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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G01N
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 G01N
管理番号 1286800
審判番号 不服2012-14771  
総通号数 174 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2014-06-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2012-08-01 
確定日 2014-04-09 
事件の表示 特願2008-507050「光イメージング検出器」拒絶査定不服審判事件〔平成18年10月26日国際公開,WO2006/111486,平成20年 9月11日国内公表,特表2008-537131〕について,次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は,平成18年4月10日(パリ条約による優先権主張2005年4月19日,(EP)欧州特許庁)を国際出願日とする出願であって,平成24年3月23日付けで拒絶査定がなされ,これに対し,同年8月1日に拒絶査定不服審判の請求がなされるとともに,同日付けにて手続補正(以下,「本件補正」という。)がなされたものである。
さらに,平成25年4月17日付けで審尋がなされ,回答書が同年7月18日付けで請求人より提出されたものである。

第2 本件補正についての補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
本件補正を却下する。

[理由]
1 補正後の本願発明(下線は補正箇所を示す。)
本件補正により,補正前の特許請求の範囲の請求項1は,
「【請求項1】
撮像される対象の蛍光および生物ルミネセンスイメージング用の光イメージング検出器であって,
少なくとも1つの光検出器と,
前記撮像される対象から放射される光をコリメートするように,2次元の格子の中で配置された複数のマイクロレンズを備える少なくとも1つのマイクロレンズアレイと,
を備え,
前記少なくとも1つの光検出器は,個々のセンサ素子の2次元の格子からなる位置敏感光検出器であって,少なくとも1つの前記位置敏感光検出器が,前記マイクロレンズアレイのうちの1つのマイクロレンズアレイの焦点面に置かれ,
前記マイクロレンズアレイの前記複数のマイクロレンズは,前記光検出器のピッチの倍数のピッチで離隔されていることを特徴とする,光イメージング検出器。」
と補正された。

本件補正は,補正前の請求項1に係る発明を特定するために必要な事項である「配置された複数のマイクロレンズを備える少なくとも1つのマイクロレンズアレイ」について,「2次元の格子の中で配置された複数のマイクロレンズを備える少なくとも1つのマイクロレンズアレイ」と,マイクロレンズの配置を限定し,「前記少なくとも1つの光検出器」について,「前記少なくとも1つの光検出器は,個々のセンサ素子の2次元の格子からなる位置敏感光検出器であって,少なくとも1つの前記位置敏感光検出器が,前記マイクロレンズアレイのうちの1つのマイクロレンズアレイの焦点面に置かれ,」と,光検出器の構成を限定した補正を含むものである。
したがって,本件補正は,平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前(以下,「平成18年法改正前」という。)の特許法第17条の2第4項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
そこで,本件補正後の前記請求項1に係る発明(以下「補正発明」という。)が,特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(平成18年法改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に適合するか)について以下に検討する。

2 引用刊行物およびその記載事項(下線は当審で付与した。)
(1)本願の優先権主張日前に頒布され,原査定の拒絶の理由に引用された刊行物である特開平5-223738号(以下,「刊行物1」という。)には,「蛍光断層像測定装置」について,図面とともに次の事項が記載されている。
(1-ア) 「【0001】
【産業上の利用分野】本発明は蛍光断層像測定装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来,生体試料等の蛍光表面像を観測する装置が開発されている。」

