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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 G06F
管理番号 1288085
審判番号 不服2013-2620  
総通号数 175 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2014-07-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2013-02-12 
確定日 2014-06-10 
事件の表示 特願2007-264413「情報処理装置、情報処理方法、およびプログラム」拒絶査定不服審判事件〔平成21年 4月30日出願公開、特開2009- 93475、請求項の数(4)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯

本願は,平成19年10月10日の出願であって,平成24年4月10日付けで拒絶理由通知がなされ,同年6月8日に手続補正がなされたが,同年11月13日付けで拒絶査定がなされ,これに対し,平成25年2月12日に拒絶査定不服審判請求がなされるとともに手続補正がなされ,当審において,同年9月13日付けで審尋がなされたが,回答書は提出されなかったものである。

第2 審判請求時の手続補正の適否

1.手続補正の目的

平成25年2月12日の手続補正(以下,「本件補正」という。)により,特許請求の範囲は次のとおりに補正された(下線は,審判請求人が付与したものである)。

<特許請求の範囲>
「【請求項1】
帳票を識別するための識別情報である帳票識別情報と、当該帳票に対して情報の入力が可能なユーザのユーザ識別情報と、当該ユーザが前記帳票に対して伝票日付として入力可能な期間を示す情報である入力期間情報とを対応付けた、前記帳票に対する入力条件が格納され得る入力条件格納部と、
伝票日付の情報である時刻情報を含む、帳票の1以上の項目に入力される情報である入力情報の入力を受け付ける帳票入力受付部と、
前記入力情報を出力する入力情報出力部と、
入力対象となっている帳票について、当該帳票を識別するための識別情報である帳票識別情報を取得する帳票識別情報取得部と、
ユーザを識別する情報であるユーザ識別情報を受け付けるユーザ識別情報受付部と、
前記帳票識別情報取得部が取得した帳票識別情報に一致する帳票識別情報と、前記ユーザ識別情報受付部が受け付けたユーザ識別情報に一致するユーザ識別情報と、前記帳票入力受付部が受け付けた時刻情報である日付を含む期間を示す入力期間情報とを有する入力条件が、前記入力条件格納部に格納されていない場合に、前記帳票入力受付部に対して入力を行えないようにする、または前記帳票入力受付部に対する入力を無効とする入力制御部とを備えた情報処理装置。
【請求項2】
帳票に対する入力情報を入力するための画面を構成する情報である画面構成情報を格納している画面構成情報格納部と、
入力対象となる帳票の帳票識別情報を受け付ける入力帳票指定受付部と、
前記入力帳票指定受付部が受け付けた帳票識別情報に対応する帳票に対する画面構成情報を用いて、帳票に対する入力情報を入力するための画面を構成する画面構成部と、
前記画面構成部が構成した画面を出力する画面出力部と、をさらに備え、
前記帳票入力受付部は、
前記画面出力部が出力した画面に対する入力である入力情報を受け付け、
前記帳票識別情報取得部は、
当該入力帳票指定受付部が受け付けた帳票の帳票識別情報を取得する請求項1記載の情報処理装置。
【請求項3】
帳票を識別するための識別情報である帳票識別情報と、当該帳票に対して情報の入力が可能なユーザのユーザ識別情報と、当該ユーザが前記帳票に対して伝票日付として入力可能な期間を示す情報である入力期間情報とを対応付けた、前記帳票に対する入力条件が格納され得る入力条件格納部と、帳票入力受付部と、入力情報出力部と、帳票識別情報取得部と、ユーザ識別情報受付部と、入力制御部とを用いて行われる情報処理方法であって、
前記帳票入力受付部が、伝票日付の情報である時刻情報を含む、帳票の1以上の項目に入力される情報である入力情報の入力を受け付ける帳票入力受付ステップと、
前記入力情報出力部が、前記入力情報を出力する入力情報出力ステップと、
前記帳票識別情報取得部が、入力対象となっている帳票について、当該帳票を識別するための識別情報である帳票識別情報を取得する帳票識別情報取得ステップと、
前記ユーザ識別情報受付部が、ユーザを識別する情報であるユーザ識別情報を受け付けるユーザ識別情報受付ステップと、
前記帳票識別情報取得ステップで取得した帳票識別情報に一致する帳票識別情報と、前記ユーザ識別情報受付ステップで受け付けたユーザ識別情報に一致するユーザ識別情報と、前記帳票入力受付ステップで受け付けた時刻情報である日付を含む期間を示す入力期間情報とを有する入力条件が、前記入力条件格納部に格納されていない場合に、前記帳票入力受付ステップによる入力を行えないようにする、または前記帳票入力受付ステップにより行われた入力を無効とする入力制御ステップとを備えた情報処理方法。
【請求項4】
帳票を識別するための識別情報である帳票識別情報と、当該帳票に対して情報の入力が可能なユーザのユーザ識別情報と、当該ユーザが前記帳票に対して伝票日付として入力可能な期間を示す情報である入力期間情報とを対応付けた、前記帳票に対する入力条件が格納される入力条件格納部にアクセス可能なコンピュータを、
伝票日付の情報である時刻情報を含む、帳票の1以上の項目に入力される情報である入力情報の入力を受け付ける帳票入力受付部と、
前記入力情報を出力する入力情報出力部と、
入力対象となっている帳票について、当該帳票を識別するための識別情報である帳票識別情報を取得する帳票識別情報取得部と、
ユーザを識別する情報であるユーザ識別情報を受け付けるユーザ識別情報受付部と、
前記帳票識別情報取得部が取得した帳票識別情報に一致する帳票識別情報と、前記ユーザ識別情報受付部が受け付けたユーザ識別情報に一致するユーザ識別情報と、前記帳票入力受付部が受け付けた時刻情報である日付を含む期間を示す入力期間情報とを有する入力条件が前記入力条件格納部に格納されていない場合に、前記帳票入力受付部に対して入力を行えないようにする、または前記帳票入力受付部に対する入力を無効とする入力制御部として機能させるためのプログラム。」

