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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G06Q
管理番号 1292571
審判番号 不服2013-14251  
総通号数 179 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2014-11-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2013-07-25 
確定日 2014-10-08 
事件の表示 特願2008-234258「生産エネルギー監視制御システム」拒絶査定不服審判事件〔平成22年 3月25日出願公開、特開2010- 67113〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本願は,平成20年9月12日の出願であって,平成24年10月9日付けの拒絶理由通知に対して同年12月11日付けで手続補正がなされたが,平成25年6月7日付けで拒絶査定がなされ,これに対して平成25年7月25日に拒絶査定不服審判の請求がなされるとともに手続補正がなされ,さらに平成25年11月20日付けの審尋に対して平成26年1月7日付けで回答書が提出されたものである。

2.本願発明
平成25年7月25日付けの手続補正は,補正前の請求項1を削除して,補正前の請求項2を補正後の請求項1とするものであり,「請求項の削除」を目的とするものに該当すると認められるので,特許法第17条の2第5項第1号に掲げられた事項を目的とするものに該当し,適法になされたものである。
したがって,本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は,平成25年7月25日付けの手続補正書の特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される次のとおりのものである。

「 【請求項1】
建物・ユーティリティ設備,生産設備などのエネルギー管理対象設備単位で構築されている複数のエネルギー管理システムがネットワークを介して共通の管理センターに接続され,集中管理するように構成された生産エネルギー監視制御システムにおいて,
前記管理センターには,少なくとも前記生産設備からエネルギー情報,環境情報,稼動情報などのデータ収集を行い,これら収集したデータに基づき生産CO2管理に関する自動ドリルダウン解析処理を行う生産CO2管理システムが設けられ,
前記生産CO2管理システムは,
前記エネルギー管理対象設備から所定の測定周期で取り込まれ蓄積されるデータにより構築されるリアルタイムデータベースと,このリアルタイムデータベースに蓄積されたデータに対して所定の演算処理および締切処理を行う演算/締切処理部と,この演算/締切処理部で処理されたデータにより構築されるヒストリカルデータベースを有する測定ブロックと,
前記エネルギー管理対象設備について法規制に準拠した生産CO2の目標値を設定する目標設定ブロックと,
前記エネルギー管理対象設備の性能を管理する性能管理ブロックと,
これら目標設定ブロックの目標値と前記性能管理ブロックが管理する性能データと測定ブロックの測定データに基づき各種の比較判定処理を行う比較判定ブロックと,
前記比較判定ブロックの出力に基づき関連機器情報表示,問題箇所のドリルダウンフロー表示,コメントの自動出力,グラフの自動表示,レポートの自動作成の少なくともいずれかの処理を実行する自動要因解析部,
を含むことを特徴とする生産エネルギー監視制御システム。」

3.引用例
(1)引用例1
原査定の拒絶の理由に引用された,特開2005-182441号公報(以下,「引用例1」という。)には,図面とともに以下の事項が記載されている。

(ア)「【0001】
本発明は,建物に配置される設備を統合的に管理する場合において,設備の運転状態が管理目標に到達しない場合に管理目標未到達の原因を推論する建物設備管理の分析装置に関する。」

(イ)「【0017】
(用語の説明)
以下に,いくつかの用語について本明細書における意味を説明する。設備とは,建物に配置された(建物に隣接して配置された場合を含む)機械器具類であってエネルギー及び/又は資源を消費するもの,またはそれらが組み合わされたものである。運転状態に係る運転状態情報には,例えば電源のオン・オフ,電圧,電流,水圧及び回転数等の運転状態を直接的に表す情報のほか,例えば電力量,運転時間及び設備温度等の運転状態を間接的に表す情報を含む。環境の状態に係る環境状態情報は,例えば,温度,湿度及び照度等の現在の環境状態を直接的に表す情報のほか,例えば,隣室の温度,外気温度,昨日の温度及び昨日の湿度等の環境状態を間接的に表す情報も含む。用途とは,エネルギーの使用消費先である。要素とは,エネルギーの種類である。快適性とは,居住する人が感じる心地良さである。」

(ウ)「【0018】
図1は,実施形態に係るデータ分析システムの構成を示す図である。図2は,建物設備管理の分析装置の構成を示すブロック図である。
【0019】
図1において,データ分析システム1は,建物に配置される設備の運転状態を管理するために必要な情報を設備の運転状態の管理目標に到達しない場合に管理目標未到達の原因を所定の処理に従って推論する建物設備管理の分析装置11(以下,「分析装置11」と略記する。)と,複数の設備を監視して運転状態に係る運転状態情報及び前記建物の環境を監視して前記環境状態に係る環境状態情報を収集する1又は複数のデータ収集サブシステム12(図1に示す例では複数のデータ収集サブシステムa12-a,データ収集サブシステムb12-b,データ収集サブシステムc12-c,・・・)とを備えて構成され,これら分析装置11及びデータ収集サブシステム12は,通信網13によって互いに通信可能に接続されている。
【0020】
データ収集サブシステム12は,オフィスビル,集合住宅及び工場等の建物内における設備の運転状態に係る物理量や環境状態に係る物理量等を計測し,計測したこれら所定の物理量を情報(運転状態情報及び環境状態情報)として通信網13を介して分析装置11に送信するシステムである。データ収集サブシステム12は,例えば,建物に設置されこの建物内におけるそれら所定の物理量を計測する複数のセンサ(以下,「SEN」と略記する)18と,複数のセンサ18からローカルな通信網17を介して計測した所定の物理量を収集し,収集した所定の物理量を情報として通信網13を介して送信する遠隔データ収集装置16とを備えて構成される。」

