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審決分類 審判 全部無効 2項進歩性  G08B
管理番号 1287795
審判番号 無効2010-800120  
総通号数 175 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2014-07-25 
種別 無効の審決 
審判請求日 2010-07-14 
確定日 2013-01-31 
事件の表示 上記当事者間の特許第3895646号発明「電池式警報器」の特許無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。 
理由 1.手続の経緯
本件特許第3895646号の請求項1ないし4に係る発明(以下、「本件特許発明1」、「本件特許発明2」、「本件特許発明3」、「本件特許発明4」という。)についての出願は、平成14年7月16日に特許出願され、平成18年12月22日にその特許の設定登録がなされ、その後、平成22年7月14日に新コスモス電機株式会社より無効審判の請求がなされ、平成22年10月5日付で被請求人より審判事件答弁書が提出され、その後、請求人より、平成22年12月14日付で上申書、平成23年1月27日付で口頭審理陳述要領書、平成23年2月8日付で上申書が提出され、被請求人より、平成23年1月26日付で口頭審理陳述要領書が提出され、平成23年2月16日に口頭審理が行われ、その後、請求人より、平成23年2月18日付で上申書が提出されたものである。


2.本件発明
本件特許発明1ないし4は、特許明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1ないし4に記載された、以下のとおりのものである。

「【請求項1】電池によって稼働し、監視領域の異常を検出して警報を発する電池式警報器であって、
前記電池の電圧が所定の電圧以下に低下しているか否かを監視する電圧監視手段と、
前記電圧監視手段によって監視された前記電池の電圧が所定の電圧以下に低下している場合に、当該電圧の低下を報知するために点灯または点滅する表示灯手段と、
前記電池の電圧が所定の電圧以下に低下しているか否かを確認するための確認要求を前記監視領域の利用者から受け付ける確認要求受付手段と、
前記電圧監視手段によって監視された前記電池の電圧が所定の電圧以下に低下している場合であって、かつ、前記確認要求受付手段によって前記確認要求を受け付けたときに、前記電池の交換を促す内容を含んだ音声メッセージを前記監視領域に出力する音声出力手段と、
を備えたことを特徴とする電池式警報器。
【請求項2】電池によって稼働し、監視領域の異常を検出して警報を発する電池式警報器であって、
前記電池の電圧が所定の電圧以下に低下しているか否かを監視し、当該電圧が所定の電圧以下に低下すると、当該電圧の低下を示す電圧低下信号を出力する電圧監視手段と、
前記電池の電圧が所定の電圧以下に低下しているか否かを確認するための確認要求を前記監視領域の利用者から受け付けて、当該確認要求の受付を示す確認信号を出力する確認要求受付手段と、
前記電圧監視回路によって出力された前記電圧低下信号を受け入れることを条件として、前記電圧の低下を報知するために点灯または点滅する表示灯手段と、
前記電圧監視手段によって出力された前記電圧低下信号の入力を受け付けると共に、前記確認要求受付手段によって出力された前記確認信号の入力を受け付けた場合には、前記電池の交換を促す内容を含んだ音声メッセージを前記監視領域に出力する音声出力手段と、を備え、
更に前記確認要求受付手段は、前記確認要求のみならず、前記異常の検出を試験するための試験要求を前記利用者から受け付けるものであって、前記確認要求を受け付けた場合には、当該確認要求の受付を示す確認要求受付信号を出力し、前記試験要求を受け付けた場合には、前記異常の検出を試験するために用いられる試験信号を出力すること、
を特徴とする電池式警報器。
【請求項3】前記電圧監視手段は、前記電池の電圧が所定の電圧以下に低下している間、前記電圧低下信号を継続的に出力し、
前記音声出力手段は、前記確認信号が入力された時点で前記電圧低下信号が入力されている場合に、前記音声メッセージを出力すること、
を特徴とする請求項2に記載の電池式警報器。
【請求項4】前記電圧監視手段は、前記電池の電圧が所定の電圧以下に低下している場合に、前記電圧低下信号を出力することによって前記音声出力手段にフラグを立たせ、
前記音声出力手段は、前記確認信号が入力された時点で前記フラグが立っている場合に、前記音声メッセージを出力すること、
を特徴とする請求項2に記載の電池式警報器。」


3.審判請求人の主張
審判請求人は、本件特許発明1ないし4を無効とする、審判費用は被請求人の負担とする旨の無効審判を請求し、証拠方法として、甲第1号証(特開平9-293183号公報)、甲第2号証(実願昭59-156724号(実開昭61-74765号)のマイクロフィルム)、甲第3号証(実願平4-40928号(実開平5-92892号)のCD-ROM)、甲第4号証(特開2002-74547号公報)、甲第5号証(国際公開第99/08246号)、甲第6号証(特開平5-282572号公報)、甲第7号証(米国特許5,686,896号明細書)、甲第8号証(実公昭63-19912号公報)、甲第9号証(特開昭61-39195号公報)を提出し、以下の理由により、本件特許発明1ないし4は無効とすべきであると主張している。

理由i
(1)本件特許発明1は、甲第1号証に記載された発明と、甲第2号証に記載された発明と、甲第5号証及び甲第9号証に記載された周知技術、甲第3号証及び甲第4号証に記載された周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
(2)本件特許発明2は、甲第1号証に記載された発明と、甲第2号証に記載された発明と、甲第5号証に記載された発明と、甲第5号証及び甲第9号証に記載された周知技術、甲第3号証及び甲第4号証に記載された周知技術、甲第5号証ないし甲第7号証に記載された周知技術と、甲第5号証及び甲第6号証に記載された技術常識に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
(3)本件特許発明3は、甲第1号証に記載された発明と、甲第2号証に記載された発明と、甲第5号証に記載された発明と、甲第5号証及び甲第9号証に記載された周知技術、甲第3号証及び甲第4号証に記載された周知技術、甲第5号証ないし甲第7号証に記載された周知技術と、甲第5号証及び甲第6号証に記載された技術常識と、甲第8号証に記載された周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
(4)本件特許発明4は、甲第1号証に記載された発明と、甲第2号証に記載された発明と、甲第5号証に記載された発明と、甲第5号証及び甲第9号証に記載された周知技術、甲第3号証及び甲第4号証に記載された周知技術、甲第5号証ないし甲第7号証に記載された周知技術と、甲第5号証及び甲第6号証に記載された技術常識と、甲第9号証に記載された周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

理由ii
(1)本件特許発明1及び2は、甲第5号証に記載された発明と、甲第2号証、甲第7号証、及び甲第9号証に記載された周知技術、甲第3号証及び甲第4号証に記載された周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
(2)本件特許発明3は、甲第5号証に記載された発明と、甲第2号証、甲第7号証、及び甲第9号証に記載された周知技術、甲第3号証及び甲第4号証に記載された周知技術、甲第8号証に記載された周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
(3)本件特許発明4は、甲第5号証に記載された発明と、甲第2号証、甲第7号証、及び甲第9号証に記載された周知技術、甲第3号証及び甲第4号証に記載された周知技術、甲第9号証に記載された周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

理由iii
(1)本件特許発明1は、甲第7号証に記載された発明と、甲第2号証または甲第5号証に記載された発明と、甲第3号証及び甲第4号証に記載された周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
(2)本件特許発明2は、甲第7号証に記載された発明と、甲第2号証または甲第5号証に記載された発明と、甲第3号証及び甲第4号証に記載された周知技術と、甲第5号証及び甲第6号証に記載された技術常識に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
(3)本件特許発明3は、甲第7号証に記載された発明と、甲第2号証または甲第5号証に記載された発明と、甲第3号証及び甲第4号証に記載された周知技術と、甲第5号証及び甲第6号証に記載された技術常識、甲第8号証に記載された周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
(4)本件特許発明4は、甲第7号証に記載された発明と、甲第2号証または甲第5号証に記載された発明と、甲第3号証及び甲第4号証に記載された周知技術と、甲第5号証及び甲第6号証に記載された技術常識、甲第9号証に記載された周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。


4.審判被請求人の主張
理由i?iiiは何れも根拠が無く、本件特許発明1ないし4は、特許性を有するものであると主張している。


5.甲号証
(1)甲第1号証
甲第1号証には、図面と共に以下の事項が記載されている。

1-a「発光パルスにより間欠的に発光する発光素子と、常時は電圧が印加されて発光素子の発光用電荷を充電する発光用コンデンサと、発光トリガパルスに基づきオン動作して発光用コンデンサに充電された発光用電荷により発光パルスを発生させるスイッチング素子とを有する発光回路と、
発光回路の発光素子の光の煙粒子による散乱光を受光して電気信号に変換する受光素子を有し、その電気信号を増幅して出力する受光増幅回路と、
受光増幅回路の出力が所定の基準値以上のときに火災検出信号を出力する火災検出回路と、
上記発光用コンデンサの両端電圧を検出し、該両端電圧が所定電圧値を越えたときにコンデンサ充電検出信号を出力するコンデンサ充電検出回路と、
常時は停止モードであり、コンデンサ充電検出回路からのコンデンサ充電検出信号を受けてごく短い所定時間だけ停止モードから動作モードに切り換え、動作モードの切り換え時から所定時間後に発光トリガパルスを発光回路のスイッチング素子に出力すると共に、火災検出回路からの火災検出信号を受けて火災信号を出力する検知器制御回路と、発光回路、受光増幅回路、火災検出回路、コンデンサ充電検出回路及び検知器制御回路を駆動させるための電源電池と、を備えたことを特徴とする火災検知器。」(【請求項1】)

1-b「電池切れの故障表示信号に基づき点灯して電池切れの故障を表示する故障表示灯と、
電源電池の電圧を検出し、検出値が所定値以下のときに電池電圧低下信号を出力する電圧低下検出回路を備え、
上記検知器制御回路は動作モードの所定時間の間で、所定時間だけ電圧低下検出回路を駆動させ、該電圧低下検出回路から電池電圧低下信号を受けたときに上記電池電源の電池切れを判断して上記故障表示灯に故障表示信号を出力することを特徴とする請求項1又は2記載の火災検知器。」(【請求項3】)

