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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) A61B
管理番号 1293442
審判番号 不服2012-11843  
総通号数 180 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2014-12-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2012-06-25 
確定日 2014-10-29 
事件の表示 特願2005-303138「画像診断装置」拒絶査定不服審判事件〔平成19年 5月10日出願公開、特開2007-111112〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯

本願は、平成17年10月18日の出願であって、平成22年9月24日付けで拒絶理由が通知され、同年12月24日付けで意見書及び手続補正書が提出され、平成23年11月10日付けで拒絶理由が通知され、平成24年2月13日付けで意見書が提出されたが、同年2月24日付けで拒絶査定がなされ、これに対して、同年6月25日に拒絶査定不服審判の請求がなされ、同時に手続補正がなされ、当審において平成25年3月25日付けで前置報告についての審尋がなされ、同年6月20日に回答書が提出されたものである。

その後、当審において、平成26年1月15日付けで拒絶理由通知がなされ、同年4月18日に意見書が提出された。


第2 本願発明

本願の請求項1ないし8に係る発明は、平成24年6月25日付けの手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし8に記載された事項により特定されるとおりのものであり、そのうちの請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、請求項1に記載されている事項により特定される次のとおりのものである。

「 被検体を撮像する撮像装置と、前記撮像装置を操作する操作装置とを有する画像診断装置であって、
前記操作装置は、
1つの入力表示領域が1つの入力項目の表示領域と前記入力項目についてオペレータによって操作データが入力される操作データ入力の表示領域とが並んだ表示領域であって、前記入力表示領域が複数配置されて、それぞれの前記操作データが入力される前記複数の入力項目を表示する表示部と、
前記表示部により表示される前記複数の入力項目において前記操作データが入力される1つの入力順番に対して1つの入力項目を対応させて、前記それぞれの操作データが入力される入力順序を記憶する記憶部と、
オペレータによって前記操作データが入力される操作部とを有し、
前記表示部は、前記記憶部に記憶された前記入力順序に従って第1の入力項目を強調して表示し、オペレータによって前記操作部を用いて入力された前記第1の入力項目に対応する前記操作データが前記操作データ入力の表示領域に表示された後に、前記記憶部に記憶された前記入力順序に従って第2の入力項目を強調して表示することを繰り返して、前記記憶部に記憶された前記入力順序に対応するように、順次、前記入力項目を強調して表示する
画像診断装置。」


第3 引用例

1 当審において通知された拒絶の理由に引用され、本願の出願前に頒布された刊行物である特許第2958530号公報(以下「引用例1」という。)には、図面とともに、次の事項が記載されている(下線は、当審で付加したものである。)。

(1)第3欄45行?第4欄6行
「 上記目的を達成する本発明は、被検体に対してパルスシーケンスを実行することにより被検体の画像を生成するNMRイメージング装置であって、前記パルスシーケンスを実行するための複数のパラメータを設定する設定手段であって、該複数のパラメータは画質に影響を与える第1のパラメータと画質に与える影響が前記第1のパラメータよりも少ない第2のパラメータとを含む設定手段と、前記設定手段を用いて設定された前記第1のパラメータの変更を表わすシリーズ番号と前記設定手段を用いて設定された前記第2のパラメータの変更を表わすアクイジション番号とを表示する表示手段とを備えたことを特徴とする。」

