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審決分類 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 G09G
審判 査定不服 4項4号特許請求の範囲における明りょうでない記載の釈明 特許、登録しない。 G09G
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G09G
管理番号 1293604
審判番号 不服2013-3054  
総通号数 180 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2014-12-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2013-02-18 
確定日 2014-11-05 
事件の表示 特願2007- 27208「光源駆動方法及びその装置とこれを有する液晶表示装置」拒絶査定不服審判事件〔平成19年 8月23日出願公開、特開2007-213072〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成19年2月6日(パリ条約に基づく優先権主張、2006年2月6日、韓国)の出願であって、特許請求の範囲及び明細書について平成24年6月6日付けで補正がなされ(以下、「補正1」という。)、特許請求の範囲及び明細書について平成24年9月26日付けで補正がなされ(以下、「補正2」という。)、平成24年10月11日付けで補正2が決定をもって却下されるとともに、同日付けで拒絶査定がなされ(送達日は同年10月16日)、これに対し、平成25年2月18日に拒絶査定不服審判が請求されると同時に特許請求の範囲及び明細書についての手続補正(以下、「本件補正」という。)がなされたものである。

第2 本件補正についての補正却下の決定
[結論]
本件補正を却下する。
[理由]
1.補正の内容
本件補正は、本件補正前、すなわち補正1による補正後の特許請求の範囲について、請求項6、請求項11、請求項15及び請求項17を削除し、これに伴って請求項の項番を整理し、本件補正前の請求項1、4、7?10、12、13及び16(本件補正後の請求項1、4、6?11及び13)について補正するとともに、表記の統一を図るため、本件補正前の請求項18?20(本件補正後の請求項14?16)に記載されていた「n-1」、「n-2」を括弧書きとし、さらに、特許請求の範囲のこれらの補正と整合させるために、明細書の記載を補正するものである。
そして、請求項1についての補正は、次のとおりのものである。

(本件補正前)
「【請求項1】
画像信号の動き変化率と基準変化率とを比較する段階と、
前記動き変化率が前記基準変化率より小さいかまたは等しいと確認された場合、前記画像信号に対応する垂直同期信号に基づいて、所定オン区間を有するデジタルディミング信号及び所定レベルのアナログディミング信号を用いて光源を駆動する段階と、
前記動き変化率が前記基準変化率より大きいと確認された場合、相対的に短いオン区間を有するデジタルディミング信号及び相対的に高いレベルのアナログディミング信号を用いて前記光源を駆動する段階と、を有し、
アナログディミングは電流調光を、デジタルディミングはPWM調光を意味し、
前記動き変化率は画像が動く速度と動く面積との掛け算である画像の動きの強さの変化率であることを意味することを特徴とする光源駆動方法。

(本件補正後)
「【請求項1】
n番目フレームの画像信号が受信される時、(n-1)番目フレームの画像信号と(n-2)番目フレームの画像信号を用いて動き変化率を算出する段階と、
前記動き変化率と基準変化率とを比較する段階と、
前記動き変化率が前記基準変化率より小さいかまたは等しいと確認された場合、前記画像信号に対応する垂直同期信号に基づいて、所定オン区間を有するデジタルディミング信号及び所定の電流レベルのアナログディミング信号を用いて光源を駆動する段階と、
前記動き変化率が前記基準変化率より大きいと確認された場合、基準値より短いオン区間を有するデジタルディミング信号及び基準値より高い電流レベルのアナログディミング信号を用いて前記光源を駆動する段階と、を有し、
アナログディミングは電流調光を、デジタルディミングはPWM調光を意味し、
前記動き変化率を算出する段階は、変化率算出部が、第1画像信号と第4同期信号を受信することにより実行され、
前記変化率算出部は、前記動き変化率を含む動き変化率信号をディミング変換部に提供し、前記第4同期信号をインバータに提供し、
前記第4同期信号は垂直同期信号を含むことを特徴とする光源駆動方法。」(下線は補正箇所を明示するために当審で付した。)

よって、請求項1についての補正の内容は、次のアないしカのとおりである。

ア 「動き変化率は画像が動く速度と動く面積との掛け算である画像の動きの強さの変化率であることを意味する」との発明特定事項を削除する。

イ 「n番目フレームの画像信号が受信される時、(n-1)番目フレームの画像信号と(n-2)番目フレームの画像信号を用いて動き変化率を算出する段階」を有し、「前記動き変化率を算出する段階は、変化率算出部が、第1画像信号と第4同期信号を受信することにより実行され、前記変化率算出部は、前記動き変化率を含む動き変化率信号をディミング変換部に提供し」、「前記第4同期信号は垂直同期信号を含む」ことを発明特定事項として付加する。

ウ 「変化率算出部」が、「垂直同期信号」が含まれる「第4同期信号」を「インバータに提供」することを発明特定事項として付加する。

エ 「動き変化率が前記基準変化率より大きいと確認された場合」の「デジタルディミング信号」の有する「オン区間」を、「相対的に短いオン区間」から「基準値より短いオン区間」に補正する。

オ 「所定レベル」を「所定の電流レベル」と補正する。

カ 「動き変化率が前記基準変化率より大きいと確認された場合」の「アナログディミング信号」の「レベル」を、「相対的に高いレベル」から「基準値より高い電流レベル」と補正する。

2.検討
そこで、上記「1.補正の内容」の上記「ア」?「カ」の補正の適否について検討する。
(1)上記「ア」の補正は、本件補正前の請求項1に記載されていた「動き変化率」の内容に関する発明特定事項を削除するものであって、原査定の拒絶の理由とされた、平成24年6月22日付け拒絶理由通知書の「理由1.」「(3)請求項1等に記載される「動く面積」とはどのような面積を意味するのか日本語として明確でない。すなわち、動いた画素の総数と解釈して良いのか否か明確でない。」との指摘に対応するものである。
しかし、「明瞭でない記載の釈明」とは、その記載本来の意味内容を明らかにすることであるから、本件補正の上記「ア」のように、拒絶の理由で指摘された「動く面積」について、その記載本来の意味内容を明らかにすることをせず、「動き変化率」の内容自体を削除して拒絶の理由に対処する補正は、審理の対象を実質的に拡張・変更するものであって、特許法第17条の2第4項第4号(平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前のもの。以下、適用法の記載を省略することがある。)に掲げる事項を目的とするものとはいえない。
さらに、「ア」の補正が、特許法第17条の2第4項第1号(請求項の削除)、第2号(特許請求の範囲の減縮)、第3号(誤記の訂正)に掲げる事項を目的とするものでもないことも明らかである。
よって、「ア」の補正は、特許法第17条の2第4項第1ないし4号に掲げる事項を目的とするものではない。

(2)上記「イ」の補正は、本件補正前の「動き変化率」について、その算出手段と算出の実行タイミング、及び「動き変化率」を含む「動き変化率信号」の提供先について限定を付すものであるから、特許法第17条の2第4項第2号(特許請求の範囲の減縮)に掲げる事項を目的とするものである。

(3)上記「ウ」の補正は、本件補正前の「垂直同期信号」について限定を付すものであるから、特許法第17条の2第4項第2号(特許請求の範囲の減縮)に掲げる事項を目的とするものである。