1-c「本発明は火災警報器、特に家庭用、住宅用の光電式火災検知器に関するものである。」(【0001】)

1-d「上記のような従来の火災検知器では、第1と第2の2つのCPUを使用しており、消費電力が大きい処理速度の速い第1のCPUについては低消費電力化が実現されるが、消費電力が小さい処理速度の遅い第2のCPUについては常時動作モードにあり、しかも第1のCPUの動作モード時には2つのCPUが動作するため、低消費電力化を図って火災検知器の小型化を図ることは充分解決できたとはいえないものであった。
本発明は、このような問題点を解決するためになされたものであり、処理速度の速い1つのCPUを使用しても低消費電力化でき、小型化を図ることができる火災検知器を得ることを目的とする。」(【0004】-【0005】)

1-e「さらに、本発明に係る火災検知器は、電池切れの故障表示信号に基づき点灯して電池切れの故障を表示する故障表示灯と、電池電源の電圧を検出し、検出値が所定値以下のときに電池電圧低下信号を出力する電圧低下検出回路を備え、上記検知器制御回路は動作モードの所定時間の間で、所定時間だけ電圧低下検出回路を駆動させ、該電圧低下検出回路から電池電圧低下信号を受けたときに上記電池電源が電池切れ判断して上記故障表示灯に故障表示信号を出力するようにしている。」(【0008】)

1-f「本発明においては、電池切れの故障表示信号に基づき点灯して電池切れの故障を表示する故障表示灯と、電池電源の電圧を検出し、検出値が所定値以下のときに電池電圧低下信号を出力する電圧低下検出回路を備え、上記検知器制御回路は動作モードの所定時間の間で、所定時間だけ電圧低下検出回路を駆動させ、該電圧低下検出回路から電池電圧低下信号を受けたときに上記電池電源の電池切れを判断して上記故障表示灯に故障表示信号を出力し、故障表示灯が点灯して電池切れの故障を表示するようにしているから、低消費電力化を図りながら、電池電源の電池切れも検出することができる。」(【0011】)

1-g「4は後述の電池電源12の電圧を検出し、検出値が所定値以下のときに電池電圧低下信号を出力する電池電圧低下検出回路で、電圧検出器IC3と、回路を動作状態にするスイッチング素子であるトランジスタQ3と、抵抗R6?R8とで構成されている。」(【0015】)

1-h「5は火災表示と故障表示の2種類の表示を行う表示回路で、火災表示灯である発光ダイオードL2と、故障表示灯である発光ダイオードL3と、スイッチング素子であるトランジスタQ4?Q5と、抵抗R9?R14とで構成されている。」(【0016】)

1-i「10は検出器汚れ検出と発光量及び受光量低下検出の検知器異常検出を行う検知器異常検出回路で、オペアンプIC5と、スイッチング素子であるトランジスタQ6と、抵抗R18?R27と、コンデンサC8?C9とで構成されている。」(【0019】)

1-j「まず、6Vの電池電源12が火災検知器にセットされると、定電圧回路3の定電圧器IC2が4.5Vを出力し、発光回路1、コンデンサ充電検出回路2、リセット回路7、受光増幅回路8、火災検出回路9、検知器異常検出回路10及び検知器制御回路11に電圧を供給する。」(【0022】)

1-k「表示回路5では火災信号を受けると、火災表示灯用のトランジスタQ4がオンし、火災表示灯である発光ダイオードL2を点灯させる。」(【0026】)

1-l「また、電圧検出器IC1の出力がHレベルであれば、発光用コンデンサC1の発光用電荷が放電しておらず、煙検出用の発光ダイオードL1は発光していないこととなり、つまり断線等の異常状態であると判断できる。そこで、マイコンIC4が発光ダイオードL1が異常状態であると判断したら、出力ポートPO6から発光ダイオード異常を示すLレベルの故障信号を表示回路5に入力する。表示回路5では故障信号を受けると、故障表示灯用のトランジスタQ5がオンし、故障表示灯である発光ダイオードL3を連続点灯させる。」(【0028】)

1-m「4)また、電池電源の電池切れ等による電池電圧低下検出について説明する。マイコンIC4は発光トリガパルスを出力した後に、電池電圧低下検出回路4の電池電圧検出用の電圧検出器IC3の消費電流(数μA)を押さえるために、動作モードの間で、第3の所定時間、例えば40?80μsec だけマイコンIC4の出力ポートPO3をLレベルにし、電池電圧低下検出回路4のトランジスタQ3をオンさせて電圧検出器IC3に電源を供給し、電圧検出器IC3の出力をポートPI3から取り込むことにより、電池電源12の電圧が所定電圧以上であるか否かにより電池電圧の低下を検出する。
そして、電圧検出器IC3は印加されている電池電圧が所定検出電圧、例えば4.8V以上であれば、電池電圧の低下がないと判断してHIGHインピーダンスになり、ポートPI3にはHレベルが入力される。また、電池電源12の電池電圧が低下し、例えば4.8V未満になると、マイコンIC4は電池電圧の低下があると判断してポートPO6からLレベルの故障信号を表示回路5の故障表示灯用のトランジスタQ5に断続入力すると共に出力回路6の故障信号出力部6bに出力する。表示回路5では、故障表示灯用のトランジスタQ5が動作モード毎に動作モードの時間だけオンし、故障表示灯である発光ダイオードL3を点滅点灯させる。その点滅周期は約5秒に1回である。なお、出力回路6では故障信号出力部6bが故障信号を無線或いは有線で接続されている受信機に送信する。
5)さらに、検知器汚れ検出と発光量及び受光量低下検出の検知器異常検出について説明する。マイコンIC4は動作モードになると、発光トリガパルスを出力し、火災検出信号を取り込むと共に、ポートPI4から検知器汚れ検出と発光量及び受光量低下検出のための上下限故障信号を取り込む。その検知器汚れ検出と発光量及び受光量低下検出のために、マイコンIC4はその出力ポートPO4を火災検出のサンプリング毎に接地とオープン(HIGHインピーダンス)とに切り換えて検知器汚れ検出と発光量及び受光量低下検出を交互に行うようにしている。」(【0029】-【0031】)

1-n「この時、マイコンIC4は検知器汚れ検出の故障検出信号を出力回路6の故障信号出力部6bに出力すると共に表示回路5に出力し、表示回路5では故障表示灯L3を連続点灯させる。」(【0033】)

1-o「この時、マイコンIC4は発光量及び受光量低下検出の故障検出信号を出力回路6の故障信号出力部6bに出力すると共に表示回路5に出力し、表示回路5では故障表示灯L3を連続点灯させる。」(【0034】)

上記1-j及び図1に基づけば、電池電源が火災検知器の各回路に電圧を供給している。

上記記載を総合すると、甲第1号証には、以下の発明(以下、「甲1発明」という。)が開示されているものと認められる。
「電池電源が火災検知器の各回路に電圧を供給し、火災検出回路が所定の基準値以上を検出して火災表示灯を点灯する電池電源の火災検知器であって、
前記電池電源の電圧を検出し、検出値が所定値以下のときに電池電圧低下信号を出力する電圧低下検出回路と、
前記電圧低下検出回路から電池電圧低下信号を受けたときに前記電池電源の電池切れを判断して点滅点灯する故障表示灯と、
を備えた電池電源の火災検知器。」


(2)甲第2号証
甲第2号証には、図面と共に以下の事項が記載されている。

2-a「(1)燃焼状態が異常になったときに発光素子等の点灯或いは点減によって異常事態の発生を報知するものにおいて、前記発光素子等の異常事態発生の報知により使用者がスイッチを押圧すると音声合成装置が前記発光素子等による異常事態の内容を報知することを特徴とする音声合成装置を備えた燃焼器。」(実用新案登録請求の範囲)

2-b「(ロ) 従来の技術
従来の燃焼器の異常事態発生の報知は昭和54年10月号の雑誌電気店第187?188頁に記載されている如く発光素子等の発光手段、或いはブザー等の発音手段で行なつていた。
また、異常事態発生を音声合成装置で報知するものもある。
(ハ) 考案が解決しようとする問題点
しかし、発光素子を用いたものにあっては異常事態が具体的にどのような異常事態であるかを知らせるには異常事態の種類だけ発光素子が必要であり、単一の発光素子或いはブザー等で報知するものにあっては使用者は取扱い説明書等により異常事態の内容を調べなければならなかった。
また、異常事態を音声合成装置で報知するものにあっては、使用者の意思に関係なく音声合成装置が働いてしまい異常事態の内には使用者が直ちに対応しなくても済むようなものもあり使用者に不快感を与えていた。
(ニ) 問題点を解決するための手段
本考案は、燃焼制御回路(4)からの異常事態発生信号により発光素子(3)を点灯させて異常事態発生を報知させると共に、使用者が確認スイッチ(2)を押圧することによって燃焼制御回路(4)からの前記異常事態信号が音声合成装置(1)に入力され音声合成装置(1)からスピーカ等の発声装置(5)が具体的にどのような異常事態であるのか報知することにより前記問題点を解決している。」(明細書第1頁15行?第3頁2行)

2-c「(へ) 実施例
本考案一実施例を図面に基づき説明する。第1図は本考案の制御回路を示すもので、(1)は音声合成装置、(2)は確認スイッチ、(3)は発光素子、(4)は燃焼制御回路、(5)はスピーカ等の発声装置、(6)は音声合成装置(1)からの信号を増幅するアンプである。上記構成の本考案の動作を次に説明する。燃焼制御回路(4)が燃焼器の異常事態発生を検出し発光素子(3)に異常事態発生信号を出力すると発光素子(3)が発光し異常事態発生を使用者に視覚的に報知する。使用者は発光素子(3)の発光を見てどのような異常事態が発生したのか知りたい場合には確認スイッチ(2)を押圧する。」(明細書第3頁13行?第4頁5行)

