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審決分類 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 G09G
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G09G
管理番号 1287811
審判番号 不服2013-5460  
総通号数 175 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2014-07-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2013-03-25 
確定日 2014-05-12 
事件の表示 特願2010-180157「表示制御装置、表示制御方法、およびプログラム」拒絶査定不服審判事件〔平成23年3月3日出願公開、特開2011-43809〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
この審判事件に関する出願(以下、「本件出願」という。)は、平成13年4月3日にされた特許出願(特願2001-104328)の一部を、平成22年8月11日に新たな特許出願としたものである。この特許出願の分割は、適法と認められるので、本件出願は、もとの特許出願の時にしたものとみなす。
本件出願は、平成24年10月12日付け手続補正書により明細書及び特許請求の範囲についての補正がされた。そして、平成24年12月25日付けで拒絶査定がされ、同年同月27日に査定の謄本が送達された。
これに対して、平成25年3月25日に拒絶査定不服審判が請求され、同時に明細書及び特許請求の範囲についての補正(以下、「本件補正」という。)がされた。

第2 本件補正の却下の決定
[結論]
本件補正を却下する。

[理由]
1.本件補正の内容
本件補正は、本件補正前(平成24年10月12日付け手続補正書による補正の後をいう。以下同じ。)の特許請求の範囲の請求項1を以下のように補正することを含む。なお、下線は、請求人が付したものであり、補正箇所を示す。

(本件補正前)
「【請求項1】
一方向に複数並べて表示される機能に対応するマークのうち、前記一方向の操作によって選択された前記マークを、選択されていない前記マークより前記一方向の幅が広くなるように表示させるとともに、選択された前記マークに対応する機能によって設定可能な複数の項目を前記一方向と直交する方向に並べて表示させ、複数の前記項目のうち、選択する前記項目を前記直交する方向の操作に応じて切り替える表示制御手段を備える
表示制御装置。」

(本件補正後)
「【請求項1】
一方向に複数並べて表示される機能に対応するマークのうち、前記一方向の操作によって選択された前記マークを、選択されていない前記マークより前記一方向の幅が広く、かつ表示色を異なるように表示させるとともに、選択された前記マークに対応する機能によって設定可能な複数の項目を前記一方向と直交する方向に並べて表示させ、複数の前記項目のうち、選択する前記項目を前記直交する方向の操作に応じて切り替え、複数の前記項目の選択中においても、選択された前記マークを前記一方向の幅が広く、かつ異なる前記表示色として表示させる表示制御手段を備える
表示制御装置。」

本件補正のうち、請求項1についての補正は、「選択された前記マーク」を「選択されていない前記マークより前記一方向の幅が広くなるように表示させる」としていたものを、さらに「表示色を異なるように表示させる」ものに限定するものである。また、表示させる時期について、「複数の前記項目の選択中においても」という特定を加えるものである。
したがって、本件補正は、いわゆる特許請求の範囲の限定的減縮を目的とするものに該当する。
この場合、本件補正後の請求項1に係る発明(以下、「本件補正発明」という。)は、特許出願の際独立して特許を受けることができるものでなければならない。
しかし、以下に述べるとおり、本件補正発明は、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができない。

2.刊行物
以下に掲げる刊行物1から4までは、いずれも本件出願前に日本国内において頒布された刊行物である。また、刊行物1及び2は、いずれも原査定の拒絶の理由に引用された刊行物である。

刊行物1:特開平11-196297号公報
刊行物2:特開平10-133842号公報
刊行物3:特開平10-27087号公報
刊行物4:特開平6-337912号公報

