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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H04N
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 H04N
管理番号 1289417
審判番号 不服2013-15203  
総通号数 176 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2014-08-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2013-08-07 
確定日 2014-07-03 
事件の表示 特願2011-193398「放送記録装置及びプログラム」拒絶査定不服審判事件〔平成24年 2月 9日出願公開、特開2012- 29315〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1.手続の経緯

本願は、平成19年6月1日に出願した特許出願(特願2007-146515号)の一部を平成23年9月5日に新たな特許出願としたものであって、平成24年12月11日付けで拒絶の理由が通知され、平成25年4月26日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、平成25年8月7日に拒絶査定不服審判が請求されるとともに、同日付けで手続補正がなされたものである。

第2.平成25年8月7日付けの手続補正についての補正却下の決定

[補正却下の決定の結論]
平成25年8月7日付けの手続補正を却下する。

[理由]
1.補正の内容

上記手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項のうち、請求項1に係る補正は、補正前の請求項1である

「放送内容を記録する放送記録装置であって、
前記放送記録装置を遠隔操作する電子機器から送信される前記電子機器を識別する機器識別情報と記録する放送内容を識別する番組識別情報とを受信する受信手段と、
前記受信手段によって受信した番組識別情報が示す放送内容を記録する放送記録手段と、
前記受信手段によって受信した機器識別情報と番組識別情報とを前記放送記録手段によって記録された放送内容に対応づけて記憶する記憶手段と、
前記受信手段によって受信した番組識別情報が示す放送内容が記録されたか否かを示す記録情報を前記放送内容に対応づけて記憶されている機器識別情報が示す電子機器を宛先として送信する送信手段と、
を具備したことを特徴とする放送記録装置。」

を、

「放送内容を記録する放送記録装置であって、
前記放送記録装置を遠隔操作する電子機器から送信される前記電子機器を識別する機器識別情報と記録する放送内容を識別する番組識別情報とを受信する受信手段と、
前記受信手段によって受信した番組識別情報が示す放送内容を記録する放送記録手段と、
前記受信手段によって受信した機器識別情報と番組識別情報とを前記放送記録手段によって記録された放送内容に対応づけて記憶する記憶手段と、
前記受信手段によって受信した番組識別情報が示す放送内容が記録されたか否かを示す記録情報を前記放送内容に対応づけて記憶されている機器識別情報が示す電子機器を宛先として送信する送信手段と、
を具備し、
前記電子機器が、前記記録情報を受信し、前記記録情報に基づいて、前記放送内容が記録されたか否かを表示部に表示するようにしたことを特徴とする放送記録装置。」

と補正するものである。

2.補正の適否

補正された請求項1は、補正前の請求項1における「前記放送記録装置を遠隔操作する電子機器」について、「前記電子機器が、前記記録情報を受信し、前記記録情報に基づいて、前記放送内容が記録されたか否かを表示部に表示するようにした」ことに限定するものであるから、この補正は、補正前の請求項に記載された発明を特定するために必要な事項を限定するものである。
したがって、本件補正は、特許法第17条の2第5項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
そこで、本件補正後の請求項1に記載された発明(以下、「本願補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか)について以下に検討する。

(1)本願補正発明

本願補正発明は、上記第2.1.に記載したとおりのものである。

(2)刊行物1

これに対して、原査定の拒絶の理由で引用された本願の出願の日前に頒布された刊行物である特開2005-303711号公報(以下、「刊行物1」という)には、図面とともに、次のア.?エ.の事項が記載されている。

ア.「【0010】
映像コンテンツ録画配信システムは、図1に示すように、ユーザの録画予約操作により携帯情報端末102から指定された映像コンテンツ、例えばテレビ番組を録画し、録画したテレビ番組を配信するサーバ装置101と、ユーザの操作によりサーバ装置101に接続し、録画予約操作をサーバ装置101に対し指示し、かつ、サーバ装置101から配信される映像データを再生表示する携帯情報端末102を備える。ここで、携帯情報端末102は、例えばインターネット105への接続機能を有する携帯電話等であり、基地局103と無線通信を行い移動体通信網104を介して通話やメール通信が可能であると同時に、インターネット105にもアクセス可能である。なお、サーバ装置101はインターネット105に接続されているため、移動体通信網104、インターネット105を介して携帯情報端末102からサーバ装置101へのアクセスが可能である。」