上記記載及び図面に基づけば、燃焼器の異常事態報知器は、電源で稼働される。

上記記載を総合すると、甲第2号証には、以下の発明(以下、「甲2発明」という。)が開示されているものと認められる。
「電源によって稼働し、燃焼状態の異常を検出して報知する燃焼器の異常事態報知器であって、
燃焼状態の異常を検出する燃焼制御回路と、
前記燃焼制御回路からの異常事態発生信号により、当該異常事態発生を報知するために点灯する発光素子と、
使用者が異常事態の内容を知りたい場合に押圧する確認スイッチと、
燃焼制御回路が燃焼器の異常事態発生を検出して発光素子が発光している場合であって、かつ、使用者が確認スイッチを押圧したときに、具体的にどのような異常事態であるのか報知する音声合成装置と、
を備えた燃焼器の異常事態報知器。」


(3)甲第5号証
甲第5号証には、図面と共に以下の事項が記載されている。なお、翻訳文は、請求人提出のものである。

5-a「本発明は、環境内の状態の検出一般に関するものである。特に、本発明は、大気中の一酸化炭素及び煙の存在を検出する装置及び方法に関する。」(明細書第1頁8?10行)

5-b「図面、特に図1を参照すると、ここには検出装置50の好ましい一実施形態のブロック図が示されている。検出装置50はバッテリ駆動式、単一ステーション、自己完結型の煙・一酸化炭素アラーム検出装置である。当該検出装置50は、空気中の一酸化炭素の存在と濃度とを検出して一酸化炭素の危険な状態を示すため警報を発する。検出装置50は、更に、空気中の煙の存在も検出してその煙の存在を示すため警報を発する。」(明細書第7頁12?19行)

5-c「図1に示されているように、検出装置50は、ハウジング50a、制御回路100、イオン化感知チャンバ、電子測定及び制御回路110、音声及び視覚インジケータ、電源回路、テスト/サイレンス回路、温度補償回路、リセット回路、低電圧検出回路、テストスイッチ/ハッシュ回路、出力回路、相互接続回路、及び発振器回路を有する。」(明細書第7頁20?25行)

5-d「図1aは、検出装置50のハウジングの前方平面図を示している。このハウジングは、COアラームインジケータ50aと、煙アラームインジケータ50bと、低バッテリインジケータ50cと、サービスステータス視覚インジケータ50dとを備えている。ハウジングは、更に、好ましくは、下記に詳述するような単一のテスト/サイレンスボタンも備えている。」(明細書第8頁1?5行)

5-e「処理ユニット102は、約30秒毎にセンササンプルを取り込み、バッテリと内蔵(ビルトイン)テストは、約10分毎に発生する。」(明細書第8頁27?28行)

5-f「検出装置50によりマニュアルテストモードも提供される。このテストモードは、ユーザによって起動されるものであり、これは、ユーザが、ホーン音が鳴って黄色のサービスLEDが点滅するまで検出装置の表面のテスト/サイレンスボタンを単純に押すことによって行われる。テストモードに入ると、処理ユニット102は、煙検出回路114の抵抗器R28に3.3ボルトを印加し、約40‐50pA MICをシミュレートする。次に、処理ユニット102は煙コンパレータユニットU2の出力を、それが煙状態を表す低状態に下がるまで10秒毎またはそれ以下毎にモニタする。なんらかの不調があれば、不調フラッグがセットされ、ユーザに通知するべく不調状態が公表され、一酸化炭素テストは終了される。
煙コンパレータユニットU2の出力が、タイムアウト前に低レベル状態になれば、処理ユニット102は1サイクルの煙アラームパターンを出す。検出装置50がパスすると、処理ユニット102は、煙テストと一酸化炭素テストとを分離するべく約1秒間休止する。そして、センササンプルサイクルに続いて、電力LEDがバッテリ状態に応じて緑色又は黄色に点滅する。これらのサンプルのそれぞれは、接地に落とす入力として、通常は、トランジスタQ2のベースに処理ユニット102のピン13によって供給される一酸化炭素検出回路112の抵抗器R33を通る電流をスチールして構成された処理ユニット102のピン6によってとられる。これは、各LEDをSTARVED状態にさせ、センサを通って導入される光を低減させて、一酸化炭素への露出を効果的にシミュレートし、アラームレジスタを約3?5サンプルサイクルで満たす。マニュアルテストが良好に行われると、自動的に高レベルアラーム状態となり、これによって2サイクルのアラームパターン(即ち、1.5秒間のONと1.5秒間のOFF)が可能になり、検出装置50が適切に作動していることが示される。
検出装置50の音声及び視覚インジケータ120は、検出装置50が正常に作動している時、またはサービスが必要な問題を有している時、を示す種々の自己テスト及びユーザによって開始されるテストとの関連で使用される。さらに、音声及び視覚インジケータ120は、近くにいる人に、煙及び一酸化炭素の濃度が不健康または危険な状態であることも警告する。音声及び視覚インジケータ120は、一酸化炭素アラームインジケータ回路122と、煙アラームインジケータ回路124と、ホーン駆動回路126と、サービスインジケータ回路128と、電力/低バッテリインジケータ回路129とを含む。」(明細書第14頁22行?第15頁24行)

5-g「約10分毎または20運転サイクル毎に、バッテリB1は、それがUL2034基準によって規定されている低バッテリ状態として検出された後に、運転を維持するのに十分な容量を有していることを確認するべくテストされる。このテスト中、処理ユニット102は、センサS1のIR LEDを10mS(これは約20mAを消費する)の間、正確な測定のためにバッテリをロードする。
IR LEDをOFFにする前に、処理ユニット102は、電圧検出器U3のピン1の状態をサンプリングする。ロード状態のバッテリレベルが7.5Vdc(電圧検出器U3のトリップポイント)を超えているならば、抵抗器R23は、電圧検出器U3の開放コレクタ出力(ピン1)を3.3ボルトに引き上げる。その結果、処理ユニット102のピン16によって高論理レベルが検出される。これは十分なバッテリレベルの存在を示すものである。他方、もしもロード状態のバッテリレベルが7.5Vdcを下回る場合は、電圧検出器U3の開放コレクタ出力は接地にまで引き上げられ、それによって、処理ユニット102のピン16は低論理レベルを検出する。この場合、処理ユニット102はLOW BATTERY フラッグをセットし、この状態をユーザに示す。」(明細書第18頁17行?第19頁2行)

5-h「図5は、検出装置50がスリープモードから覚醒された時に実行されるWAKEサブルーチン330を図示している。ブロック330aにおいて、検出装置50は、TESTモードフラグがセットされているか否かを決定する。もしもTESTモードフラグがセットされているならば、処理はRESUMEサブルーチン330bに進む。このRESUMEサブルーチン3306中、検出装置50は、ブロック330cにおいてSTARVED(上述したように)状態に維持され、黄色の光がブロック330dでONに維持され、WAKE UPカウンタがブロック330fにおいて1にセットされる。次に、検出装置50は、ALARMフラグがブロック330fでセットされているか否かを決定する。もしもALARMフラグがセットされているならば、処理は以下に詳述するようにRESETサブルーチンに進む。もしもALARMフラグがセットされていなければ、処理は以下に詳述するようにLOOPサブルーチンに進む。
もしもブロック330aでTESTモードフラグがセットされていなければ、検出装置50は、ブロック330cでALARMフラグがセットされているか否かを決定する。もしもALARMフラグがセットされているならば、検出装置50はブロック330dで煙又は一酸化炭素状態が存在するか否かを決定する。もしもブロック330cでALARMフラグがセットされていなければ、検出装置50はブロック330eでTESTスイッチが押されているか否かを決定する。もしもTESTスイッチが押されていなければ、処理は以下に詳述するようにBYE1サブルーチンに進む。
もしもTESTスイッチがブロック330eで押されているならば、検出装置50は、ブロック330fでALARMレジスタをセーブし、TESTフラグをセットし、WAKEUPカウンタを1にセットし、ブロック330gで電力/低バッテリインジケータ回路129の黄色LED4をONにする。次に、検出装置50は、ブロック330hでバッテリレベルが低であるか否かを決定する。もしもバッテリレベルが低でなければ、ブロック330Iで電力/低バッテリインジケータ回路129のグリーンLED4をONにする。
もしもブロック330hで検出装置50のバッテリレベルが低であれば、検出装置はブロック330jで黄色LEDをONにする。次に、検出装置は、煙アラームをシミュレートし、ブロック330kで煙アラームインジケータ回路124の煙LED3をONにし、ブロック330lで煙アラームパターンを発声する。次に、検出装置は、ブロック330mで、煙LEDをOFFにし、一酸化炭素アラームをシミュレートする。次に、検出装置50はブロック330nで、一酸化炭素アラームホーンパターンと一酸化炭素アラームインジケータ回路122のLED2とをONにする。その後、検出装置50は、ブロック330oで一酸化炭素アラームと一酸化炭素アラームLED3をOFFにする。その後、検出装置はスリープモードに入る。」(明細書第21頁31行?第23頁2行)

上記記載及び図面に基づけば、テスト/サイレンスボタンを押すとバッテリレベルが低であるか否か検出できる。
上記記載、図5及び調書に基づけば、テスト/サイレンスボタンを押した後にバッテリレベルが低であることを検出すると黄色LEDをオンにしている。

上記記載を総合すると、甲第5号証には、以下の発明(以下、「甲5発明」という。)が開示されているものと認められる。
「バッテリ駆動式で、大気中の一酸化炭素及び煙の存在を検出して警報を発する検出装置であって、
バッテリが運転を維持するのに十分な容量を有していることを確認する低電圧検出回路と、
前記低電圧検出回路によってバッテリが運転を維持するのに十分な容量を有していない場合に、LOW BATTERYフラッグをセットし、この状態をユーザに示す手段と、
ユーザが押すとバッテリレベルが低であるか否か検出できるテスト/サイレンスボタンと、
ユーザが前記テスト/サイレンスボタンを押した後にバッテリレベルが低であることを検出すると黄色LEDをオンにすると共に、煙アラームをシミュレートして煙アラームパターンを発声し、次に、一酸化炭素アラームをシミュレートして一酸化炭素アラームホーンパターンをオンにする手段と、
を備える検出装置。」


