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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G06F
管理番号 1287041
審判番号 不服2013-10883  
総通号数 174 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2014-06-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2013-06-11 
確定日 2014-04-24 
事件の表示 特願2010-212242「入力装置および入力装置の制御方法」拒絶査定不服審判事件〔平成22年12月16日出願公開、特開2010-282665〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本願は、平成20年12月9日に出願された特願2008-313620号の一部を、平成22年9月22日に新たな特許出願としたものであって、平成24年8月10日付けで拒絶理由が通知され、これに対し、平成24年10月12日付けで手続補正がなされたが、平成25年3月7日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、平成25年6月11日に拒絶査定不服の審判が請求されたものである。

2.本願発明
本願の請求項1?2に係る発明は、平成24年10月12日付けの手続補正書によって補正された特許請求の範囲の請求項1?2に記載された事項により特定されるとおりのものであるところ、請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、次のとおりのものである。
「【請求項1】
入力部と、
前記入力部に対する押圧荷重を検出する荷重検出部と、
前記入力部を振動させる振動部と、
前記荷重検出部により検出される押圧荷重が所定の基準を満たした際に、前記入力部を超音波領域の周波数で振動させるように前記振動部の駆動を制御する制御部と、
を備えることを特徴とする入力装置。」

3.引用例
(引用例1)
原査定の拒絶の理由に引用された、本願の原出願の出願日前に頒布された刊行物である、特開平10-293644号公報(以下、「引用例1」という。)には、図面とともに次の技術的事項が記載されている。
(ア)「【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、例えばFA(ファクトリーオートメーション)機器、自動販売機、自動券売機、情報機器、家庭電気製品、医療用の操作機器等に用いられるタッチパネル付表示装置に関する。
【0002】
【従来の技術】この種のタッチパネル付表示装置の従来例を図5および図6に示す。
【0003】まずタッチパネル周りの構造を図5を参照して説明すると、このタッチパネル付表示装置は、ケース8内に、情報表示機能を有する表示パネル2を収納し、その上方近傍にタッチパネル4を配置した構造をしている。タッチパネル4は、この例のようにタッチパネル支持板6によって支持される場合が多い。
【0004】タッチパネル4およびタッチパネル支持板6の下部には、タッチパネル4等を機械的に駆動してタッチパネル4の操作者に振動等の触感応答を与える1個以上の駆動部10が設けられており、この駆動部10によってタッチパネル支持板6およびタッチパネル4の全体が支持されている。この駆動部10は、例えば加振用の電磁ソレノイドである。」(第3頁第3欄第3?24行)

(イ)「【0007】次に電気回路を図6を参照して説明すると、このタッチパネル付表示装置は、操作位置検出回路12、スイッチ使用領域設定回路16、一致検出回路14、駆動信号発生回路18等を備えている。
【0008】操作位置検出回路12は、タッチパネル4から与えられる位置成分信号XSおよびYSに基づいて、タッチパネル4の操作位置の座標(Xn ,Ym )を検出して、その操作位置を表す操作位置信号PSを出力する。この操作位置信号PSによって、タッチパネル4の操作された位置を知ることができる。この操作位置信号PSは、外部に出力されると共に、一致検出回路14に与えられる。
【0009】スイッチ使用領域設定回路16は、タッチパネル4において実際にスイッチとして使用する1以上のスイッチ使用領域4aを設定する。即ち、タッチパネル4は前述したように、その面内にマトリックス状に配置された多数のスイッチ部を有しているけれども、通常はその全てをスイッチとして使用するのではなく、幾つかの領域をスイッチとして使用する。どこをスイッチ使用領域4aとして使用するかを、このスイッチ使用領域設定回路16で設定する。このスイッチ使用領域4aは、例えば券売機の例で言えば、行き先や料金等を選択する領域である。
【0010】一致検出回路14は、上記スイッチ使用領域設定回路16で設定したスイッチ使用領域4aと操作位置検出回路12で検出した操作位置とを比較して、両者が重なるときに、即ち設定したスイッチ使用領域4aと検出した操作位置とが一部分または全部で一致するときに、一致検出信号CSを出力する。このことは簡単に言えば、タッチパネル4上でスイッチとして使用するスイッチ使用領域4aのどれかを指等で操作すれば、一致検出回路14から一致検出信号CSが出力されるということである。
【0011】駆動信号発生回路18は、上記一致検出回路14から与えられる一致検出信号CSに応答して駆動信号DSを発生する。
【0012】上記駆動部10は、この駆動信号発生回路18から与えられる駆動信号DSに基づいてタッチパネル4等を前述したように機械的に駆動する。」(第3頁第3欄第40行?同頁第4欄第28行)

