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審決分類 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 G02F
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G02F
管理番号 1292974
審判番号 不服2013-25777  
総通号数 180 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2014-12-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2013-12-27 
確定日 2014-10-16 
事件の表示 特願2008-218501「表示装置」拒絶査定不服審判事件〔平成22年 3月11日出願公開、特開2010- 54718〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本件出願は、平成20年8月27日の出願であって、平成24年9月18日付け、及び平成25年5月27日付けで手続補正書が提出され、同年9月20日付けで前記平成25年5月27日付けの手続補正は却下されると同時に拒絶の査定がなされ、これに対し、同年12月27日付けで拒絶査定に対する審判請求がなされると同時に手続補正書が提出されて特許請求の範囲、及び明細書を補正する手続補正がなされたものである。

2.平成25年12月27日付け手続補正書による補正(以下「本件補正」という。)についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
本件補正を却下する。

[理由]
(1)補正後の本願の発明
本件補正により、特許請求の範囲の請求項1は、
「画像を表示する表示パネルと、
前記表示パネルの少なくとも一辺の側面側に設けられる熱源と、
前記熱源で発生する熱を吸熱する吸熱部と、
前記表示パネルの背面側に設けられ、金属からなり、前記表示パネルの背面側において一部が前記吸熱部に密着する背面板と、
前記表示パネルの前面側に設けられ、金属からなる前面板と、
前記前面板と前記吸熱部との間に設けられ、前記吸熱部が吸熱した熱を前記前面板に伝導するミドルシャーシと、
を備える、表示装置。」
と補正された。(下線は審決で付した。以下同じ。)
上記補正は、請求項1に係る発明を特定するために必要な事項である「背面板」に関し、「表示パネルの背面側において」一部が吸熱部に密着すると限定するものであって、特許法第17条の2第5項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
そこで、本件補正後の前記請求項1に係る発明(以下「本願補正発明」という。)は、前記に記載された事項により特定されるところ、本願補正発明が、特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか)について以下に検討する。