3.刊行物1に記載された事項
(1)刊行物1の記載
刊行物1には、以下の記載がある。

ア.段落0001から0003まで
「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ビデオカメラや電子スチルカメラ等のオンスクリーン表示方法とこれを実施した装置に関する。本発明のオンスクリーン表示方法とこれを実施した装置は、ビデオカメラや電子スチルカメラ等のオンスクリーン表示で、選択されている部分を拡大表示するようにして、小さな表示画面でも読みやすい表示を行なうようにしたものである。
【0002】
【発明が解決しようとする課題】ビデオカメラや電子スチルカメラ等はその回路がデジタル化された結果装置の小型化が急速に進んでいる。これにともない、ビデオカメラや電子スチルカメラ等では、操作ボタンの数を少なくして操作を容易にするために、操作の内容等をメニューより選択する方式のものが広く実用化されている。ビデオカメラや電子スチルカメラ等のメニューは本体のLCDパネルやビューファインダーに表示するようにしたものが多く使用されている。
【0003】しかしながら、ビデオカメラや電子スチルカメラ等のLCDパネルやビューファインダーは、表示画面が小さく、又、その解像度も良くないために、メニュー等の表示内容が読みずらいという問題があった。ビデオカメラや電子スチルカメラ等のLCDパネルやビューファインダーの表示内容を読み易くするために、表示文字を拡大すると、一画面に表示出来る文字の数が1/2、1/3等と少なくなり、一画面で表示出来た内容が二画面で表示することが必要になり画面全体の内容を把握しずらくなる。又、選択するメニューの項目を捜すために、何頁も改ページをすることが必要になり操作が煩雑になるという問題がある。」

イ.段落0009及び0010
「【0009】図1と図2のメニュー画面を使用して、図3により、本発明のオンスクリーン表示方法とこれを実施した装置の動作を説明する。図3は、本発明のオンスクリーン表示方法とこれを実施した装置が適用されるビデオカメラの制御回路構成の一例を示す図である。図3において、KEYはキー入力装置で、ビデオカメラに対してメニューによる各種の設定等を行なうものである。キー入力装置KEYは、表示装置の表示をメニュー画面とスクリーン表示に切り替えを行なう「MENU」、メニューの選択を行なう「UP」、「DOWN」、メイン/ンサブのメニュー画面の切り替えを行なう「OK」等のキーを持っている。CPUはビデオカメラの動作の制御を行なうマイクロプロセッサである。MOはマイクロプロセッサCPUのメモリである。
【0010】DICはオンスクリーン表示ICで表示装置に対して表示信号を発生する。DSPはビデオカメラの表示装置で、LCDパネル等が使用されている。図3に示すような構成を持ったビデオカメラの制御回路に本発明を適用した場合の動作を以下に説明する。図3のビデオカメラの制御回路では、マイクロプロセッサCPUは、常時、図4のフローチャートに示すような動作を行いビデオカメラの動作の制御を行なっている。即ち、キー入力装置KEYの入力処理の動作と、オンスクリーン表示ICのDICに対する制御と、その他の処理とを時分割により繰り返し行なうことにより、ビデオカメラの全体の制御を行っている。」

ウ.段落0012及び0013
「【0012】メニュー画面の表示がONになった場合には、ビデオレコーダの表示画面には、例えば、図1の(a)に示すようなメニュー画面が表示される。このメニュー画面はビデオの撮影中の場合には、スクリーン表示の画面の上に文字の部分と網の部分だけが抜けた状態でメニューが表示される。このメニューの状態は、現在のビデオレコーダの各種の設定の状態を表している。図1の(a)のメニュー画面では、デジタルズームの項目が選定されており、この項目の文字が、2倍角の文字により表示されており、その横にサブ項目のONも2倍角の文字により表示されている。これは、現在ビデオレコーダのデジタルズームの項目がONに設定され、デジタルズームの機能が働く状態を示している。メイン項目のメニューの表示では選定されているメイン項目の設定内容であるサブ項目のON、OFFの状態は、メイン項目の横に2倍角の文字により表示される。
【0013】このような状態で、撮影画面の大きさの変更を行なう場合には、「DOWN」キーを押して、図1の(b)に示すように、メイン項目の選択をワイドTVに移す。この結果、メイン項目のデジタルズームの項目の文字が通常の表示に戻り、ワイドTVの文字が2倍角の文字により表示され、その横にサブ項目のONが2倍角の文字により表示される。これにより、現在のビデオレコーダの画面はワイドTVに設定されていることを示している。撮影画面の大きさを通常のTV画面にするために、「OK」キーを押すと図2の(a)に示すように、メニューのメイン項目とサブ項目の選択を切り替えられて表示され、サブ項目の2倍角の文字のONの下に通常の文字の大きさのOFFも表示される。このような状態で、「DOWN」キーを押して、図2の(b)に示すように、サブ項目の選択をONからOFF移すと、サブ項目のOFFの文字が2倍角に変わり、ON文字が通常の文字の大きさに変わる。」