(3)甲第7号証
甲第7号証には、図面と共に以下の事項が記載されている。なお、翻訳文は、請求人提出のものである。

7-a「「セキュリティシステムで用いられる煙センサは、バッテリで作動するものが多い。電力が不十分なバッテリは、煙センサの機能を損ないうるものであり、消耗しきったバッテリは、煙センサを作動させなくするものである。この問題に対する先行技術の解決策のひとつは、煙センサが低バッテリ状態になると、音声信号(例えば、短い警告音)を発生させる監視回路を提供することである。このような回路は、バッテリ容量が許容できない状態になりさえすれば、忠実に音声信号を発生させるものであり、かつ、これらの回路は、バッテリが交換されるまで、あるいは、そのエネルギー出力がバッテリ監視回路に電力供給するのに不十分になるまで、その音声信号を連続して発し続けるものである。」(明細書第1頁第1欄17?28行)

7-b「このような監視回路を介して、ユーザーに煙センサにおける低バッテリ状態の通知を提供するという先行技術には、2つの欠点がある。付与される通知のタイプと通知のタイミングである。第1に、付与される通知のタイプについては、この監視回路は、非常に不都合で煩わしく思わせることになりうる音声信号を提供する。時として、この煩わしさは、ユーザが、それを静かにさせるため、煙検出器を機能しないようにしてしまう程である。そして、ユーザは、当該検出器を使いものにならなくする自身が煙検出器を機能しないようにしてしまったことを、忘れうる。
第2に、低バッテリの報知のタイミングについては、監視回路は、バッテリ容量が許容できない状態になったことを検出すると同時に煩わしい信号を鳴らすが、これは夜中を含み、かつ、それが大半である。この回路は、低バッテリ報知を鳴らす前に、バッテリを交換するための合理的な期間を与えない。その結果、ユーザは、非常に不愉快な態様で、多くは不都合な時間に、低バッテリ状態を知らされることになる。
さらに、気温が真夜中の気温より暖かくなることが最も多い日中においては、気温の上昇がバッテリがより多くのエネルギーを提供することを助けるので、音声の低バッテリ報知が停止することがある。このバッテリの許容性の状態変化は、バッテリを交換する必要があるのかどうかについて、単に、ユーザを、ますますイライラさせ、混乱させるだけにしかならない。」(明細書第1頁第1欄29?55行)

7-c「明らかに、煙センサが、低バッテリ状態を検出した際、所定時間、音声の低バッテリ報知を鳴らすことを抑制し、かつ、そのようにしている間、当該ユーザ及び/またはセキュリティシステムのシステムコントローラを介したセンター本部に、都合よく煩わしくない低バッテリ報知を提供するようにする必要がある。所定の抑制期間は、煩わしくない低バッテリ通知に促された後、ユーザにバッテリを交換することを可能とさせる。この時間内にバッテリが交換されなければ、そこで従来の低バッテリ報知が鳴るようにすればよい。このようにして、以上のような回路は、より快適で好都合な態様で、ユーザに通知するものである。」(明細書第1頁第1欄56?67行)

7-d「本発明は、煙検出器などのセンサにおいて用いられるバッテリの状態を報知するための方法及び装置に特徴を置く。バッテリが許容できない状態にあると検出されると、最初に、このような状態について消極的な報知が発せられる。このような状態についての積極的な報知は、当該状態のこの最初の検出に続く所定時間、抑制される。この期間内にバッテリが許容可能なものと交換されない場合に、積極的な報知がその後に発せられる。
本発明は、単独型のセンサにでも、または、一つのコントロールパネルと通信して、配置される複数のセンサを備えるセキュリティシステムの一つのセンサにでも適用することができる。単独型のセンサでは、積極的な報知も消極的な報知も、当該センサによって発せられる。単独型のセンサの消極的な報知は視覚インジケータであってもよいし、積極的な報知は短い警告音であってもよい。配置された複数のセンサと一つのコントロールパネルとを備えるセキュリティシステムでは、消極的な報知は、視覚または音声のメッセージとして当該コントロールパネルによって発せられてもよいし、当該センサによって発せられてもよい。同様に、積極的な報知も、当該コントロールパネルによって発せられてもよいし、当該センサによって発せられてもよい。」(明細書第1頁第2欄47?65行)

7-e「図1は、セキュリティシステム12を備えた住宅または施設10を示している。セキュリティシステム12は、視覚ディスプレイ37と、煙センサや煙検出器18などの種々のセンサ16を備えたシステムコントローラ(又はコントロールパネル)14を有している。システムコントローラ14は、電話により、家または施設10の状況を、センター本部や消防署などの構外の遠隔監視ステーション(図外)に報知する。
図2は、煙検出器18、システムコントローラ14、及び種々の他のセンサ16のブロック図である。煙検出器18は、煙検出回路20、不正行為監視回路22、熱感知回路24、テストボタン28を備えたテストボタン回路50、バッテリ30、分圧器60、煙センサ制御回路34、通信回路36、及び音声サイレン38を備えている。煙センサ制御回路34は、本発明の両方の態様、つまり、バッテリ状態を報知する装置と、警報状態が煙に起因するものなのか、煙センサ18のテストボタン28を押したことによるものなのかを検知する装置のための回路構成を有するものである。」(明細書第2頁第3欄51行?第4欄3行)

7-f「まず、図3を参照して、煙センサ18においてバッテリ30の状態を報知する装置が説明される。図3は、バッテリ30、分圧器60、煙センサ制御回路34、及び、これらの回路がシステムの12の残部とどのように相互接続しているかのブロック図を示している。図3に示すように、バッテリ30は分圧器60に接続されており、この分圧器60の方では、バッテリ状態検出回路32に接続されている。バッテリ状態検出回路32は、バッテリ状態サンプリング保持回路40に接続されている。バッテリ状態サンプリング保持回路40は、遅延回路42と通信回路36に接続されている。遅延回路42は音声サイレン38に接続されている。通信回路36は、変調無線周波数伝達器を介して、視覚ディスプレイ37を有するシステムコントローラ14に接続されている。システムコントローラ14はまた、電話回線によって遠隔センター本部15に接続されている。バッテリ状態検出回路32、バッテリ状態サンプリング保持回路40及び遅延回路42は、煙センサ制御回路34の一部である。
煙センサ18内にあるバッテリ30は、分圧器60に接続されており、バッテリ状態検出回路32に、低減された電圧を付与する。分圧器60からの低減された電圧は、バッテリ状態検出回路32によって継続的に監視される。このバッテリ状態検出回路32は、バッテリ30の状態を示す信号を出力する。バッテリ状態サンプリング保持回路40は、バッテリ状態検出回路32の出力を定期的にサンプリングする。バッテリ状態サンプリング保持回路40は、2つ又はそれ以上連続したサンプリングで、バッテリ状態が低い/弱いまま維持されている場合、バッテリ状態検出回路32から通信回路36及び遅延回路42に、低バッテリ状態を出力する。
変調無線周波数を利用することによって、通信回路36は、バッテリ状態を、バッテリ状態サンプリング保持回路40からシステムコントローラ14に伝達する。低バッテリ状態がシステムコントローラ14に伝達されると、第1インジケータが、バッテリ30の低バッテリ状態を示す。この第1インジケータは、ユーザがセキュリティシステムを装備/解除するときにユーザが見るであろうシステムコントローラ14の可視ディスプレイ37であってもよい。また、第1インジケータは、低バッテリ状態が現存することを示すシステムコントローラ14からユーザへの音声メッセージであってもよく、これは、ユーザがセキュリティシステムを装備/解除するときにユーザに付与される。これに替えて、第1インジケータは、煙センサ18そのもの、例えば、煙センサ18上の点滅する発光ダイオードにより提供されてもよい。これらの実施例のそれぞれにおいて、第1インジケータは、ユーザに快適な態様で低バッテリ状態を通知する消極的な報知である。このように、ユーザは、低バッテリ状態が検出された際、煩わしい警報によって邪魔されることはない。」(明細書第2頁第4欄19行?第3頁第5欄6行)

7-g「また、遅延回路42も、バッテリ状態サンプリング保持回路40からの出力を受信する。低バッテリ状態が遅延回路42によって受信されると、遅延回路42は、所定時間の間カウントを始める。所定時間が経過してもバッテリ30が交換されない場合、その後、音声サイレン38が短い警告音を出すことができるようになる。これに替えて、許容できないバッテリ状態の他の積極的な報知をなすようにすることも出来る。バッテリ30が交換されて、低バッテリ状態がなくなると、音声サイレン38は、短い警告音を出すことはできないようにされる。この遅延回路42は、ユーザに、消極的な報知によってユーザに最初の通知が付与されたときから、バッテリ30を交換するための比較的好都合な時間を与える。従って、この装置の効果は、音声サイレン38が所定時間の間短い警告音を発するのを禁じ、低バッテリを交換できるようにするということである。」(明細書第3頁第5欄7?24行)