イ.「【0012】
<サーバ装置の構成>
サーバ装置101のH/Wには、汎用のパーソナルコンピュータやワークステーション等のコンピュータシステムが用いられる。サーバ装置101の有する機能は図2に示すように、サーバ及びデータベース、ストレージから構成される。サーバは、テレビ番組に関する情報を提供し録画予約受付を行う情報提供サーバ201、テレビ番組をデジタルデータに変換・圧縮して録画する録画サーバ202、録画したデータを配信する配信サーバ203により構成される。なお、情報提供サーバ201、録画サーバ202、配信サーバ203の各サーバは、インターネット105にアクセス可能である。データベースは、番組関連情報データベースとユーザ情報データベースにより構成される。ストレージは、録画コンテンツストレージにより構成される。
【0013】
情報提供サーバ201は、インターネット105を介してアクセスした携帯情報端末102のブラウザからのテレビ番組関連情報の要求を受け、この要求を発信した携帯情報端末102に対し、番組関連情報データベース204に格納されたテレビ番組関連情報を送信する。番組関連情報データベース204は、Electronic Program Guide(以下、「EPG」と記す。)データ又はテレビ番組に関するデータを、情報提供サーバ201及び録画サーバ202が参照可能な形態で記憶する。また、番組関連情報データベース204内に記憶されているデータは、情報提供サーバ201または録画サーバ202により随時更新可能なように構成されている。情報提供サーバ201は、例えばHTTP(Hyper Text Transfer Protocol)等のインターネット通信用プロトコルを実装し、HTML(Hyper Text Markup Language)ファイルの形式にて携帯情報端末102にテレビ番組関連情報等を送信する。
【0014】
録画サーバ202は、携帯情報端末102から録画予約要求を受信すると、ユーザ情報データベース205を参照して、録画予約要求を発信した携帯情報端末102のユーザを特定し、課金処理等を行うと共に、録画予約設定を行う。また、録画サーバ202は、テレビ番組の録画開始及び録画終了時間を認識するための図示しないタイマを備え、所定のデータ圧縮形式で録画したテレビ番組のデータを録画コンテンツストレージ206内に蓄積する。
【0015】
配信サーバ203は、録画されたテレビ番組を録画コンテンツストレージ206から読み出し、携帯情報端末102の表示サイズ、信号処理能力に合ったデータファイル形式に変換し、送信する。なお、データファイル形式には、例えば、MPEG(Moving Picture Experts Group)形式、AVI(Audio Video Interleaved)形式、WMV(Windows(登録商標)Media Video)形式、ASF(Advanced Streaming Format)形式等がある。
【0016】
番組関連情報データベース204は、例えば図3に示すような、各テレビ番組の番組ID、放送局、番組名、放送開始日時、及び放送終了日時等を備えるデータ形式のEPGデータを記憶する。このような形式のEPGデータを用いれば、ユーザは番組IDを指定するだけで、所望のテレビ番組の録画予約や視聴処理を行うことが可能となる。なお、番組関連情報データベース204に記憶されるEPGデータに、ジャンル、出演者、制作者等のテレビ番組の具体的な内容を含め、ユーザが、具体的な内容を確認することによりテレビ番組を検索し、録画予約するテレビ番組を選択できるように構成してもよい。」

ウ.「【0018】
ところで一般に、移動通信事業者は、各携帯情報端末102ごとに製造時の製造シリアル番号を把握しており、また、各携帯情報端末102ごとに電話番号、メールアドレス等の固有な番号を与える。そして、携帯情報端末102の各ユーザと移動通信事業者のみが携帯情報端末102の運用状況を把握している。したがって、移動通信事業者以外の第三者は把握できない携帯情報端末102に固有の識別情報を、携帯情報端末102の認証情報として用いることが可能となる。したがって、携帯情報端末102からサーバ装置101にアクセスする際、ユーザによる操作がなくても、自動的に電話番号等の各携帯情報端末102に固有の識別情報を用いることにより、IDやパスワードを入力する必要がなくなるので、認証作業の簡素化が可能となる。また、第三者によるIDやパスワードのコピーや改竄の可能性を低減できることから、セキュリティレベルの高い映像コンテンツ録画配信システムを提供することが可能となる。そこで、ユーザ情報データベース205は、図4に示すように、ユーザIDとしての携帯情報端末102の電話番号、認証コード、電子メールアドレス等を必ず記憶しておけば、他は、情報端末102の契約会社、録画データ圧縮方式、ユーザが予約したテレビ番組の予約番組ID、及び予約したテレビ番組が録画予約/録画完了したか否かを示す録画状況フラグ等の情報端末102の運用状況の情報を任意に記憶しておけばよい。」

