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審決分類 |
審判 査定不服 特17条の2、3項新規事項追加の補正 取り消して特許、登録 H04W |
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管理番号 | 1288043 |
審判番号 | 不服2013-4430 |
総通号数 | 175 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2014-07-25 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2013-03-06 |
確定日 | 2014-06-10 |
事件の表示 | 特願2009-515609「無線通信システムのためのプリアンブルの構造および捕捉」拒絶査定不服審判事件〔平成19年12月21日国際公開、WO2007/146952、平成21年11月19日国内公表、特表2009-540769、請求項の数(40)〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 |
理由 |
第1.手続の経緯 本願は、2007年6月12日(パリ条約による優先権主張外国庁受理 2006年6月13日 米国、2007年5月7日 米国)を国際出願日とする出願であって、平成23年7月4日付けで拒絶理由が通知され、平成23年12月12日付けで手続補正がなされ、平成24年3月22日付けで最後の拒絶理由が通知され、平成24年7月26日付けで手続補正がなされ、平成24年10月30日付けで拒絶査定がされ、平成25年3月6日に拒絶査定不服審判が請求され、同日付けで手続補正がなされたものである。 そして、当審において平成25年5月2日付けで審査官により作成された前置報告書について平成25年7月5日付けで審尋を行ったところ、審判請求人は平成25年11月11日付けで回答書を提出し、当審において平成26年4月3日付けで拒絶理由が通知され、平成26年4月14日付けで手続補正がなされたものである。 第2.本件発明 特許請求の範囲の請求項1に係る発明は、特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される、 「無線通信システムにおいてパイロットを送信する装置であって、 複数のパイロットで送信する情報の複数のセットのビットに基づいて前記複数のパイロットを含む階層的パイロット構造を生成し、前記情報の第1セットのビットに基づいて第1パイロットを生成し、前記第1セットのビットより多いビットを含む前記情報の第2セットのビットに基づいて第2のパイロットを生成し、前記情報の全てのビットに基づいて第3のパイロットを生成し、前記第1、第2及び第3のパイロットを第1、第2及び第3の時間間隔でそれぞれ送信するように構成される少なくとも1つのプロセッサを含む装置。」 である。 原査定の理由の概略は、 「当初明細書の図4Aには、階層的パイロットとして、第1のパイロットをM1情報ビットに基づいて生成し、第2のパイロットをM1情報ビットとM2情報ビットに基づいて生成し、第3のパイロットを全ての情報ビットに基づいて生成することが記載されており、ここでは、第1のパイロットと第2のパイロットは共通のM1情報ビットに基づいて生成するものであるから、上記請求項の記載とは異なる。また、当初明細書等の図4Cには、非階層パイロットして、第1のパイロットをM1情報ビットに基づいて生成し、第2のパイロットをM1情報ビットとは異なるM2情報ビットに基づいて生成し、第3のパイロットをM1情報ビット、M2情報ビットとは異なるM3情報ビットに基づいて生成することが記載されており、ここでは、第1のパイロットと第2のパイロットは異なる情報ビットに基づいて生成するものの、第3パイロットを全ての情報ビットで生成するものではないから、上記請求項の記載とは異なる。」 ために、 「特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしていないから、同法第49条の規定により拒絶査定すべきものである。」 というものである。 明細書には、 「【0023】 図4Aに3レベルの階層的パイロット構造400の設計を示す。この設計において、セクタ/システム情報のM個のビットはM1個の最下位ビット(LSB)、M2個のより上位のビット、およびM3個の最上位ビット(MSB)に分割される。ここでM=M1+M2+M3である。一般に、M、M1、M2およびM3はそれぞれ任意の整数値である。1設計において、M=12、M1=2、M2=6およびM3=4である。M、M1、M2およびM3に対して他の値が用いられるかもしれない。 【0024】 セクタ/システム情報のM1個のLSBはTDMパイロット1で送られるかもしれない。例えば、M1個のLSBは擬似乱数(PN)発生器のシード値として用いられるかもしれない。次に、PN発生器からのPN系列はTDMパイロット1のパイロットシンボルを生成するために用いられるかもしれない。セクタ/システム情報のM1+M2個のLSBは、例えばM1+M2個のLSBをPN発生器にシードし、得られたPN系列を用いてTDMパイロット2に対するパイロットシンボルを生成することにより、TDMパイロット2で送られるかもしれない。セクタ/システム情報のすべてのM個のビットは、例えばすべてのM個のビットをPN発生器にシードし、得られたPN系列を用いてTDMパイロット3に対するパイロットシンボルを生成することにより、TDMパイロット3で送られるかもしれない。このようにTDMパイロット1、2および3はセクタ/システム情報の異なる部分で生成された異なるPN系列によって「スクランブル」されるかもしれない。ここで各部分はセクタ/システム情報のいくつかまたはすべてを含むかもしれない。」 「【0027】 図4Bに2レベルの階層的パイロット構造410の設計を示す。