せずに酸化物に分解する有機バナジウム化合物であれば良い。
【0045】
ここで、上記各種ドーパント用有機金属化合物の役割は、最終的に得られる酸化インジウムを主成分とする導電性酸化物からなる透明導電膜において、酸化インジウム中に金属酸化物としてドープされることにより導電性酸化物中のキャリア濃度を増大させてその導電性を向上させる働きにある(例えば、ドーパント用有機錫化合物を用いた場合は、ITOからなる透明導電膜が得られる。)。
【0046】
有機インジウム化合物(アセチルアセトンインジウム)とドーパント用有機金属化合物は、基板上に透明導電膜を形成させるための主たる化合物原料であり、その透明導電膜形成用塗布液中の合計含有量は5?15重量%の範囲であることが好ましく、更に好ましくは8?12重量%とするのが良い。
含有量が5重量%未満であると得られる透明導電膜の膜厚が薄くなり十分な導電性が得られず、15重量%より多いと透明導電膜形成用塗布液からアセチルアセトンインジウムが析出しやすくなり(特に、低温での保管時)、実用的でない。
【0047】
また、有機インジウム化合物(アセチルアセトンインジウム)とドーパント用有機金属化合物の含有割合は、有機インジウム化合物/ドーパント用有機金属化合物モル比=99/1?87/13が好ましい。
このモル比範囲を外れてドーパント用有機金属化合物が少なくても、あるいは、多すぎても、透明導電膜のキャリア密度が減少して透明導電膜の導電性が急激に悪化する場合があるため、好ましくない。
【0048】
有機粘性剤としては、基板に対する濡れ性が改善されると同時に塗布液の粘度調整を行うことができ、かつ焼成時の温度(焼成温度)以下で分解・燃焼して透明導電膜中に残存しない材料が望ましい。
このような材料としてセルロース誘導体が有効であり、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)等が挙げられるが、中でもヒドロキシプロピルセルロース(HPC)が好ましい。
HPC等の有機粘性剤の透明導電膜形成用塗布液への配合量は、有機インジウム化合物とドーパント用有機金属化合物との合計含有量(重量)の1/20?1/3が良く、この範囲内であれば、ガラス等の基板に対して十分な濡れ性が得られると同時に、大幅な粘度調整を行うことができるため好ましい。
【0049】
ここで、HPC等のセルロース誘導体の多くは、その燃焼開始温度は300℃程度であり、従って塗布、乾燥後の基板を、例えば400℃以上の温度で空気中で焼成すればHPC等のセルロース誘導体は分解・燃焼するので、生成するITO等の導電性酸化物粒子の粒成長を阻害せず、良好な導電性を持った膜を形成することができる。
なお、HPC等のセルロース誘導体の配合量が上記1/3より多くなると、塗布液中にゲル状のセルロース誘導体が残留し易くなり、多孔質の透明導電膜を形成するため導電性が損なわれるため好ましくない。
【0050】
例えば、セルロース誘導体としてHPCを用いる場合、その分子量(MW:Molecular Weight)に応じて低粘度グレード(MW=40000程度)から高粘度グレード(MW=900000程度)まで数種類のグレードがあるため、透明導電膜形成用塗布液の用途や塗布方法に応じ、上記配合量範囲内(有機インジウム化合物とドーパント用有機金属化合物との合計含有量(重量)の1/20?1/3)で、適宜選定することができる。
【0051】
高濃度溶解液を得る加熱溶解工程において用いる高沸点有機溶剤(沸点:180℃以上)としては、アセチルアセトンインジウム、アセチルアセトン錫等のドーパント用有機金属化合物、セルロース誘導体(特にHPC)を良く溶解するアルキルフェノールと二塩基酸エステルの混合溶剤が好ましい。
アルキルフェノールとしては、クレゾール類、パラターシャリーブチルフェノール(沸点:237℃)、オクチルフェノール、ノニルフェノール等が挙げられるが、パラターシャリーブチルフェノールが好ましい。
また、二塩基酸エステルとしては、コハク酸エステル、グルタル酸エステル、アジピン酸エステル等が挙げられ、例えば、マロン酸ジメチル(沸点:181?183℃)、コハク酸ジメチル(沸点:196℃)、グルタル酸ジメチル(沸点:210?215℃)、アジピン酸ジメチル(沸点:215?225℃)が好ましい。
【0052】
希釈工程において、高濃度溶解液を希釈する中沸点有機溶剤(沸点:100℃以上180℃未満)、及び低沸点有機溶剤(沸点:50℃以上100℃未満)としては、ケトン系有機溶剤が好ましく、例えば、アセトン(沸点:56.1℃)、メチルエチルケトン(MEK)(沸点:79.6℃)、メチルプロピルケトン(沸点:102.3℃)、メチルイソブチルケトン(MIBK)(沸点:115.9℃)、アセチルアセトン(沸点:140.4℃)、シクロヘキサノン(沸点:155.7℃)等が挙げられるが、中沸点有機溶剤ではシクロヘキサノン、低沸点有機溶剤ではメチルエチルケトンが好ましい。
中沸点有機溶剤として、上記シクロヘキサノンに加えて、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGM)(沸点:120℃)を少量配合すると、透明導電膜形成用塗布液の塗布性を向上できるため好ましい。
【0053】
上記各種有機溶剤(高沸点有機溶剤、中沸点有機溶剤、低沸点有機溶剤)以外の有機溶剤も、加熱溶解工程や希釈工程でアセチルアセトンインジウム、ドーパント用有機金属化合物、セルロース誘導体の溶解性や相溶性等を著しく損なわなければ、透明導電膜形成用塗布液の粘度、塗布性、乾燥速度等を調整する目的で、高濃度溶解液や透明導電膜形成用塗布液に少量配合してもよい。
そのような有機溶剤としては、メタノール(MA)、エタノール(EA)、1-プロパノール(NPA)、イソプロパノール(IPA)、ブタノール、ペンタノール、ベンジルアルコール、ジアセトンアルコール(DAA)等のアルコール系溶媒、イソホロン等のケトン系溶媒、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、ギ酸アミル、酢酸イソアミル、プロピオン酸ブチル、酪酸イソプロピル、酪酸エチル、酪酸ブチル、乳酸メチル、乳酸エチル、オキシ酢酸メチル、オキシ酢酸エチル、オキシ酢酸ブチル、メトキシ酢酸メチル、メトキシ酢酸エチル、メトキシ酢酸ブチル、エトキシ酢酸メチル、エトキシ酢酸エチル、3-オキシプロピオン酸メチル、3-オキシプロピオン酸エチル、3-メトキシプロピオン酸メチル、3-メトキシプロピオン酸エチル、3-エトキシプロピオン酸メチル、3-エトキシプロピオン酸エチル、2-オキシプロピオン酸メチル、2-オキシプロピオン酸エチル、2-オキシプロピオン酸プロピル、2-メトキシプロピオン酸メチル、2-メトキシプロピオン酸エチル、2-メトキシプロピオン酸プロピル、2-エトキシプロピオン酸メチル、2-エトキシプロピオン酸エチル、2-オキシ-2-メチルプロピオン酸メチル、2-オキシ-2-メチルプロピオン酸エチル、2-メトキシ-2-メチルプロピオン酸メチル、2-エトキシ-2-メチルプロピオン酸エチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、ピルビン酸プロピル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、2-オキソブタン酸メチル、2-オキソブタン酸エチル等のエステル系溶媒、エチレングリコールモノメチルエーテル(MCS)、エチレングリコールモノエチルエーテル(ECS)、エチレングリコールイソプロピルエーテル(IPC)、エチレングリコールモノブチルエーテル(BCS)、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールエチルエーテル(PE)、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート(PGM-AC)、プロピレングリコールエチルエーテルアセテート(PE-AC)、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル等のグリコール誘導体、トルエン、キシレン、メシチレン、ドデシルベンゼン等のベンゼン誘導体、ホルムアミド(FA)、N-メチルホルムアミド、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルフォキシド(DMSO)、N-メチル-2-ピロリドン(NMP)、γ-ブチロラクトン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1、3-ブチレングリコール、ペンタメチレングリコール、1、3-オクチレングリコール、テトラヒドロフラン(THF)、クロロホルム、ミネラルスピリッツ、ターピネオール等、及びこれらのいくつかの混合液が挙げられる。
【0054】
