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審決分類 審判 訂正 ただし書き2号誤記又は誤訳の訂正 訂正する H04L
管理番号 1287727
審判番号 訂正2013-390234  
総通号数 175 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2014-07-25 
種別 訂正の審決 
審判請求日 2013-12-27 
確定日 2014-03-20 
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第3533385号に関する訂正審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 特許第3533385号に係る明細書を本件審判請求書に添付された訂正明細書のとおり訂正することを認める。 
理由 第1 請求の要旨

本件審判請求の要旨は、特許第3533385号の明細書を、本件審判請求書に添付した訂正明細書のとおりに一群の請求項ごとに訂正することを求めるものであり、その訂正の内容は審判請求書によれば次のとおりである。

(1)訂正事項
特許請求の範囲の請求項13に「前記データ・ユニットの前記状態を示す状態ビット」とあるのを、「前記データ・ユニットの状態を示す状態ビット」に訂正する。

第2 本件訂正の適否についての判断
(1)訂正の目的、新規事項の有無等について

本件訂正は、誤記又は誤訳の訂正を目的として、特許請求の範囲の請求項13に「前記データ・ユニットの前記状態を示す状態ビット」とあるのを、「前記データ・ユニットの状態を示す状態ビット」に訂正するものである。

特許請求の範囲の【請求項13】は、独立形式で記載されており、【請求項13】においては、当該「前記状態」という記載の前に、「状態」という用語は存在していない。

したがって、【請求項13】における「前記状態を示す状態ビット」の「前記」が誤記であることは明らかであるから、上記請求項13における「前記データ・ユニットの前記状態を示す状態ビット」なる記載を「前記データ・ユニットの状態を示す状態ビット」と訂正することは、誤記の訂正を目的とするものといえる。

また、特許請求の範囲の【請求項13】の「前記データ・ユニットの前記状態を示す状態ビット」との記載は、本件特許に係る外国語特許出願の国際出願日における明細書中のClaim13の「a status bit indicative of the status of the data unit 」の翻訳であるが、同「the status of the data unit 」における「status」の前の「the」は、英語における「the」の一般的な用法の1つとして、単に「status」が後の「of the data unit」で限定されているために用いられたものに過ぎず、本来、訳出されるべきではなかったものである。この点、前記請求項1では、同じく「a status bit indicative of the status of the data unit 」が正しく「前記データ・ユニットの状態を示す状態ビット」と翻訳されている。

したがって、【請求項13】における「前記データ・ユニットの前記状態を示す状態ビット」なる記載を「前記データ・ユニットの状態を示す状態ビット」と訂正することは、誤訳の訂正を目的とするものともいえる。

上記訂正事項は、上述のとおり、明らかな誤記又は誤訳の訂正を目的とするものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。

そして、本件訂正は、願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内においてなされるものである。

したがって、本件訂正は、特許法第126条第1項ただし書き第2号に掲げる事項を目的とし、かつ、同条第5項及び第6項の規定に適合する。

(2)独立特許要件について

上述のように本件訂正事項は、特許法第126条第1項ただし書き第2号に規定する誤記又は誤訳の訂正を目的とする訂正であるから、同条第7項の規定に基づき、訂正後の特許請求の範囲に記載されている発明が、特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか否かについて、以下に検討する。

1.訂正後の特許請求の範囲の請求項13に記載の発明について

本件訂正事項は、特許請求の範囲の請求項13の訂正であるが、上述のように訂正事項は、明らかな誤記又は誤訳の訂正を目的とする訂正であって、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないから、訂正後の特許請求の範囲の請求項13に記載の発明は、訂正前の特許請求の範囲の請求項13に記載されている発明と同じく、特許出願の際に独立して特許を受けることができるものである。

2.訂正後の特許請求の範囲の請求項14乃至20に記載の発明について

訂正後の請求項14乃至20については、明示的な訂正事項は存在せず、訂正後の請求項13を引用している点で実質的に訂正されているもので、上述のように明らかな誤記又は誤訳の訂正を目的とする訂正であるから、訂正前の特許請求の範囲の請求項14乃至20に記載されている発明と同じく、特許出願の際に独立して特許を受けることができるものである。

3.まとめ

以上のとおり、訂正後の特許請求の範囲の請求項13に記載の発明および訂正後の請求項14乃至20に記載の発明は、独立して特許を受けることができないものと判断すべき理由を発見しないから、特許法第126条第7項の規定に適合する。

