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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 B65H |
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管理番号 | 1287147 |
審判番号 | 不服2013-14636 |
総通号数 | 174 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2014-06-27 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2013-07-31 |
確定日 | 2014-05-13 |
事件の表示 | 特願2011- 70531「ラベルプリンタ」拒絶査定不服審判事件〔平成23年 8月 4日出願公開、特開2011-148638、請求項の数(13)〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 |
理由 |
第1 手続の経緯・本願の発明 1.本願は、平成18年9月29日に出願した特願2006-266840号(以下「原出願」という。)の一部を、平成23年3月28日に特許法第44条第1項の規定による新たな特許出願としたものであって、平成25年4月26日付けで拒絶査定がされ(拒絶査定の謄本送達(発送)日 同年5月7日)、これに対して、平成25年7月31日に拒絶査定不服審判が請求され、同時に特許請求の範囲についての手続補正がされたものである。 2.平成25年7月31日付けの手続補正(以下「本件補正」という。)の適否 本件補正は、特許請求の範囲の請求項9末尾に関して、本件補正前の「1ないし8のいずれかにラベルプリンタ。」とした記載を、「1ないし8のいずれかに記載のラベルプリンタ。」とするものである。 この補正は、特許法第17条の2第5項第3号に規定される誤記の訂正を目的とするものに該当し、適法なものといえる。 3.本願の発明 上記のとおり、本件補正は適法なものと認められるので、本願の請求項に係る発明は、平成25年7月31日付け手続補正後の明細書、特許請求の範囲及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1?13に記載された事項により特定されるとおりのものと認められるところ、そのうち請求項1に係る発明は次のものである。 「【請求項1】 粘着ラベル連続体をロール状に巻き取った粘着ロールがその間に挿入され、両側面部から挟み込む摺動自在な一対の用紙ガイドを備えたラベルプリンタであって、 前記一対の用紙ガイドの対向面には、前記対向面から突出する凸部が前記粘着ロールの挿入方向に沿って設けられていることを特徴とするラベルプリンタ。」(以下「本願発明」という。) 第2 刊行物の記載事項 1.引用刊行物1 原査定の拒絶の理由で「引用文献1」とされた、原出願の出願前に頒布された刊行物である特開2004-292158号公報(以下「引用刊行物1」という。)には、図とともに下記の事項が記載されている。 (1)「【0001】 【発明の属する技術分野】 本発明はプリンタのロール紙支持装置に係り、特にファクシミリなどに用いられる記録紙、あるいは台紙上に貼付されたラベルやシールなどが巻回されたロール紙を支持するプリンタのロール紙支持装置に関する。」 (2)「【0006】 【課題を解決するための手段】 本発明は前記目的を達成するために、ロール紙を軸方向に挟んで配設された一対の支持部材と、前記ロール紙の巻芯部より内側に伸張し、ロール紙を引っ掛けて回転可能に支持するロール紙支持軸とを備えたプリンタのロール紙支持装置において、前記支持部材の少なくとも一方には、ロール紙の回転時に前記巻芯部の内側面に当接して前記ロール紙支持軸を中心としたロール紙の振れを規制するロール紙振れ止めピンを設けたことを特徴としている。」 (3)「【0009】 【発明の実施の形態】 以下、添付図面に従って、本発明に係るプリンタのロール紙支持装置の好ましい実施の形態を、図1に示すラベルプリンタ10を用いて説明する。なお、図1はプリンタカバー31を開いた状態を示している。・・・ 【0011】 プリンタ本体12内部には回転駆動可能なプラテンローラ24、印字ヘッド30、ロール紙供給部32、ロール紙支持装置44などが設けられている。 【0012】 ロール紙供給部32にはロール紙40が収納される。このロール紙40はラベル41,41…が所定の間隔で仮貼付された台紙42を巻芯43に巻回させたものである。