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審決分類 審判 訂正 ただし書き3号明りょうでない記載の釈明 訂正する A63F
管理番号 1293899
審判番号 訂正2014-390120  
総通号数 181 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2015-01-30 
種別 訂正の審決 
審判請求日 2014-08-22 
確定日 2014-10-09 
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第5085110号に関する訂正審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 特許第5085110号に係る明細書及び特許請求の範囲を本件審判請求書に添付された訂正明細書及び特許請求の範囲のとおり一群の請求項ごとに訂正することを認める。 
理由
第1 手続の経緯

本件訂正審判の請求に係る特許第5085110号は、平成18年11月29日の出願であって、その請求項1ないし3に係る発明は、平成24年9月14日に特許権の設定登録がなされ、平成26年8月22日に本件訂正審判の請求がなされた。

第2 請求の趣旨及び訂正の内容

本件訂正審判の請求の趣旨は、本件訂正審判に係る特許5085110号(以下「本件特許」という。)の明細書(以下「本件特許明細書」という。)及び特許請求の範囲を、本件審判請求書に添付された訂正明細書及び特許請求の範囲のとおり一群の請求項ごとに訂正することを求めるものである。

その訂正内容は、次のとおりである(下線部は訂正箇所を示す。)。

1 訂正事項1

本件特許請求の範囲の請求項1において、

「遊技盤に設けられ、遊技球が入賞可能な始動領域と、
前記始動領域への遊技球の入賞を検出する始動領域検出手段と、
遊技球が入賞容易となる入賞容易状態と、遊技球が入賞困難となる入賞困難状態とを備える可変入賞装置と、
前記始動領域へ遊技球が入賞したことを前記始動領域検出手段が検出した際に、前記可変入賞装置を入賞困難状態から入賞容易状態に制御する可変入賞装置制御手段と、
前記可変入賞装置に入賞した遊技球が入賞可能な特定領域と、
前記特定領域への遊技球の入賞を検出する特定領域検出手段と、
前記可変入賞装置における前記入賞困難状態から入賞容易状態への所定の継続態様を1ラウンドとし、前記特定領域へ遊技球が入賞したことを前記特定領域検出手段が検出した際に、複数のラウンド数の間、前記可変入賞装置に前記所定の継続態様を繰り返させる大当り遊技状態を制御する大当り遊技状態制御手段と、
前記始動領域検出手段によって遊技球が検出されたことを条件に、前記大当り遊技状態制御手段で繰り返させる前記複数のラウンド数の上限回数を決定するラウンド上限回数決定手段と、
前記ラウンド上限回数決定手段で決定された前記複数のラウンド数の上限回数を表示するラウンド上限回数表示装置と、
前記ラウンド上限回数表示装置の表示制御を行うラウンド表示制御手段と、
遊技球が入賞容易となる入賞容易状態と、遊技球が入賞困難となる入賞困難状態とを備え、入賞容易状態となることによって前記始動領域への入賞を補助する補助可変入賞装置と、
前記補助可変入賞装置における入賞容易状態と入賞困難状態との制御を行う補助可変入賞装置制御手段と、
前記ラウンド上限回数決定手段によって特定のラウンド上限回数が決定され、かつ、前記大当り遊技状態が終了したことを条件に、単位時間あたりにおける前記補助可変入賞装置の入賞容易状態割合を増加させる補助遊技状態とする補助遊技状態制御手段と、
前記補助遊技状態であるか否かを判定する補助遊技状態判定手段と、
所定の移行条件が成立したか否かを判定する移行判定手段と、
を備え、
前記ラウンド表示制御手段は、前記補助遊技状態判定手段によって前記補助遊技状態であると判定された場合には、前記可変入賞装置制御手段が前記可変入賞装置を前記入賞困難状態から入賞容易状態に制御する前に、前記ラウンド上限回数決定手段によって決定されたラウンド上限回数を、前記ラウンド上限回数表示手段に表示させ、
前記補助遊技状態制御手段は、前記移行判定手段によって前記所定の移行条件が成立したと判定され、かつ前記特定領域検出手段によって遊技球が検出された場合に、当該特定領域検出手段による遊技球の入賞の検出に基づいて制御される前記大当り遊技状態が終了した後、前記補助遊技状態とすることを特徴とする遊技機。」

とあるのを、

「遊技盤に設けられ、遊技球が入賞可能な始動領域と、
前記始動領域への遊技球の入賞を検出する始動領域検出手段と、
遊技球が入賞容易となる入賞容易状態と、遊技球が入賞困難となる入賞困難状態とを備える第一及び第二可変入賞装置と、
前記始動領域へ遊技球が入賞したことを前記始動領域検出手段が検出した際に、前記第一及び第二可変入賞装置をそれぞれ異なる確率で入賞困難状態から入賞容易状態に制御する可変入賞装置制御手段と、
前記第一可変入賞装置に入賞した遊技球が入賞可能な特定領域と、
前記特定領域への遊技球の入賞を検出する特定領域検出手段と、
前記第二可変入賞装置における前記入賞困難状態から入賞容易状態への所定の継続態様を1ラウンドとし、前記特定領域へ遊技球が入賞したことを前記特定領域検出手段が検出した際に、複数のラウンド数の間、前記第二可変入賞装置に前記所定の継続態様を繰り返させる大当り遊技状態を制御する大当り遊技状態制御手段と、
前記始動領域検出手段によって遊技球が検出されたことを条件に、前記大当り遊技状態制御手段で繰り返させる前記複数のラウンド数の上限回数を決定するラウンド上限回数決定手段と、
前記ラウンド上限回数決定手段で決定された前記複数のラウンド数の上限回数を表示するラウンド上限回数表示装置と、
前記ラウンド上限回数表示装置の表示制御を行うラウンド表示制御手段と、
遊技球が入賞容易となる入賞容易状態と、遊技球が入賞困難となる入賞困難状態とを備え、入賞容易状態となることによって前記始動領域への入賞を補助する補助可変入賞装置と、
前記補助可変入賞装置における入賞容易状態と入賞困難状態との制御を行う補助可変入賞装置制御手段と、
前記ラウンド上限回数決定手段によって特定のラウンド上限回数が決定され、かつ、前記大当り遊技状態が終了したことを条件に、単位時間あたりにおける前記補助可変入賞装置の入賞容易状態割合を増加させる補助遊技状態とする補助遊技状態制御手段と、
前記補助遊技状態であるか否かを判定する補助遊技状態判定手段と、
所定の移行条件が成立したか否かを判定する移行判定手段と、
を備え、
前記ラウンド表示制御手段は、前記補助遊技状態判定手段によって前記補助遊技状態であると判定された場合には、前記可変入賞装置制御手段が前記第一可変入賞装置を前記入賞困難状態から入賞容易状態に制御する前に、前記ラウンド上限回数決定手段によって決定されたラウンド上限回数を、前記ラウンド上限回数表示手段に表示させ、
前記補助遊技状態制御手段は、前記移行判定手段によって前記所定の移行条件が成立したと判定され、かつ前記特定領域検出手段によって遊技球が検出された場合に、当該特定領域検出手段による遊技球の入賞の検出に基づいて制御される前記大当り遊技状態が終了した後、前記補助遊技状態とすることを特徴とする遊技機。」

と訂正する。

2 訂正事項2

本件特許請求の範囲の請求項2において、

「遊技球が所定の遊技球通過可能領域を通過することを条件に、前記可変入賞装置を入賞容易状態にさせるか否かの開放判定を行う開放判定手段と、
前記大当り遊技状態が終了した後、前記開放判定手段によって行われた開放判定回数を計数する開放判定回数計数手段と、をさらに備え、
前記移行判定手段は、前記開放判定回数計数手段によって計数された開放判定回数が、所定開放判定回数に到達したときに、前記所定の移行条件が成立したと判定する請求項1に記載の遊技機。」

とあるのを、

「遊技球が所定の遊技球通過可能領域を通過することを条件に、前記第一可変入賞装置を入賞容易状態にさせるか否かの開放判定を行う開放判定手段と、
前記大当り遊技状態が終了した後、前記開放判定手段によって行われた開放判定回数を計数する開放判定回数計数手段と、をさらに備え、
前記移行判定手段は、前記開放判定回数計数手段によって計数された開放判定回数が、所定開放判定回数に到達したときに、前記所定の移行条件が成立したと判定する請求項1に記載の遊技機。」

と訂正する。

3 訂正事項3

本件特許明細書の段落【0007】において、

「 上記課題を解決した本発明に係る遊技機は、遊技盤に設けられ、遊技球が入賞可能な始動領域と、始動領域への遊技球の入賞を検出する始動領域検出手段と、遊技球が入賞容易となる入賞容易状態と、遊技球が入賞困難となる入賞困難状態とを備える可変入賞装置と、始動領域へ遊技球が入賞したことを始動領域検出手段が検出した際に、可変入賞装置を入賞困難状態から入賞容易状態に制御する可変入賞装置制御手段と、可変入賞装置に入賞した遊技球が入賞可能な特定領域と、特定領域への遊技球の入賞を検出する特定領域検出手段と、可変入賞装置における入賞困難状態から入賞容易状態への所定の継続態様を1ラウンドとし、特定領域へ遊技球が入賞したことを特定領域検出手段が検出した際に、複数のラウンド数の間、可変入賞装置に所定の継続態様を繰り返させる大当り遊技状態を制御する大当り遊技状態制御手段と、始動領域検出手段によって遊技球が検出されたことを条件に、大当り遊技状態制御手段で繰り返させる複数のラウンド数の上限回数を決定するラウンド上限回数決定手段と、ラウンド上限回数決定手段で決定された複数のラウンド数の上限回数を表示するラウンド上限回数表示装置と、ラウンド上限回数表示装置の表示制御を行うラウンド表示制御手段と、遊技球が入賞容易となる入賞容易状態と、遊技球が入賞困難となる入賞困難状態とを備え、入賞容易状態となることによって始動領域への入賞を補助する補助可変入賞装置と、補助可変入賞装置における入賞容易状態と入賞困難状態との制御を行う補助可変入賞装置制御手段と、ラウンド上限回数決定手段によって特定のラウンド上限回数が決定され、かつ、大当り遊技状態が終了したことを条件に、単位時間あたりにおける補助可変入賞装置の入賞容易状態割合を増加させる補助遊技状態とする補助遊技状態制御手段と、補助遊技状態であるか否かを判定する補助遊技状態判定手段と、所定の移行条件が成立したか否かを判定する移行判定手段と、を備え、ラウンド表示制御手段は、補助遊技状態判定手段によって補助遊技状態であると判定された場合には、可変入賞装置制御手段が可変入賞装置を入賞困難状態から入賞容易状態に制御する前に、ラウンド上限回数決定手段によって決定されたラウンド上限回数を、ラウンド上限回数表示手段に表示させ、補助遊技状態制御手段は、移行判定手段によって所定の移行条件が成立したと判定され、かつ特定領域検出手段によって遊技球が検出された場合に、当該特定領域検出手段による遊技球の入賞の検出に基づいて制御される大当り遊技状態が終了した後、補助遊技状態とするものである。」

とあるのを、

「 上記課題を解決した本発明に係る遊技機は、遊技盤に設けられ、遊技球が入賞可能な始動領域と、前記始動領域への遊技球の入賞を検出する始動領域検出手段と、遊技球が入賞容易となる入賞容易状態と、遊技球が入賞困難となる入賞困難状態とを備える第一及び第二可変入賞装置と、前記始動領域へ遊技球が入賞したことを前記始動領域検出手段が検出した際に、前記第一及び第二可変入賞装置をそれぞれ異なる確率で入賞困難状態から入賞容易状態に制御する可変入賞装置制御手段と、前記第一可変入賞装置に入賞した遊技球が入賞可能な特定領域と、前記特定領域への遊技球の入賞を検出する特定領域検出手段と、前記第二可変入賞装置における前記入賞困難状態から入賞容易状態への所定の継続態様を1ラウンドとし、前記特定領域へ遊技球が入賞したことを前記特定領域検出手段が検出した際に、複数のラウンド数の間、前記第二可変入賞装置に前記所定の継続態様を繰り返させる大当り遊技状態を制御する大当り遊技状態制御手段と、前記始動領域検出手段によって遊技球が検出されたことを条件に、前記大当り遊技状態制御手段で繰り返させる前記複数のラウンド数の上限回数を決定するラウンド上限回数決定手段と、前記ラウンド上限回数決定手段で決定された前記複数のラウンド数の上限回数を表示するラウンド上限回数表示装置と、前記ラウンド上限回数表示装置の表示制御を行うラウンド表示制御手段と、遊技球が入賞容易となる入賞容易状態と、遊技球が入賞困難となる入賞困難状態とを備え、入賞容易状態となることによって前記始動領域への入賞を補助する補助可変入賞装置と、前記補助可変入賞装置における入賞容易状態と入賞困難状態との制御を行う補助可変入賞装置制御手段と、前記ラウンド上限回数決定手段によって特定のラウンド上限回数が決定され、かつ、前記大当り遊技状態が終了したことを条件に、単位時間あたりにおける前記補助可変入賞装置の入賞容易状態割合を増加させる補助遊技状態とする補助遊技状態制御手段と、前記補助遊技状態であるか否かを判定する補助遊技状態判定手段と、所定の移行条件が成立したか否かを判定する移行判定手段と、を備え、前記ラウンド表示制御手段は、前記補助遊技状態判定手段によって前記補助遊技状態であると判定された場合には、前記可変入賞装置制御手段が前記第一可変入賞装置を前記入賞困難状態から入賞容易状態に制御する前に、前記ラウンド上限回数決定手段によって決定されたラウンド上限回数を、前記ラウンド上限回数表示手段に表示させ、前記補助遊技状態制御手段は、前記移行判定手段によって前記所定の移行条件が成立したと判定され、かつ前記特定領域検出手段によって遊技球が検出された場合に、当該特定領域検出手段による遊技球の入賞の検出に基づいて制御される前記大当り遊技状態が終了した後、前記補助遊技状態とするものである。」

と訂正する。

4 訂正事項4

本件特許明細書の段落【0011】において、

「 また、遊技球が所定の遊技球通過可能領域を通過することを条件に、前記可変入賞装置を入賞容易状態にさせるか否かの開放判定を行う開放判定手段と、前記大当り遊技状態が終了した後、前記開放判定手段によって行われた開放判定回数を計数する開放判定回数計数手段と、をさらに備え、前記移行判定手段は、前記開放判定回数計数手段によって計数された開放判定回数が、所定開放判定回数に到達したときに、所定の移行条件が成立したと判定する態様とすることができる。」

とあるのを、

「 また、遊技球が所定の遊技球通過可能領域を通過することを条件に、前記第一可変入賞装置を入賞容易状態にさせるか否かの開放判定を行う開放判定手段と、前記大当り遊技状態が終了した後、前記開放判定手段によって行われた開放判定回数を計数する開放判定回数計数手段と、をさらに備え、前記移行判定手段は、前記開放判定回数計数手段によって計数された開放判定回数が、所定開放判定回数に到達したときに、前記所定の移行条件が成立したと判定する態様とすることができる。」

と訂正する。

第3 当審の判断

1 訂正事項1及び訂正事項2について

(1)訂正の目的の適否について

ア 本件訂正前の請求項1及び請求項2の記載では、遊技球が入賞容易となる入賞容易状態と、遊技球が入賞困難となる入賞困難状態とを備える部材を一律に「可変入賞装置」と表現しているが、本件特許明細書の段落【0024】に記載された「可変入賞装置である第1大入賞口11」及び「可変入賞装置である第2大入賞口12」はその機能、作用がそれぞれ異なるから、発明の構成が不明瞭となっていた。