エ.「【0031】
<番組情報取得処理>
次に番組情報取得処理について説明する。携帯情報端末102の表示部509に表示されたトップメニュー画面から番組情報取得処理に入るべく、「各種番組情報検索」をユーザが選択すると、携帯情報端末102は基地局103と通信を行い、移動体通信網104、インターネット105を介して情報提供サーバ201にアクセスする。アクセスを受けた情報提供サーバ201は、携帯情報端末102に対し認証情報を要求し、要求を受けた携帯情報端末102は認証情報を情報提供サーバ201に送信する。情報提供サーバ201は、携帯情報端末102から送信された認証情報とユーザ情報データベース205とを照合、確認する。認証処理の完了後、携帯情報端末102と情報提供サーバ201との間に通信パスが張られる。
【0032】
通信パスが張られた後、情報提供サーバ201は、番組関連情報データベース204に格納されていた番組関連情報を携帯情報端末102に送信する。情報提供サーバ201から送信される番組関連情報は、例えばHTMLファイルの形式であり、携帯情報端末102の表示部509に、図6(B)のような番組検索のメニューが表示される。ここでは、時間、放送局、番組ジャンル、出演者等から検索やソーティングする等のさまざまな機能が考えられる。さらに、この番組検索のメニューに個人の好みの番組を登録することも考えられる。
【0033】
例えば、時間をベースに検索した場合の表示例を図7(A)、放送局をベースに検索した場合の表示例を図7(B)、ジャンルをベースに検索した場合の表示例を図7(C)にそれぞれ示す。ユーザは、携帯情報端末102の表示部509に表示されるメニューを確認しながらキー入力部508を操作することにより、情報提供サーバ201から送信されるメニュー画面を更新し、所望の番組を選択することが可能となる。
【0034】
なお、上記の説明では、ブラウザ機能を用いてHTML形式のファイルを操作する場合を説明したが、所謂アプリケーションソフトを携帯情報端末102にダウンロードし、このアプリケーションソフトを用いて情報提供サーバ201と通信し、番組関連情報データベース204の情報を表示部509に表示する構成としてもよい。また、登録処理のみならず、後述するすべての処理をアプリケーションソフトにて行ってもよい。
【0035】
<録画予約処理>
次に録画予約処理について説明する。ユーザが表示部509のメニュー画面上にある所望の番組を選択し「録画予約」を実行すると、携帯情報端末102から録画サーバ202にこの情報が送信される。録画サーバ202は、番組関連情報データベース204、及びユーザ情報データベース205を参照し、録画予約されたテレビ番組の内容、録画時間等から課金金額を算出し、携帯情報端末102に送信する。携帯情報端末102の表示部509に表示された録画予約内容、金額を確認した後、ユーザが確認ボタンを押すと、録画サーバ202は、その番組情報をユーザ情報データベース205の該当する予約情報に登録し予約処理を完了する。
【0036】
なお、この録画予約処理時に、映像データを後にダウンロードあるいは再生する時に要求されるパスワードを指定できるようにしてもよい。しかし、電話番号等の各携帯情報端末102に固有の認証情報を利用することにより、パスワード入力等の煩雑な操作を必要とせず、セキュリティを保つことが可能である。メニュー操作でユーザが所望の番組を選択すると、表示部509は図8(A)のようなメッセージを表示し、ユーザはこれを確認して「OK」を押すだけの簡単操作で予約処理を行うことができる。
【0037】
また、ユーザが自身の録画予約状況や過去の利用実績等を確認するために、携帯情報端末102から録画サーバ202に確認要求を行うと、サーバ装置101はユーザ情報関連データベース205に格納されている情報を携帯情報端末102に送信する。この送信された情報を参照することでユーザは録画予約状況等を確認することが可能となる。実際の操作では、例えば図8(B)に示すようなメニュー画面において「利用実績・履歴・支払実績」を選択することにより、その内容を確認することとなる。
【0038】
<録画処理>
録画サーバ202は、テレビ番組の録画開始及び録画終了時間を認識するためのタイマ(図示せず)と、各放送局からの放送電波を受信するためのチューナ(図示せず)を備え、録画したテレビ番組の映像データを所定のデータ圧縮形式で録画コンテンツストレージ206内に蓄積する。図9に示すフローチャートを参照して、録画処理を実行する際の録画サーバ202の動作の詳細について説明する。
【0039】
ステップS901の処理では、録画サーバ202が、ユーザ情報データベース205を参照して、指定された番組IDに対応するテレビ番組の放送開始時刻及び放送終了時刻を検索する。
【0040】
ステップS902の処理では、録画サーバ202が、タイマが示す現在の時刻とテレビ番組の放送開始時刻とを照合し、現在の時刻がテレビ番組の放送開始時刻となったか否かを判別する。そして、判別の結果、テレビ番組の放送開始時刻となっていない場合には、録画サーバ202は、テレビ番組の放送開始時刻になるまでこのステップS902の処理を繰り返し実行する。一方、判別の結果、テレビ番組の放送開始時刻となった場合には、録画サーバはこの録画処理をステップS902の処理からステップS903の処理に進める。
【0041】
ステップS903の処理では、録画サーバ202が、ユーザ情報データベース205の該当IDの録画状態フラグを録画中に変更し、テレビ番組の録画を開始し、録画コンテンツストレージ206に映像データを蓄積する。
【0042】
ステップS904の処理では、録画サーバ202が、タイマが示す現在の時刻とテレビ番組の放送終了時刻とを照合し、現在の時刻がテレビ番組の放送終了時刻となったか否かを判別する。そして、判別の結果、テレビ番組の放送終了時刻となっていない場合には、録画サーバ202は、テレビ番組の放送終了時刻になるまでこのステップS904の処理を繰り返し実行する。一方、判別の結果、テレビ番組の放送終了時刻となった場合には、録画サーバ202はこの録画処理をステップS904の処理からステップS905の処理に進める。
【0043】
ステップS905の処理では、録画サーバ202がテレビ番組の録画処理を終了し、録画されたテレビ番組の映像データが録画コンテンツサーバ206に蓄積される。なお蓄積の際、必要であれば映像データを所定のレート、所定のファイル形式等に変換する。
【0044】
ステップS906の処理では、録画サーバ202が、ユーザ情報データベース205の該当IDの録画状態フラグを録画完了に設定する。これにより、一連の録画処理は終了する。
【0045】
<視聴処理>
次に、ユーザが録画予約処理を行った携帯情報端末102を用いて、録画コンテンツストレージ206に蓄積された映像データをダウンロードして再生する場合の動作について図10を用いて説明する。
【0046】
図10(A)のように、携帯情報端末102の表示部509に表示されたトップメニュー画面から視聴処理に入るべく、「録画ファイル入手」をユーザが選択すると、携帯情報端末102は基地局103と通信を行い、移動体通信網104、インターネット105を介して配信サーバ203にアクセスする。アクセスを受けた配信サーバ203は、携帯情報端末102に対し認証情報を要求し、要求を受けた携帯情報端末102は認証情報を配信サーバ203に送信する。配信サーバ203は、携帯情報端末102から送信された認証情報とユーザ情報データベース205と照合、確認する。認証処理の完了後、携帯情報端末102と配信サーバ203との間に通信パスが張られる。
【0047】
通信パスが張られた後、配信サーバ203は、録画コンテンツストレージ206に蓄積されていた映像データを携帯情報端末102に送信する。すなわち、携帯情報端末102が配信サーバ203に対して録画した映像データのダウンロード要求を行うと、録画サーバ203が認証したユーザ情報をもとにユーザ情報データベース205を検索し、配信サーバ203が図10(B)のような番組予約情報一覧(過去に録画され、かつ現在、録画コンテンツストレージ206に蓄積されている映像データのタイトルの全一覧)を携帯情報端末102に送信する。番組予約情報一覧を受信した携帯情報端末102は、この番組予約情報一覧を表示部509に表示する。
【0048】
携帯情報端末102の表示部509に表示された番組予約情報一覧からユーザが希望する番組を選択すると、配信サーバ203は該当する映像データを録画コンテンツストレージ206から読み出し携帯情報端末102にて視聴可能な形式に変換した後、送信する。なお、図4に示すユーザ情報データベースに携帯情報端末102にて視聴可能なファイル形式をあらかじめ登録しておき、この情報を参照して変換後のファイル形式を決定してもよい。」