(4)上記「エ」の補正について検討する。
本件補正前では、「動き変化率が前記基準変化率より大きいと確認された場合」の「オン区間」に関して、「相対的に短い」と記載されていた。該「相対的に短い」との記載は、原査定の拒絶の理由とされた、平成24年6月22日付け拒絶理由通知書の「理由1.」において「(1)請求項1等に記載される「相対的に短いオン区間」は、比較の対象が明確でない」と指摘されているとおり、「何に対して」「相対的に短い」ことを意味するのか曖昧な点があるとはいえ、本件補正前の請求項1全体の文意より、前記「相対的に短い」との記載の本来の意味は、「動き変化率が前記基準変化率より小さいかまたは等しいと確認された場合」の「オン区間」に対して「相対的に短い」ことであると理解するのが自然である。
これに対し、本件補正後では、「動き変化率が前記基準変化率より大きいと確認された場合」の「オン区間」が、「基準値より短い」と補正されたことの反射的効果として、「動き変化率が前記基準変化率より小さいかまたは等しいと確認された場合」の「オン区間」がどのような長さなのか、相対的にも、「基準値」との比較においても、特定できないものとなっている。
よって、本件補正前では、「動き変化率が前記基準変化率より小さいかまたは等しいと確認された場合」の「オン区間」が、「動き変化率が前記基準変化率より大きいと確認された場合」の「オン区間」より相対的に長い、との反対解釈が可能であったが、本件補正後では、上記「エ」の補正により、「動き変化率が前記基準変化率より小さいかまたは等しいと確認された場合」の「オン区間」の長さについての特定事項が実質的に省かれたものとなっている。
よって、「エ」の補正は、原査定の拒絶の理由に係る「相対的に短い」との記載について、その記載本来の意味内容を明らかにするものではなく、審理の対象を実質的に拡張・変更するものであるから、特許法第17条の2第4項第4号(明瞭でない記載の釈明)に掲げる事項を目的とするものとはいえない。
また、「エ」の補正が、特許法第17条の2第4項第1号(請求項の削除)、第2号(特許請求の範囲の減縮)、第3号(誤記の訂正)に掲げる事項を目的とするものでもないことも明らかである。
よって、「エ」の補正は、特許法第17条の2第4項第1ないし4号に掲げる事項を目的とするものではない。

(5)上記「オ」の補正は、本件補正前の請求項1に記載されていた「所定レベル」について、原査定の拒絶の理由とされた、平成24年6月22日付け拒絶理由通知書の「理由1.」「(2)請求項1等に記載される「所定レベルのアナログディミング信号」におけるレベルが、どのような物理量のレベル(例えば、電流のレベル、電圧のレベル等)を意味するのか不明。」と示された事項についてするもので、「所定レベル」の「本来の意味内容」が「所定の電流レベル」であることを明らかにするものである。
よって、上記「オ」の補正は、特許法第17条の2第4項第4号(明瞭でない記載の釈明)に掲げる事項を目的とするものである。

(6)上記(4)で述べたのと同様の理由により、「カ」の補正は、原査定の拒絶の理由に係る「相対的に高いレベル」との記載について、「その記載本来の意味内容」を明らかにするものではなく、審理の対象を実質的に拡張・変更するものであるから、特許法第17条の2第4項第4号(明瞭でない記載の釈明)に掲げる事項を目的とするものとはいえない。
また、「カ」の補正が、特許法第17条の2第4項第1号(請求項の削除)、第2号(特許請求の範囲の減縮)、第3号(誤記の訂正)に掲げる事項を目的とするものでもないことも明らかである。
よって、「カ」の補正は、特許法第17条の2第4項第1ないし4号に掲げる事項を目的とするものではない。

以上のとおり、請求項1についての本件補正は、特許法第17条の2第4項第1ないし4号に掲げる事項を目的とするものではない。

3.独立特許要件について
なお、仮に、請求項1についての本件補正が、特許法第17条の2第4項第2号(特許請求の範囲の減縮)及び第4号(明瞭でない記載の釈明)に掲げる事項を目的とするものに該当するとした場合、本件補正後の請求項1に記載された事項により特定される発明(以下、「本願補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるかについて以下に検討する。

(1)引用例記載の事項・引用発明
(1-1)記載事項
原査定の拒絶の理由に引用され、本願優先日前に頒布された刊行物である特開2003-50569号公報(出願人:株式会社日立製作所、日立デバイスエンジニアリング株式会社、公開日:平成15年2月21日)(以下、「引用例」という。)には、液晶表示装置(発明の名称)に関し、次の事項(a)ないし(j)が図面とともに記載されている(なお、丸数字の1?4を(1)?(4)と表記した。)。
(a)「【0010】それ故、本発明はこのような事情に基づいてなされたもので、その目的は、極めて簡単な構成にも拘らず、鮮明な動画像を表示することのできる液晶表示装置を提供することにある。
【0011】また、本発明の他の目的は、バックライトの消費電力を増加させることなく鮮明かつ明るい動画像を表示することのできる液晶表示装置を提供することにある。](第5頁第8欄第17?24行)

(b)「【0054】
【発明の実施の形態】以下、本発明による液晶表示装置の実施例を図面を用いて説明する。
【0055】実施例1.」(第9頁第15欄第20?23行)

(c)「〔バックライト〕液晶表示パネルモジュール400の背面にはバックライト300が配置されている。
【0097】このバックライト300はいわゆる直下型と称されるもので、図5にその詳細を示している。同図において、図中x方向に延在されy方向に並設される複数(図では8本)の等間隔に配置された線状の光源35と、この光源35からの光を前記液晶表示パネルモジュール400の側へ照射させるための反射板36とから構成されている。」(第11頁第20欄第12?20行)

(d)「《画像動き度合い検出回路》図6は前記液晶表示パネル1に表示される画像の動き度合いを検出するための回路(この明細書では画像動き度合い検出回路と称する)の一実施例を示す回路図で、この画像動き検出回路はたとえば図2に示したコントロール基板10等に搭載される。
【0113】図において、まず、階調デコーダ102があり、この階調デコーダ102に入力表示データ101が入力されるようになっている。
【0114】ここで、この入力データ101は、図示しないフレームメモリから出力されるようになっている。」(第12頁第22欄第1?11行)

(e)「【0124】このことから明らかなように、加算器104は入力表示データ101における階調の変化度合いを検出するようになっている。
【0125】すなわち、加算器104は、入力表示データ101の階調の変化度合いを検出し、その変化度合いの大小によって、該入力表示データ101が静画像であるか動画像であるか、また動画像である場合には、その動きの大小までも前記加算器104の出力で判定できるようになっている。
【0126】そして、加算器104からの出力はレジスタ105に入力されてホールドされた後にバックライト制御信号106として出力されるようになっている。
【0127】なお、前記階調レジスタ群103の各階調レジスタ、およびレジスタ105にはそれぞれ垂直同期信号107が入力され、この垂直同期信号107によって前記各階調レジスタおよびレジスタ105をリセットするようになっている。
【0128】これにより、レジスタ105からのバックライトへの制御信号は一画面に相当する入力表示データ毎に生成されるようになる。」(第13頁第23欄第4?23行)