イ 本件特許明細書の段落【0024】には「さらに、始動入賞口9Aのやや下側位置に可変入賞装置である第1大入賞口11が設けられており、始動入賞口9Aの上方であって、遊技盤4の上端部近傍位置には、可変入賞装置である第2大入賞口12が設けられている。」と記載されている。
本件特許明細書の段落【0025】には「第1始動入賞口9Aまたは第2始動入賞口9Bへの遊技球の入賞は、大当り判定用乱数値の抽出および第2大入賞口12の開放のトリガーとされており、始動入賞口スイッチ9Sが遊技球を検出すると、主制御回路30におけるメインCPU31は、大当り判定用乱数値を抽出するとともに、第2大入賞口12の開放制御を行う。」と記載されている。
本件特許明細書の段落【0027】には「第1大入賞口11は、いわゆるアタッカー式の開閉装置であり、メインCPU31が特定の大当り判定用乱数値を抽出するか、第2大入賞口12に入賞した遊技球が入賞可能な位置に配設された特定領域であるVゾーン14Aに遊技球が入賞することにより、閉じているシャッタが所定の態様で開閉する。」と記載されている。
本件特許明細書の段落【0028】には「第1大入賞口11は、遊技球が入球(入賞)すると、所定数の遊技球(たとえば10個)が賞球として払出されるトリガーとなる入賞口とされている。また、第1大入賞口11は、開状態と閉状態との一回の開閉動作を1ラウンドとした開閉動作を行う。」と記載されている。
本件特許明細書の段落【0029】には「第2大入賞口12は、いわゆるアタッカー式の開閉装置であり、第1始動入賞口9Aまたは第2始動入賞口9Bに遊技球が入賞することにより、閉じているシャッタが開放され、一定時間開放した後に閉鎖される。」と記載されている。
本件特許明細書の段落【0045】には「メインCPU31は、大当り遊技状態において、決定されたラウンド数の間、第1大入賞口11の開放制御を行う。1ラウンドにおける第1大入賞口11の開放制御では、第1大入賞口11に10個の遊技球の入賞があるか、第1大入賞口11が開放してから所定時間、たとえば25秒経過した後、第1大入賞口11を閉鎖する制御を行う。」と記載されている。
本件特許明細書の段落【0048】には「メインCPU31は、始動入賞口スイッチ9Sが遊技球の入賞を検出して検出信号を送信し、主制御回路30がその検出信号を受信した場合に、図8に示す特別図柄決定テーブルを用いた大当り抽選を行う。大当り抽選では、大当り判定用乱数カウンタを用いて「0」?「9972」の中から一つの大当り判定用乱数値を抽出する。」と記載されている。
本件特許明細書の段落【0054】には「また、メインCPU31は、遊技状態が時短遊技状態である場合には、始動入賞口9A,9Bに遊技球が入賞した場合、第2大入賞口12が開放する前に、ラウンド数決定抽選によって決定されたラウンド数を図柄表示装置16bに表示させる。」と記載されている。
図8の特別図柄決定テーブルには、32/9973あるいは33/9973の確率で第1大当りとなることが記載されている。

ウ 上記段落【0024】,【0027】,【0029】の記載より、アタッカー式の開閉装置である第2大入賞口12(「第一可変入賞装置」)及び第1大入賞口11(「第二可変入賞装置」)が遊技盤に設けられているから、遊技機が「遊技球が入賞容易となる入賞容易状態と、遊技球が入賞困難となる入賞困難状態とを備える第一及び第二可変入賞装置」を備えることは明らかである。

エ 上記段落【0027】,【0029】,【0048】,図8の記載より、第1始動入賞口9Aまたは第2始動入賞口9B(「始動領域」)に遊技球が入賞した場合に、第2大入賞口12(「第一可変入賞装置」)のシャッタは開放され、第1大入賞口11(「第二可変入賞装置」)のシャッタは32/9973あるいは33/9973の確率で開放されているから、「前記始動領域へ遊技球が入賞したことを前記始動領域検出手段が検出した際に、前記第一及び第二可変入賞装置をそれぞれ異なる確率で入賞困難状態から入賞容易状態に制御する」ことは明らかである。

オ 上記段落【0027】の記載より、第2大入賞口12(「第一可変入賞装置」)に入賞した遊技球が入賞可能な位置にVゾーン14A(「特定領域」)が配設されているから、遊技機が「前記第一可変入賞装置に入賞した遊技球が入賞可能な特定領域」を備えることは明らかである。

カ 上記段落【0027】,【0028】,【0045】の記載より、Vゾーン14A(「特定領域」)に遊技球が入賞することにより、第1大入賞口11(「第二可変入賞装置」)の開状態と閉状態との一回の開閉動作を1ラウンドとした開閉動作が、決定されたラウンド数の間行われているから、「前記第二可変入賞装置における前記入賞困難状態から入賞容易状態への所定の継続態様を1ラウンドとし、前記特定領域へ遊技球が入賞したことを前記特定領域検出手段が検出した際に、複数のラウンド数の間、前記第二可変入賞装置に前記所定の継続態様を繰り返させる大当り遊技状態を制御する」ことは明らかである。

キ 上記段落【0054】の記載より、メインCPU31は遊技状態が時短遊技状態(「補助遊技状態」)である場合に、第2大入賞口12(「第一可変入賞装置」)が開放される前に、ラウンド数(「ラウンド上限回数」)を表示させているから、「前記ラウンド表示制御手段は、前記補助遊技状態判定手段によって前記補助遊技状態であると判定された場合には、前記可変入賞装置制御手段が前記第一可変入賞装置を前記入賞困難状態から入賞容易状態に制御する前に、前記ラウンド上限回数決定手段によって決定されたラウンド上限回数を、前記ラウンド上限回数表示手段に表示させ」ることは明らかである。

ク 上記段落【0025】の記載より、第1始動入賞口9Aまたは第2始動入賞口9B(「始動領域」)へ遊技球が入賞すると、メインCPU31は第2大入賞口12(「第一可変入賞装置」)の開放制御を行っているから、「遊技球が所定の遊技球通過可能領域を通過することを条件に、前記第一可変入賞装置を入賞容易状態にさせるか否かの開放判定を行う」ことは明らかである。

ケ したがって、訂正事項1及び訂正事項2は、「可変入賞装置」という不明瞭な記載のある本件訂正前の請求項1及び2の記載を、本件特許明細書の段落【0024】,【0025】,【0027】?【0029】,【0045】,【0048】,【0054】及び図8の記載にしたがって、「第一可変入賞装置」及び「第二可変入賞装置」の区別が明瞭になるように訂正するものであるから、特許法第126条第1項ただし書第3号に規定される「明瞭でない記載の釈明」を目的とするものである。

(2)訂正が本件特許明細書、特許請求の範囲又は図面(以下「本件特許明細書等」という。)に記載した事項の範囲内のものであるか否かについて

上記(1)の検討によれば、訂正事項1及び訂正事項2は、本件特許明細書等に記載した事項又は記載した事項から自明の事項であり、本件特許明細書等に記載した事項の全ての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入しないものであるから、訂正事項1及び訂正事項2は、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてするものである。

したがって、訂正事項1及び訂正事項2は特許法第126条第5項の規定に適合するものである。

(3)訂正が実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものであるか否かについて

上記(1)の検討によれば、訂正事項1及び訂正事項2は、本件特許明細書における記載事項を追加するものでも、本件特許の特許請求の範囲における構成要件を削除するものでも、請求項を追加するものでも、本件特許明細書における実施例を追加するものでもなく、また、カテゴリーや対象、目的を変更するものでもないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。

したがって、訂正事項1及び訂正事項2は、特許法第126条第6項の規定に適合するものである。

2 訂正事項3及び訂正事項4について

(1)訂正の目的の適否について

訂正事項3及び訂正事項4は、上記第2「1 訂正事項1」及び「2 訂正事項2」の訂正により、本件訂正前の請求項1及び2における訂正を行った結果、記載表現が一致しなくなった本件特許明細書の段落【0007】及び【0011】の記載を、訂正後の請求項1及び2の記載に整合させるための訂正であるから、特許法第126条第1項ただし書第3号に規定される「明瞭でない記載の釈明」を目的とするものである。

(2)訂正が本件特許明細書等に記載した事項の範囲内のものであるか否かについて

上記1(2)の検討と同様に、訂正事項3及び訂正事項4は、本件特許明細書等に記載した事項又は記載した事項から自明の事項であり、本件特許明細書等に記載した事項の全ての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入しないものであるから、訂正事項3及び訂正事項4は、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてするものである。

したがって、訂正事項3及び訂正事項4は特許法第126条第5項の規定に適合するものである。

(3)訂正が実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものであるか否かについて

上記1(3)の検討と同様に、訂正事項3及び訂正事項4は、本件特許明細書における記載事項を追加するものでも、本件特許の特許請求の範囲における構成要件を削除するものでも、請求項を追加するものでも、本件特許明細書における実施例を追加するものでもなく、また、カテゴリーや対象、目的を変更するものでもないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。

