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審決分類 審判 査定不服 特17 条の2 、4 項補正目的 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) H04N
審判 査定不服 特17条の2、3項新規事項追加の補正 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) H04N
管理番号 1291453
審判番号 不服2012-19679  
総通号数 178 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2014-10-31 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2012-10-05 
確定日 2014-09-04 
事件の表示 特願2009-197090「ストリーム提供方法、視聴者参加による対話型シアタシステム、およびストリーム視聴装置」拒絶査定不服審判事件〔平成22年 4月15日出願公開、特開2010- 88111〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 経緯
1 経緯
本願は、平成21年8月27日(パリ条約による優先権主張2008年9月29日、米国)の出願であって、平成23年9月16日付けで拒絶理由が通知され、これに対し、平成23年12月27日付けで意見書が提出されると同時に手続補正がなされ、平成24年1月18日付けで最後の拒絶理由が通知され、これに対し、平成24年4月27日付けで意見書が提出されると同時に手続補正がなされたが、平成24年5月16日付けで平成24年4月27日付けの手続補正が却下され、平成24年5月16日付け(発送日同年6月5日)で拒絶査定がなされたものである。
本件は、本願についてなされた上記拒絶査定を不服として平成24年10月5日付けで請求された拒絶査定不服審判であって、同時に手続補正がなされたものである。
そして、当審において、平成25年11月29日付けで平成24年10月5日付け手続補正が却下され、平成25年11月29日付けで最後の拒絶理由が通知され、平成26年2月28日付けで意見書が提出されると同時に手続補正がなされたものである。

2 当審の最後の拒絶理由の概要
当審の最後の拒絶の理由は、概略、次のとおりである。

平成23年12月27日付けでした手続補正は、下記の点で願書に最初に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内においてしたものでないから、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしていない。


(1)請求項1について
請求項1に記載された「視聴者が視聴する画像ストリームは、画像ストリームのストーリに対するゲストである視聴者のアクションが判定されることによって選択されることと、または視聴者による入力であるユーザ入力に基づき選択されることとの両方が可能である」ことは、願書に最初に添付した明細書又は図面に記載した事項とは、認められない。
(2)請求項2?20
請求項2?20の記載は、上記(1)の「請求項1について」と同じ理由で、願書に最初に添付した明細書又は図面に記載した事項とは、認められない。