(2)第4欄17行?第5欄1行
「(実施例)
以下、本発明について図面を参照して詳細に説明する。第1図は、本発明の一実施例を示す構成図である。マグネット1は、内部に被検体を挿入するための空間部分(孔)を有し、この空間部分を取巻くようにして、被検体に一定の静磁場を印加する静磁場コイルと、傾斜磁場を発生するための傾斜磁場コイル(傾斜磁場コイルは、x,y,zの各軸のコイルを備えている)と、被検体内の原子核のスピンを励起するための高周波パルスを与える高周波励起コイル(RF送信コイル)と、被検体からのNMR信号を検出する信号検出コイルと、静磁場の不均一を補正する補正磁場コイルとが配置されている。静磁場コイル、傾斜磁場コイル、高周波励起コイル及び補正磁場コイルは、静磁場電源2、傾斜磁場電源3、高周波パワーアンプ4及び補正磁場電源5それぞれに接続される。又、信号検出コイルは信号用アンプ6に接続される。傾斜磁場電源3と高周波パワーアンプ4は、シーケンスコントロール用コンピュータ及び発振器からなるシーケンス制御部7に接続される。信号用アンプ6は信号処理回路及びメモリからなるデータ記憶部8に接続される。演算・制御部9はシステムコントロール用コンピュータ及びデータ処理用コンピュータで構成され、シーケンス制御部7、データ記憶部8、画像表示用ディスプレイ10、シーケンス表示・入力用パネル11等に接続される。演算・制御部9は、第2図に示すようにパネル11で設定されるスキャンパラメータをシリーズ(Series)に関する群とアクイジション(Acquisition)に関する群に分けて管理する手段と、パラメータ変更時に自動的にシリーズ番号又はアクイジション番号を更新すると共に、該更新内容をパネル11に表示する手段を有する。シリーズに関する群には画質に著しい影響を与えるパラメータ、例えば基準プレーン、FOV等に関するものが集められており、アクイジションに関する群には位置、精度、S/N等に関係するパラメータ、例えばチルト、スタート位置等に関するものが集められている。」

(3)第5欄13?25行
「 第4図はパネル11を示す構成図である。第4図において、スキャンパラメータは横線20を境にしてシリーズに関する群とアクィションに関する群とに分けて配列される。即ち、横線20の上側にシリーズ番号表示部21が設けられ、これに横並びの構成で基準プレーン設定・表示部22、FOV設定・表示部23等が配置されている。一方、横線20の下側にアクイジション番号表示部31が設けられ、これに横並びの構成でチルト設定・表示部32、スタート位置設定・表示部33等が配置されている。更に、アクイジションに関する群の下に“New Patient"“Scan Technic"等の各キーが配置されている。パネルの左側には、被検体のスキャン面を立体的に表示する表示部40等が設けられている。」

(4)第5欄44?48行
「オペレータがシリーズに関するパラメータを変更すると、演算・制御部9は現在ニューシリーズかどうかの判断をし、ニューシリーズでない場合、シリーズ表示部21の番号を増加し、アクイジション番号を1にし、ニューシリーズの場合、シリーズ番号を更新しない。」

(5)【第1図】





(6)【第2図】





(7)【第4図】





2 引用例1に記載された発明の認定

(1)【第2図】には、スキャンパネル上で設定できるパラメータとして、Seriesに関する群に属するFOV、TR、TI、TE及びEcho並びにAcquisitionに関する群に属するTilt、Start Location、Slice Interval、No.of Slice、Thickness及びNo.of Excitationが記載されている。これらのパラメータは、スキャンパネル上で設定できることから、オペレータが設定するものと認める。また、実施例においては、「シーケンス表示・入力用パネル11」がスキャンパネルに相当するものと認める。

(2)【第4図】には、シリーズ番号表示部21及びFOV設定・表示部23に横並びの構成でTR設定・表示部、TI設定・表示部、TE設定・表示部及びEcho設定・表示部が配置され、アクイジション番号表示部31及びスタート位置設定・表示部33に横並びの構成でSlice Interval設定・表示部、No.of Slice設定・表示部、Thickness設定・表示部及びNo.of Excitation設定・表示部が配置されることが記載されている。

(3)また、【第4図】には、FOV設定・表示部23が、パラメータの種類を示す「FOV」と表示された領域とFOVのデータを表示する矩形の領域とが上下に並んで配置されることも記載されている。そして、TR設定・表示部、TI設定・表示部、TE設定・表示部、Echo設定・表示部、チルト設定・表示部32、スタート位置設定・表示部33、Slice Interval設定・表示部、No.of Slice設定・表示部、Thickness設定・表示部及びNo.of Excitation設定・表示部についても、パラメータの種類を表示する領域と当該パラメータのデータを表示する矩形の領域とが上下に並んで配置されることが記載されている。