(2)引用例
ア.引用例1
原査定の拒絶の理由に引用され、本願の出願日前に頒布された「特開2008-186780号公報 」(以下「引用例1」という。)には、図面と共に次の事項が記載されている。
・「実施の形態1.
図1または図2に示すように、1は開口部1aを有する箱型の背面フレーム1で、背面フレーム1の内壁の側面である内側面1bには光を出射する光源装置31が配置されている。背面フレーム1の内壁の底面1cには光源装置31から出射した光を開口部1a方向に向かわせる反射板2を配置する。また、光源装置31から出射した光を面状に伝播させる略矩形状の導光板7を背面フレーム1の内部に配置し、光源装置31から光が出射する光出射部31aと対向する位置に導光板7の一側面である入射面7bを配置する。さらに背面フレーム1と開口部を有する正面フレーム8とを嵌合させることで面状光源装置32を構成している。面状光源装置32の出射面側には、表示パネル9およびこの表示パネル9を駆動、制御する回路基板10を備え、開口部11aを備えたフロントフレーム11と面状光源装置32とを嵌合させ、表示装置33を構成している。」(段落【0013】)
・「次に、本実施の形態1の光源装置31について、図面を用いて詳細に説明を行う。
前述した通り、図1において、光源装置31は、背面フレーム1の内側面1bに配置する。図3および図4に示すように、光源装置31は、略長方形状の光源基板4に点状光源3を実装させ、この光源基板4の点状光源3の実装面41側に光源基板カバー5を、後面42側に支持部材6を対向する位置に配置させている。点状光源3は赤色、緑色、青色、白色、またはそれらの中間色の光を出射する発光ダイオードなどからなり、単数もしくは複数個配置し、光源基板4に半田付け等で実装されている。点状光源3を複数個配置する場合、用途に応じて色を選択、もしくは適宜色を組み合わせて実装することができる。また、点状光源4間の間隔や配置位置なども用途や目的に応じて適宜配置することができる。本実施の形態1においては、複数個の点状光源3を略一直線状に同間隔で光源基板4上に実装している。」(段落【0014】)
・「図2?図5に示すように、支持部材6は、光源基板4と同サイズもしくは同サイズより大きいサイズで形成し、光源基板4の後面42側に配置することで、光源基板4の撓みや位置ずれを防止することができる。また、支持部材6の上面61、下面62には光源基板カバー5と嵌合させるための凹部6aを設ける。図3および図5に示すように、凹部6aは前面63側と後面64側で、段差の違う凹部6aを構成しており、光源基板カバー5の突起部5bおよび先端部5cが、支持部材6の後面64、上面61より突出しないように形成する。また、支持部材6はプラスチック樹脂で形成してもよいが、アルミ、ステンレス、鉄、銅などの熱伝導性の高い金属、またはこれらの金属を含む材料で構成することで、さらに放熱効果を高めることができる。また、支持部材6は一つの部材で形成してもよいし、複数の部材を組み合わせて構成してもよい。」(段落【0017】)
・「次に光源装置31の組立方法について、図3を参照しながら説明を行う。
まず、点状光源3を実装した光源基板4の後面42と、支持部材6の前面63とが重なるように配置する。さらに、光源基板4の凹部4aと支持部材6の凹部6aとが一致するように配置する。次いで、光源基板カバー5の貫通孔5aを点状光源3に収納させるように配置し、突起部5bを支持部材6の凹部6aの形成位置と一致させ、凹部6aに突起部5b、先端部5cを嵌合させる。ここで、光源基板4を支持部材6に固定させるために、両面テープ、接着剤、熱伝導性が高いグリース等を用いてもよい。この場合、光源基板4をより確実に支持部材6へ密着させることができ、放熱性を向上させることができる。仮に、時間経過に伴う粘着剤の劣化が発生しても、各部材を互いに嵌合させて固定することにより、光源基板4と支持部材6とを強固に固定することができる。」(段落【0018】)
・「以上説明したとおり、本発明による光源装置31は、点状光源3を実装させた光源基板4を備えており、この光源基板4の点状光源3の実装面41側には、光源基板カバー5を、後面42側には支持部材6を配置して、光源基板カバー5と支持部材6で光源基板4を挟み込んで支持しているため、光源基板4のゆがみやたわみを防止することができ、点状光源3から発生する熱を効率よく、支持部材6に伝熱させることができる。また、光源基板カバー5の突起部5b、先端部5cを支持部材6の凹部6aの形成位置と一致させ、凹部6aに突起部5b、先端部5cを嵌合させ、各部材を固定することにより、光源基板4と支持部材6とを強固に固定することができる。さらに、この光源装置31は面状光源装置32に設けられた貫通口12から挿抜可能であるため、光源装置31に不具合が生じた場合、簡単に交換を行うことができる。」(段落【0023】)
・「また、背面フレーム1は、例えばアルミ、ステンレス、鉄、銅などの熱伝導性の高い金属、またはプラスチック樹脂などからなる。背面フレーム1は一つの部材として構成してもよく、また必要に応じて複数の部材を組み合わせて構成してもよい。」(段落【0027】)
・「正面フレーム8は、例えばアルミ、ステンレス、鉄、銅などの熱伝導性の高い金属、またはプラスチック樹脂などからなる。正面フレーム8は一つの部材として構成してもよく、また必要に応じて複数の部材を組み合わせて構成してもよい。」(段落【0028】)
・「実施の形態2.
図11は本発明の実施の形態2に係わる表示装置の分解斜視図、図12は図11で示した表示装置を組み立てた状態で矢視E-E方向から見た部分断面図である。図11、12に示すように、本実施の形態2の光源装置34は、光源基板4の後面42側に支持部材6を配置するが、光源基板4の点状光源3の実装面41側には、実施の形態1のような光源基板カバー5を配置せず、背面フレーム1に形成した突出部1fおよび、背面フレーム1と正面フレーム8とで形成した凹部8bに光源装置34を嵌合させることによって、光源基板4および支持部材6を支持する構成とする。なお、この背面フレーム1に形成した突出部1fおよび、背面フレーム1と正面フレーム8とで形成した凹部8bに光源装置34を嵌合させて支持するところのみが実施の形態1と相違し、その他の構成は実施の形態1と同様である。」(段落【0032】)
・「以上説明したとおり、本実施の形態2による面状光源装置32は、背面フレーム1の開口部1aと対向する底面1cに、この底面1cの一辺を含み、内部から外部に向かって凸となる突出部1fを一部に形成し、この突出部1fの内壁および背面フレーム1と正面フレーム8とで形成した凹部8bに光源装置34を嵌合させる構造としたので、光源基板4と支持部材6とを強固に固定することができる。」(段落【0036】)
・「また、支持部材6を、ネジ止め、粘着材などを用いて背面フレーム1へ固定することにより、光源基板4から発生した熱を、支持部材6を介して放熱させることもできる。」(段落【0038】)
また、図11、及び12の記載から、以下の事項が看取される。
・「フロントフレーム11は、正面フレーム8上に密着して配置されている。」
これらの記載事項及び図示内容を総合すると、引用例1には、次の発明(以下「引用発明1」という。)が記載されているものと認められる。
「開口部を有する箱型の背面フレームの内壁の側面である内側面には光を出射する光源装置が配置され、光源装置から出射した光を面状に伝播させる略矩形状の導光板を背面フレームの内部に配置し、光源装置から光が出射する光出射部と対向する位置に導光板の一側面である入射面を配置し、さらに背面フレームと開口部を有する正面フレームとを嵌合させることで面状光源装置を構成し、面状光源装置の出射面側には、表示パネルおよびこの表示パネルを駆動、制御する回路基板を備え、開口部を備えたフロントフレームと面状光源装置とを嵌合させた、表示装置において、
光源装置は、略長方形状の光源基板に点状光源を実装させ、後面側に支持部材を対向する位置に配置させて、点状光源から発生する熱を効率よく、支持部材に伝熱させ、
支持部材は、アルミ、ステンレス、鉄、銅などの熱伝導性の高い金属、またはこれらの金属を含む材料で構成されて、さらに放熱効果を高め、
背面フレームは、例えばアルミ、ステンレス、鉄、銅などの熱伝導性の高い金属からなり、
正面フレームは、例えばアルミ、ステンレス、鉄、銅などの熱伝導性の高い金属からなり、
フロントフレームは、正面フレーム上に密着して配置されており、
背面フレームの開口部と対向する底面に、この底面の一辺を含み、内部から外部に向かって凸となる突出部を一部に形成し、この突出部の内壁および背面フレームと正面フレームとで形成した凹部に光源装置を嵌合させて支持し、
また、支持部材を、ネジ止め、粘着材などを用いて背面フレームへ固定して、光源基板から発生した熱を、支持部材を介して放熱させる表示装置。」