(エ)「【0027】
建物設備管理の分析装置11は,データ収集サブシステム12によって収集された情報(運転状態情報及び環境状態情報)を出力及び分析する装置であり,本実施形態では,分析装置11は,データ収集サブシステム12によって収集された情報の出力と,所定の統計処理方法によるこれら情報の統計処理及びその統計処理結果の出力と,所定の推論処理方法に従ってこれら情報を処理して管理目標未到達の原因の推論及びその推論原因の出力とを行うコンピュータである。なお,これら情報の出力,統計処理及びその統計処理結果の出力並びに原因の推論及びその推論原因の出力は,データ収集サブシステム12ごとに実行してもよく,また,複数のデータ収集サブシステムを纏めて実行してもよい。
【0028】
分析装置11は,例えば,図2に示すように,中央処理部21,入力部22,出力部23,内部記憶部24,外部記憶部25,補助記憶部26,通信インターフェース27及びバス28を備えて構成される。
【0029】
中央処理部21は,例えば,マイクロプロセッサ等で構成され,機能的に,分析データ収集処理部211,分析データフィルタリング部212,時計・カレンダ部213,分析データ演算処理部214,基準生成部215,判別部216,推論部217,指示誘導部218を備えると共に,制御プログラムに従い入力部22,出力部23,内部記憶部24,外部記憶部25,補助記憶部26及び通信インタフェース27を制御する。
【0030】
分析データ収集処理部211は,建物に配置される設備の運転状態を管理するために必要な情報(運転状態情報及び環境管理情報,所定の物理量)をデータ収集サブシステム12から通信網13及び通信インタフェース27を介して収集し,分析データ記憶部261に記憶する。なお,必要な情報の収集は,分析装置11がデータ収集サブシステム12をポーリングすることによって収集してもよいし,また,データ収集サブシステム12が自発的に送信した必要な情報を収容する通信信号を受信することによって収集してもよい。
【0031】
(途中省略)
【0032】
時計・カレンダ部213は,時を計時して暦を取得し,分析データ収集処理部211が収集した物理量を分析データ記憶部261に記憶する際に,当該年月日時を出力する。分析データ収集処理部211は,収集した物理量に年月日時の情報を付加して分析データ記憶部261に記憶する。
【0033】
(途中省略)
【0034】
基準生成部215は,所定の結果を得る目的,例えば,管理目標未到達の原因を得る目的で,収集した情報や統計処理結果を判別する場合における基準値を後述の建物モデル記憶部263に記憶されている建物モデルに基づいて生成する。基準生成部215は,生成した基準値を判別部216に通知する。判別部216は,基準生成部215で生成した基準値を基準に,収集した情報や統計処理結果を判別し,その判別結果を推論部217に通知する。推論部217は,後述の推論ルール記憶部264に記憶されている推論プログラムに従って情報を処理し原因の推論を行う。指示誘導部218は,分析に不得手なオペレータでも適切な推論結果を得ることができるように,推論プログラムの各処理段階に応じて原因に誘導する誘導画面を出力部23に出力する。
【0035】
(途中省略)
【0040】
建物モデル記憶部263は,設備の運転状態と運転状態情報及び環境状態情報のうちの運転状態を支配する因子との関係を示す演算式で表されるものであって,基準生成部215が基準を演算するための演算式である建物モデルを記憶する。
(途中省略)
【0043】
推論ルール記憶部264は,設備の運転状態が管理目標に到達しない場合に管理目標未到達の原因を推論する,例えば後述の推論処理手順に基づく推論プログラムを記憶するものである。本実施形態に係る分析装置11では,オペレータは,この推論プログラムに従って分析を進めることによって,当該オペレータが分析に不得手の場合でも適切に原因の推論を行うことができる。」

(オ)「【0045】
次に,本実施形態の動作について説明する。
(実施形態の動作)
本実施形態では,データ収集サブシステム12がオフィスビルに設置され,オフィスビルに設置された,ボイラや冷凍機などの温熱・冷熱を生成する熱源機とその補機で構成される熱源設備,送水ポンプ,送風ファン,空調機,照明器具及びOAコンセント等の諸設備において消費される電力,ガス,石油,重油,蒸気等の各エネルギー(資源)の消費量及びそれらを消費する設備の運転状態を支配する因子となる物理量をデータ収集サブシステム12が計測し,分析装置11が各エネルギー消費の管理及び分析を行う場合について説明する。
【0046】
(途中省略)
【0049】
図3において,例えばオペレータが入力部22からコマンドを入力することにより,中央処理部21は,推論ルール記憶部264に記憶されているエネルギー管理推論プログラムを起動する。エネルギー管理推論プログラムは,建物モデルによって演算された基準値(通常想定される消費量)よりも多くエネルギーを消費しているエネルギーの種類及び設備を探索するための推論処理手順をプログラムしたソフトウェアである。エネルギー管理推論プログラムに従って各誘導画面に導かれながらエネルギーの消費実態を分析することによって,分析に不得手なオペレータでも適切に分析を行うことができる。
【0050】
エネルギー管理推論プログラムが起動されると,中央処理部21の推論部217は,指示誘導部218を用いて,分析項目を選択させるための画面,例えば,図4に示す分析項目選択画面301を出力部23としての表示装置に表示する。
【0051】
(途中省略)
【0060】
ここで,数値表示欄3231-b2に表示される目標値及び省エネ目標フィールドに表示される値は,基準生成部2251で演算された基準値である。
(途中省略)
【0066】
処理S25において,推論部217は,指示誘導部218を用いて,分岐元で特定された用途の設備に対し,例えば,熱源システム単位や空調機単位や照明ゾーン単位等の設備単位で,使用実績,基準値及び分析結果を表示する機器別エネルギー管理画面を表示装置に表示する。なお,空調機は,機器単位で扱えるが,照明器具は,その制御の特性上,単一の機器で制御がなされていることは殆どないため,ゾーン単位で管理が行われている。
【0067】
機器別エネルギー管理画面の表示において,処理S16から分岐してきた場合には,熱源設備又は水搬送設備に対して機器別エネルギー管理画面が表示され,処理S18から分岐してきた場合には,処理S15で特定された設備に対して機器別エネルギー管理画面が表示され,そして,後述の処理S24から分岐してきた場合には,処理S24で特定された設備に対して機器別エネルギー管理画面が表示される。機器別エネルギー管理画面は,例えば,使用実績,使用時間,運転効率,省エネ目標及び分析結果を,基準値以上を示す階・用途について機器別に表形式で表示した画面である。
【0068】
処理S25の実行後に,推論部217は,判別部216を用いて,熱源・機器別エネルギー管理画面における各機器において,エネルギーの使用実績が基準値以上である機器があるか否かを判断する(S26)。判断の結果,基準値以上である機器がない場合(ない)には,推論部217は,指示誘導部218を用いて,前述の処理S19の実行により,指示誘導部218を用いて,本推論処理手順では原因を特定することができなかった旨のメッセージを表示装置に表示し,処理を終了する。一方,判断の結果,基準値以上である機器がある場合(ある)には,推論部217は,指示誘導部218を用いて,特定した原因を表示すると共に,機器別分析シナリオの実行をオペレータに促す旨のメッセージを表示装置に表示し(S27),処理を終了する。
【0069】
機器別分析シナリオとは,個々のデータ収集サブシステム12における機器レベルまで,エネルギーロスの問題やトラブルの原因を追求するために用意される個別分析のためのツールである。
(途中省略)
【0075】
また,処理S11の分析項目の選択において,判断の結果,分析項目が階別エネルギーである場合には,推論部217は,指示誘導部218を用いて,エネルギーを階別に纏めて使用実績,基準値及び分析結果を表示する階別エネルギー管理画面を表示装置に表示する(S21)。この処理S21を実行することによって,例えばビルがテナント形式の場合にテナントオーナー又はオペレータは,建物の何れの階・部位でエネルギーの増減が発生しているかを判断することができる。
【0076】
(途中省略)
【0079】
図3に戻って,処理S21により画面を表示した後に,推論部217は,判別部216を用いて,階別エネルギー管理画面304における各階において,エネルギー消費量の使用実績が基準値以上である階があるか否かを判断する(S22)。判断の結果,基準値以上である階がない場合(ない)には,推論部217は,指示誘導部218を用いて,前述の処理S28により画面を表示して後述の処理S31を実行する。一方,判断の結果,基準値以上である階がある場合(ある)には,推論部217は,指示誘導部218を用いて,処理S22の判断において基準値以上であった階(特定階)に対し,用途別に纏めて使用実績,基準値及び分析結果を表示する特定階・用途別エネルギー管理画面を表示装置に表示する(S23)。特定階・用途別エネルギー管理画面は,例えば,表示内容を前記特定階に限定する点,及び,当該特定階(基準値以上であった階)が画面上に見出しとして表示される点を除き,前述の用途別エネルギー管理画面と同様である。
【0080】
次に,推論部217は,判別部216を用いて,特定階・用途別エネルギー管理画面における各用途において,エネルギー消費量の使用実績が基準値以上である用途があるか否かを判断する(S24)。判断の結果,基準値以上である用途がない場合(ない)には,推論部217は,指示誘導部218を用いて,前述の処理S19によりメッセージを表示する。一方,判断の結果,基準値以上である用途がある場合(ある)には,推論部217は,その旨を指示誘導部218に通知し,指示誘導部218は,前述の処理S25により画面を表示する。ここで,処理S25へ推移するのは,特定階・用途別で得られるエネルギー増のある用途に対応する機器の分析を行うためである。」