第2 補正却下の決定
平成26年2月28日付けの手続補正について次のとおり決定する。

[補正却下の決定の結論]
平成26年2月28日付けの手続補正を却下する。

[理由]
1 補正の内容
平成26年2月28日付けの手続補正(以下「本件補正」という。)は、特許請求の範囲についてする補正である。その詳細は以下のとおりである。

特許請求の範囲
「 【請求項1】
複数の視聴者に、互いに異なる第1画像ストリームと第2画像ストリームを含む複数の画像ストリームを提供するストリーム提供方法であって、前記ストリーム提供方法は、
視聴領域内の前記視聴者と表示面の間に複数の光学フィルタを配置する光学フィルタ配置工程と;
表示期間中に前記表示面に複数の画像ストリームを時分割された提供タイミングで提供する画像ストリーム提供工程と;
前記光学フィルタが前記第1画像ストリームを伝送させるように、前記光学フィルタを前記第1画像ストリームに対応するシャッタタイミングで動作させる工程と;
前記表示期間中、前記第2画像ストリームを伝送させるように、前記光学フィルタの一組の動作状態を改変する動作状態改変工程であって、前記光学フィルタのシャッタタイミングを、前記第2画像ストリームに対応するシャッタタイミングに変更し、その結果、前記視聴者は前記第1画像ストリームと前記第2画像ストリームを視聴することと
を含み、
視聴者が視聴する画像ストリームは、画像ストリームのストーリに対するゲストである視聴者のアクションが判定されることによって選択されることと、または視聴者による入力であるユーザ入力に基づき選択されることとの両方が可能である、ストリーム提供方法。
【請求項2】
前記画像ストリーム提供工程は、前記表示面に複数の前記画像ストリームを同時に投影するように、前記表示期間中、プロジェクタ群を操作する工程を含む、
請求項1記載のストリーム提供方法。
【請求項3】
前記プロジェクタ群は、前記表示面の表示領域の一群に投影を行い、
複数の前記表示領域は互いに少なくとも部分的に重なり合う、
請求項2記載のストリーム提供方法。
【請求項4】
前記動作状態改変工程は、前記光学フィルタの一組に関係付けられた視聴者からのユーザ入力に応じて行われる、
請求項1記載のストリーム提供方法。
【請求項5】
前記光学フィルタは、前記視聴者のそれぞれが装着する被装着装置を含み、
前記ユーザ入力は、前記被装着装置に関連付けられた動作状態セレクタを操作することによって、前記動作状態を手動で切替える工程を含む、
請求項4記載のストリーム提供方法。
【請求項6】
前記被装着装置は、前記画像ストリームのすべてではなく一つをフィルタリングするために、前記画像ストリームの提供に同期された時分割されたシャッタタイミングに対応する動作状態のシャッタ眼鏡を含む、
請求項5記載のストリーム提供方法。
【請求項7】
前記ストリーム提供方法は更に、ユーザ入力を行うために視聴者にキューを供給する工程を含み、
コントロールシステムは、前記キューの供給後に前記光学フィルタの動作状態を改変する前記動作状態改変工程を可能にする、
請求項4記載のストリーム提供方法。
【請求項8】
表示面に一連の画像ストリームを投影する複数のプロジェクタであって、これら画像ストリームは時分割された提供タイミングで提供されることと;
対話型シアタ内の視聴者が装着可能な光学フィルタであって、前記光学フィルタは、前記画像ストリームのすべてではなく一つをフィルタリングするために、少なくとも二つの動作状態で動作可能であり、前記光学フィルタはそれぞれ対応する画像ストリームを伝送させるように、それぞれの画像ストリームに対応するシャッタタイミングで動作することと;
動作状態の一つが選択された前記光学フィルタのそれぞれに関係付けられた複数の動作状態コントローラであって、前記動作状態コントローラは、前記画像ストリームの一つを変更するために、前記画像ストリームの投影時に少なくとも1回、独立して操作可能であることと
を含み、
前記動作状態コントローラは、視聴者が視聴する画像ストリームを、画像ストリームのストーリに対するゲストである視聴者のアクションを判定することによって選択することと、または視聴者による入力であるユーザ入力に基づき選択することとの両方を可能に構成されている、
対話型シアタシステム。
【請求項9】
前記プロジェクタは、前記画像ストリームを互いに異なる時分割されたタイミングで伝送し、
前記光学フィルタは、前記画像ストリームのすべてではなく一つのフィルタリングに影響するよう、画像ストリームタイミングに同期されたシャッタタイミングで動作可能なシャッタ眼鏡を含む、
請求項8記載の対話型シアタシステム。
【請求項10】
前記動作状態コントローラは、前記画像ストリームの一つを選択するために前記シャッタタイミングを切替えるよう、前記視聴者によって操作可能である、
請求項9記載の対話型シアタシステム。
【請求項11】
前記動作状態コントローラは、前記画像ストリームの投影中、少なくとも前記動作状態コントローラの一組に伝送されるセレクタ有効信号をシステムコントローラから受信すると動作可能になる、
請求項10記載の対話型シアタシステム。
【請求項12】
前記プロジェクタは、前記表示面の一箇所に前記画像ストリームを同時に表示するよう動作可能である、
請求項8記載の対話型シアタシステム。
【請求項13】
前記対話型シアタシステムは更に、前記光学フィルタに関係付けられた動作状態を切替えるために、前記動作状態コントローラの一群に状態選択信号を伝送するよう、前記画像ストリームの投影中に動作可能なシステムコントローラを含む、
請求項8記載の対話型シアタシステム。
【請求項14】
前記画像ストリームは、共通のストーリラインに関係付けられ、
前記画像ストリームのそれぞれは、前記画像ストリームのうちの他の画像ストリームとは異なるコンテンツを含み、前記画像ストリームの切替によって、前記視聴者は互いに異なるコンテンツを視聴できる、
請求項8記載の対話型シアタシステム。
【請求項15】
一つのディスプレイに同時に投影される一連の画像ストリームの一つを、選択的に視聴するためのストリーム視聴装置であって、これら画像ストリームは時分割された提供タイミングで提供され、前記ストリーム視聴装置は、
前記ディスプレイ上の前記画像ストリームの視聴を行うために動作する光学フィルタであって、前記光学フィルタは前記画像ストリームのうちの一つを当該光学フィルタのユーザに伝送するために動作し、前記光学フィルタはそれぞれ対応する画像ストリームを伝送させるように、それぞれの画像ストリームに対応するシャッタタイミングで動作することと;
前記光学フィルタに設けられるコントローラであって、前記コントローラは、前記画像ストリームのうち伝送された画像ストリームに関係付けられた動作状態を設定するよう動作することと;
ユーザが前記画像ストリームのそれぞれを選択的に視聴可能にするために複数の動作状態を切替えるよう、前記光学フィルタのユーザによって手動操作可能なチャネルセレクタと
を含み、
前記チャネルセレクタは、視聴者が視聴する画像ストリームを、画像ストリームのストーリに対するゲストである視聴者のアクションを判定することによって選択することも可能に構成されている、
ストリーム視聴装置。
【請求項16】
前記光学フィルタは、互いに異なる時分割されたタイミングのシャッタで独立して動作可能な一組のレンズを備えたシャッタ眼鏡を含む、
請求項15記載のストリーム視聴装置。
【請求項17】
前記動作状態は、シャッタタイミングにそれぞれ対応し、
前記シャッタタイミングはそれぞれ、同時に投影された画像ストリームのうちの一つの時分割タイミングに同期される、
請求項16記載のストリーム視聴装置。
【請求項18】
前記一連の画像ストリームは、一定期間、前記ディスプレイに投影され、
前記チャネルセレクタは、前記光学フィルタの動作状態を変更するために、前記一定期間ユーザによって操作可能である、
請求項15記載のストリーム視聴装置。
【請求項19】
前記チャネルセレクタは、前記画像ストリームのすべてではなく一つをフィルタリングするために、動作状態の設定、および前記光学フィルタを動作させる電力供給に用いるチャネル選択信号を供給するコントローラに接続される、
請求項15記載のストリーム視聴装置。
【請求項20】
前記チャネルセレクタは、コントロールシステムからチャネルセレクタ有効信号を受信すると動作可能になる、
請求項15記載のストリーム視聴装置。」