(f)「《バックライト制御回路》図7は、前記画像動き度合い検出回路からの出力が入力され、これにより前記バックライト300の各光源35の駆動を制御するバックライト制御回路(図中点線で囲まれた部分)を示している。
【0129】同図において、画像動き度合い検出回路からの出力すなわち、バックライト制御信号106が入力される信号情報区分け回路108がある。
【0130】この信号情報区分け回路108では、該バックライト制御信号106の情報によって、(1)静画像、(2)動画像であってその動きが遅いもの、(3)動画像であってその動きが普通のもの、(4)動画像であってその動きが速いもの、の4つに区分けするようになっており、その区分けに応じた信号をインバータ109に送出するようになっている。」(第13頁第23欄第24?37行)

(g)「【0131】このインバータ109は、直流電圧を交流電圧への変換回路、電流制御回路、周波数変調回路、トランスによる昇圧回路等を含むものである。
【0132】そして、静画像の区分けに対応する信号を入力したインバータ109は、図1の(b)に示すように、バックライト300の各光源を点灯状態に維持するように制御されるようになっている。
【0133】また、動画像であってその動きが遅いものに対応する信号を入力したインバータ109は、図1の(c)に示すように、バックライト300の各光源を点灯状態と消灯状態とが繰り返すように制御されるようになっている。
【0134】また、動画像であってその動きが普通のものに対応する信号を入力したインバータ109は、図1の(d)に示すように、やはりバックライト300の各光源にて点灯状態と消灯状態とが繰り返すが、その点灯状態の時間が前者の場合よりも小さくなるように制御されるようになっている。
【0135】さらに、動画像であってその動きが速いものに対応する信号を入力したインバータ109は、図1の(e)に示すように、やはりバックライト300の各光源にて点灯状態と消灯状態とが繰り返すが、その点灯状態の時間が前者の場合よりもさらに小さくなるように制御されるようになっている。」(第13頁第23欄第38行?同頁第24欄第11行)

(h)「【0136】なお、図1において、その(a)は同期信号(データ書き換え周期:ここでは16.7ms)を示しており、動画像の場合、バックライト300は該同期信号と次の同期信号の間の期間内にて一回の点灯と一回の消灯がなされるようになっている。換言すれば、ゲート信号の入力開始時間に同期させてバックライト300の点灯と消灯を繰り返すようになっている。
【0137】また、動画像の動きが速ければ、すなわち、前記態様(2)ないし(4)になるに従い、前記バックライト300の点灯と消灯において点灯のデューティが小さくなるようになっている。
【0138】このようにすることによって、動画の視認性を向上させるとともに、動画の動きの速さに拘らず、該視認性の程度を同じにしている。
【0139】また、この場合において、動画像が表示されている場合(前記態様(2)ないし(4)の場合)において、バックライトは点灯および消灯が繰り返されるため、電力の消費を抑制することができるようになる。」(第13頁第24欄第12?29行)

(i)「【0140】図8(a)ないし(d)は、それぞれ同期信号(画像情報の伝送タイミング)、画像表示信号、バックライト300への点灯信号、バックライト300から輻射される光の輝度波形を示している。
【0141】バックライト300への点灯信号は、該バックライト300に第1電流(管電流)I_(1)をΔt_(1)の時間(第1の期間)供給させ、次いで、この第1電流よりも小さい第2電流(管電流)I_(2)(=0mA)をΔt_(2)の時間(第2の期間)供給させるようにしている。
【0142】そして、このようなバックライト300への点灯信号は同期信号と同期されているとともに、(Δt_(1)+Δt_(2))の時間は各同期信号の周期(ここでは16.7ms)と同じになっている。
【0143】この場合、前記点灯信号において、Δt_(1)=Δt_(2)の関係にある場合、50%のデューティでバックライト300に管電流を流していることになる。
【0144】そして、図8に示す第1期間Δt_(1)における電流i_(1)(6mA)を光源に供給する場合に、
(1)デューティ100%(消灯期間Δt_(2)=0)のときの輝度を100%、動画視認性を5段階評価の2とする。
(2)デューティ75%では、輝度は約80%に低下したが、バックライト300からの光がインパルス発光に近づいたため、動画視認性は3となった。
(3)デューティ50%では、輝度は約60%に低下したが、動画視認性は4となった。」(第13頁第24欄第30行?第14頁第25欄第5行)

(j)「【0145】このことから、図1に対応する図面である図9に示すように、デューティが小さくなるに従ってバックライト300の各光源に供給する管電流(輝度波高値α)を順次増大させることによって、表示面の全体における輝度の低下を回避させながら、動画視認性を向上させることができる。
【0146】さらに、デューティの変化に拘らず、バックライト300の各光源に供給する管電流の実効値を一定とするようにした場合、表示面の全体における輝度を一定にさせることができる。
【0147】図10は、表示面の輝度と動画視認性関係を示した被検者テストの結果を示すグラフである。
【0148】このグラフから明らかとなるように動画像の視認性は輝度が大きい程良好であるという現象がみられる。
【0149】このことは、上述したように、バックライト300の点灯と消灯を繰り返すことと、管電流を大きくする(輝度を大きくする)ことは、それぞれ動画像の視認性を向上させることの要素となり、デューティを小さくした場合に管電流を大きくすれば、相乗的な効果が得られる。
【0150】また、図11は、上記態様(2)ないし(4)の場合(画素ソース)において、そのいずれにおいても輝度を向上させた場合において、動画視認性の向上があることを示すグラフである。」(第14頁第25欄第6?30行)

・前記記載(d)、(e)及び図6より、
(ア)「画像動き度合い検出回路は、表示される画像の動き度合いを検出するための回路であって、フレームメモリから出力される入力表示データ101における階調の変化度合いを検出し、その変化度合いの大小によって、該入力表示データ101が静画像であるか動画像であるか、また動画像である場合には、その動きの大小を判定でき、入力表示データ101における階調の変化度合いは、バックライト制御信号106として出力され、入力された垂直同期信号107によってバックライトへの制御信号は一画面に相当する入力表示データ毎に生成される」との技術事項が読み取れる。

・前記記載(f)、(g)及び図7より、
(イ)「バックライト制御回路は、画像動き度合い検出回路からの出力が入力され、これにより前記バックライト300の各光源35の駆動を制御するもので、画像動き度合い検出回路からの出力すなわち、バックライト制御信号106が入力される信号情報区分け回路108とインバータ109とを含み、
信号情報区分け回路108では、該バックライト制御信号106の情報によって、(1)静画像、(2)動画像であってその動きが遅いもの、(3)動画像であってその動きが普通のもの、(4)動画像であってその動きが速いもの、の4つに区分けするようになっており、その区分けに応じた信号をインバータ109に送出するようになっており、インバータ109は、電流制御回路を含む、バックライト300の光源35の駆動方法」との技術事項が読み取れる。

・前記記載(g)段落より、
(ウ)「区分けに応じた信号を入力したインバータ109は、入力された信号が対応する区分けの態様に応じて、バックライト300の各光源を制御するようになっている」との技術事項が読み取れる。