(カ)「【0104】
以上のように,本エネルギー管理推論プログラムは,エネルギー管理に関する知識の基に,用途別,要素別及び階別の大分類に対する分析から,大分類における用途別及び階別の中分類に対する分析を経て,中分類における機器別の小分類に対する小分類の分析へ,段階的に系統立てて分析が行われる。特に,例えば,処理S16のように,分析を進める手順にエネルギー管理の知識が反映されている。」

(キ)「【0116】
また,上述の実施形態では,所定の処理段階でその処理段階における誘導画面を表示するように構成したが,分析開始を指示すると,分析処理を実行し,最終的に問題点を指摘する文章やグラフ等の分析結果画面を表示するように構成してもよい。このように構成することによって,分析に慣れた場合や分析結果だけを見たい場合に,有用である。」

そうすると,上記摘記事項(ア)?(キ)の記載及び図面の記載から,引用例1には,次のとおりの発明(以下,「引用例1発明」という。)が記載されていると認められる。

「建物に配置される設備の運転状態が管理目標に到達しない場合に管理目標未到達の原因を推論する建物設備管理の分析装置11と,複数の設備を監視して運転状態に係る運転状態情報及び前記建物の環境を監視して前記環境状態に係る環境状態情報を収集する1又は複数のデータ収集サブシステム12とを備えて構成され,分析装置11及びデータ収集サブシステム12が,通信網13によって互いに通信可能に接続されているデータ分析システム1であって,
データ収集サブシステム12は,オフィスビル,集合住宅及び工場等の建物内における設備の運転状態に係る物理量や環境状態に係る物理量等を計測し,計測したこれら所定の物理量を運転状態情報及び環境状態情報として通信網13を介して分析装置11に送信するシステムであり,例えば,建物に設置されこの建物内におけるそれら所定の物理量を計測する複数のセンサ18と,複数のセンサ18からローカルな通信網17を介して計測した所定の物理量を収集し,収集した所定の物理量を情報として通信網13を介して送信する遠隔データ収集装置16とを備えて構成されるものであり,
分析装置11は,データ収集サブシステム12によって収集された運転状態情報及び環境状態情報を分析する装置であり,データ収集サブシステム12によって収集された情報を所定の推論処理方法に従って処理して管理目標未到達の原因の推論及びその推論原因の出力とを行うコンピュータであり,
ここで,運転状態に係る運転状態情報には,例えば電源のオン・オフ,電圧,電流,水圧及び回転数等の運転状態を直接的に表す情報のほか,例えば電力量,運転時間及び設備温度等の運転状態を間接的に表す情報を含み,また,環境の状態に係る環境状態情報は,例えば,温度,湿度及び照度等の現在の環境状態を直接的に表す情報のほか,例えば,隣室の温度,外気温度,昨日の温度及び昨日の湿度等の環境状態を間接的に表す情報も含み,
分析装置11は,中央処理部21を備え,
中央処理部21は,機能的に,分析データ収集処理部211,時計・カレンダ部213,基準生成部215,判別部216,推論部217,指示誘導部218を備え,
分析データ収集処理部211は,建物に配置される設備の運転状態を管理するために必要な情報をデータ収集サブシステム12から通信網13を介して収集し,分析データ記憶部261に記憶するものであり,
ここで,必要な情報の収集は,分析装置11がデータ収集サブシステム12をポーリングすることによって収集してもよく,
時計・カレンダ部213は,時を計時して暦を取得し,分析データ収集処理部211が収集した物理量を分析データ記憶部261に記憶する際に,当該年月日時を出力するものであり,分析データ収集処理部211は,収集した物理量に年月日時の情報を付加して分析データ記憶部261に記憶し,
基準生成部215は,管理目標未到達の原因を得る目的で,収集した情報や統計処理結果を判別する場合における基準値を建物モデル記憶部263に記憶されている建物モデルに基づいて生成し,生成した基準値を判別部216に通知するものであり,
ここで,建物モデルとは,設備の運転状態と運転状態情報及び環境状態情報のうちの運転状態を支配する因子との関係を示す演算式で表されるものであって,基準生成部215が基準を演算するための演算式であり,
判別部216は,基準生成部215で生成した基準値を基準に,収集した情報や統計処理結果を判別し,その判別結果を推論部217に通知するものであり,
推論部217は,推論ルール記憶部264に記憶されている推論プログラムに従って情報を処理し原因の推論を行うものであり,
指示誘導部218は,分析に不得手なオペレータでも適切な推論結果を得ることができるように,推論プログラムの各処理段階に応じて原因に誘導する誘導画面を出力部23に出力するものであり,
推論ルール記憶部264は,設備の運転状態が管理目標に到達しない場合に管理目標未到達の原因を推論する,推論処理手順に基づく推論プログラムを記憶するものであり,