(3)一群の請求項について

上記訂正事項(1)に係る訂正後の請求項13乃至20は、当該訂正事項(1)を含む請求項13の記載を、請求項14乃至20がそれぞれ引用しているものであるから、当該訂正後の請求項13乃至20は、特許法施行規則第46条の2第2号に規定する関係を有する一群の請求項である。

そして、本件訂正審判の請求は、当該一群の請求項についてなされているものと認められる。

よって、本件訂正審判の請求は特許法第126条第3項の規定に適合するものである。

第3 むすび

したがって、本件審判の請求である請求項13乃至20からなる一群の請求項に係る訂正は、特許法第126条第1項ただし書き第2号に掲げる事項を目的とし、かつ、同条第3項、及び第5項乃至第7項の規定に適合する。

よって、結論のとおり審決する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
データ受信の肯定応答のための方法およびシステム
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】データグラムを受信し、そして一連のデータグラムのうちのどれが誤り受信されたかを判定することができる受信機を有するデータ転送システムによって肯定応答メッセージを発生するための方法であって、
該方法は、複数のデータ・ユニットを発生するステップを含み、各データ・ユニットは、
前記データ・ユニットの状態を示す状態ビットと、
誤り受信データグラムと後続の誤り受信データグラムとの間のスペーシングを少なくとも部分的に示す数値の2進表現を一緒に形成している複数のスペーシング・ビットとを含む方法。
【請求項2】請求項1に記載の方法において、
肯定応答メッセージが複数の前記データ・ユニットを含む方法。
【請求項3】請求項1または請求項2に記載の方法において、
状態ビットの1つの値が、その対応するデータ・ユニットが一組の連続データ・ユニットのうちの最後のデータ・ユニットではないことを示し、そのスペーシング・ビットは、1つの誤り受信データグラムと後続の誤り受信データグラムとの間のスペーシングを示す数値を一緒に表す方法。
【請求項4】請求項1乃至3の何れかに記載の方法において、
スペーシング・ビットが所定の数値を表すデータグラム内の状態ビットの他の値が、連続誤り受信データグラムの個数を指示する数値を表す隣接するデータ・ユニットを示す方法。
【請求項5】請求項4に記載の方法において、
前記所定の数値が0である方法。
【請求項6】請求項1乃至5の何れかに記載の方法において、
肯定応答メッセージがそのメッセージによって受信が記述されているデータグラムの集合を識別するデータを含む方法。
【請求項7】請求項1乃至6の何れかに記載の方法において、
各データ・ユニットが4つ以上のビットを含む方法。
【請求項8】請求項7に記載の方法において、
各データグラムが4つのビットから構成される方法。
【請求項9】請求項1乃至8の何れかに記載の方法において、
複数のデータ・ユニットを含む肯定応答メッセージを発生するステップと、そのメッセージを前記データグラムの送信機に送信するステップとを含む方法。
【請求項10】請求項1乃至9の何れかに記載の方法において、
前記送信機から前記受信機への通信リンクが無線リンクを含む方法。
【請求項11】請求項10に記載の方法において、
前記無線リンクがセルラー電話無線リンクである方法。
【請求項12】請求項10または請求項11に記載の方法において、
前記無線リンクが広帯域符号分割多元接続リンクである方法。
【請求項13】送信機から一連のデータグラムを受信するための受信機であって、
どのデータグラムが誤り受信されたかを判定するためのデータグラム・チェック・ユニットと、
複数のデータ・ユニットを含む各肯定応答メッセージを発生するための肯定応答メッセージ・ジェネレータとを含み、各データ・ユニットが、
前記データ・ユニットの状態を示す状態ビットと、
1つの誤り受信データグラムと後続の誤り受信データグラムとの間のスペーシングを少なくとも部分的に示す数値の2進表現を一緒に形成する複数のスペーシング・ビットとを含む受信機。
【請求項14】請求項13に記載の受信機において、
前記受信機が肯定応答メッセージを送信機に送信するための送信ユニットを含む受信機。
【請求項15】請求項13または請求項14に記載の受信機において、
どのデータグラムが誤り受信されたかを示す情報を格納するための、前記データグラム・チェック・ユニットに接続されるメモリを備える受信機。
【請求項16】請求項13乃至15の何れかに記載の受信機において、
各データグラムがチェックサム情報を含み、前記データグラム・チェック・ユニットが受信データグラムに対するチェックサムを計算することができ、前記チェックサムを、データグラムに含まれているチェックサム情報と比較し、そのデータグラムが正しく受信されたかどうかを判定することができる受信機。
【請求項17】請求項13乃至16の何れかに記載の受信機において、
各データ・ユニットが4つのビットから構成される受信機。
【請求項18】請求項13乃至17の何れかに記載の受信機において、
前記肯定応答ジェネレータがハードウェアで実装される受信機。
【請求項19】請求項13乃至18の何れかに記載の受信機において、
前記受信機が無線受信機である受信機。
【請求項20】請求項13乃至19の何れかに記載の受信機において、