(1-イ) 「【0005】図17は高指向性受光系を使用したレーザ励起透過蛍光像観測装置を示す図である。この観測装置は,本発明者は特願平2ー198759として既に提案したものであり,レーザ50により試料52を所定の領域にわたって照射し励起する。所定の領域の照射は,例えばレーザビーム51を走査することにより行う。レーザ励起された試料52の蛍光は,入射光カットフィルタ54を介して高指向性光学系55で受光され,受光された蛍光像は二次元検出器56で検出され,試料52の蛍光像分布53の透過像が検出される。
【0006】ここで高指向性光学系について説明する。本発明者は,特願平1-62898号及び特願平1-250034号等において,散乱光に混入している平面波を分離して取り出し,観察するには,平面波のフランフォーファ回折像(エアリーディスク)の0次スペクトル(エアリーディスクの第1暗輪内の部分が対応する。)のみを観察するようにすればよく,このようにすることによって散乱成分を殆ど除くことができることを示した。そして,このような観察を実現する高指向性素子として,図18のように相互に離れた2つのピンホールP1 ,P2 からなる光学系を提案した。この光学系は,ピンホールP2 を通して0次光を検出器55aで検出するものである。
【0007】また,図19に示すように,直線状の細長い中空のガラス繊維55bからなっており,その内壁面には光吸収材,例えばカーボン等の吸収材が塗布されている高指向性光学素子を提案した。このような光学素子においては,適宜測定対象に応じて開口径と長さを設定し,光学素子を入射開口径に比して充分長くすれば,高指向性光学素子に入射した光のうち,光軸に平行な平面波のみが出射面から取り出せることになる。しかも,このような高指向性光学素子を複数束ねて多光束高指向性光学系を構成することにより,2次元的に強度分布を有する平面波のみを取り出せることも提案した。
【0008】ところで,図18や図19に示したような高指向性光学素子においては,フランフォーファ回折像を観察できる距離においては,フランフォーファ回折の0次の回折像(エアリーディスクの第1暗輪)は,入射側の開口直径より大きくなり,入射側の開口直径と同じ大きさの取り出し開口を用いた場合,0次の回折像の一部しか取り出せず,しかも,観測点を離すほど上記第1暗輪は大きくなり,取り出し開口より取り出されるエネルギーは小さくなることが分かった。
【0009】そこで,図20に示すように,入口開口P1 による回折波を凸レンズLに入射させ,その焦点面上に回折像の第1暗輪に略等しい径を有するピンホールP2 を配置して,0次の回折像の大部分を取り出すようにすることにより,より明るい高指向性光学素子を構成できることが分かった。この素子は,ピンホールP2 の径を入口開口の径以下にすることができるものである。なお,この場合,入口開口P1 はレンズLの開口P0 自身であってもよい。
【0010】図21に示したものは顕微鏡対物レンズからなる対物レンズObとその焦点面に配置したピンホールPとからなり,ピンホールPは対物レンズObによるフランフォーファ回折の0次の回折像のみを通過させるものである。
【0011】また,図22(a)に別の形態の凸レンズGLを示す。これは商品名「セルフォックレンズ」として知られているもので屈折率分布レンズとも呼ばれる。このレンズは,屈折率が中心軸から周辺に徐々に低下しており,凸レンズと同様に集光作用をする。その長さを適当に選択することにより,焦点面を円筒体の端面に一致させることができる。このような屈折率分布レンズGLの一端の焦点面に,図22(b)に示すように,図21の場合と同様なピンホールPを配置してフランフォーファ回折の0次の回折像のみを通過させるようにすることもできる。」

(1-ウ) 「【0014】図25は図22(b)の高指向性光学素子を多数並列させたもので,枠内に多数の同様な屈折率分布レンズGLを俵積み状に規則正しく並べ,例えば黒色シリコン樹脂からなる接着剤Bによって相互に接着すると共に,隙間を通って光が後ろに漏れないようにする。このようにして形成された屈折率分布レンズアレイGAの後ろの面にピンホールアレイPAを密着する。ピンホールアレイPAの各ピンホールは,各屈折率分布レンズGLの軸と一致するように設けられている。そのため,屈折率分布レンズアレイGAの前方から2次元的に強度分布を有する平面波がこの屈折率分布レンズアレイGAに入射すると,ピンホールアレイPAの各ピンホールを通過した光の強度はその分布に従って異なる。したがって,各ピンホールの後ろに別々の光検出器を配置するか,ピンホールアレイPAの後ろに2次元光強度検出器を配置することによって,平面波の2次元的強度分布を測定できる。
【0015】また,図26の多光束高指向性光学系は図21の高指向性光学素子を多数並列させたものに相当するが,この場合,対物レンズを並列に並べる代わりに,平板マイクロレンズPMを用いている。平板マイクロレンズPMは,例えばフォトリソグラフィクな手法を用いて,透明板に微小なレンズを規則的にアレイ状に制作するか,イオン交換,イオン打ち込み等の手法で屈折率分布レンズを規則的にアレイ状に制作したものである。そして,各微小レンズの焦点の位置に対応してピンホールを有するピンホールアレイPAを平板マイクロレンズPMの焦点面に配置することで,図25の多光束高指向性光学系と同様の多光束高指向性光学系を構成することができる。」