データ収集サブシステム12がオフィスビルに設置され,オフィスビルに設置された熱源設備,送水ポンプ,送風ファン,空調機,照明器具及びOAコンセント等の諸設備において消費される電力,ガス,石油,重油,蒸気等の各エネルギーの消費量及びそれらを消費する設備の運転状態を支配する因子となる物理量をデータ収集サブシステム12が計測し,分析装置11が各エネルギー消費の管理及び分析を行う場合,
オペレータが入力部22からコマンドを入力することにより,中央処理部21は,推論ルール記憶部264に記憶されているエネルギー管理推論プログラムを起動し,
ここで,エネルギー管理推論プログラムは,建物モデルによって演算された基準値,すなわち通常想定される消費量よりも多くエネルギーを消費している設備を探索するための推論処理手順をプログラムしたソフトウェアであり,
エネルギー管理推論プログラムが起動されると,中央処理部21の推論部217は,指示誘導部218を用いて,分析項目を選択させるための分析項目選択画面301を表示装置に表示し,
オペレータによって選択された分析項目が階別エネルギーである場合には,推論部217は,指示誘導部218を用いて,エネルギーを階別に纏めて使用実績,基準値及び分析結果を表示する階別エネルギー管理画面を表示装置に表示し(S21),
処理S21により画面を表示した後に,推論部217は,判別部216を用いて,階別エネルギー管理画面304における各階において,エネルギー消費量の使用実績が基準値以上である階があるか否かを判断し(S22),
判断の結果,基準値以上である階がある場合には,推論部217は,指示誘導部218を用いて,処理S22の判断において基準値以上であった階に対し,用途別に纏めて使用実績,基準値及び分析結果を表示する特定階・用途別エネルギー管理画面を表示装置に表示し(S23),
推論部217は,判別部216を用いて,特定階・用途別エネルギー管理画面における各用途において,エネルギー消費量の使用実績が基準値以上である用途があるか否かを判断し(S24),判断の結果,基準値以上である用途がある場合には,特定された用途の設備に対して機器別エネルギー管理画面を表示し(S25),
ここで,機器別エネルギー管理画面は,使用実績,省エネ目標及び分析結果を,基準値以上を示す階・用途について機器別に表形式で表示した画面であり,
処理S25の実行後に,推論部217は,判別部216を用いて,機器別エネルギー管理画面における各機器において,エネルギーの使用実績が基準値以上である機器があるか否かを判断し(S26),判断の結果,基準値以上である機器がある場合には,推論部217は,指示誘導部218を用いて,特定した原因を表示すると共に,機器別分析シナリオの実行をオペレータに促す旨のメッセージを表示装置に表示して(S27),処理を終了し,
ここで,機器別分析シナリオとは,個々のデータ収集サブシステム12における機器レベルまで,エネルギーロスの問題やトラブルの原因を追求するために用意される個別分析のためのツールであり,
以上の処理により,エネルギー管理推論プログラムは,階別の大分類に対する分析から,用途別の中分類に対する分析を経て,機器別の小分類に対する分析へ,段階的に系統立てて分析を行うものであり,
また,分析開始を指示すると,分析処理を実行し,最終的に問題点を指摘する文章やグラフ等の分析結果画面だけを表示するように構成してもよい,
データ分析システム1。」

(2)引用例2
原査定の拒絶の理由に引用された,「片桐 三津雄,特集論文 産業プラント向けEMS,三菱電機技報,三菱電機エンジニアリング株式会社,第77巻,第12号,2003年12月25日,p.59-62」(以下,「引用例2」という。)には,図面とともに以下の事項が記載されている。

(ク)「(3)目標関数
目標関数は,運転計画がどの程度適切かを示す定量的尺度である。各工場の事情によって異なるものと考えられるが,購入エネルギーのコスト,使用量,C02換算値などが考えられる。」

上記摘記事項(ク)の記載及び図面の記載を総合すると,引用例2には次の技術的事項(以下,「引用例2記載事項」という。)が記載されていると認められる。

「目標関数としては,エネルギー使用量,CO2換算値などが考えられる。」

(3)引用例A
前置報告書において引用された特開2007-41705号公報には,図面とともに以下の事項が記載されている。

(ケ)「【0016】
本発明においては,企業・組織などの事業者が温暖化対策導入計画を策定するため,事業者が保有する全施設のエネルギー効率や導入効果から評価した導入プライオリティ(順位)に従って,企業・組織全体のCO2削減目標設定とそれを達成する具体的な導入施設を根拠とする計画策定のための包括的な診断方法を提供している。また,上記で抽出された対策導入施設について,エネルギー多消費設備などの導入技術のトップ効率を評価し,導入に伴う施設のエネルギー改善,CO2やエネルギーコストの削減効果を評価して具体的な対策手順を示す個別施設の診断方法も提供している。なお,CO2削減率をエネルギー消費削減率におきかえて用いることもできる。」