したがって、訂正事項3及び訂正事項4は特許法第126条第6項の規定に適合するものである。

第4 むすび

以上のとおり、本件訂正審判の請求は、特許法第126条第1項ただし書第3号に掲げる事項を目的とし、かつ、同条第5項及び第6項の規定に適合する。

よって、結論のとおり審決する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
遊技機
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
弾球遊技機であるパチンコ遊技機において、遊技者は、多くの賞球を得ることを目的として遊技を行う。また、パチンコ遊技機では、賞球の払出に波を持たせることにより、遊技球の獲得パターンが単調にならないようにして遊技性を向上させるようにしている。従来、賞球の払出に波を持たせたパチンコ遊技機として、短時間で大量の賞球が得られるようにした可変入賞装置を設けたものが知られている(たとえば、特許文献1、2)。
【0003】
このようなパチンコ遊技機には、可変入賞装置のほかに始動入賞口が設けられており、始動に入賞口に遊技球が入賞することにより、可変入賞装置が開放される。また、可変入賞装置には、遊技球が入賞することにより大当り状態となる特定領域(いわゆるVゾーン)が設けられている。大当り遊技状態となると、可変入賞装置の所定回数の開放または可変入賞装置への遊技球の所定数の入賞を1ラウンドとした複数ラウンドの可変入賞装置の開放が行われる。また、このラウンド数は、大当り遊技状態となった後、所定のラウンド数表示装置に表示されることによって遊技者に報知される。
【特許文献1】特開2002-11171号公報
【特許文献2】特開平10-94643号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1、2に開示されたパチンコ遊技機では、その性質上、大当り遊技状態に移行することによって初めて遊技者が獲得する遊技球が増大し、大当り遊技状態に移行しない場合には、遊技球が徐々に減少することになる。このため、遊技者は、遊技球を特定領域に入賞させることにより、大当り遊技状態へ移行させることを目指して遊技を行うこととなる。
【0005】
ところが、実際には、可変入賞装置に遊技球が入賞しなかったり、可変入賞装置に遊技球が入賞したとしても、特定遊技領域に遊技球が入賞しなかったりして、遊技者は、多くの遊技球を損失してしまうことがある。このように、大当り遊技状態に移行することなく、遊技球の損失を続けていると、遊技者の遊技意欲の減退を招き、遊技機の稼動を低下させてしまうという問題があった。
【0006】
そこで、本発明の課題は、大当り遊技状態に移行することなく遊技球を大量に損失することによる遊技意欲の減退を防止し、稼動の低下を防止することができる遊技機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決した本発明に係る遊技機は、遊技盤に設けられ、遊技球が入賞可能な始動領域と、前記始動領域への遊技球の入賞を検出する始動領域検出手段と、遊技球が入賞容易となる入賞容易状態と、遊技球が入賞困難となる入賞困難状態とを備える第一及び第二可変入賞装置と、前記始動領域へ遊技球が入賞したことを前記始動領域検出手段が検出した際に、前記第一及び第二可変入賞装置をそれぞれ異なる確率で入賞困難状態から入賞容易状態に制御する可変入賞装置制御手段と、前記第一可変入賞装置に入賞した遊技球が入賞可能な特定領域と、前記特定領域への遊技球の入賞を検出する特定領域検出手段と、前記第二可変入賞装置における前記入賞困難状態から入賞容易状態への所定の継続態様を1ラウンドとし、前記特定領域へ遊技球が入賞したことを前記特定領域検出手段が検出した際に、複数のラウンド数の間、前記第二可変入賞装置に前記所定の継続態様を繰り返させる大当り遊技状態を制御する大当り遊技状態制御手段と、前記始動領域検出手段によって遊技球が検出されたことを条件に、前記大当り遊技状態制御手段で繰り返させる前記複数のラウンド数の上限回数を決定するラウンド上限回数決定手段と、前記ラウンド上限回数決定手段で決定された前記複数のラウンド数の上限回数を表示するラウンド上限回数表示装置と、前記ラウンド上限回数表示装置の表示制御を行うラウンド表示制御手段と、遊技球が入賞容易となる入賞容易状態と、遊技球が入賞困難となる入賞困難状態とを備え、入賞容易状態となることによって前記始動領域への入賞を補助する補助可変入賞装置と、前記補助可変入賞装置における入賞容易状態と入賞困難状態との制御を行う補助可変入賞装置制御手段と、前記ラウンド上限回数決定手段によって特定のラウンド上限回数が決定され、かつ、前記大当り遊技状態が終了したことを条件に、単位時間あたりにおける前記補助可変入賞装置の入賞容易状態割合を増加させる補助遊技状態とする補助遊技状態制御手段と、前記補助遊技状態であるか否かを判定する補助遊技状態判定手段と、所定の移行条件が成立したか否かを判定する移行判定手段と、を備え、前記ラウンド表示制御手段は、前記補助遊技状態判定手段によって前記補助遊技状態であると判定された場合には、前記可変入賞装置制御手段が前記第一可変入賞装置を前記入賞困難状態から入賞容易状態に制御する前に、前記ラウンド上限回数決定手段によって決定されたラウンド上限回数を、前記ラウンド上限回数表示手段に表示させ、前記補助遊技状態制御手段は、前記移行判定手段によって前記所定の移行条件が成立したと判定され、かつ前記特定領域検出手段によって遊技球が検出された場合に、当該特定領域検出手段による遊技球の入賞の検出に基づいて制御される前記大当り遊技状態が終了した後、前記補助遊技状態とするものである。
【0008】
本発明に係る遊技機においては、大当り遊技状態に移行していないことに関する回復条件が成立した場合には、可変入賞装置を入賞困難状態から入賞容易状態に制御する前に、ラウンド上限回数決定手段によって決定されたラウンド上限回数を、ラウンド上限回数表示手段に表示させている。このため、遊技者は、大当り遊技状態に移行せず、多くの遊技球を損失した後であれば、入賞容易状態に制御される前に大当り遊技状態に移行した後のラウンド上限回数を認識することができる。したがって、ラウンド上限回数が多い場合に、可変入賞装置への入賞を目指して遊技球の発射操作を行うことによってラウンド上限回数が多い大当り遊技状態に移行させやすくなる。したがって、損失した遊技球の補填を図りやすくすることができる。しかも、大当り遊技状態に移行せず、多くの遊技球を損失した後には、単位時間あたりにおける補助可変入賞装置の入賞容易状態割合を増加させる補助遊技状態に移行するので、ラウンド上限回数表示が少ない場合に、可変入賞装置に向けた発射操作を中止したとしても、遊技球の大きな損失を防止することができる。したがって、大当り遊技状態に移行することなく遊技球を大量に損失することによる遊技意欲の減退を防止することができる。よって、遊技機の稼動の低下を防止することができる。
【0011】
また、遊技球が所定の遊技球通過可能領域を通過することを条件に、前記第一可変入賞装置を入賞容易状態にさせるか否かの開放判定を行う開放判定手段と、前記大当り遊技状態が終了した後、前記開放判定手段によって行われた開放判定回数を計数する開放判定回数計数手段と、をさらに備え、前記移行判定手段は、前記開放判定回数計数手段によって計数された開放判定回数が、所定開放判定回数に到達したときに、前記所定の移行条件が成立したと判定する態様とすることができる。
【0012】
この場合には、可変入賞装置を入賞容易状態にさせるか否かの開放判定を所定回数行った場合に大当り遊技状態に移行すると、その後に回復条件が成立して、ラウンド上限回数表示手段に上限ラウンド回数が表示される。このため、大当り遊技状態に移行するまでに多くの遊技球を損失した場合に、その損失分の補填を行うことができる。したがって、大当り遊技状態に移行することなく遊技球を大量に損失することによる遊技意欲の減退を防止することができ、遊技機の稼動の低下を防止することができる。
【0013】
さらに、遊技球が所定の遊技球通過可能領域を通過することを条件に、乱数値を抽出する乱数抽出手段、をさらに備え、移行判定手段は、乱数抽出手段によって抽出された乱数値に基づいて、所定の移行条件が成立したか否かを判定する態様とすることができる。
【0014】
この場合には、所定の移行条件が成立したときに大当り遊技状態に移行すると、その後に回復条件が成立して、ラウンド上限回数表示手段に上限ラウンド回数が表示される。このため、大当り遊技状態に移行するまでに多くの遊技球を損失した場合に、その損失分の補填を行うことができる。したがって、大当り遊技状態に移行することなく遊技球を大量に損失することによる遊技意欲の減退を防止することができ、遊技機の稼動の低下を防止することができる。さらには、所定の移行条件が成立したか否か明確に表示されることはない。このため、遊技者から見ると、大当り遊技状態が終了した後、長期間大当り遊技状態に移行していない場合には、所定の移行条件が成立している可能性は高くなるものの、確実に所定の移行条件が成立しているとは限らない。したがって、たとえば遊技性の知識に乏しい遊技者が、多くの遊技球を得るために有利な所定の移行条件成立後の遊技状態中に遊技を終了してしまい、遊技性の知識が豊富な遊技者が所定の移行条件成立後の遊技状態にある遊技機を遊技するという可能性を低くすることができる。したがって、遊技性の知識によらず、多くの遊技者に対して平等に近くなる遊技性を有する遊技機を提供することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係る遊技機によれば、大当り遊技状態に移行することなく遊技球を大量に損失することによる遊技意欲の減退を防止し、稼動の低下を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の好適な実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、図面の説明において、同一または相当要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。図1は本発明の第1の実施形態に係るパチンコ遊技機を正面側から示す斜視図、図2は図1に示すパチンコ遊技機の分解斜視図、図3は図1に示すパチンコ遊技機を背面側から示す斜視図、図4は図2に示す遊技盤の正面図、図5は遊技盤を背面側から示す斜視図、図6は遊技盤の側断面図である。
【0017】
(遊技機の構成)
図1に示すパチンコ遊技機1は、遊技場(ホール)の所定の設置枠に収容されて設置される外枠2を備えている。外枠2の正面側には、外枠2に対して回動可能に設けられたベースドア(内枠)3が配設され、ベースドア3内には、図2に示す遊技盤4が組み込まれている。また、外枠2の正面には、フロント扉5が設けられている。フロント扉5は、遊技盤4の正面を覆うとともに、ベースドア3の正面側に回動可能に設置されている。
【0018】
また、パチンコ遊技機1には、プリペイドカードなどが挿入されると、当該プリペイドカードの残高に応じて、遊技球が貸し出されるように構成されたカードユニット84が隣接して併設されている。
【0019】
フロント扉5は、その中央の略全域にガラス板5aを備え、その内側の遊技盤4が視認可能な構成とされている。フロント扉5の下部には、カードユニット84のカード返却操作や遊技球の貸し出し(玉貸し)操作等を行う玉貸し操作関連ボタンを有する玉貸し操作パネル28が設けられている。また、この玉貸し操作パネル28には、所定の操作を行う決定ボタン20aおよび選択ボタン20b,20cが設けられている。
【0020】
また、フロント扉5の下側には、外枠2に対して開閉可能な皿パネル6が設置されている。この皿パネル6の正面側には、カードユニット84により貸し出された遊技球および後述する入賞口に入球した場合に払い出される遊技球を受け止める上皿6aと、この上皿6aの満杯時に球出口6dの内方で溢れた遊技球を受け止める下皿6bと、この下皿6bの右側に設けられた発射ハンドル6cと、が配置されている。
【0021】
発射ハンドル6cは、上皿6aに受け止められている遊技球を発射するためのもので、皿パネル6に対して回動自在に設けられ、遊技者は発射ハンドル6cを操作することによりパチンコ遊技を進めることができる。この発射ハンドル6cが遊技者によって握持され、かつ、時計回り方向へ回動操作されたときに、その回動角度に応じて、発射ハンドル6cの背面側に設けられた発射モータに電力が供給され、遊技球が遊技盤4に順次発射される。
【0022】
図4に示すように、遊技盤4の左側にはガイドレール7が設けられており、ガイドレール7の先端には、遊技球の戻りを防止するストッパ7Aが取り付けられている。また、遊技盤4の前面には、多数の遊技釘8が打ち込まれている。図4においては、釘としていわゆるはかま釘のみを図示しているが、釘は遊技盤4の表面全体に打ち込まれており、その図示は省略している。発射ハンドル6cを操作して発射された遊技球は、ガイドレール7により案内され、遊技盤4の上部に移動し、その後、遊技釘8等との衝突によりその進行方向を変えながら遊技盤4の下方に向かって流下する。
【0023】
遊技盤4には、遊技状態において遊技球が流下する領域となる遊技領域4a(図2参照)が形成されており、この遊技領域4a内に、遊技球の流下方向を変更させる多数の遊技釘が設けられている。また、図4に示すように、遊技領域4a上において、遊技盤面を左右に仕切る中心線上であって、高さ方向の中央部には第1始動入賞口9Aが設けられている。さらに、第1始動入賞口9Aの左右位置には、第2始動入賞口9Bがそれぞれ第1始動入賞口9Aを軸として対称となる位置に配置されて設けられている。これらの第1始動入賞口9Aおよび第2始動入賞口9Bが本発明の始動領域を構成する。さらに、その中心線の左側であって高さ方向の中央部および右下方部には、それぞれ普通図柄作動ゲート10が設けられている。
【0024】
さらに、始動入賞口9Aのやや下側位置に可変入賞装置である第1大入賞口11が設けられており、始動入賞口9Aの上方であって、遊技盤4の上端部近傍位置には、可変入賞装置である第2大入賞口12が設けられている。また、遊技領域4aの中央部下端部には、アウト口13が設けられており、始動入賞口9Aの側方には、一般入賞口12a?12dが設けられている。
【0025】
第1始動入賞口9Aおよび第2始動入賞口9Bには、遊技球が入賞可能とされている。第1始動入賞口9Aおよび第2始動入賞口9Bには、それぞれ始動領域検出手段である始動入賞口スイッチ9S(図7)が設けられており、第1始動入賞口9Aまたは第2始動入賞口9Bに遊技球が入賞することにより、始動入賞口スイッチ9Sが遊技球を検出する。第1始動入賞口9Aまたは第2始動入賞口9Bへの遊技球の入賞は、大当り判定用乱数値の抽出および第2大入賞口12の開放のトリガーとされており、始動入賞口スイッチ9Sが遊技球を検出すると、主制御回路30におけるメインCPU31は、大当り判定用乱数値を抽出するとともに、第2大入賞口12の開放制御を行う。したがって、大当り判定を行う回数と、第2大入賞口12の開放制御の回数とは同数となる。メインCPU31は、開放判定回数計数手段および可変入賞装置制御手段を構成する。
【0026】
普通図柄作動ゲート10は、遊技球が通過可能な通過ゲートとされている。普通図柄作動ゲート10には、作動ゲートスイッチ10Sが設けられており、普通図柄作動ゲート10を遊技球が通過することにより、作動ゲートスイッチ10Sが遊技球を検出する。普通図柄作動ゲート10の遊技球の通過は普通当り判定用乱数値を抽出するトリガーとされている。この普通当り判定用乱数値の抽出により普通図柄の当り判定を行い、当り判定に当選した場合に、普通図柄Nに当り普通図柄を表示するとともに、始動入賞口9Aに具備されている1対の羽根9a,9aが所定秒数の間開放する。始動入賞口9Aの羽根9aが本発明の補助可変入賞装置となる。また、羽根9aが開放した状態が本発明の入賞容易状態となり、羽根9aが閉鎖した状態が本発明の入賞困難状態となる。
【0027】
第1大入賞口11は、いわゆるアタッカー式の開閉装置であり、メインCPU31が特定の大当り判定用乱数値を抽出するか、第2大入賞口12に入賞した遊技球が入賞可能な位置に配設された特定領域であるVゾーン14Aに遊技球が入賞することにより、閉じているシャッタが所定の態様で開閉する。このシャッタが開いている状態が遊技球を受け入れやすい開状態となり、シャッタが閉じている状態が遊技球を受け入れ難い閉状態となる。この開状態が本発明の入賞容易状態となり、閉状態が本発明の入賞困難状態となる。
【0028】
第1大入賞口11は、遊技球が入球(入賞)すると、所定数の遊技球(たとえば10個)が賞球として払出されるトリガーとなる入賞口とされている。また、第1大入賞口11は、開状態と閉状態との一回の開閉動作を1ラウンドとした開閉動作を行う。ここでの1ラウンド中における開状態としては、1ラウンド中大入賞口11が一定時間開放し続ける状態のほか、1ラウンド中に開閉を断続的または間欠的に継続して、結果として遊技球を受け入れやすくする状態も含むものである。
【0029】
