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審決分類 審判 訂正 特許請求の範囲の実質的変更 訂正する B42D
審判 訂正 3項(134条5項)特許請求の範囲の実質的拡張 訂正する B42D
審判 訂正 4項(134条6項)独立特許用件 訂正する B42D
審判 訂正 (特120条の4,3項)(平成8年1月1日以降) 訂正する B42D
審判 訂正 ただし書き1号特許請求の範囲の減縮 訂正する B42D
管理番号 1295136
審判番号 訂正2014-390132  
総通号数 182 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2015-02-27 
種別 訂正の審決 
審判請求日 2014-09-08 
確定日 2014-11-22 
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第5527707号に関する訂正審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 特許第5527707号に係る特許請求の範囲を本件審判請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり訂正することを認める。 
理由 結論
特許第5527707号に係る明細書及び特許請求の範囲を本件審判請求書に添付された訂正明細書及び訂正特許請求の範囲のとおり、一群の請求項ごとに訂正することを認める。

理由

第1 手続の経緯
本件審判の請求に係る特許第5527707号(以下「本件特許」という。)の経緯は以下のとおりである。

特願2013-256444号(以下「本件出願」という。)
出願 平成25年11月26日
拒絶理由通知 平成26年 1月24日
意見書、補正書 平成26年 2月 7日
特許査定 平成26年 3月20日
登録 平成26年 4月25日
訂正審判請求 平成26年 9月 8日
手続補正指令書 平成26年10月 2日
手続補正書 平成26年10月14日

第2 請求の趣旨
本件訂正審判の請求の趣旨は、特許第5527707号の特許請求の範囲を、審判請求書に添付した特許請求の範囲のとおり、請求項4及び5からなる一群の請求項については一群の請求項ごとに、請求項6については請求項ごとに訂正することを認める、との審決を求める、というものである。

第3 本件訂正の内容
本件訂正の内容は、次のとおりである。

1 訂正事項1
請求項4に「孔、切込み、スリット及びミシン目からなる群より選ばれる少なくとも一つ」とあるのを「孔、切込み及びスリットからなる群より選ばれる少なくとも一つ」に訂正する。

2 訂正事項2
請求項5に「前記孔、切込み、スリット及びミシン目からなる群より選ばれる少なくとも一つ」とあるのを「前記孔、切込み及びスリットからなる群より選ばれる少なくとも一つ」に訂正する。

3 訂正事項3
請求項6を削除する。

第4 当審の判断

1 特許法第126条第3項について

(1)訂正事項1、2に係る訂正後の請求項4、5は、訂正後の請求項4を請求項5が引用しているから、訂正後の請求項4及び5は、特許法第126条第3項の「一の請求項の記載を他の請求項が引用する関係」にある。したがって、請求項4及び5は、「一群の請求項」である。

(2)訂正事項3に係る訂正後の請求項6は、削除されるものであるから、特許法第126条第3項の「一の請求項の記載を他の請求項が引用する関係その他経済産業省令で定める関係」にない。したがって、訂正後の請求項6は、「一群の請求項」ではない。

2 訂正の目的について

(1)訂正事項1、2について、
訂正事項1、2は、それぞれ請求項4、5における択一的記載の要素を削除するものであるから、これらの請求項について、特許請求の範囲の減縮を目的とする訂正に該当するものである。

(2)訂正事項3について
訂正事項3は、請求項の削除による特許請求の範囲の減縮を目的とする訂正に該当するものである。

(3)したがって、訂正事項1ないし3は、特許法第126条第1項ただし書き第1号に掲げる事項を目的とするものに該当する。

3 新規事項追加の有無、及び実質的拡張・変更の存否について
訂正事項1?3は、本件出願の願書に添付して明細書、特許請求の範囲、又は図面に記載した事項の範囲内においてしたものである。
さらに、この訂正事項1ないし3は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。
したがって、訂正事項1ないし3は、特許法第126条第5項及び同法第126条第6項の規定に適合する。

4 訂正後における特許請求の範囲に記載されている事項により特定される発明が特許出願の際独立して特許を受けることができるか否かについて
本件訂正後の特許請求の範囲に記載されている事項により特定される発明が特許出願の際独立して特許を受けることができないとする理由を発見しない。
したがって、訂正事項1ないし3は、特許法第126条第7項の規定に適合する。

