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審決分類 |
審判 査定不服 1項3号刊行物記載 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) A23L |
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管理番号 | 1293971 |
審判番号 | 不服2012-20465 |
総通号数 | 181 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2015-01-30 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2012-10-18 |
確定日 | 2014-11-13 |
事件の表示 | 特願2008-551999号「多孔質シリカを用いた乳酸菌等有用菌含有サプリメント」拒絶査定不服審判事件〔平成20年7月10日国際公開、WO2008/081539〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1.手続の経緯・本願発明 本願は、2006年12月28日を国際出願日とする出願であって、その請求項1に係る発明は、平成26年8月29日に手続補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された次のとおりのものである(以下「本願発明」という。)。 「珪藻土と乳酸菌またはその休眠胞子とを機械的に混合し、圧縮成型することにより、前記珪藻土を構成する珪藻の化石の間に形成された細孔空間に前記乳酸菌またはその休眠胞子が担持されることを特徴とするサプリメント。」 2.引用刊行物 これに対して、当審において平成26年6月30日付けで通知した拒絶の理由に引用され、本願出願日前に頒布された、特表2005-512591号公報(以下「引用刊行物」という。)には、図1とともに以下の事項が記載されている。 (1)「ラクトバチルスパラカゼイviro-01(KCTC 10132BP)またはその発酵液を含む動物の腸疾患の予防または治療のための生菌剤。」(請求項3) (2)「本発明者は、キムチの発酵液から耐酸性、耐胆汁性及び有害微生物抑制能力に優れた生理活性を有する新規のラクトバチルス属微生物を分離同定した。本発明の微生物は人に対して毒性がなくて非常に安全であり、前記微生物またはその発酵液は動物の胃腸管関連疾病の予防または治療のための生菌剤、飼料添加剤、消臭剤及び食品添加物として使用できる。」(【0006】) (3)「本発明に係る乳酸菌は、・・・(中略)・・・例えば、培養または発酵溶液は、遠心分離または濾過による液体除去によって1次段階で濃縮し、或いは好ましくは充填剤または担体物質、例えば・・・(中略)・・・珪藻土、・・・(中略)・・・を添加しながら、発酵溶液から直接的に安定化を行う。このような担体または充填剤の添加により、後続の安定化段階、特にペレット化物の凍結乾燥、噴霧乾燥、カプセル化段階で固形生成物を収得することが可能である。 本発明は、本発明に係るラクトバチルスパラカゼイviro-01・・・(中略)・・・を含む動物の腸疾患の予防又は治療のための生菌剤を提供する。・・・(中略)・・・ 「生菌剤(Probiotics)」は、生きている菌、すなわち人や動物が摂取したときに胃腸管に留まって生存可能な微生物であって、特定の病理的状態を予防または治療することが可能な、人または動物に有益な効果を与える微生物製剤を意味する。・・・(中略)・・・ 前記本発明に係る生菌剤は、有効量のラクトバチルスパラカゼイviro-01をその活性成分として含有したもので、薬剤学的に許容される担体(carriers)と混合して様々な剤型と方法で投与できる。」(【0020】?【0023】) (4)「本発明に係る生菌剤は、上述した担体と混合して錠剤・・・(中略)・・・の形に製造することができる。好ましい投与方式は経口投与である。」(【0027】) 上記(1)?(4)の記載事項及び図面を総合すると、引用刊行物には、以下の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。 「乳酸菌の発酵溶液に珪藻土を添加しながら、発酵溶液から直接的に安定化を行った後、ペレット化物の凍結乾燥、噴霧乾燥、カプセル化段階で収得した固形生成物であって、担体と混合して製造された錠剤。」 