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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H05K
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 H05K
審判 査定不服 特174条1項 特許、登録しない。 H05K
管理番号 1291334
審判番号 不服2013-8473  
総通号数 178 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2014-10-31 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2013-05-08 
確定日 2014-08-28 
事件の表示 特願2010-511471「多層基板の表面処理層の構造及びその製造方法」拒絶査定不服審判事件〔平成20年12月18日国際公開、WO2008/151472、平成22年 9月 2日国内公表、特表2010-530133〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1.手続の経緯
本願は、2007年6月15日を国際出願日とする出願であって、平成24年12月28日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、平成25年5月8日に拒絶査定不服審判の請求(平成25年5月16日に請求の理由について手続補正がなされた。)がなされるとともに、その請求と同時に手続補正がなされたものである。

第2.平成25年5月8日付けの手続補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成25年5月8日付けの手続補正(以下、「本件補正」という。)を却下する。

[理由1]
1.本件補正の内容
本件補正は、特許請求の範囲の請求項1について、
「【請求項1】
多層基板の表面処理層の構造であって、
界面接着強化層と、誘電層に埋め込まれるパッド層と、前記パッド層を被覆する少なくとも一つの被覆金属層と、前記被覆金属層を露出する開孔を有し、かつ、前記被覆金属層の一部を覆うはんだマスク層とを含むことを特徴とする多層基板の表面処理層の構造。」
とあったものを
「【請求項1】
多層基板の表面処理層の構造であって、
界面接着強化層と、誘電層に埋め込まれるパッド層と、前記パッド層を被覆する少なくとも一つの被覆金属層と、前記被覆金属層を露出する開孔を有し、かつ、前記被覆金属層の一部を覆い、かつ前記誘電層と同じ材料からなるはんだマスク層とを含むことを特徴とする多層基板の表面処理層の構造。」
とする補正を含むものである。(下線は補正箇所を示すために審判請求人が付したものである。)

本件補正は、補正前の請求項1に記載された発明の「はんだマスク層」に関して、「誘電層と同じ材料からなる」との事項を追加するものである。

2.請求人の主張する補正の根拠
請求人は、審判請求書の請求の理由において、以下のように補正の根拠を主張している。
「請求項1の補正については、1)本願明細書段落0016における「誘電層の材料はポリイミドである」との記載、2)はんだマスク層がポリイミドにより作られるのは当業者に取って周知(特開2007-180441の段落0006における「現有のハンダマスク層(93)はポリイミド(Polyimide)で製造され」を参照)、から見れば、サポート要件違反にはならないと思います。」

3.新規事項(特許法第17条の2第3項)の判断
本件補正により追加された「誘電層と同じ材料からなる」「はんだマスク層」に関し、本願の願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下「当初明細書等」という。)の明細書の段落【0016】に、「誘電層」の材料がポリイミドであることが記載されているものの「はんだマスク層」については当初明細書等全体をとおしてみても、材料についての記載は見当たらない。
ところで、はんだマスク層、いわゆるソルダーレジスト層の材質としては、一般的に、ポリイミド、エポキシ樹脂、アクリル樹脂等、様々な樹脂の適用が考えられるところ、請求人が主張するように、「はんだマスク層」の材料をポリイミドとすることが周知技術であるとしても、本願発明における「はんだマスク層」の材料がポリイミドであるとは特定することはできないので、「誘電層と同じ材料からなる」「はんだマスク層」は、当初明細書等に記載されているとはいえない。また、各種あるはんだマスク層の材料の中から、誘電層と同じ材料を選択するということは、請求人が審判請求書で述べるように「本願発明では、先に基板の表面にはんだマスク層を形成させることが可能になります。」という技術的意義があるので、「はんだマスク層」に関し、「誘電層と同じ材料からなる」を追加する本件補正は、当初明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものであり、当初明細書等に記載した事項の範囲内でなされたものではない。
したがって、本件補正は、特許法第17条の2第3項の規定に適合しないので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により、却下すべきものである。