イ.引用例2
同様に引用され、本願の出願日前に頒布された「特開2008-20557号公報」(以下「引用例2」という。)には、図面と共に以下の事項が記載されている。
・「液晶表示モジュール100は、液晶パネル120と、バックライトモジュール(以下「バックライト」と略称する)200と、回路基板140と、複数の配線が集合して構成されたフレキシブルプリント配線板160と、ベゼル180とを含んで構成されている。具体的には、液晶パネル120は、バックライト200の光出射面に対向して配置され、バックライト200とともにベゼル180内に収容されている。液晶パネル120には複数のフレキシブルプリント配線板160を介して回路基板140が接続されている。なお、図1および図2では図面の煩雑を避けるために回路基板140およびフレキシブルプリント配線板160を液晶パネル120とバックライト200との間に図示しているが、図3に示すように、回路基板140はバックライト200に対して液晶パネル120とは反対側に配置され、フレキシブルプリント配線板160はバックライト200とベゼル180との間の隙間に配置されている。」(段落【0015】)
・「バックライト200は、ケース400と、複数の白色LED300と、LED実装基板320と、反射シート220と、導光板240と、光学シート260とを含んで構成されている。複数のLED300と、LED実装基板320と、反射シート220と、導光板240と、光学シート260とはケース400内に収容されている。」(段落【0016】)
・「ケース400は、背面ケース420と前面ケース440とを含んで構成されている。」(段落【0017】)
・「背面ケース420および前面ケース440は、例えばアルミニウムやステンレス鋼等の金属で構成され、例えばプレス加工等によって上記形状に加工される。」(段落【0021】)
・「ベゼル180は液晶パネル120にバックライト200とは反対側から被せられ液晶パネル120およびバックライト200を収容して配置されている。このとき、ベゼル180の側部182は、前面ケース440の外側に位置し、前面ケース440の側部442に対向し(重なり)、側部442を介して背面ケース420の側部422に対向している(重なっている)。ベゼル180は、例えばアルミニウムやステンレス鋼等の金属で構成され、例えばプレス加工等によって上記形状に加工される。」(段落【0030】)
・「上記構成によれば、ビス501によって、背面ケース420と前面ケース440とベゼル180とがLED300の取り付け箇所の裏側において強制的に密着している。このため、LED300の発熱は、背面ケース420、前面ケース440およびベゼル180を順番に伝達し、上記3つの部材420,440,180の最外部に位置するベゼル180から放熱される。このとき、3つの部材420,440,180は密着しているので、部材間に空気層が形成されるのが防止される。また、3つの部材420,440,180を構成する金属は空気よりも熱伝導性が高い。このため、LED300から最外部のベゼルへ至る経路の熱抵抗を、空気層が形成された場合に比べて低減することができ、上記熱伝達が速やかにかつ効率良く行われる。これにより、LED300の寿命低下が抑制される。」(段落【0032】)
上記の記載事項を総合すると、引用例2には、次の発明(以下「引用発明2」という。)が記載されているものと認められる。
「液晶パネルと、バックライトモジュール(以下「バックライト」と略称する)と、回路基板と、複数の配線が集合して構成されたフレキシブルプリント配線板と、ベゼルとを含んで構成されている液晶表示モジュールにおいて、
バックライトは、ケースと、複数の白色LEDと、LED実装基板と、反射シートと、導光板と、光学シートとを含んで構成され、
ケースは、背面ケースと前面ケースとを含んで構成され、
背面ケースおよび前面ケースは、例えばアルミニウムやステンレス鋼等の金属で構成され、
ベゼルは、例えばアルミニウムやステンレス鋼等の金属で構成され、
背面ケースと前面ケースとベゼルとがLEDの取り付け箇所の裏側において強制的に密着しており、LEDの発熱は、背面ケース、前面ケースおよびベゼルを順番に伝達し、上記3つの部材の最外部に位置するベゼルから放熱される液晶表示モジュール。」