上記摘記事項(ケ)の記載及び図面の記載を総合すると,引用例Aには次の技術的事項(以下,「引用例A記載事項」という。)が記載されていると認められる。

「CO2削減目標設定やCO2削減効果の評価におけるCO2削減率をエネルギー消費削減率におきかえて用いることができる。」

4.対比・判断
(1)対比
ア(ア)引用例1発明には,「データ収集サブシステム12がオフィスビルに設置され,オフィスビルに設置された熱源設備,送水ポンプ,送風ファン,空調機,照明器具及びOAコンセント等の諸設備において消費される電力,ガス,石油,重油,蒸気等の各エネルギーの消費量及びそれらを消費する設備の運転状態を支配する因子となる物理量をデータ収集サブシステム12が計測し,分析装置11が各エネルギー消費の管理及び分析を行う場合」のことが記載されており,ここでの「オフィスビルに設置された熱源設備,送水ポンプ,送風ファン,空調機,照明器具及びOAコンセント等の諸設備」が本願発明の「建物・ユーティリティ設備」に相当する。
そして,引用例1発明では,前記「諸設備」において消費される「電力,ガス,石油,重油,蒸気等の各エネルギーの消費量」をデータ収集サブシステム12が計測し,分析装置11が各エネルギー消費の管理及び分析を行っていることから,引用例1発明の「諸設備」は,「エネルギー管理対象設備」であるということができる。
してみれば,引用例1発明の「オフィスビルに設置された熱源設備,送水ポンプ,送風ファン,空調機,照明器具及びOAコンセント等の諸設備」と本願発明の「建物・ユーティリティ設備,生産設備などのエネルギー管理対象設備」とは,後記する点で相違するものの「建物・ユーティリティ設備などのエネルギー管理対象設備」の点で共通している。
(イ)引用例1発明の「データ収集サブシステム12」は,「オフィスビル,集合住宅及び工場等の建物内における設備の運転状態に係る物理量や環境状態に係る物理量等を計測し,計測したこれら所定の物理量を運転状態情報及び環境状態情報として通信網13を介して分析装置11に送信するシステム」であり,「例えば,建物に設置され」るものであるから,「オフィスビル,集合住宅及び工場等の建物内における設備」の「単位で構築されて」おり,本願発明の「エネルギー管理システム」とは,「設備」の情報を収集する機能を有する点で共通していることから,引用例1発明の「データ収集サブシステム12」と本願発明の「エネルギー管理システム」とは,「エネルギー管理対象設備単位で構築されている複数のデータ収集システム」の点で共通している。
(ウ)引用例1発明の「通信網13」が本願発明の「ネットワーク」に相当する。
引用例1発明の「データ分析システム1」の「分析装置11」は,「オフィスビルに設置された諸設備において消費される各エネルギーの消費の管理及び分析を行う」ものであるから,引用例1発明の「データ分析システム1」と本願発明の「生産エネルギー監視制御システム」とは,共に「エネルギー監視制御システム」である点で共通している。
そして,引用例1発明の「データ分析システム1」では,「データ収集サブシステム12」が,「通信網13(ネットワーク)を介して」,「共通の」分析装置11(装置)に「接続され」ており,分析装置11が,データ収集サブシステム12で収集された情報を,「集中管理するように構成され」ていることから,引用例1発明の「データ分析システム1」と本願発明の「生産エネルギー監視制御システム」とは,「複数のデータ収集システムがネットワークを介して共通の装置に接続され,集中管理するように構成されたエネルギー監視制御システム」の点で共通している。
(エ)上記(ア)?(ウ)のことから,引用例1発明の「データ分析システム1」と本願発明の「生産エネルギー監視制御システム」とは,後記する点で相違するものの,「建物・ユーティリティ設備などのエネルギー管理対象設備単位で構築されている複数のデータ収集システムがネットワークを介して共通の装置に接続され,集中管理するように構成されたエネルギー監視制御システム」の点で共通している。

イ(ア)引用例1発明のデータ収集サブシステム12は,オフィスビル,集合住宅及び工場等の建物内における設備の運転状態に係る物理量や環境状態に係る物理量等を計測し,計測したこれら所定の物理量を「運転状態情報」及び「環境状態情報」として通信網13を介して分析装置11に送信するものであり,「運転状態情報」には,例えば「電源のオン・オフ,電圧,電流,水圧及び回転数等の運転状態を直接的に表す情報」のほか,「電力量,運転時間及び設備温度等の運転状態を間接的に表す情報」を含むものである。
ここで,引用例1発明の「環境状態情報」が本願発明の「環境情報」に相当し,また,引用例1発明の「運転状態情報」のうち,「電源のオン・オフ,電圧,電流,水圧及び回転数等の運転状態を直接的に表す情報」は,設備の稼働状況を表す情報であることから,本願発明の「稼動情報」に相当する。
また,引用例1発明では,「データ収集サブシステム12がオフィスビルに設置され」た場合に,データ収集サブシステム12が,「オフィスビルに設置された熱源設備,送水ポンプ,送風ファン,空調機,照明器具及びOAコンセント等の諸設備において消費される電力,ガス,石油,重油,蒸気等の各エネルギーの消費量」を計測しており,この,「データ収集サブシステム12が計測する各エネルギーの消費量」が本願発明の「エネルギー情報」に相当する。
してみれば,引用例1発明の分析装置11は,「少なくとも設備からエネルギー情報,環境情報,稼動情報などのデータ収集を行」っているということができる。
(イ)引用例1発明において,「データ収集サブシステム12がオフィスビルに設置され」る場合には,「分析装置11」は「オフィスビルに設置された諸設備において消費されるエネルギーの管理を行う」ものである。
一方,本願明細書の【0031】段落に「縦軸はCO2排出量やエネルギー,エネルギーコストなどとして,CO2排出量の総量規制値や,CO2排出量の総量規制値をエネルギーやエネルギーコストに換算した目標値として表示する。」と記載され,また,同【0055】段落に,「エネルギー管理対象設備50?70について法規制に準拠した生産CO2の総量規制ドリルダウン目標値および生産CO2ドリルダウン目標値を設定する目標設定ブロック」と記載されているように,「生産CO2」は,「生産設備」において消費される「消費エネルギー」を「CO2排出量」に換算したものである。
してみれば,引用例1発明の「分析装置11」と本願発明の「生産CO2管理システム」とは,後記する点で相違するものの,「消費エネルギー管理システム」である点で共通している。
(ウ)引用例1発明では,分析装置11において実行されるエネルギー管理推論プログラムが,「階別の大分類に対する分析から,用途別の中分類に対する分析を経て,機器別の小分類に対する分析へ,段階的に系統立てて分析を行」っており,この処理は,「ドリルダウン解析処理」であるといえるから,引用例1発明の「分析装置11」は,「ドリルダウン解析処理」を「行う」ものであるということができる。
また,引用例1発明では,「分析開始を指示すると,分析処理を実行し,最終的に問題点を指摘する文章やグラフ等の分析結果画面だけを表示するように構成してもよい」ことから,上記「ドリルダウン解析処理」を「自動」で「行う」ことができるものである。
また,上記「ドリルダウン解析処理」は,「消費エネルギー管理に関する」ものであり,また,「収集したデータに基づ」いて行われることは自明のことである。
してみれば,引用例1発明の「分析装置11」と本願発明の「生産CO2管理システム」とは,「収集したデータに基づき消費エネルギー管理に関する自動ドリルダウン解析処理を行う」点で共通している。
(エ)上記(ア)?(ウ)のことから,引用例1発明の「分析装置11」と本願発明の「生産CO2管理システム」とは,後記する点で相違するものの,「少なくとも設備からエネルギー情報,環境情報,稼動情報などのデータ収集を行い,これら収集したデータに基づき消費エネルギー管理に関する自動ドリルダウン解析処理を行う消費エネルギー管理システム」の点で共通している。
(オ)上記(エ)のことから,引用例1発明と本願発明とは,「少なくとも設備からエネルギー情報,環境情報,稼動情報などのデータ収集を行い,これら収集したデータに基づき消費エネルギー管理に関する自動ドリルダウン解析処理を行う消費エネルギー管理システムが設けられ」いる点で共通している。