本件補正は,「帳票の日付」を「伝票日付」に限定するものであり,特許法第17条の2第5項第2号に規定される特許請求の範囲の減縮を目的とする。また,特許法第17条の2第3項,第4項に違反するところはない。
そこで,本件補正後の請求項1?4に記載された発明(以下,「請求項1発明」?「請求項4発明」という。)が,特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条7項の規定に適合するか(特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか)について以下に検討する。

2.引用文献

(1)特開2003-157245号公報

原査定の拒絶の理由において引用された特開2003-157245号公報(以下,「引用文献1」という。)には,次の事項が記載されている(下線は,当審において付与した。)。

ア.「【0033】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照して本発明の好適な実施の形態について説明する。以下の実施形態は、本発明の電子フォーム処理システムを、電子履歴書データを処理する電子履歴書処理システムとして構成した場合を示す。なお、上述のように、「履歴書」の語は、職務経歴書、エントリーシートなどの求人採用関係で使用される各種の書類を含むものとする。」

イ.「【0071】次に、電子履歴書データ作成処理について図10を参照して説明する。図10は、電子履歴書データ作成処理のフローチャートである。
【0072】まず、履歴書フォームを利用して電子履歴書データを作成したい利用者は、利用者端末3を操作して履歴書処理サーバ1へアクセスし、利用したい履歴書フォームを指定して送信を要求する(ステップS11)。これに対し、履歴書処理サーバ1のサーバ装置10は、指定された履歴書フォームを履歴書フォームDB11から取り出し、要求元の利用者端末3へ送信する(ステップS12)。
【0073】次に、利用者は、入手した履歴書フォームを表示させ、必要事項の入力作業を行って電子履歴書データを作成し、それを履歴書処理サーバ1へ送信する(ステップS13)。履歴書処理サーバ1は、受信した電子履歴書データを電子履歴書DB12内に保存し、管理する(ステップS14)。」

前記ア.イ.によれば,引用文献1には,次の発明(以下,「引用発明」という。)が記載されている。

<引用発明>
「電子履歴書処理システムにおいて,
利用者端末3は,履歴書処理サーバ1へアクセスし,利用したい履歴書フォームを指定して送信を要求し,
履歴書処理サーバ1は,指定された履歴書フォームを履歴書フォームDB11から取り出し,要求元の利用者端末3へ送信し,
利用者端末3は、入手した履歴書フォームを表示し,必要事項の入力作業を行って電子履歴書データを作成し,それを履歴書処理サーバ1へ送信し,
履歴書処理サーバ1は,受信した電子履歴書データを電子履歴書DB12内に保存し,管理する電子履歴書処理システム。」

(2)特開2002-32575号公報

原査定の拒絶の理由において引用された特開2002-32575号公報(以下,「引用文献2」という。)には,次の事項が記載されている(下線は,当審において付与した。)。