[理由2]
上記のとおり、本件補正は、特許法第17条の2第3項の規定に適合しないが、仮に、適合する場合には、上記補正は、補正前の請求項1に記載された発明を特定するために必要な事項としての「はんだマスク層」に関して、「誘電層と同じ材料からなる」との限定を付加するものであり、かつ、補正後の請求項1に記載された発明は、補正前の請求項1に記載された発明と、産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるので、本件補正は、特許法第17条の2第5項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
そこで、本件補正後の前記請求項1に記載された発明(以下、「本願補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか)について以下に検討する。

1.引用文献の記載事項
(1)原査定の拒絶の理由に引用された、本願の国際出願日前に頒布された刊行物である特開2004-63929号公報(以下、「引用文献1」という。)には、図面と共に、以下の事項が記載されている。
ア.「【請求項1】
絶縁基板の主面に、熱硬化性樹脂および無機絶縁性フィラーを含有して成り誘電率が3.5?4.0である絶縁層と信号配線導体および接地または電源導体から成る配線導体層とを複数積層するとともに、前記絶縁層の間に位置する前記接地または電源導体に対向するように最外層に位置する前記絶縁層に外部電気回路基板の高周波信号用電極が接続される直径が400?800μmの外部接続パッドを、該外部接続パッドの表面と前記絶縁層の表面とが同一面となるように埋設して成る配線基板であって、前記外部接続パッドは、その中心を通る厚み方向の断面の形状が前記絶縁層側の底辺の長さが対向する底辺の長さの0.5?0.7倍の台形状であり、前記接地または電源導体とこれに対向する前記外部接続パッドとの間の前記絶縁層の厚みは、前記外部接続パッドの直径の0.4?0.45倍であることを特徴とする配線基板。」

イ.「【0011】
これらの図において、1は絶縁基板、2は絶縁層、3は配線導体層、4は信号配線導体、5は接地または電源導体、6は外部接続パッド、8は貫通導体、9は電子部品接続パッドで、主にこれらで本発明の配線基板が構成される。また、この配線基板に電子部品7を搭載し電子部品接続用パッド9と電気的に接続することにより本発明の電子装置と成る。なお、本発明の配線基板の配線導体層3は、幅が20?40μmの信号配線導体4と絶縁層2の略全面にベタパターン状に形成された接地または電源導体5とで構成されている。」

ウ.「【0014】
・・・また、絶縁層2は、後述する配線導体層3の金属薄膜との密着性を良好となすために、表面を粗化できる熱可塑性樹脂成分を含有してもよい。」

エ.「【0023】
また、配線基板の最外層に形成された一方の絶縁層2aには、外部電気回路(図示せず)の高周波信号と接続するために、信号配線導体4の一部を用いて成る外部接続パッド6が埋設されている。さらに、配線基板の最外層に形成された他方の絶縁層2の表面には、電子部品接続パッド9が形成されている。
【0024】
配線基板を外部電気回路基板と強固に接続するためには、外部接続パッド6上に形成される導体バンプ10bの直径を400?800μmにする必要がある。従って外部接続パッド6の直径W1も400?800μmにする必要がある。外部接続パッド6の直径W1が400μm未満であると導体バンプ10bとの接続面積が少なくなり、外部電気回路の高周波信号電極と強固に接続できなくなる傾向にあり、800μmより大きくなると単位面積当たりの外部接続パッド6の数が少なくなり、配線基板の多端子化が困難となる傾向にある。また、電子部品を配線基板に強固、かつ高密度に接続するためには、電子部品接続パッド9の直径を50?200μmにすることが好ましい。」