第5 むすび
以上のとおり、本件審判の請求は、特許法第126条第1項ただし書き第1号に掲げる事項を目的とし、かつ、同条第3項及び第5項ないし第7項の規定に適合するものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
書籍用ジャケット、及び、書籍
【技術分野】
【0001】
本発明は、書籍用ジャケット、及び、書籍に関する。
【背景技術】
【0002】
書店で販売されている書籍は、一般に、書籍本体に書籍用ジャケットが装着されて成っている。書籍本体と書籍用ジャケットとは互いに別部材であり、書籍の製作過程では、書籍本体の製本後、これに書籍用ジャケットが装着されて、商品としての書籍が完成する。このような書籍において、書籍用ジャケットは書籍本体に被せてあるのみであり、必ずしも書籍本体に密着していない。このため、書籍を読んでいる最中に書籍本体と書籍用ジャケットとが互いに天地方向にずれてきて、読者が煩わしい思いをすることがある。
【0003】
書籍本体と書籍用ジャケットとのずれを防止するものとして、袖部に外れ止め部を設けた書籍用ジャケットが知られている(例えば、特許文献1参照)。ここでは、表表紙側及び裏表紙側の両方の袖部の天側及び地側、合計四か所に設けられた外れ止め部の先端部分を、表表紙側及び裏表紙側に回り込むように折り曲げることによって、書籍用ジャケットが書籍本体から外れたりずれたりすることを防止している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開平2-150272号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記書籍用ジャケットでは、四か所に外れ止め部を設けるため、製造に手間がかかりコストも嵩む。また、特に天側に設けられた外れ止め部は、袖部に印刷された情報を読み取るのに邪魔となる。
【0006】
そこで本発明は、書籍本体と書籍用ジャケットとの天地方向のずれを防止するとともに、製造の手間を抑えた低コストで、且つ、袖部に印刷された情報を読み取るのに邪魔になりにくい書籍用ジャケットを提供することを目的とする。また、当該書籍用ジャケットが装着された書籍を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の書籍用ジャケットは、第1の袖部、第1の本体部、背部、第2の本体部、及び第2の袖部がこの順に連設されてなる書籍用ジャケットであって、第1の袖部及び第2の袖部の少なくとも一方は、当該袖部の天側の領域ではなく地側の領域のみにおいて、天地方向に延在するように設けられた舌片部を備え、舌片部は、地側を基端とし当該袖部の面の手前側又は奥側に動く可動部を天側へ向けて延在して有し、可動部は、天地方向の長さが、基端と当該袖部の地側の縁との間の距離よりも長くなるように構成されている。
【0008】
この書籍用ジャケットによれば、舌片部の可動部の天地方向の長さが、可動部の基端と袖部の地側の縁との間の距離よりも長いため、書籍用ジャケットを書籍本体に取り付けた際に、可動部の天側の端部が書籍本体の表表紙側及び裏表紙側に回り込むように舌片部を折り曲げることができる。これにより、書籍本体の表表紙及び裏表紙の地側の縁が書籍用ジャケットの地側の縁から地側にはみ出すことが防止される。すなわち、書籍本体と書籍用ジャケットとの天地方向のずれを防止することができる。また、一般に書籍用ジャケットの袖部には、書籍の内容紹介文や著者のプロフィール文が掲載される場合がある。このとき、当該掲載文は袖部の天側の領域に収まっていることが多く、当該掲載文は必ずしも地側の領域にまで達していない。このため、袖部に印刷された情報を読み取るのに舌片部が邪魔になりにくい。また、舌片部は第1の袖部及び第2の袖部の少なくとも一方の地側のみに設ければよく、天側には設けないため、製造の手間が抑えられ、低コストでもある。
【0009】
ここで、舌片部は、基端として、当該袖部の面内方向のうち天地方向に垂直な方向に延びる第1の折り目形成部を有し、舌片部は、第1の折り目形成部よりも天側の可動部内において、第1の折り目形成部と平行に延びる第2の折り目形成部を有し、舌片部は、第1の折り目形成部及び第2の折り目形成部で山折り又は谷折りを選択して折り曲げた場合に、可動部の天側の端部を、当該袖部の地側の縁を乗り越えて当該袖部の反対側の面に回り込ませることが可能であることが好ましい。これによれば、第1の折り目形成部及び第2の折り目形成部がいずれも天地方向に垂直な方向に延びているため、当該折り目形成部で山折り又は谷折りを選択して折り曲げて可動部の天側の端部を袖部の地側の縁を乗り越えて当該袖部の反対側の面に回り込ませる場合に、外観の形状良く可動部の天側の端部を収めることができる。