この設計において、セクタ/システム情報のM個のビットはMa個のMSBおよび、Mb個のLSBに分割される。ここでM=Ma+Mbである。一般に、M、MaおよびMbはそれぞれ任意の整数値である。TDMパイロット1は、いかなるセクタ/システム情報も伴わずに送られ、システム内のすべてのセクタに共通であるかもしれない。セクタ/システム情報のMa個のMSBは、例えばMa個のMSBをPN発生器にシードし、得られたPN系列を用いてTDMパイロット2に対するパイロットシンボルを生成することにより、TDMパイロット2で送られるかもしれない。セクタ/システム情報のすべてのM個のビットは、例えばすべてのM個ビットをPN発生器にシードし、得られたPN系列を用いてTDMパイロット3に対するパイロットシンボルを生成することにより、TDMパイロット3で送られるかもしれない。」 「【0033】 図4Aおよび4Bに示す階層的パイロット設計において、セクタ/システム情報が埋め込まれている各TDMパイロットは、(i)先行TDMパイロットで送られたすべての情報ビットがある場合はそれらと(ii)先行TDMパイロットで送られなかった追加情報ビットを搬送する。別の設計において、TDMパイロット1でM1個のビットが送られ、TDMパイロット2でM2個のビットが送られ、TDMパイロット3ですべてのM個のビットが送られる。さらに別の設計において、TDMパイロット1でM1個のビットが送られ、TDMパイロット2でM1およびM2個のビットが送られ、TDMパイロット3でM2およびM3個のビットが送られる。他の種々の階層的パイロット設計も可能である。一般に、階層的パイロットにおいて、セクタ/システム情報の少なくとも1つのビットは複数のTDMパイロットで送られ、少なくとも1つのTDMパイロットは先行TDMパイロットで送られた少なくとも1つのビットを搬送する。」 「【0036】 図4Cに3レベルの非階層的パイロット構造420の設計を示す。この設計において、セクタ/システム情報のM1個のLSBがTDMパイロット1で送られるかもしれない。セクタ/システム情報のM2個のより上位ビットはTDMパイロット2で送られるかもしれない。セクタ/システム情報のM3個のMSBはTDMパイロット3で送られるかもしれない。 【0037】 図4A、4Bおよび4Cは階層的および非階層的パイロット構造のいくつかの例示的設計を示している。他の種々のパイロット構造も定義されるかもしれない。一般に、パイロット構造は任意の数のレベルを含むかもしれない。また、セクタ/システム情報のビットのいかなるセットも各TDMパイロットで送られるかもしれない。」 の記載があるから、 階層的パイロット構造の「パイロット1」「パイロット2」「パイロット3」として、図4Aに記載された「M1個」ビット、「M1+M2個」ビット、「M1+M2+M3個」ビットとする例、図4Bに記載された「なし」「Ma個」ビット、「すべてのM個」ビットとする例、【0033】に記載された「M1個」ビット、「M2個」ビット、「全てのM個」ビットとする「別の設計」の例、【0033】に記載された「M1個」ビット、「M1+M2個」ビット、「M2+M3個」ビットとする「さらに別の設計」の例が記載されている。 「異なる」とは、「あるものが他のものと同じでない。ちがう。[株式会社岩波書店 広辞苑第六版]」であるから、「M1個」ビットのパイロット1と「M1+M2個」ビットのパイロット2が異なり、「M1個」ビットのパイロット1と「M2個」ビットのパイロット2が異なることは明らかである。 したがって、「第1セットのビットとは異なる前記情報の第2セットのビットに基づいて第2のパイロットを生成し、前記情報の全てのビットに基づいて第3のパイロットを生成」については、図4Aに記載された「M1個」ビットのパイロット1、「M1+M2個」ビットのパイロット2、「M1+M2+M3個」ビットのパイロット3とする例、及び、【0033】に記載された「M1個」ビットのパイロット1、「M2個」ビットのパイロット2、「全てのM個」ビットのパイロット3とする「別の設計」の例が記載されている。 また、他の請求項に係る発明についても、同様である。 したがって、本件発明は、願書に最初に添付された明細書及び図面に記載されており、特許法第17条の2第3項の規定を満たしている。 当審で通知した拒絶理由について、平成26年4月14日付けの補正によって「前記パイロットで送信するため情報」の誤記が修正され、また、「階層的パイロット構造の構成」が明瞭となったので、特許法第36条第6項第2号の規定を満たしている。 第3.むすび 上記のとおり、本件発明は特許法第17条の2第3項の規定を満たしており、原査定の理由によって拒絶すべきものとすることはできない。 また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審決日 | 2014-05-23 |
出願番号 | 特願2009-515609(P2009-515609) |
審決分類 |
P
1
8・
561-
WY
(H04W)
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最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 廣川 浩 |
特許庁審判長 |
水野 恵雄 |
特許庁審判官 |
江口 能弘 吉田 隆之 |
発明の名称 | 無線通信システムのためのプリアンブルの構造および捕捉 |
代理人 | 竹内 将訓 |
代理人 | 中村 誠 |
代理人 | 野河 信久 |
代理人 | 白根 俊郎 |
代理人 | 岡田 貴志 |
代理人 | 佐藤 立志 |
代理人 | 砂川 克 |
代理人 | 井上 正 |
代理人 | 井関 守三 |
代理人 | 蔵田 昌俊 |
代理人 | 幸長 保次郎 |
代理人 | 堀内 美保子 |
代理人 | 赤穂 隆雄 |
代理人 | 峰 隆司 |
代理人 | 福原 淑弘 |
代理人 | 河野 直樹 |