(4)よって、上記記載(図面の記載も含む)から、引用例1には、

「 被検体に対してパルスシーケンスを実行することにより被検体の画像を生成するNMRイメージング装置であって、
前記パルスシーケンスを実行するための複数のパラメータを設定する設定手段を備え、
オペレータがシリーズ及びアクイジションに関するパラメータをシーケンス表示・入力用パネル11上で設定するものであり、
マグネット1は、内部に被検体を挿入するための空間部分(孔)を有し、この空間部分を取巻くようにして、被検体に一定の静磁場を印加する静磁場コイルと、傾斜磁場を発生するための傾斜磁場コイルと、被検体内の原子核のスピンを励起するための高周波パルスを与える高周波励起コイルと、被検体からのNMR信号を検出する信号検出コイルと、静磁場の不均一を補正する補正磁場コイルとが配置されており、
前記信号検出コイルは信号用アンプ6に接続され、
演算・制御部9はシステムコントロール用コンピュータ及びデータ処理用コンピュータで構成され、シーケンス制御部7、データ記憶部8、画像表示用ディスプレイ10、シーケンス表示・入力用パネル11に接続され、
前記演算・制御部9は、前記シーケンス表示・入力用パネル11で設定されるスキャンパラメータをシリーズに関する群とアクイジションに関する群に分けて管理する手段と、パラメータ変更時に自動的にシリーズ番号又はアクイジション番号を更新すると共に、該更新内容をパネル11に表示する手段を有し、
前記シーケンス表示・入力用パネル11において、スキャンパラメータは横線20を境にしてシリーズに関する群とアクイジションに関する群とに分けて配列され、横線20の上側にシリーズ番号表示部21が設けられ、これに横並びの構成でFOV設定・表示部23TR設定・表示部、TI設定・表示部、TE設定・表示部及びEcho設定・表示部が配置され、一方、横線20の下側にアクイジション番号表示部31が設けられ、これに横並びの構成でチルト設定・表示部32、スタート位置設定・表示部33、Slice Interval設定・表示部、No.of Slice設定・表示部、Thickness設定・表示部及びNo.of Excitation設定・表示部が配置されており、
各設定・表示部は、パラメータの種類を表示する領域と当該パラメータのデータを表示する矩形の領域とが上下に並んで配置されており、
前記シーケンス表示・入力用パネル11の左側には、被検体のスキャン面を立体的に表示する表示部40が設けられている
医用画像表示装置。」

の発明(以下「引用発明」という。)が記載されている。


3 当審において通知された拒絶の理由に引用され、本願の出願前に頒布された刊行物である特開平4-96119号公報(以下「引用例2」という。)には、図面とともに、次の事項が記載されている(下線は、当審で付加したものである。)。

(1)第1頁下段右欄9?14行
「 本発明の画面入力順序制御方式は、画面内に複数項目あるデータ入力処理において、複数項目のデータを入力する入力順序設定変更手段と、前記入力順序設定変更の入力順序の変更設定を行う入力順序テーブルと、その結果を出力する入力順序制御手段とを備えて構成される。」

(2)第1頁下段右欄18行?第2頁上段左欄12行
「 本発明の一実施例は第1図に示すように入力順序を格納する入力順序格納テーブル2と、入力順序を設定・変更する入力順序設定変更手段1と、入力順序を参照し制御する入力順序参照制御手段2とから構成されている。
入力順序を格納するテーブルには、画面毎の入力順序と対応項目を格納しておく。画面処理プログラムはテーブルを参照し、項目毎の入力順序を制御する。
すなわち、入力順序設定変更手段1の画面処理プログラムと、入力順序参照制御手段2の画面処理プログラムとの処理の間で、入力順序格納テーブル3に規定された順序で必要項目のデータを入力することにより、画面入力の順序が制御されるようになっている。」
ここで、「入力順序格納テーブル2」は、「入力順序格納テーブル3」の誤記と認める。

(3)第1図





4 当審において通知された拒絶の理由に引用され、本願の出願前に頒布された刊行物である特開平3-271914号公報(以下「引用例3」という。)には、図面とともに、次の事項が記載されている(下線は、当審で付加したものである。)。