7-h「図4Cにおいて、煙センサチップ35に同様に含まれるバッテリ状態サンプリング保持回路40が説明されている。バッテリ状態サンプリング保持回路40は、本発明において、通信回路36が誤った低バッテリ電圧状態を送信する回数を減らすために使用されている。送信される誤った低バッテリ電圧状態の回数はバッテリ状態サンプリング保持回路40によって低減される。何故ならバッテリ状態サンプリング保持回路40は、それが比較回路57の出力で低バッテリ電圧状態を2回続けてサンプリングした場合に低バッテリ状態を出力するだけだからである。仮に、比較回路57が低バッテリ状態を出力しても、バッテリ状態サンプリング保持回路40が比較回路57の出力を二度目にサンプリングしうる前に、自身でその後に訂正するため、低バッテリ電圧状態は送信されなくなる。このようにして、バッテリ状態サンプリング保持回路40は、低バッテリ状態を送信する前に低バッテリ電圧状態が現存することを確実にしている。しかしながら、バッテリ状態サンプリング保持回路40は、本発明を実施する上で必須ではない。比較器57の出力は、システムコントローラ14に検出した状態を送信する通信回路36に直接接続することができる。より好ましい実施例では、バッテリ状態サンプリング保持回路40は、第1Dフリップフロップ68、第2Dフリップフロップ70、及び3つの入力のAND-ゲート72を備える。比較器57の出力は、第1Dフリップフロップ68のD-入力67に接続される。第1Dフリップフロップ68のQ-出力69は第2Dフリップフロップ70のD-入力とAND-ゲート72の3つの入力の一つとに接続される。第2Dフリップフロップ70のQ-出力74は、低(LOW)バッテリ(BATT)出力(OUT)ピンであるピン15を通じた煙センサチップ35からの出力である。また、第2Dフリップフロップ70のQ-出力74は、AND-ゲート72の入力の一つと接続されている。AND-ゲート72の出力75は、遅延回路42のクロック入力83に接続されている。40秒クロック信号65も、AND-ゲート72の入力の一つ及びDフリップフロップ68及び70のクロック入力に接続されている。Dフリップフロップ68及び70のリセット300は一緒に結びつけられている。
作動にあたって、40秒クロック65はDフリップフロップ68及び70を稼働させる。比較器57が低(LOW)出力状態を出力する場合、そして煙センサ18のバッテリ30の電圧は許容できるものである。比較器57が高(HIGH)出力状態を出力する場合、そして煙センサ18のバッテリ30は低電圧状態、言い換えると、バッテリ30は許容できないエネルギー量を含むものであり、煙センサ18のバッテリ30は交換されなければならない状態、にある。
比較器57からの出力は、バッテリ状態サンプリング保持回路40によって40秒ごとにサンプリングされる。高(HIGH)出力状態が第1Dフリップフロップ68のD-入力67の入力となり、Dフリップフロップ68は、そのQ-出力69を通じて高出力状態を出力する。Dフリップフロップ68は、クロック65がDフリップフロップ68を稼働させる時だけ、D-入力67の状態を出力する。より好ましい実施例では、Dフリップフロップ68は、40秒クロック65により40秒毎に稼働される。」(明細書第3頁第6欄25行?第4頁第7欄14行)

7-i「本発明はまた、遅延回路42を有している。低バッテリ電圧状態が検出されると、遅延回路42は、音声サイレン38が鳴り出すのを一定時間遅らせる。以下に、遅延回路42の詳細な作動が説明される。
図4fに示すように、煙センサチップ35の内部に位置する遅延回路42は、14ビットカウンタ82、インバータ84、及びDフリップフロップ86を備えている。バッテリ状態サンプリング保持回路40のE-ゲート72(図4c)からの出力75は、カウンタ82のクロック入力83に接続される。カウンタ出力85はインバータ84の入力に接続される。インバータ84からの出力は、Dフリップフロップ86のクロック入力に接続される。Dフリップフロップ86のD-入力87は、VDDに連結されており、常に高(HIGH)にされている。クロック入力が低(LOW)状態から高(HIGH)状態に変わると、D-入力87における高(HIGH)状態の入力がその出力へと時間毎に作動され、これにより音声サイレン38に短い警告音を出させる。
バッテリ状態サンプリング保持回路40のE-ゲート72の出力75が高(HIGH)状態(低電圧状態を示す)になるたび、カウンタ82がひとつ増加する。好適な実施例では、40秒クロック65が用いられるため、すべてのカウントは40秒の時間に等しい。カウンタ82は、特定のカウント数に達すると、音声サイレンが鳴るように構成されている。バッテリ30で検出された低バッテリ状態を補修する時間は、この装置が製造された工場で設定される。好適な実施例では、所定時間は7日に設定される。しかしながら、所定時間は、インバータ84の入力とANDゲート88の入力の1つとを、カウンタ82の他のいずれかの出力、またはカウンタ82の出力のいずれかの組み合わせに接続することによって、設定することができる。
カウンタ82が、インバータ84へのその出力85を介して、高(HIGH)状態から低(LOW)状態に移行すると、この所定時間が経過している。Dフリップフロップ86は、D-入力が高(HIGH)であり、かつ出力ピンへと時間毎に作動されるため、高(HIGH)出力状態を出力する。カウンタ82が低(LOW)出力状態を出力していたときは、Dフリップフロップ86のクロックは高(HIGH)であった。Dフリップフロップ86のD-入力87は、VDDへの接続によって高(HIGH)に連結されているため、Q-出力89は、フリップフロップが時間毎に作動されると、高(HIGH)出力状態を出力する。Q-出力89は、電源オンリセット信号がフリップフロップをリセットするまで、高(HIGH)出力状態にラッチされたままになる。この出力は煙センサチップ35内において内部接続され、音声サイレン38が短い警告音を出せるようにしている。これが高(HIGH)出力状態を出力すると、音声サイレン38が短い警告音を出すことができるようになる。このようにして、音声サイレン38によって出される短い警告音は、所定の時間抑制されることになる。低バッテリ状態が、所定の時間が経過する前に解決されなかったら、その後音声サイレン38は短い警告音を出すことになる。
また、バッテリ30が交換されると、カウンタ82がリセットされる。」(明細書第5頁第9欄6?60行)

7-j「次に、本発明の第2の態様が説明される。本発明の第2の態様は、セキュリティシステム12をテストモードにすることなく、かつ誤警報を発生させることなく、セキュリティシステム12の一部である煙センサ18などのセンサの作動性をテストする電子システムである。特に、この本発明の第2の態様は、セキュリティシステム12のシステムコントローラ14が、煙センサ18によって発せられる警報状態が、煙センサ18上のテストボタン28の警報作動によるものであったのか、煙の検出によるものであったのかを判定できるようにするものである。この本発明の第2の態様を利用することによって、システムコントローラ14をテストモードにすることなく、かつ、センター本部や遠隔監視ステーションや消防署などに誤って警報することなく、煙検出回路20及び煙センサ18の他の重要な部位をテストすることができる。
図1に示すように、家または施設10はセキュリティシステム12を備えている。セキュリティシステム12は、一つのシステムコントローラ14と種々複数のセンサ16を有している。セキュリティシステム12はまた、テストボタン28を備えた煙センサ18を有している。
図2は、煙センサ18、システムコントローラ14、及び種々の他のセンサ16のブロック図である。煙センサ18は、煙検出回路20、テストボタン28を備えたテストボタン回路50、煙センサ制御回路34、及び通信回路36を有している。システムコントローラ14は、RF受信器52、マイクロプロセッサ54、及び電話接続器58を有している。
図3は、煙センサ制御回路34、及び、これがシステムの12の残部とどのように相互接続しているかのブロック図を示している。図3は、テストボタン28を備えたテストボタン回路50、テストボタン検出制御回路39、通信回路36、視覚ディスプレイ37を備えたシステムコントローラ14、及びセンター本部15を示している。
テストボタン28を備えたテストボタン回路50は、テストボタン検出制御回路39に接続されている。テストボタン検出制御回路39は通信回路36に接続されており、こちらの方では、さらに変調RFを介して、システムコントローラ14に接続されている。システムコントローラ14は、視覚ディスプレイ37を備えており、センター本部15などの遠隔監視ステーションに接続される。
図5は、テストボタン回路50、テストボタン検出制御回路39、及び、これらの回路がシステムの12の残部とどのように相互接続しているかのブロック図を示している。図5に示すように、テストボタン28はテストボタン回路50に接続される。テストボタン回路50は、回線184を介して煙センサ回路20に、回線184及び185を介してクロック選択回路159に、及び回線185を介してテストボタンサンプリング保持回路51に接続される。煙センサ回路20は、回線126を介して警報サンプリング保持回路46に、及び回線124を介して無効回路128に接続される。無効回路128は、警報前サンプリング保持回路48に接続される。警報前サンプリング保持回路48及びテストボタンサンプリング保持回路51は、警報前連結回路53に接続される。クロック選択回路159は、警報サンプリング保持回路46、警報前サンプリング保持回路48、及びテストボタンサンプリング保持回路51に接続される。警報サンプリング保持回路46及び警報前連結回路53は、それぞれ回線254及び250を介して、通信回路36に接続される。通信回路36はシステムコントローラ14に接続され、システムコントローラ14はセンター本部15に接続される。煙センサ回路20、警報サンプリング保持回路46、無効回路128、クロック選択回路159、警報前サンプリング保持回路48、テストボタンサンプリング保持回路51、及び警報前連結回路53は、煙センサ制御回路34の一部である。
通信回路36の方法によって、テストボタン検出制御回路39は、2つの信号、テスト信号250及びサンプル警報信号254を、システムコントローラ14に送信し、それぞれの信号は2つの状態を有している。テスト信号250は、次の2つの状態:(i)センサユニット20上に充分な埃や煙が蓄積しているとき(そのことにより、高(HIGH)警報前状態を引き起こす);あるいは(ii)テストボタン28が押されたとき、のうちいずれかにおいて高(HIGH)状態にある。埃または煙に誘発されたテスト信号状態は、煙センサユニット20が、警報状態を出力するのに充分な煙を検出していないものの、警報前状態を出力するのに充分な煙または埃の蓄積を検出するため、煙センサユニット20が警報前信号124を介して高(HIGH)警報前状態を出力したときに送信される。煙センサユニット20内に充分な煙または埃の蓄積がない場合は、煙センサユニット20からの警報前信号124は低(LOW)である。このように、高(HIGH)テスト信号250は、煙センサ回路20が充分な埃の蓄積や少量の煙を検出したか、テストボタン28が押されたかのいずれかを示すのである。低(LOW)テスト信号250は、(i)煙センサ回路20が充分な煙または埃の蓄積を検出しなかった;及び(ii)テストボタン28は押されなかった、ということを示す。
テストボタン検出制御回路39による第2信号は、サンプル警報信号254である。サンプル警報信号254は、次の2つの状態:(i)一定の量の煙が煙センサ回路20によって検出されたとき;あるいは(ii)テストボタン28が押されたときのいずれかにおいて、高(HIGH)になる。低(LOW)サンプル警告信号254は、煙の検出も、テストボタン28の作動もなかったことを示す。もし、警報信号126、サンプル警報信号254、警報前信号124、サンプル警報前信号252、テストボタン信号256、及びテスト信号250が低(LOW)状態なら、警報状態も、警報前状態も、テストボタン作動状態も存在しない。」(明細書第6頁第11欄11行?第12欄47行)

