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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 B41J |
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管理番号 | 1293993 |
審判番号 | 不服2014-396 |
総通号数 | 181 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2015-01-30 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2014-01-09 |
確定日 | 2014-11-13 |
事件の表示 | 特願2008-209511「印刷装置および印刷装置の制御方法、並びに印刷システム」拒絶査定不服審判事件〔平成22年 2月25日出願公開、特開2010- 42630〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1.手続の経緯 本件出願は、平成20年8月18日の出願であって、平成25年3月18日付け、及び同年10月10日付けで手続補正書が提出され、同年11月25日付けで拒絶の査定がなされ、これに対し、平成26年1月9日付けで拒絶査定に対する審判請求がなされたものである。 2.本願発明 本願の請求項1に係る発明は、上記の平成25年10月10日に提出された手続補正によって補正された特許請求の範囲、明細書、及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1に記載された次のとおりのものと認める。 「【請求項1】 印刷データおよびカッタコマンドを含む印刷ジョブを送信する外部装置から、前記印刷ジョブを受信する印刷ジョブ受信手段と、 前記印刷ジョブに含まれる前記印刷データに基づいて、長尺状の印刷媒体に印刷を行う印刷手段と、 前記カッタコマンドにより、前記印刷媒体を幅方向にカットするカット手段と、 前記カッタコマンドに基づき、前記カット手段によるカット動作と同期して、前記印刷媒体をカットした旨の報知を行う報知手段と、を備えたことを特徴とする印刷装置。」(以下「本願発明」という。) 2.引用例 (1)引用例1 原査定に係る平成25年8月29日付けの拒絶理由通知(2回目の拒絶理由通知)で引用された、本願の出願前である平成17年10月27日に頒布された刊行物である特開2005-301506号公報(以下「引用例1」という。)には、図面と共に次の事項が記載されている。(なお、下線は、後述する「引用発明1」の認定の根拠となった個所を示している。) ア.「【請求項1】 決済処理の内容をレシート上に印刷するための第1印刷データを生成するPOS端末コンピュータと、 前記第1印刷データの決済処理の内容に応じて、広告・販促情報を含む第2印刷データを生成する情報提供サーバと、 前記POS端末コンピュータと接続される第1ポート、および前記情報提供サーバと接続される第2ポートを有するインターフェース装置を有し、前記付加印刷データを付加した前記第1印刷データと、前記第2印刷データとに基づいて印刷を行う印刷装置と、によって構成される印刷システムであって、 前記インターフェース装置は、 前記第POS端末コンピュータから受信した前記第1印刷データを前記印刷装置に転送して印刷指令を行うと共に、当該第1印刷データを前記情報提供サーバに転送する第1印刷データ処理手段と、 前記第1印刷データの中から前記レシート後端の切断を指令する用紙カットコマンドを認識したとき、当該用紙カットコマンドを一時的に保留すると共に、所定の印刷データを生成し、当該所定の印刷データを前記印刷装置に転送して印刷指令を行う用紙カットコマンド処理手段と、 前記情報提供サーバから前記第2印刷データを受信したとき、当該第2印刷データの後に前記用紙カットコマンドを付加して当該第2印刷データの印刷指令および当該用紙カットコマンドの処理指令を行う第2印刷データ処理手段と、を備え、 前記情報提供サーバは、 前記インターフェース装置からの前記第1印刷データの受信に伴い、当該第1印刷データの分析結果に基づいて前記第2印刷データを生成する第2印刷データ生成手段と、 生成した前記第2印刷データを前記インターフェース装置に送信する第2印刷データ送信手段と、を備えたことを特徴とする印刷システム。」 イ.「【請求項9】 前記インターフェース装置は、オペレータに対して印刷続行中である旨を報知するための報知手段をさらに備えており、 前記報知手段は、LEDによって構成されると共に、当該LEDは、前記第1印刷データの受信開始時から前記用紙カットコマンドの処理指令終了時まで点灯し続けることを特徴とする請求項1ないし8のいずれか1に記載の印刷システム。」 