上記ア.?エ.の記載及び関連する図面を考慮すると、

(a)刊行物1には、上記ア.に記載されるように、「映像コンテンツを録画するサーバ装置101」が記載されている。

(b)上記ア.には、「ユーザの録画予約操作により携帯情報端末102から指定された映像コンテンツ、例えばテレビ番組を録画し、録画したテレビ番組を配信するサーバ装置101と、ユーザの操作によりサーバ装置101に接続し、録画予約操作をサーバ装置101に対し指示し、かつ、サーバ装置101から配信される映像データを再生表示する携帯情報端末102を備える。・・・移動体通信網104、インターネット105を介して携帯情報端末102からサーバ装置101へのアクセスが可能である。」と記載され、上記イ.の段落【0013】?【0016】には、「携帯情報端末102からのテレビ番組関連情報の要求を受け、この要求を発信した携帯情報端末102に対し、番組関連情報データベース204に格納されたテレビ番組関連情報を送信する。・・・番組関連情報データベース204は、・・・各テレビ番組の番組ID・・・等を備えるデータ形式のEPGデータを記憶する。このような形式のEPGデータを用いれば、ユーザは番組IDを指定するだけで、所望のテレビ番組の録画予約や視聴処理を行うことが可能となる。」と記載され、上記ウ.の段落【0018】には、「移動通信事業者は、・・・各携帯情報端末102ごとに電話番号、メールアドレス等の固有な番号を与える。・・・携帯情報端末102に固有の識別情報を、携帯情報端末102の認証情報として用いることが可能となる。・・・ユーザ情報データベース205は、図4に示すように、ユーザIDとしての携帯情報端末102の電話番号・・・等を必ず記憶しておけば、他は、・・・ユーザが予約したテレビ番組の予約番組ID、及び予約したテレビ番組が録画予約/録画完了したか否かを示す録画状況フラグ等の情報端末102の運用状況の情報を任意に記憶しておけばよい。」と記載され、上記エ.の段落【0035】には、「ユーザが・・・所望の番組を選択し「録画予約」を実行すると、携帯情報端末102から録画サーバ202にこの情報が送信される。・・・録画サーバ202は、その番組情報をユーザ情報データベース205の該当する予約情報に登録し予約処理を完了する。」と記載されている。
また、【図4】には、ユーザ情報データベースの例として、ユーザIDに対応して、予約番組IDを記憶することが記載され、ユーザIDは、電話番号に対応している。
すなわち、刊行物1のサーバ装置101は、移動体通信網104、インターネット105を介してサーバ装置101への録画予約操作が可能な携帯情報端末102の電話番号を認証情報として用い、携帯情報端末102が所望のテレビ番組の録画予約を行うために指定した番組IDを電話番号と共に記憶するユーザ情報データベース205を有している。