オ.「【0030】
また、配線基板に電子部品7を接続する際の熱履歴から絶縁層2・電子部品接続パッド9・外部接続パッド6を保護するために、絶縁層2の最外層2a表面に感光性樹脂から成る耐半田樹脂層11を被着形成してもよい。なお、この場合、耐半田樹脂層11の電子部品接続パッド9および外部接続パッド6上部には露光・現像により電子部品接続パッド9と電子部品7の電極とを接続する導体バンプ10a用の開口、および外部接続パッド6と外部電気回路基板の高周波信号用電極とを接続する導体バンプ10b用の開口が形成される。さらに、開口底の電子部品接続用パッド9および外部接続パッド6の表面にニッケル・金等の良導電性で耐腐蝕性に優れた金属をめっき法により1?20μmの厚さに被着させておくと、電子部品接続用パッド9および外部接続パッド6の表面の酸化腐食を有効に防止できるとともに電子部品接続用パッド9と導体バンプ10aおよび外部接続パッド6の導体バンプ10bとの接続を良好とすることができる。
【0031】
なお、導体バンプ10a・10bを接続するための耐半田樹脂層11の開口の形状は円形状であることが望ましく、さらに、それらの径は電子部品接続パッド6(審決注:9の誤記)側が50?200μm、外部接続パッド9(審決注:6の誤記)側が350?750μmの範囲とすることが好ましい。」

カ.記載事項オ.によれば、外部接続パッド6の表面は、ニッケル・金等の良導電性で耐腐蝕性に優れた金属を被着されているものであり、かつ【図2】に、外部接続パッド6側の耐半田樹脂層11は、外部接続パッド6の表面を露出する開口を有することが示されている。

これら記載事項、図示内容及び認定事項を総合し、本願補正発明の記載ぶりに倣って整理すると、引用文献1には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されている。
「絶縁基板1に絶縁層2と配線導体層3を複数積層する配線基板の構造であって、
誘電率が3.5?4.0である絶縁層2に埋設して成る外部接続パッド6と、前記外部接続パッド6の表面に被着されるニッケル・金等の金属と、前記金属を露出する開口を有する耐半田樹脂層11とを含む配線基板の構造。」

(2)原査定の拒絶の理由に引用された、本願の国際出願日前に頒布された刊行物である特開平8-107264号公報(以下、「引用文献2」という。)には、図面(【図4】(a)を参照。)と共に、以下の事項が記載されている。
サ.「【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は高密度配線板およびその製造方法に係り、特に、端子ピッチの狭い表面実装部品を搭載する高密度配線板に好適な高密度配線板およびそれらの製造方法に関する。」

シ.「【0015】
【作用】パッド表面の縁を除く主面領域を露出させるように絶縁層開口部を形成することで、絶縁層は基材とパッド周縁部とに接触し接触面積を広く出来るため、絶縁層の密着力が向上しはがれない。また、絶縁層の形成領域が広がることになり、絶縁層の形成が容易になる。絶縁層厚さをパッド部に重ねた各層の和以上とすることで、パッド間にソルダーレジストの壁を形成する。この結果、各パッド毎に必要量のはんだを隔離できるので、はんだ量不足、はんだブリッジの発生を防止出来る。又、リードを固定できるため、リードずれを防止できる。パッドに無電解はんだめっきを行ない、さらに無電解はんだめっき上にはんだコ塗布工程を行なうことで、十分なはんだ濡れ性と適正なはんだ量を確保できる。
【0016】パッド3上に直に無電解はんだめっき層を形成すると、図4(a)に示すように、パッド3を構成する銅箔と相互拡散によって合金化することにより、パッド3の縁にも無電解はんだめっき層8が成長する(銅侵食と称す)。この結果、絶縁層4を押し上げ、はがれやすくなる。そこで同図(b)に示すように耐めっき性を有する絶縁材を使用し、開口部10のパッド3上に先ずは化学銅めっきの保護層7を形成する。これにより無電解はんだめっき層8形成時の銅侵食を防止でき、絶縁層の密着性を確保できる。また、絶縁層形成後、スルーホール部の穴あけを行うため、絶縁材残渣による、スルーホール内めっき不良を防止できる。」