エ.段落0019
「【0019】表示画面にLCD等が使用されその表示面積が小さい場合には、表示文字の縦方向のみを2倍にすることで、横方向に表示出来る文字の数を減らすことなく必要な文字、又は行の拡大表示を行なうことも可能である。…(略)…」

(2)刊行物1に記載された発明(引用発明)
ア.刊行物1には、ビデオカメラや電子スチルカメラなどの小さい表示画面に、操作の内容を表すメニューを読みやすく表示するためのオンスクリーン表示方法が記載されている(上記(1)ア.)。

イ.オンスクリーン表示方法は、その実施のための制御回路を備えるビデオカメラで実施される(上記(1)ア.及びイ.)。

ウ.オンスクリーン表示方法を実施すると、メニュー画面がビデオカメラの表示画面に表示される(上記(1)ウ.)。メニュー画面は、ビデオカメラで設定可能な複数のメイン項目を縦方向に並べたものである(図1及び2)。

エ.UPキー及びDOWNキーを用いて、複数のメイン項目のうちの一つを選定すると、その選定されたメイン項目は、2倍角の文字で表示され、他のメイン項目を選定すると、それまで選定されていたメイン項目は、通常の文字による表示に戻る(上記(1)ウ.並びに図1及び2)。このとき、表示画面が小さい場合は、表示文字の縦方向だけを2倍にすることで、横方向に表示できる文字の数を減らすことなく、必要な文字又は行の拡大表示を行うことができる(上記(1)エ.)。

オ.メイン項目が選定されると、そのメイン項目の複数のサブ項目が表示され、UPキー及びDOWNキーを用いて、そのうちの一つを選定することができるようになる(上記(1)ウ.並びに図1及び2)。複数のサブ項目は、メイン項目と同様、縦方向に並べて表示される(図1及び2)。

カ.以上のことを踏まえて、上記(1)ア.からエ.までの記載と、図1から3までに示された事項とを総合すると、刊行物1には、以下の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されている。

「縦方向に並べて通常の文字により表示される、ビデオカメラで設定可能な複数のメイン項目のうち、UPキー及びDOWNキーを用いて選定されたメイン項目を、縦方向だけ2倍にした文字で表示させるとともに、選定されたメイン項目の複数のサブ項目を縦方向に並べて表示させ、複数のサブ項目のうち、選定するものをUPキー及びDOWNキーで切り替え、他のメイン項目が選定されると、それまで選定されていたメイン項目を通常の文字で表示させる制御回路を備える
表示画面付きビデオカメラ。」

4.対比
本件補正発明と引用発明とを対比すると、以下のとおりである。

(1)引用発明の「表示画面付きビデオカメラ」及び「制御回路」は、それぞれ本件補正発明の「表示制御装置」及び「表示制御手段」に相当する。

(2)引用発明の「縦方向」及び「ビデオカメラで設定可能な…メイン項目」は、それぞれ本件補正発明の「一方向」及び「機能に対応するマーク」に相当する。
したがって、引用発明の「縦方向に並べて通常の文字により表示される、ビデオカメラで設定可能な複数のメイン項目」は、本件補正発明の「一方向に複数並べて表示される機能に対応するマーク」に相当する。

(3)引用発明の「UPキー及びDOWNキー」による操作は、明らかに縦方向の操作であるから、引用発明の「UPキー及びDOWNキーを用いて選定されたメイン項目」は、本件補正発明の「前記一方向の操作によって選択された前記マーク」に相当する。

(4)引用発明の「複数のメイン項目」が「通常の文字により表示される」ものであり、「選定されたメイン項目」が「縦方向だけ2倍にした文字で表示」されるものであることは、「選定されたメイン項目」が、選定されていない「メイン項目」より縦方向に幅広であることを意味する。
したがって、引用発明の「縦方向だけ2倍にした文字で表示させる」は、本件補正発明の「選択されていない前記マークより前記一方向の幅が広く…なるように表示させる」に相当する。