・前記記載(h)より、
(エ)「インバータ109は、動画像の場合、バックライト300は同期信号(データ書き換え周期)と次の同期信号の間の期間内にて一回の点灯と一回の消灯がなされるようになっており、
動画像の動きが速ければ、すなわち、前記態様(2)ないし(4)になるに従い、前記バックライト300の点灯と消灯において点灯のデューティが小さくなるようになっている」との技術事項が読み取れる。

・前記記載(i)より、電流i_(1)(6mA)を光源に供給する場合に、デューティ100%のときの輝度を100%とすると、デューティ75%では、輝度は約80%に低下し、デューティ50%では、輝度は約60%に低下していることがわかる。よって、前記記載(i)、(j)より
(オ)「電流を光源に供給する場合に、デューティを小さくすると、輝度は低下し、管電流(輝度波高値α)を大きくすると、輝度は大きくなる」との技術事項が読み取れる。

・前記記載(i)、(j)より、
(カ)「バックライト300への点灯信号は同期信号と同期されており、デューティが小さくなるに従ってバックライト300の各光源に供給する管電流(輝度波高値α)を順次増大させることによって、表示面の全体における輝度の低下を回避させながら、動画視認性を向上させることができる」との技術事項が読み取れる。

(1-2)引用発明
以上の技術事項(ア)ないし(カ)を総合勘案すると、引用例には、次の発明が記載されているものと認められる。
「画像動き度合い検出回路は、表示される画像の動き度合いを検出するための回路であって、フレームメモリから出力される入力表示データ101における階調の変化度合いを検出し、その変化度合いの大小によって、該入力表示データ101が静画像であるか動画像であるか、また動画像である場合には、その動きの大小を判定でき、入力表示データ101における階調の変化度合いは、バックライト制御信号106として出力され、入力された垂直同期信号107によってバックライトへの制御信号は一画面に相当する入力表示データ毎に生成され、
バックライト制御回路は、前記画像動き度合い検出回路からの出力が入力され、これにより前記バックライト300の各光源35の駆動を制御するもので、画像動き度合い検出回路からの出力すなわち、バックライト制御信号106が入力される信号情報区分け回路108とインバータ109とを含み、
信号情報区分け回路108では、該バックライト制御信号106の情報によって、(1)静画像、(2)動画像であってその動きが遅いもの、(3)動画像であってその動きが普通のもの、(4)動画像であってその動きが速いもの、の4つに区分けするようになっており、その区分けに応じた信号をインバータ109に送出するようになっており、
インバータ109は、電流制御回路を含み、
前記区分けに応じた信号を入力したインバータ109は、入力された信号が対応する区分けの態様に応じて、バックライト300の各光源を制御するようになっており、
インバータ109は、動画像の場合、バックライト300は同期信号(データ書き換え周期)と次の同期信号の間の期間内にて一回の点灯と一回の消灯がなされるようになっており、
動画像の動きが速ければ、すなわち、前記態様(2)ないし(4)になるに従い、前記バックライト300の点灯と消灯において点灯のデューティが小さくなるようになっており、
電流を光源に供給する場合に、デューティを小さくすると、輝度は低下し、管電流(輝度波高値α)を大きくすると、輝度は大きくなり、
バックライト300への点灯信号は同期信号と同期されており、デューティが小さくなるに従ってバックライト300の各光源に供給する管電流(輝度波高値α)を順次増大させることによって、表示面の全体における輝度の低下を回避させながら、動画視認性を向上させることができる、
バックライト300の各光源35の駆動方法。」(以下、「引用発明」という。)

(2)対比
本願補正発明と引用発明とを対比する。
ア まず、引用発明における「フレームメモリから出力される入力表示データ101」は、「画像」の表示データであるから、本願補正発明の「フレームの画像信号」及び「第1画像信号」に相当する。

イ 次に、引用発明における「画像動き度合い検出回路」で、「画像の動き度合いを検出」することが、本願補正発明の「動き変化率を算出する」ことに相当する。

ウ 次に、引用発明における「画像動き度合い検出回路」によって、「フレームメモリから出力される入力表示データ101における階調の変化度合いを検出」することと、本願補正発明の「n番目フレームの画像信号が受信される時、(n-1)番目フレームの画像信号と(n-2)番目フレームの画像信号を用いて動き変化率を算出する」こととは、「フレームの画像信号を用いて動き変化率を算出する」点で共通する。

エ 次に、引用発明の「バックライト制御回路」の「信号情報区分け回路108」において、「画像動き度合い検出回路からの出力すなわち、バックライト制御信号106」に対して、「動きの大小を判定」することと、本願補正発明の「動き変化率と基準変化率とを比較する」こととは、「動き変化率の大小を調べる」点で共通する。

オ 次に、本願補正発明において「デジタルディミングはPWM調光を意味」するとされている。そして、引用発明において「点灯と消灯」における「」点灯のデューティ」を小さくすると「輝度」が「低下」することは、取りも直さずPWM調光を行っていることに他ならないから、引用発明における「点灯と消灯において点灯のデューティが小さくなるよう」にすることが、本願補正発明における「デジタルディミング」に相当する。また、引用発明における「点灯と消灯において点灯のデューティ」となる期間(引用例段落【0141】の「第1の期間」)が、本願補正発明における「オン区間」に相当する。

カ 次に、本願補正発明において「アナログディミングは電流調光」を意味するとされている。そして、引用発明において「電流を光源に供給する場合」に、「管電流(輝度波高値α)を大きくすると、輝度は大きく」なることは、取りも直さず電流調光を行っていることに他ならないから、引用発明において「管電流(輝度波高値α)を大きくする」ことが、本願補正発明における「アナログディミング」に相当する。

キ 次に、引用発明における「バックライト300の各光源に供給する管電流」の「輝度波高値α」が、本願補正発明の「電流レベル」に相当する。

ク 次に、引用発明における「バックライト300への点灯信号は同期信号と同期されて」いることが、本願補正発明の「画像信号に対応する垂直同期信号に基づいて」、「光源を駆動する」ことに相当する。

ケ 次に、引用発明における「画像の動き度合い」により、「動きの大小を判定」し、判定の結果、「(1)静画像、(2)動画像であってその動きが遅いもの、(3)動画像であってその動きが普通のもの、(4)動画像であってその動きが速いもの、の4つに区分けするようになっており、その区分けに応じた信号をインバータ109に送出するようになっており」、「動画像の動きが速ければ、すなわち、前記態様(2)ないし(4)になるに従い、前記バックライト300の点灯と消灯において点灯のデューティが小さくなるようになっており」、「デューティが小さくなるに従ってバックライト300の各光源に供給する管電流(輝度波高値α)を順次増大させることによって、表示面の全体における輝度の低下を回避させながら、動画視認性を向上させる」ことと、本願補正発明の「動き変化率が前記基準変化率より小さいかまたは等しいと確認された場合」、「所定オン区間を有するデジタルディミング信号及び所定の電流レベルのアナログディミング信号を用いて光源を駆動する段階」と、「前記動き変化率が前記基準変化率より大きいと確認された場合、基準値より短いオン区間を有するデジタルディミング信号及び基準値より高い電流レベルのアナログディミング信号を用いて前記光源を駆動する段階」とは、「動き変化率がより小さいと確認された場合」、「より長いオン区間を有するデジタルディミング信号及びより低い電流レベルのアナログディミング信号を用いて光源を駆動する段階と、前記動き変化率がより大きいと確認された場合、より短いオン区間を有するデジタルディミング信号及びより高い電流レベルのアナログディミング信号を用いて前記光源を駆動する段階」の点で共通する。