第2大入賞口12は、いわゆるアタッカー式の開閉装置であり、第1始動入賞口9Aまたは第2始動入賞口9Bに遊技球が入賞することにより、閉じているシャッタが開放され、一定時間開放した後に閉鎖される。このシャッタが開いている状態が遊技球を受け入れやすい開状態となり、シャッタが閉じている状態が遊技球を受け入れ難い閉状態となる。第1大入賞口11と同様、開状態が本発明の入賞容易状態となり、閉状態が本発明の入賞困難状態となる。
【0030】
一般入賞口12a?12dは、遊技球が入球(入賞)すると、所定数の遊技球(たとえば10個)が賞球として払出されるトリガーとなる入賞口とされている。これらの一般入賞口12a?12dは、透光性基板15に設けられている。一般入賞口12a?12dは、遊技球が入球(入賞)すると、所定数の遊技球(たとえば10個)が賞球として払出されるトリガーとなる入賞口とされている。
【0031】
アウト口13は、始動入賞口9A、大入賞口11,12、一般入賞口12a?12dなどの何れにも入球しなかった遊技球を受け入れるものである。
【0032】
また、遊技盤4は、透光性を有する透光性基板15からなっている。この透光性基板15は、たとえばポリカーボネートなどの合成樹脂あるいはその他の透明な部材(透光性部材)で形成された透明部を有している。ここで、「透明な部材」とは、その部材を通して対象を視認可能な程度に光透過率が高いものをいう。本実施形態の遊技領域4aはその大半が透明遊技領域となっている。この透光性基板15には、遊技釘が少なくともその先端部を埋設されて固定され、この透光性基板15とフロント扉5のガラス板5aにより形成された領域が遊技領域4aとなっている。
【0033】
遊技盤4の背面側には、図5および図6に示すように、複数の突起部4Xが形成されている。これらの突起部4Xは、遊技盤4と同一のポリカーボネートなどの合成樹脂あるいはその他の透明な部材によって遊技盤4と一体的に成形されている。さらに、遊技盤4の背面側における下方半分位置には、Vゾーン入賞部材14が設けられている。Vゾーン入賞部材14は、箱方の部材からなり、その上面に特定領域となるVゾーン14Aおよびはずれ穴14Bが形成されている。第2大入賞口12に入賞した遊技球は、突起部4Xとの衝突によりその進行方向を変えながら遊技盤4の下方に向かって流下し、Vゾーン14Aまたははずれ穴14Bに入球する。
【0034】
透光性基板15の背面側には、図2に示すように、各種の画像を表示する大画面の表示領域16aを備えた表示手段である液晶表示装置16が配置されている。また、透光性基板15と液晶表示装置16との間には、透明な液晶保護部材17が介在されている。液晶表示装置16に表示された画像は、透光性基板15における下方部分を除いた部分を通して、遊技者がパチンコ遊技機1の正面側から視認できるようになっている。
【0035】
液晶表示装置16における表示領域16aには、Vゾーン14Aの位置を表示するV画像16Vおよびはずれ穴14Bの位置を表示するはずれ画像16Hが表示されている。また、表示領域16aにおけるこれらの表示の上方位置には、キャラクタCの画像が表示されており、始動入賞口9A,9Bや大入賞口11,12、Vゾーン14Aへの遊技球の入賞等に応じて、様々な演出を行う。また、表示領域16aには、その他にも背景画像等が表示される。
【0036】
さらに、表示領域16aには、Vゾーン14Aに遊技球が入賞して大当り遊技状態に移行した際に、第1大入賞口11が開放制御されるラウンド数の上限回数を示すラウンド数表示Pがなされる。ラウンド数上限回数は、通常時は変動表示されており、Vゾーン14Aに入賞した際、あるいは、後に説明する条件下で始動入賞口9A,9Bに遊技球が入賞した際に停止表示される。液晶表示装置16は、本発明ラウンド上限回数表示装置を構成する。
【0037】
さらに、パチンコ遊技機1は、図2に示すように、液晶表示装置16の上方に、所定の遊技状態となったことを遊技者に報知する効果音や音声などを出力するスピーカ18L,18R、図4に示すように、遊技盤4の下部に、所定の遊技状態となったことを所定のパターンで点灯・消灯することによって報知する装飾ランプ19L,19R、上述したカードユニット84により貸し出された遊技球および始動入賞口9A、大入賞口11,12、一般入賞口12a?12dにより賞球された遊技球を上皿6aに払い出す払出装置81(図7参照)等を具備している。
【0038】
また、パチンコ遊技機1の背面側には、図3に示すように、複数のラウンド数の間、可変入賞装置に所定の継続態様を繰り返させる大当り遊技状態への移行制御などを行う主制御回路30を備える主制御基板21、映像および音声等の演出を制御する副制御回路40を備える副制御基板22、遊技球の払出・発射を制御する払出・発射制御回路80を備える払出・発射制御基板23、電源を供給する電源供給ユニット24、および電源スイッチ25が、それぞれ配置されている。
【0039】
さらに、表示領域16aには、特別図柄を変動表示させる保留球数(特別図柄保留個数)を報知する4つの特別図柄保留ランプR1?R4が表示されており、遊技領域4aの左下部には、特別図柄J、普通図柄N、およびラウンド図柄Sを表示する図柄表示装置16bが設けられている。特別図柄Jは、大当りか否かの判定の結果を示す図柄であり、7セグメントが備えられたセグメント表示装置からなる。特別図柄Jとしては、「F」、「H」、「-」の3種類の図柄が表示される。また、普通図柄表示装置は、特別図柄Jの表示位置の右下方に配置された2つのLEDランプからなる。これらのLEDランプは異なる色で点灯および点滅し、最終的に点灯されたLEDによって普通図柄を表示する。ラウンド図柄Sは、7セグメントが備えられたセグメント表示装置を2つ並べた表示装置からなり、後に説明するラウンド数抽選で決定されたラウンド数を表示する。ラウンド図柄Sを表示する図柄表示装置16bも、ラウンド上限回数表示装置を構成する。さらに、図柄表示装置16bにおける普通図柄Nの表示位置の右上方には、普通図柄を変動表示させる保留球数(普通図柄保留個数)を報知する普通図柄保留ランプr1?r4が設けられている。
【0040】
これらの特別図柄Jのうち、「F」、「H」が大当り図柄となる。これらの大当り図柄、「F」、「H」が表示された場合には、第1大当りとなって大当り遊技状態に移行し、大当り遊技状態が終了した後に本発明の補助遊技状態である時短遊技状態に移行する。また、「-」ははずれ特別図柄となる。さらに、普通図柄Nとしては、左側のLEDランプが赤く点灯したときにはずれ普通図柄となり、右側のLEDランプが緑色に点灯したときに当り普通図柄となる。
【0041】
図7は、図1?図6に示すパチンコ遊技機1の内部の構成を中心に示すブロック構成図である。パチンコ遊技機1は、上述した主制御回路30、副制御回路40、払出・発射制御回路80、電源供給ユニット24を中心に複数の構成要素を有し、この電源供給ユニット24は、主制御回路30、副制御回路40および払出・発射制御回路80にそれぞれ接続され各々への電力供給が可能とされている。主制御回路30は、1チップマイコンより構成されているメインCPU(Central Processing Unit)31、メインROM(Read Only Memory)32およびメインRAM(Random Access Memory)33を有し、他に初期リセット回路34とコマンド出力ポート35を有している。
【0042】
メインCPU31は、後述する第1カウントスイッチ11CSなどから遊技球の検出信号を入力する一方、メインROM32に記憶されている制御プログラムにしたがい作動して、パチンコ遊技機1における大当り抽選や、賞球排出といったパチンコ遊技機1全体の動作制御を司り、コマンド出力ポート35を介して副制御回路40に各種のコマンドを送信する。メインCPU31は、大当り抽選の結果や遊技状態の消化、あるいはVスイッチ14Sによる遊技球の検出の有無などにより、大当り遊技状態、通常遊技状態(非補助遊技状態)、および時短遊技状態との間を移行制御している。メインCPU31は、本発明の大当り遊技状態制御手段を構成する。
【0043】
また、遊技状態として設定された時短遊技状態では、通常遊技状態よりも普通図柄の変動時間を短縮する。こうして、始動入賞口9Aの羽根9aを開きやすくし、場合によっては普通図柄の当選確率を高く設定して、さらに始動入賞口9Aの羽根9aを開きやすくして第1始動入賞口9Aへの入賞割合を高めている。こうして、単位時間あたりにおける第1始動入賞口9Aの羽根9aの入賞容易状態割合を増加させる。本実施形態では、ラウンド数の上限回数として15回が選択された場合の大当り遊技状態が終了した後、100回の特別図柄の変動表示があるまで時短遊技状態が継続する。こうして、短時間で多くの大当り抽選を行うことを可能とするとともに、第2大入賞口12の開放回数を増加させることにより、結果として大当り遊技状態に移行しやすくしている。メインCPU31は、本発明の補助遊技状態制御手段を構成する。
【0044】
さらに、メインCPU31は、通常遊技状態または時短遊技状態にある際、始動入賞口9A,9Bに遊技球が入賞した場合に、大当り抽選およびラウンド数決定抽選を行うとともに、第2大入賞口12の開放制御を行う。メインCPU31は、開放判定手段を構成する。メインCPU31は、大当り抽選に当選した場合には、15ラウンド、Vゾーン14Aに入賞した場合にはラウンド数決定抽選で決定されたラウンド数を上限ラウンド数とする大当り遊技状態に遊技状態を移行する。メインCPU31は、大当り遊技状態に移行した際に、第1大入賞口11の開放制御を行う。メインCPU31は、本発明のラウンド上限回数決定手段を構成する。さらにメインCPU31は、始動入賞口9A,9Bに遊技球が入賞した際、後に説明するタイミングでラウンド上限回数を表示する。メインCPU31は、ラウンド表示制御手段を構成する。
【0045】
メインCPU31は、大当り遊技状態において、決定されたラウンド数の間、第1大入賞口11の開放制御を行う。1ラウンドにおける第1大入賞口11の開放制御では、第1大入賞口11に10個の遊技球の入賞があるか、第1大入賞口11が開放してから所定時間、たとえば25秒経過した後、第1大入賞口11を閉鎖する制御を行う。
【0046】
また、メインCPU31は、普通図柄作動ゲート10を遊技球が通過した際に、普通当り判定用乱数値を抽出して普通当り判定を行う。普通当り判定に当選すると、遊技状態によって設定された所定の開放態様で第1始動入賞口9Aの羽根9a,9aの開放制御を行う。メインCPU31は、本発明の補助可変入賞装置制御手段を構成する。
【0047】
メインROM32には、メインCPU31が実行する制御プログラムと、恒久的なデータが記憶されている。具体的には、図8に示す特別図柄決定テーブル、図9に示す高確率遊技回数決定テーブル、図10に示すラウンド数決定テーブル等が記憶されている。さらに、メインRAM33は、メインCPU31が作動する際に用いるデータやプログラムが一時的に記憶されるようになっている。このメインRAM33に、図柄指定コマンドおよび変動パターンコマンドなどの各種コマンドを副制御回路40に送信するための送信バッファが設けられている。また、メインRAM33には、大当り抽選や普通当り判定の結果に応じたデータを記憶する始動記憶領域、始動記憶領域から転送される特別図柄や普通図柄に応じたデータを記憶する特別図柄領域や普通図柄記憶領域、さらには、大当り遊技状態に移行した際の確率状態フラグを記憶する確率状態記憶領域が設けられている。
【0048】
メインCPU31は、始動入賞口スイッチ9Sが遊技球の入賞を検出して検出信号を送信し、主制御回路30がその検出信号を受信した場合に、図8に示す特別図柄決定テーブルを用いた大当り抽選を行う。大当り抽選では、大当り判定用乱数カウンタを用いて「0」?「9972」の中から一つの大当り判定用乱数値を抽出する。低確率遊技状態の際に抽出した大当り判定用乱数値があらかじめ設定された32個の乱数値のうちいずれかである場合に「大当り」となり、高確率遊技状態の際に抽出した大当り判定用乱数値が予め設定された33個の乱数値のうちいずれかである場合に「大当り」となり、それ以外の場合には「ハズレ」となる。さらに、メインCPU31は、大当り抽選の結果を特別図柄決定テーブルに参照して特別図柄を選択し、特別図柄決定テーブルから選択された特別図柄を図柄表示装置16bに表示させる。
【0049】
また、メインCPU31は、大当り抽選を行う際に、大当り図柄抽選も同時に行っている。大当り図柄抽選では、大当り図柄決定用乱数(0?9)から1つを取得する。ここで取得された乱数が0?4の場合には、特別図柄「F」を選択して図柄表示装置16bに表示させる。また、取得された乱数が5?9の場合には、特別図柄「H」を選択して図柄表示装置16bに表示させる。なお、大当り図柄抽選は、大当り抽選によって大当りと判定された際に行う態様とすることもできる。
【0050】
他方、始動入賞口9A,9Bに遊技球が入賞し、大当り抽選に当選しなかった場合には特別図柄決定テーブルから「-」を選択し、図4および図6に示す図柄表示装置16bに特別図柄として表示させる。この場合、取得された大当り図柄決定用乱数は不要となるので破棄される。
【0051】
さらに、メインCPU31は、選択された図柄に基づいて、図柄指定コマンドを決定する。具体的に、選択された図柄が「F」である場合には、図柄指定コマンドをTz00とする。また、選択された図柄が「H」である場合には、図柄指定コマンドをTz01と決定する。さらに、選択された図柄が「-」である場合には、図柄指定コマンドをTz02と決定する。主制御回路30は、メインCPU31で決定した図柄指定コマンドをメインRAM33に設けられた送信バッファにセットする。
【0052】
また、メインCPU31は、大当り抽選を行う際、図9に示す高確率遊技回数決定テーブルを参照して転落判定を同時に行う。転落判定では、転落判定用カウンタによって、大当たり遊技状態が終了した後に行われた大当り抽選の回数をカウントする。転落判定用カウンタは、大当り遊技状態に移行した際にクリアされ、転落判定用カウンタがクリアされる前に転落判定用カウンタのカウント回数が333回に到達した場合に、遊技状態を高確率遊技状態から低確率遊技状態に移行させる。また、転落判定用カウンタのカウント回数が333回に到達すると、第2大入賞口12の開放回数も333回に到達することになる。また、遊技状態を低確率遊技状態に移行させた後は、大当り遊技状態に移行するまで、低確率遊技状態を維持する。メインCPU31は、本発明の終了判定手段、回復条件判定手段、および回復条件成立保持手段を構成し、低確率遊技状態の継続中が本発明の所定期間となる。また、第2大入賞口12の開放回数としての333回が所定開放判定回数となる。
【0053】
さらに、メインCPU31は、始動入賞口9A,9Bに入賞した遊技球を始動入賞口スイッチ9Sが検出して検出信号を送信し、主制御回路30がその検出信号を受信した場合に、図10に示すラウンド数決定テーブルを用いてラウンド数決定抽選を行い、ラウンド数の上限回数を決定する。ラウンド数決定抽選では、ラウンド数決定用乱数カウンタを用いて「0」?「7」の中から1つのラウンド数決定用乱数を抽出する。ここで抽出された乱数値が「0」?「1」の場合には、最大ラウンド数として15ラウンドを決定する。また、抽出された乱数値が「2」?「4」の場合には、最大ラウンド数として7ラウンドを決定し、抽出された乱数値が「5」?「7」の場合には、最大ラウンド数として2ラウンドを決定する。主制御回路30は、メインCPU31で決定した最大ラウンド数に対応する最大ラウンド数コマンドをメインRAM33に設けられた送信バッファ33にセットする。
【0054】
また、メインCPU31は、遊技状態が時短遊技状態である場合には、始動入賞口9A,9Bに遊技球が入賞した場合、第2大入賞口12が開放する前に、ラウンド数決定抽選によって決定されたラウンド数を図柄表示装置16bに表示させる。本実施形態では、メインCPU31は、本発明の所定条件成立保持手段を構成し、時短遊技状態への移行が遊技に関する遊技関連所定条件を構成する。時短遊技状態への移行は、低確率遊技状態中に大当り抽選に当選して大当り遊技状態に移行した場合に、大当り遊技状態が終了した後に行われる。したがって、高確率遊技状態中に大当り遊技状態に移行することなく低確率遊技状態に移行することが、本発明の回復条件となる。
【0055】
さらに、メインCPU31は、始動入賞口スイッチ9Sが遊技球を検出した場合に、第2大入賞口12を開放させる開放制御を行う。また、メインCPU31は、大当り抽選の結果の大当りである場合や、Vスイッチ14Sが遊技球を検出した場合には、第1大入賞口11の開閉制御を行う。第1大入賞口11の開閉制御では、第1大入賞口11の開状態と閉状態との1回の開閉動作を1ラウンドとして、大当り抽選の結果として定められたラウンド数またはラウンド数決定手段によって決定されたラウンド数の上限回数に到達するまで第1大入賞口11の開閉動作の駆動制御を行う。
【0056】
また、メインCPU31は、図11に示す特別図柄変動パターンテーブルを参照して、変動パターン決定抽選を行う。変動パターン決定抽選では、変動パターン決定用乱数カウンタを用いて複数の変動パターン決定乱数から1つの変動パターン決定乱数値を取得する。ここで取得された変動パターン決定乱数値のほか、大当り抽選の当落、現在の遊技状態を図11に示す変動パターンテーブルに参照して、変動パターンコマンドを決定するとともに、変動パターンコマンドに対応する変動時間および演出内容を決定する。主制御回路30は、メインCPU31で決定した変動パターンコマンドをメインRAM33に設けられた送信バッファにセットする。