(5)引用発明の「選定されたメイン項目の複数のサブ項目」は、本件補正発明の「選択された前記マークに対応する機能によって設定可能な複数の項目」に相当する。また、引用発明の「縦方向」と本件発明の「前記一方向と直交する方向」とは、「特定の方向」である点で共通する。
したがって、引用発明の「選定されたメイン項目の複数のサブ項目を縦方向に並べて表示させ」と、本件補正発明の「選択された前記マークに対応する機能によって設定可能な複数の項目を前記一方向と直交する方向に並べて表示させ」とは、「選択された前記マークに対応する機能によって設定可能な複数の項目を特定の方向に並べて表示させ」である点で共通する。

(6)引用発明の「複数のサブ項目のうち、選定するものをUPキー及びDOWNキーで切り替え」は、「縦方向」に並べた「複数のサブ項目」を「縦方向」の操作に応じて切り替えることである。
一方、本件補正発明の「複数の前記項目のうち、選択する前記項目を前記直交する方向の操作に応じて切り替え」は、「直交する方向」に並べた「複数の項目」を「直交する方向」の操作に応じて切り替えることである。
したがって、引用発明の「複数のサブ項目のうち、選定するものをUPキー及びDOWNキーで切り替え」と、本件補正発明の「複数の前記項目のうち、選択する前記項目を前記直交する方向の操作に応じて切り替え」とは、「複数の前記項目のうち、選択する前記項目を前記特定の方向の操作に応じて切り替え」である点で共通する。

(7)引用発明の「他のメイン項目が選定されると、それまで選定されていたメイン項目を通常の文字で表示させる」は、換言すれば、「他のメイン項目が選定される」までは「縦方向だけ2倍にした文字で表示させる」ということであるから、本件補正発明の「複数の前記項目の選択中においても、選択された前記マークを前記一方向の幅が広く…表示させる」に相当する。

(8)以上のことをまとめると、本件補正発明と引用発明との一致点及び相違点は、以下のとおりである。

(一致点)
「一方向に複数並べて表示される機能に対応するマークのうち、前記一方向の操作によって選択された前記マークを、選択されていない前記マークより前記一方向の幅が広くなるように表示させるとともに、選択された前記マークに対応する機能によって設定可能な複数の項目を特定の方向に並べて表示させ、複数の前記項目のうち、選択する前記項目を前記特定の方向の操作に応じて切り替え、複数の前記項目の選択中においても、選択された前記マークを前記一方向の幅が広く表示させる表示制御手段を備える
表示制御装置。」

(相違点1)
本件補正発明は、「特定の方向」が「一方向と直交する方向」であるのに対し、引用発明は、「特定の方向」が「縦方向」(本件補正発明の「一方向」に相当する。)である点。

(相違点2)
本件補正発明は、「選択された前記マーク」を「表示色を異なるように表示させる」ものであり、「複数の前記項目の選択中においても」同様であるのに対し、引用発明は、「選定されたメイン項目」(本件補正発明の「選択された前記マーク」に相当する。)の表示色について何の特定もされていない点。

5.相違点についての判断
(1)相違点1
刊行物2の段落0001及び0012には、以下の記載がある。

「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、パーソナルコンピュータ、ワードプロセッサ、ワークステーションなどのVDT(Video (Visual) Display Terminal)の画面上への選択項目の表示方法、及び、この表示方法を用いたVDTなどの項目選択装置に関する。」

「【0012】図1(a)は、画面1上のメニューバーMBから、1つのメニュー(項目)を選択し、サブメニューM1を表示した場合であり、同図(b)は、更に、サブメニューM1から1つのメニューを選択し、サブメニューM2を表示した場合を示している。このとき、サブメニューM1は、サブメニューM2が表示されるときに、メニュー内のメニュー表示(選択項目)とともに、その形を3次元の視点から見た形、つまり斜視絵に変形することによって、サブメニューM2と重ならないように表示される。」