(3)対比
そこで、本願補正発明と引用発明1とを対比すると、
後者における「表示パネル」は、その機能、作用等からみて、前者における「表示パネル」に相当し、以下同様に、「点状光源」は「熱源」に、「支持部材」は「吸熱部」に、「背面フレーム」は「背面板」に、「フロントフレーム」は「前面板」に、「正面フレーム」は「ミドルシャーシ」に、「表示装置」は「表示装置」に、それぞれ相当する。
また、後者における「表示パネル」は、画像を表示するものであることは、明らかである。
また、後者における「点状光源」は、光源装置の光源基板に実装され、光源装置は面フレームの内壁の側面である内側面に配置され、光源装置から出射した光を面状に伝播させる略矩形状の導光板を背面フレームの内部に配置しているから、「表示パネルの少なくとも一辺の側面側に設けられている」といえる。
また、後者における「支持部材」は、アルミ、ステンレス、鉄、銅などの熱伝導性の高い金属、またはこれらの金属を含む材料で構成されて、放熱効果を高めるものであって、光源装置の光源基板から発生した熱を、支持部材を介して放熱させるから、「熱源で発生する熱を吸熱する」ものといえる。
また、後者は、光源装置から出射した光を面状に伝播させる略矩形状の導光板を背面フレームの内部に配置し、背面フレームと開口部を有する正面フレームとを嵌合させることで面状光源装置を構成し、面状光源装置の出射面側には、表示パネルを備えるものであり、背面フレームは、例えばアルミ、ステンレス、鉄、銅などの熱伝導性の高い金属からなるから、「背面フレームは、表示パネルの背面側に設けられ、金属からなる」ものといえる。
また、後者は、光源装置から出射した光を面状に伝播させる略矩形状の導光板を背面フレームの内部に配置し、背面フレームと開口部を有する正面フレームとを嵌合させることで面状光源装置を構成し、面状光源装置の出射面側には、表示パネルを備え、開口部を備えたフロントフレームと面状光源装置とを嵌合させているから、「フロントフレームは、表示パネルの前面側に設けられている」といえる。
また、後者は、突出部の内壁および背面フレームと正面フレームとで形成した凹部に光源装置を嵌合させさせて支持しているから、「正面フレームは、フロントフレームと支持部材との間に設けられている」といえる。
したがって、両者は、
「画像を表示する表示パネルと、
前記表示パネルの少なくとも一辺の側面側に設けられる熱源と、
前記熱源で発生する熱を吸熱する吸熱部と、
前記表示パネルの背面側に設けられ、金属からなる、背面板と、
前記表示パネルの前面側に設けられる、前面板と、
前記前面板と前記吸熱部との間に設けられる、ミドルシャーシと、
を備える、表示装置。」
の点で一致し、以下の点で相違している。
[相違点1]
背面板が、本願補正発明は、「表示パネルの背面側において一部が吸熱部に密着する」のに対し、引用発明1は、その点につき明らかでない点。
[相違点2]
前面板が、本願補正発明は、「金属からなる」のに対し、引用発明1は、その点につき明らかでない点。
[相違点3]
ミドルシャーシが、本願補正発明は、「吸熱部が吸熱した熱を前面板に伝導する」のに対し、引用発明1は、その点につき明らかでない点。