上記記載を総合すると、甲第7号証には、以下の発明(以下、「甲7発明」という。)が開示されているものと認められる。
「バッテリで作動し、住宅又は施設の煙をセンシングして警報状態とする煙検出器であって、
低バッテリ状態を監視するバッテリ状態検出回路と、
前記バッテリ状態検出回路によって監視されたバッテリの電圧が低バッテリ状態の場合に、当該低バッテリ状態を通知するために点滅する煙センサの発光ダイオードと、
前記バッテリ状態検出回路に接続されたバッテリ状態サンプリング保持回路からの出力を受信すると所定時間のカウントを開始する遅延回路と、
前記遅延回路が所定時間カウントしても低バッテリ状態の場合に警告音を発する音声サイレンと、
を備えた煙検出器。」


6.理由iに関する対比
本件特許発明1と甲1発明とを比較すると、甲1発明の「電池電源」、「電池電源の火災検知器」、「電圧低下検出回路」、「点滅点灯」、「故障表示灯」は、各々本件特許発明1の「電池」、「電池式警報器」、「電圧監視手段」、「点灯または点滅」、「表示灯手段」に相当するものと認められる。
その機能をも考慮すると、甲1発明の「電池電源が火災検知器の各回路に電圧を供給」は、本件特許発明1の「電池によって稼働」に、甲1発明の「火災検出回路が所定の基準値以上を検出して火災表示灯を点灯する」は、本件特許発明1の「監視領域の異常を検出して警報を発する」に、甲1発明の「電池電源の電圧を検出し、検出値が所定値以下のときに電池電圧低下信号を出力する」は、本件特許発明1の「電池の電圧が所定の電圧以下に低下しているか否かを監視する」に、甲1発明の「電圧低下検出回路から電池電圧低下信号を受けたときに電池電源の電池切れを判断して点滅点灯する」は、本件特許発明1の「電圧監視手段によって監視された電池の電圧が所定の電圧以下に低下している場合に、当該電圧の低下を報知するために点灯または点滅する」に相当するものと認められる。

したがって、両者は、
「電池によって稼働し、監視領域の異常を検出して警報を発する電池式警報器であって、
電池の電圧が所定の電圧以下に低下しているか否かを監視する電圧監視手段と、
電圧監視手段によって監視された電池の電圧が所定の電圧以下に低下している場合に、当該電圧の低下を報知するために点灯または点滅する表示灯手段と、
を備えた電池式警報器。」
の点で一致し、以下の点で相違している。

〔相違点〕
本件特許発明1は、電池式警報器が、電圧監視手段によって監視された電池の電圧が所定の電圧以下に低下している場合であって、かつ、電池の電圧が所定の電圧以下に低下しているか否かを確認するための確認要求を監視領域の利用者から受け付ける確認要求受付手段によって確認要求を受け付けたときに、電池の交換を促す内容を含んだ音声メッセージを監視領域に出力する音声出力手段を有しているのに対し、甲1発明は、この様な構成を有していない点。


7.理由iに関する本件特許発明1についての判断
甲1発明は、警報器の電池電圧が低下したとき表示灯手段のみを用い、音声は用いていないから、調書記載のように、利用者が発音手段から発せられる音をうるさがるという課題は存在しない。
さらに、甲1発明は、電池を無駄に消費することなく、且つ、使用者をうるさがらせることなく、且つ、電池の交換を促すという3つの課題を同時に解決しようとするものではない。
甲2発明には、単一の発光素子或いはブザー等で報知する警報器では、使用者は取扱い説明書等により異常事態の内容を調べなければならないという課題、及び、異常事態を音声合成装置で報知する警報器では、使用者の意思に関係ない動作により使用者に不快感を与えるという課題が存在するが、調書記載のように電池式ではないから電池を無駄に消費しないという課題は存在しない。
さらに、甲2発明は、電池を無駄に消費することなく、且つ、使用者をうるさがらせることなく、且つ、電池の交換を促すという3つの課題を同時に解決しようとするものではない。
そうであれば、表示灯手段のみを用いる甲1発明には、利用者が発音手段から発せられる音をうるさがるという課題は無く、又、甲1発明に甲第2号証記載の課題が内在するとしても、甲第2号証の単一の発光素子で報知する警報器の使用者は取扱い説明書等により異常事態の内容を調べなければならないという課題のみである。してみると、発音手段が存在することに基づく使用者に不快感を与えないという課題の存在しない甲1発明に、単一の発光素子或いはブザー等で報知する警報器の使用者は取扱い説明書等により異常事態の内容を調べなければならないという課題と、発音手段である音声合成装置で報知する警報器の使用者の意思に無関係の動作により使用者に不快感を与えるという課題の両方を同時に解決するものである甲2発明を適用しようとする動機付けは無い。仮に、請求人が主張するように、甲第5号証及び甲第9号証の「電池電圧の低下をユーザがスイッチを操作して確認する技術」、及び、甲第3号証及び甲第4号証の「電池の交換を促す音声メッセージを報知する技術」が、共に周知の技術であったとしても、上記したように動機付けがない以上、甲1発明に甲2発明を適用することは、当業者が容易に考えることができたものとは認められない。
さらに、甲1発明は、処理速度の速い1つのCPUを使用しても低消費電力化でき、小型化を図ることができる表示灯手段を有する電池式の火災検知器を得ることを目的としており(1-d)、甲1発明に甲2発明を適用しようとすると、低消費電力化を図った電池式の火災検知器に対し、電池の消耗が表示灯手段より大きい発音手段である音声合成装置を採用することとなるから、甲1発明の目的と相対する構成を適用することとなり、阻害要因が認められ、仮に、請求人が主張するように、甲第5号証及び甲第9号証の「電池電圧の低下をユーザがスイッチを操作して確認する技術」、及び、甲第3号証及び甲第4号証の「電池の交換を促す音声メッセージを報知する技術」が、共に周知の技術であったとしても、上記したように阻害要因がある以上、甲1発明に甲2発明を適用することは、当業者が容易に考えることができたものとは認められない。
そうであれば、本件特許発明1は、甲1発明と、甲2発明と、甲第5号証及び甲第9号証に記載された周知技術、甲第3号証及び甲第4号証に記載された周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとは認められない。


8.理由iに関する本件特許発明2ないし本件特許発明4についての判断
本件特許発明1は、甲1発明と、甲2発明と、甲第5号証及び甲第9号証に記載された周知技術、甲第3号証及び甲第4号証に記載された周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとは認められないから、本件特許発明2が、本件特許発明1の構成要件の全てを含み、更に他の要件である「更に前記確認要求受付手段は、前記確認要求のみならず、前記異常の検出を試験するための試験要求を前記利用者から受け付けるものであって、前記確認要求を受け付けた場合には、当該確認要求の受付を示す確認要求受付信号を出力し、前記試験要求を受け付けた場合には、前記異常の検出を試験するために用いられる試験信号を出力すること」を付加したものであるので、甲1発明と、甲2発明と、甲5発明と、甲第5号証及び甲第9号証に記載された周知技術、甲第3号証及び甲第4号証に記載された周知技術、甲第5号証ないし甲第7号証に記載された周知技術と、甲第5号証及び甲第6号証に記載された技術常識に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとは認められない。
本件特許発明3、本件特許発明4は、各々本件特許発明2を引用しているから、本件特許発明3は、甲1発明と、甲2発明と、甲5発明と、甲第5号証及び甲第9号証に記載された周知技術、甲第3号証及び甲第4号証に記載された周知技術、甲第5号証ないし甲第7号証に記載された周知技術と、甲第5号証及び甲第6号証に記載された技術常識と、甲第8号証に記載された周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものとは認められず、又、本件特許発明4は、甲1発明と、甲2発明と、甲5発明と、甲第5号証及び甲第9号証に記載された周知技術、甲第3号証及び甲第4号証に記載された周知技術、甲第5号証ないし甲第7号証に記載された周知技術と、甲第5号証及び甲第6号証に記載された技術常識と、甲第9号証に記載された周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものとは認められない。


9.理由iiに関する対比
本件特許発明1と甲5発明とを比較すると、甲5発明の「バッテリ」、「検出装置」、「低電圧検出回路」は、各々本件特許発明1の「電池」、「電池式警報器」、「電圧監視手段」に相当するものと認められる。
その機能をも考慮すると、甲5発明の「バッテリ駆動式で」は、本件特許発明1の「電池によって稼働し」に、甲5発明の「大気中の一酸化炭素及び煙の存在を検出」は、本件特許発明1の「監視領域の異常を検出」に、甲5発明の「バッテリが運転を維持するのに十分な容量を有していることを確認する」は、本件特許発明1の「電池の電圧が所定の電圧以下に低下しているか否かを監視する」に相当するものと認められる。

したがって、両者は、
「電池によって稼働し、監視領域の異常を検出して警報を発する電池式警報器であって、
電池の電圧が所定の電圧以下に低下しているか否かを監視する電圧監視手段と、
を備えた電池式警報器。」
の点で一致し、以下の点で相違している。