すなわち、刊行物2には、選択項目の画面表示方法が記載されており、この画面表示方法では、メニューバーに並べられた複数の項目の一つを選択すると、複数の項目が並べられたサブメニューが表示される。そして、刊行物2の図1(a)を参照すると、メニューバーの複数の項目が横方向に並べられているのに対し、サブメニューの複数の項目は、縦方向に並べられていることが分かる。
このように、選択項目を画面に表示する際、複数の項目を並べる方向と、その複数の項目の一つを選択したときに表示される別の複数の項目を並べる方向とは、必ずしも同じでなくてもよいのであるから、引用発明において、「複数のメイン項目」を縦に並べる一方、「複数のメイン項目」の一つを選択したときに表示される別の複数の項目である「複数のサブ項目」を、横に並べる程度のことは、当業者が適宜行い得ることである。
その結果、相違点1に係る構成が得られることは、明らかである。

(2)相違点2
刊行物3(段落0025)には、画面に並べて表示された複数の項目のうち、選択されたものの色を変えることが記載されているし、刊行物4(段落0014及び0015並びに図5)には、画面に表示される階層化メニューにおいて、選択されたメニューの色を変えることが記載されているから、複数の項目を並べたメニュー画面において、選択された項目の色を変えて表示することは、本件出願の前に当業者に周知の技術である。
引用発明において、「選定されたメイン項目」を別の色で表示することは、周知技術の単なる適用にすぎない。そして、「選定されたメイン項目」を縦方向だけ2倍にした文字で表示する期間が、「他のメイン項目が選定される」までとされていることに合わせて、色を変えて表示する期間も「他のメイン項目が選定される」までにする程度のことは、当業者が適宜行い得る設計事項にすぎない。
その結果、相違点2に係る構成が得られることは、明らかである。

6.むすび
以上のとおりであるから、本件補正発明は、刊行物1に記載された発明(引用発明)と刊行物2に記載された事項と周知技術とに基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができない。
したがって、本件補正は、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

第3 本件出願に係る発明についての判断
1.本件出願に係る発明
本件補正は、上記のとおり却下されたので、本件出願の請求項1から7までのそれぞれに係る発明は、本件補正前の特許請求の範囲の請求項1から7までのそれぞれに記載された事項によって特定されるとおりのものである。特に、請求項1に係る発明(以下、「本件発明」という。)は、以下のとおりのものである。

「【請求項1】
一方向に複数並べて表示される機能に対応するマークのうち、前記一方向の操作によって選択された前記マークを、選択されていない前記マークより前記一方向の幅が広くなるように表示させるとともに、選択された前記マークに対応する機能によって設定可能な複数の項目を前記一方向と直交する方向に並べて表示させ、複数の前記項目のうち、選択する前記項目を前記直交する方向の操作に応じて切り替える表示制御手段を備える
表示制御装置。」

2.原査定の拒絶の理由
本件発明に対する原査定の拒絶の理由は、概略以下のとおりである。

「本件発明は、本件出願前に日本国内において頒布された刊行物1及び2のそれぞれに記載された発明に基づいて、本件出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

刊行物1:特開平11-196297号公報(前掲)
刊行物2:特開平10-133842号公報(前掲)」

3.刊行物1に記載された事項
刊行物1に記載された事項は、上記「第2」3.に記載したとおりである。

4.対比・判断
本件発明は、「選択された前記マーク」を「表示色を異なるように表示させる」旨の限定と、表示させる時期に関する「複数の前記項目の選択中においても」という特定とを、本件補正発明から省いたものである。
このことを踏まえて本件発明と引用発明とを対比すると、両者の一致点及び相違点は、上記「第2」4.(8)に記載した一致点及び相違点1のとおりである。そして、相違点1に係る構成は、上記「第2」5.(1)で述べたとおり、刊行物2に記載された事項に基づき、当業者が容易に思い付くことである。
したがって、本件発明は、刊行物1に記載された発明(引用発明)と刊行物2に記載された事項とに基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

5.むすび
以上のとおりであるから、本件発明は、刊行物1に記載された発明と刊行物2に記載された事項とに基づき、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、他の請求項に係る発明について審理するまでもなく、本件出願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2014-03-14 
結審通知日 2014-03-18 
審決日 2014-03-31 
出願番号 特願2010-180157(P2010-180157)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (G09G)
P 1 8・ 575- Z (G09G)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 居島 一仁  
特許庁審判長 小林 紀史
特許庁審判官 飯野 茂
中塚 直樹
発明の名称 表示制御装置、表示制御方法、およびプログラム  
代理人 稲本 義雄  

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