前記受信機はセルラー無線端末である受信機。
【発明の詳細な説明】
【0001】
(発明の技術分野)
本発明は、データの肯定応答に関し、特に誤り受信データの指示を提供することに関する。
【0002】
(背景技術)
多くのデータ伝送システムにおいては、データは複数のデータグラム(例えば、パケット)の形式で送信される。そのデータグラムは、通常、バイナリ情報の形式である。1つのデータグラムは内蔵式情報または、いくつかの受信データグラムを一緒に組み合わせることによって受信機において復元することができるより大きなメッセージの部分を表すことができる。メッセージのパケットは、送信機と受信機との間のデータ伝送ネットワーク上で異なるルートをたどる可能性があるが、それらが正しく到着したときに元どおりに再結合することができる。メッセージ(ペイロード)データの他に、データグラムは制御情報を頻繁に含む(例えば、ヘッダの形式で)。制御情報は、通常、以下の情報を含む。
【0003】
1.そのデータグラムが向けられる受信機を識別する情報
2.例えば、シリアル番号の手段によって、そのデータグラムを識別する情報
3.チェックサムなどの誤りチェック情報。それによって、データグラムを受信したときに、そのデータグラムの完全性をチェックし、そのデータグラムが伝送中に損なわれたかどうかを判定することができる。
【0004】
データグラムは、無線接続によって搬送されるようなノイズの多いデータ・リンク上では特に、伝送中に損なわれる可能性があるので、受信機が送信機にどのパケットが誤り受信したかを示すことができるように肯定応答(ARQ)方式を実装するのが普通である。データグラムを受信したとき、受信機はそのデータグラムのヘッダまたは他の手段の誤りチェック・データを使用して、各データグラムが正しく受信されたかどうかをチェックする。次に、定期的に、あるいは送信機からの要求に基づいて、受信機は送信機に肯定応答メッセージを送信し、どのデータグラムが誤り受信されたかを示す。
【0005】
2つの基本のタイプの肯定応答メッセージが普通である。ビットマップ肯定応答システムにおいては、肯定応答メッセージは各ビットが単独のデータグラムに対応する一組のビットを含む。ビットの1つの状態(例えば、1)は、その対応するデータグラムが正しく受信されたことを示す。ビットの他の状態(例えば、0)は、その対応するデータグラムが誤り受信されたことを示す。
【0006】
したがって、この方式においては、各受信データグラムに対して、正しく受信されたかどうかを示す1ビットの肯定応答メッセージ・データが必要である。リスト肯定応答方式においては、肯定応答メッセージは誤り受信された各データグラムの識別子(例えば、シリアル番号)をリストする。この方式においては、肯定応答メッセージ・データに対して必要なビットの数は誤り受信データグラムの個数と、そのデータグラム識別子のビット長との積である。
【0007】
これらの方式の効率は、誤り受信されたデータグラムの割合によって変わる。多くのデータグラムが誤り受信された場合は、ビットマップ・システムの方が効率が良い。何故なら、リスト・システムは、多数のデータグラム識別子を再送信するために比較的広いバンド幅を必要とするからである。誤り受信されたデータグラムがほとんどない場合、リスト・システムの方がより効率的である。何故なら、ビットマップ・システムは、正しく受信されたデータグラムに対してさえも各1ビットの肯定応答データを使用することになるからである。
【0008】
肯定応答のために必要なバンド幅の量を減らすために、ハイブリッド・システムが提案されてきている。その場合、受信ユニットはビットマップ・システムまたはリスト・システムのうちの、より効率の良いシステムを選択し、どの方法が使用されているかを肯定応答メッセージの中で示す。
【0009】
次世代電気通信システムにおいては、高いデータ・レートが使用されるが、ペイロード対ヘッダ・サイズの比率が良く、誤り訂正のための分解能が良いデータグラムの最適サイズはかなり小さくなる可能性がある。この結果、単独の肯定応答メッセージによって多数のデータグラムがアクノレッジされなければならなくなる可能性がある。このため、および他の理由で、肯定応答メッセージのために必要なバンド幅をさらに減らすことが望ましい。
【0010】
(発明の開示)
本発明の1つの態様によれば、データグラムを受信し、一連のデータグラムのうちのどれが誤り受信されたかを判定することができる受信機を備えるデータ伝送システムにおいて肯定応答メッセージを発生するための方法が提供され、その方法は、複数のデータ・ユニットを発生するステップを含み、各データ・ユニットは、そのデータ・ユニットの状態を示す状態ビットと;1つの誤り受信データグラムと後続の誤り受信データグラムとの間のスペーシング(spacing)を少なくとも部分的に示す数値のバイナリ表現を一緒に形成する複数のスペーシング・ビットとを含む。
【0011】
1つの肯定応答メッセージは複数の前記データ・ユニットを適切に含み、複数の前記データ・ユニットを、オプションとして、ルーティングまたは誤りチェック情報などのフロー制御情報と一緒にアセンブルすることによって発生することができる。
【0012】