ウ(ア)引用例1発明の分析装置11の中央処理部21は,「分析データ収集処理部211」を備えており,当該「分析データ収集処理部211」は,「建物に配置される設備の運転状態を管理するために必要な情報をデータ収集サブシステム12から通信網13を介して収集し,分析データ記憶部261に記憶する」ものであり,ここで,「必要な情報の収集は,分析装置11がデータ収集サブシステム12をポーリングすることによって収集してもよ」いものである。
そして,ポーリングは,通常,「所定の周期」でなされることが技術常識であるから,引用例1発明の「ポーリングによって収集される,建物に配置される設備の運転状態を管理するために必要な情報」が,本願発明の「エネルギー管理対象設備から所定の測定周期で取り込まれ蓄積されるデータ」に相当する。
してみれば,引用例1発明の「建物に配置される設備の運転状態を管理するために必要な情報を記憶する分析データ記憶部261」と本願発明の「エネルギー管理対象設備から所定の測定周期で取り込まれ蓄積されるデータにより構築されるリアルタイムデータベース」とは,「エネルギー管理対象設備から所定の測定周期で取り込まれ蓄積されるデータを記憶する記憶手段」の点で共通している。
(イ)引用例1発明の「分析データ収集処理部211」は,「建物に配置される設備の運転状態を管理するために必要な情報をデータ収集サブシステム12から通信網13を介して収集し,分析データ記憶部261に記憶する」という機能を有する点で,本願発明の「測定ブロック」に対応する。
(ウ)上記(ア),(イ)のことから,引用例1発明の「分析装置11」と本願発明の「生産CO2管理システム」とは,後記する点で相違するものの,「エネルギー管理対象設備から所定の測定周期で取り込まれ蓄積されるデータを記憶する記憶手段を有する測定ブロック」を含む点で共通している。

エ 引用例1の上記摘記事項(オ)の「ここで,数値表示欄3231-b2に表示される目標値及び省エネ目標フィールドに表示される値は,基準生成部2251で演算された基準値である。」(【0060】)との記載からみて,引用例1発明の「基準値」は,「省エネの目標値」のことであるから,引用例1発明の「基準値」と本願発明の「法規制に準拠した生産CO2の目標値」とは,共に「省エネの目標値」である点で共通している。
そして,引用例1発明の「基準生成部215」は,「管理目標未到達の原因を得る目的で,収集した情報や統計処理結果を判別する場合における基準値を建物モデル記憶部263に記憶されている建物モデルに基づいて生成」していることから,引用例1発明の「基準生成部215」が本願発明の「目標設定ブロック」に相当する。
また,引用例1発明の「建物モデル」は,「設備の運転状態と運転状態情報及び環境状態情報のうちの運転状態を支配する因子との関係を示す演算式で表されるものであって,基準生成部215が基準を演算するための演算式」であるから,引用例1発明の「基準値」が,「建物モデルの対象設備」すなわち「エネルギー管理対象設備」,「について」「設定」されたものであることは自明のことである。
してみれば,引用例1発明の「分析装置11」と本願発明の「生産CO2管理システム」とは,後記する点で相違するものの,「エネルギー管理対象設備について省エネの目標値を設定する目標設定ブロック」を含む点で共通している。

オ 引用例1発明の「判別部216」は,「基準生成部215で生成した基準値を基準に,収集した情報や統計処理結果を判別」している。
ここで,引用例1発明の「基準生成部215で生成した基準値」,「収集した情報」が,それぞれ本願発明の「目標設定ブロックの目標値」,「測定ブロックの測定データ」に相当し,「基準値を基準に,収集した情報を判別」することが,本願発明の「目標値と測定データに基づき比較判定処理を行う」ことに相当するから,引用例1発明の「判別部216」が本願発明の「比較判定ブロック」に対応する。
してみれば,引用例1発明の「分析装置11」と本願発明の「生産CO2管理システム」とは,後記する点で相違するものの,「これら目標設定ブロックの目標値と測定ブロックの測定データに基づき比較判定処理を行う比較判定ブロック」を含む点で共通している。

カ(ア)引用例1発明の「推論部217」は,「判別部216を用いて,機器別エネルギー管理画面における各機器において,エネルギーの使用実績が基準値以上である機器があるか否かを判断し(S26),判断の結果,基準値以上である機器がある場合には,推論部217は,指示誘導部218を用いて,特定した原因を表示すると共に,機器別分析シナリオの実行をオペレータに促す旨のメッセージを表示装置に表示して(S27),処理を終了し」,「ここで,機器別分析シナリオとは,個々のデータ収集サブシステム12における機器レベルまで,エネルギーロスの問題やトラブルの原因を追求するために用意される個別分析のためのツールであ」る。
ここで「表示」される「特定した原因」は,「エネルギーの使用実績が基準値以上である機器」であるから,引用例1発明の「特定した原因(エネルギーの使用実績が基準値以上である機器)を表示すること」が本願発明の「関連機器情報表示」に相当する。
そして,「推論部217」は,「判別部216(比較判定ブロック)」の「判断の結果」を利用している,すなわち,「比較判定ブロックの出力に基づ」いているから,引用例1発明の「判別部216(比較判定ブロック)の出力に基づき」,「関連機器情報表示」の「処理を実行」する「推論部217」が本願発明の「比較判定ブロックの出力に基づき関連機器情報表示の処理を実行する自動要因解析部」に相当する。
(イ)引用例1発明の「推論部217」は,「機器別分析シナリオの実行をオペレータに促す旨のメッセージを表示装置に表示して」おり,この「メッセージ」が本願発明の「コメント」に相当することから,引用例1発明の「推論部217(自動要因解析部)」は,「コメントの自動出力」の「処理を実行」している。
(ウ)引用例1発明は,「分析開始を指示すると,分析処理を実行し,最終的に問題点を指摘する文章やグラフ等の分析結果画面だけを表示するように構成してもよい」ものであり,この「分析処理」が「推論部217」によって実行されることは自明のことである。
そして,引用例1発明の「最終的に問題点を指摘する文章」,「グラフ」がそれぞれ本願発明の「レポート」,「グラフ」に相当するから,引用例1発明の「推論部217」は,「グラフの自動表示,レポートの自動作成」の「処理を実行」するものである。
(エ)上記(ア)?(ウ)のことから,引用例1発明の「分析装置11」と本願発明の「生産CO2管理システム」とは,後記する点で相違するものの,「比較判定ブロックの出力に基づき関連機器情報表示,コメントの自動出力,グラフの自動表示,レポートの自動作成の少なくともいずれかの処理を実行する自動要因解析部」を含む点で共通している。