(ウ)「【0024】請求項2記載のタッチパネル付表示装置においては、請求項1の場合と違って、論理積手段から出力されるアンド信号に基づいて駆動手段を電気的に駆動するので、タッチパネルのスイッチ使用領域以外の領域を押圧操作しても触感応答は与えられない。スイッチ使用領域を所定の押圧力以上で押圧操作すると初めて、触感応答が与えられ、明確な操作感を得ることができる。従って、スイッチとしての操作感、操作の信頼性等がより向上する。」(第4頁第6欄第48行?第5第7欄第6行)

(エ)「【0026】
【発明の実施の形態】図1は、この発明に係るタッチパネル付表示装置のタッチパネル周りの構造の一例を示す断面図である。図2は、この発明に係るタッチパネル付表示装置の電気回路の一例を示す回路図である。図5および図6の従来例と同一または相当する部分には同一符号を付し、以下においては当該従来例との相違点を主に説明する。
【0027】まずタッチパネル周りの構造を図1を参照して説明すると、このタッチパネル付表示装置は、ケース8内に、具体的にはこの例では前述したタッチパネル4とその下のタッチパネル支持板6との間に、タッチパネル4が所定の押圧力以上で押圧されたことを検出して押圧検出信号SS(図2参照)を出力する押圧検出スイッチ20を備えている。
【0028】この押圧検出スイッチ20は、一つでも良いし、タッチパネル4の周縁部の複数箇所にそれぞれ設けても良い。この押圧検出スイッチ20は、接点スイッチのような接触式のものでも良いし、光電スイッチのような非接触式のものでも良いし、その他、圧電素子のような感圧式のもの等でも良い。この押圧検出スイッチ20は、この例以外の場所、例えばタッチパネル支持板6とそれを支持する駆動部10との間、あるいはタッチパネル支持板6(またはタッチパネル4)とケース8との間等に設けても良い。要は、タッチパネル4が所定の押圧力以上で押圧されたことを検出できれば良い。
【0029】なお、前述した表示パネル2は、要は情報表示機能を有しておれば良く、表示する情報が固定情報であるか可変情報であるか、自発光であるか否か、バックライト等を有しているか否か、等は問わない。例えば、この表示パネル2は、典型的には液晶ディスプレイであるが、その他、EL(エレクトロルミネッセント)ディスプレイ、プラズマディスプレイ、薄型CRT、LEDアレイ、情報を表示する記銘板や液晶シャッターとそれを照らす発光体や反射板とを組み合わせたもの、更には情報を記載した単なる紙や板等でも良い。この内、液晶ディスプレイは、比較的安価であり、しかもタッチパネル4のスイッチ使用領域4a(図2参照)の数、大きさ、配置等の設定・変更に容易に対応することができる。」(第5頁第7欄第18行?同頁第8欄第7行)

(オ)「【0035】駆動部10は、一つでも良いし、タッチパネル4の周縁部の複数箇所にそれぞれ設けても良い。この駆動部10には、例えば、(1)圧電振動子、(2)電磁ソレノイドとプランジャーとの組み合わせ、(3)電磁石と永久磁石との組み合わせ、(4)偏心重りを有する振動モータ、等を用いることができる。
【0036】駆動信号発生回路18および駆動部10によってタッチパネル4を機械的に駆動してタッチパネル4の操作者に触感応答を与える態様としては、例えば、(1)タッチパネル4を振動させる、(2)タッチパネル4を一瞬(1ショット)だけ急に水平方向にスライドさせる、(3)タッチパネル4を急に水平方向にスライドさせ、押している間はこれを保持する、(4)タッチパネル4を一瞬(1ショット)だけ急に下げる、(5)タッチパネル4を急に下げ、押している間はそれを保持する、(6)タッチパネル4を一瞬(1ショット)だけ急に上げる、(7)タッチパネル4を急に上げ、押している間はそれを保持する、等が採り得る。これらの場合に駆動信号発生回路18から駆動部10に与える駆動信号DSの具体例は次のとおりである。即ち、上記(1)の場合は交流信号を与えれば良い。上記(2)、(4)および(6)の場合は、パルス信号を与えれば良い。上記(3)、(5)および(7)の場合は、直流信号を与えれば良い。
【0037】上記によって操作者に与えられる触感応答の具体例は次のとおりである。即ち、上記(1)の場合は、操作者の指等に振動が与えられる。上記(2)?(5)の場合は、タッチパネル4のスイッチ部を一定のストロークだけ押し込んだというストローク感と、同スイッチ部を急に操作したというクリック感の両方が操作者の指等に与えられる。上記(6)および(7)の場合は、タッチパネル4が突き上がって来る刺激によって、タッチパネル4を急に操作したというクリック感が操作者の指等に与えられる。」(第5頁第8欄第39行?第6頁第9欄第21行)(当審注:丸数字の1?7を、(1)?(7)と表記した。)