本発明の第2の態様によれば、送信機から一連のデータグラムを受信するための受信機が提供され、その受信機は、どのデータグラムが誤り受信されたかを判定するためのデータグラム・チェック・ユニットと;肯定応答メッセージを発生するための肯定応答メッセージ・ジェネレータとを備え、各肯定応答メッセージは複数のデータ・ユニットを含み、各データ・ユニットは、そのデータ・ユニットの状態を示す状態ビットと、1つの誤り受信データグラムと後続の誤り受信データグラムとの間のスペーシングを少なくとも部分的に示す数値のバイナリ表現を一緒に形成している複数のスペーシング・ビットとを含む。
【0013】
状態ビットの1つの値は、1つの誤り受信データグラムと後続の誤り受信データグラムとの間のスペーシングを示している数値を一緒に表しているスペーシング・ビットを有する一組の連続データ・ユニットのうちの最後のデータ・ユニットでないことを、それに対応するデータ・ユニットが示す値であることが好ましい。したがって、スペーシングは、次のものによって示すことができる。
【0014】
1.状態ビットが前記1つの値ではない他の値に設定されている単独のデータ・ユニットのスペーシング・ビット、または、
2.それぞれの状態ビットが前記1つの値に設定されている複数の(適切に連続した)データ・ユニットのスペーシング・ビットと、状態ビットが前記他の値に設定されている後続の(適切に直後に続く)データ・ユニットのスペーシング・ビットと一緒にしたもの
【0015】
状態ビットが前記他の値に設定されていて、そのスペーシング・ビットが所定の値(適切なゼロでない値)を表しているデータグラムがいくつかの連続誤り受信データグラムの個数を表している隣接した(適切に後続の)データ・ユニットを示していることが好ましい。したがって、連続誤り受信された複数のデータグラムを、状態ビットが前記他の値に設定されていて、そのスペーシング・ビットが所定の数値を表している1つのデータグラムと、その後に続いている連続誤り受信データグラムの個数を表している1つまたはそれ以上のデータ・ユニットとによって示すことができる。その個数はスペーシングを示すために上で規定された方法で1つまたはそれ以上のデータグラムによって示すことができる。
【0016】
示されたスペーシングおよび/または連続誤り受信データグラムの個数は、いずれのケースにおいても、実際のスペーシングおよび/または個数を直接的に、あるいは実際のスペーシングおよび/または個数の関数である数値、例えば、その実際のスペーシングおよび/または個数より小さい所定の数値の手段によって間接的に示すことができる。
【0017】
肯定応答メッセージは、受信がそのメッセージによって記述されているデータグラムの集合を識別しているデータを適切に含み、例えば、そのメッセージによって記述されている最初および/または最後のデータグラムのアイデンティティおよび/または、受信がそのメッセージによって記述されているデータグラムの個数を含む。肯定応答メッセージは、1つまたはそれ以上のデータグラムまたはデータ・パケットの形式を取ることができる。
【0018】
各データ・ユニットが4ビットまたは8ビットの整数倍であることが好ましい4つ以上のビットから適切に構成される。最も好ましい各データ・ユニットは4つのビットから構成されている。その方法は、複数のデータ・ユニットを含む肯定応答メッセージを発生するステップと、そのメッセージをデータグラムの送信機に送信するステップとを含むことが好ましい。
【0019】
受信機は、どのデータグラムが誤り受信されたかを示す情報を格納するための、データグラム・チェック・ユニットに接続されているメモリを備えることが好ましい。そのメモリは、肯定応答ジェネレータに接続することもできる。各データグラムは、チェックサムまたは他の誤りチェック情報を含むことができる。前記データグラム・チェック・ユニットであることが最も好ましい受信機は、受信データグラムに対するチェックサムを計算し、そのチェックサムをそのデータグラムに含まれているチェックサム情報と比較して、どのデータグラムが誤り受信されているかを適切に判定することができる。
【0020】
肯定応答ジェネレータはハードウェアで実装されることが好ましい。 送信機から受信機への通信リンクは、両者間の通信路のうちのすべてまたは一部分であってよい無線リンクを含むことが好ましい。受信機は無線受信機が適切である。その受信機はセルラー無線端末が適している。その無線リンクはセルラー電話無線リンクが適している。その無線リンクは広帯域符号分割多元接続リンクが適している。
【0021】
(発明を実施するための最良の実施の形態)
本発明を、添付の図面を参照しながら以下に記述するが、これは単なる例示としてのものにすぎない。
図1は、電気通信システム4の双方向通信リンク3によって接続されている送信機1および受信機2を有するデータ伝送システムを示している。通信リンク3は、前方向チャネル5および逆方向チャネル6を有している。送信機は前方向チャネル上で受信機にデータグラム(7、8で示されている)を送信することができる。各データグラムはペイロード7a、8aおよびヘッダ7bおよび8bを含み、ヘッダはそのパケットのシリアル番号およびそのパケットに対するチェックサムを含む。通信リンクが専用のチャネル(例えば、回路交換接続)として実現されている場合、そのリンク自身が受信機のアイデンティティを示すことができる。その通信リンク(またはその一部分)が共通の、あるいは共有されたチャネルとして実現されている場合、その受信機のアイデンティティは、そのパケットのヘッダ内に適切にパックされて示されることが好ましい。