本発明の、有機インジウム化合物(アセチルアセトンインジウム)、ドーパント用有機金属化合物、有機粘性剤、をアルキルフェノールと二塩基酸エステルを含有する高沸点有機溶剤中で攪拌しながら加熱溶解・反応させて高濃度溶解液を得る加熱溶解工程では、加熱の進行に伴い、アセチルアセトンインジウム、セルロース誘導体と上記高沸点有機溶剤とが徐々に反応し、液の色は薄い黄色から濃褐色へと変化し、液の粘度も少しずつ上昇していく。
この反応の度合いが小さすぎると(つまり、加熱温度(T:℃)が低く、加熱時間(L:hr)が短い)、得られる透明導電膜は、緻密化しにくく、比較的粗大なボイド(空隙)が生じて、膜のヘイズが大きくなる傾向(特にブルーヘイズが大きくなる傾向)がある。一方で、反応の度合いが大きすぎると(つまり、加熱温度(T:℃)が高く、加熱時間(L:hr)が長い)、得られる透明導電膜形成用塗布液は、その粘度が高くなり、かつ粘度の経時増加が生じて安定性が悪化し、最終的にゲル化(プリン化)する傾向がある。
【0055】
ここで、加熱溶解工程の反応条件の違いにより、上記ブルーヘイズやゲル化(プリン化)が発生するメカニズムは必ずしも明らかではないが、例えば、次の様な要因が考えられる。
加熱溶解工程の加熱により、透明導電膜形成用塗布液中の主成分である有機インジウム化合物(アセチルアセトンインジウム)に対し、そのインジウム(In)部位への二塩基酸エステル(グルタル酸ジメチル等)のエステルカルボニル基(-C(=O)-O-)の配位、あるいは、そのアセチルアセトン配位子部位に対するアルキルフェノール(パラターシャリーブチルフェノール等)やセルロース誘導体(ヒドロキシプロピルセルロース等)の水酸基(-OH)の相互作用等が生じ、これらによる透明導電膜形成用塗布液成分のミクロレベルの構造変化の違いが、上記ブルーヘイズやゲル化(プリン化)を引き起こすというものである。実際に、透明導電膜形成用塗布液の各構成成分について、核磁気共鳴分光分析(NMR)の水素核観測(^(1)H-NMR)と炭素核観測(^(13)C-NMR)を行ったところ、塗布液中と成分単独の場合で、得られるスペクトルに化学シフトが観察され、上記ミクロレベルの構造変化は確認できたが、詳細な構造変化を解明するには至っていない。
【0056】
したがって、上記反応の度合いを適切にし、高品質の透明導電膜形成用塗布液を得るには、その加熱溶解工程での高濃度溶解液の加熱温度と加熱時間を特定範囲内に設定する必要がある。
具体的には、加熱温度(T:℃)が130≦T≦180の範囲内で、かつ、加熱時間(L:hr)が、-0.7T+104<L<-1.1T+168(130≦T<140)、-0.3T+48<L<-0.6T+98(140≦T<150)、-0.15T+25.5<L<-0.4T+68(150≦T<160)、-0.1T+17.5<L<-0.2T+36(160≦T<170)、-0.025T+4.75<L<-0.1T+19(170≦T≦180)の範囲内である。
【0057】
この範囲は、図1に示した加熱溶解工程の加熱溶解・反応条件(加熱温度(T:℃)、及び加熱時間(L:hr))と透明導電膜形成用塗布液の良否の関係における、上下2本の破線で示す折れ線で挟まれた範囲を示している。
すなわち、図1の上側の破線を境にした加熱時間の長時間側では透明導電膜形成用塗布液の「ゲル化(プリン化)」が発生し易く、また、図1の下側の破線を境にした加熱時間の短時間側(上記(1)式で示される領域よりも加熱時間が短い領域)では透明導電膜の「ブルーヘイズ」が発生し易い。「ブルーヘイズ」防止の観点からすると、加熱溶解工程の実施に際しては、上記(1)式を満足する温度及び時間条件で処理することが望ましい。
なお、加熱温度範囲は130℃から180℃の範囲で、図1における上下2本の折れ線(破線)の線上の加熱時間は含まれない。
【0058】
加熱温度(T:℃)が130℃未満では、高品質の透明導電膜形成用塗布液を得るための適正な加熱時間(L:hr)が非常に長くなって(例えば120℃であれば24時間程度以上)製造効率が著しく低下し、逆に、180℃を超えると、適切な加熱時間の範囲が狭くなりすぎて、高濃度溶解液の液内温度分布や加熱温度制御のバラツキを考慮すると、その適切な範囲内にコントロールすることが困難になる。
そこで、加熱時間等の製造効率や加熱温度制御等の製造難易度を考慮すると、上記加熱温度(T:℃)は、150?170℃、特に、155?165℃が好ましい。
【0059】
尚、加熱溶解工程で複数の異なる加熱温度を組み合わせて用いる場合(例えば、加熱温度160℃と加熱温度140℃の組み合わせ)においても、高品質の透明導電膜形成用塗布液を得るには、加熱温度と加熱時間を特定範囲内に設定する必要がある。
この場合、図1に示した破線で示す上下2本の折れ線の中間を結んだ実線の中心線(図2)に基づいて、下記式(2)に示される換算加熱時間により特定範囲を設定できる。
【0060】
ここで、上記中心線は、良好な透明導電膜形成用塗布液が得られる範囲における加熱温度(T:℃)と基準となる加熱時間[基準加熱時間](L:hr)の関係を示すものである。
具体的には、加熱温度(T:℃)と加熱時間(L:hr)を用い、L=-0.9T+136(130≦T<140)、L=-0.45T+73(140≦T<150)、L=-0.275T+46.75(150≦T<160)、L=-0.15T+26.75(160≦T<170)、L=-0.0625T+11.88(170≦T≦180)で示される。
【0061】
【数2】

【0062】
例えば、加熱溶解工程で、加熱温度160℃で加熱時間1時間、加熱温度140℃で加熱時間5時間を組み合わせた場合を考えると、加熱温度140℃で加熱時間5時間の処理は加熱温度160℃の加熱時間1.38時間に相当し、それを加熱処理160℃での実際の加熱時間(1時間)に加算すると、160℃換算加熱時間は2.38時間と算出される。
この160℃換算加熱時間2.38時間は、図1に示される特定範囲に該当するため、良質な透明導電膜形成用塗布液を得られることが期待できる。
【0063】
さらに、上記加熱溶解工程を経て作製された透明導電膜形成用塗布液は、室温状態で放置されても、ほぼ作製当時の粘度を保つ性質を備え、「室温に3か月放置した時の粘度」を作製後の粘度経時増加の尺度として見た場合、その粘度変化は、初期粘度(作製当時の粘度)の0.5?1.5倍以内(粘度変化は±50%以内)であり、本発明で得られる透明導電膜形成用塗布液は、作製後の安定性・保管性に優れ、スピンコート法やディップコート法等の汎用の塗布方法を用いて、ガラス等の耐熱基板上に、塗布・乾燥・焼成することで、透明導電膜を容易に形成することができる。
なお、保管時の粘度が初期粘度の1.5倍を超えると、著しく流動性が低下して汎用の塗布方法を用いて平滑な透明導電膜を形成することが難しくなり、膜特性の低下を招き、また、最終的に透明導電膜形成用塗布液のゲル化(プリン化)を引き起こす傾向があり好ましくない。逆に0.5倍未満、即ち粘度が小さくなり、流動性が増した状態となると、この状態では、塗布方法により平滑な状態で膜の厚みを大きくすることが難しくなり、粘度変化が大きい場合と同様に膜特性の低下を招いてしまう。
【0064】
上記乾燥は、塗布液が塗布された基板を、80?180℃の温度で5?20分間程度保持して行われ、焼成は、乾燥した乾燥塗布膜付基板を大気中で300℃以上、好ましくは400?500℃程度に加熱し、15?60分間保持することで行われる。
必要に応じ、上記大気中での焼成に引き続き、中性雰囲気または還元性雰囲気下での焼成を行って、透明導電膜を弱還元して酸化インジウムを主成分とする導電性酸化物中に酸素空孔(酸素欠損)を形成し、キャリア濃度を増加させて、透明導電膜の導電性を向上させる処理を行うこともできる。
【0065】
上記中性雰囲気には、窒素ガス、アルゴン、ヘリウム等の不活性ガスのいずれか1種以上が挙げられる。
一方、上記還元性雰囲気は、水素ガスまたはその中性雰囲気に水素または有機溶剤蒸気(例えば、メタノール等の有機ガス)の少なくとも1種以上が含まれる雰囲気などが挙げられるが、緻密に充填した酸化インジウムを主成分とする導電性酸化物微粒子から酸素原子を奪い酸素空孔を形成して導電キャリア濃度を高めることができれば良く、これらに限定されない。但し、還元性が強すぎる雰囲気だと酸化インジウムの還元が進みすぎて導電キャリア濃度を高くなり過ぎて可視光線領域に吸収が生じて膜が黒化し、可視光線透過率が低下する場合があるため、好ましくない。
【0066】
上記還元処理工程において、窒素ガスや不活性ガスに水素ガス0.1?7%(体積%)を含有させた雰囲気は、大気に漏洩しても爆発の恐れがなく、好ましい。
特に、窒素ガスや不活性ガスに水素ガス1?3%(体積%)を含有させた雰囲気は、還元処理工程の加熱温度が高い場合(例えば500?600℃程度)に、上記膜の黒化が起こり難いという点でも好ましい雰囲気である。
【0067】