【0057】
さらに、メインCPU31は、図12に示すラウンド表示時間決定テーブルを参照してラウンド表示時間決定抽選を行う。ラウンド表示時間決定抽選では、ラウンド表示時間用乱数カウンタを用いて「0」?「7」の中から1つのラウンド表示時間用乱数値を抽出する。遊技状態が時短遊技状態である際にここで抽出された乱数値が「0」?「3」の場合には、ラウンド数の表示時間を0.5秒に決定するとともに、ラウンド表示時間コマンドRt2を決定する。また、抽出された乱数値が「4」?「7」の場合には、ラウンド数の表示時間を1.0秒に決定するとともに、ラウンド表示時間コマンドRt3を決定する。このように、抽出された乱数値に応じてラウンド数の表示時間が決定される。他方、遊技状態が通常遊技状態または大当り遊技状態にある場合には、抽出した乱数値を廃棄する。メインCPU31は、遊技状態が時短遊技状態にある場合、始動入賞口スイッチ9Sが遊技球を検出した後、ラウンド表示時間決定抽選によって決定された時間が経過した後に、ラウンド数を図柄表示装置16bに表示させる。このとき、主制御回路30は、メインCPU31で決定したラウンド表示時間コマンドをメインRAM33に設けられた送信バッファにセットする。また、遊技状態が通常遊技状態にある場合には、始動入賞口スイッチ9Sが遊技球を検出した場合でも、ラウンド数表示を変動表示させたままとする。通常遊技状態中でVゾーン14Aに遊技球が入賞した場合には、その後にラウンド数表示が停止表示される。さらに、遊技状態が大当り遊技状態である際には、大当り遊技状態に移行した際に停止表示されていたラウンド数表示がなされる。なお、本実施形態では、通常遊技状態にある場合には、ラウンド数表示を変動表示させたままとしているが、第2大入賞口12の閉鎖後にラウンド数が表示されるように、ラウンド数の表示時間を第2入賞口12の閉鎖後の時間よりも長い時間に設定することもできる。
【0058】
さらに、メインCPU31は、図13に示す始動入賞口羽根開放態様決定テーブルを参照して第1始動入賞口9Aにおける羽根9aの開放態様決定抽選を行う。この開放態様決定抽選では、開放態様決定用乱数カウンタを用いて複数の乱数値の中から1つの乱数値を抽出する。ここで抽出された乱数値が、予め設定された所定の当選乱数値である場合には、羽根9aを開放させる制御が行われる。開放態様は、通常遊技状態と時短遊技状態とで相違し、両者の主な相違点は普通図柄の変動時間並びに羽根9aの開放回数および開放時間とされている。時短遊技状態では、通常遊技状態と比較して、第1始動入賞口9Aの羽根9aの開放時間が長く、開放までの間の時間間隔が短く、開放の回数が多く設定されるとともに、普通大当り確率が高く設定されている。また、当選乱数値は、非当選乱数値を含むすべての乱数値の総数の1/2とされている。メインCPU31は、決定された羽根9aの開放態様にしたがって、羽根9aの開放制御を行う。
【0059】
また、主制御回路30には、第1カウントスイッチ11CSをはじめとする各スイッチ等が接続されている。第1カウントスイッチ11CSは第1大入賞口11に入賞した遊技球の個数を計測し、計測結果を示す検出信号を主制御回路30に出力する。第2カウントスイッチ12CSは第2大入賞口12に入賞した遊技球の個数を計測し、計測結果を示す検出信号を主制御回路30に出力する。Vスイッチ14Sは、本発明の特定領域検出手段を構成し、Vゾーン14Aに入賞した遊技球の検出信号を主制御回路30に送信する。一般入賞口スイッチ12Sは各一般入賞口12a?12dに入賞した遊技球の検出信号を主制御回路30に出力する。作動ゲートスイッチ10Sは普通図柄作動ゲート10を通過する遊技球の検出信号を主制御回路30に出力する。始動入賞口スイッチ9Sは始動入賞口9A,9Bに入賞した遊技球の検出信号を主制御回路30に出力する。
【0060】
始動口ソレノイド9Lは第1始動入賞口9Aに設けられた一対の羽根9a,9aを開閉させ、第1大入賞口ソレノイド11L、第2大入賞口ソレノイド12Lは、それぞれ第1大入賞口11および第2大入賞口12に設けられたシャッタを開閉させる。バックアップクリアスイッチ26は、電断時等におけるバックアップデータを操作者の操作に応じてクリアする。
【0061】
また、パチンコ遊技機1では、始動入賞口スイッチ9Sが遊技球の入賞を検出して検出信号を送信し、主制御回路30がその検出信号を受信したときに、主制御回路30におけるメインCPU31は、上記の大当り抽選等を行う。
【0062】
メインRAM33は、送信バッファにセットされている図柄指定コマンドなどの各種コマンドをコマンド出力ポート35より、副制御回路40に送信する。初期リセット回路34は、リセット信号をメインCPU31に定期的に出力する。このリセット信号により、メインCPU31は制御プログラムの先頭から処理を実行する。
【0063】
副制御回路40は、主制御回路30からのコマンドを入力し、その入力したコマンドにしたがい、液晶表示装置16を用いたキャラクタCの演出に必要な制御を行う一方、所定の画像を液晶表示装置16に表示させる。また、副制御回路40は、スピーカ18L、18Rを用いた音声出力による演出や装飾ランプ19L、19Rを用いた点滅表示による演出を行うのに必要な制御も行う。
【0064】
この副制御回路40は、サブCPU41を中心に構成され、サブROM42と、サブRAM43およびコマンド入力ポート48を有し、画像制御回路50と、音声制御回路60、およびランプ制御回路70を有している。
【0065】
サブCPU41は、主制御回路30から送信された最大ラウンド数コマンドおよびラウンド表示時間コマンドがサブRAM33に設けられた受信バッファに格納されている場合に、最大ラウンド数コマンドに対応するラウンド数をラウンド表示時間コマンドに対応する時間液晶表示装置16の表示領域16aに表示させる。サブCPU41も、ラウンド表示制御手段を構成する。
【0066】
サブCPU41は、主制御回路30から入力したコマンドにしたがいサブROM42に記憶されているプログラムに沿った処理を実行し、画像制御回路50、音声制御回路60およびランプ制御回路70を作動させる一方、選択ボタン20b,20c、決定ボタン20aからの信号等にしたがい電源供給ユニット24を制御する。
【0067】
サブROM42にはサブCPU41が実行するプログラムと、恒久的なデータが記憶されている。具体的には、キャラクタの動きを選択するテーブル等が記憶されている。さらに、サブRAM43はサブCPU41が作動する際に用いるデータやプログラムおよび主制御回路30から送信される図柄指定コマンドおよび変動パターンコマンドなどの各種コマンドを格納するための受信バッファが設けられている。
【0068】
画像制御回路50は、VDP(Video Display Processor)51と、D/Aコンバータ52と、初期リセット回路53と、画像データROM(画像記憶手段)54a,54bとを有している。VDP51は、サブCPU41で決定された液晶表示装置16に表示させる内容に応じた画像を形成し、その形成された画像をD/Aコンバータ52に出力する。D/Aコンバータ52はVDP51から出力される画像データをD/A変換して、変換により得られたアナログ信号を液晶表示装置16に出力し、画像を表示させる。初期リセット回路53はサブCPU41からのリセット命令を受けて、VDP51を初期状態に戻す処理を実行する。画像データROM54aには、キャラクタ、背景などを示す画像のデータ(画像データ)を記憶し、画像データROM54bには、各種画像データを液晶表示装置16に表示させるための画像データを記憶している。VDP51は、サブCPU41から出力されるキャラクタ等に対応する画像データを画像データROM54a,54bから読み出し、この画像データに基づく図柄等の画像を液晶表示装置16に表示させる。
【0069】
音声制御回路60は、音源IC61と、アンプ(以下「AMP」という)62と、音声データROM63とを有している。音源IC61は、サブCPU41からの指示にしたがい、音声データROM63に記憶されている音声データを用いて音声信号を生成する。AMP62は、音源IC61により生成された音声信号を適切なレベルに増幅し、増幅した音声信号をスピーカ18L、18Rに供給して音声を出力させる。音声データROM63は予告演出、リーチ演出、大当り演出などに用いられる音楽、音声、効果音などのデータ(音声データ)を記憶している。
【0070】
ランプ制御回路70は、装飾ランプ19L、19Rの点滅パターンを示す装飾データを記憶した装飾データROM71と、サブCPU41からの指示にしたがい、装飾データROM71に記憶されている装飾データを用いて装飾ランプ19L、19Rを点滅させるドライブ回路72とを有している。
【0071】
払出・発射制御回路80は、主制御回路30の制御にしたがい払出装置81と、発射ハンドル6cおよび発射モータを有する発射装置82とを作動させて、所定数の遊技球を賞球として払出させるとともに、遊技球を遊技盤4上の遊技領域4aに向けて発射させる。
【0072】
電源供給ユニット24は、副制御回路40の制御にしたがい副制御回路40、主制御回路30および払出・発射制御回路80への電力供給を行う。
【0073】
(パチンコ遊技機の動作内容)
次に、パチンコ遊技機1の動作内容のうち、主制御回路30および副制御回路40による制御処理の手順について、図14?図30までのフローチャートを参照して説明する。図14はパチンコ遊技機1において、電源を投入したあとに主制御回路30により繰返し実行されるメイン制御処理の動作手順を示すフローチャート(メインフローチャート)である。
【0074】
(メイン制御処理の動作手順)
図14に示すように、パチンコ遊技機1は、電源投入に伴い主制御回路30のメインCPU31がメイン制御処理を開始し、初期化設定処理を行い(S1)、次に、タイマ更新処理を行う(S2)。タイマ更新処理では、待ち時間タイマなどを更新する。続いて、初期値乱数更新処理を行い(S3)、各乱数値の更新処理を行う。それから、第1遊技制御処理を行う(S4)。第1遊技制御処理は、図15に示す手順に沿って行われる。
【0075】
図15に示すように、第1遊技制御処理では、まず、第1遊技状態フラグをロードする(S21)。この第1遊技状態フラグは、液晶表示装置16における図柄の可変表示画像を用いた特別図柄ゲームの状態を示すフラグであって、メインCPU31が後続の各ステップいずれを実行するかを判定するためのデータが設定されている。
【0076】
次に、特別図柄記憶チェック処理(S22)が図16に示すフローチャートの手順に沿って行われる。この特別図柄記憶チェック処理を開始すると、メインCPU31は、第1遊技状態フラグが特別図柄記憶チェックを示すデータ“00”である否かを判断する(S31)。その結果、“00”でなければ処理を終了する。また、“00”である場合には、メインRAM33における始動記憶領域にデータがセットされているか否かを判定する(S32)。その結果、データが記憶されていなければ処理を終了する。一方、データが記憶されていれば、第1遊技状態フラグに特別図柄変動時間管理を示すデータ“01”をセットする(S33)。
【0077】
第1遊技状態フラグに特別図柄変動時間管理を示すデータ“01”をセットしたら、始動記憶領域に記憶されているデータを特別図柄記憶領域に転送し、始動記憶領域における特別図柄始動記憶数を1減算する(S34)。
【0078】
それから、転落判定処理を行う(S35)。転落判定処理では、まず、確率状態フラグが1であり、高確率状態であるか否かを判断する。その結果、確率状態フラグ0であり、低確率状態である場合には、そのままステップS38に進む。また、確率状態フラグが1であり、高確率状態であると判断した場合には、ステップS75で333回に設定した転落判定用カウンタから1減算する。続いて、高確率遊技状態から低確率遊技状態に転落したか否かを判断する(S36)。転落したか否かの判断は、333回に設定された転落判定用カウンタが、ステップS35における減算処理の結果、0に到達したか否かによって行われる。その結果、転落判定用カウンタのカウント数が333回から減算されて0回に到達して低確率遊技状態に移行する(転落する)と判断する場合には、確率状態フラグに0をセット(S37)し、高確率遊技状態を終了させて低確率遊技状態に移行させる。また、転落判定用カウンタのカウント数が333回から減算されて0回に到達しておらず、低確率遊技状態に転落しないと判断した場合に、そのままステップS38に進む。
【0079】
続いて、大当り判定を行う(S38)。大当り判定では、大当り判定用乱数カウンタを用いて抽出され特別図柄記憶領域に記憶された大当り判定用乱数値を図8に示す特別図柄決定テーブルに参照し、大当りであるか否かを判定する。それから、大当り判定の結果が大当りとなっているか否かを判断する(S39)。その結果、大当りである場合には、大当り図柄の決定処理を行い(S40)、大当りでなければはずれ図柄の決定処理を行う(S41)。
【0080】
大当り図柄の決定処理(S40)では、遊技球が始動入賞口9Aに入賞するときに行われる大当り図柄抽選で抽出される大当り図柄乱数値に基づいて大当りの種別を決定する。ここでは、大当り図柄として「F」「H」のいずれかを決定し、それぞれに対応する図柄指定コマンド「Tz00」「Tz01」のいずれかを選択してメインRAM33に設けられた送信バッファにセットする。また、はずれ図柄の決定処理(S41)では、特別図柄として「-」、図柄指定コマンドとして「Tz02」を選択し、メインRAM33に設けられた送信バッファにセットする。
【0081】
その後、時短状態フラグに1がセットされ、遊技状態が時短遊技状態となっているか否かを判断する(S42)。その結果、時短状態フラグに1がセットされ、時短遊技状態となっていると判断した場合には、図11に示す特別図柄変動パターンテーブルから時短遊技状態に対応するものを参照して変動パターン決定処理を行う(S43)。一方、時短遊技状態となっていないと判断した場合には、図11に示す特別図柄変動パターンテーブルから通常遊技状態に対応するものを参照して変動パターン決定処理を行う(S44)。
【0082】
それから、特別図柄の変動時間の待ち時間タイマ(t)を、決定した変動パターンに対応する変動時間にセットする(S45)。続いて、大入賞口開放回数を決定する大入賞口開放回数決定処理を行う(S46)。大入賞口開放回数決定処理では、ラウンド数決定用乱数カウンタを用いて「0」?「7」の中から1つのラウンド数決定用乱数を抽出し、図10に示すラウンド数決定テーブルに参照して、大入賞口開放回数を決定する。具体的に、ラウンド数決定用乱数が「0」?「1」の場合には、15ラウンド、「2」?「4」の場合には、7ラウンド、「5」?「7」の場合には、2ラウンドをそれぞれ最大ラウンド数として決定する。そして、特別図柄記憶領域に記憶されたデータをクリアして(S47)、特別図柄記憶チェック処理を終了する。
【0083】
図15に示すフローに戻り、特別図柄記憶チェック処理が済んだら、特別図柄変動時間管理処理を行う(S23)。特別図柄変動時間管理処理では、第1遊技状態フラグが特別図柄変動時間管理を示す“01”である場合に、ステップS41で決定された変動時間の待ち時間タイマ(t)が0となったら第1遊技状態フラグに特別図柄表示時間管理を示すデータ“02”をセットし、さらに特別図柄が停止するまでの時間に対応する特別図柄停止時間(たとえば1秒)を特別図柄停止時間タイマ(t)にセットする。こうして、特別図柄変動時間管理処理を終了する。
【0084】
特別図柄変動時間管理処理が済んだら、特別図柄表示時間管理処理を行う(S24)。特別図柄表示時間管理処理は、図17に示すフローに沿って行われる。図17に示すように、特別図柄表示時間管理処理では、第1遊技状態フラグが特別図柄表示時間管理を示す値“02”であるか否かを判断する(S51)。その結果、第1遊技状態フラグが“02”でない場合には、特別図柄表示時間管理処理を終了する。また、第1遊技状態フラグが“02”場合には、特別図柄変動時間管理処理で決定された特別図柄停止時間タイマ(t)が0となっているか否かを判断する(S52)。
【0085】
その結果、特別図柄停止時間タイマ(t)が0となっていないと判断した場合には、特別図柄表示時間管理処理を終了する。また、特別図柄停止時間タイマ(t)が0となっていると判断した場合には、ステップS39における大当り判定の結果が大当りであるか否かを判断する(S53)。その結果、大当り判定の結果がはずれであった場合には、第1遊技状態フラグに特別図柄ゲーム終了を示すデータ“07”をセットする(S54)。
【0086】
続いて、時短状態回数カウンタが0となっているか否かを判断する(S55)。その結果、時短状態変動回数カウンタが0となっていると判断した場合には、特別図柄表示時間管理処理を終了する。また、時短変動回数カウンタが0となっていないと判断した場合には、時短状態変動回数カウンタを1減算し(S56)、時短状態回数カウンタが0となっているか否かを判断する(S57)。その結果、時短状態変動回数カウンタが0となっていると判断した場合には、特別図柄表示時間管理処理を終了する。また、時短変動回数カウンタが0となっていないと判断した場合には時短状態フラグに0をセットし、遊技状態を通常遊技状態に移行させて、特別図柄表示時間管理処理を終了する。