【0022】
電気通信システム4においては、送信機と受信機との間のチャネルの専用化および/またはその受信機のアイデンティティを与えるヘッダ内の情報が、そのパケットを受信機に経路選択するために使用されている。
受信機においては、受信データグラムがチェック・ユニット9によって解析される。チェック・ユニットは受信データグラムに対するチェックサムを計算し、その計算されたチェックサムをそのデータグラムのヘッダに受信したチェックサムと比較する。その2つのチェックサムが一致した場合、チェック・ユニットはそのデータグラムを受け入れ、それをデータグラム・プロセッサ10へ渡す。そのデータグラムが制御データグラムであると判定した場合、データグラム・プロセッサはそのデータグラムの内容によって変わる必要なアクションが取られるようにすることができる。そのデータグラムのペイロードがメッセージ・データを表している場合、必要であればデータグラム・プロセッサはそのペイロードを他のデータグラムのペイロードと一緒に組み立て直し、メッセージ全体を再構成して、それをメモリ11に格納する。
【0023】
計算されたチェックサムが受信チェックサムと一致しないと判定した場合、チェック・ユニットはそのデータグラムが誤り受信されたことを、例えば、その誤り受信データグラムのシリアル番号を肯定応答ユニットに渡すことによって肯定応答ユニット12に知らせる。肯定応答ユニットは、肯定応答メッセージ13、14を送信機に逆方向チャネル6上で送信し、どのデータグラムが誤り受信されたかを送信機に対して示すことができる。あるデータグラムが誤り受信されたことの指示を受信した場合、送信機はそのデータグラムを受信機に再送信することができる。
【0024】
また、データグラム・プロセッサは、ある時間の後に期待されているデータグラムが受信機において全く受信されなかった場合、データグラムが誤り受信されたことを肯定応答ユニットに知らせる。このことを行うために、データグラム・プロセッサは予想データグラムのシリアル番号を決定し、それを肯定応答ユニットに送信する。上記データグラムの非受信は、例えば、データグラム・プロセッサが10個のデータグラム・メッセージのうちの6個だけしか受信しなかった場合に発する可能性がある。
【0025】
データグラムが正しく受信されない理由としては、送信中の損傷、例えば、ノイズの多いリンク、または他の妨害のため、あるいはその電気通信システムにおける故障または過負荷に起因する消失または過剰な伝送遅延時間などがある。
肯定応答ユニットの動作には2つのモードがある。非送信請求(unsolicited)モードにおいては、肯定応答ユニットは肯定応答メッセージを送信機1に、定期的に、例えば、送信機から100個のデータグラムが受信された後(あるいは、受信されるべきであった後)ごとに送信する。送信請求(solicited)モードにおいては、肯定応答ユニットは肯定応答メッセージを要求に応じて送信機1に送信するか、あるいはそのような要求があるべきであると判定したとき、送信機1に送信する(例えば、受信メッセージの終りにおいて)。
【0026】
肯定応答ユニットから送信機1に送信される肯定応答メッセージ13、14は、ペイロード13a、14aおよびヘッダ13b、14bを含むデータグラムの形式で送信される。肯定応答データグラム13、14のヘッダのフォーマットは、ヘッダ7b、8bのフォーマットと同じであるか、あるいは異なっていてもよいが、好適には、両者に互換性があることが好ましい。
【0027】
各肯定応答データグラムのペイロードは、一連の4ビット要素を含む。各4ビット要素は少なくとも1つの誤り受信データグラムについての情報を含むことができる。各4ビット要素は2つの意味的な部分を含む。ほとんどの状況においては、その要素の最初の3つのビットは「オフセット部分」として解釈され、0から7までの数値を2進形式で表し、そのデータグラムの最後のビットは「状態部分」として解釈され、それは論理状態1または0を表す。
【0028】
信号をチェック・ユニットまたはデータグラム・プロセッサから受信すると、肯定応答ユニットは、誤り受信データグラムのシリアル番号をローカル・メモリ15に格納する。肯定応答メッセージを送信するべきと判定すると、肯定応答ユニットは送信ユニット16を経由して送信機に送信する4ビット要素を発生するために、格納リストを解析する。
【0029】
肯定応答メッセージを搬送するために、4ビット要素が一連の番号を表すために使用される。1つの番号は次のプロセスによって表される。
1.2進で表されているその番号は3つの下位ビットから始まっている3つの連続ビットのチャンクに分割される。最終の、最上位のチャンクは、それが3つのビットを占有するように、必要な場合に前に0を付けて詰められる。
2.表現される数が7より大きい場合、2つ以上のチャンクが存在する。最下位のチャンクを除く各チャンクは、それぞれのチャンクがオフセット部分を形成し、その状態ビットが0に設定されている連続した4ビット要素に形成される。
3.最下位のチャンクは、最終の4ビット要素に形成され、その中で、そのチャンクはオフセット部分を形成し、その状態ビットは1に設定される。
【0030】
例えば、以下の表は上記の方法によって形成されるいくつかの数値およびそれぞれの4ビット要素での等価な表現を示している。
【表1】