本発明の透明導電膜形成用塗布液の製造方法によれば、高品質の透明導電膜形成用塗布液を、低コストかつ簡便に作製できるため、その透明導電膜形成用塗布液を用いて形成された透明導電膜は、透明性と高い導電性を兼ね備え、かつ低コストのため、各種ディスプレイにおける表示素子透明電極、タッチパネル、太陽電池、フィールドエミッションランプ等の透明電極への利用が期待できる。
以下、実施例を用いて本発明を詳細するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【実施例1】
【0068】
[透明導電膜形成用塗布液の作製]
アセチルアセトンインジウム(正式名称:トリス(アセチルアセトナト)インジウム)[In(C_(5)H_(7)O_(2))_(3)](分子量=412.15)36.4g、アセチルアセトン錫(正式名称:ジ-n-ブチル ビス(2,4-ペンタンジオナト)錫[Sn(C_(4)H_(9))_(2)(C_(5)H_(7)O_(2))_(2)](分子量=431.14)3.6g、p-tert-ブチルフェノール42g、二塩基酸エステル(デュポンジャパン製;コハク酸ジメチル(沸点:196℃)、グルタル酸ジメチル(沸点:210?215℃)、アジピン酸ジメチル(沸点:215?225℃)の混合物)14g、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC;MW=約150000(中粘度グレード))4gを混合し、攪拌しながら160℃で2時間の間加熱溶解・反応させ、高濃度溶解液(アセチルアセトンインジウムとアセチルアセトン錫の合計含有量40重量%)を得た。
【0069】
この高濃度溶解液25gに、希釈溶剤としてのシクロヘキサノン(沸点155.7℃)25g、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGM)(沸点120℃)10g、メチルエチルケトン(MEK)(沸点79.6℃)40gを加え、均一になるまで良く攪拌し、アセチルアセトンインジウムとアセチルアセトン錫を合計で10重量%、ヒドロキシプロピルセルロースを1重量%含有する実施例1に係る透明導電膜形成用塗布液(アセチルアセトンインジウム:アセチルアセトン錫=91.4:8.6[モル比])を作製した。
【0070】
この塗布液の粘度を、ブルックフィールド社製のコーンプレート型粘度計(型式:LVDV-II+Pro)を用いて測定したところ、3.1mPa・s(25℃)であった。なお、透明導電膜形成用塗布液を室温に3ヶ月放置しても、その粘度に著しい変化はなかった。
以下、実施例において塗布液の粘度に「著しい変化がない」とは、室温に3ヶ月放置した場合の粘度変化が、初期粘度の0.5?1.5倍以内(±50%以内)であることを基準に判断している。
【0071】
[透明導電膜の作製]
この透明導電膜形成用塗布液を、無アルカリガラス基板(10cm×10cm×0.7mm厚さ;ヘイズ値=0.26%、可視光線透過率=91.2%、ブルーヘイズ値=0.26%、波長450nmの光線透過率=91.0%)上の全面にスピンコーティング(1000rpm×60sec)した後、熱風乾燥機を用いて100℃で5分間乾燥し、更にホットプレートを用いて露点温度が15?20℃の空気雰囲気(1リッター/分供給)において、500℃まで50分かけて昇温(昇温速度:10℃/分)し、500℃で15分間焼成し、そのまま雰囲気を1%水素-99%窒素(1リッター/分供給)に切替えて500℃で更に15分間焼成してドーパント用の酸化錫(SnO_(2))を含んだ酸化インジウム(In_(2)O_(3))を主成分とする透明導電膜(ITO膜)を作製した。
【0072】
作製した透明導電膜の表面抵抗、ヘイズ値及び可視光透過率、ブルーヘイズ値、膜厚の諸特性を測定し、その結果を表1に示す。
さらに、図3に上記透明導電膜が形成されたガラス基板に強力な可視光線(人工太陽光)(光源:セリック株式会社製XC-100)を照射した際の透明導電膜の外観(可視光線の散乱具合)の様子を示す。図3から明らかなように可視光線の散乱は見られず(特に、ブルーヘイズが見られず)、透明導電膜が低ヘイズで透明性に優れていることが判る。
透明導電膜の表面抵抗は、三菱化学株式会社製の表面抵抗計「ロレスタEP(MCP-T360)」を用い測定した。
ヘイズ値と可視光透過率は、日本電色株式会社製のヘイズメーター「NDH5000」を用い、JIS K7136(ヘイズ値)、JISK7361-1(透過率)に基づいて測定した。
ブルーヘイズ値は、日立製作所株式会社製の分光光度計「U-4000」を用いて測定した基板、及び透明導電膜が形成された基板の拡散光線透過プロファイルから算出した。
膜厚は、オプティカルプロファイラー(Zygo社製「NewView6200」)を用いて測定した。
なお、可視光透過率及びヘイズ値は、透明導電膜だけの値であり、それぞれ下記数3及び数4により求めた。
【0073】
【数3】

【0074】
【数4】

【0075】
さらに、ブルーヘイズ値も、透明導電膜だけの値であり、下記数5により求めた。ここで、拡散光線透過率とは、基板を透過する光線において、直進せずに散乱される光線の割合を示している。
【0076】
【数5】

【実施例2】
【0077】
[透明導電膜の作製]
攪拌しながら160℃で2.5時間の間加熱溶解・反応させ、高濃度溶解液(アセチルアセトンインジウムとアセチルアセトン錫の合計含有量40重量%)を得た以外は実施例1と同様に行い、実施例2に係る透明導電膜形成用塗布液を作製した。なお、この塗布液の粘度は、3.2mPa・s(25℃)であった。尚、透明導電膜形成用塗布液を室温に3ヶ月放置しても、その粘度に著しい変化はなかった。
次に上記透明導電膜形成用塗布液を用いた以外は実施例1と同様に行い、透明導電膜(ITO膜)を作製した。作製した透明導電膜の表面抵抗、ヘイズ値及び可視光透過率、ブルーヘイズ値、膜厚の諸特性を測定し、その結果を表1に示す。
また、実施例1と同様に、上記透明導電膜が形成されたガラス基板に強力な可視光線(人工太陽光)を照射した際にブルーヘイズは観察されなかった。
【実施例3】
【0078】
[透明導電膜の作製]
攪拌しながら160℃で3時間の間加熱溶解・反応させ、高濃度溶解液(アセチルアセトンインジウムとアセチルアセトン錫の合計含有量40重量%)を得た以外は実施例1と同様に行い、実施例3に係る透明導電膜形成用塗布液を作製した。なお、この塗布液の粘度は、3.5mPa・s(25℃)であった。尚、透明導電膜形成用塗布液を室温に3ヶ月放置しても、その粘度に著しい変化はなかった。
次に上記透明導電膜形成用塗布液を用いた以外は、実施例1と同様に行い、透明導電膜(ITO膜)を作製した。作製した透明導電膜の表面抵抗、ヘイズ値及び可視光透過率、ブルーヘイズ値、膜厚の諸特性を測定し、その結果を表1に示す。
また、実施例1と同様に、上記透明導電膜が形成されたガラス基板に強力な可視光線(人工太陽光)を照射した際にブルーヘイズは観察されなかった。
さらに、図4に上記室温に3ヶ月放置した実施例3の透明導電膜形成用塗布液(液状)が入ったガラス容器を室温で45度傾斜させた際の塗布液の外観(流動性)の様子を示す。
塗布液表面は傾斜させても水平を保っており、塗布液が低粘度で良好な流動性を有していることが判る。
【実施例4】
【0079】
[透明導電膜の作製]
攪拌しながら150℃で4時間の間加熱溶解・反応させ、高濃度溶解液(アセチルアセトンインジウムとアセチルアセトン錫の合計含有量40重量%)を得た以外は実施例1と同様に行い、実施例4に係る透明導電膜形成用塗布液を作製した。なお、この塗布液の粘度は、3.1mPa・s(25℃)であった。尚、透明導電膜形成用塗布液を室温に3ヶ月放置しても、その粘度に著しい変化はなかった。
次に上記透明導電膜形成用塗布液を用いた以外は実施例1と同様に行い、透明導電膜(ITO膜)を作製した。作製した透明導電膜の表面抵抗、ヘイズ値及び可視光透過率、ブルーヘイズ値、膜厚の諸特性を測定し、その結果を表1に示す。
また、実施例1と同様に、上記透明導電膜が形成されたガラス基板に強力な可視光線(人工太陽光)を照射した際にブルーヘイズは観察されなかった。
【実施例5】
【0080】
[透明導電膜の作製]
攪拌しながら150℃で5時間の間加熱溶解・反応させ、高濃度溶解液(アセチルアセトンインジウムとアセチルアセトン錫の合計含有量40重量%)を得た以外は実施例1と同様に行い、実施例5に係る透明導電膜形成用塗布液を作製した。なお、この塗布液の粘度は、3.8mPa・s(25℃)であった。尚、透明導電膜形成用塗布液を室温に3ヶ月放置しても、その粘度に著しい変化はなかった。
次に上記透明導電膜形成用塗布液を用いた以外は実施例1と同様に行い、透明導電膜(ITO膜)を作製した。作製した透明導電膜の表面抵抗、ヘイズ値及び可視光透過率、ブルーヘイズ値、膜厚の諸特性を測定し、その結果を表1に示す。