〔相違点1〕
本件特許発明1は、電圧監視手段によって監視された電池の電圧が所定の電圧以下に低下している場合に、当該電圧の低下を報知するために点灯または点滅する表示灯手段を有しているのに対し、甲5発明は、低電圧検出回路によってバッテリが運転を維持するのに十分な容量を有していない場合に、LOW BATTERYフラッグをセットし、この状態をユーザに示す手段を有している点。
〔相違点2〕
本件特許発明1は、電池の電圧が所定の電圧以下に低下しているか否かを確認するための確認要求を監視領域の利用者から受け付ける確認要求受付手段を有しているのに対し、甲5発明は、ユーザが押すとバッテリレベルが低であるか否か検出できるテスト/サイレンスボタンを有している点。
〔相違点3〕
本件特許発明1は、電圧監視手段によって監視された電池の電圧が所定の電圧以下に低下している場合であって、かつ、確認要求受付手段によって確認要求を受け付けたときに、電池の交換を促す内容を含んだ音声メッセージを監視領域に出力する音声出力手段を有するのに対し、甲5発明は、ユーザがテスト/サイレンスボタンを押した後にバッテリレベルが低であることを検出すると黄色LEDをオンにすると共に、煙アラームをシミュレートして煙アラームパターンを発声し、次に、一酸化炭素アラームをシミュレートして一酸化炭素アラームホーンパターンをオンにする手段を有する点。


10.理由iiに関する本件特許発明1についての判断
相違点1について
甲5発明の「低電圧検出回路によってバッテリが運転を維持するのに十分な容量を有していない場合」は、本件特許発明1の「電圧監視手段によって監視された電池の電圧が所定の電圧以下に低下している場合」に相当するものと認められる。また、甲5発明は、LOW BATTERYフラッグをセットし、この状態をユーザに示す手段を有しており、電池式警報器において、状態の変化が発生した場合に利用者に当該状態の変化を伝える手段は、光や音を用いるものが一般的(甲第1号証、甲第4号証参照)であるから、甲5発明において、LOW BATTERYフラッグをセットし、この状態をユーザに示す手段として、点灯または点滅する表示灯手段を用いることは、当業者であれば適宜なし得ることと認められる。

相違点2、3について
本件特許発明1の確認要求受付手段は、単なる電池電圧検査用手段ではなく、電池の電圧が所定の電圧以下に低下しているか否かを確認するための確認要求を監視領域の利用者から受け付ける手段である。
本件特許発明1は、電池を無駄に消費することなく、且つ、使用者をうるさがらせることなく、且つ、電池の交換を促すという3つの課題を同時に解決しようとするものであり、そのために、「この警報器10は、電池20の電圧が所定の電圧以下に低下しているか否かを監視し、電圧が所定の電圧以下に低下している場合には、電圧の低下を報知するために電源ランプ18を点灯または点滅させる。そして、この点灯または点滅に気付いた利用者が、スイッチ19を確認スイッチとして押下した場合には、「電池が消耗しています。交換して下さい。」という電池20の交換を促す内容を含んだ音声メッセージをスピーカ14から出力する。」(【0025】)のような構成・使用方法を採用しており、具体的にはスイッチ19が確認要求受付手段である。
また、上記のような構成・使用方法が前提であるから、確認要求は、利用者が任意の時刻に電池電圧が低下しているか否かを知りたいという要求ではなく、電圧監視手段の電池電圧低下検知に基づく表示灯手段の点灯または点滅を利用者が見て、この表示灯手段の点灯または点滅の意味内容、即ち電池電圧の低下で間違いないか確認するための要求である。
そうであれば、甲5発明のテスト/サイレンスボタンは、「LOW BATTERYフラッグをセットし、この状態をユーザに示す手段」が示す何らかのシグナルを利用者が認識して、その後電池電圧の低下を確認するために押すものでは無く、5-hに記載のように、利用者が任意の時刻に電池電圧が低下しているか否かを知りたいという要求から押すボタンであるから、本件特許発明1の確認要求受付手段と甲5発明のテスト/サイレンスボタンは、機能として全く異なるものである。
但し、「LOW BATTERYフラッグをセットし、この状態をユーザに示す手段」が何らかのシグナルを発しているときに、テスト/サイレンスボタンが押されることが考えられる。この場合、本件特許発明1の音声出力手段について検討すると、音声出力手段は、電圧監視手段によって監視された電池の電圧が所定の電圧以下に低下している場合であって、かつ、確認要求受付手段によって確認要求を受け付けたときに、前記電池の交換を促す内容を含んだ音声メッセージを監視領域に出力するものである。この音声メッセージを出力するために、「ここで、音声メッセージを出力する条件であるが、電圧監視回路21に電圧低下信号を継続的に(電圧が低下している間)出力させることによって、確認信号が入力された時点で電圧低下信号も入力されていることを条件にしても良い。あるいは、電圧監視回路21に電圧低下信号を一度だけ出力させ、これを入力した音声警報回路25にフラグを立たせることによって、確認信号が入力された時点でフラグが立っていることを条件にしても良い。」(【0039】)のような構成を採用している。即ち、電圧低下信号が入力されているときに確認信号が入力されることによって音声メッセージを出力しているから、音声出力手段は、確認要求が入力される前に電圧監視手段からの電圧低下信号が入力されていなければ、構成要件を充足しない。しかも、一般に「?の場合であって、かつ、?のとき」と表記すれば、「?の場合」は前提条件となる。しかし、甲5発明は、平成23年2月18日付上申書「(2)回答」にもあるように、テスト/サイレンスボタンを押した後にバッテリレベルが低であるか否かを判断しているので、本件特許発明1の音声出力手段と甲5発明の「ユーザがテスト/サイレンスボタンを押した後にバッテリレベルが低であることを検出すると黄色LEDをオンにすると共に、煙アラームをシミュレートして煙アラームパターンを発声し、次に、一酸化炭素アラームをシミュレートして一酸化炭素アラームホーンパターンをオンにする手段」は、機能として全く異なるものである。更に、甲5発明の、煙アラームパターン、一酸化炭素アラームホーンパターンは、煙・一酸化炭素が規定値以上存在することを知らしめるアラームであって、テスト/サイレンスボタンを押して、煙アラームパターン、一酸化炭素アラームホーンパターンが動作するか確認するためのものであり、当然に出力は煙アラームパターン、一酸化炭素アラームホーンパターンであって、当該アラームが甲1発明の音声出力手段のように電池の交換を促している点は記載も示唆もない。
そうであれば、本件特許発明1の確認要求受付手段と音声出力手段に関し、全く異なる構成を採用している甲5発明は、電池を無駄に消費することなく、且つ、使用者をうるさがらせることなく、且つ、電池の交換を促すという3つの課題を同時に解決しようとするものではないから、請求人が、甲第2号証、甲第7号証、及び甲第9号証に記載された周知技術と主張する「バッテリの電圧低下等の異常事態を、発光手段と音声手段の両方によりユーザに報知する場合に、まず、発光手段により報知した後に、音声手段により報知するという、二段階に振り分けてユーザに報知を行う技術」、甲第3号証及び甲第4号証に記載された周知技術と主張する「電池の交換を促す音声メッセージを報知する技術」を採用する動機付けは無い。仮に、「バッテリの電圧低下等の異常事態を、発光手段と音声手段の両方によりユーザに報知する場合に、まず、発光手段により報知した後に、音声手段により報知するという、二段階に振り分けてユーザに報知を行う技術」を採用しようとしても、「LOW BATTERYフラッグをセットし、この状態をユーザに示す手段」が2種類のシグナルで状態をユーザに示していない、即ち1種類のシグナルで状態をユーザに示しているから、「発光手段と音声手段の両方によりユーザに報知する場合」が存在せず、又、テスト/サイレンスボタンは、「LOW BATTERYフラッグをセットし、この状態をユーザに示す手段」が示す何らかのシグナルを利用者が認識して、その後電池電圧の低下を確認するために押すことを想定していない、即ち2種類の手段によりユーザに報知するためのボタンでは無いから、「ユーザがテスト/サイレンスボタンを押した後にバッテリレベルが低であることを検出すると黄色LEDをオンにすると共に、煙アラームをシミュレートして煙アラームパターンを発声し、次に、一酸化炭素アラームをシミュレートして一酸化炭素アラームホーンパターンをオンにする手段」にのみ適用可能である。その場合、黄色LEDのオンと煙アラームパターン・一酸化炭素アラームホーンパターンの順序が逆になるだけであり、煙アラームパターン・一酸化炭素アラームホーンパターンが電池の交換を促す音声メッセージになったとしても、本件特許発明1の確認要求受付手段と音声出力手段の構成要件を充足しない。
したがって、本件特許発明1は、甲5発明と、甲第2号証、甲第7号証、及び甲第9号証に記載された周知技術、甲第3号証及び甲第4号証に記載された周知技術に基づいて当業者が容易に考えることができたものとは認められない。


11.理由iiに関する本件特許発明2ないし本件特許発明4についての判断
本件特許発明1は、甲5発明と、甲第2号証、甲第7号証、及び甲第9号証に記載された周知技術、甲第3号証及び甲第4号証に記載された周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとは認められないから、本件特許発明2が、本件特許発明1の構成要件の全てを含み、更に他の要件である「更に前記確認要求受付手段は、前記確認要求のみならず、前記異常の検出を試験するための試験要求を前記利用者から受け付けるものであって、前記確認要求を受け付けた場合には、当該確認要求の受付を示す確認要求受付信号を出力し、前記試験要求を受け付けた場合には、前記異常の検出を試験するために用いられる試験信号を出力すること」を付加したものであるので、甲5発明と、甲第2号証、甲第7号証、及び甲第9号証に記載された周知技術、甲第3号証及び甲第4号証に記載された周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとは認められない。
本件特許発明3、本件特許発明4は、各々本件特許発明2を引用しているから、本件特許発明3は、甲5発明と、甲第2号証、甲第7号証、及び甲第9号証に記載された周知技術、甲第3号証及び甲第4号証に記載された周知技術、甲第8号証に記載された周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものとは認められず、又、本件特許発明4は、甲5発明と、甲第2号証、甲第7号証、及び甲第9号証に記載された周知技術、甲第3号証及び甲第4号証に記載された周知技術、甲第9号に記載された周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものとは認められない。