【0031】
4ビット要素の手段によって一連のデータグラムの誤り受信を表すために、肯定応答ユニットは次のステップを実行する。
1.その一連のデータグラムのうち最初の誤り受信データグラムの番号を決定する。その番号が肯定応答メッセージのペイロード内に符号化される。
2.各後続誤り受信データグラムに対して、肯定応答ユニットは、そのデータグラムとその一連のデータグラムのうち前誤り受信データグラムとの間のデータグラムの個数で、そのオフセットを決定する。その個数が上記のように4ビット要素に符号化される。
【0032】
この方法で生成された一連の4ビット要素は、ビット・ストリームに形成され、1つまたはそれ以上のデータグラムで送信機に送信される。受信機においては、4ビット要素は逆のプロセスによって復号化されて、どのデータグラムが正しく受信されなかったかを知る。次に、それらのデータグラムが受信機に再送信される。 最初の誤り受信データグラムの番号は、そのデータグラムの番号として示すことができる(例えば、第5のデータグラムが最初の誤り受信データグラムである場合は5として)。
【0033】
上記の方式において、4ビット要素0001は生成されることはない。何故なら、肯定応答ユニットは1つの誤り受信データグラムと次のデータグラムとの間にゼロのオフセットを表すための原因がないからである。したがって、要素0001は、データグラムのバーストを表すために使用される。データグラムのバーストは、普通の方法で、そのバーストの最初の誤り受信データグラム(そのオフセットの手段によって)、その次に要素0001が続き、その後に、後続の連続誤り受信データグラムの個数を表す要素が上記のように続く。
【0034】
各要素の長さが4ビットであるとき、4つ以上の誤り受信データグラムのバーストを表すために後者の方法だけが使用されることが好ましい。何故なら、そうしない場合、効率を向上させることができないからである。この方法が4つまたはそれ以上のデータグラムのバーストに対してのみ使用されることが分かっている場合、要素0001に続いている要素によって表される数値はある場合には必要となる要素の数を減らすために、そのバーストの長さより1、2、3または4少なくすることができる。
【0035】
バーストを表すための1つの代替方法は、そのバーストの最初の誤り受信データグラム、次に要素0001、次に後続の連続誤り受信データグラムの個数を表す要素が続くように、すべて4ビットのその要素を使用して通常の2進表記で普通の方法で示している一連の要素による方法である。この方法で3つの要素によって表すことができるバーストの最大長は20である(この方法が4つより少ない数の連続誤り受信データグラムのバーストに対しては使用されないこと、そして後者のデータグラムによって表される数が合計のバースト長より4少ないことを仮定して)。しかし、誤り受信データグラムの長いバーストが比較的稀であるシステムにおいて(例えば、提案されているW‐CDMA/UMTSシステムの高速パワー制御において)効率が大幅に落ちる望ましくない可能性がある。
【0036】
完全性のために、肯定応答メッセージは、それがカバーするデータグラムの範囲をも示すことが好ましい。これによって送信機が肯定応答メッセージを失うこと、あるいはその崩壊から復元することができる。肯定応答メッセージは、それがカバーする受信データグラムの数および/またはカバーされる最初の、および/または最後のデータグラムのアイデンティティ/シリアル番号を示すことができる。最も好ましい配置構成においては、各肯定応答データグラムは、その肯定応答データグラムによってカバーされるパケットの範囲内での最初の誤りパケットの次に、その範囲内での後続の誤りパケットを記述している一連の4ビット要素を含む。
【0037】
上記の方法の一例として、100個のデータグラムの中で番号5から14まで、31、33および36のデータグラムが誤り受信された場合、以下の表は肯定応答ユニットによって生成されて送信機に送信されるようにすることができるそれらの番号および対応する4ビット要素を示している。
【0038】
【表2】