(1-エ) 「【0017】【発明が解決しようとする課題】ところで,図14に示した反射蛍光像観測装置では主として試料の表面の蛍光像を観測するもので試料内部の蛍光像を観測するのは困難である。また,図151,図16に示した共焦点方式による反射蛍光像,透過蛍光像観測方式によれば試料内深さ方向に分布した蛍光源分布を観測することができるが,焦点面を観測しているときに,他の深さに蛍光や散乱があると混じって観測されてしまい精度のよい観測はできない。例えば,図16において蛍光像「A」を観測しているとき,蛍光像「B」に蛍光や散乱があるとどうしてもこれが観測されてしまうため断層像の観測としては限界があった。また,図17に示した透過蛍光像観測装置においては試料の三次元蛍光像分布は二次元分布としてしか検出できない。本発明は上記課題を解決するためのもので,蛍光源分布像,蛍光断層像を高精度に観測することができる蛍光断層像測定装置を提供することを目的とする。」

(1-オ)図26には,2次元の格子のそれぞれにマイクロレンズを配置した平板マイクロレンズPMが記載されている。

上記(1-ア)?(1-オ)の記載と第1?27図を参照すると,上記刊行物1には, 次の発明が記載されていると認められる。
「高指向性光学素子である微小レンズを2次元の格子のそれぞれに配置した平板マイクロレンズPMを用い,各微小レンズの焦点の位置に対応してピンホールを有するピンホールアレイPAを平板マイクロレンズPMの焦点面に配置し,各ピンホールの後ろに別々の光検出器を配置する透過蛍光像観測装置。」(以下,「引用発明」という。)

(2)本願の優先権主張日前に頒布され,原査定の拒絶の理由において引用された刊行物である特開2000-180365号公報(以下,刊行物2という。)には,「画像情報読取装置」について,図面とともに次の事項が記載されている。
(2-ア)「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は画像情報読取装置に関し,特に詳細には,画像担体から発光する蛍光や化学発光を光電的に読み取る装置の改良に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来より,生化学・分子生物学分野においては,蛍光色素を標識物質として使用した蛍光検出(fluorescence)システムが知られている。このシステムは,蛍光色素で標識された特定の生物由来物質が分布する試料に励起光を照射し,照射された励起光により励起された蛍光色素から発光される蛍光を光電的に検出して,試料中における特定の生体由来物質の分布を蛍光画像情報として読み取り,遺伝子配列,遺伝子の発現レベル,実験用マウスにおける投与物質の代謝・吸収・排泄の経路・状態,タンパク質の分離・同定,あるいは分子量,特性の評価,定量解析などを行なうものである。
【0003】また,同分野においては上述した蛍光検出システムと同様に,試料中の,化学発光を呈する物質の分布を表す化学発光画像情報を光電的に検出するシステムも知られている。このシステムでは,上述した蛍光検出システムとは異なり,励起光を照射することはなく,特定の生物由来物質と化学反応して光を発する化学物質を用いて,試料中における当該特定の生物由来物質の分布を画像情報として読み取るものである。
【0004】そしてこれらの蛍光検出システムや化学発光光検出システム等に用いられる画像情報読取装置は,試料(画像担体)に対向して配設された,光電変換素子が2次元状に多数配列されてなる2次元光電読取手段(CCD等)により,蛍光や化学発光光を光電検出し,2次元光電読取手段と試料との間には,2次元光電読取手段の受光面上に,試料の像を結像せしめる集光レンズを配設してなる構成が一般に採用されている。」