ウ.「【背景技術】 【0002】 従来、スーパーやコンビニエンス・ストア等の小売業において用いられるPOSシステム(販売時点情報管理システム)では、購入商品並びにその金額に関するいわゆる商品情報に、商品広告やイベント告知などの広告・販促情報を付加してレシート上に印刷可能なPOS端末コンピュータが広く利用されている。また、近年では広告・販促情報だけでなく、クーポン券や抽選券としての情報が付加される場合もあり、販売促進に有効な広告手段となっている。」 エ.「【発明が解決しようとする課題】 【0006】 ところが上記のPOSシステムでは、情報提供サーバにおいて、印刷データを分析し、当該分析結果に基づいて広告・販促情報を生成する構成であるため、分析・情報生成のための時間を要する。したがって、印刷データの中から最終データを認識した時点ではまだ広告・販促情報の生成を完了しておらず、結果として印刷装置側では、商品情報の印刷終了から広告・販促情報の印刷開始まで数秒程度の待ち時間が生じてしまうことがあった。このため、例えば商品情報と広告・販促情報とが連続した(分断されていない)レシートを発行するような場合、オペレータは、広告・販促情報がまだ印刷されていないにも関わらず、商品情報の印刷終了時点で印刷終了であると判断してしまうことがある。また、待ち時間が長い場合は、オペレータがトラブルの発生と誤認し、広告・販促情報印刷終了時のオートカットを待たずに手動カットしてしまうといった問題もあった。」 オ.「【0024】 これらの場合、インターフェース装置は、オペレータに対して印刷続行中である旨を報知するための報知手段をさらに備えており、報知手段は、LEDによって構成されると共に、当該LEDは、第1印刷データの受信開始時から用紙カットコマンドの処理指令終了時まで点灯し続けることが好ましい。 【0025】 この構成によれば、オペレータは、LEDにより印刷続行中であるのか否かを確認することができる。これにより、第2印刷データの印刷開始までの待ち時間が長い場合でも、トラブルの発生と誤認してしまうことがない。」 カ.「【0055】 印刷装置50は、インターフェース装置51が有する各部の他、印刷データや各種制御コマンドを受信する印刷受信部81(受信バッファ80)と、印刷受信部81で受信した印刷データおよび各種制御コマンドに基づきレシート61上に印刷を行う印刷部82とを備えている。 【0056】 インターフェース装置51は、第2印刷データの付加を行う情報提供モードと、第2印刷データの付加を行わない非情報提供モードとのいずれかのモードを設定するモード設定部151と、オペレータに対して印刷続行中である旨を報知する報知部152と、POS端末コンピュータ40からホスト側インターフェース47およびホスト用インターフェース52を介して第1印刷データ(付加印刷データおよび終了印刷データを含む)を受信したとき、付加印刷データおよび終了印刷データを除く第1印刷データを印刷部82に転送して印刷指令を行うと共に情報提供サーバ70に転送する第1印刷データ処理部153と(但し、情報提供サーバ70への第1印刷データの転送は情報提供モードに設定された場合のみである。以下、特に記載しない場合は情報提供モードにおける処理について言及しているものとする。)、第1印刷データの中から用紙カットコマンドを認識したとき、当該用紙カットコマンドを一時的に保留すると共に、点線印刷データおよび付加印刷データの印刷指令を行う用紙カットコマンド処理部154と、情報提供サーバ70から第2印刷データを受信したとき、当該第2印刷データの後に終了印刷データおよび用紙カットコマンドを付加して印刷指令および処理指令を行う第2印刷データ処理部155と、これら各部を制御する制御部156とを備えている。」 キ.「【0061】 また、制御部156は、モード設定部151(ディップスイッチ63)により設定されたモードに従って、上記の第1印刷データ処理部153、用紙カットコマンド処理部154および第2印刷データ処理部155を実行する。さらに、印刷続行表示ランプ56によって構成される報知部152により、ホスト用インターフェース52への第1印刷データの受信開始時(または第1印刷データ処理部153の処理開始時)から、用紙カットコマンド処理部154の用紙カットコマンドの処理指令終了時まで点灯を行い、オペレータに対して印刷が続行している旨(終了していない旨)を報知する。」 ク.「【0065】 次に、図5の制御ブロック図を参照し、インターフェース装置51の制御構成について説明する。