また、実施例1と同様に、上記透明導電膜が形成されたガラス基板に強力な可視光線(人工太陽光)を照射した際にブルーヘイズは観察されなかった。
【実施例6】
【0081】
[透明導電膜の作製]
攪拌しながら150℃で6時間の間加熱溶解・反応させ、高濃度溶解液(アセチルアセトンインジウムとアセチルアセトン錫の合計含有量40重量%)を得た以外は実施例1と同様に行い、実施例6に係る透明導電膜形成用塗布液を作製した。なお、この塗布液の粘度は、4.3mPa・s(25℃)であった。尚、透明導電膜形成用塗布液を室温に3ヶ月放置しても、その粘度に著しい変化はなかった。
次に上記透明導電膜形成用塗布液を用いた以外は実施例1と同様に行い、透明導電膜(ITO膜)を作製した。作製した透明導電膜の表面抵抗、ヘイズ値及び可視光透過率、ブルーヘイズ値、膜厚の諸特性を測定し、その結果を表1に示す。
また、実施例1と同様に、上記透明導電膜が形成されたガラス基板に強力な可視光線(人工太陽光)を照射した際にブルーヘイズは観察されなかった。
【実施例7】
【0082】
[透明導電膜の作製]
攪拌しながら170℃で1時間の間加熱溶解・反応させ、高濃度溶解液(アセチルアセトンインジウムとアセチルアセトン錫の合計含有量40重量%)を得た以外は実施例1と同様に行い、実施例7に係る透明導電膜形成用塗布液を作製した。なお、この塗布液の粘度は、3.5mPa・s(25℃)であった。尚、透明導電膜形成用塗布液を室温に3ヶ月放置しても、その粘度に著しい変化はなかった。
次に上記透明導電膜形成用塗布液を用いた以外は実施例1と同様に行い、透明導電膜(ITO膜)を作製した。作製した透明導電膜の表面抵抗、ヘイズ値及び可視光透過率、ブルーヘイズ値、膜厚の諸特性を測定し、その結果を表1に示す。
また、実施例1と同様に、上記透明導電膜が形成されたガラス基板に強力な可視光線(人工太陽光)を照射した際にブルーヘイズは観察されなかった。
【実施例8】
【0083】
[透明導電膜の作製]
攪拌しながら170℃で1.5時間の間加熱溶解・反応させ、高濃度溶解液(アセチルアセトンインジウムとアセチルアセトン錫の合計含有量40重量%)を得た以外は実施例1と同様に行い、実施例8に係る透明導電膜形成用塗布液を作製した。なお、この塗布液の粘度は、3.7mPa・s(25℃)であった。尚、透明導電膜形成用塗布液を室温に3ヶ月放置しても、その粘度に著しい変化はなかった。
次に上記透明導電膜形成用塗布液を用いた以外は実施例1と同様に行い、透明導電膜(ITO膜)を作製した。作製した透明導電膜の表面抵抗、ヘイズ値及び可視光透過率、ブルーヘイズ値、膜厚の諸特性を測定し、その結果を表1に示す。
【0084】
また、図5に上記透明導電膜が形成されたガラス基板に強力な可視光線(人工太陽光)(光源:セリック株式会社製XC-100)を照射した際の透明導電膜の外観(可視光線の散乱具合)の様子を示す。
加えて、図6に上記透明導電膜が形成されたガラス基板の可視光線領域(波長380?780nm)における拡散光線透過率プロファイルを示す。
図5、および図6から、可視光線の散乱は見られず(特に、ブルーヘイズが見られず)、透明導電膜が低ヘイズで透明性に優れていることが判る。
さらに、上記室温に3ヶ月放置した実施例8の透明導電膜形成用塗布液(液状)が入ったガラス容器を室温で45度傾斜させた際の塗布液の外観(流動性)を図7に示す。塗布液表面は傾斜させても水平を保っており、塗布液が低粘度で良好な流動性を有していることが判る。
【実施例9】
【0085】
[透明導電膜の作製]
攪拌しながら140℃で8時間の間加熱溶解・反応させ、高濃度溶解液(アセチルアセトンインジウムとアセチルアセトン錫の合計含有量40重量%)を得た以外は実施例1と同様に行い、実施例9に係る透明導電膜形成用塗布液を作製した。なお、この塗布液の粘度は、4.6mPa・s(25℃)であった。尚、透明導電膜形成用塗布液を室温に3ヶ月放置しても、その粘度に著しい変化はなかった。
次に上記透明導電膜形成用塗布液を用いた以外は実施例1と同様に行い、透明導電膜(ITO膜)を作製した。作製した透明導電膜の表面抵抗、ヘイズ値及び可視光透過率、ブルーヘイズ値、膜厚の諸特性を測定し、その結果を表1に示す。
また、実施例1と同様に、上記透明導電膜が形成されたガラス基板に強力な可視光線(人工太陽光)を照射した際にブルーヘイズは観察されなかった。
【実施例10】
【0086】
[透明導電膜の作製]
攪拌しながら140℃で12時間の間加熱溶解・反応させ、高濃度溶解液(アセチルアセトンインジウムとアセチルアセトン錫の合計含有量40重量%)を得た以外は実施例1と同様に行い、実施例10に係る透明導電膜形成用塗布液を作製した。なお、この塗布液の粘度は、4.7mPa・s(25℃)であった。尚、透明導電膜形成用塗布液を室温に3ヶ月放置しても、その粘度に著しい変化はなかった。
次に上記透明導電膜形成用塗布液を用いた以外は実施例1と同様に行い、透明導電膜(ITO膜)を作製した。作製した透明導電膜の表面抵抗、ヘイズ値及び可視光透過率、ブルーヘイズ値、膜厚の諸特性を測定し、その結果を表1に示す。
【実施例11】
【0087】
[透明導電膜の作製]
攪拌しながら180℃で0.5時間の間加熱溶解・反応させ、高濃度溶解液(アセチルアセトンインジウムとアセチルアセトン錫の合計含有量40重量%)を得た以外は実施例1と同様に行い、実施例11に係る透明導電膜形成用塗布液を作製した。なお、この塗布液の粘度は、3.3mPa・s(25℃)であった。尚、透明導電膜形成用塗布液を室温に3ヶ月放置しても、その粘度に著しい変化はなかった。
次に上記透明導電膜形成用塗布液を用いた以外は実施例1と同様に行い、透明導電膜(ITO膜)を作製した。作製した透明導電膜の表面抵抗、ヘイズ値及び可視光透過率、ブルーヘイズ値、膜厚の諸特性を測定し、その結果を表1に示す。
また、実施例1と同様に、上記透明導電膜が形成されたガラス基板に強力な可視光線(人工太陽光)を照射した際にブルーヘイズは観察されなかった。
【実施例12】
【0088】
[透明導電膜の作製]
攪拌しながら130℃で16時間の間加熱溶解・反応させ、高濃度溶解液(アセチルアセトンインジウムとアセチルアセトン錫の合計含有量40重量%)を得た以外は実施例1と同様に行い、実施例12に係る透明導電膜形成用塗布液を作製した。なお、この塗布液の粘度は、4.6mPa・s(25℃)であった。尚、透明導電膜形成用塗布液を室温に3ヶ月放置しても、その粘度に著しい変化はなかった。
次に上記透明導電膜形成用塗布液を用いた以外は実施例1と同様に行い、透明導電膜(ITO膜)を作製した。作製した透明導電膜の表面抵抗、ヘイズ値及び可視光透過率、ブルーヘイズ値、膜厚の諸特性を測定し、その結果を表1に示す。
また、実施例1と同様に、上記透明導電膜が形成されたガラス基板に強力な可視光線(人工太陽光)を照射した際にブルーヘイズは観察されなかった。
【実施例13】
【0089】
[透明導電膜の作製]
攪拌しながら130℃で22時間の間加熱溶解・反応させ、高濃度溶解液(アセチルアセトンインジウムとアセチルアセトン錫の合計含有量40重量%)を得た以外は実施例1と同様に行い、実施例13に係る透明導電膜形成用塗布液を作製した。なお、この塗布液の粘度は、4.8mPa・s(25℃)であった。尚、透明導電膜形成用塗布液を室温に3ヶ月放置しても、その粘度に著しい変化はなかった。
次に上記透明導電膜形成用塗布液を用いた以外は実施例1と同様に行い、透明導電膜(ITO膜)を作製した。作製した透明導電膜の表面抵抗、ヘイズ値及び可視光透過率、ブルーヘイズ値、膜厚の諸特性を測定し、その結果を表1に示す。
また、実施例1と同様に、上記透明導電膜が形成されたガラス基板に強力な可視光線(人工太陽光)を照射した際にブルーヘイズは観察されなかった。
【実施例14】
【0090】
[透明導電膜の作製]
攪拌しながら150℃で2.5時間、引き続き攪拌しながら140℃で5時間の間加熱溶解・反応させ、高濃度溶解液(アセチルアセトンインジウムとアセチルアセトン錫の合計含有量40重量%)を得た以外は実施例1と同様に行い、実施例14に係る透明導電膜形成用塗布液を作製した。なお、この塗布液の粘度は、4.1mPa・s(25℃)であった。尚、透明導電膜形成用塗布液を室温に3ヶ月放置しても、その粘度に著しい変化はなかった。
【0091】
次に上記透明導電膜形成用塗布液を用いた以外は実施例1と同様に行い、透明導電膜(ITO膜)を作製した。作製した透明導電膜の表面抵抗、ヘイズ値及び可視光透過率、ブルーヘイズ値、膜厚の諸特性を測定し、その結果を表1に示す。
また、実施例1と同様に、上記透明導電膜が形成されたガラス基板に強力な可視光線(人工太陽光)を照射した際にブルーヘイズは観察されなかった。
【実施例15】
【0092】
[透明導電膜形成用塗布液の作製]
