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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 H02K
管理番号 1292097
審判番号 不服2013-25057  
総通号数 179 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2014-11-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2013-12-20 
確定日 2014-10-07 
事件の表示 特願2011-541772「車両用交流発電機のレギュレータ」拒絶査定不服審判事件〔平成23年 5月26日国際公開、WO2011/061852、請求項の数(7)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 1.手続の経緯
本願は、平成21年11月20日を国際出願日とする出願であって、平成25年5月23日付で拒絶の理由が通知され(発送日:平成25年5月28日)、これに対し、平成25年7月17日付で意見書が提出されたが、平成25年10月1日付で拒絶査定がなされ(発送日:平成25年10月8日)、これに対し、平成25年12月20日に拒絶査定不服審判の請求がなされると共に手続補正書が提出されたものである。


2.本願発明
本願の請求項1-7に係る発明は、平成25年12月20日付手続補正書の特許請求の範囲の請求項1-7に記載された事項により特定される以下のとおりのものである(以下、請求項1記載の発明を「本願発明1」、請求項3記載の発明を「本願発明2」という。)。

「【請求項1】
電圧制御回路を構成するICチップ部および外部回路との接続端子が一体成形されたモールドパッケージタイプのICレギュレータと、このICレギュレータを搭載するICレギュレータ搭載部を有するレギュレータホルダから構成される車両用交流発電機のレギュレータであって、前記ICレギュレータ搭載部の内壁面と前記ICレギュレータの外壁面との間に、圧入式の嵌め合い構造を設け、前記嵌め合い構造は、前記ICレギュレータ搭載部の内壁の少なくとも一面以上に形成された凸形状の突起によって構成されることを特徴とする車両用交流発電機のレギュレータ。
【請求項2】
前記嵌め合い構造は、前記ICレギュレータ搭載部の内壁一面において、少なくとも1ヵ所以上に形成された凸形状の突起によって構成されることを特徴とする請求項1に記載の車両用交流発電機のレギュレータ。
【請求項3】
電圧制御回路を構成するICチップ部および外部回路との接続端子が一体成形されたモールドパッケージタイプのICレギュレータと、このICレギュレータを搭載するICレギュレータ搭載部を有するレギュレータホルダから構成される車両用交流発電機のレギュレータであって、前記ICレギュレータ搭載部の内壁面と前記ICレギュレータの外壁面との間に、圧入式の嵌め合い構造を設け、前記嵌め合い構造は、前記ICレギュレータの外壁の少なくとも一面以上に形成された凸形状の突起によって構成されることを特徴とする車両用交流発電機のレギュレータ。
【請求項4】
前記嵌め合い構造は、前記ICレギュレータの外壁一面において、少なくとも1ヶ所以上に形成された凸形状の突起によって構成されることを特徴とする請求項3に記載の車両用交流発電機のレギュレータ。
【請求項5】
前記ICレギュレータ搭載部の内壁、もしくは前記ICレギュレータの外壁に形成された突起の形状が、実質的に円弧形状、もしくは多角形形状の断面を有することを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の車両用交流発電機のレギュレータ。
【請求項6】
前記嵌め合い構造は、ICレギュレータの厚みに対して少なくとも4分の1以上の嵌め合い範囲を確保していることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の車両用交流発電機のレギュレータ。
【請求項7】
前記ICレギュレータ搭載部の内壁に形成された凸形状の突起が、前記ICレギュレータ組み付け時の誘い込み形状を有することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の車両用交流発電機のレギュレータ。」

平成25年12月20日付手続補正書による上記補正は、実施例のうち図4、5、8に対応するものを削除するために、補正前の請求項2、3、8を削除し、補正前の請求項1を引用する補正前の請求項4を補正後の請求項1として、補正前の請求項1の記載のうち図4、5、8に対応するものを削除し、且つ、補正前の請求項1を引用する補正前の請求項6を補正後の請求項3として、補正前の請求項1の記載のうち図4、5、8に対応するものを削除するものであって、これに伴い、補正前の請求項5、7、9-11をそれぞれ補正後の請求項2、4、5-7に繰り上げる補正であるから、特許請求の範囲の補正については請求項を削除するものであり、特許法第17条の2第5項第1号第36条第5項に規定する請求項の削除を目的とするものに該当する。


3.原査定の理由の概要
平成25年5月23日付の拒絶の理由の概要は以下のとおりである。
「A.この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。」、「B.この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。」として、刊行物として引用例1を挙げて(引用例1は特開2004-248354号公報)、請求項1、2、8が理由A又はBに該当し(なお、これらの請求項1、2、8は平成25年12月20日付手続補正により削除された。)、請求項3-7、9-11が理由Bに該当するとしている。