【0087】
また、ステップS53において大当りであると判断された場合には、第1遊技状態フラグに大当り開始インターバル管理を示すデータ“03”をセットする(S59)。続いて、確率状態フラグを記憶し(S60)、時短状態フラグをそれぞれ0にして低確率状態かつ通常遊技状態とするとともに、時短回数カウンタに0をセットする(S61)。それから、大当り開始インターバルに対応する時間として、たとえば5000msを待ち時間タイマ(t)にセットする(S62)。それから、ステップS42で決定した大入賞口開放回数のデータをメインRAM33にセットし(S63)、特別図柄表示時間管理処理を終了する。
【0088】
図15に示すフローに戻り、特別図柄表示時間管理処理が済んだら、大当り開始インターバル管理処理を行う(S25)。大当り開始インターバル管理処理では、第1遊技状態フラグが大当り開始インターバル管理を示すデータ“03”であるときは、ステップS61でセットされた大当り開始インターバルに対応する時間だけ待機し、大当り開始インターバルに対応する時間が経過したのち、大入賞口の開放させるため、メインROM32から読み出されたデータに基づいてメインRAM33に位置づけられた変数を更新する。さらに、メインCPU31は大入賞口開放中を示すデータ“04”を第1遊技状態フラグにセットし、開放上限時間、たとえば25秒を大入賞口時間タイマにセットする。その後、大当り遊技状態が開始する大当り遊技状態開始コマンドをメインRAM33における送信バッファにセットして、大当り開始インターバル管理処理を終了する。
【0089】
さらに、大入賞口再開放前待ち時間管理処理を行う(S26)。大入賞口再開放前待ち時間管理処理では、第1遊技状態フラグが大入賞口再開放前待ち時間管理処理を示すデータ“04”であるときは、ラウンド間インターバルに対応する時間だけ待機する。メインCPU31はラウンド間インターバルに対応する時間を経過した場合に、大入賞口開放回数カウンタを“1”加算して更新し、大入賞口開放中を示すデータ“05”を第1遊技状態フラグにセットし、開放上限時間を大入賞口時間タイマにセットする。開放上限時間は、25秒とする。
【0090】
続いて、大入賞口開放中処理を行う(S27)。大入賞口開放中処理では、第1遊技状態フラグが大入賞口開放中処理を示すデータ“05”でないときには処理を終了する。また、データ“05”であるときには、大入賞口入賞カウンタのカウント数が10以上であるかを判定し、10以上でない場合には、開放上限時間を経過(大入賞口時間タイマが“0”)したかを判定する。その結果、大入賞口入賞カウンタが10以上であるか開放上限時間が経過している場合には、大入賞口閉鎖データをセットする。開放上限時間を経過していない場合には、大入賞口開放中処理を終了する。大入賞口閉鎖データをセットしたら、大入賞口開放回数カウンタが上限値となっているか否かを判定し、上限値となっていないと判定した場合には、ラウンド間インターバルに対応する時間、たとえば2秒にセットし、大入賞口再開放前待ち時間管理処理を示すデータ“04”を第1遊技状態フラグにセットし、さらにラウンド間表示コマンドをセットして大入賞口開放中処理を終了する。一方、上限値となっていると判定した場合には、大当り終了インターバルに対応する時間(以下大当り終了対応時間)という)、たとえば5秒にセットし、大当り終了インターバル処理を示すデータ“06”を第1遊技状態フラグにセットして大入賞口開放中処理を終了する。
【0091】
それから、大当り終了インターバル処理を行う(S28)。大当り終了インターバル処理では、図18に示すように、第1遊技状態フラグが大当り終了インターバルを示す“06”であるか否かが判定され(S71)、“06”でなければ大当り終了インターバル処理を終了する。また、第1遊技状態フラグが“06”であれば大当り終了インターバルに対応する第1大当りインターバル待ち時間タイマ(t)が“0”となっているか否かを判定する(S72)。その結果、“0”で第1大当りインターバル待ち時間タイマ(t)がとなっていなければ大当り終了インターバル処理が終了する。また、第1大当りインターバル待ち時間タイマ(t)が“0”となっていれば、第1遊技状態フラグに特別図柄ゲーム終了を示す“07”をセットする(S73)。
【0092】
次に、確率状態フラグに1をセットし、遊技状態を高確率遊技状態に移行させる(S74)。続いて、図9に示す高確率遊技状態回数決定テーブルを参照し、高確率遊技回数として、333回を転落判定用カウンタにセットする(S75)。それから、ステップS60で記憶した確率状態フラグが1であるか否かを判断する(S76)。確率状態フラグが1である場合には、前回の大当り遊技状態への移行が高確率状態の際に行われたことになる。この場合には、時短フラグに1をセットし(S77)、時短遊技状態に移行させる。その後、時短回数カウンタを所定数、たとえば5にセットする(S78)。こうして、大当り終了インターバル処理が終了する。なお、これらのステップS77?S78に代えて、時短フラグを0にセットして、時短遊技状態ではなく通常遊技状態に移行させる態様とすることもできる。
【0093】
また、ステップS76において確率状態フラグが1でないと判断した場合には、前回の大当り遊技状態への移行が低確率状態の際に行われたことになる。この場合には、時短フラグに1をセットし(S79)、時短遊技状態に移行させる。その後、時短回数カウンタを所定数、たとえば100にセットする(S80)。こうして、大当り終了インターバル処理を終了する。
【0094】
図15に戻り、大当り終了インターバル処理が済んだら、特別図柄ゲーム終了処理を行う。第1遊技状態フラグが特別図柄ゲーム終了処理を示すデータ“07”であるときに以下の処理を行い、“07”でなければ行わないようになっている。特別図柄ゲーム終了処理では、メインCPU31は、始動記憶領域に記憶された特別図柄のデータを順次シフトさせる。この特別図柄ゲーム終了処理が終了すると、ステップS4(図14)の第1遊技制御処理が終了する。
【0095】
第1遊技制御処理が終了したら、続いて第2遊技制御処理を行う(S5)。第2遊技制御処理は、図19に示すフローチャートの手順に沿って行われる。図19に示すように、第2遊技制御処理では、第2遊技状態フラグが3となり、第2大当り遊技状態となっているか否かを判断する(S81)。その結果、第2遊技状態フラグが3となっている場合には、第2大当り制御処理を行う(S82)。第2大当り制御処理は、図20に示すフローチャートの手順に沿って行われる。
【0096】
第2遊技大当り制御処理では、まず第2大当り開始インターバル管理処理を行う(S91)。第2大当り開始インターバル管理処理では、第2遊技状態フラグが第2大当り開始インターバル管理を示すデータであるときは、第2大当り開始インターバルに対応する時間が経過したのち、第1大入賞口11を開放させるため、メインROM32から読み出されたデータに基づいてメインRAM33に位置づけられた変数を更新する。さらに、メインCPU31は大入賞口開放中を示すデータを第2遊技状態フラグにセットし、開放上限時間、たとえば25秒を大入賞口時間タイマにセットする。その後、大当り遊技状態が開始する大当り遊技状態開始コマンドをメインRAM33における送信バッファにセットして、第2大当り開始インターバル管理処理を終了する。
【0097】
第2大当り開始インターバル管理処理が済んだら、第2大入賞口再開放前待ち時間管理処理を行う(S92)。第2大入賞口再開放前待ち時間管理処理では、第2遊技状態フラグが第2大入賞口再開放前待ち時間管理処理を示すデータであるときは、ラウンド間インターバルに対応する時間だけ待機する。メインCPU31はラウンド間インターバルに対応する時間を経過した場合に、大入賞口開放回数カウンタを“1”加算して更新し、第2大入賞口開放中を示すデータを第2遊技状態フラグにセットし、開放上限時間を大入賞口時間タイマにセットする。開放上限時間は、25秒とする。
【0098】
続いて、第2大入賞口開放中処理を行う(S93)。第2大入賞口開放中処理では、第2遊技状態フラグが第2大入賞口開放中処理を示すデータでないときには処理を終了する。また、第2大入賞口開放中処理を示すデータであるときには、大入賞口入賞カウンタのカウント数が10以上であるかを判定し、10以上でない場合には、開放上限時間を経過(大入賞口時間タイマが“0”)したかを判定する。その結果、大入賞口入賞カウンタが10以上であるか開放上限時間が経過している場合には、大入賞口閉鎖データをセットし、大入賞口入賞カウンタが10未満であるか開放上限時間を経過していない場合には、第2大入賞口開放中処理を終了する。大入賞口閉鎖データをセットしたら、大入賞口開放回数カウンタが上限値となっているか否かを判定し、上限値となっていないと判定した場合には、ラウンド間インターバルに対応する時間、たとえば2秒にセットし、大入賞口再開放前待ち時間管理処理を示すデータを第2遊技状態フラグにセットし、さらにラウンド間表示コマンドをセットして大入賞口開放中処理を終了する。一方、上限値となっていると判定した場合には、第2大当り終了インターバルに対応する時間(以下大当り終了対応時間)という)、たとえば5秒にセットし、第2大当り終了インターバル処理を示すデータを第2遊技状態フラグにセットして第2大入賞口開放中処理を終了する。
【0099】
それから、第2大当り終了インターバル処理を行う(S94)。第2大当り終了インターバル処理では、図21に示すように、第2大当り終了インターバル時間が0となっているか否かを判断する(S101)。その結果、第2大当り終了インターバル時間が0となっていないと判断した場合には、第2大当り終了インターバル処理を終了する。一方、第2大当り終了インターバル時間が0となっていると判断した場合には、第2遊技状態フラグに0をセットし、第2遊技待機中の状態とする(S102)。その後、確率状態フラグに1をセットして遊技状態を高確率遊技状態にセットする(S103)。
【0100】
続いて、終了した第2大当りが15R継続大当りであったか否かを判断する(S104)。15R継続大当りであったか否かは、図10に示すラウンド数決定テーブルを参照して行われたラウンド数決定抽選の結果に基づいて判断される。その結果、15R大当りであると判断された場合には、時短フラグに1をセットし(S106)、時短遊技状態に移行させる。その後、時短回数カウンタを所定数、たとえば100にセットする(S107)。こうして、第2大当り終了インターバル処理を終了する。
【0101】
一方、ステップS104において15R継続 大当りでないと判断された場合には、ステップS60で記憶した確率状態フラグが1であるか否かを判断する(S105)。確率状態フラグが1である場合には、そのまま第2大当り終了インターバル処理を終了する。一方、確率状態フラグが1でないと判断した場合には、時短フラグに1をセットし(S106)、時短遊技状態に移行させる。その後、時短回数カウンタを所定数、たとえば100にセットする(S107)。こうして、第2大当り終了インターバル処理を終了する。
【0102】
図19に示すフローに戻り、ステップS81において第2遊技状態フラグが3でないと判断された場合には、第2遊技状態フラグが2であるか否かを判断する(S83)。その結果、第2遊技状態フラグが2であると判断された場合には、第2遊技大入賞口開放処理を行う(S84)。第2遊技大入賞口開放処理は、図22に示すフローチャートに沿って行われる。
【0103】
図22に示すように、第2遊技大入賞口開放処理においては、後に説明する始動口入賞処理(図29)におけるステップS189でセットした開放余裕時間が0となっているか否かを判断する(S111)。その結果、開放余裕時間が0となっていない場合には、第2遊技大入賞口開放処理を終了する。また、開放余裕時間が0となっている場合には、第2大入賞口12を開放させる処理を行う(S112)。それから、開放時間として300msをセットし(S113)、第2遊技状態フラグに大入賞口閉鎖処理を示す1をセットする(S114)。そして、第2遊技大入賞口開放処理を終了し、図19に示す第2遊技制御処理を終了する。
【0104】
また、図19に示すステップS83において、第2遊技状態フラグが2でないと判断した場合には、第2遊技状態フラグが1となっているか否かを判断する(S85)。その結果、第2遊技状態フラグが1となっていないと判断した場合には、第2遊技状態フラグが待機状態を示す0であるので、第2遊技制御処理を終了する。また、第2遊技状態フラグが1であると判断した場合には、第2遊技大入賞口閉鎖処理を行う(S86)。第2遊技大入賞口閉鎖処理は、図23に示すフローチャートの手順に沿って行われる。
【0105】
図23に示すように、第2大入賞口閉鎖処理においては、図22に示す第2遊技大入賞口開放処理におけるステップS113においてセットした開放時間が0となっているか否かを判断する(S121)。その結果、開放時間が0となっていない場合には、第2遊技大入賞口閉鎖処理を終了する。また、開放時間が0となっている場合には、第2大入賞口12を閉鎖させる処理を行う(S122)。続いて、第2遊技状態フラグに待機状態を示す0をセットする(S123)。こうして、第2遊技大入賞口閉鎖処理を終了し、図19に示す第2遊技制御処理を終了する。
【0106】
図14に示すフローに戻り、第2遊技制御処理が済んだら、普通図柄制御処理を行う(S6)。普通図柄制御処理では、図柄表示装置16bに表示される普通図柄に関する制御を行う。普通図柄制御処理は、図24に示すフローチャートの手順に沿って行われる。図24に示すように、普通図柄制御処理では、まず、普通図柄制御状態フラグをロードする(S131)。この普通図柄制御状態フラグは、図柄表示装置16bに表示される普通図柄の可変表示を用いた普通図柄ゲームの状態を示すフラグであって、メインCPU31が後続の各ステップいずれを実行するかを判定するためのデータが設定されている。
【0107】
普通図柄制御状態フラグをロードしたら、普通図柄記憶チェック処理を行う(S132)。普通図柄記憶チェック処理では、普通図柄制御状態フラグとして普通図柄変動時間監視処理を示すデータをセットする。次に、普通図柄記憶領域に記憶されているデータを普通図柄記憶領域に転送し、普通図柄始動記憶数を1減算する。それから、普通図柄記憶領域に記憶されたデータに基づいて、普通図柄当り抽選を行う。普通図柄当り抽選の後、現在の遊技状態が時短遊技状態であるか通常遊技状態であるか判断し、判断した遊技状態に応じた普通図柄の変動時間である普通図柄変動時間をセットする。そして、普通図柄記憶領域をクリアして普通図柄記憶チェック処理を終了する。
【0108】
普通図柄記憶チェック処理が済んだら、普通図柄変動時間監視処理を行う(S133)。普通図柄変動時間監視処理では、普通図柄制御状態フラグが普通図柄変動時間監視処理を示すデータである場合に、ステップS132で決定された普通図柄変動時間の待ち時間タイマ(t)が0となったら、普通図柄制御状態フラグに普通図柄表示時間管理処理を示すデータをセットし、普通図柄が停止するまでの時間に対応する普通図柄停止時間を普通図柄停止時間タイマ(t)にセットする。こうして、普通図柄変動時間管理処理を終了する。
【0109】
普通図柄変動時間管理処理が済んだら、普通図柄表示時間監視処理を行う(S134)。普通図柄表示時間監視処理では、普通図柄制御状態フラグが普通図柄表示時間管理処理を示すデータである場合に、ステップS133でセットされた普通図柄停止時間タイマが0となっている場合に、普通図柄当り抽選に当選したか否かを判断する。その結果、普通図柄当り抽選に当選した場合には、普通電動役物開放フラグをセットするとともに、第1始動入賞口9Aの羽根9aを開放させる時間である普通役物開放時間を普通電動役物開放時間待ち時間タイマにセットする。また、普通図柄当選抽選に当選していない場合には、普通電動役物開放フラグをセットしない。その後、普通図柄制御状態フラグに普通電動役物開放処理を示すデータをセットし、普通図柄表示時間管理処理を終了する。
【0110】
普通図柄表示時間監視処理が済んだら、普通電動役物開放処理を行う(S135)。普通電動役物開放処理では、普通図柄制御状態フラグが普通電動役物開放処理を示すデータである場合に、普通電動役物開放フラグがセットされているか否かを判断する。その結果、普通電動役物開放フラグがセットされていない場合には、普通図柄制御状態フラグに普通図柄ゲーム終了処理を示すデータをセットして普通電動役物開放処理を終了する。
【0111】
また、普通電動役物開放フラグがセットされている場合には、第1始動入賞口9Aにおける羽根9aを開放させる。それから、ステップS134でセットされた普通電動役物開放時間待ち時間タイマにセットされた普通電動役物開放時間が経過するか、第1始動入賞口9Aにおける羽根9aに所定数、たとえば4個の遊技球の入賞があったか否かを判断し、これらの条件を満たす場合に第1始動入賞口9Aにおける羽根9aを閉鎖させる。そして、普通図柄制御状態フラグに普通図柄ゲーム終了処理を示すデータをセットして普通電動役物開放処理を終了する。
【0112】