二塩基酸エステル(デュポンジャパン製;コハク酸ジメチル(沸点:196℃)、グルタル酸ジメチル(沸点:210?215℃)、アジピン酸ジメチル(沸点:215?225℃)の混合物)87g、p-tert-ブチルフェノール5gを混合し、室温で10分間攪拌し溶解した後、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC;MW=約900000(高粘度グレード))1gを混合し、攪拌しながら60℃で1時間の間加熱溶解させた。さらに、アセチルアセトンインジウム(正式名称:トリス(アセチルアセトナト)インジウム)[In(C_(5)H_(7)O_(2))_(3)](分子量=412.15)6.7g、アセチルアセトン錫(正式名称:ジ-n-ブチル ビス(2,4-ペンタンジオナト)錫[Sn(C_(4)H_(9))_(2)(C_(5)H_(7)O_(2))_(2)](分子量=431.14)0.3gを混合し、攪拌しながら160℃で2時間の間加熱溶解・反応させ、高濃度溶解液(アセチルアセトンインジウムとアセチルアセトン錫の合計含有量7重量%)を得た。
【0093】
この高濃度溶解液60gに、希釈溶剤としてのアセチルアセトン(沸点140.4℃)40gを加え、均一になるまで良く攪拌し、アセチルアセトンインジウムとアセチルアセトン錫を合計で4.2重量%、ヒドロキシプロピルセルロースを0.6重量%含有する実施例15に係る透明導電膜形成用塗布液(アセチルアセトンインジウム:アセチルアセトン錫=95.9:4.1[モル比])を作製した。なお、この塗布液の粘度は、3700mPa・s(25℃)であった。尚、透明導電膜形成用塗布液を室温に3ヶ月放置しても、その粘度に著しい変化はなかった。
【0094】
[透明導電膜の作製]
この透明導電膜形成用塗布液を、80℃に予熱したソーダライムガラス基板(10cm×10cm×3mm厚さ;ヘイズ値=0.26%、可視光線透過率=91.7%、ブルーヘイズ値0.26%、波長450nmの光線透過率=90.9%)上の全面にスピンコーティング(300rpm×120sec)し、塗布・乾燥した後、更にホットプレートを用いて露点温度が15?20℃の空気雰囲気(1リッター/分供給)において、500℃まで50分かけて昇温(昇温速度:10℃/分)し、500℃で15分間焼成し、そのまま雰囲気を1%水素-99%窒素(1リッター/分供給)に切替えて500℃で更に15分間焼成してドーパント用の酸化錫(SnO_(2))を含んだ酸化インジウム(In_(2)O_(3))を主成分とする透明導電膜(ITO膜)を作製した。
【0095】
作製した透明導電膜の表面抵抗、ヘイズ値及び可視光透過率、ブルーヘイズ値、膜厚の諸特性を測定し、その結果を表1に示す。
また、実施例1と同様に、上記透明導電膜が形成されたガラス基板に強力な可視光線(人工太陽光)を照射した際にブルーヘイズは観察されなかった。
【0096】
(比較例1)
[透明導電膜の作製]
攪拌しながら160℃で1.5時間の間加熱溶解・反応させ、高濃度溶解液(アセチルアセトンインジウムとアセチルアセトン錫の合計含有量40重量%)を得た以外は実施例1と同様に行い、比較例1に係る透明導電膜形成用塗布液を作製した。なお、この塗布液の粘度は、2.9mPa・s(25℃)であった。尚、透明導電膜形成用塗布液を室温に3ヶ月放置しても、その粘度に著しい変化はなかった。
次に上記透明導電膜形成用塗布液を用いた以外は実施例1と同様に行い、透明導電膜(ITO膜)を作製した。作製した透明導電膜の表面抵抗、ヘイズ値及び可視光透過率、ブルーヘイズ値、膜厚の諸特性を測定し、その結果を表1に示す。
【0097】
さらに、図3に上記透明導電膜が形成されたガラス基板に強力な可視光線(人工太陽光)(光源:セリック株式会社製XC-100)を照射した際の透明導電膜の外観状態(可視光線の散乱具合)を示す。
可視光線の散乱(特に散乱されやすい短波長領域(青色)の散乱:ブルーヘイズ)が見られ、透明導電膜は高ヘイズ(ブルーヘイズが大きい)で透明性に劣っていることが判る。
【0098】
(比較例2)
[透明導電膜の作製]
攪拌しながら160℃で4時間の間加熱溶解・反応させ、高濃度溶解液(アセチルアセトンインジウムとアセチルアセトン錫の合計含有量40重量%)を得た以外は実施例1と同様に行い、比較例2に係る透明導電膜形成用塗布液を作製した。この塗布液の粘度は、塗布液作製直後は5.0mPa・s(25℃)と幾分高めの値であったが、この塗布液を用いた以外は実施例1と同様に行い、透明導電膜(ITO膜)を作製した。
作製した透明導電膜の表面抵抗、ヘイズ値及び可視光透過率、ブルーヘイズ値、膜厚の諸特性を測定し、その結果を表1に示す。
【0099】
なお、透明導電膜形成用塗布液を室温に3ヶ月放置したところ、最終的にはゲル化(プリン化)(粘度:>10000mPa・s(25℃))して使用できなくなった。
図4に上記室温に3ヶ月放置した比較例2の透明導電膜形成用塗布液(ゲル化(プリン化))が入ったガラス容器を室温で45度傾斜させた際の塗布液の外観状態(流動性)を示す。
塗布液表面は傾斜したままであり、塗布液のゲル化(プリン化)によりその流動性が失われていることが判る。
【0100】
(比較例3)
[透明導電膜の作製]
攪拌しながら150℃で3時間の間加熱溶解・反応させ、高濃度溶解液(アセチルアセトンインジウムとアセチルアセトン錫の合計含有量40重量%)を得た以外は実施例1と同様に行い、比較例3に係る透明導電膜形成用塗布液を作製した。なお、この塗布液の粘度は、3.0mPa・s(25℃)であった。尚、透明導電膜形成用塗布液を室温に3ヶ月放置しても、その粘度に著しい変化はなかった。
次に上記透明導電膜形成用塗布液を用いた以外は実施例1と同様に行い、透明導電膜(ITO膜)を作製した。作製した透明導電膜の表面抵抗、ヘイズ値及び可視光透過率、ブルーヘイズ値、膜厚の諸特性を測定し、その結果を表1に示す。
また、比較例1と同様に、上記透明導電膜が形成されたガラス基板に強力な可視光線(人工太陽光)を照射した際に大きなブルーヘイズが観察された。
【0101】
(比較例4)
[透明導電膜の作製]
攪拌しながら150℃で8時間の間加熱溶解・反応させ、高濃度溶解液(アセチルアセトンインジウムとアセチルアセトン錫の合計含有量40重量%)を得た以外は実施例1と同様に行い、比較例4に係る透明導電膜形成用塗布液を作製した。この塗布液の粘度は、塗布液作製直後は5.3mPa・s(25℃)と幾分高めの値であったが、この塗布液を用いた以外は実施例1と同様に行い、透明導電膜(ITO膜)を作製した。
作製した透明導電膜の表面抵抗、ヘイズ値及び可視光透過率、ブルーヘイズ値、膜厚の諸特性を測定し、その結果を表1に示す。
【0102】
なお、透明導電膜形成用塗布液を室温に3ヶ月放置したところ、最終的にはゲル化(プリン化)(粘度:>10000mPa・s(25℃))して使用できなくなった。
【0103】
(比較例5)
[透明導電膜の作製]
攪拌しながら170℃で0.5時間の間加熱溶解・反応させ、高濃度溶解液(アセチルアセトンインジウムとアセチルアセトン錫の合計含有量40重量%)を得た以外は実施例1と同様に行い、比較例5係る透明導電膜形成用塗布液を作製した。なお、この塗布液の粘度は、2.8mPa・s(25℃)であった。尚、透明導電膜形成用塗布液を室温に3ヶ月放置しても、その粘度に著しい変化はなかった。
次に上記透明導電膜形成用塗布液を用いた以外は実施例1と同様に行い、透明導電膜(ITO膜)を作製した。
作製した透明導電膜の表面抵抗、ヘイズ値及び可視光透過率、ブルーヘイズ値、膜厚の諸特性を測定し、その結果を表1に示す。
【0104】
図5に上記透明導電膜が形成されたガラス基板に強力な可視光線(人工太陽光)(光源:セリック株式会社製XC-100)を照射した際の透明導電膜の外観状態(可視光線の散乱具合)を示す。
加えて、図6に上記透明導電膜が形成されたガラス基板の可視光線領域(波長380?780nm)における拡散光線透過率プロファイルを示す。 図5、および図6から、可視光線の散乱(特に散乱されやすい短波長領域(青色)の散乱:ブルーヘイズ)が見られ、透明導電膜は高ヘイズ(ブルーヘイズが大きい)で透明性に劣っていることが判る。
【0105】
(比較例6)
[透明導電膜の作製]
攪拌しながら170℃で2時間の間加熱溶解・反応させ、高濃度溶解液(アセチルアセトンインジウムとアセチルアセトン錫の合計含有量40重量%)を得た以外は実施例1と同様に行い、比較例6に係る透明導電膜形成用塗布液を作製した。この塗布液の粘度は、塗布液作製直後は、4.2mPa・s(25℃)と通常の値(正常範囲内)であり、この塗布液を用いた以外は実施例1と同様に行い、透明導電膜(ITO膜)を作製した。
作製した透明導電膜の表面抵抗、ヘイズ値及び可視光透過率、ブルーヘイズ値、膜厚の諸特性を測定し、その結果を表1に示す。
【0106】
なお、透明導電膜形成用塗布液を室温に3ヶ月放置したところ、最終的にはゲル化(プリン化)(粘度:>10000mPa・s(25℃))して使用できなくなった。