コ 次に、引用発明では「バックライト300への点灯信号は同期信号と同期されて」いるから、「バックライト300の各光源を制御する」「インバータ109」に、同期信号(データ書き換え周期)、つまり垂直同期信号が提供されていることは明らかである。
よって、引用発明における「インバータ109」に、同期信号(データ書き換え周期)、つまり垂直同期信号が提供されていることと、本願補正発明の「変化率算出部」は「第4同期信号をインバータに提供し」、「前記第4同期信号は垂直同期信号を含む」こととは、「第4同期信号をインバータに提供し」、「前記第4同期信号は垂直同期信号を含む」点で共通する。

サ 次に、引用発明における「画像動き度合い検出回路」が、「フレームメモリから出力される入力表示データ101」を用いて「画像の動き度合いを検出」し、「入力された垂直同期信号107」によって、「画像動き度合い検出回路からの出力すなわち、バックライト制御信号106」が「一画面に相当する入力表示データ毎に生成され」ていることが、本願補正発明における「前記動き変化率を算出する段階は、変化率算出部が、第1画像信号と第4同期信号を受信することにより実行され」、「前記第4同期信号は垂直同期信号を含む」ことに相当する。

シ 次に、引用発明における「バックライト制御回路」は、「信号情報区分け回路108」、及び「電流制御回路を含」む「インバータ109」を含み、それらによって、「画像動き度合い検出回路からの出力すなわち、バックライト制御信号106」を処理し、「点灯のデューティ」及び「管電流(輝度波高値α)」によって「バックライト300の各光源を制御」しているから、本願補正発明の「ディミング変換部」に相当する。

ス 次に、引用発明において、「画像動き度合い検出回路」が、「画像動き度合い検出回路からの出力すなわち、バックライト制御信号106」を「バックライト制御回路」に「出力」することが、本願補正発明の「変化率算出部は、前記動き変化率を含む動き変化率信号をディミング変換部に提供」することに」に相当する。

セ 以上の関係を整理すると、両者の一致点及び相違点は、以下のとおりである。
(一致点)
「フレームの画像信号を用いて動き変化率を算出する段階と、
前記動き変化率の大小を調べる段階と、
前記動き変化率がより小さいと確認された場合、前記画像信号に対応する垂直同期信号に基づいて、より長いオン区間を有するデジタルディミング信号及びより低い電流レベルのアナログディミング信号を用いて光源を駆動する段階と、
前記動き変化率がより大きいと確認された場合、より短いオン区間を有するデジタルディミング信号及びより高い電流レベルのアナログディミング信号を用いて前記光源を駆動する段階と、を有し、
アナログディミングは電流調光を、デジタルディミングはPWM調光を意味し、
前記動き変化率を算出する段階は、変化率算出部が、第1画像信号と第4同期信号を受信することにより実行され、
前記変化率算出部は、前記動き変化率を含む動き変化率信号をディミング変換部に提供し、
前記第4同期信号をインバータに提供し、
前記第4同期信号は垂直同期信号を含むことを特徴とする光源駆動方法。」

(相違点)
・相違点1:フレームの画像信号を用いて動き変化率を算出する段階について
本願補正発明では、「n番目フレームの画像信号が受信される時、(n-1)番目フレームの画像信号と(n-2)番目フレームの画像信号を用いて動き変化率を算出」しているのに対し、引用発明では、「フレームメモリから出力される入力表示データ101」(本願補正発明の「フレームの画像信号」に相当する。以下同様。)を用いて、「画像の動き度合い」(動き変化率)を「検出」(算出)することが示されているにすぎない点。

・相違点2:画像信号の動き変化率の大小を調べる段階と光源を駆動する段階とについて
本願補正発明では、「動き変化率と基準変化率とを比較する段階」と、「動き変化率が前記基準変化率より小さいかまたは等しいと確認された場合」、「所定オン区間を有するデジタルディミング信号及び所定の電流レベルのアナログディミング信号を用いて光源を駆動する段階」と、「動き変化率が前記基準変化率より大きいと確認された場合」、「基準値より短いオン区間を有するデジタルディミング信号及び基準値より高い電流レベルのアナログディミング信号を用いて前記光源を駆動する段階」とを有しているのに対し、
引用発明では、「画像の動き度合い」(動き変化率)により、「動きの大小を判定」し、判定の結果、「(1)静画像、(2)動画像であってその動きが遅いもの、(3)動画像であってその動きが普通のもの、(4)動画像であってその動きが速いもの、の4つに区分けするようになっており、その区分けに応じた信号をインバータ109に送出するようになっており」、「動画像の動きが速ければ、すなわち、前記態様(2)ないし(4)になるに従い、前記バックライト300の点灯と消灯において点灯のデューティが小さくなるようになっており」、「デューティが小さくなるに従ってバックライト300の各光源に供給する管電流(輝度波高値α)を順次増大させることによって、表示面の全体における輝度の低下を回避させながら、動画視認性を向上させ」ている点。

・相違点3:「垂直同期信号を含む」「第4同期信号をインバータに提供」する点について
本願補正発明では、「変化率算出部」が、「垂直同期信号を含む」「第4同期信号」をインバータに提供しているのに対し、引用発明では、「インバータ109」に、「同期信号(データ書き換え周期)」、つまり「垂直同期信号」が提供されていることは明らかであるものの、どこから提供されているかは明らかでない点。

(3)判断
前記相違点1ないし3について検討する。
ア 相違点1について
動きの変化の度合いを検出する際、「連続する二つのフレーム」を用いて検出することは、周知技術である(例えば、原査定の拒絶の理由に引用された、特開2000-20023号公報(段落【0018】の「また、本例のCPUにはパラメータ比較機能が備えられており、そのパラメータ比較部により現フレームの特徴パラメータと前フレームの特徴パラメータとが比較される。特徴パラメータは動き検出部及び輝度検出部から検出される値で、動き部分の面積、移動速度、画面中の位置、輝度などとされ、これらを比較することにより、前フレームと現フレームとで大きな変化がないかどうか調べられる。」との記載)、特開平9-214879号公報(段落【0050】?【0051】の「動き検出部210はディジタル動画像データ入力端子20から入力された動画像データから、動画像の動きがどれだけ激しいかを数値化し、動き情報とする。動きの激しさの尺度としては、様々なものが用いられ得る。例えば簡単な例として、連続する二つのフレームの輝度、または色の変化を評価する方法がある。」との記載)参照。)。
そして、現フレーム(n番目フレーム)の画像信号の受信中は、現フレーム(n番目フレーム)の画像信号が完全に得られていないのであるから、動きの変化の度合いを検出するのに用いる「連続する二つのフレーム」として、既に受信の完了している1フレーム前((n-1)番目フレーム)の画像信号と2フレーム前((n-2)番目フレーム)の画像信号を用いる必要があることは、いうまでもないことである(例えば、平成24年10月11日付けの補正却下の決定の理由に引用された、特開平2-171092号公報(第4頁右上欄第4?8行の「動き検出器22では第4図に示すように1フレーム前の画像信号と2フレーム前の画像信号から、該両フレーム間の被写体の動きの大きさ及び方向を検出し、動きベクトルとして動き補償器15に出力している。」との記載及び第4図)参照。)。
そして、引用発明と周知技術とは、動画像の動きの変化の度合いを検出する技術である点で共通するから、引用発明に上記周知技術を適用し、引用発明において、「フレームメモリから出力される入力表示データ101」(フレームの画像信号)を用いて、「画像の動き度合い」(動き変化率)を「検出」(算出)する際、上記相違点1に係る本願補正発明のように、現フレーム(n番目フレーム)の入力表示データ(画像信号)の受信中には、既に受信の完了している1フレーム前((n-1)番目フレーム)の入力表示データ(画像信号)と2フレーム前((n-2)番目フレーム)の入力表示データ(画像信号)を用いて、「画像の動き度合い」(動き変化率)を「検出」(算出)することは、当業者であれば、容易になし得たことである。