(c)上記エ.の段落【0039】?【0044】には、「録画サーバ202が、ユーザ情報データベース205を参照して、指定された番組IDに対応するテレビ番組の放送開始時刻及び放送終了時刻を検索する。・・・テレビ番組の放送開始時刻となった場合には、・・・ユーザ情報データベース205の該当IDの録画状態フラグを録画中に変更し、テレビ番組の録画を開始し、録画コンテンツストレージ206に映像データを蓄積する。・・・テレビ番組の放送終了時刻となった場合には、・・・録画サーバ202がテレビ番組の録画処理を終了し、録画されたテレビ番組の映像データが録画コンテンツサーバ206に蓄積される。・・・録画サーバ202が、ユーザ情報データベース205の該当IDの録画状態フラグを録画完了に設定する。これにより、一連の録画処理は終了する。」と記載されている。
すなわち、刊行物1のサーバ装置101は、指定された番組IDに対応するテレビ番組の映像データを蓄積する録画コンテンツサーバ206を有している。

(d)上記エ.の段落【0047】?【0048】には、「携帯情報端末102が・・・録画した映像データのダウンロード要求を行うと、録画サーバ203が認証したユーザ情報をもとにユーザ情報データベース205を検索し、・・・図10(B)のような番組予約情報一覧(過去に録画され、かつ現在、録画コンテンツストレージ206に蓄積されている映像データのタイトルの全一覧)を携帯情報端末102に送信する。番組予約情報一覧を受信した携帯情報端末102は、この番組予約情報一覧を表示部509に表示する。携帯情報端末102の表示部509に表示された番組予約情報一覧からユーザが希望する番組を選択すると、・・・該当する映像データを録画コンテンツストレージ206から読み出し・・・送信する。」と記載されている。
また、【図10】(B)には、携帯情報端末に表示されるメニューの例として、サッカー中継、連続ドラマ(AAA)については録画完了、ビジネス英会話については録画予約中、日曜映画劇場、スポーツニュースについては配信完了と記載されている。
ここで、録画完了、配信完了については、過去に録画され、かつ現在、録画コンテンツストレージ206に蓄積されている映像データであるが、録画予約中とは、まだ録画されていない番組と考えるのが自然である。
そうすると、刊行物1の携帯情報端末102の表示部は、過去に録画され、かつ現在、録画コンテンツストレージ206に蓄積されている映像データのタイトルの全一覧である番組予約情報一覧に加えて、まだ録画されていない番組も表示部に表示されるものである。
すなわち、刊行物1のサーバ装置101は、録画サーバ203が認証したユーザ情報をもとにユーザ情報データベース205を検索し、番組予約情報一覧(過去に録画され、かつ現在、録画コンテンツストレージ206に蓄積されている映像データのタイトルの全一覧)を携帯情報端末102に送信し、番組予約情報一覧を受信した携帯情報端末102は、この番組予約情報一覧と、まだ録画されていない番組を表示部509に表示するようにし、携帯情報端末102の表示部509に表示された番組予約情報一覧からユーザが希望する番組を選択すると、該当する映像データを録画コンテンツストレージ206から読み出し送信するものである。

以上の記載から、刊行物1には以下の発明(以下、「刊行物1発明」という。)が記載されている。

「映像コンテンツを録画するサーバ装置101であって、
移動体通信網104、インターネット105を介してサーバ装置101への録画予約操作が可能な携帯情報端末102の電話番号を認証情報として用い、携帯情報端末102が所望のテレビ番組の録画予約を行うために指定した番組IDを電話番号と共に記憶するユーザ情報データベース205と、
指定された番組IDに対応するテレビ番組の映像データを蓄積する録画コンテンツサーバ206と、
録画サーバ203が認証したユーザ情報をもとにユーザ情報データベース205を検索し、番組予約情報一覧(過去に録画され、かつ現在、録画コンテンツストレージ206に蓄積されている映像データのタイトルの全一覧)を携帯情報端末102に送信する手段と、
を具備し、
番組予約情報一覧を受信した携帯情報端末102は、この番組予約情報一覧と、まだ録画されていない番組を表示部509に表示するようにし、
携帯情報端末102の表示部509に表示された番組予約情報一覧からユーザが希望する番組を選択すると、該当する映像データを録画コンテンツストレージ206から読み出し送信する
ことを特徴とするサーバ装置101。」

(3)対比、判断

(3-1)本願補正発明の「放送内容を記録する放送記録装置」と、刊行物1発明の「映像コンテンツを録画するサーバ装置101」について

刊行物1発明の「映像コンテンツを録画するサーバ装置101」は、本願補正発明の「放送内容を記録する放送記録装置」に相当する。

(3-2)本願補正発明の「前記放送記録装置を遠隔操作する電子機器から送信される前記電子機器を識別する機器識別情報と記録する放送内容を識別する番組識別情報とを受信する受信手段」と、刊行物1発明の「移動体通信網104、インターネット105を介してサーバ装置101への録画予約操作が可能な携帯情報端末102の電話番号を認証情報として用い、携帯情報端末102が所望のテレビ番組の録画予約を行うために指定した番組IDを電話番号と共に記憶するユーザ情報データベース205」について