4.当審の判断
(1)引用例
原査定の拒絶の理由で引用した引用例1(特開2004-248354号公報)には、図面と共に以下の事項が記載されている。

a「車両用交流発電機の発電制御装置であるレギュレータは、高信頼性および小型化のためIC化されて内蔵されたICレギュレータが一般的になっている。このICレギュレータは、開発された当初は、車両用交流発電機の出力電圧が所定値になるように、回転子の界磁巻線に流す電流を制御して界磁極の起磁力を調整する機能が主なものであった。しかし、最近では、燃費向上やドライバビリティ向上などを目的として、車両情報を車載コンピュータなどから取り込んで各種の発電制御を行う機能がICレギュレータに求められている。例えば、アイドル回転時において電気負荷をオンした際に急激な駆動トルク上昇を抑えるように徐々に発電量を増やす徐励制御機能や、車両の減速時に調整電圧を上げて強制的に発電を行って運動エネルギーを電気エネルギーに変換してエネルギー回生を行う回生制御機能などが求められている。ICレギュレータに求められるこれら各種の機能は、車両の種類等によって異なっているため、最近ではICレギュレータの種類も増えつつあり、車両側の外部回路との間で電気信号の授受を行う端子の数が異なるのはもちろんのこと、これらの端子の向きや端子を保護しているコネクタ形状、配置も様々なものが設定されている(例えば、特許文献1および特許文献2参照。)。
一方、ICレギュレータ本体は、外部回路から電気信号を取り込む端子やコネクタと、制御対象となる車両用交流発電機本体との間の電気接続を行う端子(例えば、界磁巻線に接続されるブラシの端子や、フレーム接地用の端子など)とを一体モールドしたレギュレータケースに対して、電気的かつ機械的に固定される。
図8および図9は、このような従来のICレギュレータの構造を示す斜視図である。図8には、回転子の回転軸に対し直角方向(径方向)に延びた外部接続端子とコネクタを持つレギュレータケースと、ICレギュレータ本体との組み付け状態が示されている。また、図9には、回転軸に沿った方向に延びた外部接続端子とコネクタを持つレギュレータケースと、ICレギュレータ本体との組み付け状態が示されている。いずれのタイプのICレギュレータも、レギュレータケースに設けられた突起をICレギュレータ本体の穴に係合させて位置決めを行い、機械的な固定を図るとともに、レギュレータケースとICレギュレータ本体のそれぞれに設けられた端子同士の接合を行っている。」(【0002】-【0004】)

上記記載及び図面を参照すれば、ICレギュレータはIC化されて内蔵されているから、ICチップ部を有している。
上記記載及び図面を参照すれば、ICチップ部および外部回路との端子が一体成形されたICレギュレータ本体が示されている。
上記記載及び図面を参照すれば、レギュレータケ-スはICレギュレータ本体搭載部を有するレギュレータホルダから構成されている。
上記記載及び図面を参照すれば、レギュレータケ-スのICレギュレータ本体搭載部の平面の突起とICレギュレータ本体の平面の穴で係合位置決めを行っている。

上記記載事項からみて、引用例1には、
「発電制御装置を構成するICチップ部および外部回路との端子が一体成形されたICレギュレータ本体と、このICレギュレータ本体を組み付けられるICレギュレータ本体搭載部を有するレギュレータホルダから構成される車両用交流発電機のレギュレータであって、前記ICレギュレータ本体搭載部の平面と前記ICレギュレータ本体の平面との間に、係合位置決め構造を有し、前記係合位置決め構造は、前記ICレギュレータ本体搭載部の平面の突起によって構成される車両用交流発電機のレギュレータ。」
との発明(以下、「引用発明」という。)が記載されている。


(2)対比
本願発明1と引用発明とを対比すると、引用発明の「発電制御装置」、「端子」、「ICレギュレータ本体」、「組み付けられる」、「ICレギュレータ本体搭載部」、「係合位置決め構造」は、それぞれ本願発明1の「電圧制御回路」、「接続端子」、「ICレギュレータ」、「搭載する」、「ICレギュレータ搭載部」、「嵌め合い構造」に相当する。

引用発明の「前記ICレギュレータ本体搭載部の平面と前記ICレギュレータ本体の平面との間に、係合位置決め構造を有し」と、本願発明1の「前記ICレギュレータ搭載部の内壁面と前記ICレギュレータの外壁面との間に、圧入式の嵌め合い構造を設け」は、「前記ICレギュレータ搭載部と前記ICレギュレータとの間に、嵌め合い構造を設け」との概念で一致する。
引用発明の「平面の突起」は、「少なくとも一面以上に形成された凸形状の突起」であるから、引用発明の「前記ICレギュレータ本体搭載部の平面の突起によって構成される」と、本願発明1の「前記ICレギュレータ搭載部の内壁の少なくとも一面以上に形成された凸形状の突起によって構成される」は、「前記ICレギュレータ搭載部の少なくとも一面以上に形成された凸形状の突起によって構成される」との概念で一致する。

したがって、両者は、
「電圧制御回路を構成するICチップ部および外部回路との接続端子が一体成形されたICレギュレータと、このICレギュレータを搭載するICレギュレータ搭載部を有するレギュレータホルダから構成される車両用交流発電機のレギュレータであって、前記ICレギュレータ搭載部と前記ICレギュレータとの間に、嵌め合い構造を設け、前記嵌め合い構造は、前記ICレギュレータ搭載部の少なくとも一面以上に形成された凸形状の突起によって構成される車両用交流発電機のレギュレータ。」
の点で一致し、以下の点で相違している。