(4)判断
上記相違点について以下検討する。
ア.相違点1について
引用発明1は、「光源装置は、略長方形状の光源基板に点状光源を実装させ、後面側に支持部材を対向する位置に配置させて、点状光源から発生する熱を効率よく、支持部材に伝熱させ」、及び「背面フレームの開口部と対向する底面に、この底面の一辺を含み、内部から外部に向かって凸となる突出部を一部に形成し、この突出部の内壁および背面フレームと正面フレームとで形成した凹部に光源装置を嵌合させて支持し、また、支持部材を、ネジ止め、粘着材などを用いて背面フレームへ固定して、光源基板から発生した熱を、支持部材を介して放熱させる」と特定され、つまり背面フレームの底面に形成された突出部の内壁に光源装置を構成する支持部材を嵌合させて支持し、また、支持部材を、ネジ止め、粘着材などを用いて背面フレームへ密着して固定することが示されているといえる。
また、一般に一方の部材から他方の部材に熱を伝導させる場合、一方の部材と他方の部材との間に空隙を設けたものより、一方の部材と他方の部材とを密着させたものの方が、熱は効率よく伝導するということは、当業者にとって技術常識である。
してみると、引用発明1は、上記のとおり、背面フレームの底面(の突出部の内壁)に支持部材を嵌合させて支持し、支持部材を背面フレームに密着して固定するものであって、点状光源から発生した熱を効率よく放熱させることを目的とするものであるから、上記の技術常識も踏まえれば、引用発明1の背面フレームの底面の突出部の内壁、つまり表示パネルの背面側における背面フレームの一部を支持部材に密着するようにすることは、当業者が容易に想到し得るものである。
したがって、引用発明において、相違点1に係る本願発明の発明特定事項とすることは、当業者が容易に想到し得るものである。