イ 相違点2について
ある値の大小を判定する際、その値をしきい値(基準値)と比較して「大」と「小」とに仕分けをすることは、普通に知られていることである(例えば、前記特開平9-214879号公報(段落【0053】の「もしくは、あらかじめ定められたしきい値よりも大きな数値を示す場合に動きあり、しきい値よりも小さな値を示す場合に動きなしとして、タイミング情報に動き情報を付加したのを動き情報として用いてもよい。」との記載)参照。)。
また、しきい値(基準値)と等しい値を、しきい値「以下」であるとして、「小」に仕分けすることも、普通に知られていることである。
そうすると、引用発明において、「画像の動き度合い」(動き変化率)により、「動きの大小を判定」し、判定の結果を4つに区分けすることに代え、相違点2に係る本願補正発明のように、「画像の動き度合い」(動き変化率)としきい値(基準変化率)とを比較し、前記「画像の動き度合い」(動き変化率)が前記しきい値(基準変化率)より小さいかまたは等しい場合と、前記「画像の動き度合い」(動き変化率)が前記しきい値(基準変化率)より大きい場合とに仕分けるようにし、
前記「画像の動き度合い」(動き変化率)が前記しきい値(基準変化率)より大きいと判定(確認)された場合に、前記「画像の動き度合い」(動き変化率)が前記しきい値(基準変化率)より小さいかまたは等しいと判定(確認)された場合より、バックライト300の点灯と消灯において点灯のデューティが小さくなるようにするとともに、バックライト300の各光源に供給する管電流(輝度波高値α)を増大させた信号を用いてバックライト300の各光源35を駆動すること(本願補正発明の表現に倣って言い換えると、前記「画像の動き度合い」(動き変化率)が前記しきい値(基準変化率)より小さいかまたは等しいと判定(確認)された場合には、バックライト300の点灯と消灯において点灯のデューティを所定のデューティ(所定のオン区間)とする(デジタルディミング信号)とともに、バックライト300の各光源に供給する管電流(輝度波高値α)を所定の大きさ(所定の電流レベル)とし(アナログディミング信号)、前記「画像の動き度合い」(動き変化率)が前記しきい値(基準変化率)より大きいと判定(確認)された場合には、前記バックライト300の点灯と消灯において点灯のデューティを小さくなるよう(短いオン区間)にする(デジタルディミング信号)とともに、バックライト300の各光源に供給する管電流(輝度波高値α)を増大させる(高い電流レベル)ようにし(アナログディミング信号)て、バックライト300の各光源35を駆動すること)は、当業者であれば、容易になし得たことである。
また、その際、本件補正発明のように、「点灯のデューティを小さくなるよう(短いオン区間)にする」ことを「基準値より短い」と表現し、「バックライト300の各光源に供給する管電流(輝度波高値α)を増大させる(高い電流レベル)ように」することを「基準値より高い」と表現することも、当業者であれば適宜なし得たことである。

ウ 相違点3について
引用発明において、「画像動き度合い検出回路」(動き変化率算出部)には「垂直同期信号107」が「入力され」ているのであるから、引用発明の「画像動き度合い検出回路」(動き変化率算出部)が、その「入力され」た「垂直同期信号107」(「垂直同期信号」を含む「第4同期信号」)を「インバータ109」に提供し、相違点3に係る本願補正発明のようにすることは、当業者であれば、容易になし得たことである。

そして、本願補正発明の作用効果も、引用発明及び周知技術から当業者が予測可能なものであって格別のものではない。

(4)独立特許要件についてのまとめ
したがって、本願補正発明は、引用発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

4.むすび
以上のとおり、本件補正は、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第4項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。
また、仮に、請求項1についての本件補正が、特許法第17条の2第4項第2号(特許請求の範囲の減縮)及び第4号(明瞭でない記載の釈明)に掲げる事項を目的としたものであるとしても、本件補正は、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

第3 本願発明について
(1)本願発明
本件補正は前記のとおり却下されたので、本願の請求項1ないし20に係る発明は、補正1によって補正された特許請求の範囲の請求項1ないし20に記載された事項により特定されるとおりのものと認められるところ、その請求項1に係る発明は次のとおりである。
「【請求項1】
画像信号の動き変化率と基準変化率とを比較する段階と、
前記動き変化率が前記基準変化率より小さいかまたは等しいと確認された場合、前記画像信号に対応する垂直同期信号に基づいて、所定オン区間を有するデジタルディミング信号及び所定レベルのアナログディミング信号を用いて光源を駆動する段階と、
前記動き変化率が前記基準変化率より大きいと確認された場合、相対的に短いオン区間を有するデジタルディミング信号及び相対的に高いレベルのアナログディミング信号を用いて前記光源を駆動する段階と、を有し、
アナログディミングは電流調光を、デジタルディミングはPWM調光を意味し、
前記動き変化率は画像が動く速度と動く面積との掛け算である画像の動きの強さの変化率であることを意味することを特徴とする光源駆動方法。」(以下、「本願発明」という。)

(2)引用例記載の事項・引用発明
(2-1)記載事項
原査定の拒絶の理由に引用された引用例及びその事項は、前記「第2 3.(1)(1-1)記載事項」に記載したとおりである。

・前記記載(d)、(e)及び図6より、
(ア)「画像動き度合い検出回路は、表示される画像の動き度合いを検出し、動きの大小を判定できるようにするための回路である」との技術事項が読み取れる。

・前記記載(f)、(g)及び図7より、
(イ)「バックライト制御回路は、画像動き度合い検出回路からの出力が入力され、これにより前記バックライト300の各光源35の駆動を制御するもので、画像動き度合い検出回路からの出力すなわち、バックライト制御信号106が入力される信号情報区分け回路108とインバータ109とを含み、
信号情報区分け回路108では、該バックライト制御信号106の情報によって、(1)静画像、(2)動画像であってその動きが遅いもの、(3)動画像であってその動きが普通のもの、(4)動画像であってその動きが速いもの、の4つに区分けするようになっており、その区分けに応じた信号をインバータ109に送出するようになっており、インバータ109は、電流制御回路を含む、バックライト300の光源35の駆動方法。」との技術事項が読み取れる。

・前記記載(g)より、
(ウ)「区分けに応じた信号を入力したインバータ109は、入力された信号が対応する区分けの態様に応じて、バックライト300の各光源を制御するようになっている」との技術事項が読み取れる。