(カ)「【0050】図3に示す実施の形態を、図2に示したものとの相違点を主体に説明すると、この実施の形態では、論理積回路22から出力されるアンド信号ASを駆動信号発生回路18に与えて、このアンド信号ASに応答して駆動信号発生回路18から駆動信号DSを発生させるようにしている。
【0051】このようにすれば、タッチパネル4のスイッチ使用領域4a以外の領域4bを所定の押圧力以上で押圧操作しても、一致検出回路14から一致検出信号CSは出力されないので、論理積回路22からアンド信号ASは出力されず、従って駆動信号発生回路18から駆動信号DSは出力されず、駆動部10は電気的に駆動されないので、操作者に触感応答は与えられない。スイッチ使用領域4aを所定の押圧力以上で押圧操作すると初めて、一致検出回路14から一致検出信号CSが出力されると共に押圧検出スイッチ20から押圧検出信号SSが出力され、論理積回路22からアンド信号ASが出力され、駆動信号発生回路18から駆動信号DSが出力され、それによって駆動部10が電気的に駆動されて操作者に触感応答が与えられ、明確な操作感を得ることができる。従って、タッチパネル4のスイッチ使用領域4aを押圧操作したときにだけ触感応答が与えられるので、スイッチとしての操作感、操作の信頼性等がより向上する。」(第7頁第11欄第30行?同頁第12欄第3行)

上記引用例1記載事項及び図面を総合勘案すると、引用例1には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されているものと認められる。
「タッチパネル付表示装置において、
タッチパネル付表示装置は、操作位置検出回路12、スイッチ使用領域設定回路16、一致検出回路14、駆動信号発生回路18、及び押圧検出スイッチ20を備え、
タッチパネル4およびタッチパネル支持板6の下部には、タッチパネル4等を機械的に駆動してタッチパネル4の操作者に振動等の触感応答を与える1個以上の駆動部10が設けられ、
タッチパネル4において実際にスイッチとして使用する1以上のスイッチ使用領域4aを設定し、
上記駆動部10は、この駆動信号発生回路18から与えられる駆動信号DSに基づいてタッチパネル4等を前述したように機械的に駆動し、
押圧検出スイッチ20は、タッチパネル4が所定の押圧力以上で押圧されたことを検出して押圧検出信号SSを出力し、
駆動信号発生回路18および駆動部10によってタッチパネル4を機械的に駆動してタッチパネル4の操作者に触感応答を与える態様としては、タッチパネル4を振動させることを採り得、この場合に駆動信号発生回路18から駆動部10に与える駆動信号DSとしては、交流信号を与えれば良く、
スイッチ使用領域4aを所定の押圧力以上で押圧操作すると初めて、一致検出回路14から一致検出信号CSが出力されると共に押圧検出スイッチ20から押圧検出信号SSが出力され、論理積回路22からアンド信号ASが出力され、駆動信号発生回路18から駆動信号DSが出力され、それによって駆動部10が電気的に駆動されて操作者に触感応答が与えられ、明確な操作感を得ることができ、従って、タッチパネル4のスイッチ使用領域4aを押圧操作したときにだけ触感応答が与えられるので、スイッチとしての操作感、操作の信頼性等がより向上する、
タッチパネル付表示装置。」

(引用例2)
本願の原出願の出願前に頒布された刊行物である、特開2005-190290号公報(以下、「引用例2」という。)には、図面とともに、次の技術的事項が記載されている。
(キ)「【0011】
以下、本発明の実施形態について説明する。
図1に、本実施形態に係る電子システムの構成を示す。
図示するように、本電子処理システムは、オーディオ装置やナビゲーション装置などの個々の機能を果たす装置である個別機能装置1と、各個別装置の制御を行う制御装置2と、液晶表示パネル3と、タッチパネル4と、振動ユニット5と、液晶表示パネル3を表示駆動する表示コントローラ6と、タッチパネル4のタッチ発生、デタッチ(タッチの解除)発生の検出やタッチ座標(タッチされている座標)の検出を行うタッチパネルコントローラ7と、振動ユニット5を駆動する振動コントローラ8とを有する。」(第4頁第49行?第5頁第7行)

