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審決分類 |
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 G02F 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G02F |
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管理番号 | 1289210 |
審判番号 | 不服2012-19641 |
総通号数 | 176 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2014-08-29 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2012-10-05 |
確定日 | 2014-06-26 |
事件の表示 | 特願2001-523917「光学的補償板および液晶ディスプレイ」拒絶査定不服審判事件〔平成13年 3月22日国際公開、WO01/20394、平成15年 3月11日国内公表、特表2003-509725〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
第1 手続の経緯・本願発明 本願は、平成12年9月13日(パリ条約による優先権主張1999年9月16日、欧州特許庁)を国際出願日とする出願であって、平成23年6月14日付けで手続補正がなされ、平成24年5月24日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、同年10月5日に拒絶査定不服審判請求がなされると同時に手続補正がなされたものである。 第2 平成24年10月5日付けの手続補正についての補正却下の決定 [補正却下の決定の結論] 平成24年10月5日付けの手続補正を却下する。 [理由] 1 補正の内容 平成24年10月5日付けの手続補正(以下「本件補正」という。)は、補正前(平成23年6月14日付け手続補正後のもの)の請求項として、 「【請求項1】 ・少なくとも1つのO板リターダー、および ・90°より大きいねじれ角φを有する少なくとも1つのねじれたA板リターダー を含む、液晶ディスプレイ用の光学的補償板。 【請求項2】 O板リターダーにおける平均チルト角θ_(ave)が、2?88°であることを特徴とする、請求項1に記載の光学的補償板。 【請求項3】 ねじれたA板リターダーにおけるねじれ角φが、少なくとも360°であることを特徴とする、請求項1または2に記載の光学的補償板。 【請求項4】 O板リターダーにおけるチルト角が、フィルムの平面に垂直な方向に単調に、フィルムの一方の表面における最小値θ_(min)からフィルムの反対側の表面における最大値θ_(max)まで変化することを特徴とする、請求項1?3のいずれかに記載の光学的補償板。 【請求項5】 θ_(min)が、0?80°であることを特徴とする、請求項4に記載の光学的補償板。 【請求項6】 θ_(max)が、10?90°であることを特徴とする、請求項4または5に記載の光学的補償板。 【請求項7】 O板および/またはねじれたA板の厚さが、0.1?10μmであることを特徴とする、請求項1?6のいずれかに記載の光学的補償板。 【請求項8】 O板および/またはねじれたA板の光学的抑制が、6?300nmであることを特徴とする、請求項1?7のいずれかに記載の光学的補償板。 【請求項9】 O板が、傾斜したかまたは広がった構造を有する直線状または架橋重合液晶物質を含むことを特徴とする、請求項1?8のいずれかに記載の光学的補償板。 【請求項10】 ねじれたA板が、らせん的にねじれた構造を有する直線状または架橋重合キラル液晶物質を含むことを特徴とする、請求項1?9のいずれかに記載の光学的補償板。 【請求項11】 ねじれたA板におけるキラル液晶物質のらせんピッチが、250nm未満であることを特徴とする、請求項10に記載の光学的補償板。 