を、特許請求の範囲

「 【請求項1】
複数の視聴者に、互いに異なる第1画像ストリームと第2画像ストリームを含む複数の画像ストリームを提供するストリーム提供方法であって、前記ストリーム提供方法は、
視聴領域内の前記視聴者と表示面の間に複数の光学フィルタを配置する光学フィルタ配置工程と;
表示期間中に前記表示面に複数の画像ストリームを時分割された提供タイミングで提供する画像ストリーム提供工程と;
前記光学フィルタが前記第1画像ストリームを伝送させるように、前記光学フィルタを前記第1画像ストリームに対応するシャッタタイミングで動作させる工程と;
前記表示期間中、前記第2画像ストリームを伝送させるように、前記光学フィルタの一組の動作状態を改変する動作状態改変工程であって、前記光学フィルタのシャッタタイミングを、前記第2画像ストリームに対応するシャッタタイミングに変更し、その結果、前記視聴者は前記第1画像ストリームと前記第2画像ストリームを視聴することと
を含み、
視聴者が視聴する画像ストリームは、視聴者による入力であるユーザ入力に基づき選択され、それぞれ前記画像ストリームは、互いに独立な2D画像ストリームまたは3D画像ストリームを有し、
前記動作状態改変工程は、前記光学フィルタの一組に関係付けられた視聴者からのユーザ入力に応じて行われ、前記光学フィルタは、前記視聴者のそれぞれが装着する被装着装置を含み、
前記ユーザ入力は、前記被装着装置に関連付けられた動作状態セレクタを操作することによって、前記動作状態を手動で切替える工程を含む、
ストリーム提供方法。
【請求項2】
前記画像ストリーム提供工程は、前記表示面に複数の前記画像ストリームを同時に投影するように、前記表示期間中、プロジェクタ群を操作する工程を含む、
請求項1記載のストリーム提供方法。
【請求項3】
前記プロジェクタ群は、前記表示面の表示領域の一群に投影を行い、
複数の前記表示領域は互いに少なくとも部分的に重なり合う、
請求項2記載のストリーム提供方法。
【請求項4】
前記光学フィルタは、視聴者と前記表示面との間に位置するスクリーンを含み、
前記ユーザ入力は、前記スクリーンに関連付けられた動作状態セレクタを操作することによって、前記動作状態を手動で切替える工程を含む、
請求項1記載のストリーム提供方法。
【請求項5】
前記被装着装置は、前記画像ストリームのすべてではなく一つをフィルタリングするために、前記画像ストリームの提供に同期された時分割されたシャッタタイミングに対応する動作状態のシャッタ眼鏡を含む、
請求項1記載のストリーム提供方法。
【請求項6】
前記ストリーム提供方法は更に、ユーザ入力を行うために視聴者にキューを供給する工程を含み、
コントロールシステムは、前記キューの供給後に前記光学フィルタの動作状態を改変する前記動作状態改変工程を可能にする、
請求項1記載のストリーム提供方法。
【請求項7】
表示面に一連の画像ストリームを投影する複数のプロジェクタであって、これら画像ストリームは時分割された提供タイミングで提供されることと;
対話型シアタ内の視聴者が装着可能な光学フィルタであって、前記光学フィルタは、前記画像ストリームのすべてではなく一つをフィルタリングするために、少なくとも二つの動作状態で動作可能であり、前記光学フィルタはそれぞれ対応する画像ストリームを伝送させるように、それぞれの画像ストリームに対応するシャッタタイミングで動作することと;
動作状態の一つが選択された前記光学フィルタのそれぞれに関係付けられた複数の動作状態コントローラであって、前記動作状態コントローラは、前記画像ストリームの一つを変更するために、前記画像ストリームの投影時に少なくとも1回、独立して操作可能であることと
を含む対話型シアタシステムであって、
前記動作状態コントローラは、視聴者が視聴する画像ストリームを、視聴者による入力であるユーザ入力に基づき選択するように構成され、
前記動作状態コントローラは、前記画像ストリームの一つを選択するために前記シャッタタイミングを切替えるよう、前記視聴者によって操作可能であり、
前記プロジェクタは、前記画像ストリームを互いに異なる時分割されたタイミングで伝送し、
前記光学フィルタは、前記画像ストリームのすべてではなく一つのフィルタリングに影響するよう、画像ストリームタイミングに同期されたシャッタタイミングで動作可能なシャッタ眼鏡を含み、
それぞれ前記画像ストリームは、互いに独立な2D画像ストリームまたは3D画像ストリームを有し、
前記動作状態コントローラは、前記画像ストリームの投影中、少なくとも前記動作状態コントローラの一組に伝送されるセレクタ有効信号を前記動作状態コントローラから受信すると動作可能になり、
前記対話型シアタシステムはさらに、いつ視聴者が前記光学フィルタの動作を変更するかを制限するために、あるいは前記光学フィルタの動作状態を遠隔的に変更するために制御信号を送信するセレクタ有効モジュールを備え、前記光学フィルタのユーザである視聴者が前記画像ストリームを選択的に視ることを許容すべく前記光学フィルタの動作状態は、前記視聴者によって手動で切替可能に構成される、
対話型シアタシステム。
【請求項8】
前記セレクタ有効モジュールは、前記対話型シアタシステムによって提供される相互ゲーム中に前記画像ストリームのうちの一つを選択すべくチャネルを変更するようにユーザ入力を提供することを前記視聴者に許容すべく前記制御信号を送信するように構成されるか、あるいは、
前記セレクタ有効モジュールは、視聴された前記画像ストリームを変更すべく前記光学フィルタの動作状態を変更するために、一組の光学フィルタに遠隔チャネル変更信号を送信するように構成される、
請求項7記載の対話型シアタシステム。
【請求項9】
前記プロジェクタは、前記表示面の一箇所に前記画像ストリームを同時に表示するよう動作可能である、
請求項7記載の対話型シアタシステム。
【請求項10】
前記対話型シアタシステムは更に、前記光学フィルタに関係付けられた動作状態を切替えるために、前記動作状態コントローラの一群に状態選択信号を伝送するよう、前記画像ストリームの投影中に動作可能なシステムコントローラを含む、
請求項7記載の対話型シアタシステム。
【請求項11】
前記画像ストリームは、共通のストーリラインに関係付けられ、
前記画像ストリームのそれぞれは、前記画像ストリームのうちの他の画像ストリームとは異なるコンテンツを含み、前記画像ストリームの切替によって、前記視聴者は互いに異なるコンテンツを視聴できる、
請求項7記載の対話型シアタシステム。
【請求項12】
一つのディスプレイに同時に投影される一連の画像ストリームの一つを、選択的に視聴するためのストリーム視聴装置であって、これら画像ストリームは時分割された提供タイミングで提供され、前記ストリーム視聴装置は、
前記ディスプレイ上の前記画像ストリームの視聴を行うために動作する光学フィルタであって、前記光学フィルタは前記画像ストリームのうちの一つを当該光学フィルタのユーザに伝送するために動作し、前記光学フィルタはそれぞれ対応する画像ストリームを伝送させるように、それぞれの画像ストリームに対応するシャッタタイミングで動作することと;
前記光学フィルタに設けられるコントローラであって、前記コントローラは、前記画像ストリームのうち伝送された画像ストリームに関係付けられた動作状態を設定するよう動作することと;
ユーザが前記画像ストリームのそれぞれを選択的に視聴可能にするために複数の動作状態を切替えるよう、前記光学フィルタのユーザによって手動操作可能なチャネルセレクタと
を含み、
前記チャネルセレクタは、視聴者が視聴する画像ストリームを、視聴者による入力であるユーザ入力に基づきすることによって選択することも可能に構成され、
それぞれ前記画像ストリームは、互いに独立な2D画像ストリームまたは3D画像ストリームを有する、
ストリーム視聴装置。
【請求項13】
前記光学フィルタは、互いに異なる時分割されたタイミングのシャッタで独立して動作可能な一組のレンズを備えたシャッタ眼鏡を含む、
請求項12記載のストリーム視聴装置。
【請求項14】
前記動作状態は、シャッタタイミングにそれぞれ対応し、
前記シャッタタイミングはそれぞれ、前記チャネルセレクタによって選択される動作状態に基づき、同時に投影された画像ストリームのうちの一つの時分割タイミングに同期される、
請求項13記載のストリーム視聴装置。
【請求項15】
前記一連の画像ストリームは、一定期間、前記ディスプレイに投影され、
前記チャネルセレクタは、前記光学フィルタの動作状態を変更するために、前記一定期間はユーザによって操作可能である、
請求項12記載のストリーム視聴装置。
【請求項16】
前記チャネルセレクタは、前記画像ストリームのすべてではなく一つをフィルタリングするために、動作状態の設定、および前記光学フィルタを動作させる電力供給に用いるチャネル選択信号を供給するコントローラに接続される、
請求項12記載のストリーム視聴装置。
【請求項17】
前記チャネルセレクタは、コントロールシステムからチャネルセレクタ有効信号を受信すると動作可能になる、
請求項12記載のストリーム視聴装置。」
に補正するものである。