ロール紙40をロール紙供給部32に収納した後、ロール紙40から台紙42を排紙部18方向に引き出してプリンタカバー31を閉じると、印字ヘッド30とプラテンローラ24との間の隙間(搬送経路)に台紙42が位置される。・・・ 【0014】 さて、ロール紙供給部32のロール紙支持装置44は、図2に示すように一対の支持板46,48、ロール紙支持軸50,51、ロール紙振れ止めピン52,52などから構成されている。 【0015】 支持板46,48は、夫々その下部にラック54,54を備え、ロール紙供給部32の底面に形成されたガイド溝(不図示)に当該ラック54,54が摺動自在に嵌合されている。また、ロール紙供給部32の底面には両ラック54に噛合されたピニオン56が不図示の軸を介して回転自在に配設されている。一方の支持板46を任意の方向に摺動すると他方の支持板48が支持板46の摺動方向と逆方向に摺動され、これにより支持板46,48は相互に接近離間する。なお、符号58,58はラック54,54を直進ガイド溝57,57に沿ってガイドするガイドピンである。」 (4)「【0025】 次に、本発明に係るプリンタのロール紙支持装置の第3の実施の形態を説明する。 【0026】 図6に示すロール紙支持装置70において、支持板71,72には貫通部71a,72aが形成されており、この貫通部71a,72aには揺動部材74,75が設けられている。貫通部71a,72aにはロール紙40の巻芯43と直行する方向に枢軸73,73が設けられ、前記揺動部材74,75はこの枢軸73,73に揺動自在に軸支されている。揺動部材74,75の側面上部にはロール紙40の巻芯43を支持するロール紙支持軸50,51が突設されている。また、揺動部材74の側面にはロール紙振れ止めピン52,52が取り付けられ、巻芯43が前記ロール紙支持軸50,51に支持された際、巻芯43回転軸の中心よりも下方側で、巻芯43の内側面に当接するように位置決めされている。支持板71,72の支持部71b,72bには、揺動部材74,75の下端部同士を接近させる方向に付勢するばね76,76が設けられている。なお、ロール紙支持軸50,51やロール紙振れ止めピン52,52など、前述した構成と同様の部材には同様の番号を付している。 【0027】 このように構成された本実施の形態の作用について説明すると、ロール紙40がロール紙支持装置70に装着されていない状態では、ばね76,76によって揺動部材74,75の下端部74a,75aが付勢され、枢軸73を中心として揺動部材74,75が揺動されて、支持板の71,72内面よりも内側に下端部74a,75aが突出する。この状態ではロール紙支持軸50,51およびロール紙振れ止めピン52,52は、貫通部71a,72aの内側に位置される(図6破線部)。 【0028】 ロール紙40をロール紙支持装置70に装着するため、ロール紙40を同図矢印Dに示すように下降させると、ロール紙40の下側両端部が揺動部材74,75の下端部74a,75aに当接した後、下端部74a,75aが貫通部71a,72a内に押し込まれる。すると、ロール紙支持軸50,51およびロール紙振れ止めピン52,52が貫通部71a,72aから突出し、ロール紙40の巻芯43の中空部に挿入される。 【0029】 印字時には、ロール紙振れ止めピン52,52が巻芯43の内側面に当接し、ロール紙40が台紙42(図6において図示せず)の引き出し方向に対して位置決めされ、ロール紙40の振れが発生することなく台紙42を安定供給できる。なお、ロール紙40を取り外す場合には、前述した装着手順と逆の手順によってロール紙40を上方へ引き上げる操作を行えばよく、これによりロール紙40の着脱操作がきわめて簡便なものとなる。」 (5)「【0038】 また、本実施の形態ではラベル41が仮貼付された台紙42からなるロール紙40を用いたプリンタを例として説明したが、これに限ることなく、台紙無しラベル連続体が巻回されたロール紙を用いるプリンタや、記録紙が巻回されたロール紙を用いるファクシミリなどにおいても本発明を適用できる。」 上記の記載を総合すると、引用刊行物1には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。 