3.対比・判断 本願発明と引用発明とを対比する。 前者の「サプリメント」については、本願の詳細な説明の段落【0006】に「錠剤(サプリメント)は、珪藻土及び多孔質シリカに乳酸菌等有用菌類を担持させた後、珪藻土及び多孔質シリカを軽度に圧縮成型するだけ」、「乳酸菌等有用菌類の担持は、下記の実験の結果から、珪藻土及び多孔質シリカが菌類に無害であり、多孔質空間内を利用できることから、休眠胞子の物理的機械的担持(多孔質シリカと休眠胞子を混合し、そのまま圧縮成型)、培地ごと乾燥休眠させ担持する(多孔質シリカと混合した培地を乾燥させ、同時に菌類を休眠させ、それらを圧縮成型)等が選択できる。」と記載されており、珪藻土(多孔質シリカ)と菌類とを混合し、調製した錠剤といえる。 後者は、「乳酸菌の発酵溶液に珪藻土を添加しながら、発酵溶液から直接的に安定化を行った後、ペレット化物の凍結乾燥、噴霧乾燥、カプセル化段階で収得した固形生成物であって」、「担体と混合して製造された錠剤」であるから、乳酸菌と担体である珪藻土は混合されて製造された「錠剤」である。 そうすると、両者は、「珪藻土と乳酸菌とを混合したサプリメント。」である点で一致し、以下の点で一応、相違する。 相違点A:サプリメントの調製に関し、本願発明が「珪藻土と乳酸菌またはその休眠胞子とを機械的に混合し、圧縮成形する」のに対し、引用発明は「乳酸菌の発酵溶液に珪藻土を添加しながら、発酵溶液から直接的に安定化を行った後、ペレット化物の凍結乾燥、噴霧乾燥、カプセル化段階で収得した固形生成物であって、担体と混合して」、「錠剤」とする点。 相違点B:本願発明が「前記珪藻土を構成する珪藻の化石の間に形成された細孔空間に前記乳酸菌またはその休眠胞子が担持される」のに対して、引用発明はそのようなものであるか否か不明である点。 上記相違点について検討する。 (1)相違点Aについて 引用発明は、「乳酸菌の発酵溶液に珪藻土を添加しながら、発酵溶液から直接的に安定化を行った後」に、「ペレット化物の凍結乾燥、噴霧乾燥、カプセル化段階で収得した固形生成物」で、かつ「担体と混合して製造された」ものであるから、両者が粉末の状態での混合ではないものの、乳酸菌と珪藻土とは機械的に混合されたものといえる。なお、本願の発明の詳細な説明には、「機械的に混合」するとの記載はない。 また、引用発明は「担体と混合して製造された錠剤」であるから、珪藻土と乳酸菌が混合された状態のものを乾燥させて、これを錠剤としたものといえる。そして、錠剤に成型する場合、圧縮成形による打錠が通常であって、引用刊行物に接した当業者であれば錠剤に調製することについて、圧縮成形を想定するものである。 そうすると、引用発明も「珪藻土と乳酸菌」「とを機械的に混合し、圧縮成形する」ものといえ、相違点Aについて、本願発明は実質的に引用発明と相違しない。 (2)相違点Bについて 引用発明は、上記(1)で述べたとおり、本願発明と同様の方法で調製されたものといえる。 そして、珪藻土が珪藻の化石から構成されることは周知であって、本願発明と同様の方法で調製される引用発明は、本願発明と同様の構造を有するといえる。 そうすると、相違点Bについても、本願発明は実質的に引用発明と相違しない。 (3)まとめ 以上述べたとおり、相違点A及びBについて、本願発明は、実質的に引用発明と相違しないから、引用刊行物に記載された発明である。 4.むすび 以上のとおり、本願発明は、引用刊行物に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。そうすると、本願の他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2014-09-17 |
結審通知日 | 2014-09-24 |
審決日 | 2014-09-29 |
出願番号 | 特願2008-551999(P2008-551999) |
審決分類 |
P
1
8・
113-
WZ
(A23L)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 平塚 政宏 |
特許庁審判長 |
紀本 孝 |
特許庁審判官 |
平上 悦司 佐々木 正章 |
発明の名称 | 多孔質シリカを用いた乳酸菌等有用菌含有サプリメント |
代理人 | 齋藤 博子 |
代理人 | 齋藤 博子 |
代理人 | 齋藤 昭彦 |
代理人 | 齋藤 昭彦 |
代理人 | 齋藤 博子 |
代理人 | 齋藤 昭彦 |