2 補正の適合性
本件補正は、特許請求の範囲についてする補正であるから、補正の目的について検討する。

(1)補正後の請求項1について
請求項1に係る補正は、
「視聴者が視聴する画像ストリームは、画像ストリームのストーリに対するゲストである視聴者のアクションが判定されることによって選択されることと、または視聴者による入力であるユーザ入力に基づき選択されることとの両方が可能である」を
「視聴者が視聴する画像ストリームは、視聴者による入力であるユーザ入力に基づき選択され、それぞれ前記画像ストリームは、互いに独立な2D画像ストリームまたは3D画像ストリームを有し、
前記動作状態改変工程は、前記光学フィルタの一組に関係付けられた視聴者からのユーザ入力に応じて行われ、前記光学フィルタは、前記視聴者のそれぞれが装着する被装着装置を含み、
前記ユーザ入力は、前記被装着装置に関連付けられた動作状態セレクタを操作することによって、前記動作状態を手動で切替える工程を含む」
にする補正である。
補正前の請求項1においては、「画像ストリーム」は、「視聴者のアクションが判定されることによって選択されることと、または視聴者による入力であるユーザ入力に基づき選択されることとの両方が可能である」のに対し、補正後の請求項1においては、「画像ストリーム」は、「視聴者による入力であるユーザ入力に基づき選択され」るものであり、画像ストリームの選択が、視聴者のアクションが判定されることによるものと、ユーザ入力に基づくものとの両方が可能であるものから、画像ストリームの選択が、ユーザ入力に基づくものになり、請求項に記載された事項を特定するために必要な事項を限定するものとは認められない。
また、請求項1に係る補正は、請求項の削除、誤記の訂正、明りょうでない記載の釈明とも認められない。
したがって、本件補正における請求項1に係る補正は、特許法第17条の2第5項に規定する要件を満たしていない。

(2)補正後の請求項2、3、5、6について
補正後の請求項2、3、5、6は、請求項の記載自体には補正がなく、補正後の請求項1を直接又は間接的に引用することにより補正されるものである。
請求項1に係る補正が、特許法第17条の2第5項に規定する要件を満たしていないことは上記(1)のとおりであるから、同じ理由で、本件補正における請求項2、3、5、6に係る補正は、特許法第17条の2第5項に規定する要件を満たしていない。

(3)補正後の請求項4について
補正後の請求項4に対応する補正前の請求項はない。
仮に、補正後の各請求項と補正前の各請求項の対応からみて、補正後の請求項4が補正前の請求項5に対応するとしても、補正後の請求項4は、
「前記光学フィルタは、視聴者と前記表示面との間に位置するスクリーンを含み、
前記ユーザ入力は、前記スクリーンに関連付けられた動作状態セレクタを操作することによって、前記動作状態を手動で切替える工程を含む」
ものであり、補正前の請求項5に記載された発明を特定するために必要な事項である「前記光学フィルタ」が「前記視聴者のそれぞれが装着する被装着装置を含(み)」むものから、「視聴者と前記表示面との間に位置するスクリーンを含(み)」むものに変更されており、発明を特定するために必要な事項を限定するものとは認められない。
したがって、請求項4に係る補正は、特許請求の範囲の減縮とは認められない。
また、請求項4に係る補正は、請求項の削除、誤記の訂正、明りょうでない記載の釈明とは認められない。
よって、本件補正における請求項4に係る補正は、特許法第17条の2第5項に規定する要件を満たしていない。

(4)補正後の請求項7について
請求項7に係る補正は、補正前の請求項8についての補正と認められ、
「前記動作状態コントローラは、視聴者が視聴する画像ストリームを、画像ストリームのストーリに対するゲストである視聴者のアクションを判定することによって選択することと、または視聴者による入力であるユーザ入力に基づき選択することとの両方を可能に構成されている」を
「前記動作状態コントローラは、視聴者が視聴する画像ストリームを、視聴者による入力であるユーザ入力に基づき選択するように構成され」
にする補正を含むものである。
補正前の請求項8においては、「動作状態コントローラは、視聴者が視聴する画像ストリームを、」「画像ストリームのストーリに対するゲストである視聴者のアクションを判定することによって選択することと、または視聴者による入力であるユーザ入力に基づき選択することとの両方を可能に構成されている」のに対し、補正後の請求項7においては、「前記動作状態コントローラは、視聴者が視聴する画像ストリームを、」「視聴者による入力であるユーザ入力に基づき選択するように構成され」るものであり、動作状態コントローラが、画像ストリームの選択を、視聴者のアクションを判定することによるものと、ユーザ入力に基づくものとの両方を可能に構成されているものから、ユーザ入力に基づき選択するように構成されるものになり、請求項に記載された事項を特定するために必要な事項を限定するものとは認められない。
また、請求項7に係る補正は、請求項の削除、誤記の訂正、明りょうでない記載の釈明とも認められない。
したがって、本件補正における請求項7に係る補正は、特許法第17条の2第5項に規定する要件を満たしていない。

(5)補正後の請求項8について
補正後の請求項8に対応する補正前の請求項はなく、請求項8に係る補正は、特許請求の範囲の減縮とは認められない。
また、請求項8に係る補正は、請求項の削除、誤記の訂正、明りょうでない記載の釈明とは認められない。
したがって、本件補正における請求項8に係る補正は、特許法第17条の2第5項に規定する要件を満たしていない。

(6)補正後の請求項9?11について
補正後の請求項9?11は、請求項の記載自体には補正がなく、補正後の請求項7を引用することにより補正されるものである。
請求項7に係る補正が、特許法第17条の2第5項に規定する要件を満たしていないことは上記(4)のとおりであるから、同じ理由で、本件補正における請求項9?11に係る補正は、特許法第17条の2第5項に規定する要件を満たしていない。