2.対比
本願補正発明と引用発明とを対比すると、その意味、機能または構造からみて、
後者の「絶縁基板1に絶縁層2と配線導体層3を複数積層する配線基板の構造」は前者の「多層基板の表面処理層の構造」に相当し、以下同様に、「誘電率が3.5?4.0である絶縁層2」は「誘電層」に、「埋設して成る」は「埋め込まれる」に、「外部接続パッド6」は「パッド層」に、「外部接続パッド6の表面に被着されるニッケル・金等の」「金属」は「パッド層を被覆する少なくとも一つの」「被覆金属層」に、「金属を露出する開口」は「被覆金属層を露出する開孔」に、「耐半田樹脂層11」は「はんだマスク層」に、それぞれ相当する。

そうすると、両者は、本願補正発明の用語を用いて表現すると、次の点で一致する。
[一致点]
「多層基板の表面処理層の構造であって、
誘電層に埋め込まれるパッド層と、前記パッド層を被覆する少なくとも一つの被覆金属層と、前記被覆金属層を露出する開孔を有するはんだマスク層とを含む多層基板の表面処理層の構造。」

そして、両者は次の点で相違する。
[相違点1]
本願補正発明は、「界面接着強化層」を含むのに対して、
引用発明は、かかる層を含むか明らかでない点。

[相違点2]
「はんだマスク層」に関し、
本願補正発明は、「被覆金属層の一部を覆い、かつ誘電層と同じ材料からなる」のに対し、
引用発明は、かかる構成を有するか明らかでない点。

3.判断
(1)[相違点1]について検討する。
引用文献1の段落【0014】に「絶縁層2は、後述する配線導体層3の金属薄膜との密着性を良好となすために、表面を粗化できる熱可塑性樹脂成分を含有してもよい。」と記載されているように、配線導体層3の絶縁層2に対する密着性を良好にすることが開示され、同段落【0023】の「信号配線導体4の一部を用いて成る外部接続パッド6が埋設されている。」との記載、及び段落【0011】の「配線導体層3は、・・・信号配線導体4と・・・電源導体5とで構成されている。」との記載から、引用発明の「外部接続パッド6」は、配線導体層3の一部と解されるので、外部接続パッド6の絶縁層2との密着性を考慮に入れることは想定されるものである。また、本願補正発明の「界面接着強化層」は、本願明細書の段落【0024】に「界面接着強化処理305は例えば、酸素又はアルゴンプラズマ・プロセスの処理である。」と記載されているように、酸素又はアルゴンプラズマ・プロセスの処理により形成される層と理解できるところ、多層基板の技術分野において、金属層の絶縁層との密着性を高めるために、アルゴンガス等を用いてプラズマ処理を行い酸化層(本願補正発明の界面接着強化層に相当する。)を形成することは従来周知の技術(例えば、特開2002-290036号公報の段落【0016】を参照。)であるから、外部接続パッド6の絶縁層2の密着性を高めるために、上記従来周知の技術を適用し、外部接続パッド6と絶縁層2との間に界面接着強化層を介在させることは当業者であれば適宜になし得ることである。
よって、引用発明において、上記相違点1に係る本願補正発明の発明特定事項とすることは、当業者が容易に想到し得たことである。