・前記記載(h)より、
(エ)「インバータ109は、動画像の場合、バックライト300は同期信号(データ書き換え周期)と次の同期信号の間の期間内にて一回の点灯と一回の消灯がなされるようになっており、
動画像の動きが速ければ、すなわち、前記態様(2)ないし(4)になるに従い、前記バックライト300の点灯と消灯において点灯のデューティが小さくなるようになっている」との技術事項が読み取れる。

・前記記載(i)より、電流i_(1)(6mA)を光源に供給する場合に、デューティ100%のときの輝度を100%とすると、デューティ75%では、輝度は約80%に低下し、デューティ50%では、輝度は約60%に低下していることがわかる。よって、前記記載(i)、(j)より
(オ)「電流を光源に供給する場合に、デューティを小さくすると、輝度は低下し、管電流(輝度波高値α)を大きくすると、輝度は大きくなる」との技術事項が読み取れる。

・前記記載(i)、(j)より、
(カ)「バックライト300への点灯信号は同期信号と同期されており、デューティが小さくなるに従ってバックライト300の各光源に供給する管電流(輝度波高値α)を順次増大させることによって、表示面の全体における輝度の低下を回避させながら、動画視認性を向上させることができる」との技術事項が読み取れる。

(2-2)引用発明
以上の技術事項(ア)ないし(カ)を総合勘案すると、引用例には、次の発明が記載されているものと認められる。
「画像動き度合い検出回路は、表示される画像の動き度合いを検出し、動きの大小を判定できるようにするための回路であり、
バックライト制御回路は、前記画像動き度合い検出回路からの出力が入力され、これにより前記バックライト300の各光源35の駆動を制御するもので、画像動き度合い検出回路からの出力すなわち、バックライト制御信号106が入力される信号情報区分け回路108とインバータ109とを含み、
信号情報区分け回路108では、該バックライト制御信号106の情報によって、(1)静画像、(2)動画像であってその動きが遅いもの、(3)動画像であってその動きが普通のもの、(4)動画像であってその動きが速いもの、の4つに区分けするようになっており、その区分けに応じた信号をインバータ109に送出するようになっており、
インバータ109は、電流制御回路を含み、
前記区分けに応じた信号を入力したインバータ109は、入力された信号が対応する区分けの態様に応じて、バックライト300の各光源を制御するようになっており、
インバータ109は、動画像の場合、バックライト300は同期信号(データ書き換え周期)と次の同期信号の間の期間内にて一回の点灯と一回の消灯がなされるようになっており、
動画像の動きが速ければ、すなわち、前記態様(2)ないし(4)になるに従い、前記バックライト300の点灯と消灯において点灯のデューティが小さくなるようになっており、
電流を光源に供給する場合に、デューティを小さくすると、輝度は低下し、管電流(輝度波高値α)を大きくすると、輝度は大きくなり、
バックライト300への点灯信号は同期信号と同期されており、デューティが小さくなるに従ってバックライト300の各光源に供給する管電流(輝度波高値α)を順次増大させることによって、表示面の全体における輝度の低下を回避させながら、動画視認性を向上させることができる、
バックライト300の各光源35の駆動方法。」(以下、「引用発明1」という。)

(3)対比
本願発明と引用発明1とを対比する。
ア 引用発明1における「画像動き度合い検出回路」で検出される「画像の動き度合い」が、本願発明の「動き変化率」に相当する。

イ 次に、引用発明1の「バックライト制御回路」の「信号情報区分け回路108」において、「画像動き度合い検出回路からの出力すなわち、バックライト制御信号106」に対して、「動きの大小を判定」することと、本願発明の「画像信号の動き変化率と基準変化率とを比較する」こととは、「画像信号の動き変化率の大小を調べる」点で共通する。

ウ 次に、本願発明において「デジタルディミングはPWM調光を意味」するとされている。そして、引用発明1において「点灯と消灯」における「点灯のデューティ」を小さくすると「輝度」が「低下」することは、取りも直さずPWM調光を行っていることに他ならないから、引用発明1における「点灯と消灯において点灯のデューティが小さくなるよう」にすることが、本願発明における「デジタルディミング」に相当する。また、引用発明1における「点灯と消灯において点灯のデューティ」となる期間(引用例段落【0141】の「第1の期間」)が本願発明における「オン区間」に相当する。

エ 次に、本願発明において「アナログディミングは電流調光」を意味するとされている。そして、引用発明1において「電流を光源に供給する場合」に、「管電流(輝度波高値α)を大きくすると、輝度は大きく」なることは、取りも直さず電流調光を行っていることに他ならないから、引用発明1において「管電流(輝度波高値α)を大きくする」ことが、本願発明における「アナログディミング」に相当する。

オ 次に、引用発明1における「バックライト300の各光源に供給する管電流」の「輝度波高値α」が、本願発明の「レベル」に相当する。

カ 次に、引用発明1における「バックライト300への点灯信号は同期信号と同期されて」いることが、本願発明の「前記画像信号に対応する垂直同期信号に基づいて」、「光源を駆動する」ことに相当する。

キ 次に、引用発明1における「画像の動き度合い」により、「動きの大小を判定」し、判定の結果、「(1)静画像、(2)動画像であってその動きが遅いもの、(3)動画像であってその動きが普通のもの、(4)動画像であってその動きが速いもの、の4つに区分けするようになっており、その区分けに応じた信号をインバータ109に送出するようになっており」、「動画像の動きが速ければ、すなわち、前記態様(2)ないし(4)になるに従い、前記バックライト300の点灯と消灯において点灯のデューティが小さくなるようになっており」、「デューティが小さくなるに従ってバックライト300の各光源に供給する管電流(輝度波高値α)を順次増大させることによって、表示面の全体における輝度の低下を回避させながら、動画視認性を向上させる」ことと、本願発明の「動き変化率が前記基準変化率より小さいかまたは等しいと確認された場合」、「所定オン区間を有するデジタルディミング信号及び所定レベルのアナログディミング信号を用いて光源を駆動する段階」と、「前記動き変化率が前記基準変化率より大きいと確認された場合、相対的に短いオン区間を有するデジタルディミング信号及び相対的に高いレベルのアナログディミング信号を用いて前記光源を駆動する段階」とは、「動き変化率がより小さいと確認された場合」、「より長いオン区間を有するデジタルディミング信号及びより低いレベルのアナログディミング信号を用いて光源を駆動する段階と、前記動き変化率がより大きいと確認された場合、より短いオン区間を有するデジタルディミング信号及びより高いレベルのアナログディミング信号を用いて前記光源を駆動する段階」の点で共通する。

ク 以上の関係を整理すると、両者の一致点及び相違点は、以下のとおりである。
(一致点)
「画像信号の動き変化率の大小を調べる段階と、
前記動き変化率がより小さいと確認された場合、前記画像信号に対応する垂直同期信号に基づいて、より長いオン区間を有するデジタルディミング信号及びより低いレベルのアナログディミング信号を用いて光源を駆動する段階と、
前記動き変化率がより大きいと確認された場合、より短いオン区間を有するデジタルディミング信号及びより高いレベルのアナログディミング信号を用いて前記光源を駆動する段階と、を有し、
アナログディミングは電流調光を、デジタルディミングはPWM調光を意味することを特徴とする光源駆動方法。」