「ラベル41,41…が所定の間隔で仮貼付された台紙42を巻芯43に巻回させたロール紙40や、台紙無しラベル連続体が巻回されたロール紙を支持するロール紙支持装置70が設けられたラベルプリンタであって、 ロール紙支持装置70は、ロール紙を軸方向に挟んで配設された一対の支持板71,72を備え、これらの支持板71,72はラック54,54、及び両ラック54に噛合されたピニオン56によって任意の方向に摺動可能とされ、支持板71,72には貫通部71a,72aが形成されており、この貫通部71a,72aには揺動部材74,75が設けられて、この揺動部材74,75は枢軸73,73に揺動自在に軸支されると共に、下端部同士を接近させる方向に付勢するばね76,76が設けられており、 ロール紙40をロール紙支持装置70に装着するため、ロール紙40を両支持板71,72間で下降させると、ロール紙40の下側両端部が揺動部材74,75の下端部74a,75aに当接した後、下端部74a,75aが貫通部71a,72a内に押し込まれ、ロール紙支持軸50,51およびロール紙振れ止めピン52,52が貫通部71a,72aから突出し、ロール紙40の巻芯43の中空部に挿入されることにより、ロール紙40が支持されるラベルプリンタ。」 2.引用刊行物2 原査定の拒絶の理由で「引用文献2」とされた、原出願の出願前に頒布された刊行物である実願平4-37147号(実開平5-95746号)のCD-ROM(以下「引用刊行物2」という。)には、図とともに下記の事項が記載されている。 (1)「【0004】 【課題を解決するための手段】 本考案のロール紙の保持構造は、ロール紙の巻芯に設けられた貫通穴の両側を保持リブの突出部で支持するロール紙の保持構造において、プリンタが搭載されたケースと、ケースに回動可能に取り付けられロール紙を支持する保持リブを具備したロール紙カバーを有することを特徴とする。・・・ 【0006】 更に、保持リブの突出部は、少なくともロール紙の幅方向を規制するガイド面からの傾斜面を有し、傾斜面はケースが開かれたときは開口部側であって、ロール紙カバーが閉じられたときは、突出部の鉛直方向の上方には位置されないことを特徴とする。 【0007】 又更に、保持リブはガイド面と同じ高さの補助リブを有していることを特徴とし、更にロール紙カバーの内側にロール紙の幅方向の移動を規制する補助ガイドが配置されていることを特徴とする。」 (2)「【0008】 【作用】 本考案によれば、プリンタが搭載されたケースに対し、ロール紙を支持する保持リブのあるロール紙カバーが回動可能なことにより、ロール紙は大きく開かれた開口部からロール紙カバーにセットすることができる。 【0009】 又、ケースには保持リブと係合する凹部が配置されることにより、保持リブと凹部が係合し、保持リブの位置が規制される。 【0010】 更に、保持リブの突出部は、少なくともロール紙の幅方向を規制するガイド面からの傾斜面を有することにより、ロール紙が傾斜面を広げるためリブが外側に広がり脱着が容易で且つ、傾斜面が突出部の鉛直方向の上方には位置されないのでロール紙の自重等でリブが広げられることがない。 【0011】 保持リブはガイド面と同じ高さの補助リブを有しているのでロール紙の幅方向のガイドとなり、更に補助ガイドはロール紙カバーが開いているときのロール紙のガイドとなる。」 (3)「【0013】 次に動作について説明する。下ケース6には、紙送り機構部5と印字機構部7が固定されている。ロール紙2の挿入空間を構成する上ケース8も下ケース6に固着されている。上ケース8に設けられた突起9は、ロール紙カバー1を回転させるもので、ロール紙カバー1が閉じたときに保持リブ3の突出部10を基準に紙送り機構部6の反対側にあり、尚かつ下側で左右対象に位置されている。保持リブ3は、ロール紙カバー1の内天面(内側上面)から形成され、巻芯11の貫通穴に嵌入してロール紙2を支える突出部10とロール紙2及び巻芯11の側面を受けるガイド面12を構成している。」 (4)「【0020】 図5はロール紙カバー1の内側の断面図である。補助リブ15は保持リブ3にガイド面12と同じ高さの飛び出し面を構成してガイド面12の端からロール紙カバー1の内天面につながっている。ロール紙2に巻乱れが発生したとき、横方向への広がりを押えて経路違いによる紙づまりなどの不具合の発生を防いでいる。また、保持リブ3を補強しておりロール紙2の適度な嵌脱ができる弾性力を確保している。補助ガイド16は補助リブ15と同様にロール紙2の巻みだれが発生したときの不具合対策とロール紙カバー1が開いている状態でロール紙2嵌入後、紙を引き出したときの横方向への紙経路を規制して紙の挿入性が容易になるように改善している。」 3.引用刊行物3 原査定の拒絶の理由で「引用文献3」とされた、原出願の出願前に頒布された刊行物である特開2002-12344号公報(以下「引用刊行物3」という。)には、図とともに下記の事項が記載されている。 「【特許請求の範囲】 【請求項1】 印字に応じて巻き終り側から所定量ずつ繰り出される片面に糊が付着されたロール紙を収納位置に収納し、その収納位置で前記ロール紙の繰り出し方向に対する両側面の位置を側面規制部材でそれぞれ規制するようにしたプリンタのロール紙収納部において、 前記両側に設けられた各側面規制部材の前記ロール紙の側面をそれぞれ規制する面に非粘着処理を施したことを特徴とするプリンタのロール紙収納部。