(ク)「そして、ユーザのボタンへのタッチが発生したならば、タッチ位置がボタンに対応する位置であるかどうかを、発生したイベントがボタン外タッチ発生イベントとボタンタッチ発生イベントとのどちらであるかより判定する(ステップ204)。そして、タッチ位置がボタンに対応する位置であれば、タッチされたボタンを選択ボタンに設定する(ステップ206)。そして、振動ドライバ25と振動コントローラ8を介して振動ユニット5に、ボタン選択操作受け付けを表す振動パターンVP1を発生させる(ステップ208)。」(第6頁第18?23行)

(ケ)「【0029】
以上、ボタン操作受け付け処理の手順について説明した。
ここで、図4は、以上のボタン操作受け付け処理においてボタン選択操作受け付けをユーザに通知するために用いた振動パターンVP1と、ボタン決定操作受け付けをユーザに通知するために用いた振動パターンVP2を示したものである。
図中、aは振動パターンVP1の波形を示し、bが振動パターンVP2の波形を示している。図示するように振動パターンVP1は正弦波となっており、その振動数は、たとえば、120kHzである。そして、この振動パターンVP1は、比較的重い感じのクリック感をユーザに与える。」(第8頁第16?24行)

(引用例3)
本願の原出願の出願前に頒布された刊行物である、特開2006-150865号公報(以下、「引用例3」という。)には、次の技術的事項が記載されている。
(コ)「また請求項8乃至15に記載の本発明によれば、画像形成装置のタッチパネルが押下されたことを検知したときは、タッチパネルを振動させるようにしているので、操作者にタッチパネルの押下を知らせることができ、操作性を向上させた画像形成装置を提供することができる。」(第5頁第31?34行)

(サ)「この場合、キー選択検知手段4は、操作部上にあるタッチパネル5が押されたことを検知すると、CPU1は振動時間設定手段17により設定された振動時間と振動周波数設定手段10により設定された振動周波数、及び振動波形設定手段11により設定された振動波形と振動待機時間設定手段18により設定された振動開始時間とにより操作パネル振動手段12を制御する。
なお、振動時間設定手段17により設定された振動時間、及び振動待機時間設定手段18により設定された振動開始時間は、例えば操作者が予め0秒から10秒まで任意に設定できるものとする。また振動周波数設定手段10により設定された振動周波数も、例えば操作者が予め0Hzから100kHzまで任意に設定できるものとする。さらに、振動波形設定手段11により設定された振動波形は、正弦波、矩形波、三角波、あるいはこれら複数の波形の組み合わせを任意に設定できるものとする。」(第7頁第9?19行)

(引用例4)
原査定の拒絶の理由で引用された、本願の原出願の出願前に頒布された刊行物である、特開平9-319518号公報(以下、「引用例4」という。)には、次の技術的事項が記載されている。
(シ)「【0042】●第3の実施形態例の効果の説明
上記のような構造になっていることから、タッチパネルの入力区画あるいは記号エリアの被覆部では超音波振動によるスクイズ効果が起こり、被覆部表面の粗滑を局所的に変化させることができる(渡部、「瞬間的な超音波振動による触感制御」、SICE’95、pp.751-752参照)。操作者は、この粗滑の違いを解釈することによって、タッチパネルを見ないでもタッチパネルの入力区画あるいは記号エリアを理解し、所望する入力区画あるいは記号エリアを押すことができる。」(第4頁第6欄第49行?第5頁第7欄第8行)

4.対比
本願発明と引用発明とを比較する。
引用発明の「タッチパネル4において実際にスイッチとして使用する1以上のスイッチ使用領域4a」 が、本願発明の「入力部」に相当する。
次に、引用発明の「押圧検出スイッチ20は、タッチパネル4が所定の押圧力以上で押圧されたことを検出して押圧検出信号SSを出力」するものであるから、該「押圧検出スイッチ20」が、本願発明の「前記入力部に対する押圧荷重を検出する荷重検出部」に相当する。
次に、引用発明の「タッチパネル4を機械的に駆動」する「駆動部10」は、「タッチパネル4を振動させる」態様を採り得るから、本願発明の「前記入力部を振動させる振動部」に相当する。
次に、引用発明の「タッチパネル4が所定の押圧力以上で押圧されたことを検出して押圧検出信号SSを出力」する「押圧検出スイッチ20」により、「スイッチ使用領域4aを所定の押圧力以上で押圧操作すると初めて、一致検出回路14から一致検出信号CSが出力される」(以下、「スイッチ使用領域4aを所定の押圧力以上で押圧操作すると」という。)ことが、本願発明の「前記荷重検出部により検出される押圧荷重が所定の基準を満たした際」に相当する。
次に、引用発明では、「スイッチ使用領域4aを所定の押圧力以上で押圧操作すると初めて」、「駆動信号発生回路18から駆動信号DSが出力され、それによって駆動部10が電気的に駆動され」、また、「駆動信号発生回路18および駆動部10によってタッチパネル4を機械的に駆動してタッチパネル4の操作者に触感応答を与える態様としては、タッチパネル4を振動させることを採り得」るものである。
よって、引用発明のかかる制御に用いられる「押圧検出スイッチ20」、「一致検出回路14」及び「駆動信号発生回路18」と、本願発明の「前記荷重検出部により検出される押圧荷重が所定の基準を満たした際に、前記入力部を超音波領域の周波数で振動させるように前記振動部の駆動を制御する制御部」とは、「前記荷重検出部により検出される押圧荷重が所定の基準を満たした際に、前記入力部を振動させるように前記駆動部の駆動を制御する制御部」の点で共通する。