(2)[相違点2]について検討する。
引用文献1の段落【0024】には、外部接続パッド6の直径W1が400?800μmであることが記載され、段落【0031】には、外部接続パッド6側の耐半田樹脂層11の開口の径が350?750μmであることが記載されている。これらに記載されている外部接続パッド6及び耐半田樹脂層11のそれぞれの径の寸法の範囲から、引用文献1には、外部接続パッド6の径に比べて外部接続パッド6側の耐半田樹脂層11の開口の径が相対的に小さいことが示唆されており、同じく引用文献1の【図2】には、外部接続パッド6側の耐半田樹脂層11が外部接続パッド6の両端部分を覆うことが示されている。そして、引用発明は外部接続パッド6の表面に金属(本願補正発明の被覆金属層に相当)が被着されるものであるから、引用文献1には、結局、金属の一部を覆う耐半田樹脂層11が形成されることが示唆されているものといえる。
さらに、引用文献2には、ソルダーレジスト層4の密着性を高めるために、該ソルダーレジスト層4がパッド3の表面に形成された無電解ハンダメッキ(本願補正発明の被覆金属層に相当)の一部を覆うように形成することが記載されている。
引用発明は、引用文献1の段落【0024】に記載されているように、電子部品を高密度に配置することを念頭に置くものであるところ、高密度化に重点をおいた場合には、外部接続パッド6間又は他の外部接続パッド間の間隔が短くなり、耐半田樹脂層11を形成する面積が減少し密着性が不足することが考えられるので、耐半田樹脂層11の密着する面積を確保する観点から、引用発明に引用文献2に記載されている事項を適用し、耐半田樹脂層11を外部接続パッド6表面に被着される金属の一部を覆うように形成することは当業者であれば適宜になし得ることである。
また、絶縁層とソルダーレジスト層を同じ材料で構成することは、特開2005-216989号公報(段落【0024】及び【0029】を参照。)、特開2002-343931号公報(段落【0027】及び【0039】を参照。)に示されるように従来周知の技術であるから、多層基板の作製における作業設備の簡素化又はコスト削減の発想に基づいて、引用発明において、絶縁層2と耐半田樹脂層11とを同じ材料で構成することは当業者であれば適宜になし得ることである。
よって、引用発明において、上記相違点2に係る本願補正発明の発明特定事項とすることは、当業者が容易に想到し得たことである。

(3)効果について
本願補正発明による効果も、引用発明、引用文献1,2に記載されている事項、及び周知技術から当業者が予測し得た程度のものであって、格別のものとはいえない。

したがって、本願補正発明は、引用発明、引用文献1,2に記載されている事項、及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができない。

4.むすび
以上のとおり、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

第3.本願発明について
1.本願発明
本件補正は、上記のとおり却下されたので、本願の請求項1ないし13に係る発明は、平成24年6月20日に補正された特許請求の範囲の請求項1ないし13に記載された事項により特定されるとおりのものであると認められるところ、その請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、前記「第2.[理由1]1.」に記載したとおりである。

2.引用文献の記載事項
引用文献の記載事項は、前記「第2.[理由2]1.」に記載したとおりである。

3.対比・判断
本願発明は、上記「第2.」で検討した本願補正発明から、「はんだマスク層」について、「誘電層と同じ材料からなる」との限定事項を省いたものである。そうすると、本願発明の発明特定事項をすべて含み、さらに、「誘電層と同じ材料からなる」との限定事項により減縮したものに相当する本願補正発明が、前記「第2.[理由2]2.及び3.」に記載したとおり、引用発明、引用文献1,2に記載されている事項、及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、実質的に同様の理由により、引用発明、引用文献1,2に記載されている事項、及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

4.むすび
以上のとおり、本願発明(請求項1に係る発明)は、引用発明、引用文献1,2に記載されている事項、及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができない。
したがって、本願の他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2014-03-28 
結審通知日 2014-04-01 
審決日 2014-04-14 
出願番号 特願2010-511471(P2010-511471)
審決分類 P 1 8・ 575- Z (H05K)
P 1 8・ 121- Z (H05K)
P 1 8・ 55- Z (H05K)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 川内野 真介中尾 麗  
特許庁審判長 島田 信一
特許庁審判官 森川 元嗣
冨岡 和人
発明の名称 多層基板の表面処理層の構造及びその製造方法  
代理人 奥野 彰彦  
代理人 SK特許業務法人  
代理人 伊藤 寛之  

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