(7)補正後の請求項12について
請求項12に係る補正は、補正前の請求項15についての補正と認められ、
「前記チャネルセレクタは、視聴者が視聴する画像ストリームを、画像ストリームのストーリに対するゲストである視聴者のアクションを判定することによって選択することも可能に構成されている」を
「前記チャネルセレクタは、視聴者が視聴する画像ストリームを、視聴者による入力であるユーザ入力に基づきすることによって選択することも可能に構成され」
にする補正を含むものである。
補正前の請求項15及び補正後の請求項12においては、「ユーザが前記画像ストリームのそれぞれを選択的に視聴可能にするために複数の動作状態を切替えるよう、前記光学フィルタのユーザによって手動操作可能なチャネルセレクタ」を装置が含んでいる。さらに、補正前の請求項15においては、「前記チャネルセレクタは、視聴者が視聴する画像ストリームを、」「画像ストリームのストーリに対するゲストである視聴者のアクションを判定することによって選択することも可能に構成されている」のに対し、補正後の請求項12においては、「前記チャネルセレクタは、視聴者が視聴する画像ストリームを、」「画像ストリームのストーリに対するゲストである視聴者のアクションを判定することによって選択することも可能に構成されている」ものである。
そうすると、チャネルセレクタが、画像ストリームの選択を、視聴者のアクションを判定することによるものと、ユーザ入力に基づくものとの両方を可能に構成されているものから、ユーザ入力に基づく構成されるものになり、請求項に記載された事項を特定するために必要な事項を限定するものとは認められない。
また、請求項12に係る補正は、請求項の削除、誤記の訂正、明りょうでない記載の釈明とも認められない。
したがって、本件補正における請求項12に係る補正は、特許法第17条の2第5項に規定する要件を満たしていない。

(8)補正後の請求項13?17について
補正後の請求項13、15?17は、請求項の記載自体には補正がなく、補正後の請求項12を引用することにより補正されるものである。
請求項12に係る補正が、特許法第17条の2第5項に規定する要件を満たしていないことは上記(7)のとおりであるから、同じ理由で、本件補正における請求項13、15?17に係る補正は、特許法第17条の2第5項に規定する要件を満たしていない。
補正後の請求項14における補正後の請求項13を引用する部分以外の補正は、請求項に記載された事項を特定するために必要な事項を限定するものと認められる。
しかしながら、請求項13に係る補正が、特許法第17条の2第5項に規定する要件を満たしていないことは上記のとおりであるから、同じ理由で、本件補正における請求項14に係る補正は、特許法第17条の2第5項に規定する要件を満たしていない。

3 まとめ
以上のとおり、本件補正は、特許法第17条の2第5項に規定する要件を満たしていないので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。
よって、補正却下の決定の結論のとおり決定する。

第3 平成23年12月27日付け手続補正について
平成26年2月28日付けの手続補正は、上記のとおり却下されたので、平成23年12月27日付け手続補正について検討する。
平成23年12月27日付けでした手続補正(以下「本件補正2」という。)は、願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてしたものでないから、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしていない。
理由は以下のとおりである。

1 請求項1について
請求項1に記載された「視聴者が視聴する画像ストリームは、画像ストリームのストーリに対するゲストである視聴者のアクションが判定されることによって選択されることと、または視聴者による入力であるユーザ入力に基づき選択されることとの両方が可能である」ことは、願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項とは、認められない。
詳細は以下のとおりである。

願書に最初に添付した明細書(以下「当初明細書」という。)には、以下の記載がある。

〈課題を解決する手段〉
「場合によっては、ゲストがコントロールしたアクション、または視聴者による入力(「ユーザ入力」)によって、いつシャッタ眼鏡を互いに異なる動作状態に切替えるか、またいつ新しい動作状態に対応する互いに異なるビデオストリームを、眼鏡を装着した視聴者が視聴できるようにするかを判定してもよい。」(段落【0010】)
「本発明の一態様において、対話型シアタシステムが提供される。この対話型シアタシステムは、画面に「同時に」表示されている多数の画像ストリームのうち、視聴者が視聴する画像ストリームを、ゲスト制御によるアクションまたはユーザ入力に基づき判定する能力を備えている。」(段落【0011】)
「動作状態の改変は、光学フィルタの一組に関係付けられた視聴者からのユーザ入力(たとえば特定の画像ストリームの選択を判定するために、コントロールシステムがプロセスした視聴者の入力/アクション)に応じて行われてもよい。光学フィルタは、それぞれ視聴者が装着する装置であってもよい。ユーザ入力は、被装着装置に通信可能に接続された状態セレクタを操作することによって、動作状態を手動で切替える装着者/視聴者に関係付けられてもよい。」(段落【0013】)
「対話型シアタシステムは複数の光学フィルタを備えてもよく、この光学フィルタは、表示された複数のビデオストリームを視聴者が視聴できるように、複数の互いに異なる動作状態またはチャネルが選択されるように操作可能である。光学フィルタの動作状態は、視聴者によって制御または変更されてもよい。視聴者とはたとえばフィルタの動作状態を変更するために、ボタンの押下によって、またはフィルタ上もしくはフィルタコントローラに連通したセレクタ上の選択機構によって、或る種の「ユーザ入力」を行うユーザである(選択機構とはたとえばディスプレイ上の互いに異なる画像ストリームとの同期をとる場合に、シャッタ速度の変更によってチャネルを変更するためにユーザが操作可能なチャネルセレクタを備えたシャッタ眼鏡である)。動作状態の変更は、たとえばユーザのアクション/動きの感知によって、またはユーザによって遠隔的に行われる場合もある。」(段落【0016】)
「切替はオペレータが手動で行ってもよく、またはユーザ入力/アクション(たとえば視聴者が座席の左もしくは右に傾くなどの動作をいつ行うかの判定)に基づき、自動的に行われてもよい。本明細書において「ユーザ入力」とは、プロセス可能なアクション、またはさまざまな画像ストリームを選択するために使用可能なアクション(たとえば有形のアクションもしくはスピーチなど)のうち、任意のアクションをいう。」(段落【0017】)