そうすると,本願発明と引用例1発明とは,

「建物・ユーティリティ設備などのエネルギー管理対象設備単位で構築されている複数のデータ収集システムがネットワークを介して共通の装置に接続され,集中管理するように構成されたエネルギー監視制御システムにおいて,
少なくとも前記設備からエネルギー情報,環境情報,稼動情報などのデータ収集を行い,これら収集したデータに基づき消費エネルギー管理に関する自動ドリルダウン解析処理を行う消費エネルギー管理システムが設けられ,
前記消費エネルギー管理システムは,
前記エネルギー管理対象設備から所定の測定周期で取り込まれ蓄積されるデータを記憶する記憶手段を有する測定ブロックと,
前記エネルギー管理対象設備について省エネの目標値を設定する目標設定ブロックと,
これら目標設定ブロックの目標値と測定ブロックの測定データに基づき比較判定処理を行う比較判定ブロックと,
前記比較判定ブロックの出力に基づき関連機器情報表示,コメントの自動出力,グラフの自動表示,レポートの自動作成の少なくともいずれかの処理を実行する自動要因解析部,
を含むことを特徴とするエネルギー監視制御システム。」

の点で一致し,以下の点で相違する。

[相違点1]
本願発明では,エネルギー管理対象設備が,「生産設備」を含み,エネルギー監視制御システムが,「生産エネルギー監視制御システム」であり,「管理システム」が,「生産CO2管理」を行う「生産CO2管理システム」であり,目標値が,「法規制に準拠した生産CO2の目標値」であるのに対して,引用例1発明は,管理対象設備として工場の設備が記載されているものの,これが生産設備であるか否かは明確ではなく,「管理システム」が,「生産CO2管理」を行う「生産CO2管理システム」ではなく,目標値が,「法規制に準拠した生産CO2の目標値」ではなく,エネルギー監視制御システムが,「生産エネルギー監視制御システム」ではない点。

[相違点2]
「エネルギー管理対象設備単位で構築されている」システムが,本願発明では,「エネルギー管理システム」であるのに対して,引用例1発明では,「データ収集サブシステム12」である点。

[相違点3]
本願発明では,生産CO2管理システムが「管理センター」に設けられているのに対して,引用例1発明では,分析装置11が,どこに設けられているのかが特定されていない点。

[相違点4]
本願発明の測定ブロックが,「エネルギー管理対象設備から取り込まれ蓄積されるデータにより構築されるリアルタイムデータベース」と,「このリアルタイムデータベースに蓄積されたデータに対して所定の演算処理および締切処理を行う演算/締切処理部」と,「この演算/締切処理部で処理されたデータにより構築されるヒストリカルデータベース」を含むのに対して,引用例1発明は,そのような構成を含んでいない点。

[相違点5]
本願発明のシステムが,「エネルギー管理対象設備の性能を管理する性能管理ブロック」を含み,比較判定ブロックが,目標値と測定データに加えて,「性能管理ブロックが管理する性能データ」に基づいて「各種の」比較判定処理を行うのに対して,引用例1発明は,そのようになっていない点。

[相違点6]
自動要因解析部が,本願発明では,「関連機器情報表示,問題箇所のドリルダウンフロー表示,コメントの自動出力,グラフの自動表示,レポートの自動作成の少なくともいずれかの処理を実行する」のに対して,引用例1発明では,「関連機器情報表示,コメントの自動出力,グラフの自動表示,レポートの自動作成の少なくともいずれかの処理を実行する」ものの,「問題箇所のドリルダウンフロー表示」の処理を行うことまでは特定されていない点。

(2)判断
上記各相違点について検討する。

[相違点1]について
工場内でエネルギーを消費する設備として「生産設備」があることは自明のことであり,引用例1発明のデータ収集サブシステム12が,「工場等の建物内における設備の運転状態に係る物理量を計測し,運転状態情報として分析装置11に送信するシステム」であることからすれば,引用例1発明が対象とする設備には,工場内の「生産設備」も含まれていることは明らかである。
そして,引用例2に,「産業プラント向けのエネルギー運用管理システム」が記載されているように,生産設備を対象としたエネルギー管理システムは周知技術であることから,引用例1発明の「データ分析システム1」を,特に,工場内の「生産設備」を対象とした「生産エネルギー監視制御システム」とすることには何ら困難性がない。

また,省エネルギーの目標値として,エネルギー使用量を用いること,或いは,CO2排出量を用いることは,いずれも周知である。
例えば,引用例2には,「目標関数としては,エネルギー使用量,CO2換算値などが考えられる。」との事項(引用例2記載事項)が記載されている。
また,引用例A(特開2007-41705号公報)には,「CO2削減目標設定やCO2削減効果の評価におけるCO2削減率をエネルギー消費削減率におきかえて用いることができる。」との事項(引用例A記載事項)が記載されている。

また,省エネルギーの目標値を,省エネ法で規定された数値,すなわち「法規制に準拠した目標値」とすることは,普通に行われていることである。(必要であれば,特開2005-107932号公報の【0049】段落の記載を参照されたい。)

してみれば,引用例1発明において,エネルギー管理の対象設備を,「生産設備」とし,エネルギー監視制御システムを,「生産エネルギー監視制御システム」とし,「消費エネルギー管理システム」を,「生産CO2管理」を行う「生産CO2管理システム」とし,省エネルギーの目標値を,「法規制に準拠した生産CO2の目標値」とすることは,当業者が容易に想到し得たことである。