普通電動役物開放処理が済んだら、普通図柄ゲーム終了処理を行う(S136)。普通図柄ゲーム終了処理では、普通図柄制御状態フラグが普通図柄ゲーム終了処理を示すデータである場合に、始動記憶領域に記憶されている普通図柄のデータを順次シフトさせる。こうして、普通図柄ゲーム終了処理を終了する。普通図柄ゲーム終了処理を終了することにより、普通図柄制御処理を終了する。
【0113】
図14に示すフローに戻り、普通図柄制御処理が済んだら、ラウンド図柄表示制御処理を行う(S7)。ラウンド図柄表示制御処理は図25に示すフローチャートの手順に沿って行われる。図25に示すように、ラウンド図柄表示制御処理では、まず時短状態フラグが1であり、時短遊技状態であるか否かを判断する(S141)。その結果、時短フラグが1である場合には、図29のステップS191でセットしたラウンド表示時間が0となっているか否かを判断する(S142)。その結果、ラウンド表示時間が0となっている場合には、ラウンド図柄停止表示処理を行う(S143)。このラウンド図柄停止表示処理により、図柄表示領域16bにラウンド数の上限回数を現すラウンド図柄Sが表示される。こうしてラウンド図柄表示制御処理を終了する。
【0114】
また、ステップS141で時短状態フラグが1でないと判断された場合、またはステップS142でラウンド表示時間が0でないと判断された場合には、第1遊技状態フラグが3?6のいずれかであり、第1大当り遊技状態中であるか否かを判断する(S144)。その結果、第1遊技状態フラグが3?6のいずれかでないと判断された場合には、第2遊技状態フラグが3であり、第2大当り遊技状態中であるか否かを判断する(S145)。その結果、第2遊技状態フラグが3でないと判断された場合には、ラウンド図柄変動表示処理を行う(S146)。このラウンド図柄変動表示処理により、図柄表示装置16bにラウンド数の上限回数を示すラウンド図柄Sが変動表示される。こうしてラウンド図柄表示制御処理を終了する。
【0115】
さらに、ステップS144で第1遊技状態フラグが3?6のいずれかであると判断された場合、またはステップS145で第2遊技状態フラグが3であると判断された場合にはラウンド図柄停止表示処理を行い(S143)、ラウンド図柄Sを停止表示させる。一方、第2遊技状態フラグが3でないと判断された場合には、ラウンド図柄変動表示処理を行い(S146)、ラウンド図柄Sを停止表示させずに変動表示を継続させる。こうして、ラウンド数の上限回数を停止表示して、ラウンド図柄表示制御処理を終了する。
【0116】
図14に示すフローに戻り、ラウンド図柄表示制御処理が済んだら、図柄表示装置制御処理を行う(S8)。図柄表示制御処理では、ステップS4における第1遊技制御処理およびステップS6における普通図柄制御処理の結果に基づいて、図4に示す特別図柄J、普通図柄Nなどの可変表示の表示処理を行う。また、ラウンド図柄表示制御処理(S7)の結果に基づいて、ラウンド数表示Pの表示処理を行う。
【0117】
その後、図柄保留個数データ生成処理を行う(S9)。図柄保留個数データ生成処理では、第1遊技制御処理(S4)、普通図柄制御処理(S6)、および後に説明するスイッチ入力検出処理において増減する始動記憶領域における特別図柄保留個数および普通図柄保留個数に対応するデータをそれぞれ生成する。図柄保留個数データ生成処理に続いて、ポート出力処理を行う(S10)。ポート出力処理では、第1遊技制御処理(S4)や普通図柄制御処理(S6)で決定される大入賞口11,12や第1始動入賞口9Aにおける羽根9aの開放制御を行う。
【0118】
続いて、遊技状態コマンド制御処理を行う(S11)。遊技状態コマンド制御処理では、第1遊技状態制御処理(S4)等でセットされる確率状態フラグや時短状態フラグに応じて制御を行う。さらに、演出制御コマンド出力制御処理を行う(S12)。演出制御コマンド出力制御処理では、遊技状態コマンド制御処理では、第1遊技状態制御処理(S4)等でメインRAM33にセットされる遊技状態に関するコマンドである変動パターンコマンド等を副制御回路40に送信する。それから、払出処理を行う(S13)。払出処理では、スイッチ入力検出処理(S27)でセットされる払出要求コマンドに応じた数の賞球の払出を行う。そして、ステップS2に戻り繰返しルーチンが繰り返し行われる。
【0119】
(システムタイマ割込処理の動作手順)
主制御回路30では、上述したメイン制御処理とともに、割込許可フラグが設定されていることを条件に、主として、メイン制御処理で用いられる乱数を更新するため、定期的(たとえば2msごと)にメイン制御処理に割込むシステムタイマ割込処理を図26に示すフローチャートに沿って実行している。以下、システムタイマ割込処理の手順を図26に示すフローチャートを参照して説明する。
【0120】
図26に示すように、パチンコ遊技機1は、システムタイマ割込処理を開始すると、メモリ内の記憶領域(レジスタ)に記憶された、メイン制御処理における実行中のプログラムアドレスデータ等を一旦退避させ(S151)、乱数更新処理を行う(S152)。乱数更新処理では、メインCPU31が、大当り判定用の大当り判定用乱数値や普通当り判定用の普通当り判定用乱数値、あるいはその他の乱数値を更新する処理を行う。乱数更新処理が済んだら、スイッチ入力検出処理を行う(S153)。スイッチ入力検出処理については、後に詳しく説明する。
【0121】
スイッチ入力検出処理が済んだら、タイマ更新処理を行う。タイマ更新処理では、待ち時間タイマなどを更新する。タイマ更新処理の後は、退避させたメイン制御処理のプログラムアドレスデータ等のレジスタを復帰させ(S154)、メイン制御処理を中断した(退避させた)時点から再開する。その後、メインRAM33の変数、フラグ等を更新して割込許可を行い(S155)、システムタイマ割込処理が終了する。
【0122】
続いて、スイッチ入力検出処理について説明する。図27は、スイッチ入力検出処理の手順を示すフローチャートである。図27に示すように、スイッチ入力検出処理においては、まず、大入賞口入賞処理を行う(S161)。大入賞口入賞処理では、第1大入賞口11に入賞し、第1カウントスイッチ11CSで検出された遊技球、および第2大入賞口12に入賞し、第2カウントスイッチ12CSで検出された遊技球の個数に対応する払出要求コマンドを賞球記憶領域に格納する。大入賞口入賞処理が済んだら、一般入賞口入賞処理を行う(S162)。一般入賞口入賞処理では、一般入賞口12a?12dに入賞し、一般入賞口スイッチ12Sに検出された遊技球の個数に対応する払出要求コマンドを賞球記憶領域に格納する。
【0123】
一般入賞口入賞処理が済んだら、特定領域入賞処理を行う(S163)。特定領域入賞処理は、図28に示すフローチャートの手順に沿って行われる。図28に示すように、特定領域入賞処理では、遊技球が特定領域(Vゾーン14)に入賞したか否かを判断する(S171)。特定領域に入賞したか否かの判断は、Vスイッチ14Sが遊技球を検出したか否かによって行われる。その結果、特定領域に入賞していない場合には、特定領域入賞処理を終了する。
【0124】
また、特定領域に入賞している場合には、図29に示す始動口入賞処理におけるステップS188でセットした特定領域有効時間が0となっているか否かを判断する(S172)。その結果特定領域有効時間が0となっている場合には、そのまま特定領域入賞処理を終了する。また、特定領域有効時間が0となっていない場合には、第1遊技状態フラグが3?6のいずれかであり、第1大当り遊技状態中であるか否かを判断する(S173)。
【0125】
その結果、第1遊技状態フラグが3?6のいずれかでないと判断された場合には、第2遊技状態フラグが3であり、第2大当り遊技状態中であるか否かを判断する(S174)。その結果、第2遊技状態フラグが3でないと判断された場合には、第2遊技状態フラグに3をセットし、第2大当り遊技状態に移行させ(S175)、特定領域入賞処理を終了する。また、ステップS173で第1遊技状態フラグが3?6のいずれかであると判断された場合、またはステップS174で第2遊技状態フラグが3であると判断された場合にはそのまま特定領域入賞処理を終了する。
【0126】
特定領域入賞処理が済んだら、始動口入賞処理を行う(S164)。始動口入賞処理は、図29に示す手順に沿って行われる。図29に示すように、始動口入賞処理では、始動口(第1始動入賞口9Aまたは第2始動入賞口9B)に遊技球が入賞したか否かを判断する(S181)。この判断は、始動入賞口スイッチ9Sが遊技球を検出したか否かによって行われる。その結果、始動入賞口スイッチ9Sが遊技球を検出しておらず、始動口へ遊技球が入賞していないと判断した場合には、始動口入賞処理を終了する。
【0127】
また、始動口へ遊技球が入賞したと判断した場合には、払出要求コマンドを賞球記憶領域に格納する(S182)。続いて、始動記憶領域における特別図柄に対応する始動記憶数が上限となっているか否かを判断する(S183)。その結果、始動記憶数が上限となっていないと判断した場合には、大当り判定用乱数値、大当り図柄決定用乱数値、およびラウンド数決定用乱数値を抽出して、各記憶領域に格納する(S184)。具体的に、大当り判定用乱数値および大当り図柄決定用乱数値は始動記憶領域に格納し、ラウンド数決定用乱数値はラウンド数記憶領域に格納する。
【0128】
それから、第2遊技状態フラグが0であり、第2遊技状態が待機中であるか否かを判断する(S185)。その結果、第2遊技状態フラグが0でない場合には、始動入賞口処理を終了し、第2遊技状態フラグが0である場合には、第1遊技状態フラグが3?6のいずれかであるか否かを判断する(S186)。その結果、第1遊技状態フラグが3?6のいずれでもない場合には、第2遊技状態フラグに2をセットし、第2大入賞口12を開放させる(S187)。また、第1遊技状態フラグが3?6のいずれかである場合には、始動入賞口処理を終了する。
【0129】
その後、特定領域有効時間として、8000msをセットし(S188)、続いて開放余裕時間2500msをセットする(S189)。それから、時短状態フラグが1であり、時短遊技状態であるか否かを判断する(S190)。その結果、時短状態フラグが1でない場合には、始動口入賞処理を終了する。
【0130】
また、時短状態フラグが1である場合には、図12に示すラウンド表示時間決定テーブルを参照するラウンド表示時間決定抽選により、ラウンド表示時間を決定する(S191)。こうして決定したラウンド表示時間をセットし(S192)、始動口入賞処理を終了する。
【0131】
(副制御回路の動作手順)
次に、副制御回路40の動作について説明する。副制御回路40では、主制御回路30から送信されたコマンドを受信することにより、図柄制御、音制御、およびランプ制御等を行う。図30は、副制御回路40により繰返し実行されるサブ制御処理の手順を示すフローチャートである。
【0132】
図30に示すように、サブCPU41では、最初に所定の初期化処理を行い(S201)、次に乱数更新処理を行う(S202)。続いて、主制御回路30から送信され、受信バッファに格納されている各種コマンドのコマンド解析制御処理を行う(S203)。
【0133】
それから、このコマンド解析制御処理の結果に基づいて表示制御処理を行う(S204)。表示制御処理では、主制御回路30から送信された最大ラウンド数コマンドおよびラウンド表示時間コマンドに基づいて、第1大入賞口11が開放制御されるラウンド数の上限回数を示すラウンド数表示Pを液晶表示装置16の表示領域に表示させる制御を行う。さらに、表示制御処理では、コマンド解析処理で決定された装飾図柄および表示パターンなどに基づいて、図柄表示制御を行い、続いて背景表示制御処理を行う。
【0134】
その後、音制御処理を行う(S205)。音制御処理では、主制御回路30からのコマンドに基づいてスピーカ18L,18Rから発生させる音声に関する音声制御処理を行う。この音声制御処理では、音源IC61は、音声データROM63から音声データを読み出し、音声データを所定の音声信号に変換して、その音声信号をAMP62に供給する。このAMP62は、音声信号を増幅して、スピーカ18L,18Rから音声を発生させる。
【0135】
続いて、ランプ制御処理を行う(S206)。ランプ制御処理では、主制御回路30からのコマンドに基づいて装飾ランプ19L,19Rの点滅に関するランプ制御処理を実行する。このランプ制御処理では、サブCPU41は、装飾データROM71からランプ装飾パターンを読み出し、ドライブ回路72を介して、装飾ランプ19L,19Rを点滅させる。以降ステップS202?ステップS206を繰り返し実行する。
【0136】
以上の構成を有する本実施形態に係るパチンコ遊技機1においては、通常遊技状態または時短遊技状態にあるとき、大当り抽選が行われ、この大当り抽選に当選すると、第1大入賞口11は、ラウンド数決定抽選で決定されたラウンド数の開放を行う。また、第1始動入賞口9Aまたは第2始動入賞口9Bに遊技球が入賞することにより、第2大入賞口12が開放する。ここで、開放した第2大入賞口12に遊技球が入賞すると、その遊技球は、図4に示す遊技盤4の背面側において、突起部4Xの間を通って落下し、Vゾーン14Aまたははずれ穴14Bのいずれかに入る。
【0137】
はずれ穴14Bに遊技球が入った場合には、遊技状態は通常遊技状態または時短遊技状態のままとなり、Vゾーン14Aに入った場合には、第1大入賞口11が選択されたラウンド数の開放を行う第2大当り遊技状態に移行する。第2大当り遊技状態では、ラウンド振分けが行われ、ラウンド上限回数として、2ラウンド、7ラウンド、15ラウンドのいずれかが選択される。この第2大当り遊技状態に移行することにより、遊技者は、大量の賞球を得ることができる。したがって、遊技者は、始動入賞口9A,9B、さらにはVゾーン14Aへの入賞を目指して遊技を行うことになる。
【0138】
また、本実施形態に係るパチンコ遊技機1では、大当り遊技状態が終了した後に第2大入賞口12が開放した回数(大当り抽選が行われた回数)が333回を超えた場合に、高確率遊技状態から低確率遊技状態に移行する。また、この低確率遊技状態中に大当り遊技状態に移行すると、大当り遊技状態が終了した後に時短遊技状態に移行する。時短遊技状態が継続している間、始動入賞口9A,9Bに遊技球が入賞すると、第2大入賞口12が開放する前に、第2大当り遊技状態に移行した場合に、第1大入賞口11が開放制御されるラウンド数の上限回数を示すラウンド図柄Sおよびラウンド数表示Pがなされる。
【0139】
この時間関係を、図31に示すタイムチャートを参照して説明すると、図31(a)に示すように、時短遊技状態にある場合には、始動口(第1始動入賞口9Aまたは第2始動入賞口9B)に遊技球が入賞して所定時間が経過すると、図柄表示装置における特別図柄の変動表示が開始される。特別図柄の変動表示の開始と同時に、停止表示されていた図柄表示装置16bにおけるラウンド図柄Sおよび表示領域16aにおけるラウンド数表示Pの変動表示が開始される。ラウンド図柄Sおよびラウンド数表示Pの変動表示が開始してから、所定時間、具体的には図12に示すラウンド表示時間決定テーブルを参照して行ったラウンド表示時間決定抽選で決定された0.5秒または1秒を経過した時点で、ラウンド図柄Sおよびラウンド数表示Pが停止表示される。ここで、図10に示すラウンド数テーブルを用いて行われたラウンド数決定抽選の結果決定されたラウンド数をラウンド図柄Sおよびラウンド数表示Pとして、図柄表示装置16bおよび表示領域16aにそれぞれ表示する。
【0140】
ラウンド図柄Sおよびラウンド数表示Pが表示された後、第2大入賞口12が開放される。具体的には、始動口に遊技球が入賞してから2.5秒後に第2大入賞口12が開放される。このため、第2大入賞口12が開放される際には、既にラウンド図柄Sおよびラウンド数表示Pが停止表示された状態となっている。ここで、ラウンド図柄Sおよびラウンド数表示Pがなされていることにより、遊技者は、第2大入賞口12に入賞し、さらにはVゾーン14Aに遊技球が入賞して第2大当り遊技状態に移行した場合の最大継続ラウンド数を認識することができる。このため、たとえば2ラウンドや7ラウンドなどの上限が小さいラウンド数表示がなされた場合には、賞球が少なくなることから、遊技者はあえて発射操作をやめ、ラウンド上限回数が多い場合にのみ発射操作を打ち出すなど、賞球を多く得ようとする遊技者に対しても、選択の幅を広めることによる技術介入性を付与することができる。
【0141】
これに対して、通常遊技状態にある場合には、ラウンド数表示以外は時短遊技状態と同一であるが、ラウンド図柄Sおよびラウンド数表示Pは、Vゾーン14Aに遊技球が入賞するまで、変動表示を継続した状態となっている。このため、始動口に遊技球が入賞した場合でも、遊技者は、ラウンド上限回数を認識することができないため、常に発射操作を行うこととなる。このように、時短遊技状態と通常遊技状態とでは、ラウンド図柄Sおよびラウンド数表示Pが行われる態様に差があることから、遊技者に対して、時短遊技状態に移行させる楽しみを与えることができる。したがって、技術介入性を高めて遊技性を向上させることによって遊技の単調さを小さくし、遊技に飽きが生じにくく、稼動の低下を防止することができる。
【0142】
