• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G02F
管理番号 1294577
審判番号 不服2003-7032  
総通号数 181 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2015-01-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2003-04-24 
確定日 2005-12-08 
事件の表示 平成 9年特許願第 65163号「照明装置、液晶表示装置及び電子機器」拒絶査定不服審判事件〔平成10年 9月29日出願公開、特開平10-260404〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯・本願発明
本願は、平成9年3月18日に出願された特許出願であって、原審において平成15年3月18日付で拒絶査定がなされ、これに対し同年4月24日に拒絶査定に対する審判請求がなされるとともに同年5月26日に手続補正がなされたものであって、その請求項に係る発明は、上記手続補正がなされた明細書及び図面の記載からみて、特許請求の範囲の請求項1ないし8に記載されたとおりのものと認められるところ、請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は次のものである。
「【請求項1】複数の発光点と、前記発光点からの光を導入する導光体と、前記導光体の前記発光点に対向する部分に設けられた複数のレンズと、を有し、
前記レンズは湾曲形状を有するとともに、隣り合う前記レンズの間の導光体の外辺が一直線状に形成されており、前記レンズを通過した前記発光点からの光の発光境界線が、前記導光体における有効発光領域の外縁線上で交差するように前記レンズの大きさおよび曲率が設定されてなることを特徴とする照明装置。」
2.引用例
原査定の拒絶の理由に引用された特開平6-51130号公報(以下、「引用例」という。)には、以下の事項が記載されている。
a.「【0001】【産業上の利用分野】
本発明は液晶表示装置などに用いられる面照明装置用導光板のうち、特に点光源を用いたものに関する。」
b.「【0009】光源として発光ダイオード等の点光源用いた面照明装置に用いられる導光板の例を図4に示す。この場合、導光板(4)の光が入射する側面に凹部(1)を設けて、ここに点光源が組み込まれるようにして装置の小型化を図っている。この場合も線光源を用いた場合と同様に反射面には印刷又は凸起や凹穴によりドットパターンが形成される。また、点光源を用いる場合は輝度が小さくなり易いので、導光板の観察側にもシボやヘアラインなどの微細な凹凸を形成して故意に光の伝達を抑制し、輝度の不足を補う事も行われている。
【0010】図4のように点光源を用いる場合には、通常導光板の一つの側面に複数の点光源が配置される。一つの装置に用いられる光源の個数は装置の発光面積や必要とする明るさ、光源の輝度、また、許容される消費電力などを考慮して決定される。」
c.「【0019】次に光源を組み込む凹部の形状は使用する光源の形状や、光源の発光の指向性を考慮して決定する。・・・また、光源の発光の指向性がある方向に極端に片寄っている場合には、これを補正し照明装置の面の輝度の均一性を高めるために、光が入射する凹部の形状を光学的に設計して定める必要が生じる。」
d.図4からは、光源を組み込む湾曲形状の凹部が導光板の側面に複数形成され、隣り合う凹部間の導光板の外辺が一直線状に形成されてなり、また、導光板の反射面に形成されたドットパターンの集合が平面視で略矩形の領域を形成していることが見て取れる。
これらa?dの記載によれば、引用例には、
「導光板の光が入射する側面に複数の湾曲形状の凹部を設けて、ここに各々点光源が組み込まれるようにした面照明装置において、
隣り合う上記凹部間の導光板の外辺が一直線状に形成されてなり、また、導光板の反射面に形成されたドットパターンの集合が平面視で略矩形の領域を形成しており、
上記凹部の形状は、使用する光源の形状や、光源の発光の指向性を考慮して決定され、光源の発光の指向性がある方向に極端に片寄っている場合には、これを補正し照明装置の面の輝度の均一性を高めるために、光が入射する凹部の形状を光学的に設計して定めるものである面照明装置。」
との事項が開示されていると認めることができる。(以下、「引用例発明」という。)
3.対比
そこで、本願発明と引用例発明とを以下に対比する。
ア.引用例発明の「導光板」、「凹部」、「点光源」、「面照明装置」は、各々本願発明の「導光体」、「レンズ」、「発光点」、「照明装置」に相当する。