同図に示すように、インターフェース装置51は、上記のホスト用インターフェース52、情報提供サーバ用インターフェース54および印刷装置用インターフェース58の他、動作表示ランプ55、印刷続行表示ランプ56、ディップスイッチ63、CPU91、ROM92、RAM93を有し、互いに内部バス94により接続されている。 【0066】 動作表示ランプ55は、LEDにより構成され、インターフェース装置51において何らかの処理が行われている場合点灯し、インターフェース装置51にエラーが生じた場合、点滅するようになっている。また、印刷続行表示ランプ56は、動作表示ランプ55とは異なる表示色のLEDにより構成され、インターフェース装置51において処理が行われている間(第2印刷データの受信待機時間も含む)、すなわちPOS端末コンピュータ41より第1印刷データの受信(または転送処理)を開始した時から、情報提供サーバ70より受信した第2印刷データの後に用紙カットコマンドを付加し、その処理指令を終了するまで点灯し続ける。なお、情報提供サーバ70より第2印刷データを受信しない場合(広告・販促情報テーブル内の商品コードに該当する商品コードが第1印刷データの中に含まれていない場合)は、POS端末コンピュータ41より第1印刷データの受信を開始した時から、情報提供サーバ70より第2印刷データの送信が無い旨を示す非送信ステータスデータを受信し、保留しておいた終了印刷データの印刷指令および用紙カットコマンドの処理指令を終了するまで点灯し続けることとなる。」 上記の記載事項を総合すると、引用例1には、次の発明(以下「引用発明1」という。)が記載されているものと認められる。 「POS端末コンピュータと接続される第1ポート、および情報提供サーバと接続される第2ポートを有するインターフェース装置と、印刷データや各種制御コマンドを受信する印刷受信部81(受信バッファ80)と、印刷受信部81で受信した印刷データおよび各種制御コマンドに基づきレシート61上に印刷を行う印刷部82とを有する印刷装置であって、 前記インターフェース装置は、 前記第POS端末コンピュータから受信した第1印刷データを前記印刷装置の印刷受信部81(受信バッファ80)に転送して印刷指令を行うと共に、当該第1印刷データを前記情報提供サーバに転送する第1印刷データ処理手段と、 前記第1印刷データの中から前記レシート後端の切断を指令する用紙カットコマンドを認識したとき、当該用紙カットコマンドを一時的に保留すると共に、所定の印刷データを生成し、当該所定の印刷データを前記印刷装置の印刷受信部81(受信バッファ80)に転送して印刷指令を行う用紙カットコマンド処理手段と、 前記情報提供サーバから第2印刷データを受信したとき、当該第2印刷データの後に前記用紙カットコマンドを付加して当該第2印刷データの印刷指令および当該用紙カットコマンドの処理指令を行う第2印刷データ処理手段と、 オペレータに対して印刷続行中である旨を報知するための報知手段とを備えており、 前記報知手段は、LEDによって構成されると共に、当該LEDは、前記第1印刷データの受信開始時から前記用紙カットコマンドの処理指令終了時まで点灯し続ける 印刷装置。」 (2)引用例2 同じく原査定の拒絶理由で引用された、本願の出願前の平成3年9月3日に頒布された刊行物である特開平3-201192号公報(以下「引用例2」という。)には、図面と共に次の事項が記載されている。(下線は、後述する「引用発明2」の認定の根拠となった個所を示している。) ケ.「レシート等の印刷用紙を自動的に切断する印刷用紙切断手段が配設されたプリンタを備えたキャッシュレジスタにおいて、前記印刷用紙切断手段による前記印刷用紙の切断終了時に切断終了信号を発生する切断終了信号発生手段を設け、この切断終了信号発生手段により発生した切断終了信号に基づき前記印刷用紙の切断終了を報知する切断終了報知手段を設けたことを特徴とするキャッシュレジスタにおける印刷用紙の切断終了報知装置。」(第1頁左下欄第5?13行) コ.「産業上の利用分野 本発明は、印刷用紙を自動的に切断する印刷用紙切断手段を有し、装置単体で、また、POSシステム等に組み込まれて使用されるキャッシュレジスタにおける印刷用紙の切断終了報知装置に関する。」(第1頁左下欄第15行?同右下欄第4行) サ.「発明が解決しようとする課題 このような従来のキャッシュレジスタでは、締めキーが押下されてからプリンタ用紙が切断されるまでの間には上述のような所定の動作が行われるので、キャッシャーは、締めキーを押下した後、カッターが動作する音、または、レシートが切断される音等の機械音を聞くことによりレシートの切断が終了したことを認知し、この後にレシートを手に取る。 