〔相違点1〕
ICレギュレータに関し、本願発明1は、一体成形されたモールドパッケージタイプであるのに対し、引用発明は、一体成形されてはいるがモールドパッケージタイプであるか不明な点。
〔相違点2〕
ICレギュレータ搭載部とICレギュレータとの間の嵌め合い構造に関し、本願発明1は、ICレギュレータ搭載部の内壁面とICレギュレータの外壁面との間の圧入式の嵌め合い構造であって、ICレギュレータ搭載部の内壁の少なくとも一面以上に形成された凸形状の突起によって構成されるのに対し、引用発明は、ICレギュレータ搭載部の平面とICレギュレータの平面との間の嵌め合い構造であって、ICレギュレータ搭載部の平面の突起によって構成され、圧入式であるか不明な点。


(3)判断
相違点1について
ICレギュレータを一体成形されたモールドパッケージタイプとすることは車両用交流発電機の分野において周知の事項(必要があれば特開2001-298907号公報【0033】参照)であるから、引用発明において、一体成形されたICレギュレータをモールドパッケージタイプとすることは当業者が適宜なし得ることと認められる。

相違点2について
一般に、嵌め合い構造を圧入式として、結合をより強固にすることは、例えば特開2006-267128号公報(【0040】参照)にもみられるように周知の事項であるから、引用発明において、嵌め合い構造を圧入式とすること自体は、当業者が適宜なし得ることと認められる。
しかし、引用発明は、ICレギュレータ搭載部の平面の突起とICレギュレータの平面との間で嵌め合いを行うものの、ICレギュレータ搭載部の内壁面とICレギュレータの外壁面との間で嵌め合いを行い、ICレギュレータ搭載部の内壁の少なくとも一面以上に形成された凸形状の突起によって構成される嵌め合い構造を有していない。ちなみに、ICレギュレータ搭載部の内壁面とICレギュレータの外壁面との間で嵌め合いを行い、ICレギュレータ搭載部の内壁の少なくとも一面以上に形成された凸形状の突起によって構成される嵌め合い構造を記載する文献は発見されない。
これに対し、本願発明1は、ICレギュレータ搭載部の内壁面とICレギュレータの外壁面との間で嵌め合いを行い、ICレギュレータ搭載部の内壁の少なくとも一面以上に形成された凸形状の突起によって構成される嵌め合い構造により、本願【0008】に記載のように、「圧入工程のみで高精度な位置決め及び機械的固定が可能となり、ICレギュレータ組み付けの信頼性及び生産性の向上を図ることができる。また、ICレギュレータ及びICレギュレータ搭載部の取付平面サイズを拡大することなく、取付平面サイズを最小限に留めることができ、ICレギュレータ取り付け面の省スペース化によるコストダウンを図ることが可能となる。」という格別優れた作用効果を奏するものである(審判請求書「【本願発明が特許されるべき理由】(1)本願発明の説明(イ)」参照)。
そうであれば、引用発明において、ICレギュレータ搭載部の平面の突起とICレギュレータの平面との間で嵌め合いを行っていたものを、ICレギュレータ搭載部の内壁面とICレギュレータの外壁面との間で嵌め合いを行い、ICレギュレータ搭載部の内壁の少なくとも一面以上に形成された凸形状の突起によって構成される嵌め合い構造とすることは、当業者が容易に考えられたものとすることはできない。

また、本願発明2も、本願発明1と同様に、「前記ICレギュレータ搭載部の内壁面と前記ICレギュレータの外壁面との間に、圧入式の嵌め合い構造を設け」との構成を有し、「前記嵌め合い構造は、前記ICレギュレータの外壁の少なくとも一面以上に形成された凸形状の突起によって構成され」ているから、本願発明1と同様の理由により、引用発明から当業者が容易に考えられたものとすることはできない。

したがって、本願発明1、本願発明2は、引用発明と実質的に相違するのであるから、特許法第29条第1項第3号の規定に該当するものではなく、また引用発明に基づいて当業者が容易に発明することができたものとすることはできないから、特許法第29条第2項の規定に該当するものでもない。本願発明1または本願発明2の発明特定事項を全て含む請求項2、4?7に係る発明についても、同様である。


5.むすび
以上のとおり、本願については、原査定の拒絶理由を検討してもその理由によって拒絶すべきものとすることはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2014-09-19 
出願番号 特願2011-541772(P2011-541772)
審決分類 P 1 8・ 121- WY (H02K)
最終処分 成立  
前審関与審査官 安食 泰秀  
特許庁審判長 新海 岳
特許庁審判官 矢島 伸一
堀川 一郎
発明の名称 車両用交流発電機のレギュレータ  
代理人 大岩 増雄  
代理人 吉澤 憲治  
代理人 村上 啓吾  
代理人 竹中 岑生  
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