(1)第2頁下段右欄20行?第3頁上段左欄20行
「 表項目の表示手段1-3が、表の項目となる加工条件の項目と、その項目に設定されている設定値を編集用テーブルから得て、表を表示装置であるディスプレイ画面に表示する。このとき、未設定の項目については、空白文字で表示することにより、その時に、設定されている加工条件の項目の値と、未設定の加工条件の項目が表により一目でわかる。この様子を第3図に示す。
データの取り出し手段1-1と、表作成手段1-2と、表項目の表示手段1-3を、オペレータが、加工条件の設定を選択した時に行う。表項目の中から、オペレータが設定したい項目を選択する。選択したい項目に、入力対象項目が移る。このとき、表中の入力対象項目がわかるように、第4図に示すように、入力対象項目となる行を色を変えて示す。この動作を、表項目入力制御手段1-4が行う。
また、表項目入力制御手段1-4は、オペレータが設定したい項目の選択を行わないときには、現在の入力対象項目となっている加工条件の設定値を入力後、入力対象項目を次の行に移す。」

(2)第4図





第4 本願発明と引用発明との対比

1 対比

本願発明と引用発明とを対比する。

(1)引用発明は「被検体に対してパルスシーケンスを実行することにより被検体の画像を生成するNMRイメージング装置」であり、「内部に被検体を挿入するための空間部分(孔)を有」する「マグネット1」及び「被検体のスキャン面を立体的に表示する表示部40」を有することから、引用発明が、本願発明の「被検体を撮像する撮像装置」に相当する構成を備えていることは明らかである。

(2)引用発明は「パルスシーケンスを実行するための複数のパラメータを設定する設定手段を備え」、「オペレータがシリーズ及びアクイジションに関するパラメータをシーケンス表示・入力用パネル11上で設定する」ことは、「NMRイメージング装置」を操作することといえるから、「シーケンス表示・入力用パネル11」を有する引用発明が、本願発明の「撮像装置を操作する操作装置」に相当する構成を備えていることは明らかである。

(3)引用発明の「NMRイメージング装置」が、本願発明の「画像診断装置」に相当する。

(4)引用発明の「パラメータの種類」が、本願発明の「入力項目」に相当するから、引用発明の「各設定・表示部」における「パラメータの種類を表示する領域」が、本願発明の「1つの入力項目の表示領域」に相当する。

(5)引用発明の「パラメータのデータ」が、本願発明の「操作データ」に相当し、引用発明の「オペレータ」が「パラメータを設定する」ことが、本願発明の「オペレータによって操作データが入力される」ことに相当し、引用発明の「各設定・表示部」における「パラメータのデータを表示する矩形の領域」は、「オペレータ」が「設定」した「パラメータ」を表示する領域であるから、本願発明の「前記入力項目についてオペレータによって操作データが入力される操作データ入力の表示領域」に相当する。

(6)上記(4)及び(5)を踏まえると、引用発明の「各設定・表示部」が「パラメータの種類を表示する領域」と「オペレータ」が「設定」する「パラメータのデータを表示する矩形の領域とが上下に並んで配置され」たものであり、「各設定・表示部」を構成する「FOV設定・表示部23TR設定・表示部、TI設定・表示部、TE設定・表示部及びEcho設定・表示部」が「横線20の上側に」、「チルト設定・表示部32、スタート位置設定・表示部33、Slice Interval設定・表示部、No.of Slice設定・表示部、Thickness設定・表示部及びNo.of Excitation設定・表示部」が「横線20の下側に」配置された「シーケンス表示・入力用パネル11」は、本願発明の「1つの入力表示領域が1つの入力項目の表示領域と前記入力項目についてオペレータによって操作データが入力される操作データ入力の表示領域とが並んだ表示領域であって、前記入力表示領域が複数配置されて、それぞれの前記操作データが入力される前記複数の入力項目を表示する表示部」に相当する構成を備えているといえる。

(7)引用発明の「シーケンス表示・入力用パネル11」は、その上で「オペレータがシリーズ及びアクイジションに関するパラメータ」を「設定する」ものであるから、本願発明の「オペレータによって前記操作データが入力される操作部」に相当する構成を備えているといえる。