(相違点)
・相違点1:画像信号の動き変化率の大小を調べる段階と光源を駆動する段階とについて
本願発明では、「画像信号の動き変化率と基準変化率とを比較する段階」と、「前記動き変化率が前記基準変化率より小さいかまたは等しいと確認された場合」、「所定オン区間を有するデジタルディミング信号及び所定レベルのアナログディミング信号を用いて光源を駆動する段階」と、「前記動き変化率が前記基準変化率より大きいと確認された場合」、「相対的に短いオン区間を有するデジタルディミング信号及び相対的に高いレベルのアナログディミング信号を用いて前記光源を駆動する段階」とを有しているのに対し、
引用発明1では、「画像の動き度合い」(本願発明の「動き変化率」に相当する。以下同様。)により、「動きの大小を判定」し、判定の結果、「(1)静画像、(2)動画像であってその動きが遅いもの、(3)動画像であってその動きが普通のもの、(4)動画像であってその動きが速いもの、の4つに区分けするようになっており、その区分けに応じた信号をインバータ109に送出するようになっており」、「動画像の動きが速ければ、すなわち、前記態様(2)ないし(4)になるに従い、前記バックライト300の点灯と消灯において点灯のデューティが小さくなるようになっており」、「デューティが小さくなるに従ってバックライト300の各光源に供給する管電流(輝度波高値α)を順次増大させることによって、表示面の全体における輝度の低下を回避させながら、動画視認性を向上させ」ている点。

・相違点2:動き変化率の内容について
本願発明では、「動き変化率は画像が動く速度と動く面積との掛け算である画像の動きの強さの変化率であることを意味する」とされているのに対し、引用発明1では、「画像動き度合い検出回路」で検出される「画像の動き度合い」が、「画像が動く速度と動く面積との掛け算である画像の動きの強さの変化率」であることは示されていない点。

(4)判断
前記相違点1ないし2について検討する。
ア 相違点1について
ある値の大小を判定する際、その値をしきい値(基準値)と比較して「大」と「小」とに仕分けをすることは、普通に知られていることである(例えば、前記特開平9-214879号公報(段落【0053】の「もしくは、あらかじめ定められたしきい値よりも大きな数値を示す場合に動きあり、しきい値よりも小さな値を示す場合に動きなしとして、タイミング情報に動き情報を付加したのを動き情報として用いてもよい。」との記載参照。)。
また、しきい値(基準値)と等しい値を、しきい値「以下」であるとして、「小」に仕分けすることも、普通に知られていることである。
そうすると、引用発明1において、「画像の動き度合い」(動き変化率)により、「動きの大小を判定」し、判定の結果を4つに区分けすることに代え、相違点1に係る本願発明のように、「画像の動き度合い」(動き変化率)としきい値(基準変化率)とを比較し、前記「画像の動き度合い」(動き変化率)が前記しきい値(基準変化率)より小さいかまたは等しい場合と、前記「画像の動き度合い」(動き変化率)が前記しきい値(基準変化率)より大きい場合とに仕分けるようにし、
前記「画像の動き度合い」(動き変化率)が前記しきい値(基準変化率)より大きいと判定(確認)された場合に、前記「画像の動き度合い」(動き変化率)が前記しきい値(基準変化率)より小さいかまたは等しいと判定(確認)された場合より、バックライト300の点灯と消灯において点灯のデューティが小さくなるようにするとともに、バックライト300の各光源に供給する管電流(輝度波高値α)を増大させた信号を用いてバックライト300の各光源35を駆動すること(本願発明の表現に倣って言い換えると、前記「画像の動き度合い」(動き変化率)が前記しきい値(基準変化率)より小さいかまたは等しいと判定(確認)された場合には、バックライト300の点灯と消灯において点灯のデューティを所定のデューティ(所定のオン区間)とする(デジタルディミング信号)とともに、バックライト300の各光源に供給する管電流(輝度波高値α)を所定の大きさ(所定レベル)とし(アナログディミング信号)、前記「画像の動き度合い」(動き変化率)が前記しきい値(基準変化率)より大きいと判定(確認)された場合には、前記バックライト300の点灯と消灯において点灯のデューティをより小さくなるよう(相対的に短いオン区間)にする(デジタルディミング信号)とともに、バックライト300の各光源に供給する管電流(輝度波高値α)を増大させる(相対的に高いレベル)ようにし(アナログディミング信号)て、バックライト300の各光源35を駆動すること)は、当業者であれば、容易になし得たことである。

イ 相違点2について
画像の「動き」の検知が必要な技術分野において、画像の動きの強さ(激しさ)を検知するのに「動き部分の面積」と「移動速度」とを用いることは、周知技術である(この点に関して、原査定の拒絶の理由に引用された、特開2000-20023号公報(段落【0018】の「特徴パラメータは動き検出部及び輝度検出部から検出される値で、動き部分の面積、移動速度、画面中の位置、輝度などとされ、これらを比較することにより、前フレームと現フレームとで大きな変化がないかどうか調べられる。」との記載)、前記特開平9-214879号公報(「動きの激しさの尺度」に関して、段落【0051】の「画像に全く動きがない場合には0の値をとり、小さな物体が動くとき、もしくは大きな物体が少しだけ動くときには正の値をとり、さらに多くの小さな物体が動くときや大きな物体が大きく動くときなどに正の大きな値をとる。」との記載)、特開昭61-87487号公報(第1頁右下欄第5?6行の「反面,動きが大きく(面積,速度)」との記載)参照。)。
そして、「動き部分の面積」と「移動速度」とのいずれかが0のとき、すなわち画像に動きがないときに0の値をとり、「動き部分の面積」と「移動速度」とが共に大きいとき、すなわち画像の動きが強い(激しい)ときに正の大きな値をとるような指標として、もっとも簡単なものが、「動き部分の面積」と「移動速度」との積であることも、数学の一般的知識から容易に導出し得ることである。
よって、引用発明1において、「画像の動き度合い」(動き変化率)を示す指標として上記周知技術を用い、相違点2に係る本願発明のように、「動き度合い検出回路」で検出される「画像の動き度合い」(動き変化率)を、「動き部分の面積」と「移動速度」との積(画像が動く速度と動く面積との掛け算)、すなわち「画像の動きの強さの変化率」とすることは、当業者であれば、容易になし得たことである。

そして、本願発明の作用効果も、引用発明1及び周知技術から当業者が予測可能なものであって格別のものではない。

(5)むすび
以上のとおり、本願発明は、引用発明1及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、他の請求項に係る発明について審理するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2014-06-04 
結審通知日 2014-06-10 
審決日 2014-06-25 
出願番号 特願2007-27208(P2007-27208)
審決分類 P 1 8・ 574- Z (G09G)
P 1 8・ 121- Z (G09G)
P 1 8・ 575- Z (G09G)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 田中 富雄田邉 英治福村 拓  
特許庁審判長 森 竜介
特許庁審判官 中塚 直樹
清水 稔
発明の名称 光源駆動方法及びその装置とこれを有する液晶表示装置  
代理人 特許業務法人共生国際特許事務所  

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