【請求項2】 前記非粘着処理は、前記各側面規制部材の前記ロール紙の側面をそれぞれ規制する面に形成したシボ処理であることを特徴とする請求項1記載のプリンタのロール紙収納部。」 4.引用刊行物4 原査定の拒絶の理由で「引用文献4」とされた、原出願の出願前に頒布された刊行物である特開2000-238937号公報(以下「引用刊行物4」という。)には、図とともに下記の事項が記載されている。 (1)「【0006】 【発明の実施の形態】以下、本発明の第1の実施形態について、図1ないし図4を参照して説明する。本実施形態は、ラベルプリンタ等の印字装置に適用した例について示したものであり、図1において符号1は、前記ラベルプリンタを示す。 【0007】このラベルプリンタ1は、基体2と、この基体2の上面一端部側に設けられたサーマルヘッド等の印字ヘッド3と、他端部側に設けられた本実施形態に係わるロール物の支持装置4とによって構成されている。 【0008】前記ロール物Rは、本実施形態においては長尺な記録紙Wを巻回したものであり、この記録紙Wは、前記支持装置4に支持されているロール物Rから引き出されて、前記印字ヘッド3へ送り込まれるようになっている。 【0009】そして、本実施形態に係わる支持装置4は、前記基体2に形成され上方に開口されたロール物収納凹部5内に設置されており、このロール物収納凹部5の底部に、記録紙Wの引き出し方向と直交する方向に間隔をおいて配置され、間に、前記ロール物が上方からその径方向に沿って挿入される一対の支持部材6と、これらの支持部材6のそれぞれに、前記ロール物Rの軸方向ならびに挿入方向と略直交する方向に沿って設けられた一対の枢軸7と、前記各支持部材6の対向面側に、上下方向に沿って配設されるとともに、長さ方向の略中間部において前記各枢軸7に揺動自在に装着された一対の揺動部材8と、これらの各揺動部材8の上端部近傍に、他の揺動部材8へ向けて突出させられた係止ピン9と、前記各揺動部材8を、これらの下端部どおしを接近させる方向に付勢する付勢部材10(図2および図3参照)とを備え、前記支持部材6の前記枢軸7によって支持された部分の間隔が、前記ロール物Rの長さよりも若干大きくなるように設定された基本構成となっている。」 (2)「【0014】また、本実施形態においては、前記支持部材6の一つに、この支持部材6を、前述したガイド溝12に沿った任意の位置に係止するための係止機構15が設けられている。この係止機構15は、図1に示すように、前記ロール物収納凹部5の内壁面で、前記支持部材6の側面に対向させられる位置に、前記ガイド溝12と平行に形成された鋸刃状の多数の係止溝16と、前記支持部材6の、前記係止溝16に対向する部分に装着されて、この係止溝16に係脱させられるストッパ17とによって構成されている。 【0015】そして、このストッパ17は、その一部が、図1および図4に示すように、前記支持部材6の側部から突出させられているとともに、突出方向へ向けて漸次狭まるようにテーパが設けられて、このテーバ部分において前記係止溝16へ係合させられることにより、前記支持部材6の摺動を拘束するようになっている。また、前記ストッパ17は、図4に示すように、前記支持部材6に上下方向に摺動可能に装着された操作ロッド18の下端部に一体に取り付けられている。そして、この操作ロッド18の上端部は、前記支持部材6の上端部から常時突出する長さに形成されている。 【0016】したがって、前記操作ロッド18の上端部を把持して上方へ引き上げることにより、前記ストッパ17が係止溝16から引き抜かれ、これによって、支持部材6の摺動が許容され、また、支持部材6を所定位置まで摺動させた後に、操作ロッド18を下降させて前記ストッパ17を係止溝16の一つに係合させることによって、支持部材6の摺動が拘束される。ここで、一方の支持部材6の摺動を拘束すると、この一方の支持部材6に対して、他方の支持部材6が、一対のラック13と、これらに噛合されたピニオン14とによって連結されていることにより、他方の支持部材6の摺動も併せて拘束される。」 第3 対比 本願発明と引用発明を対比する。 引用発明の「ラベル41,41…が所定の間隔で仮貼付された台紙42を巻芯43に巻回させたロール紙40」及び「台紙無しラベル連続体が巻回されたロール紙」と、本願発明の「粘着ロール」とは、「ロール」である点で共通する。 