〈発明を実施するための形態〉
「本明細書においてこれらのストリームは、表示画面(表示装置)116に「同時に」表示され、裏面117と、前面としての視聴面119とは、複数の視聴者またはオーディエンスに晒されている。これらの画像ストリーム114は同時と見なされ、視聴者がストリームを切替えたとき、速度または周波数について認知可能な遅れはまったくないか、またはほとんどないものとする。」(段落【0019】)
「セレクタ有効モジュール130は、たとえば画像ストリーム114の一つを選択するためにチャネルを変更する場合、視聴者のユーザ入力が可能になるよう、対話型シアタシステム100が提供する対話型ゲームの間に制御信号134を生成してもよい。」(段落【0020】)
「眼鏡シャッタコントローラ142は、チャネルセレクタ144からのチャネル選択信号148に応じて動作する。チャネルセレクタ144は、有線または無線で通信可能に眼鏡シャッタコントローラ142に接続されてもよい。チャネルセレクタ144は、(たとえばユーザ入力146のプロセス/解釈、またはコントロールプログラムなどに基づき)セレクタ有効モジュール130からの制御信号134によって遠隔操作可能であってもよい。並びに/または、直接ユーザ入力146に基づいてもよい(たとえば眼鏡140を装着する視聴者は、チャネルセレクタ144のボタンを押してチャネルまたは視聴する画像ストリーム114を選択してもよい)。図1に示すとおり、眼鏡140は3個の互いに異なる動作状態にあり、眼鏡を装着する視聴者は3個の画像ストリームを同時に視聴できる。また上記のとおり、表示のイベントまたはアクティビティの間に画像ストリームを変更するために、プロジェクタ110の動作時にチャネルセレクタを操作する。これによって対話型ゲームの効果を奏し、物語に対応し、および/または視聴者参加による他の所望の効果を奏することができる。」(段落【0021】)
「先にも述べたが、この切替はユーザ入力(チャネルセレクタの直接操作、またはユーザ入力の判定やチャネルセレクタの操作を行うコントロールシステムなどを用いた一層間接的な操作)に応じてもよい。・・・たとえば動作モード240において、(少なくとも一つの)所定ユーザ入力を行うことによって、視聴者は4個の標準画像ストリームから選択できる。あるいは動作モード230において、1個の3D画像ストリームと2個の2D画像ストリームとを切替える場合、コントロールシステムの操作は、保存された切替プログラム/切替タイミングを用いるように、および/またはユーザ入力(視聴者の動作または声による命令)をプロセスするように行われてもよい。」(段落【0025】)
「一実施形態において、ユーザ入力358は、視聴者の座席での姿勢(左または右への傾き)に関係する。ユーザ入力プロセッサ329は、傾斜方向を判定し、それに応じて画像ストリーム114のうち対応する一つの画像ストリームを選択するために、動作状態352を選択する。」(段落【0028】)
「これらのセレクタ制御信号342が一連の動作状態セレクタ356に送信されると、関連付けられた視聴者は、動作状態352を選択するために(たとえばチャネルの選択によって、同時に表示される画像ストリーム114のうち互いに異なる画像ストリームを視聴するために)、ユーザ入力358を行ってもよい。その他、ゲーム/ショールーチン332は、ストリーム伝送中の特定の時間(対話型システムコントローラ320から制御信号338が送信されている時)、ユーザ入力358をプロセスしてセレクタ制御信号342を送信してもよい。たとえば特定の結果を望むときは左へ傾斜する、あるいは他の効果を得たいときは大声で叫ぶなど、画像ストリーム114のコンテンツによって視聴者の相互作用が求められる。ユーザ入力プロセッサ329は、このような入力をプロセスしてもよく、それに応じてまたはそのプロセスに基づき、特定の画像ストリームを選択し、対応するセレクタ制御信号342を送信してもよい。」(段落【0029】)
「上記のとおり、本発明の実施形態によって解決される問題は、多数の人々にグループ対話的体験およびゲームを一層よく提供する方法である。視聴者が聞いてほしい、または扱ってほしい願いをかなえ、まるで自分の入力が重大な意味をもつかのように個人的に感じさせる方法でグループに対話的体験をさせることが特に難しいことは、これまでに明らかになっている。」(段落【0030】)
「LCDシャッタ眼鏡430は、眼鏡フレームにシャッタコントローラ432を備える。この眼鏡フレームは、一つの画像ストリーム(または画像表示チャネル)に同期された周波数でLCDシャッタ眼鏡430のシャッタ開閉を行うように動作する。チャネルセレクタ/コントローラ440は、シャッタ速度または表示チャネルのユーザ選択を可能にするボタン/スイッチ/ノブ442が設けられた視聴者の座席において手動で操作されてもよく、または当該座席に搭載されてもよい。その他、チャネルセレクタ/コントローラ440は、眼鏡フレームに設けられ、たとえばシャッタコントローラ432の一部として備え付けられる。」(段落【0032】)
「宇宙人侵入についての対話型ゲームの場合、視聴者全員が最初に共通の画像(たとえば図5において画像ストリーム510に示されるスペース512の地球表示)を視聴する。これは、視聴者全員に、第1チャネル(または第1共通チャネル)の眼鏡を装着させた場合に視聴される。その後視聴者は、互いに異なる画像ストリームを視聴するために、(たとえばコントロールシステムから供給されるチャネル選択有効信号を用いて)眼鏡のチャネルを切替えることができる。この時視聴者は、通常ゲーム中の特定の時間に、互いに異なる画像ストリーム510,520,530,540,550のうち複数の画像ストリーム(または画像ストリームの表示、または表示のイベントもしくはアクティビティ)を視聴してもよい。たとえば視聴者は、図5の530の表示に変更させるために、ユーザ入力を行ってもよい(たとえば眼鏡、座席の肘掛、または視聴者自身の座席前面または座席背面に存在するチャネル変更ボタンを押す)。」(段落【0035】)
「ユーザ入力は本発明を実施するためにさまざまな形態で行われてもよく、たとえば単にチャネル選択装置のボタンを押すことによって、または特定の方法で移動させることによって行われる。」(段落【0037】)
「このタイムマシン効果とは、互いに異なる画像ストリームを選択するために単にユーザ入力を行うことによって、視聴者が時間的に旅して過去、未来、または代わりになる時系線/次元のシーンを視聴するものである。同一のシーンまたは表示の変更は、子供、10代、成人など、一つのショー/シーンの互いに異なるバージョンを供給するために行ってもよい。通常、ストリームのこのような切替または分岐は、コントロールシステムによって制限または制御されてもよい。あるいは表示されるコンテンツを制御するために、「若年者」と格付けされたバージョンを見ることはできるが「年長者」のバージョンは見ることができない場合もある(たとえば子供などに暴力シーンを見せるのを防ぐため)。ストーリラインの特定の分岐点においてのみ使用される格付けシステムによって、ショーの或る部分またはシーンは視聴者全員に同じものであってもよい(たとえば第1シーンは視聴者全員に同じもの、第2シーンは年齢、またはバージョンのユーザ入力/ユーザ選択に基づき視聴者に互いに異なるもの、第3シーンは再び視聴者全員に同じものであってもよい)。」(段落【0039】)
「ディプレイに複数の画像ストリーム/データストリームを同時に表示し、眼鏡/フィルタにおいてオンデマンドの切替を行うことによって、分岐するストーリをユーザが制御できる。」(段落【0040】)
「たとえば美術館のシーン(または美術館の画像)は、視聴者が興味のある部分/表示物についての補足情報を選択したい場合や、そのような表示物または展示物についての補足的な詳細情報または「機密」情報を含む互いに異なる画像ストリームを視聴したい場合に表示されてもよい(たとえば或る視聴者は古代エジプトに非常に興味があり、他の視聴者は恐竜を楽しみたい時、各々がビデオストリームまたは画像ストリームのユーザ入力/ユーザ選択を行うことによって、個人に合わせた体験が得られる)。」(段落【0041】)
「対話型ゲームにおいてシーンの変更は、画像ストリームを切替えることによって表示されたシーンへ大幅に変更および/または転換するために行われたゲストのアクションに基づいて行われてもよい。たとえば視聴者は夏から冬へシーンを換えるスペリングを入力してもよい。ユーザ入力は、制御装置(たとえばほぼどんな電子装置も可)、ユーザの動きを判定するハンドヘルドコントローラ、視聴者の座席に対する動きを判定する装置などを使用することによって、多くの形態で行われてもよい。」(段落【0043】)
「たとえば視聴者の全員が同様の指示を受けるが、ユーザ入力/ユーザ選択に基づき、および/またはコントローラシステムの操作による任意または指示の画像ストリームの切替に基づき、互いに異なる結果が得られてもよい(たとえばシステムは結果を強要でき、且つ同時に表示/提示された画像ストリームのうち特定の画像ストリームを受信/視聴するために、特定の個人の視聴者または視聴者群を選択できる)。」(段落【0044】)