すると、本願発明と引用発明とは、次の点で一致する。
(一致点)
入力部と、
前記入力部に対する押圧荷重を検出する荷重検出部と、
前記入力部を振動させる駆動部と、
前記荷重検出部により検出される押圧荷重が所定の基準を満たした際に、前記入力部を振動させるように前記駆動部の駆動を制御する制御部と、
を備えることを特徴とする入力装置。

また、両者は次の点で相違する。
<相違点>
本願発明では、「前記荷重検出部により検出される押圧荷重が所定の基準を満たした際」に、前記入力部を「超音波領域の周波数」で振動させるようにしているのに対し、引用発明では、スイッチ使用領域4aを所定の押圧力以上で押圧操作すると、「タッチパネル4を振動」させることは示されているものの、「超音波領域の周波数」で振動させることは示されていない点。

5.判断
そこで、上記相違点について検討する。
引用例2(特開2005-190290号公報)には、「タッチパネル」における「ボタン選択操作受け付けをユーザに通知するために用い」る「振動パターンVP1」について、「振動パターンVP1は正弦波となっており、その振動数は、たとえば、120kHzである。そして、この振動パターンVP1は、比較的重い感じのクリック感をユーザに与える。」と記載され、また、引用例3(特開2006-150865号公報)には、「タッチパネルを振動させ」て「操作者にタッチパネルの押下を知らせる」ための「振動周波数」について、「また振動周波数設定手段10により設定された振動周波数も、例えば操作者が予め0Hzから100kHzまで任意に設定できるものとする。」と記載され、引用例4(特開平9-319518号公報)には、「タッチパネルの入力区画あるいは記号エリアの被覆部では超音波振動によるスクイズ効果が起こり、被覆部表面の粗滑を局所的に変化させることができ」、「操作者は、この粗滑の違いを解釈することによって、タッチパネルを見ないでもタッチパネルの入力区画あるいは記号エリアを理解し、所望する入力区画あるいは記号エリアを押すことができる。」と記載されており、超音波領域の周波数とは、一般的に、20kHz以上の周波数を意味するから、本願の原出願の出願前において、タッチパネルの入力部を振動させて操作者に触感を与える際、その振動の周波数として「超音波領域」の周波数を採用することは、当業者にとって、周知の事項であったと認められる。
また、引用発明と上記周知の事項とは、タッチパネル操作という共通の技術分野に属するものである。
よって、上記周知の事項を引用発明に適用し、引用発明において、スイッチ使用領域4aを所定の押圧力以上で押圧操作すると(前記荷重検出部により検出される押圧荷重が所定の基準を満たした際に)、タッチパネル4を「超音波領域の周波数」で振動させ、上記相違点に係る本願発明の構成とすることは、当業者が容易になし得たことである。

また、本願の請求項1に特定された「前記荷重検出部により検出される押圧荷重が所定の基準を満たした際に、前記入力部を超音波領域の周波数で振動させる」との構成から導かれる作用効果も、引用発明及び周知の事項から、当業者が予測し得たものである。

よって、本願の請求項1に係る発明は、引用例1に記載された発明及び周知の事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

6.まとめ
以上のとおり、本願の請求項1に係る発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものである。
したがって、その余の請求項について論及するまでもなく、本願は、拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2014-02-13 
結審通知日 2014-02-18 
審決日 2014-03-07 
出願番号 特願2010-212242(P2010-212242)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (G06F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 岩橋 龍太郎  
特許庁審判長 清水 稔
特許庁審判官 山田 正文
和田 志郎
発明の名称 入力装置および入力装置の制御方法  
代理人 大倉 昭人  
代理人 杉村 憲司  

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