12.理由iiiに関する対比
本件特許発明1と甲7発明とを比較すると、甲7発明の「バッテリ」、「作動」、「住宅又は施設の煙をセンシング」、「警報状態とする」、「煙検出器」、「低バッテリ状態を監視する」、「バッテリ状態検出回路」、「低バッテリ状態の場合」、「通知」、「点滅」、「煙センサの発光ダイオード」は、各々本件特許発明1の「電池」、「稼働」、「監視領域の異常を検出」、「警報を発する」、「電池式警報器」、「電池の電圧が所定の電圧以下に低下しているか否かを監視する」、「電圧監視手段」、「所定の電圧以下に低下している場合」、「報知」、「点灯または点滅」、「表示灯手段」に相当するものと認められる。

したがって、両者は、
「電池によって稼働し、監視領域の異常を検出して警報を発する電池式警報器であって、
前記電池の電圧が所定の電圧以下に低下しているか否かを監視する電圧監視手段と、
前記電圧監視手段によって監視された前記電池の電圧が所定の電圧以下に低下している場合に、当該電圧の低下を報知するために点灯または点滅する表示灯手段と、
を備えたことを特徴とする電池式警報器。」
の点で一致し、以下の点で相違している。

〔相違点〕
本件特許発明1は、電池の電圧が所定の電圧以下に低下しているか否かを確認するための確認要求を監視領域の利用者から受け付ける確認要求受付手段と、電圧監視手段によって監視された電池の電圧が所定の電圧以下に低下している場合であって、かつ、確認要求受付手段によって確認要求を受け付けたときに、前記電池の交換を促す内容を含んだ音声メッセージを監視領域に出力する音声出力手段を有しているのに対し、甲7発明は、バッテリ状態検出回路に接続されたバッテリ状態サンプリング保持回路からの出力を受信すると所定時間のカウントを開始する遅延回路と、前記遅延回路が所定時間カウントしても低バッテリ状態の場合に警告音を発する音声サイレンを有する点。


13.理由iiiに関する本件特許発明1についての判断
本件特許発明1の確認要求受付手段は、単なる電池電圧検査用手段ではなく、電池の電圧が所定の電圧以下に低下しているか否かを確認するための確認要求を監視領域の利用者から受け付ける手段である。
本件特許発明1は、電池を無駄に消費することなく、且つ、使用者をうるさがらせることなく、且つ、電池の交換を促すという3つの課題を同時に解決しようとするものであり、そのために、「この警報器10は、電池20の電圧が所定の電圧以下に低下しているか否かを監視し、電圧が所定の電圧以下に低下している場合には、電圧の低下を報知するために電源ランプ18を点灯または点滅させる。そして、この点灯または点滅に気付いた利用者が、スイッチ19を確認スイッチとして押下した場合には、「電池が消耗しています。交換して下さい。」という電池20の交換を促す内容を含んだ音声メッセージをスピーカ14から出力する。」(【0025】)のような構成・使用方法を採用しており、具体的にはスイッチ19が確認要求受付手段である。
また、上記のような構成・使用方法が前提であるから、確認要求は、電圧監視手段の電池電圧低下検知に基づく表示灯手段の点灯または点滅を利用者が見て、この表示灯手段の点灯または点滅の意味内容、即ち電池電圧の低下で間違いないか確認するための要求である。
しかし、甲7発明の遅延回路は、監視領域の人間である利用者からの要求を受け付けるものではなく、また、表示灯手段の点灯または点滅の意味内容、即ち電池電圧の低下で間違いないか確認するためのものでもないから、本件特許発明1の確認要求受付手段と甲7発明の遅延回路は全く構成の異なるものである。
本件特許発明1の音声出力手段は、電圧監視手段によって監視された電池の電圧が所定の電圧以下に低下している場合であって、かつ、確認要求受付手段によって確認要求を受け付けたときに、電池の交換を促す内容を含んだ音声メッセージを監視領域に出力するものである。
しかし、甲7発明の音声サイレンは、電池の低電圧状態が所定時間継続したとき発せられるものであり、確認要求受付手段が存在していないから、本件特許発明1の音声出力手段と甲7発明の音声サイレンは全く構成の異なるものである。
また、甲7発明が、バッテリ状態検出回路に接続されたバッテリ状態サンプリング保持回路からの出力を受信すると所定時間のカウントを開始する遅延回路と、前記遅延回路が所定時間カウントしても低バッテリ状態の場合に警告音を発する音声サイレンを備える理由の一つは、使用者をうるさがらせることなくするためのものであるが、この課題は、遅延回路を用いて解決済みであるため、発音手段である音声合成装置で報知する警報器の使用者の意思に無関係の動作により使用者に不快感を与えるという課題を解決しようとする甲2発明を適用しようとする動機付けが無い。しかも、甲7発明が、遅延回路と音声サイレンを用いることにより、発光ダイオードで電池電圧の低下を使用者に伝えられなくても、音声サイレンで電池電圧の低下を使用者に確実に伝えられる様にしているものであるから、表示灯手段の点灯または点滅に使用者が気付かなければ、警報器が使用不能になるような手段を採用するのは、阻害要因があると言わざるを得ない。仮に、請求人が主張するように、甲第3号証及び甲第4号証に記載された「電池の交換を促す音声メッセージを報知する技術」が周知であったとしても、音声サイレンを音声メッセージに代えるのみであり、上記したように動機付けがない以上、甲7発明に甲2発明を適用することは、当業者が容易に考えることができたものとは認められない。
さらに、甲7発明が、使用者をうるさがらせることなくするためのものであるが、甲5発明は、使用者をうるさがらせることなくするためのものではなく、また、上記したように、甲5発明が本件特許発明1の確認要求受付手段と音声出力手段と全く異なる構成を採用しているから、甲7発明に甲5発明を適用する動機付けが無く、仮に適用したところで、本件特許発明1の確認要求受付手段と音声出力手段と全く異なる構成を採用している以上、上記相違点に示される本件特許発明1の構成要件を充足しない。仮に、請求人が主張するように、甲第3号証及び甲第4号証に記載された「電池の交換を促す音声メッセージを報知する技術」が周知であったとしても、音声サイレンを音声メッセージに代えるのみであり、甲7発明に甲5発明を適用することは、当業者が容易に考えることができたものとは認められない。
そうであれば、本件特許発明1は、甲7発明と、甲2発明と、甲第3号証及び甲第4号証に記載された周知技術、または、甲7発明と、甲5発明と、甲第3号証及び甲第4号証に記載された周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとは認められない


14.理由iiiに関する本件特許発明2ないし本件特許発明4についての判断
本件特許発明1は、甲7発明と、甲2発明と、甲第3号証及び甲第4号証に記載された周知技術、または、甲7発明と、甲5発明と、甲第3号証及び甲第4号証に記載された周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとは認められないから、本件特許発明2が、本件特許発明1の構成要件の全てを含み、更に他の要件である「更に前記確認要求受付手段は、前記確認要求のみならず、前記異常の検出を試験するための試験要求を前記利用者から受け付けるものであって、前記確認要求を受け付けた場合には、当該確認要求の受付を示す確認要求受付信号を出力し、前記試験要求を受け付けた場合には、前記異常の検出を試験するために用いられる試験信号を出力すること」を付加したものであるので、甲7発明と、甲2発明と、甲第3号証及び甲第4号証に記載された周知技術、甲第5号証及び甲第6号証に記載された技術常識、または、甲7発明と、甲5発明と、甲第3号証及び甲第4号証に記載された周知技術、甲第5号証及び甲第6号証に記載された技術常識に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとは認められない。
本件特許発明3、本件特許発明4は、各々本件特許発明2を引用しているから、本件特許発明3は、甲7発明と、甲2発明と、甲第3号証及び甲第4号証に記載された周知技術、甲第5号証及び甲第6号証に記載された技術常識、甲第8号証に記載された周知技術、または、甲7発明と、甲5発明と、甲第3号証及び甲第4号証に記載された周知技術、甲第5号証及び甲第6号証に記載された技術常識、甲第8号証に記載された周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものとは認められず、本件特許発明4は、甲7発明と、甲2発明と、甲第3号証及び甲第4号証に記載された周知技術、甲第5号証及び甲第6号証に記載された技術常識、甲第9号証に記載された周知技術、または、甲7発明と、甲5発明と、甲第3号証及び甲第4号証に記載された周知技術、甲第5号証及び甲第6号証に記載された技術常識、甲第9号証に記載された周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものとは認められない。


15.むすび
以上のとおりであるから、請求人の主張する理由及び証拠方法によっては本件特許発明1ないし本件特許発明4を無効にすることはできない。
審判費用については、特許法第169条第2項の規定で準用する民事訴訟法第61条の規定により、請求人が負担すべきものとする。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2011-02-21 
結審通知日 2011-02-23 
審決日 2011-04-06 
出願番号 特願2002-207418(P2002-207418)
審決分類 P 1 113・ 121- Y (G08B)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 神山 貴行  
特許庁審判長 堀川 一郎
特許庁審判官 冨江 耕太郎
槙原 進
登録日 2006-12-22 
登録番号 特許第3895646号(P3895646)
発明の名称 電池式警報器  
代理人 川渕 健一  
代理人 中西 淳  
代理人 小池 眞一  
代理人 岡田 春夫  
代理人 鈴木 慎吾  
代理人 川渕 健一  
代理人 山崎 徹也  
代理人 瓜生 嘉子  
代理人 高橋 詔男  
代理人 北村 修一郎  
代理人 鈴木 慎吾  
代理人 辻 政宏  
代理人 高橋 詔男  
代理人 太田 隆司  
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