ウ.「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えば証券会社側に設置され、複数の企業における社員持ち株部会事務局の事務を代行できる社員持株会事務処理システムに関するものである。」

エ.「【0028】図2に示すように、このシステム8は、通信インタフェース10、入出力装置11、CPU12、RAM13等が接続されてなるバス14に、情報格納部15及びプログラム格納部16が接続されてなる。・・・(中略)・・・
【0029】前記情報格納部15には、持株会に属する会員の会員属性データ17と、持株会事務局3に応じた作業手順を定義する処理定義ファイル18と、・・・(中略)・・・が格納されている。
【0030】また、プログラム格納部16には、前記会員属性データ17を登録するための属性情報登録部25と、会員端末2若しくは事務局端末4のシステムへのログイン認証処理を行う認証処理部26と、会員端末2からの各種申込を受付ける会員申込受付部27と、前記処理定義ファイル18を参照することで会員からの申込の入力可否を判断する入力可否判断部33と、・・・(中略)・・・を有する。」

オ.「【0033】(事前処理)会員の各種申込に基く事務処理を説明する前に、事前処理について説明する。
【0034】すなわち、まず、前記事務局3が事務局端末4を通して前記持株会事務処理システム8に接続し、従業員ファイル36及び従業員属性ファイル37を送信すると、前記属性情報登録部25が起動し、これらの情報を前記会員属性データ17として前記情報格納部15に格納する(ステップS1)。この会員属性には、会員がこの事務処理システム8に接続するための会員コード及びパスワードが含まれる。なお、非会員の入会手続きに用いることができるように、会員のデータだけでなく、事前に全ての従業員データを取込んでおくことが好ましい。
【0035】・・・(中略)・・・また、このステップで入力可能項目および期間を設定することにより、不用意な入力に対しガードをかけるようにする。これら作業区分の設定は、前記処理定義ファイル18内に格納される。」

カ.「【0038】(会員申込処理手順)次に、会員からの申込に基いた持株会の事務処理手順を説明する。
【0039】まず、会員が会員端末2を事務処理システム8に接続すると、前記認証処理部26が前記会員属性データ17を参照して当該会員のアクセス権をチェックした後(ステップS7)、会員端末2のブラウザ上に図示しないメニュー画面が表示する(ステップS8)。会員がこのメニュー画面で入力項目を選択したならば、前記会員申込受付部27は、前記処理定義ファイル18を参照し、作業登録内容を確認することで入力の可否をチェックする(ステップS9)。そして、会員が選択した入力項目が前記処理定義ファイル18に登録された作業内容と合致する場合にのみ各種申込入力画面を表示する(ステップS10)。
【0040】この入力画面として、前記会員申込受付部27は、「会員コード」、「氏名」の他、前記会員属性データ17及び会員持分データ19から取り出した申込みにあたって必要な項目を表示する。例えば、必要に応じて、退会/途中交付時の現在持分株数、口数変更時の現在申込口数、再開申込時の前回申込口数等が表示される。
【0041】この入力画面を通じて会員が各種申込を入力したならば、前記会員申込受付部27は、前記処理定義ファイル18に基づいて所定の入力内容チェックを行うことにより、正しいデータのみを受入れて会員変動データ20として保存する(ステップS11)。
【0042】すなわち、この会員申込受付部27は、例えば、入会時には、再入会期間、上限口数、入力不備をチェックする。また、口数変更時には、上限口数、入力不備をチェックする。また、退会/途中交付時には、交付可能株数、精算方法重複指定、入力不備をチェックする。」