一方、カッターが動作すると同時に印字ヘッドが動作する場合がある。 このため、レシートの切断が終了したことをその切断時に発生する機械音により認知することは困難であり、さらに、この認知を誤った場合等、切断が終了する前にレシートを引っ張った場合には、レシートの一部が引き出されて紙づまり、または、印字不良等が発生することがある。」(第1頁右下欄第17行?第2頁左上欄第15行) シ.「このような構成において、第5図に示すように、締めキーを押下し、レシート用紙7dへの売上合計金額等の印字が終了したとき、プリンタコントローラ7aはプリンタ7へのフィード信号をオンにして搬送ローラ7fを回転させ、レシート用紙7dを所定行数だけフィードさせる。さらに、プリンタコントローラ7aはプリンタ7へのカット信号をオンにしてソレノイドを駆動させる。このとき、アーム7h_(2)が回動し、カッタ一部7h_(3)によりレシート用紙7dが切断される。そして、カッター7hが復帰したとき、カッター復帰検出スイッチがオンになり、プリンタコントローラ7aへのカッター復帰信号がオンになる。このカッター復帰信号が出力されたプリンタコントローラ7aはブザー7bを動作させ、このブザー音によってレシートの切断が終了したことをオペレータに知らせる。 このように、レシート用紙7dの切断が終了したことを、ブザー7bのブザー音により、容易に、且つ、確実に知ることができ、このため、切断が終了する前にレシート用紙7dを引っ張るということがなくなり、その結果として、レシート用紙7dの一部が引き出されて紙づまり、または、印字不良等が発生するということがなくなる。」(第3頁左上欄第8行?同右上欄第13行) ス.「発明の効果 本発明は上述のように、レシート等の印刷用紙を自動的に切断する印刷用紙切断手段が配設されたプリンタを備えたキャッシュレジスタにおいて、前記印刷用紙切断手段による前記印刷用紙の切断終了時に切断終了信号を発生する切断終了信号発生手段を設け、この切断終了信号発生手段により発生した切断終了信号に基づき前記印刷用紙の切断終了を報知する切断終了報知手段を設けたので、印刷用紙の切断が終了したことを、容易に、且つ、確実に知ることができ、このため、切断が終了する前に印刷用紙を引っ張るということがなくなり、その結果として、印刷用紙の一部が引き出されて紙づまり、または、印字不良等が発生するということがなくなるという効果を有する。」(第3頁左下欄第7行?同右下欄第3行) 上記の記載事項を総合すると、引用例2には、次の発明(以下「引用発明2」という。)が記載されているものと認められる。 「POSシステム等に組み込まれて使用されるレシート等の印刷用紙を自動的に切断する印刷用紙切断手段が配設されたプリンタを備えたキャッシュレジスタにおいて、前記印刷用紙切断手段による前記印刷用紙の切断終了時に切断終了信号を発生する切断終了信号発生手段を設け、この切断終了信号発生手段により発生した切断終了信号に基づき前記印刷用紙の切断終了を報知する切断終了報知手段を設けたことにより、印刷用紙の切断が終了したことを、ブザー音により、容易に、且つ、確実に知ることができるキャッシュレジスタにおける印刷用紙の切断終了報知装置。」 3.対比 (1)本願発明と引用発明1とを対比する。 引用発明1の「用紙カットコマンド」は、本願発明の「カッタコマンド」に相当しており、引用発明1では「第1印刷データの中からレシート後端の切断を指令する用紙カットコマンドを認識」としているから、上記の「第1印刷データ」は用紙カットコマンドを含むものであって、本願発明でいう「印刷データおよびカッタコマンドを含む印刷ジョブ」に相当する。 また、引用発明1の「POS端末コンピュータ」、「インターフェース装置」は、それぞれ本願発明の「印刷ジョブを送信する外部装置」、「印刷ジョブを受信する印刷ジョブ受信手段」に相当する。 また、引用発明1における用紙カットコマンドに基づいて「切断」される前の「レシート」用紙は、「長尺状の印刷媒体」であることは明らかであるから、引用発明1の「印刷受信部81で受信した印刷データおよび各種制御コマンドに基づきレシート61上に印刷を行う印刷部82」は、本願発明の「印刷ジョブに含まれる印刷データに基づいて、長尺状の印刷媒体に印刷を行う印刷手段」に相当する。 また、引用発明1における「用紙カットコマンド」は、「レシート後端の切断を指令する」から、引用発明1の印刷装置にも、本願発明の「カッタコマンドにより、印刷媒体を幅方向にカットするカット手段」が備えられていることは明らかである。 