イ.引用例発明の「導光板の反射面に形成されたドットパターンの集合が平面視で略矩形の領域」は、当該略矩形の領域が発光面を形成することは明らかであるから、本願発明の「有効発光領域」に相当する。
したがって両者は、
「複数の発光点と、前記発光点からの光を導入する導光体と、前記導光体の前記発光点に対向する部分に設けられた複数のレンズと、を有し、前記レンズは湾曲形状を有するとともに、隣り合う前記レンズの間の導光体の外辺が一直線状に形成されている照明装置。」
である点で一致し、次の点で相違している。
[相違点]本願発明のレンズは、「レンズを通過した発光点からの光の発光境界線が、導光体における有効発光領域の外縁線上で交差するように前記レンズの大きさおよび曲率が設定されてなる」ものであるのに対し、引用例発明のレンズが、同レンズを通過した発光点からの光の発光境界線が、導光体における有効発光領域の外縁線上で交差するように同レンズの大きさおよび曲率が設定されてなるものであるか不明である点。
4.判断
本願発明において、「レンズを通過した発光点からの光の発光境界線が、導光体における有効発光領域の外縁線上で交差するように前記レンズの大きさおよび曲率が設定されてなる」ことの趣旨は、本願明細書の「【0008】これらに対し、図3に示すように、隣り合う発光ダイオード18,18からの発光境界線Lbが発光面1aの有効発光領域Ahの外縁線上で交差するように、レンズ21の湾曲面を設定すれば、有効発光領域Ahの発光ダイオード18に近い側の辺端部及びそれから遠い側の辺端部の両方に十分な強度の光を伝達でき、従って、導光体1の有効発光領域Ahの全域を均一な強度で発光させることができる。」なる記載によれば、有効発光領域外で隣り合う発光ダイオードの光の発光境界線が重なり合うのを防止し、有効発光領域に光を集めるとともに、当該領域の輝度を均一にするようにその大きさや曲率などの形状を設計するものということができる。
他方、引用例発明のレンズ(凹部)は、上記2.cに記載のように、そのレンズ形状を使用する光源の形状や、発光の指向性を考慮して決定され、例えば、光源の発光の指向性がある方向に極端に片寄っている場合には、これを補正し照明装置の面の輝度の均一性を高めるために、光が入射する凹部の形状を光学的に設計して定めるものである。
上記引用例発明において、「照明装置の面」とは、発光面すなわち有効発光領域に他ならず、また、「光源の発光の指向性を補正する」ということは、上記有効発光領域に光源の発光が当たるようにレンズの形状を光学的に設計することであり、さらに、レンズの形状を光学的に設計するに当たっては、レンズの大きさや曲率などを設計上の要素として考慮することは当然であるから、結局、引用例発明のレンズは、本願発明と同様に、有効発光領域における輝度の均一性を向上せしめるべく、有効発光領域に光を集めるとともに、当該領域の輝度を均一にするようにその大きさや曲率などの形状を設計するものといえるから、本願発明の課題を十分解決したものということができる。
また、一般に複数の光源を用いてある領域を照明する場合(例えば広告ボードの照明)には、複数の光源の光束を照明領域に向けて照射するのが技術常識であり、照明領域外で複数の光束が重なるような無駄な照明はしないものである。
そうすると、引用例発明の発光境界線が、導光体における有効発光領域の外縁線上で交差するものか、或いは有効発光領域外で交差するものであるのか、引用例には明示の記載がないにせよ、引用例発明のレンズは、有効発光領域における輝度の均一性を向上せしめるべく、有効発光領域に光を集めるとともに、当該領域の輝度を均一にするようにその大きさや曲率などの形状を設計するものであるから、これに技術常識を加味することにより本願発明の上記相違点の事項に想到することは容易になし得ることである。
5.むすび
以上のとおり、本願発明は、引用例に記載された発明および技術常識に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2005-10-05 
結審通知日 2005-10-11 
審決日 2005-10-25 
出願番号 特願平9-65163
審決分類 P 1 8・ 121- Z (G02F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 藤岡 善行  
特許庁審判長 向後 晋一
特許庁審判官 瀧本 十良三
吉田 禎治
発明の名称 照明装置、液晶表示装置及び電子機器  
代理人 須澤 修  
代理人 上柳 雅誉  
代理人 藤綱 英吉  

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