前記ウ.?カ.によれば,引用文献2には,次の事項が記載されているといえる。

<引用文献2の記載事項>
「複数の企業における社員持ち株部会事務局の事務を代行できる社員持株会事務処理システムにおいて,
情報格納部15とプログラム格納部16とを備え,
情報格納部15は,社員持株会事務処理システムに接続するための会員コード及びパスワードを含む会員属性データ17と,入力可能項目及び期間を設定した処理定義ファイル18とを格納し,
プログラム格納部16は,会員端末2の社員持株会事務処理システムへのログイン認証処理を行う認証処理部26と,会員端末2からの各種申込を受付ける会員申込受付部27と,前記処理定義ファイル18を参照することで会員からの申込の入力可否を判断する入力可否判断部33を有し,
会員が会員端末2を社員持株会事務処理システム8に接続すると、認証処理部26が会員属性データ17を参照して当該会員のアクセス権をチェックした後,会員端末2にメニュー画面を表示させ,
会員がメニュー画面で入力項目を選択すると,会員申込受付部27は,処理定義ファイル18を参照して,当該入力項目が入力可能項目に合致するかをチェックし,合致する場合に各種申込入力画面を表示し,
入力画面を通じて会員が各種申込を入力したならば,会員申込受付部27は,前記処理定義ファイル18に基づいて所定の入力内容チェックを行うことにより,正しいデータのみを受入れて会員変動データ20として保存し,
前記会員申込受付部27は、入力不備をチェックするものである,社員持株会事務処理システム。」

3.対比・判断

(1)請求項1発明

請求項1発明と引用発明とを対比する。

・引用発明の「電子履歴書処理システム」は,請求項1発明の「情報処理装置」に相当する。

・引用発明の「利用者端末3は、入手した履歴書フォームを表示し,必要事項の入力作業を行って電子履歴書データを作成し,それを履歴書処理サーバ1へ送信し」における,履歴書フォームを表示し,必要事項を入力するための手段と,請求項1発明の「伝票日付の情報である時刻情報を含む、帳票の1以上の項目に入力される情報である入力情報の入力を受け付ける帳票入力受付部」は,「電子フォームの1以上の項目に入力される情報である入力情報の入力を受け付ける電子フォーム入力受付部」の点で共通する。

・引用発明の「利用者端末3は、入手した履歴書フォームを表示し,必要事項の入力作業を行って電子履歴書データを作成し,それを履歴書処理サーバ1へ送信し」における,電子履歴書データを履歴書処理サーバ1へ送信する手段は,請求項1発明の「前記入力情報を出力する入力情報出力部」に相当する。

・引用発明の「利用者端末3は,履歴書処理サーバ1へアクセスし,利用したい履歴書フォームを指定して送信を要求し」における,履歴書フォームを指定する手段と,請求項1発明の「入力対象となっている帳票について、当該帳票を識別するための識別情報である帳票識別情報を取得する帳票識別情報取得部」は,「入力対象となっている電子フォームについて、当該電子フォームを識別するための識別情報である電子フォーム識別情報を取得する電子フォーム識別情報取得部」の点で共通する。

したがって,請求項1発明と引用発明は,以下の点で一致する。
<一致点>
「電子フォームの1以上の項目に入力される情報である入力情報の入力を受け付ける電子フォーム入力受付部と,
前記入力情報を出力する入力情報出力部と,
入力対象となっている電子フォームについて、当該電子フォームを識別するための識別情報である電子フォーム識別情報を取得する電子フォーム識別情報取得部とを備えた情報処理装置。」

そして,請求項1発明と引用発明は,次の点で相違する。
<相違点1>
請求項1発明は「帳票を識別するための識別情報である帳票識別情報と、当該帳票に対して情報の入力が可能なユーザのユーザ識別情報と、当該ユーザが前記帳票に対して伝票日付として入力可能な期間を示す情報である入力期間情報とを対応付けた、前記帳票に対する入力条件が格納され得る入力条件格納部」を備えるのに対し,引用発明は上記入力条件格納部を備えていない点。

<相違点2>
「電子フォーム」が,請求項1発明では「伝票日付の情報である時刻情報を含む、帳票」であるのに対し,引用発明では「履歴書フォーム」である点。

<相違点3>
請求項1発明は,「ユーザを識別する情報であるユーザ識別情報を受け付けるユーザ識別情報受付部」を備えるのに対し,引用発明は,上記ユーザ識別情報受付部を備えていない点。

<相違点4>
請求項1発明は「前記帳票識別情報取得部が取得した帳票識別情報に一致する帳票識別情報と、前記ユーザ識別情報受付部が受け付けたユーザ識別情報に一致するユーザ識別情報と、前記帳票入力受付部が受け付けた時刻情報である日付を含む期間を示す入力期間情報とを有する入力条件が、前記入力条件格納部に格納されていない場合に、前記帳票入力受付部に対して入力を行えないようにする、または前記帳票入力受付部に対する入力を無効とする入力制御部」を備えるのに対し,引用発明は上記入力制御部を備えていない点。