[相違点2]及び[相違点3]について
個別建物単位に設けられた中央監視装置(本願発明の「エネルギー管理システム」に相当する。)を介して,複数の建物内の設備の計測データを,管理センターで収集することは,本願の従来技術として提示された特開2006-318234号公報の図1,及び【0026】?【0031】段落に記載されているように,周知技術である。
してみれば,引用例1発明において,「エネルギー管理対象設備単位で構築されている」データ収集システムを「エネルギー管理システム」で構成するとともに,分析装置11を「管理センター」に設けるように構成して,相違点2及び相違点3に係る発明の構成とすることは,当業者が容易に想到し得たことである。

[相違点4]について
計測データの収集に際して,収集された計測データを,まず,「リアルタイムデータベース」に蓄積し,それを長期のトレンド情報に加工処理(本願発明における「演算処理および締切処理」に相当する)したり,時系列化して整理(本願発明における「演算処理および締切処理」に相当する)したりして「ヒストリカルデータベース」を構築することは周知技術である。

例えば,特開2005-346562号公報には,次の記載がある。
「【0012】
6は制御バス1に接続されたインターフェースサーバであり,プロセスデータを利用する上位のユーザ(以下,クライアント)側に制御装置3からのプロセスデータを収集して提供する機能を有する。・・・
【0013】
インターフェースサーバ6は,制御装置3から制御バス1を介して受信されるプロセスデータを所定期間リアルタイムに保持するリアルタイムデータベースを備え,必要に応じて演算加工した情報を汎用ネットワーク7等の通信環境を介してクライアント側のパソコン8及び9に供給する。・・・
【0014】
更に,インターフェースサーバ6は,ヒストリカルデータベースを備え,リアルタイムデータベースからの情報を定期的に取り込み,長期のトレンド情報に加工して同じく汎用ネットワーク7等の通信環境を介してプラント情報管理パソコン9に供給する。」

特開2002-207791号公報には,次の記載がある。
「【0025】入出力処理部63を介して入力された信号は,リアルタイムデータベース64に格納される。リアルタイムデータベース64は,状態信号や故障信号を識別し,どの機器がどんな状態になっているかを整理してデータベース化する。また,状態信号はリアルタイムデータベース64からヒストリカルデータベース65に転送される。ヒストリカルデータベース65は,状態量信号を時系列化して整理し,信号毎の時系列瞬時データファイルや,積算ファイルなどの実績データのファイルを作成する。作成された実績データファイルは,インターネット4を介してユーティリティ管理運営装置1内のヒストリカルデータベース12に転送されるようになっている。」

してみれば,引用例1発明に上記周知技術を適用して,測定ブロックが,「エネルギー管理対象設備から取り込まれ蓄積されるデータにより構築されるリアルタイムデータベース」と,「このリアルタイムデータベースに蓄積されたデータに対して所定の演算処理および締切処理を行う演算/締切処理部」と,「この演算/締切処理部で処理されたデータにより構築されるヒストリカルデータベース」を含むように構成することは,当業者が容易に想到し得たことである。

[相違点5]について
測定されたデータと正常な運転状態データの相関範囲とを比較して,測定されたデータが,正常な運転状態データの相関範囲から外れている場合に異常と判断することは周知技術である。

例えば,特開平9-26819号公報には,次の記載がある。
「【0015】図2は,上記で得られたデータエリア(監視エリア)20を例示するグラフである。・・・同図に見るように,データ対の相互は比較的に強い相関を示す。データ対は統計的に処理され,正常運転状態のデータ対の範囲であるデータエリア20が,データ対のマハラノビス汎距離円として得られる。・・・
【0016】データエリア20が定義された後に,制御系の異常の有無の判定が行なわれる。・・・
【0018】このように,正常/異常の判定は,データエリア20からの予め設定した回数だけのデータ対の連続逸脱の有無によって判断する。」

特開2000-297968号公報には,次の記載がある。
「【0020】次に,この実施の形態の動作について説明する。図2はこの実施の形態において,異常判定に使用する圧縮機運転周波数と入力電流の関係を示すグラフであり,通常(正常)の運転状態に比較して冷媒系異常運転時は低周波数でも高い入力電流値となっている。図2に示すように,圧縮機運転周波数と入力電流値の相関関係は,圧縮機の運転周波数が高くなるほど仕事量が増えるために入力電流も大きくなるが,冷媒系に詰まり等の異常がある場合は,圧縮機の運転周波数が小さい場合でも入力電流が非常に大きくなる。そこで,図2に示すような異常判定境界のデータをあらかじめ判定データ記憶手段9に格納しておき,比較判定手段8により運転周波数に対する入力電流が,異常判定境界の正常側にあるか異常側にあるかを判定するようになっている。」

してみれば,引用例1発明において,性能データ(正常な運転状態データの相関範囲)を管理しておき,測定データをこれと比較処理して,異常の判断を行うようにすること,すなわち,引用例1発明のデータ分析システム1が,「エネルギー管理対象設備の性能を管理する性能管理ブロック」を含み,比較判定ブロックが,目標値と測定データに加えて,「性能管理ブロックが管理する性能データ」に基づいて「各種の」比較判定処理を行うように構成することは,当業者が容易に想到し得たことである。

[相違点6]について
引用例1発明では,まず,階別エネルギー管理画面が表示され,階が特定されると,当該特定された階の特定階・用途別エネルギー管理画面が表示され,さらに,階の中の設備が特定されると,当該特定された設備に対して,機器別エネルギー管理画面が表示されるものであるところ,この一連のドリルダウン解析処理を自動的に行った場合に,順に特定される「階」と「設備」と「機器」とを合わせて表示するようにすること,すなわち,「問題箇所のドリルダウンフロー表示」を行うように構成することは,当業者が適宜なしうる設計的事項である。
してみれば,引用例1発明の自動要因解析部が,「比較判定ブロックの出力に基づき関連機器情報表示,問題箇所のドリルダウンフロー表示,コメントの自動出力,グラフの自動表示,レポートの自動作成の少なくともいずれかの処理を実行する」ように構成することは,当業者が容易に想到し得たことである。

そして,本願発明の作用効果も,引用例1発明及び周知技術から当業者が予測できる範囲のものである。

したがって,本願発明は,引用例1発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

5.むすび
以上のとおり,本願発明は,引用例1発明及び周知技術に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって,本願は他の請求項について検討するまでもなく拒絶されるべきものである。
よって,結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2014-08-07 
結審通知日 2014-08-15 
審決日 2014-08-26 
出願番号 特願2008-234258(P2008-234258)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (G06Q)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 青柳 光代川口 美樹  
特許庁審判長 清田 健一
特許庁審判官 須田 勝巳
石川 正二
発明の名称 生産エネルギー監視制御システム  
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