また、通常遊技状態から時短遊技状態への移行は、大当り遊技状態が終了した後、第2大入賞口12が開放した回数が333回に到達し、その間大当り遊技状態に移行することなく低確率遊技状態に移行し、その後に移行した大当り遊技状態が終了した後に行われる。高確率遊技状態から低確率遊技状態に移行するまでの間、大当り遊技状態に移行していないと、遊技者は多くの遊技球を損失していることが多い。ところが、第2大入賞口12が開放した回数が333回となる間に大当り遊技状態に移行なかった場合には、その後に大当り遊技状態に移行した後、始動入賞口9A,9Bに遊技球が入賞すると、第2大入賞口12が開放する前にラウンド図柄Sおよびラウンド数表示Pがなされる。このため、ラウンド図柄Sおよびラウンド数表示Pとして表示されるラウンド上限回数が多い場合に、第2大入賞口12への入賞を目指して遊技球の発射操作を行うことによってラウンド上限回数が多い大当り遊技状態に移行させやすくなる。したがって、損失した遊技球の補填を図りやすくすることができる。
【0143】
しかも、ラウンド図柄Sおよびラウンド数表示Pが表示される間は、時短遊技状態が継続している。このため、ラウンド上限回数表示が少ない場合に可変入賞装置に向けた発射操作を中止したとしても、大量の遊技球の損失を防止することができる。したがって、大当り遊技状態に移行することなく遊技球を大量に損失することによる遊技意欲の減退を防止することができる。
【0144】
また、一旦低確率遊技状態に移行すると、その後は大当り遊技状態に移行するまでは低確率遊技状態が保持されることから、その後に大当り遊技状態に移行した場合には、常に大当り遊技状態が終了した後に時短遊技状態に移行することになる。したがって、大当り遊技状態に移行することなく遊技球を大量に損失することによる遊技意欲の減退を防止することができ、遊技機の稼動の低下を防止することができる。
【0145】
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。本実施形態においては、上記第1の実施形態と比較して、高確率遊技状態から低確率遊技状態に移行する態様が異なる。上記第1の実施形態では、高確率遊技状態から低確率遊技状態に移行する際に、大当り遊技状態が終了した後の大当り抽選の回数をカウントしていた。これに対して、本実施形態では、大当り抽選の回数をカウントに代えて、転落抽選を行う。転落抽選は、図32に示す高確率状態転落判定テーブルを参照して行う。本実施形態に係るパチンコ遊技機におけるメインCPUは、本発明の移行判定手段を構成する。
【0146】
転落抽選では、転落抽選では、転落判定用乱数カウンタを用いて「0」?「332」の中から1つの転落乱数値を抽出する。高確率遊技状態の際に抽出した転落乱数値があらかじめ設定された1の乱数値「13」である場合には、遊技状態を高確率遊技状態から低確率遊技状態に移行させる。また、低確率遊技状態の際に転落乱数値を抽出した場合には、転落乱数値を破棄し、遊技状態を維持したままとする。
【0147】
メインCPU31では、大当り遊技状態が終了した後、遊技状態を高確率遊技状態に移行させる。それから、始動入賞口9A,9Bに遊技球が入賞して始動記憶領域に記憶されて大当り抽選を行う場合に、大当り抽選とともに転落抽選を行う。この転落抽選によって抽出された転落乱数値が「13」である場合には、遊技状態を高確率遊技状態から低確率遊技状態に移行させる。
【0148】
本実施形態に係るパチンコ遊技機では、上記第1の実施形態と同様、時短遊技状態にある場合には、たとえば2ラウンドや7ラウンドなどの上限が小さいラウンド数表示がなされた場合には、賞球が少なくなることから、遊技者はあえて発射操作をやめ、ラウンド上限回数が多い場合にのみ発射操作を打ち出すなど、賞球を多く得ようとする遊技者に対しても、選択の幅を広めることによる技術介入性を付与することができる。また、時短遊技状態と通常遊技状態とでは、ラウンド図柄Sおよびラウンド数表示Pが行われる態様に差があることから、遊技者に対して、時短遊技状態に移行させる楽しみを与えることができる。したがって、技術介入性を高めて遊技性を向上させることによって遊技の単調さを小さくし、遊技に飽きが生じにくく、稼動の低下を防止することができる。
【0149】
しかも、大当り遊技状態が終了した後の第2大入賞口12の開放回数とは無関係に高確率遊技状態から低確率遊技状態に移行する。このため、遊技者から見ると、大当り遊技状態が終了した後、長期間大当り遊技状態に移行していない場合には、低確率遊技状態に移行している可能性は高くなるものの、確実に低確率遊技状態に移行しているとは限らない。したがって、たとえば遊技性の知識に乏しい遊技者が、多くの遊技球を得るために有利な低確率遊技状態に移行後の遊技状態中に遊技を終了してしまい、遊技性の知識が豊富な遊技者が低確率遊技状態に移行後の遊技状態にある遊技機を遊技するという可能性を低くすることができる。したがって、遊技性の知識によらず、多くの遊技者に対して平等に近くなる遊技性を有する遊技機を提供することができる。
【0150】
次に、本発明の第3の実施形態について説明する。本実施形態では、特別図柄の個数が上記第1の実施形態よりも多く設定されているとともに、特別図柄ごとにラウンド上限回数が設定されている。上記第1の実施形態では、特別図柄として「F」「H」「-」の3通りが設定されていたが、図32に示すように、本実施形態では、そのほかに「A」「B」「C」「D」「E」「J」の特別図柄が設定され、合計で9通りの特別図柄が設定されている。
【0151】
本実施形態に係るパチンコ遊技機1では、主制御回路30におけるメインROM32に、図33に示す特別図柄決定テーブルおよび図34に示すラウンド数決定テーブルが記憶されている。第2の実施形態における図32に示す特別図柄決定テーブルにおいては、大当り判定用乱数値が大当りとならない乱数値である場合には、特別図柄は常に「-」となっている。これに対して、図33に示す特別図柄決定テーブルにおいては、大当り判定用乱数値が大当りとならない乱数値である場合にも、図柄乱数値に応じて特別図柄の種類を決定する。
【0152】
また、特別図柄の種類を決定した場合には、図34に示すラウンド数決定テーブルを参照して最大ラウンド数を決定する。最大ラウンド数は特別図柄の種類に応じて決定されており、特別図柄が「F」「H」「-」の場合には15ラウンド、「A」「B」「C」の場合には7ラウンド、「D」「E」「J」の場合には2ラウンドをそれぞれ決定する。なお、「F」「H」以外の特別図柄については、遊技球がVゾーン14Aに入賞して第2大当りが発生した場合に参照される。このように、最大ラウンド数を抽選によって決定することなく、特別図柄を用いて最大ラウンド数を決定する態様とすることもできる。
【0153】
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記各実施形態に限定されるものではない。たとえば、上記実施形態では第2大入賞口12の開放や大当り抽選のトリガーとなる始動入賞口9A,9Bはそれぞれ入賞口とされているが、たとえば普通図柄作動ゲート10のような通過ゲートを大入賞口の開放や大当り抽選のトリガーとした態様とすることができる。
【0154】
また、上記実施形態では、大入賞口として、第1大入賞口11および第2大入賞口12の二つを設けているが、大入賞口は1つでもよく、逆に3つ以上としてもよい。さらに、上記実施形態では、Vゾーン14Aに遊技球が入賞することにより、第2大当りとなる態様とされているが、たとえばVゾーン14Aのような特定領域に入賞することにより、大当り抽選が行われる態様とすることもできる。
【0155】
また、上記実施形態では、大当り遊技状態が終了した後に時短遊技状態に移行し、さらには始動入賞口9A,9Bに遊技球が入賞し、第2大入賞口12が開放する前にラウンド数表示がされる態様とされている。これに対して、時短遊技状態への移行や第2大入賞口12が開放する前にラウンド数表示がされる状態へ移行する態様については他の態様とすることもできる。
【0156】
また、上記第1の実施形態では、高確率遊技状態の継続回数を333回のみとしているが、この回数を複数種類設定し、継続回数決定抽選などによって決定する態様とすることもできる。さらに、大当り遊技状態への移行がラウンド数表示の条件とされているが、大当り遊技状態への移行がない場合でもラウンド数表示がなされる態様とすることもできる。また、時短遊技状態中にのみラウンド数表示がなされる態様とされているが、時短遊技状態以外の通常遊技状態中にラウンド数表示がなされる態様とすることもできる。
【0157】
さらに、上記実施形態では、大当り判定を行う回数と、第2大入賞口12の開放制御の回数とは同数とされているが、大当り判定を行う回数と、第2大入賞口12の開放制御の回数とを異なる回数とすることもできる。たとえば、始動口に遊技球が入賞した場合には、一回の大当り判定を行うが、入賞する始動入賞口の種類に応じて第2大入賞口12の開放回数を異なるようにすることができる。また、上記実施形態では、第1大当りおよび第2大当りが設定されているが、たとえば第2大当りに相当する大当りのみが設定されている態様とすることもできる。さらに、上記実施形態では、通常遊技状態中はラウンド数表示Pを停止表示することなくラウンド数上限回数を報知しない態様としているが、第2大入賞口12が開放した後、ラウンド数表示Pを停止表示する態様とすることもできる。
【0158】
また、上記実施形態では、第1始動入賞口9Aに遊技球が入賞した場合の第2大入賞口12の開放回数は1回としているが、たとえば時短遊技状態中に第1始動入賞口9Aに遊技球が入賞した場合には、2回または3回の開放回数とすることもできる。この場合、第2始動入賞口12の開放回数は、別途計測することが好適である。
【図面の簡単な説明】
【0159】
【図1】本発明の実施形態に係るパチンコ遊技機を正面側から示す斜視図である。
【図2】図1に示すパチンコ遊技機の分解斜視図である。
【図3】図1に示すパチンコ遊技機を背面側から示す斜視図である。
【図4】図1に示す遊技盤の正面図である。
【図5】遊技盤を背面側から示す斜視図である。
【図6】遊技盤の側断面図である。
【図7】パチンコ遊技機の内部の構成を中心に示すブロック構成図である。
【図8】特別図柄決定テーブルを示す図である。
【図9】高確率遊技状態回数決定テーブルを示す図である。
【図10】ラウンド数決定テーブルを示す図である。
【図11】特別図柄変動パターンテーブルを示す図である。
【図12】ラウンド表示時間決定テーブルを示す図である。
【図13】始動入賞口羽根開放態様決定テーブルを示す図である。
【図14】電源を投入したあとに主制御回路により繰返し実行されるメイン制御処理の手順を示すフローチャートである。
【図15】第1遊技制御処理の手順を示すフローチャートである。
【図16】特別図柄記憶チェック処理の手順を示すフローチャートである。
【図17】特別図柄表示時間管理処理の手順を示すフローチャートである。
【図18】大当り終了インターバル処理の手順を示すフローチャートである。
【図19】第2遊技制御処理の手順を示すフローチャートである。
【図20】第2遊技大当り制御処理の手順を示すフローチャートである。
【図21】第2大当り終了インターバル処理の手順を示すフローチャートである。
【図22】第2遊技大入賞口開放処理の手順を示すフローチャートである。
【図23】第2遊技大入賞口閉鎖処理の手順を示すフローチャートである。
【図24】普通図柄制御処理の手順を示すフローチャートである。
【図25】ラウンド図柄表示制御処理の手順を示すフローチャートである。
【図26】メイン制御処理に割込むシステムタイマ割込処理の手順を示すフローチャートである。
【図27】スイッチ入力検出処理の手順を示すフローチャートである。
【図28】特定領域検出処理の手順を示すフローチャートである。
【図29】始動口入力検出処理の手順を示すフローチャートである。
【図30】副制御回路により繰返し実行されるサブ制御処理の手順を示すフローチャートである。
【図31】(a)は、時短遊技状態時における始動入賞口、図柄表示装置、ラウンド数表示、および第2大入賞口の開閉の経時変化の関係を示すタイムチャート、(b)は、通常遊技状態時における始動入賞口、図柄表示装置、ラウンド数表示、および第2大入賞口の開閉の経時変化の関係を示すタイムチャートである。
【図32】高確率状態転落判定テーブルを示す図である。
【図33】特別図柄決定テーブルの他の例を示す図である。
【図34】ラウンド数決定テーブルの他の例を示す図である。
【符号の説明】
【0160】
1…パチンコ遊技機、4…遊技盤、9A…第1始動入賞口、9B…第2始動入賞口、11…第1大入賞口、12…第2大入賞口、16…液晶表示装置、16a…表示領域、21…主制御基板、22…副制御基板、30…主制御回路、31…メインCPU、40…副制御回路、41…サブCPU、50…画像制御回路、60…音声制御回路、70…ランプ制御回路、80…払出・発射制御回路、P…ラウンド数表示。
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技盤に設けられ、遊技球が入賞可能な始動領域と、
前記始動領域への遊技球の入賞を検出する始動領域検出手段と、
遊技球が入賞容易となる入賞容易状態と、遊技球が入賞困難となる入賞困難状態とを備える第一及び第二可変入賞装置と、
前記始動領域へ遊技球が入賞したことを前記始動領域検出手段が検出した際に、前記第一及び第二可変入賞装置をそれぞれ異なる確率で入賞困難状態から入賞容易状態に制御する可変入賞装置制御手段と、
前記第一可変入賞装置に入賞した遊技球が入賞可能な特定領域と、
前記特定領域への遊技球の入賞を検出する特定領域検出手段と、
前記第二可変入賞装置における前記入賞困難状態から入賞容易状態への所定の継続態様を1ラウンドとし、前記特定領域へ遊技球が入賞したことを前記特定領域検出手段が検出した際に、複数のラウンド数の間、前記第二可変入賞装置に前記所定の継続態様を繰り返させる大当り遊技状態を制御する大当り遊技状態制御手段と、
前記始動領域検出手段によって遊技球が検出されたことを条件に、前記大当り遊技状態制御手段で繰り返させる前記複数のラウンド数の上限回数を決定するラウンド上限回数決定手段と、
前記ラウンド上限回数決定手段で決定された前記複数のラウンド数の上限回数を表示するラウンド上限回数表示装置と、
前記ラウンド上限回数表示装置の表示制御を行うラウンド表示制御手段と、
遊技球が入賞容易となる入賞容易状態と、遊技球が入賞困難となる入賞困難状態とを備え、入賞容易状態となることによって前記始動領域への入賞を補助する補助可変入賞装置と、
前記補助可変入賞装置における入賞容易状態と入賞困難状態との制御を行う補助可変入賞装置制御手段と、
前記ラウンド上限回数決定手段によって特定のラウンド上限回数が決定され、かつ、前記大当り遊技状態が終了したことを条件に、単位時間あたりにおける前記補助可変入賞装置の入賞容易状態割合を増加させる補助遊技状態とする補助遊技状態制御手段と、
前記補助遊技状態であるか否かを判定する補助遊技状態判定手段と、
所定の移行条件が成立したか否かを判定する移行判定手段と、
を備え、
前記ラウンド表示制御手段は、前記補助遊技状態判定手段によって前記補助遊技状態であると判定された場合には、前記可変入賞装置制御手段が前記第一可変入賞装置を前記入賞困難状態から入賞容易状態に制御する前に、前記ラウンド上限回数決定手段によって決定されたラウンド上限回数を、前記ラウンド上限回数表示手段に表示させ、
前記補助遊技状態制御手段は、前記移行判定手段によって前記所定の移行条件が成立したと判定され、かつ前記特定領域検出手段によって遊技球が検出された場合に、当該特定領域検出手段による遊技球の入賞の検出に基づいて制御される前記大当り遊技状態が終了した後、前記補助遊技状態とすることを特徴とする遊技機。
【請求項2】
遊技球が所定の遊技球通過可能領域を通過することを条件に、前記第一可変入賞装置を入賞容易状態にさせるか否かの開放判定を行う開放判定手段と、
前記大当り遊技状態が終了した後、前記開放判定手段によって行われた開放判定回数を計数する開放判定回数計数手段と、をさらに備え、
前記移行判定手段は、前記開放判定回数計数手段によって計数された開放判定回数が、所定開放判定回数に到達したときに、前記所定の移行条件が成立したと判定する請求項1に記載の遊技機。
【請求項3】
遊技球が所定の遊技球通過可能領域を通過することを条件に、乱数値を抽出する乱数抽出手段、をさらに備え、
前記移行判定手段は、前記乱数抽出手段によって抽出された乱数値に基づいて、前記所定の移行条件が成立したか否かを判定する請求項1に記載の遊技機。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
審決日 2014-09-30 
出願番号 特願2006-322363(P2006-322363)
審決分類 P 1 41・ 853- Y (A63F)
最終処分 成立  
前審関与審査官 柴田 和雄  
特許庁審判長 赤木 啓二
特許庁審判官 瀬津 太朗
村松 貴士
登録日 2012-09-14 
登録番号 特許第5085110号(P5085110)
発明の名称 遊技機  
代理人 塩澤 克利  
代理人 鹿股 俊雄  
代理人 鹿股 俊雄  
代理人 瀧本 十良三  
代理人 塩澤 克利  
代理人 瀧本 十良三  

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