段落【0017】には、「本明細書において「ユーザ入力」とは、プロセス可能なアクション、またはさまざまな画像ストリームを選択するために使用可能なアクション(たとえば有形のアクションもしくはスピーチなど)のうち、任意のアクションをいう。」と記載されており、この記載は「ユーザ入力」の定義と認められ、「ユーザ入力」は、画像ストリームを選択するためのアクションであると認められる。
また、段落【0017】には、「切替はオペレータが手動で行ってもよく、またはユーザ入力/アクション(たとえば視聴者が座席の左もしくは右に傾くなどの動作をいつ行うかの判定)に基づき、自動的に行われてもよい。」と記載されており、「切替」が「ユーザ入力/アクション」「に基づき」「行われ」るから、「切替」において、「ユーザ入力」と「アクション」とが全く異なるものではなく、同等のものとして記載されていると認められる。

他の記載をみても、「ユーザ入力」と「アクション」とが全く異なるものではなく、同等のものとして記載されていると認められる。また、「ユーザ入力」として「セレクタの操作」があることが記載されている(段落【0013】、【0016】、【0025】等)。
以下に、上記当初明細書の記載を「ユーザ入力」「アクション」「セレクタ」を中心に摘記すると次のとおりである。

「・・・ゲストがコントロールしたアクション、または視聴者による入力(「ユーザ入力」)によって、いつシャッタ眼鏡を互いに異なる動作状態に切替えるか、・・・」(段落【0010】)
「・・・視聴者が視聴する画像ストリームを、ゲスト制御によるアクションまたはユーザ入力に基づき判定する能力を備えている。」(段落【0011】)
「動作状態の改変は、・・・視聴者からのユーザ入力(たとえば・・・視聴者の入力/アクション)に応じて行われてもよい。・・・ユーザ入力は、・・・状態セレクタを操作することによって、動作状態を手動で切替える装着者/視聴者に関係付けられてもよい。」(段落【0013】)
「・・・視聴者とはたとえばフィルタの動作状態を変更するために、ボタンの押下によって、またはフィルタ上もしくはフィルタコントローラに連通したセレクタ上の選択機構によって、或る種の「ユーザ入力」を行うユーザである・・・。動作状態の変更は、たとえばユーザのアクション/動きの感知によって、またはユーザによって遠隔的に行われる場合もある。」(段落【0016】)
「切替は・・・ユーザ入力/アクション(たとえば視聴者が座席の左もしくは右に傾くなどの動作をいつ行うかの判定)に基づき、自動的に行われてもよい。本明細書において「ユーザ入力」とは、プロセス可能なアクション、またはさまざまな画像ストリームを選択するために使用可能なアクション(たとえば有形のアクションもしくはスピーチなど)のうち、任意のアクションをいう。」(段落【0017】)
「・・・画像ストリーム114の一つを選択するためにチャネルを変更する場合、視聴者のユーザ入力が可能になるよう、・・・」(段落【0020】)
「・・・チャネルセレクタ144は、(たとえばユーザ入力146のプロセス/解釈・・・などに基づき)セレクタ有効モジュール130からの制御信号134によって遠隔操作可能であってもよい。並びに/または、直接ユーザ入力146に基づいてもよい(たとえば眼鏡140を装着する視聴者は、チャネルセレクタ144のボタンを押してチャネルまたは視聴する画像ストリーム114を選択してもよい)。・・・」(段落【0021】)
「・・・この切替はユーザ入力(チャネルセレクタの直接操作、またはユーザ入力の判定やチャネルセレクタの操作を行うコントロールシステムなどを用いた一層間接的な操作)に応じてもよい。・・・ユーザ入力(視聴者の動作または声による命令)をプロセスするように行われてもよい。」(段落【0025】)
「・・・ユーザ入力358は、視聴者の座席での姿勢(左または右への傾き)に関係する。・・・」(段落【0028】)
「・・・関連付けられた視聴者は、動作状態352を選択するために(たとえばチャネルの選択によって、同時に表示される画像ストリーム114のうち互いに異なる画像ストリームを視聴するために)、ユーザ入力358を行ってもよい。・・・ユーザ入力358をプロセスしてセレクタ制御信号342を送信してもよい。たとえば特定の結果を望むときは左へ傾斜する、あるいは他の効果を得たいときは大声で叫ぶなど、・・・」(段落【0029】)
「・・・チャネルセレクタ/コントローラ440は、シャッタ速度または表示チャネルのユーザ選択を可能にするボタン/スイッチ/ノブ442が設けられた視聴者の座席において手動で操作されてもよく、または当該座席に搭載されてもよい。・・・」(段落【0032】)
「・・・視聴者は、図5の530の表示に変更させるために、ユーザ入力を行ってもよい(たとえば眼鏡、座席の肘掛、または視聴者自身の座席前面または座席背面に存在するチャネル変更ボタンを押す)。」(段落【0035】)
「ユーザ入力は本発明を実施するためにさまざまな形態で行われてもよく、たとえば単にチャネル選択装置のボタンを押すことによって、または特定の方法で移動させることによって行われる。」(段落【0037】)