刊行物1発明は「移動体通信網104、インターネット105を介してサーバ装置101への録画予約操作が可能な携帯情報端末102」という構成であり、移動体通信網104、インターネット105を介してサーバ装置101へ録画予約操作するということは、携帯情報端末102は、サーバ装置101を遠隔操作するものである。
また、刊行物1発明のサーバ装置101は「携帯情報端末102の電話番号を認証情報として用い」るので、携帯情報端末102は、電話番号を送信し、サーバ装置101は、電話番号を受信するものである。
さらに、刊行物1発明のサーバ装置101は「携帯情報端末102が所望のテレビ番組の録画予約を行うために指定した番組IDを電話番号と共に記憶するユーザ情報データベース205」を有するものであるから、携帯情報端末102が指定した番組IDは、携帯情報端末102から送信されるものであるし、サーバ装置101が番組IDを記憶するためには、携帯情報端末102から送信される番組IDを受信する手段を当然に有するものである。
そうすると、刊行物1発明において「移動体通信網104、インターネット105を介してサーバ装置101へのアクセスが可能な携帯情報端末102の電話番号を認証情報として用い、携帯情報端末102が所望のテレビ番組の録画予約を行うために指定した番組IDを電話番号と共に記憶するユーザ情報データベース205」を有するということは、刊行物1発明のサーバ装置101は、サーバ装置101を遠隔操作する携帯情報端末102から送信される電話番号と番組IDとを受信する受信手段を有することとなり、刊行物1発明の「携帯情報端末102」、「電話番号」、「番組ID」は、それぞれ、本願補正発明の「電子機器」、「電子機器を識別する機器識別情報」、「記録する放送内容を識別する番組識別情報」に相当するものであるから、刊行物1発明においては、本願補正発明の「前記放送記録装置を遠隔操作する電子機器から送信される前記電子機器を識別する機器識別情報と記録する放送内容を識別する番組識別情報とを受信する受信手段」に相当する手段を有するものである。

(3-3)本願補正発明の「前記受信手段によって受信した番組識別情報が示す放送内容を記録する放送記録手段」と、刊行物1発明の「指定された番組IDに対応するテレビ番組の映像データを蓄積する録画コンテンツサーバ206」について

刊行物1発明の「指定された番組ID」は、上記(3-2)で検討したように、サーバ装置101の受信手段にて受信したものであるから、刊行物1発明の「指定された番組IDに対応するテレビ番組の映像データを蓄積する録画コンテンツサーバ206」は、本願補正発明の「前記受信手段によって受信した番組識別情報が示す放送内容を記録する放送記録手段」に相当する。

(3-4)本願補正発明の「前記受信手段によって受信した機器識別情報と番組識別情報とを前記放送記録手段によって記録された放送内容に対応づけて記憶する記憶手段」と、刊行物1発明の「携帯情報端末102が所望のテレビ番組の録画予約を行うために指定した番組IDを電話番号と共に記憶するユーザ情報データベース205」について

刊行物1発明は、「録画サーバ203が認証したユーザ情報をもとにユーザ情報データベース205を検索し、番組予約情報一覧(過去に録画され、かつ現在、録画コンテンツストレージ206に蓄積されている映像データのタイトルの全一覧)を携帯情報端末102に送信する手段と、を具備し、携帯情報端末102は、この番組予約情報一覧と、まだ録画されていない番組を表示部509に表示するようにし、携帯情報端末102の表示部509に表示された番組予約情報一覧からユーザが希望する番組を選択すると、該当する映像データを録画コンテンツストレージ206から読み出し送信する」ものである。ここで、ユーザ情報データベース205を検索した結果として作成された番組予約情報一覧からユーザが希望する番組を選択すると、該当する映像データを録画コンテンツストレージ206から読み出すということは、ユーザ情報データベース205に記憶されている番組IDと録画コンテンツストレージ206に蓄積されている映像データは対応付けられていると考えるのが自然であるから、刊行物1発明のユーザ情報データベース205内にて電話番号と共に記憶されている番組IDは、録画コンテンツストレージ206に蓄積されている映像データに対応づけられて記憶されているものである。
したがって、刊行物1発明の「携帯情報端末102が所望のテレビ番組の録画予約を行うために指定した番組IDを電話番号と共に記憶するユーザ情報データベース205」は、本願補正発明の「前記受信手段によって受信した機器識別情報と番組識別情報とを前記放送記録手段によって記録された放送内容に対応づけて記憶する記憶手段」に相当する構成を有しているものである。

(3-5)本願補正発明の「前記受信手段によって受信した番組識別情報が示す放送内容が記録されたか否かを示す記録情報を前記放送内容に対応づけて記憶されている機器識別情報が示す電子機器を宛先として送信する送信手段」と、刊行物1発明の「録画サーバ203が認証したユーザ情報をもとにユーザ情報データベース205を検索し、番組予約情報一覧(過去に録画され、かつ現在、録画コンテンツストレージ206に蓄積されている映像データのタイトルの全一覧)を携帯情報端末102に送信する手段」について