【0039】
一般に、上記方法による肯定応答の符号化は以下のものを含むことができる。
・その肯定応答メッセージによってカバーされるデータグラムのウィンドウの開始または終了の総合のメッセージ内の位置を示すデータ・セクション
・そのウィンドウの中での最初の誤り受信データグラムの位置を示すデータ・セクション
・後続の誤り受信データグラムおよび/または誤り受信データグラムのバーストに対するオフセットを示す一連のデータ・セクション
【0040】
ある状況においては、肯定応答ユニットが最初に、誤り受信データグラム間の考慮しているデータグラムの集合における最小のスペーシングを決定することによってバンド幅をさらに減らすことができる。そのスペーシングを肯定応答メッセージの中で送信機に送信することができ、すべての送信されたオフセットから差し引いてそれらを表すために必要なビットの数を減らす(ある場合において)ことができる。
【0041】
4ビット要素の代わりに、その要素のビット数は他の値であってもよく、それより少ないか、あるいは4より大きいことが好ましい。nビット要素においては、状態の部分のやはり1つのビットとオフセット部分の(n-1)ビットを含むことができる。特定の用途応用に対して最大の効率を与えるための最適のビット数は、シミュレーションによって決定することができる。要素の効率的なパッキングおよび整合のために、要素の長さが、そのシステムのバイト長の整数倍であるか、あるいはそのシステムのバイト長を整数で割った値であることも好ましい。例えば、8ビット・バイトに基づいているシステムにおいては、要素のビット長は4または8バイトまたは8バイトの整数倍であることが好ましい。これによって効率の良い符号化および伝送のための要素のバイト整合が容易になる。
【0042】
上記の肯定応答の方法は、ディジタル無線通信システム、例えば、ディジタル・セルラー電話システム、そして特に提案されている第三世代のW‐CDMA(広帯域符号分割多元接続)または3GPPシステムにおいて、次の理由で特に効率の利点を提供する。
【0043】
1.あるシステムにおいては、逆方向のリンク上でのバンド幅の使用は、比較的重要でない可能性がある。例えば、逆方向のリンクが固定されて割り当てられている場合、比較的バンド幅が大きい。しかし、W‐CDMAシステムにおいては、逆方向リンク上でのバンド幅の使用によって同じ周波数帯域上での他の伝送による妨害が生じ、それらの他の伝送の信号対雑音比を減らす原因となる。したがって、効率的な肯定応答方式が特に有利である。
2.4つのビットを備える要素を使用することは提案されているW‐CDMAシステムのビット/フレーム方式に都合よく適合し、バイトの整合が可能となる。これによって4ビット要素が便利に送られる。
3.非常に高いデータ・レートを達成するために、肯定応答メッセージを発生する肯定応答ユニットは、端末の非常に低いレベル、ソフトウェアではなく、おそらくハードウェアのレベルで実装されることが好ましい。上記の肯定応答の方法は論理的に複雑でなく、低レベル実装に特に適している。既存のプロトコルのフレームワークに都合よく適合する要素の長さの選択も低レベル実装を支援する。
4.無線システムにおいては、誤り受信データグラムは、一時的な妨害またはパワー制御の遅れなどのために、比較的頻繁にバーストで発生する。上記の方法は誤り受信データグラムのバーストを記述する1つの方法を提供する。
【0044】
3GPP/W‐CDMAシステムにおいては、本発明の方法はアクノレッジされたデータ転送モードにおいて状態PDU(プロトコル・データ・ユニット)の形式が適している受信ユニットからのUSTAT(非送信請求状態)および/またはSTAT(送信請求状態)レポートのために有利に使用することができる。上記のような肯定応答データグラムは、AMD(アクノレッジ型のモードのデータ)PDUおよび/またはUMD(非アクノレッジ型モードのデータ)PDUに対して使用することができる。上記PDUは、RLC(無線リンク制御)SDU(サービス・データ・ユニット)のデータを含むシーケンシャルに番号付けられたプロトコル・ユニットを伝えることができる(3GPP RLC仕様書草案TS 25.322 V1.0.0参照)。
【0045】
シミュレーションにおいて、上記の肯定応答の方法は、ビットマップ、リストまたはハイブリッド・システムより効率的であることが分かっている。次の表は100個のデータグラムの組から示された誤り受信データグラムに対する肯定応答メッセージを送信するのに必要なビットの個数を示している。
【0046】
【表3】