3 対比・判断
補正発明と引用発明とを対比する。
ア 引用発明の「透過蛍光像観測装置」と,補正発明の「撮像される対象の蛍光および生物ルミネセンスイメージング用の光イメージング検出器」とは,「撮像される対象の蛍光」「イメージング用の光イメージング検出器」の点で共通する。

イ 引用発明の「平板マイクロレンズPM」,「微小レンズ」,および「光検出器」が,それぞれ,補正発明の「マイクロレンズアレイ」,「マイクロレンズ」,および「位置敏感光検出器」に相当することは明らかである。

ウ 引用発明の「平板マイクロレンズPM」は,「高指向性光学素子である微小レンズを2次元の格子のそれぞれに配置した」ものであり,「各微小レンズの焦点の位置に対応してピンホールを有する」のであるから,「各微小レンズ」が観察対象からの光をコリメートしているので,引用発明の「平板マイクロレンズPM」は,補正発明の「前記撮像される対象から放射される光をコリメートするように,2次元の格子の中で配置された複数のマイクロレンズを備える少なくとも1つのマイクロレンズアレイ」に相当する。

エ 引用発明の「光検出器」は「ピンホールアレイPAを平板マイクロレンズPMの焦点面に配置し,各ピンホールの後ろに」「配置する」「別々の」ものであるところ,微量の光を検出する「光検出器」を光量が最大となるようにピンホールに接して置くことは技術常識であるから,引用発明の「光検出器」は「平板マイクロレンズPMの焦点面に配置し」たものといえる。さらに「平板マイクロレンズPM」は「微小レンズを2次元の格子のそれぞれに配置し」たものであるから,引用発明の「光検出器」も微小レンズと同じく2次元の格子となり,微小レンズのピッチと光検出器のピッチが同じとなるから,微小レンズのピッチが光検出器のピッチの倍数(1倍)となっていることも明らかである。
したがって,引用発明が,補正発明の「前記少なくとも1つの光検出器は,個々のセンサ素子の2次元の格子からなる位置敏感光検出器であって,少なくとも1つの前記位置敏感光検出器が,前記マイクロレンズアレイのうちの1つのマイクロレンズアレイの焦点面に置かれ」た構成を備え,さらに,「前記マイクロレンズアレイの前記複数のマイクロレンズは,前記光検出器のピッチの倍数のピッチで離隔されている」ことは明らかである。
なお,「倍数」に「1倍」が含まれているのは,用語の観点からは当然であり,また,本願明細書の【0037】には「(マイクロレンズ)のピッチは,・・・光検出器25のピッチに等しいか,または,その倍数とすべき・・・」と記載されており,両者のピッチが等しい場合(1倍の場合)もそれ以外の倍数(2倍以上)の場合と同様の技術的意義を有するのであるといえるから,「倍数」から「1倍」を除外することの技術的根拠は何ら示されていない。

そうすると,両者は,
(一致点)
「撮像される対象の蛍光イメージング用の光イメージング検出器であって,
少なくとも1つの光検出器と,
前記撮像される対象から放射される光をコリメートするように,2次元の格子の中で配置された複数のマイクロレンズを備える少なくとも1つのマイクロレンズアレイと,
を備え,
前記少なくとも1つの光検出器は,個々のセンサ素子の2次元の格子からなる位置敏感光検出器であって,少なくとも1つの前記位置敏感光検出器が,前記マイクロレンズアレイのうちの1つのマイクロレンズアレイの焦点面に置かれ,
前記マイクロレンズアレイの前記複数のマイクロレンズは,前記光検出器のピッチの倍数のピッチで離隔されている光イメージング検出器。」である点で一致し,以下の点で相違するといえる。

(相違点)
光イメージング検出器により撮像される対象の光イメージングについて,補正発明では蛍光および生物ルミネセンスイメージングであるのに対して,引用発明では,蛍光イメージングのみである点。