刊行物1発明の「録画サーバ203が認証したユーザ情報をもとにユーザ情報データベース205を検索し、番組予約情報一覧(過去に録画され、かつ現在、録画コンテンツストレージ206に蓄積されている映像データのタイトルの全一覧)を携帯情報端末102に送信する手段」は、ユーザ情報すなわち電話番号に対応してユーザ情報データベース205に格納されている番組IDのうち、過去に録画され、かつ現在、録画コンテンツストレージ206に蓄積されている映像データのタイトルの全一覧である番組予約情報一覧を、対応する電話番号が示す携帯情報端末102を宛先として送信するものであり、上記(3-2)で検討したように、番組IDは、サーバ装置101の受信手段で受信されており、上記(3-4)で検討したように、番組IDと電話番号が、映像データと対応づけて記憶されているものであるから、本願補正発明の「前記受信手段によって受信した番組識別情報が示す放送内容が記録されたか否かを示す記録情報を前記放送内容に対応づけて記憶されている機器識別情報が示す電子機器を宛先として送信する送信手段」と、刊行物1発明の「録画サーバ203が認証したユーザ情報をもとにユーザ情報データベース205を検索し、番組予約情報一覧(過去に録画され、かつ現在、録画コンテンツストレージ206に蓄積されている映像データのタイトルの全一覧)を携帯情報端末102に送信する手段」は、「前記受信手段によって受信した番組識別情報が示す放送内容が記録されたことを示す情報を前記放送内容に対応づけて記憶されている機器識別情報が示す電子機器を宛先として送信する送信手段」という点で共通する。
しかし、刊行物1発明の番組予約情報一覧が、前記受信手段によって受信した番組識別情報のうち、過去に録画され、かつ現在、録画コンテンツストレージ206に蓄積されている映像データのタイトルの全一覧、すなわち、放送内容が記録されたことを示す情報であるのに対し、本願補正発明の記録情報は、前記受信手段によって受信した番組識別情報が示す放送内容が記録されたか否かを示す情報である点で相違する。

(3-6)本願補正発明の「前記電子機器が、前記記録情報を受信し、前記記録情報に基づいて、前記放送内容が記録されたか否かを表示部に表示する」と、刊行物1発明の「番組予約情報一覧を受信した携帯情報端末102は、この番組予約情報一覧と、まだ録画されていない番組を表示部509に表示する」について

刊行物1発明の「番組予約情報一覧と、まだ録画されていない番組を表示部509に表示する」は、過去に録画され、かつ現在、録画コンテンツストレージ206に蓄積されている映像データのタイトルの全一覧(放送内容が記録されたことを示す情報)と、まだ録画されていない番組を表示部509に表示することであるから、本願補正発明の「前記放送内容が記録されたか否かを表示部に表示する」ことに相当する。
しかし、番組予約情報一覧は、過去に録画され、かつ現在、録画コンテンツストレージ206に蓄積されている映像データのタイトルの全一覧(放送内容が記録されたことを示す情報)であるから、番組予約情報一覧に基づいて、表示部に表示するのは、放送内容が記録されたことを示す情報であり、まだ録画されていない番組は、何に基づいて表示するのかは特定されていない。
そうすると、刊行物1発明の「番組予約情報一覧を受信した携帯情報端末102は、この番組予約情報一覧と、まだ録画されていない番組を表示部509に表示する」ことと、本願補正発明の「前記電子機器が、前記記録情報を受信し、前記記録情報に基づいて、前記放送内容が記録されたか否かを表示部に表示するようにした」こととは、「前記電子機器が、前記情報を受信し、少なくとも一部の表示は前記情報に基づいて、前記放送内容が記録されたか否かを表示部に表示する」という点で共通する。
しかし、上記(3-5)で検討したように、刊行物1発明の情報が、前記受信手段によって受信した番組識別情報のうち、過去に録画され、かつ現在、録画コンテンツストレージ206に蓄積されている映像データのタイトル、すなわち、放送内容が記録されたことを示す情報であるのに対し、本願補正発明の記録情報は、前記受信手段によって受信した番組識別情報が示す放送内容が記録されたか否かを示す情報である点で相違することに起因して、「前記情報」の情報の内容が相違し、受信する情報の内容が相違するために、刊行物1発明は、前記情報(番組予約情報一覧)に基づいて、前記放送内容が記録されたことを表示部に表示するが、まだ録画されていない番組は、何に基づいて表示するのかは特定されていないのに対し、本願補正発明は、前記情報(記録情報)に基づいて、前記放送内容が記録されたか否かを表示部に表示するようにした」点で相違する。

したがって、本願補正発明と刊行物1発明の一致点および相違点は、次のとおりである。

[一致点]
「放送内容を記録する放送記録装置であって、
前記放送記録装置を遠隔操作する電子機器から送信される前記電子機器を識別する機器識別情報と記録する放送内容を識別する番組識別情報とを受信する受信手段と、
前記受信手段によって受信した番組識別情報が示す放送内容を記録する放送記録手段と、
前記受信手段によって受信した機器識別情報と番組識別情報とを前記放送記録手段によって記録された放送内容に対応づけて記憶する記憶手段と、
前記受信手段によって受信した番組識別情報が示す放送内容が記録されたことを示す情報を前記放送内容に対応づけて記憶されている機器識別情報が示す電子機器を宛先として送信する送信手段と、
を具備し、
前記電子機器が、前記情報を受信し、少なくとも一部の表示は前記情報に基づいて、前記放送内容が記録されたか否かを表示部に表示するようにしたことを特徴とする放送記録装置。」