そして、引用発明で「ロール紙40を両支持板71,72間で下降させると、ロール紙40の下側両端部が揺動部材74,75の下端部74a,75aに当接した後、下端部74a,75aが貫通部71a,72a内に押し込まれ、ロール紙支持軸50,51およびロール紙振れ止めピン52,52が貫通部71a,72aから突出し、ロール紙40の巻芯43の中空部に挿入されることにより、ロール紙40が支持される」としているのは、ロール紙40が両支持板71,72間に挿入され、「支持板71,72」及び、この支持板に設けられた「揺動部材74,75」によって挟み込まれる状態をいうものである。したがって、引用発明における「任意の方向に摺動可能」とされた「支持板71,72」及び、この支持板に設けられた「揺動部材74,75」は、本願発明でいう「粘着ロールがその間に挿入され、両側面部から挟み込む摺動自在な一対の用紙ガイド」に相当するものといえる。 よって、本願発明と引用発明とは、 「粘着ラベル連続体をロール状に巻き取ったロールがその間に挿入され、両側面部から挟み込む摺動自在な一対の用紙ガイドを備えたラベルプリンタ。」 の点で一致し、以下の点で相違するものと認められる。 本願発明は、「ロール」が「粘着ロール」であり、「前記一対の用紙ガイドの対向面には、前記対向面から突出する凸部が前記粘着ロールの挿入方向に沿って設けられている」のに対し、引用発明は、「ロール」が「粘着ロール」であるか否か明らかでなく、「一対の用紙ガイドの対向面」にそのような凸部が設けられていない点(以下「相違点」という。)。 第4 判断 上記相違点につき検討する。 上記引用文献2記載の「保持リブ(3)」は、「ロール紙2及び巻芯11の側面を受けるガイド面12を構成している」のであるから(【0013】参照)、「用紙ガイド」とみることができるし、また、保持リブ(3)が有する「補助リブ(15)」は、「ガイド面12と同じ高さの飛び出し面」を構成するとされているところから、上記の「補助リブ(15)」を、「一対の用紙ガイドの対向面から突出する凸部」とみることができる。 したがって、引用発明において、上記の「補助リブ(15)」に係る構成を、「前記粘着ロールの挿入方向に沿って設け」る態様で採用すれば、上記相違点で指摘した本願発明の構成を充足することになり、本願発明は、引用発明及び引用文献2に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものといえる。 しかし、上記引用文献2記載の「補助リブ(15)」は、「ロール紙2に巻乱れが発生したとき、横方向への広がりを押えて経路違いによる紙づまりなどの不具合の発生を防」ぐものであるところ、引用発明の「ロール紙」は「粘着ロール」であるか否か明らかでなく、また仮に引用発明に係る「ロール紙」が、本願発明の場合と同様に粘着ロールであるとした場合には、「ロール紙(2)に巻乱れが発生」することは想定し難い。 即ち、引用発明の属する技術分野と引用文献2に記載された発明の属する技術分野との間に、「ロール紙の保持構造」という点において共通性が認められるとはいえ、本願の発明をみることなく、引用発明の揺動部材(74、75)に、引用文献2記載の「補助リブ(15)」に係る発明を適用することが想到できたとしうるに足りる、十分な動機付けには欠けるというべきである。 したがって、本願発明を、引用発明及び引用文献2に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとすることはできない。 また、本願発明は、引用発明及び上記引用文献2?4に記載された発明に基づいても、当業者が容易に発明をすることができたものであるともいえない。 さらに、本願の請求項2ないし13に係る発明は、本願発明に、これを更に限定する事項を加えた発明であるので、本願発明と同様に、当業者が引用発明及び引用文献2?4に記載された発明に基づいて容易に発明をすることができたものとはいえない。 第5 むすび 以上のとおり、本願の各請求項に係る発明は、上記引用発明及び引用文献2?4に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえないから、原査定の拒絶理由によっては、本願を拒絶することができない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審決日 | 2014-04-24 |
出願番号 | 特願2011-70531(P2011-70531) |
審決分類 |
P
1
8・
121-
WY
(B65H)
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最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 木村 立人 |
特許庁審判長 |
黒瀬 雅一 |
特許庁審判官 |
畑井 順一 吉野 公夫 |
発明の名称 | ラベルプリンタ |