【請求項12】 液晶ディスプレイ装置であって、以下の要素 ・互いに対向する表面を有する2枚の透明な基板により形成され、電極層が該2枚の透明な基板の少なくとも一方の内側上に設けられており、任意に整列層を重ねられている液晶セル、および前記2枚の透明な基板の間に存在する液晶媒体、 ・前記透明な基板の外側に配置された偏光板または該基板をはさむ一対の偏光板、および ・前記液晶セルと少なくとも1つの該偏光板との間に位置する、請求項1?11のいずれかに記載の少なくとも1つの光学的補償板 を含み、前記要素が、分離され、積み重なり、互いの最上部に載置され、互いの最上部上で被覆されるかまたは接着層により連結されていることができる、前記液晶ディスプレイ装置。」 とあったものを、 「【請求項1】 ・少なくとも1つの傾斜したかまたは広がったO板リターダー、および ・90°より大きいねじれ角φを有する少なくとも1つのねじれたA板リターダー を含む、液晶ディスプレイ用の光学的補償板。 【請求項2】 O板リターダーにおける平均チルト角θ_(ave)が、2?88°であることを特徴とする、請求項1に記載の光学的補償板。 【請求項3】 ねじれたA板リターダーにおけるねじれ角φが、少なくとも360°であることを特徴とする、請求項1または2に記載の光学的補償板。 【請求項4】 O板リターダーにおけるチルト角が、フィルムの平面に垂直な方向に単調に、フィルムの一方の表面における最小値θ_(min)からフィルムの反対側の表面における最大値θ_(max)まで変化することを特徴とする、請求項1?3のいずれかに記載の光学的補償板。 【請求項5】 θ_(min)が、0?80°であることを特徴とする、請求項4に記載の光学的補償板。 【請求項6】 θ_(max)が、10?90°であることを特徴とする、請求項4または5に記載の光学的補償板。 【請求項7】 O板および/またはねじれたA板の厚さが、0.1?10μmであることを特徴とする、請求項1?6のいずれかに記載の光学的補償板。 【請求項8】 O板および/またはねじれたA板の光学的抑制が、6?300nmであることを特徴とする、請求項1?7のいずれかに記載の光学的補償板。 【請求項9】 O板が、傾斜したかまたは広がった構造を有する直線状または架橋重合液晶物質を含むことを特徴とする、請求項1?8のいずれかに記載の光学的補償板。 【請求項10】 ねじれたA板が、らせん的にねじれた構造を有する直線状または架橋重合キラル液晶物質を含むことを特徴とする、請求項1?9のいずれかに記載の光学的補償板。 【請求項11】 ねじれたA板におけるキラル液晶物質のらせんピッチが、250nm未満であることを特徴とする、請求項10に記載の光学的補償板。 【請求項12】 液晶ディスプレイ装置であって、以下の要素 ・互いに対向する表面を有する2枚の透明な基板により形成され、電極層が該2枚の透明な基板の少なくとも一方の内側上に設けられており、任意に整列層を重ねられている液晶セル、および前記2枚の透明な基板の間に存在する液晶媒体、 ・前記透明な基板の外側に配置された偏光板または該基板をはさむ一対の偏光板、および ・前記液晶セルと少なくとも1つの該偏光板との間に位置する、請求項1?11のいずれかに記載の少なくとも1つの光学的補償板 を含み、前記要素が、分離され、積み重なり、互いの最上部に載置され、互いの最上部上で被覆されるかまたは接着層により連結されていることができる、前記液晶ディスプレイ装置。」 と補正するものである。 そして、本件補正は、補正前の請求項1の「O板リターダー」が、「傾斜したかまたは広がった(構造の)」ものであるとの限定を行うものであるから、上記補正は、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第4項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 2 独立特許要件 そこで、本件補正後の請求項1に係る発明(以下「本願補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に適合するか)について以下に検討する。 (1)引用刊行物記載の発明 ア 引用刊行物1 原査定の拒絶の理由に引用された、本願の優先日前に頒布された刊行物である特開平7-333597号公報(以下「引用刊行物1」という。)には、図とともに以下の事項が記載されている。 (ア)「【0001】 【産業上の利用分野】本発明は、液晶表示装置に関し、特にTN-LCDの表示コントラスト及び表示色の視角特性が改善された液晶表示装置に関する。」 (イ)「【0013】本発明は、…斜方入射におけるコントラストの低下を防ぎ、視野角特性を改善しようとするものである。本発明においては、少なくとも1枚の、光軸が面に対して法線方向にある光学的に負の一軸性の光学異方素子と、光軸が面に対する法線方向から傾斜した光学的に負の一軸性の光学異方素子を使用する。それらの光学異方素子は液晶セルの片側に配置されても良いし、両サイドにセパレ-トに配置されても良い。」 (ウ)「【0014】本発明によって、液晶表示素子の視野角を大幅に向上できたことについては以下のように推定している。TN-LCDの多くは、ノーマリーホワイトモードを採用している。このモードでは、視角が大きくなるに従って、黒表示部からの光の透過率が著しく増大し、結果としてコントラストの急激な低下を引き起こしている。黒表示は電圧印加時の状態であるが、この時には、TN型液晶セルは近似的に、光学軸がセルの表面に対する法線方向から若干傾いた正の一軸性光学異方体、とみなすことができる。 【0015】液晶セルの光学軸が液晶セルの表面に対する法線方向から傾いている場合、光学軸が法線方向にある光学異方体では、その補償が不十分であることが予想される。また、液晶セルが、概ね正の一軸性光学異方体とみなせるのであれば、それを補償するためには負の一軸性光学異方体を用いる事が好ましい。このような理由から、光学軸が法線方向から傾いた負の一軸性光学異方体によって大幅に視野角特性が改善される。しかし、TN型液晶セルの光学異方性を正の一軸性とみなすのはあくまでも近似であり、光軸が傾斜した負の一軸性光学異方体で補償することはおのずと限界がある。即ち、液晶セル内部の液晶の配向は、基板面付近と中心では、その光軸方向が異なるものであり、液晶セルは光軸の方向が異なった正の一軸異方体の積層とみなす事ができる。本発明者らは、鋭意検討した結果、上記の配向に対して、負の一軸性を有すると共に光軸が面に対して傾斜した光学異方体と負の一軸性を有すると共に光軸が面に対して法線方向にある光学異方体とを共に用いることにより、更に著しく改善できる事を突き止め本発明の完成に至った。」 (エ)「【0016】次に、本発明を詳細に説明する。本発明における負の一軸性とは、光学異方素子の3つの主屈折率を、その値が小さい順にn1、n2、n3としたとき、n1<n2=n3の関係を有するものである。従って光軸方向の屈折率が最も小さいという特性を有するものである。ただし、n2とn3の値は厳密に等しい必要はなく、ほぼ等しければ十分である。…負の一軸性で有ると共に光軸が法線の光学異方素子はその主屈折率のうち、最も小さい主屈折率が面の法線方向であり、他は面方向である。 … 【0018】光学的に負の一軸性を有し、光軸が傾斜した光学異方素子はその光学軸が面の法線方向から5゜?50゜傾いていることが好ましく、10゜?40゜がより好ましく、20゜?35゜が最も好ましい。…これらの特性を発現するための方法としては、円盤状化合物の斜め配向、フイルムの両面にせん断力をかけて歪を付与、アゾベンゼン等の化合物に偏光照射等があり、…。」 上記摘記事項を総合すると、引用刊行物1には、以下の発明(以下「引用発明1」という。)が記載されていると認められる。 「液晶表示装置の斜方入射におけるコントラストの低下を防ぎ、視野角特性を改善しようとするために用いる光学異方素子であって、 光軸が面に対して法線方向にある光学的に負の一軸性の光学異方素子と、光軸が面に対する法線方向から傾斜した光学的に負の一軸性の光学異方素子を使用し、 液晶セルの片側に配置されても良いし、両サイドにセパレ-トに配置されても良く、 負の一軸性とは、光学異方素子の3つの主屈折率を、その値が小さい順にn1、n2、n3としたとき、n1<n2=n3の関係を有し、光軸方向の屈折率が最も小さいという特性を有するものであり、 負の一軸性で有ると共に光軸が法線の光学異方素子はその主屈折率のうち、最も小さい主屈折率が面の法線方向であり、他は面方向である、光学異方素子。」 イ 引用刊行物2 原査定の拒絶の理由に引用された、本願の優先日前に頒布された刊行物である特開平5-61039号公報(以下「引用刊行物2」という。)には、図とともに以下の事項が記載されている。 (ア)「【0001】 【産業上の利用分野】本発明は液晶ディスプレーのもつ視角依存性を軽減することができる、液晶表示素子用視角補償板製造法に関する。」 (イ)「【0004】 【発明が解決しようとする課題】本発明者らは、すでにTN(特願平2-165718)およびSTN(特開平3-87720)の色補償板としてねじれ構造をもつネマチック液晶性高分子のフィルムよりなる光学素子の発明に至っているが、該発明においては、用いたオルソ置換芳香族単位を含む液晶性高分子あるいはその組成物が容易にモノドメインなねじれネマチック構造をとり得ることが成功の一つの大きな要因であった。本発明者らは、オルソ置換芳香族単位を含む液晶性高分子の良好な配向性、配向工程の容易さに再び注目し、色補償板に要求されるものよりさらに急激な(短いピッチの)ねじれ構造を配向固定化できれば、面内の屈折率がほぼ平均化されかつ厚み方向の屈折率より大きなフィルム、すなわちほぼ負の一軸性構造とみなせるフィルムが製造できると考え鋭意検討した結果、ついに本発明に到達した。すなわち、本発明は液晶表示素子用補償板の製造法に関し、面内の屈折率がほぼ同一でかつ厚さ方向の屈折率より大きい屈折率分布をもつ高分子液晶フィルムよりなる液晶ディスプレー用視角補償板の製造法を提供する。」 (ウ)「【0006】…本発明によって製造される補償板は、基板に平行な面内の屈折率がほぼ平均化され、かつその平均的な屈折率が厚み方向の屈折率より大きいという三次元屈折率分布を持つ必要がある。面内の屈折率が平均化されるためには、液晶の膜中にねじれ構造が生じていることが必須であり、また面内の屈折率の平均化が十分に行われるためには、本発明者らが先に発明した色補償板(特開平3-87720、特願平2-165718)のねじれネマチック構造におけるものよりさらに短いピッチが要求される。また、本発明の補償板は可視域の光に対して透明であるほうが望ましく、コレステリック構造に由来する選択反射光が人間の目で感知しにくい紫外域にあることが好ましい。なお、厚み方向の屈折率が面内の屈折率よりも小さいという条件は液晶性高分子が基板に略平行に配向することによって容易に達成される。」 上記摘記事項を総合すると、引用刊行物2には、以下の発明(以下「引用発明2」という。)が記載されていると認められる。 「面内の屈折率がほぼ同一でかつ厚さ方向の屈折率より大きい屈折率分布をもつ高分子液晶フィルムよりなる液晶ディスプレー用視角補償板であって、 面内の屈折率が平均化されるためには、液晶の膜中にねじれ構造が生じていることが必須であり、 可視域の光に対して透明であり、コレステリック構造に由来する選択反射光が人間の目で感知しにくい紫外域にあり、 厚み方向の屈折率が面内の屈折率よりも小さいという条件は液晶性高分子が基板に略平行に配向することによって容易に達成される、液晶ディスプレー用視角補償板。」 (2)対比、判断 本願補正発明と引用発明1とを対比する。 ア 引用発明1の「光軸が面に対する法線方向から傾斜した光学的に負の一軸性の光学異方素子」は、光軸が面の法線方向から傾斜した構造を有するものであること、また、請求人自身が平成23年6月14日付け意見書において、「引用文献3(審決注:引用刊行物1)には、…本発明のO板リタ-ダーに相当する光学補償シートを用いることにより、LCDにおける視野角を向上させたことが同文献の表3に示されています…」(III.(2))と認めていることからも明らかなように、本願補正発明の「少なくとも1つの傾斜したかまたは広がったO板リターダー」に相当するといえる。 イ 引用発明1の「(液晶表示装置の斜方入射におけるコントラストの低下を防ぎ、視野角特性を改善しようとするために用い、光軸が面に対して法線方向にある光学的に負の一軸性の光学異方素子と、光軸が面に対する法線方向から傾斜した光学的に負の一軸性の光学異方素子を使用する)光学異方素子」と、本願補正発明の「(・少なくとも1つの傾斜したかまたは広がったO板リターダー、および・90°より大きいねじれ角φを有する少なくとも1つのねじれたA板リターダーを含む、)液晶ディスプレイ用の光学的補償板」とは、「(・少なくとも1つの傾斜したかまたは広がったO板リターダーを含む、)液晶ディスプレイ用の光学的補償板」との点で共通する。 したがって、本願補正発明と引用発明1とは、 「・少なくとも1つの傾斜したかまたは広がったO板リターダー を含む、液晶ディスプレイ用の光学的補償板。」 である点で一致し、次の点で相違する。 