(1)相違点についての検討
上記(2-ア)に「本発明は画像情報読取装置に関し,特に詳細には,画像担体から発光する蛍光や化学発光を光電的に読み取る装置の改良に関するものである。
・・・従来より,生化学・分子生物学分野においては,蛍光色素を標識物質として使用した蛍光検出(fluorescence)システムが知られている。・・・試料中における特定の生体由来物質の分布を蛍光画像情報として読み取り,・・・また,同分野においては上述した蛍光検出システムと同様に,試料中の,化学発光を呈する物質の分布を表す化学発光画像情報を光電的に検出するシステムも知られている。・・・当該特定の生物由来物質の分布を画像情報として読み取るものである。・・・そしてこれらの蛍光検出システムや化学発光光検出システム等に用いられる画像情報読取装置は,試料(画像担体)に対向して配設された,光電変換素子が2次元状に多数配列されてなる2次元光電読取手段(CCD等)により,・・・」と記載されており,生化学・分子生物学分野における化学発光は生物ルミネッセンスであるから,「蛍光イメージングに用いる画像情報読取装置が,生化学・分子生物学分野においては,いわゆる生物ルミネセンスイメージングにも使用される周知技術が記載されている。
そして,光イメージング検出器において,読み取れる画像の種類を増やし,光イメージング検出器の価値を高めることは,当業者が当然に考慮する技術事項である。
してみると,引用発明に上記周知技術を適用して,相違点に記載の補正発明の構成とすることは,十分動機付けがあり,阻害要因もなく,当業者が容易に想到するものといえる。

(2)そして,補正発明の作用効果は,刊行物1の記載および,周知技術から当業者が予測し得る範囲内のものにすぎない。

(3)したがって,補正発明は,引用発明,周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるというべきであり,特許法第29条第2項の規定により,特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

4 まとめ
以上のとおりであるから,本件補正は,平成18年法改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に違反するので,同法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により,却下すべきものである。

第3 本願発明について
1 本願発明
本件補正は,上記のとおり却下されることとなるので,本願の請求項1?18に係る発明は,平成23年11月22日付け手続補正書により補正された明細書の特許請求の範囲の請求項1?18に記載された事項により特定されたものであって,その請求項1に係る発明は,次のとおりであると認める。
「【請求項1】 撮像される対象の蛍光および生物ルミネセンスイメージング用の光イメージング検出器であって,
少なくとも1つの光検出器と,
前記撮像される対象から放射される光をコリメートするように配置された複数のマイクロレンズを備える少なくとも1つのマイクロレンズアレイと,
を備え,
前記マイクロレンズアレイの前記複数のマイクロレンズは,前記光検出器のピッチの倍数のピッチで離隔されていることを特徴とする,光イメージング検出器。」(以下,「本願発明」という。)

2 引用刊行物およびその記載事項
本願出願前に頒布された刊行物1,2およびその記載事項は,上記「第2 2」に記載したとおりである。

3 当審の判断
本願発明は,補正発明から「2次元の格子の中で」というマイクロレンズの配置を限定する構成を省き,さらに,「前記少なくとも1つの光検出器は,個々のセンサ素子の2次元の格子からなる位置敏感光検出器であって,少なくとも1つの前記位置敏感光検出器が,前記マイクロレンズアレイのうちの1つのマイクロレンズアレイの焦点面に置かれ,」と光検出器を限定する構成を省いたものに相当する。
そうすると,本願発明の構成要件を全て含む補正発明が,上記「第2 3」において検討したとおり,引用発明,周知技術に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものであるから,本願発明も,同様の理由により,引用発明,周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるというべきである。

第4 まとめ
以上のとおり,本願発明は,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから,その他の請求項について言及するまでもなく,本願出願は拒絶されるべきものである。
よって,結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2013-11-07 
結審通知日 2013-11-12 
審決日 2013-11-25 
出願番号 特願2008-507050(P2008-507050)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (G01N)
P 1 8・ 575- Z (G01N)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 波多江 進伊藤 裕美  
特許庁審判長 森林 克郎
特許庁審判官 信田 昌男
藤田 年彦
発明の名称 光イメージング検出器  
代理人 大野 聖二  
代理人 鈴木 守  
代理人 田中 玲子  
代理人 本橋 たえ子  
代理人 津田 理  
代理人 加藤 真司  
代理人 森田 耕司  

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