2 一致点

よって、本願発明と引用発明とは、

「 被検体を撮像する撮像装置と、前記撮像装置を操作する操作装置とを有する画像診断装置であって、
前記操作装置は、
1つの入力表示領域が1つの入力項目の表示領域と前記入力項目についてオペレータによって操作データが入力される操作データ入力の表示領域とが並んだ表示領域であって、前記入力表示領域が複数配置されて、それぞれの前記操作データが入力される前記複数の入力項目を表示する表示部と、
オペレータによって前記操作データが入力される操作部とを有する
画像診断装置。」

の発明である点で一致し、次の2点で相違する。


3 相違点

(1)相違点1
操作装置が、本願発明においては、「前記表示部により表示される前記複数の入力項目において前記操作データが入力される1つの入力順番に対して1つの入力項目を対応させて、前記それぞれの操作データが入力される入力順序を記憶する記憶部」を有するのに対し、引用発明においては、そのような特定がない点。

(2)相違点2
表示部が、本願発明においては、「前記記憶部に記憶された前記入力順序に従って第1の入力項目を強調して表示し、オペレータによって前記操作部を用いて入力された前記第1の入力項目に対応する前記操作データが前記操作データ入力の表示領域に表示された後に、前記記憶部に記憶された前記入力順序に従って第2の入力項目を強調して表示することを繰り返して、前記記憶部に記憶された前記入力順序に対応するように、順次、前記入力項目を強調して表示する」のに対し、引用発明においては、そのような特定がない点。


第5 当審の判断

上記各相違点について検討する。

1 相違点1について

(1)引用例2には、
「本発明の画面入力順序制御方式は、画面内に複数項目あるデータ入力処理において、」
「入力順序を格納するテーブルには、画面毎の入力順序と対応項目を格納しておく。画面処理プログラムはテーブルを参照し、項目毎の入力順序を制御する。
すなわち、入力順序設定変更手段1の画面処理プログラムと、入力順序参照制御手段2の画面処理プログラムとの処理の間で、入力順序格納テーブル3に規定された順序で必要項目のデータを入力することにより、画面入力の順序が制御されるようになっている。」
との記載がある。
また、引用例2の第1図には、入力順序格納テーブル3が「入力・変更」欄と「項目名」欄とを有し、「入力・変更」欄の1つの数字に対して1つのデータの「項目名」を対応させた構造であることが記載されている。

引用例2において「画面内に複数」の「項目」があることは、「画面」に「複数」の「項目」が表示されることを意味し、引用例2における「画面」及び「項目」が、相違点1における「表示部」及び「入力項目」にそれぞれ相当するから、引用例2における「画面内に」表示される「複数」の「項目」は、相違点1における「前記表示部により表示される前記複数の入力項目」に相当する。

引用例2において「入力順序格納テーブル3」の「入力・変更」欄に記載された「数字」が「データ」が入力される「入力順序」を表すことは明らかであり、引用例2における「データ」、「入力順序」及び「格納する」ことが、相違点1における「操作データ」、「入力順番」及び「記憶する」ことにそれぞれ相当するから、引用例2における「入力順序格納テーブル3」が、「データ」が入力される「入力順序」を表す「数字」に対して1つのデータの「項目」名を対応させて、各「項目」の「データ」が入力される「入力順序」を格納することは、相違点1における「前記操作データが入力される1つの入力順番に対して1つの入力項目を対応させて、前記それぞれの操作データが入力される入力順序を記憶する」ることに相当する。

よって、引用例2には、「表示部により表示される複数の入力項目において操作データが入力される1つの入力順番に対して1つの入力項目を対応させて、前記それぞれの操作データが入力される入力順序を記憶する」こと(以下「引用発明2」という。)が記載されているといえる。
そして、テーブルを記憶部に記憶させることは技術常識である。