以上のとおり、当初明細書の記載によると、「ユーザ入力」は、画像ストリームを選択するためのアクションであると認められ、「ユーザ入力」として「セレクタの操作」があると認められる。そして、「切替」が「ユーザ入力/アクション」「に基づき」「行われ」るから、「切替」において、「ユーザ入力」と「アクション」とが全く異なるものではなく、同等のものとして記載されていると認められる。

一方、請求項1に記載された発明(以下「本願発明1」という。)は、「視聴者が視聴する画像ストリームは、画像ストリームのストーリに対するゲストである視聴者のアクションが判定されることによって選択されることと、または視聴者による入力であるユーザ入力に基づき選択されることとの両方が可能である」ものである。
「視聴者による入力であるユーザ入力に基づき選択されること」が当初明細書に記載されていることは、上記のとおりである。
本願発明1における「視聴者が視聴する画像ストリームは、画像ストリームのストーリに対するゲストである視聴者のアクションが判定されることによって選択されること」は、「視聴者による入力であるユーザ入力に基づき選択されること」と両方が可能であるから、「視聴者による入力であるユーザ入力に基づき選択されること」とは、別のものであると認められる。当初明細書に記載された事項は、「ユーザ入力」として、「アクション」や「セレクタの操作」があり、「ユーザ入力」と「アクション」が同等のものであることであり、「視聴者が視聴する画像ストリームは、画像ストリームのストーリに対するゲストである視聴者のアクションが判定されることによって選択されることと、または視聴者による入力であるユーザ入力に基づき選択されることとの両方が可能である」ことは開示されていない。
また、願書に最初に添付した特許請求の範囲、図面をみても、「視聴者が視聴する画像ストリームは、画像ストリームのストーリに対するゲストである視聴者のアクションが判定されることによって選択されることと、または視聴者による入力であるユーザ入力に基づき選択されることとの両方が可能である」ことは開示されてない。
そして、「視聴者が視聴する画像ストリームは、画像ストリームのストーリに対するゲストである視聴者のアクションが判定されることによって選択されることと、または視聴者による入力であるユーザ入力に基づき選択されることとの両方が可能である」ことが自明なこととは認められない。
したがって、本件補正2における請求項1の記載は、願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてするものではない。

2 請求項2?7について
請求項2?7は、請求項1を直接又は間接的に引用するものであるから、本件補正2における請求項2?7の記載は、上記1の「請求項1について」と同じ理由で、願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてするものではない。

3 請求項8について
請求項8に記載された「視聴者が視聴する画像ストリームを、画像ストリームのストーリに対するゲストである視聴者のアクションを判定することによって選択することと、または視聴者による入力であるユーザ入力に基づき選択することとの両方を可能に」することは、請求項1に記載された「視聴者が視聴する画像ストリームは、画像ストリームのストーリに対するゲストである視聴者のアクションが判定されることによって選択されることと、または視聴者による入力であるユーザ入力に基づき選択されることとの両方が可能である」ことと同じである。
したがって、本件補正2における請求項8の記載は、上記1の「請求項1について」と同じ理由で、願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてするものではない。

4 請求項9?14について
請求項9?14は、請求項8を直接又は間接的に引用するものであるから、本件補正2における請求項9?14の記載は、上記3の「請求項8について」と同じ理由で、願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてするものではない。

5 請求項15について
請求項15は、
「ユーザが前記画像ストリームのそれぞれを選択的に視聴可能にするために複数の動作状態を切替えるよう、前記光学フィルタのユーザによって手動操作可能なチャネルセレクタと
を含み、
前記チャネルセレクタは、視聴者が視聴する画像ストリームを、画像ストリームのストーリに対するゲストである視聴者のアクションを判定することによって選択することも可能に構成されている」と記載されている。
請求項15に記載された「チャネルセレクタ」は、「ユーザが前記画像ストリームのそれぞれを選択的に視聴可能にするために複数の動作状態を切替えるよう、前記光学フィルタのユーザによって手動操作可能」であり、「視聴者が視聴する画像ストリームを、画像ストリームのストーリに対するゲストである視聴者のアクションを判定することによって選択することも可能に」構成されているものであり、「チャネルセレクタ」の動作は、請求項1に記載された「視聴者が視聴する画像ストリームは、画像ストリームのストーリに対するゲストである視聴者のアクションが判定されることによって選択されることと、または視聴者による入力であるユーザ入力に基づき選択されることとの両方が可能である」ことと同じであると認められる。
したがって、本件補正2における請求項15の記載は、上記1の「請求項1について」と同じ理由で、願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてするものではない。

6 請求項16?20について
請求項16?20は、請求項15を直接又は間接的に引用するものであるから、本件補正2における請求項16?20の記載は、上記5の「請求項15について」と同じ理由で、願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてするものではない。

7 むすび
以上のとおり、平成23年12月27日付けでした手続補正は、願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてしたものでないから、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしていない。
したがって、本願は拒絶されるべきものである。

よって、結論のように審決する。
 
審理終結日 2014-03-26 
結審通知日 2014-04-01 
審決日 2014-04-14 
出願番号 特願2009-197090(P2009-197090)
審決分類 P 1 8・ 57- WZ (H04N)
P 1 8・ 561- WZ (H04N)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 伊東 和重  
特許庁審判長 渡邊 聡
特許庁審判官 渡辺 努
小池 正彦
発明の名称 ストリーム提供方法、視聴者参加による対話型シアタシステム、およびストリーム視聴装置  
代理人 恩田 誠  
代理人 本田 淳  
代理人 恩田 博宣  

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