[相違点]

(1)「情報」に関して、本願補正発明では、前記受信手段によって受信した番組識別情報が示す放送内容が記録されたか否かを示す情報であるのに対し、刊行物1発明では、前記受信手段によって受信した番組識別情報のうち、過去に録画され、かつ現在、録画コンテンツストレージ206に蓄積されている映像データのタイトル、すなわち、放送内容が記録されたことを示す情報である点。

(2)「前記電子機器が、前記情報を受信し、少なくとも一部の表示は前記情報に基づいて、前記放送内容が記録されたか否かを表示部に表示するようにしたこと」に関して、情報がどのような情報であるかが相違点(1)のように相違することに起因して、「前記情報」の情報の内容が相違し、受信する情報の内容が相違するために、本願補正発明は、前記情報(記録情報)に基づいて、前記放送内容が記録されたか否かを表示部に表示するようにしたのに対し、刊行物1発明は、前記情報(番組予約情報一覧)に基づいて、前記放送内容が記録されたことを表示部に表示するが、まだ録画されていない番組は、何に基づいて表示するのかは特定されていない点。

そこで、上記相違点(1)、(2)について検討する。

放送記録装置において設定された予約録画について、録画済か否かの状態を携帯端末にて受信させるような構成は、出願時において、周知の技術である(たとえば、特開2004-328375号公報の段落【0033】?【0037】、【図6】等を参照。)。
番組予約情報一覧を受信し、この番組予約情報一覧と、まだ録画されていない番組を表示部509に表示する刊行物1発明において、録画されていない番組がどれであるかを示す情報をどのようにして入手するかを考えた場合、上記周知の技術に接した当業者であれば、録画されていない番組がどれであるかを示す情報についても、放送記録装置から番組予約情報一覧と一緒に入手するようにすることは、容易に考えられるものであり、情報を、前記受信手段によって受信した番組識別情報が示す放送内容が記録されたことを示す情報であることに代えて、本願補正発明のような「前記受信手段によって受信した番組識別情報が示す放送内容が記録されたか否かを示す」記録情報とすることは、容易に想到できるといえ、そのような記録情報を受信するのであれば、前記放送内容が記録されたか否かを表示するようにした表示部にて、本願補正発明のように「前記記録情報に基づいて、前記放送内容が記録されたか否かを表示部に表示するようにした」ことも容易に想到できるといえる。

よって、相違点については、格別のものではなく、本願補正発明に関する作用効果も、刊行物1発明及び周知技術から当業者が予測できる範囲のものである。

したがって、本願補正発明は、刊行物1発明及び周知技術に基づいて容易に発明することができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

以上のとおり、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

第3.本願発明について

1.本願発明

上記のとおり、平成25年8月7日付けの手続補正は却下されたので、本件出願の請求項1ないし7に係る発明は、特許請求の範囲の請求項1ないし7に記載されたとおりのものであり、そのうち、請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という)は、次のとおりである。

[本願発明](請求項1に係る発明)

「放送内容を記録する放送記録装置であって、
前記放送記録装置を遠隔操作する電子機器から送信される前記電子機器を識別する機器識別情報と記録する放送内容を識別する番組識別情報とを受信する受信手段と、
前記受信手段によって受信した番組識別情報が示す放送内容を記録する放送記録手段と、
前記受信手段によって受信した機器識別情報と番組識別情報とを前記放送記録手段によって記録された放送内容に対応づけて記憶する記憶手段と、
前記受信手段によって受信した番組識別情報が示す放送内容が記録されたか否かを示す記録情報を前記放送内容に対応づけて記憶されている機器識別情報が示す電子機器を宛先として送信する送信手段と、
を具備したことを特徴とする放送記録装置。」

2.刊行物1発明及び周知技術

原査定の拒絶の理由で引用された刊行物1、その記載事項、刊行物1発明は、上記第2.2.(2)で認定したとおりである。
また、周知技術については、第2.2.(3)で認定したとおりである。

3.対比・判断

本願発明は、上記第2.2.で検討した本願補正発明における「前記放送記録装置を遠隔操作する電子機器」について、「前記電子機器が、前記記録情報を受信し、前記記録情報に基づいて、前記放送内容が記録されたか否かを表示部に表示するようにした」ことに限定した限定事項を省いたものである。
そうすると、本願発明の特定事項を全て含み、さらに他の特定事項を付加したものに相当する本願補正発明が上記第2.2.に記載したとおり、刊行物1発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明することができたものであるから、本願発明も、同様の理由により、刊行物1発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明することができたものである。

第4.まとめ

以上のとおり、本願の請求項1に係る発明は、刊行物1に記載された発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明することができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、本願は、その余の請求項について論及するまでもなく、拒絶すべきものである。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2014-05-01 
結審通知日 2014-05-07 
審決日 2014-05-20 
出願番号 特願2011-193398(P2011-193398)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (H04N)
P 1 8・ 575- Z (H04N)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 梅本 章子  
特許庁審判長 清水 正一
特許庁審判官 渡辺 努
小池 正彦
発明の名称 放送記録装置及びプログラム  
代理人 木村 満  

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