次に,上記相違点について検討する。

請求項1発明は,上記相違点1?4に係る構成を備えることにより,ユーザごとに作成可能な伝票を制限し,さらに,その伝票日付の範囲を,各ユーザの立場や事情等に合わせてより細かく制限を加えることができるものである。例えば,ユーザAとユーザBのクライアントが異なる場合に,各クライアントの締め日を考慮して,不適切な日付の伝票の作成を防止することができる(本願明細書段落【0082】?【0086】参照)。
一方,引用発明は,履歴書フォームに必要事項を入力して電子履歴書データを作成し,それを履歴書処理サーバへ送信するもので,伝票日付を入力するものではなく,引用発明には,伝票日付の入力に特有な上記課題を解決するために上記相違点1?4に係る構成を付加する動機がないといえる。
また,引用文献2も,社員持ち株の各種申込を行うもので,伝票日付を入力するものではなく,上記相違点1?4に係る構成は記載されていない。すなわち,引用文献2に記載されたアクセス権は,自社株に関する各種申込を行う会員が,その申込を受け付ける社員持株会事務処理システムへログインする権限であり,このアクセス権を引用発明に適用しても,利用者端末3から履歴書処理サーバ1へアクセス(ログイン)するために,ユーザ識別情報を利用することが想定されるだけで,ユーザ識別情報を帳票識別情報と伝票日付の入力期間情報とに対応付けて,ユーザごとに作成可能な伝票を制限したり,その伝票日付の範囲を各ユーザの立場や事情等に合わせてより細かく制限を加えることは,容易に想到し得ない。
また,引用文献2には,会員が各種申込を入力したときに,社員持株会事務処理システムが,その入力内容をチェックして正しいデータのみを受入れたり,入力不備をチェックすることが記載されているものの,このような入力不備のチェック機能を引用発明に適用したとしても,履歴書フォームに必要事項の入力作業を行う際に,その入力不備をチェックすることが想定されるだけで,伝票日付の入力期間情報をユーザ識別情報に対応付けた入力条件を設定し,この入力条件に基づいて,帳票の入力を行えないようにしたり,入力を無効としたりすることは容易に想到し得ない。

したがって,請求項1発明は,引用発明に引用文献2の記載事項を組み合わせたとしても,当業者が容易に発明をすることができたものではない。

(2)請求項2発明

請求項2発明は,請求項1発明の発明特定事項を全て含み,さらに,画面構成情報格納部などの発明特定事項を加えて限定したものであるから,請求項1発明と同様に,引用発明及び引用文献2の記載事項に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものではない。

(3)請求項3発明

請求項3発明は,請求項1発明の情報処理装置によって行われる手順を,情報処理方法としたものであり,上記相違点1,3,4に係る入力条件格納部,ユーザ識別情報受付部,入力制御部を用い,上記相違点2に係る「伝票日付の情報である時刻情報を含む、帳票」を処理する方法である。
したがって,請求項3発明は,請求項1発明と同様に,引用発明及び引用文献2の記載事項に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものではない。

(4)請求項4発明

請求項4発明は,請求項1発明の情報処理装置をコンピュータによって実現するためのプログラムとしたものであり,コンピュータを,上記相違点1,3,4に係る入力条件格納部,ユーザ識別情報受付部,入力制御部として機能させ,上記相違点2に係る「伝票日付の情報である時刻情報を含む、帳票」を処理するものである。
したがって,請求項4発明は,請求項1発明と同様に,引用発明及び引用文献2の記載事項に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものではない。

4.むすび

請求項1発明?請求項4発明は,引用発明及び引用文献2の記載事項に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものではないから,本件補正は,特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合する。
したがって,本件補正は,特許法第17条の2第3項ないし第6項の規定に適合する。

第3 本願発明

本件補正は上記のとおり,特許法第17条の2第3項ないし第6項の規定に適合するから,本願の請求項1-4に係る発明は、本件補正により補正された特許請求の範囲の請求項1?4に記載された事項により特定されるとおりのものである。
そして、本願については、原査定の拒絶理由を検討してもその理由によって拒絶すべきものとすることはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2014-05-28 
出願番号 特願2007-264413(P2007-264413)
審決分類 P 1 8・ 121- WY (G06F)
最終処分 成立  
前審関与審査官 成瀬 博之  
特許庁審判長 金子 幸一
特許庁審判官 手島 聖治
石川 正二
発明の名称 情報処理装置、情報処理方法、およびプログラム  
代理人 谷川 英和  

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