(2)複数の入力項目が同時に表示されているデータ入力処理において、入力漏れを防止するためにあらかじめ定められた順番で各項目のデータを入力するようにすることは、常とう手段である。
引用発明においても、パラメータの設定漏れを防止するためにあらかじめ定められた順番で各パラメータの設定を行うことが有効であることは、当業者にとって明らかな事項である。
そして、入力する順番をどのようにして規定するかは、当業者であれば適宜選択し得る事項である。
引用発明2は、「画面内に複数項目あるデータ入力処理」に関するものであることから、オペレータが画面を見てデータを入力する場合にも適用可能であることは明らかであり、引用発明において、引用発明2を適用することに、格別の阻害要因も技術的困難性もない。
してみると、引用発明に引用発明2を適用し、上記相違点1に係る本願発明の発明特定事項を得ることは、当業者が容易に想到し得ることである。


2 相違点2について

(1)引用例3には、
「表項目の中から、オペレータが設定したい項目を選択する。選択したい項目に、入力対象項目が移る。このとき、表中の入力対象項目がわかるように、第4図に示すように、入力対象項目となる行を色を変えて示す。」
との記載がある。
引用例3において「入力対象項目となる行を色を変えて示す」ことの目的は、入力対象となっている項目を他の項目と異なる色で表示することにより「表中の入力対象項目がわかるように」するためであるから、引用例3には、「表中の入力対象項目を強調して表示する」ことが記載されているといえる。

(2)引用発明と引用例3に記載された技術事項とは、同時に表示されている複数の入力項目に対して入力を行う点で共通するものであり、引用発明において、引用例3に記載された「入力対象項目を強調して表示する」技術事項を採用することは、格別の阻害要因も技術的困難性もなく、設計事項であるといえる。
ここで、引用発明に上記「1 相違点1について」で検討した引用例2に記載された技術事項を適用した場合、「記憶部に記憶された入力順番に従って」入力項目が切り替えられることになるから、「前記記憶部に記憶された前記入力順序に従って第1の入力項目」を入力対象項目とし、「オペレータによって前記操作部を用いて入力された前記第1の入力項目に対応する前記操作データが前記操作データ入力の表示領域に表示された後に、前記記憶部に記憶された前記入力順序に従って第2の入力項目」を入力対象項目とすることを「繰り返して、前記記憶部に記憶された前記入力順序に対応するように、順次、前記入力対象項目」を切り替えるものとなる。
よって、引用発明に引用発明2を適用した上で、さらに、引用例3に記載された技術事項を採用して入力対象項目を強調して表示するものとし、上記相違点2に係る本願発明の発明特定事項を得ることは、設計事項にすぎない。

(3)なお、請求人は上記平成26年4月18日付け意見書(「第1 手続の経緯」参照)において、「刊行物1の「NMRイメージング装置」の発明に刊行物2の技術を適用しようとした場合、第4図に示されたパネル11の、例えば、TR,TE,Echoの入力順序を定めることができるかもしれないが、刊行物3には記憶部に記憶された入力順序に従って入力項目を強調して表示することについての開示がないので、刊行物3の技術を適用しようとしても、定めた入力順序に従って例えば、TR,TE,Echoの項目を強調して表示する発明に想到することはできない」旨主張する。

しかしながら、上記のごとく、引用発明に引用発明2を適用し引用例3に記載された技術事項を採用した場合、おのずと、定めた入力順序に従ってTR,TE,Echoの項目を強調して表示する発明が得られることになるから、請求人の上記主張は採用することができない。


3 本願発明の奏する作用効果

そして、本願発明によってもたらされる効果は、引用発明並びに引用例2及び3に記載された技術事項から当業者が予測し得る程度のものである。


4 まとめ

よって、本願発明は、引用発明並びに引用例2及び3に記載された技術事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。


第6 むすび

以上のとおりであるから、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

したがって、その余の請求項に係る発明について論及するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。


よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2014-05-28 
結審通知日 2014-06-03 
審決日 2014-06-16 
出願番号 特願2005-303138(P2005-303138)
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (A61B)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 右▲高▼ 孝幸  
特許庁審判長 森林 克郎
特許庁審判官 渡戸 正義
三崎 仁
発明の名称 画像診断装置  
代理人 佐藤 隆久  

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