図7に上記室温に3ヶ月放置した比較例6の透明導電膜形成用塗布液(ゲル化(プリン化))が入ったガラス容器を室温で45度傾斜させた際の塗布液の外観(流動性)を示す。
塗布液表面は傾斜したままであり、塗布液のゲル化(プリン化)によりその流動性が失われていることが判る。
【0107】
(比較例7)
[透明導電膜の作製]
攪拌しながら140℃で6時間の間加熱溶解・反応させ、高濃度溶解液(アセチルアセトンインジウムとアセチルアセトン錫の合計含有量40重量%)を得た以外は実施例1と同様に行い、比較例7に係る透明導電膜形成用塗布液を作製した。なお、この塗布液の粘度は、3.1mPa・s(25℃)であった。なお、透明導電膜形成用塗布液を室温に3ヶ月放置しても、その粘度に著しい変化はなかった。
次に上記透明導電膜形成用塗布液を用いた以外は実施例1と同様に行い、透明導電膜(ITO膜)を作製した。作製した透明導電膜の表面抵抗、ヘイズ値及び可視光透過率、ブルーヘイズ値、膜厚の諸特性を測定し、その結果を表1に示す。
また、比較例1と同様に、上記透明導電膜が形成されたガラス基板に強力な可視光線(人工太陽光)を照射した際に大きなブルーヘイズが観察された。
【0108】
(比較例8)
[透明導電膜の作製]
攪拌しながら140℃で14時間の間加熱溶解・反応させ、高濃度溶解液(アセチルアセトンインジウムとアセチルアセトン錫の合計含有量40重量%)を得た以外は実施例1と同様に行い、比較例8に係る透明導電膜形成用塗布液を作製した。この塗布液の粘度は、塗布液作製直後は、4.8mPa・s(25℃)と通常の値(正常範囲内)であり、この塗布液を用いた以外は実施例1と同様に行い、透明導電膜(ITO膜)を作製した。作製した透明導電膜の表面抵抗、ヘイズ値及び可視光透過率、ブルーヘイズ値、膜厚の諸特性を測定し、その結果を表1に示す。
【0109】
なお、透明導電膜形成用塗布液を室温に3ヶ月放置したところ、最終的にはゲル化(プリン化)(粘度:>10000mPa・s(25℃))して使用できなくなった。
【0110】
(比較例9)
[透明導電膜の作製]
攪拌しながら180℃で0.25時間(15分)の間加熱溶解・反応させ、高濃度溶解液(アセチルアセトンインジウムとアセチルアセトン錫の合計含有量40重量%)を得た以外は実施例1と同様に行い、比較例9に係る透明導電膜形成用塗布液を作製した。なお、この塗布液の粘度は、2.8mPa・s(25℃)であった。尚、透明導電膜形成用塗布液を室温に3ヶ月放置しても、その粘度に著しい変化はなかった。
次に上記透明導電膜形成用塗布液を用いた以外は実施例1と同様に行い、透明導電膜(ITO膜)を作製した。作製した透明導電膜の表面抵抗、ヘイズ値及び可視光透過率、ブルーヘイズ値、膜厚の諸特性を測定し、その結果を表1に示す。
また、比較例1と同様に、上記透明導電膜が形成されたガラス基板に強力な可視光線(人工太陽光)を照射した際に大きなブルーヘイズが観察された。
【0111】
(比較例10)
[透明導電膜の作製]
攪拌しながら180℃で1時間の間加熱溶解・反応させ、高濃度溶解液(アセチルアセトンインジウムとアセチルアセトン錫の合計含有量40重量%)を得た以外は実施例1と同様に行い、比較例10に係る透明導電膜形成用塗布液を作製した。この塗布液の粘度は、塗布液作製直後は4.1mPa・s(25℃)と通常の値(正常範囲内)であり、この塗布液を用いた以外は実施例1と同様に行い、透明導電膜(ITO膜)を作製した。作製した透明導電膜の表面抵抗、ヘイズ値及び可視光透過率、ブルーヘイズ値、膜厚の諸特性を測定し、その結果を表1に示す。
【0112】
なお、透明導電膜形成用塗布液を室温に3ヶ月放置したところ、最終的にはゲル化(プリン化)(粘度:>10000mPa・s(25℃))して使用できなくなった。
【0113】
(比較例11)
[透明導電膜の作製]
攪拌しながら130℃で13時間の間加熱溶解・反応させ、高濃度溶解液(アセチルアセトンインジウムとアセチルアセトン錫の合計含有量40重量%)を得た以外は実施例1と同様に行い、比較例11に係る透明導電膜形成用塗布液を作製した。なお、この塗布液の粘度は、3.3mPa・s(25℃)であった。尚、透明導電膜形成用塗布液を室温に3ヶ月放置しても、その粘度に著しい変化はなかった。
次に上記透明導電膜形成用塗布液を用いた以外は実施例1と同様に行い、透明導電膜(ITO膜)を作製した。作製した透明導電膜の表面抵抗、ヘイズ値及び可視光透過率、ブルーヘイズ値、膜厚の諸特性を測定し、その結果を表1に示す。
また、比較例1と同様に、上記透明導電膜が形成されたガラス基板に強力な可視光線(人工太陽光)を照射した際に大きなブルーヘイズが観察された。
【0114】
(比較例12)
[透明導電膜の作製]
攪拌しながら130℃で25時間の間加熱溶解・反応させ、高濃度溶解液(アセチルアセトンインジウムとアセチルアセトン錫の合計含有量40重量%)を得た以外は実施例1と同様に行い、比較例12に係る透明導電膜形成用塗布液を作製した。この塗布液の粘度は、塗布液作製直後は5.0mPa・s(25℃)と幾分高めの値であったが、この塗布液を用いた以外は実施例1と同様に行い、透明導電膜(ITO膜)を作製した。作製した透明導電膜の表面抵抗、ヘイズ値及び可視光透過率、ブルーヘイズ値、膜厚の諸特性を測定し、その結果を表1に示す。
【0115】
なお、透明導電膜形成用塗布液を室温に3ヶ月放置したところ、最終的にはゲル化(プリン化)(粘度:>10000mPa・s(25℃))して使用できなくなった。
【0116】
(比較例13)
[透明導電膜の作製]
攪拌しながら190℃で0.15時間の間加熱溶解・反応させ、高濃度溶解液(アセチルアセトンインジウムとアセチルアセトン錫の合計含有量40重量%)を得た以外は実施例1と同様の操作を行い、比較例13に係る透明導電膜形成用塗布液を作製した。
【0117】
なお、透明導電膜形成用塗布液の作製を上記と同様の手順で複数回実施したが、塗布液のゲル化(プリン化)や透明導電膜のヘイズ悪化(特にブルーヘイズの悪化)のない良好な品質の透明導電膜形成用塗布液を安定して得ることはできなかった。
これは、加熱温度190℃では、適切な加熱時間の範囲が極めて狭いため、高濃度溶解液の液内温度分布、加熱温度制御のバラツキ、加熱温度190℃までの昇温履歴のバラツキ等により、加熱溶解・反応条件の最適化が困難になるためと考えられる。
以上の様に、安定して良好な品質の透明導電膜形成用塗布液を得ることは困難だったため、実施例1と同様の透明導電膜の作製は行わなかった。
【0118】
(比較例14)
[透明導電膜の作製]
攪拌しながら160℃で2時間、引き続き攪拌しながら140℃で10時間の間、加熱溶解・反応させ、高濃度溶解液(アセチルアセトンインジウムとアセチルアセトン錫の合計含有量40重量%)を得た以外は実施例1と同様に行い、比較例14に係る透明導電膜形成用塗布液を作製した。
この塗布液の粘度は、塗布液作製直後は5.4mPa・s(25℃)と通常の値(正常範囲内)であり、この塗布液を用いた以外は実施例1と同様に行い、透明導電膜(ITO膜)を作製した。
作製した透明導電膜の表面抵抗、ヘイズ値及び可視光透過率、ブルーヘイズ値、膜厚の諸特性を測定し、その結果を表1に示す。
【0119】
なお、透明導電膜形成用塗布液を室温に3ヶ月放置したところ、最終的にはゲル化(プリン化)(粘度:>10000mPa・s(25℃))して使用できなくなった。
【0120】
(比較例15)
[透明導電膜の作製]
攪拌しながら160℃で1時間の間加熱溶解・反応させ、高濃度溶解液(アセチルアセトンインジウムとアセチルアセトン錫の合計含有量7重量%)を得た以外は実施例15と同様に行い、比較例15に係る透明導電膜形成用塗布液を作製した。なお、この塗布液の粘度は、3500mPa・s(25℃)であった。尚、透明導電膜形成用塗布液を室温に3ヶ月放置しても、その粘度に著しい変化はなかった。
次に上記透明導電膜形成用塗布液を用いた以外は実施例15と同様に行い、透明導電膜(ITO膜)を作製した。作製した透明導電膜の表面抵抗、ヘイズ値及び可視光透過率、ブルーヘイズ値、膜厚の諸特性を測定し、その結果を表1に示す。
また、比較例1と同様に、上記透明導電膜が形成されたガラス基板に強力な可視光線(人工太陽光)を照射した際に大きなブルーヘイズが観察された。
【0121】
【表1】

【0122】
各実施例と比較例を比べる(実施例1?3と比較例1、2)と、いずれも160℃で加熱溶解・反応させた高濃度溶解液を経由して得られた透明導電膜形成用塗布液であるが、この加熱溶解温度で所定の加熱時間範囲内で加熱溶解・反応した実施例1?3の透明導電膜形成用塗布液は粘度の経時変化が小さく安定性が良好で、また得られる透明導電膜は、低抵抗で低ヘイズ(特にブルーヘイズが観察されない)であることが判る。