イ.相違点2について
引用発明2は、上記「(2)イ.」のとおりであって、引用発明2における「液晶パネル」は、その構造、機能、作用等からみて、本願補正発明における「表示パネル」に相当し、以下同様に、「LED」は「熱源」に、「背面ケース」は「背面板」に、「ベゼル」は「前面板」に、「前面ケース」は「ミドルシャーシ」に、「液晶表示モジュール」は「表示装置」に、それぞれ相当する。
そして、引用発明2における「ベゼル」は、例えばアルミニウムやステンレス鋼等の金属からなり、LEDの発熱を、前面ケースからベゼルへ伝達して放熱するものである。
してみると、上記相違点2に係る本願補正発明の発明特定事項を備えている。
そして、引用発明1と引用発明2とは、表示装置という共通の技術分野に属し、熱源が発する熱を効果的に発散させるという共通の課題を有するものであるから、引用発明1において、引用発明2を適用することは、当業者が容易に想到し得るものである。
したがって、引用発明1において、引用発明2を適用することにより、相違点2に係る本願補正発明の発明特定事項とすることは、当業者が容易に想到し得るものである。

ウ.相違点3について
引用発明1は、「フロントフレームは、正面フレーム上に密着して配置されており」、「背面フレームと正面フレームとで形成した凹部に光源装置を嵌合させて支持し」、「点状光源から発生する熱を効率よく、支持部材に伝熱させ」と特定されているところ、フロントベゼルやフロントフレームといった部材は、通常熱伝導性を有する部材で形成されることから、点状光源から発生する熱は、支持部材から正面フレームを介してフロントフレームに伝導して放熱される蓋然性が高いといえる。
また、引用発明2における「ベゼル」は、上記「(4)イ.」のとおり、例えばアルミニウムやステンレス鋼等の金属からなり、LEDの発熱を、前面ケースからベゼルへ伝達して放熱するものである。
してみると、これらの事項に照らし、引用発明1において、支持部材が吸熱した熱を正面フレームを介してフロントフレームに伝導することは、当業者が容易に想到し得るものである。
したがって、引用発明において、相違点3に係る本願発明の発明特定事項とすることは、当業者が容易に想到し得るものである。

そして、本願補正発明の発明特定事項の全体によって奏される効果も、引用発明1、2及び上記技術常識から当業者が予測し得る範囲内のものである。

よって、本願補正発明は、引用発明1、2及び上記技術常識に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

(5)むすび
以上のとおりであって、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

3.本願の発明について
本件補正は、上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、平成24年9月18日付け手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される、以下のとおりのものである。
「画像を表示する表示パネルと、
前記表示パネルの少なくとも一辺の側面側に設けられる熱源と、
前記熱源で発生する熱を吸熱する吸熱部と、
前記表示パネルの背面側に設けられ、金属からなり、一部が前記吸熱部に密着する背面板と、
前記表示パネルの前面側に設けられ、金属からなる前面板と、
前記前面板と前記吸熱部との間に設けられ、前記吸熱部が吸熱した熱を前記前面板に伝導するミドルシャーシと、
を備える、表示装置。」

(1)引用例
原査定の拒絶の理由に引用された刊行物、及び、その記載内容は、上記「2.(2)引用例」に記載したとおりである。

(2)対比・判断
本願発明は、実質的に上記「2.(1)補正後の本願の発明」で検討した本願補正発明の「背面板」に関し、「表示パネルの背面側において」一部が吸熱部に密着するとの限定を省いたものである。

そうすると、本願発明を特定する事項の全てを含み、さらに限定したものに相当する本願補正発明が、上記「2.(3)対比」及び「2.(4)判断」に記載したとおり、引用発明1、2及び上記技術常識に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、同様の理由により、引用発明1、2及び上記技術常識に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

(3)むすび
以上のとおりであるから、本願発明は、引用発明1、2及び上記技術常識に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2014-08-13 
結審通知日 2014-08-19 
審決日 2014-09-01 
出願番号 特願2008-218501(P2008-218501)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (G02F)
P 1 8・ 575- Z (G02F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 廣田 かおり  
特許庁審判長 江成 克己
特許庁審判官 黒瀬 雅一
畑井 順一
発明の名称 表示装置  
代理人 亀谷 美明  

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