また、引用発明1における「報知手段」は、「LEDによって構成されると共に、当該LEDは、第1印刷データの受信開始時から用紙カットコマンドの処理指令終了時まで点灯し続ける」ものであり、用紙カットコマンドの処理指令によって、カット手段によるカット動作(切断)が行われることは明らかであるから、引用発明1における「報知手段」は、「用紙カットコマンドに基づき、カット手段によるカット動作と同期して、印刷続行中である旨の報知を終了させる」ものといえる。してみると、引用発明1の「報知手段」と本願発明の「報知手段」とは、「カット手段によるカット動作と同期して、作動する」との概念で、共通するものである。 (2)上記の対比から、本願発明と引用発明1との間の一致点及び相違点は、次のとおりのものと認める。 「印刷データおよびカッタコマンドを含む印刷ジョブを送信する外部装置から、前記印刷ジョブを受信する印刷ジョブ受信手段と、 前記印刷ジョブに含まれる前記印刷データに基づいて、長尺状の印刷媒体に印刷を行う印刷手段と、 前記カッタコマンドにより、前記印刷媒体を幅方向にカットするカット手段と、 前記カッタコマンドに基づき、前記カット手段によるカット動作と同期して、作動する報知手段と、 を備えた印刷装置。」である点。 [相違点] カット動作と同期した報知手段の作動が、本願発明では「印刷媒体をカットした旨の報知を行う」のに対して、引用発明1では「LED(報知手段)は、第1印刷データの受信開始時から用紙カットコマンドの処理指令終了時まで点灯し続ける(つまり「印刷続行中である旨の報知を終了させる」)点。 4.当審の判断 (1)上記の相違点について検討する。 引用発明2の「レシート等の印刷用紙を自動的に切断する印刷用紙切断手段」、「プリンタ」、は、それぞれ本願発明の「印刷媒体を幅方向にカットするカット手段」、「印刷装置」に相当する。 また、引用発明2における「印刷用紙の切断終了報知装置」は、「印刷用紙の切断終了を報知する」ものであるから、本願発明における「印刷媒体をカットした旨の報知を行う報知手段」に相当する。 してみると、引用発明2は、相違点1に係る本願発明の発明特定事項を備えている。 ところで、引用発明1は、「待ち時間が長い場合は、オペレータがトラブルの発生と誤認し、広告・販促情報印刷終了時のオートカットを待たずに手動カットしてしまうといった問題」(記載事項エ)を解決するために、「LED(報知手段)は、第1印刷データの受信開始時から用紙カットコマンドの処理指令終了時まで点灯し続ける」ものであって、言い換えれば、報知手段による報知を終了させることによって、オペレータは、レシート上の印刷と共に、カットが終了したことを認識できるものといえる。してみると、引用発明1は、カットが終了したことを報知しているということが示唆されていると解することができる。 また、引用発明1は、上記の課題に確実に対処するため、報知手段(LED)が、第1印刷データの受信開始時から用紙カットコマンドの処理指令終了時まで点灯し続ける」ことにとどまらず、引用発明2のように、印刷用紙の切断が終了したことを、印刷用紙の切断終了報知装置により、確実に知ることができるのが望ましいことは明らかである。 また、引用発明1と引用発明2とは、印刷媒体の発行をリアルタイムに報知するという共通の課題を備えているといえる。 してみると、引用発明1に引用発明2を適用することは、当業者が容易に想到し得るものである。 したがって、引用発明1において、引用発明2を適用することにより、相違点1に係る本願発明の発明特定事項とすることは、当業者が容易に想到し得るものである。 そして、本願発明の全体構成によって奏される効果も、引用発明1、及び引用発明2から当業者が予測し得る範囲内のものである。 5.むすび 以上のとおり、本願発明は、引用発明1及び引用発明2に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであり、本願発明については、特許法29条第2項の規定により特許を受けることができないから、本願の他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2014-09-10 |
結審通知日 | 2014-09-16 |
審決日 | 2014-09-29 |
出願番号 | 特願2008-209511(P2008-209511) |
審決分類 |
P
1
8・
121-
Z
(B41J)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 立澤 正樹、後藤 昌夫 |
特許庁審判長 |
江成 克己 |
特許庁審判官 |
黒瀬 雅一 畑井 順一 |
発明の名称 | 印刷装置および印刷装置の制御方法、並びに印刷システム |
代理人 | 上柳 雅誉 |
代理人 | 渡辺 和昭 |
代理人 | 宮坂 一彦 |