一方、この加熱溶解温度で所定の加熱時間範囲外(加熱時間が短い、または長い)で加熱溶解・反応した比較例1、比較例2の透明導電膜形成用塗布液を用いた場合には、比較例1では、ヘイズの大きい(特にブルーヘイズが大きい)透明性に劣る透明導電膜しか得られず、また、比較例2では、透明導電膜形成用塗布液の粘度の経時変化が大きくて安定性が悪く、最終的にゲル化(プリン化)していることが確認される。
【0123】
ここで、図3に示された、透明導電膜が形成されたガラス基板に強力な可視光線(擬似太陽光)を照射する可視光線の散乱度合いの評価結果から、実施例1の透明導電膜形成用塗布液(加熱温度(T):160℃、加熱時間(L):2hr)を用いて形成された透明導電膜は可視光線の散乱がなく透明性に優れているのに対し、比較例1の透明導電膜形成用塗布液(加熱温度(T):160℃、加熱時間(L):1.5hr)を用いて形成された透明導電膜は可視光線の短波長領域(青色)の散乱が大きく(つまり、ブルーヘイズが大きく)透明性に劣っていることが明確に確認される。
【0124】
また、図4に示された、室温に3ヶ月放置した透明導電膜形成用塗布液が入ったガラス容器を室温で45度傾斜させる塗布液の流動性の評価結果から、実施例3の透明導電膜形成用塗布液(加熱温度(T):160℃、加熱時間(L):3hr)が低粘度で良好な流動性を有しているのに対し、比較例2の透明導電膜形成用塗布液(加熱温度(T):160℃、加熱時間(L):4hr)はゲル化(プリン化)して流動性を失っていることが確認される。
【0125】
各実施例と比較例を比べる(実施例4?6と比較例3、4)と、いずれも150℃で加熱溶解・反応させた高濃度溶解液を経由して得られた透明導電膜形成用塗布液であるが、この加熱溶解温度で所定の加熱時間範囲内で加熱溶解・反応した実施例4?6の透明導電膜形成用塗布液は粘度の経時変化が小さく安定性が良好で、また得られる透明導電膜は、低抵抗で低ヘイズ(特にブルーヘイズが観察されない)であることが判る。
一方、この加熱溶解温度で所定の加熱時間範囲外(加熱時間が短い、または長い)で加熱溶解・反応した比較例3、比較例4の透明導電膜形成用塗布液を用いた場合には、比較例3では、ヘイズの大きい(特にブルーヘイズが大きい)透明性に劣る透明導電膜しか得られず、また、比較例4では、透明導電膜形成用塗布液の粘度の経時変化が大きくて安定性が悪く、最終的にゲル化(プリン化)していることが確認される。
【0126】
各実施例と比較例を比べる(実施例7、8と比較例5、6)と、いずれも170℃で加熱溶解・反応させた高濃度溶解液を経由して得られた透明導電膜形成用塗布液であるが、この加熱溶解温度で所定の加熱時間範囲内で加熱溶解・反応した実施例7、実施例8の透明導電膜形成用塗布液は粘度の経時変化が小さく安定性が良好で、また得られる透明導電膜は、低抵抗で低ヘイズ(特にブルーヘイズが観察されない)であることが判る。
一方、この加熱溶解温度で所定の加熱時間範囲外(加熱時間が短い、または長い)で加熱溶解・反応した比較例5、比較例6の透明導電膜形成用塗布液を用いた場合には、比較例5では、ヘイズの大きい(特にブルーヘイズが大きい)透明性に劣る透明導電膜しか得られず、また、比較例6では、透明導電膜形成用塗布液の粘度の経時変化が大きくて安定性が悪く、最終的にゲル化(プリン化)していることが確認される。
【0127】
ここで、図5に示された、透明導電膜が形成されたガラス基板に強力な可視光線(擬似太陽光)を照射する可視光線の散乱度合いの評価結果から、実施例8の透明導電膜形成用塗布液(加熱温度(T):170℃、加熱時間(L):1.5hr)を用いて形成された透明導電膜は可視光線の散乱がなく透明性に優れているのに対し、比較例5の透明導電膜形成用塗布液(加熱温度(T):170℃、加熱時間(L):0.5hr)を用いて形成された透明導電膜は可視光線の短波長領域(青色)の散乱が大きく(つまり、ブルーヘイズが大きく)透明性に劣っていることが明確に確認される。
【0128】
さらに、図6に示す透明導電膜が形成されたガラス基板の可視光線領域(波長380?780nm)における拡散光線透過率プロファイルの測定結果から、実施例8の透明導電膜形成用塗布液(加熱温度(T):170℃、加熱時間(L):1.5hr)を用いて形成された透明導電膜は可視光線の散乱がなく透明性に優れているのに対し、比較例5の透明導電膜形成用塗布液(加熱温度(T):170℃、加熱時間(L):0.5hr)を用いて形成された透明導電膜は可視光線の短波長領域(青色)の散乱が大きく(つまり、ブルーヘイズが大きい)透明性に劣っていることが明確に確認される。
【0129】
また、図7に示された、室温に3ヶ月放置した透明導電膜形成用塗布液が入ったガラス容器を室温で45度傾斜させる塗布液の流動性の評価結果から、実施例8の透明導電膜形成用塗布液(加熱温度(T):170℃、加熱時間(L):1.5hr)が低粘度で良好な流動性を有しているのに対し、比較例6の透明導電膜形成用塗布液(加熱温度(T):170℃、加熱時間(L):2hr)はゲル化(プリン化)して流動性を失っていることが確認される。
【0130】
各実施例と比較例を比べる(実施例9、10と比較例7、8)と、いずれも140℃で加熱溶解・反応させた高濃度溶解液を経由して得られた透明導電膜形成用塗布液であるが、この加熱溶解温度で所定の加熱時間範囲内で加熱溶解・反応した実施例9、実施例10の透明導電膜形成用塗布液は粘度の経時変化が小さく安定性が良好で、また得られる透明導電膜は、低抵抗で低ヘイズ(特にブルーヘイズが観察されない)であることが判る。
一方、この加熱溶解温度で所定の加熱時間範囲外(加熱時間が短い、または長い)で加熱溶解・反応した比較例7、比較例8の透明導電膜形成用塗布液を用いた場合には、比較例7では、ヘイズの大きい(特にブルーヘイズが大きい)透明性に劣る透明導電膜しか得られず、また、比較例8では、透明導電膜形成用塗布液の粘度の経時変化が大きくて安定性が悪く、最終的にゲル化(プリン化)していることが確認される。
【0131】
各実施例と比較例を比べる(実施例11と比較例9、10)と、いずれも180℃で加熱溶解・反応させた高濃度溶解液を経由して得られた透明導電膜形成用塗布液であるが、この加熱溶解温度で所定の加熱時間範囲内で加熱溶解・反応した実施例11の透明導電膜形成用塗布液は粘度の経時変化が小さく安定性が良好で、また得られる透明導電膜は、低抵抗で低ヘイズ(特にブルーヘイズが観察されない)であることが判る。
一方、この加熱溶解温度で所定の加熱時間範囲外(加熱時間が短い、または長い)で加熱溶解・反応した比較例9、比較例10の透明導電膜形成用塗布液を用いた場合には、比較例9では、ヘイズの大きい(特にブルーヘイズが大きい)透明性に劣る透明導電膜しか得られず、また、比較例10では、透明導電膜形成用塗布液の粘度の経時変化が大きくて安定性が悪く、最終的にゲル化(プリン化)していることが確認される。
【0132】
各実施例と比較例を比べる(実施例12、13と比較例11、12)と、いずれも130℃で加熱溶解・反応させた高濃度溶解液を経由して得られた透明導電膜形成用塗布液であるが、この加熱溶解温度で所定の加熱時間範囲内で加熱溶解・反応した実施例12、実施例13の透明導電膜形成用塗布液は粘度の経時変化が小さく安定性が良好で、また得られる透明導電膜は、低抵抗で低ヘイズ(特にブルーヘイズが観察されない)であることが判る。一方、この加熱溶解温度で所定の加熱時間範囲外(加熱時間が短い、または長い)で加熱溶解・反応した比較例11、比較例12の透明導電膜形成用塗布液を用いた場合には、比較例11では、ヘイズの大きい(特にブルーヘイズが大きい)透明性に劣る透明導電膜しか得られず、また、比較例12では、透明導電膜形成用塗布液の粘度の経時変化が大きくて安定性が悪く、最終的にゲル化(プリン化)していることが確認される。
【0133】
各実施例と比較例を比べる(実施例14と比較例14)と、いずれも複数の異なる加熱溶解温度で、加熱溶解・反応させた高濃度溶解液を経由して得られた透明導電膜形成用塗布液であるが、式(1)に示す「加熱換算時間」を用いて、加熱溶解温度と時間の関係を求めると、図1に示す特定範囲内にある実施例14は、透明導電膜形成用塗布液は粘度の経時変化が小さく安定性が良好で、また得られる透明導電膜は、低抵抗で低ヘイズ(特にブルーヘイズが観察されない)であることが判る。
一方、特定範囲外にある比較例14では、透明導電膜形成用塗布液の粘度の経時変化が大きくて安定性が悪く、最終的にゲル化(プリン化)していることが確認される。
【0134】
各実施例と比較例を比べる(実施例15と比較例15[特許文献9の実施例7に記載の方法で得られる透明導電膜形成用塗布液])と、いずれも160℃で加熱溶解・反応させた高濃度溶解液を経由して得られた透明導電膜形成用塗布液であるが、この加熱溶解温度で所定の加熱時間範囲内で加熱溶解・反応した実施例15は、透明導電膜形成用塗布液は粘度の経時変化が小さく安定性が良好で、また得られる透明導電膜は、低抵抗で低ヘイズ(特にブルーヘイズが観察されない)であることが判る。