本願補正発明は、「90°より大きいねじれ角φを有する少なくとも1つのねじれたA板リターダー」を含むのに対し、引用発明1は、「光軸が面に対して法線方向にある光学的に負の一軸性の光学異方素子」を含む点(以下「相違点」という。) 上記相違点につき検討する。 上記(1)イによれば、引用刊行物2には、「面内の屈折率がほぼ同一でかつ厚さ方向の屈折率より大きい屈折率分布をもつ高分子液晶フィルムよりなる液晶ディスプレー用視角補償板」、すなわち、光軸が面に対して法線方向にある光学的に負の一軸性の高分子液晶フィルムよりなる視角補償板として、「液晶の膜中にねじれ構造」を有し、かつ、「液晶性高分子」を「基板に略平行に配向」した構造のものを用いる発明(引用発明2)が記載されているから、引用発明1の「光軸が面に対して法線方向にある光学的に負の一軸性の光学異方素子」として、引用発明2の上記「(液晶の膜中にねじれ構造を有し、かつ、液晶性高分子を基板に略平行に配向した構造の高分子液晶フィルムよりなる)視角補償板」、すなわち、ねじれたA板リターダーを用いることは、当業者が容易になし得ることである。そして、その際、上記「視角補償板」のねじれ構造のねじれ角をどの程度とするかは、当業者が必要に応じて適宜に定めるべき設計的事項であって、本願明細書をみても当該ねじれ角の値として「90°より大きい」ものを採用した点に設計的事項の域を超えるほどの格別の技術的意義があるものとは認められず、また、本願補正発明の奏する効果が、引用発明1、2から当業者が予測困難な程の格別顕著なものということはできない。 したがって、引用発明1において、上記相違点に係る本願補正発明の構成となすことは、当業者が容易になし得ることである。 よって、本願補正発明は、引用刊行物1、2に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。 (3)むすび 以上のとおり、本件補正は、平成18年改正前法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に違反するものであるから、同法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 第3 本願発明について 1 本願発明 本件補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項に係る発明は、平成23年6月14日付け手続補正書の特許請求の範囲の請求項1?12に記載された事項によって特定されるものであるところ、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、上記第2の1において補正前のものとして記載したとおりのものである。 2 刊行物記載の発明 原査定の拒絶の理由に引用された、本願の優先日前に頒布された引用刊行物1、2及び引用発明1、2は、上記第2の2(1)のとおりである。 3 判断 本願発明は、上記第2の2(2)で検討した本願補正発明において、「O板リターダー」が「傾斜したかまたは広がった(構造の)」ものであるとの限定を省いたものである。そうすると、本願発明を減縮したものである本願補正発明が、上記第2の2(2)で検討したとおり、引用刊行物1、2に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明することができたものであるから、本願発明も同様の理由により、引用刊行物1、2に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。 4 むすび 以上のとおり、本願発明は、引用刊行物1、2に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2014-01-14 |
結審通知日 | 2014-01-21 |
審決日 | 2014-02-03 |
出願番号 | 特願2001-523917(P2001-523917) |
審決分類 |
P
1
8・
575-
Z
(G02F)
P 1 8・ 121- Z (G02F) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 金高 敏康、廣田 かおり |
特許庁審判長 |
吉野 公夫 |
特許庁審判官 |
黒瀬 雅一 藤本 義仁 |
発明の名称 | 光学的補償板および液晶ディスプレイ |
代理人 | 葛和 清司 |