【0047】
もう1つのシミュレーションにおいては、W‐CDMAデータ・チャネル上でのデータグラム伝送が、選択されたフレーム誤り率に対するランダム・フレームの消失を評価し、失われたフレームの内部のすべてのデータグラムが誤り受信されると仮定することによってシミュレートされた。そのシミュレーションはUSTATの機能を有するNRTのデータ・トラヒックに対して実行され、3番目のフレームごと、そして100ユニットである1つのセッションごとにUSTATレポートが発生された。18,000個のデータグラムが発生された。FSN(最初のシーケンス番号)およびMSN(最大のシーケンス番号)のフィールドが必須であると考えられた。その結果が以下の表に示されている。
【0048】
【表4】

【0049】
そのデータグラムの長さは固定または可変であってよい。送信機と受信機との間の通信リンクのすべてまたは一部分が無線リンクであってよい。
送信機および/または受信機は無線端末であってよい。
そのデータグラムはパケットまたはプロトコル・データ・ユニットであってよい。
このデータ転送システムまたはその一部分は移動通信ネットワークであるか、またはその一部分であり、例えば、提案されているUMTSシステムまたはその派生システムなどの移動電話ネットワークであることが適切である。
【0050】
本発明は、暗黙に、または明示的に本明細書に開示した任意の特徴または特徴の組合せ、あるいはその一般的な形を、本発明の特許請求の範囲の何れかの範囲に限定されることなしに含むことができることに留意されたい。上記の説明からみて、当業者なら本発明の範囲から逸脱することなしに、種々の修正を行うことができることは明らかであろう。
【図面の簡単な説明】
【図1】
データ転送システムを示す。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
審決日 2014-03-10 
出願番号 特願2001-508103(P2001-508103)
審決分類 P 1 41・ 852- Y (H04L)
最終処分 成立  
前審関与審査官 矢頭 尚之  
特許庁審判長 藤井 浩
特許庁審判官 山本 章裕
森川 幸俊
登録日 2004-03-12 
登録番号 特許第3533385号(P3533385)
発明の名称 データ受信の肯定応答のための方法およびシステム  
代理人 高石 秀樹  
代理人 飯田 圭  
代理人 飯田 圭  
代理人 近藤 直樹  
代理人 大浦 博司  
代理人 大浦 博司  
代理人 辻居 幸一  
代理人 辻居 幸一  
代理人 高石 秀樹  
代理人 近藤 直樹  

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