一方、この加熱溶解温度で所定の加熱時間範囲外(加熱時間が短い)で加熱溶解・反応した比較例15の透明導電膜形成用塗布液を用いた場合には、ヘイズの大きい(特にブルーヘイズが大きい)透明性に劣る透明導電膜しか得られないことが確認される。
【0135】
各実施例と比較例を比べる(実施例1?13と比較例13)と、いずれも加熱溶解・反応させた高濃度溶解液を経由して得られた透明導電膜形成用塗布液であるが、130?180℃の加熱溶解温度で所定の加熱時間範囲内で加熱溶解・反応した実施例1?13の透明導電膜形成用塗布液は粘度の経時変化が小さく安定性が良好で、また得られる透明導電膜は、低抵抗で低ヘイズ(特にブルーヘイズが観察されない)であることが判る。
一方、190℃の加熱溶解温度で所定の加熱時間範囲内で加熱溶解・反応した比較例13の透明導電膜形成用塗布液を用いた場合には、一定の加熱溶解・反応の条件の下でも、その僅かなバラツキ(加熱温度190℃までの昇温履歴のバラツキ、温度制御のバラツキによる加熱温度自体のバラツキ、高濃度溶解液内温度分布のバラツキ等)により、ヘイズの大きい(特にブルーヘイズが大きい)透明性に劣る透明導電膜が得られたり、透明導電膜形成用塗布液の粘度の経時変化が大きくて安定性が悪く最終的にゲル化(プリン化)したりと、安定して良好な品質の透明導電膜形成用塗布液を得ることが困難であり、実用的でないことが確認される。
【0136】
ここで、前述の特許文献9や特許文献10に記載のアセチルアセトンインジウムやヒドロキシプロピルセルロース等の成分を有機溶剤に溶解させた透明導電膜形成用塗布液の製造方法においては、その実施において、160℃で1hrの加熱(特許文献9)、130℃で1.5hrの加熱(特許文献10)と、本発明で特定した適正な加熱溶解・反応条件(130?180℃の加熱溶解温度で所定の加熱時間範囲)から逸脱しており(所定の加熱時間よりも加熱時間が短い)、前述の実施例15と比較例15の比較からも判るように、特に、大気中の湿度が高く(露点温度が高く)緻密な透明導電膜の得難い夏場においては、透明導電膜の緻密性が悪化するため、透明性が高く(特にブルーヘイズが小さく)、低抵抗でかつ抵抗経時安定性に優れた、膜強度の高い、高性能の透明導電膜を得ることは期待できない。
【産業上の利用可能性】
【0137】
本発明による透明導電膜形成用塗布液の製造方法によれば、簡便かつ短時間の製造工程で、品質の安定した透明導電膜形成用塗布液が低コストで得られるため、本発明の透明導電膜形成用塗布液を用いたスピンコート法やディップコート法等の塗布法により、基板上に透明性と高い導電性を兼ね備えた透明導電膜を形成できる。更に、この透明導電膜は、各種ディスプレイにおける表示素子透明電極、タッチパネル、太陽電池、フィールドエミッションランプ等の透明電極への利用が期待できる。
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
有機インジウム化合物、ドーパント用有機金属化合物、有機粘性剤、を高沸点有機溶剤中(沸点:180℃以上)で攪拌しながら加熱溶解・反応させて高濃度溶解液を得る加熱溶解工程、前記加熱溶解工程で得られた高濃度溶解液を中沸点有機溶剤(沸点:100℃以上180℃未満)、低沸点有機溶剤(沸点:50℃以上100℃未満)のいずれか一つ以上で希釈する希釈工程の各工程からなる透明導電膜形成用塗布液の製造方法であって、
前記高濃度溶解液の有機インジウム化合物とドーパント用有機金属化合物との合計含有量が、20?60重量%、
前記有機粘性剤の含有量が、有機インジウム化合物とドーパント用有機金属化合物との合計含有量(重量)の1/20?1/3、
前記有機インジウム化合物が、アセチルアセトンインジウムで、
前記有機粘性剤が、セルロース誘導体で、
前記高沸点有機溶剤(沸点:180℃以上)が、アルキルフェノール、及び二塩基酸エステルを少なくとも含有する高沸点有機溶剤(沸点:180℃以上)で、
前記中沸点有機溶剤(沸点:100℃以上180℃未満)、低沸点有機溶剤(沸点:50℃以上100℃未満)のいずれか一つ以上の有機溶剤がケトン系有機溶剤で、
前記加熱溶解工程の加熱溶解・反応条件が、
加熱温度(T:℃)が130≦T≦180℃の範囲内で、かつ、加熱時間(L:hr)が、-0.7T+104<L<-1.1T+168(130≦T<140℃)、-0.3T+48<L<-0.6T+98(140≦T<150℃)、-0.15T+25.5<L<-0.4T+68(150≦T<160℃)、-0.1T+17.5<L<-0.2T+36(160≦T<170℃)、-0.025T+4.75<L<-0.1T+19(170≦T≦180℃)の範囲内、
であることを特徴とする透明導電膜形成用塗布液の製造方法。
【請求項2】
有機インジウム化合物、ドーパント用有機金属化合物、有機粘性剤、を高沸点有機溶剤中(沸点:180℃以上)で攪拌しながら加熱溶解・反応させて高濃度溶解液を得る加熱溶解工程、前記加熱溶解工程で得られた高濃度溶解液を中沸点有機溶剤(沸点:100℃以上180℃未満)、低沸点有機溶剤(沸点:50℃以上100℃未満)のいずれか一つ以上で希釈する希釈工程の各工程からなる透明導電膜形成用塗布液の製造方法であって、
前記高濃度溶解液の有機インジウム化合物とドーパント用有機金属化合物との合計含有量が、20?60重量%、
前記有機粘性剤の含有量が、有機インジウム化合物とドーパント用有機金属化合物との合計含有量(重量)の1/20?1/3、
前記有機インジウム化合物が、アセチルアセトンインジウムで、
前記有機粘性剤が、セルロース誘導体で、
前記高沸点有機溶剤(沸点:180℃以上)が、アルキルフェノール、及び二塩基酸エステルを少なくとも含有する高沸点有機溶剤(沸点:180℃以上)で、
前記中沸点有機溶剤(沸点:100℃以上180℃未満)、低沸点有機溶剤(沸点:50℃以上100℃未満)のいずれか一つ以上の有機溶剤がケトン系有機溶剤であって、
前記加熱溶解工程の加熱溶解・反応条件の加熱温度(T:℃)が、130≦T≦180℃の範囲内で、加熱時間(L:hr)が下記(1)式を満たし、かつ、透明導電膜形成用塗布液を室温に3ヶ月放置した場合の粘度変化が初期粘度の0.5?1.5倍以内(±50%以内)となるように調節されている、
ことを特徴とする透明導電膜形成用塗布液の製造方法。
【数1】

【請求項3】
前記有機インジウム化合物とドーパント用有機金属化合物の含有割合が、有機インジウム化合物/ドーパント用有機金属化合物モル比=99/1?87/13であることを特徴とする請求項1または2に記載の透明導電膜形成用塗布液の製造方法。
【請求項4】
前記透明導電膜形成用塗布液の有機インジウム化合物とドーパント用有機金属化合物の合計含有量が、5?15重量%であることを特徴とする請求項1?3のいずれか1項に記載の透明導電膜形成用塗布液の製造方法。
【請求項5】
前記ドーパント用有機金属化合物が、アセチルアセトン錫であることを特徴とする請求項1?4のいずれか1項に記載の透明導電膜形成用塗布液の製造方法。
【請求項6】
前記セルロース誘導体が、ヒドロキシプロピルセルロースであることを特徴とする請求項1?5のいずれか1項に記載の透明導電膜形成用塗布液の製造方法。
【請求項7】
前記アルキルフェノールが、パラターシャリーブチルフェノール(沸点:237℃)であることを特徴とする請求項1?6のいずれか1項に記載の透明導電膜形成用塗布液の製造方法。
【請求項8】
前記二塩基酸エステルが、マロン酸ジメチル(沸点:181?183℃)、コハク酸ジメチル(沸点:196℃)、グルタル酸ジメチル(沸点:210?215℃)、アジピン酸ジメチル(沸点:215?225℃)のいずれか一つ以上であることを特徴とする請求項1?7のいずれか1項に記載の透明導電膜形成用塗布液の製造方法。
【請求項9】
前記ケトン系有機溶剤が、シクロヘキサノン(沸点:155.7℃)、メチルエチルケトン(沸点:79.6℃)のいずれか一つ以上であることを特徴とする請求項1?8のいずれか1項に記載の透明導電膜形成用塗布液の製造方法。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
審決日 2014-02-04 
出願番号 特願2013-131795(P2013-131795)
審決分類 P 1 41・ 852- Y (H01B)
最終処分 成立  
前審関与審査官 石井 徹  
特許庁審判長 山田 靖
特許庁審判官 小川 進
大橋 賢一
登録日 2013-11-29 
登録番号 特許第5418933号(P5418933)
発明の名称 透明導電膜形成用塗布液の製造方法  
代理人 押田 良隆  
代理人 押田 良隆  

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