【0010】
また、舌片部は、第1の折り目形成部に沿って第1の折り目形成部上に設けられた第1の折り目形成ガイドと、第2の折り目形成部に沿って第2の折り目形成部上に設けられた第2の折り目形成ガイドと、を有し、第1の折り目形成ガイドと第2の折り目形成ガイドとの間の距離は、第1の折り目形成ガイドと当該書籍用ジャケットが書籍本体に装着された際の当該書籍本体の表表紙又は裏表紙の地側の辺との間の距離に等しいことが好ましい。折り目形成ガイドは、舌片部を折り曲げやすくするための構造であるため、これによれば、上記山折り及び谷折りを適切な位置で容易に行うことができる。そして、第1の折り目形成ガイドと第2の折り目形成ガイドとの間の距離、及び、第1の折り目形成ガイドと書籍用ジャケットが書籍本体に装着された際の当該書籍本体の表表紙又は裏表紙の地側の辺との間の距離が互いに等しいことにより、第2の折り目ガイドでの折り曲げ位置が、書籍用ジャケットの地側の縁の位置に一致する。これによれば、書籍の地側における可動部のはみ出しが最小となるため、外観の見栄えが良いし、書籍を本棚等に立てて収納する際に邪魔になりにくい。
【0011】
舌片部は、当該袖部の一部からなり、当該袖部に設けられた孔、切込み、スリット及びミシン目からなる群より選ばれる少なくとも一つにより当該袖部内の他の領域と画されて形成されたものであることが好ましい。この場合、舌片部を設けるための他の部材が不要であるため製造しやすく、省資源でもある。
【0012】
ここで、孔、切込み、スリット及びミシン目からなる群より選ばれる少なくとも一つは、可動部を包囲するように連続して延びていることが好ましい。これによれば、本発明の書籍用ジャケットが装着された書籍の読者が、舌片部及びその可動部が書籍用ジャケットの袖部に設けられていることを容易に認識することができる。
【0013】
また、孔、切込み、スリット及びミシン目からなる群より選ばれる少なくとも一つは、可動部を包囲するように連続して延び、且つ、少なくとも一箇所で不連続な部分を有することも好ましい。当該不連続な部分を有していると、舌片部にまだ折り目を付けていないときに(例えば、書店で陳列されている書籍を客が手に取ったときに)、舌片部の可動部がヒラヒラ動いて不意に無用の折り目がついたり破れたりすることが防止される。
【0014】
また、舌片部は、当該袖部に固定された固定部を有する部材からなり、可動部は、基端を介して固定部から連設され天側へ向けて延在し、当該袖部の面の舌片部が固定された側に動くものであってもよい。この場合、袖部の資材の都合に関わらず、舌片部を袖部とは別の部材として用意するため、可動部の強度等に関する設計の自由度が高い。
【0015】
本発明はまた、上記書籍用ジャケットが書籍本体に装着された書籍を提供する。
【0016】
この書籍においては、舌片部に折り目が形成されていない状態であってもよい。また、この書籍においては、前記舌片部が、前記第1の折り目形成部及び前記第2の折り目形成部のいずれでも山折り又は谷折りを選択して折り曲げられており、可動部の天側の端部が、当該袖部に連設された第1の本体部又は第2の本体部と書籍本体の表表紙又は裏表紙との間に挟まれており、書籍本体の表表紙又は裏表紙が、可動部の天側の端部と当該袖部との間に挟まれている状態(以下、このように書籍用ジャケットを単に書籍本体に装着させただけでなく、舌片部を折り曲げて本発明の書籍用ジャケットがその機能を発揮する状態となっている状態を「使用状態」という。)であってもよい。
【0017】
上記書籍本体は、並製本であることが好ましい。並製本は表紙が柔らかく、書籍を読んでいる最中は、読者の手の中で、表紙が書籍用ジャケットとともに反った状態であるのが通常である。書籍用ジャケットの使用状態にあっては、舌片部の可動部が表紙の反りに追従して反ることになる。このため、読書中に可動部が折り戻されて使用状態が解除されてしまうことが防止される。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、書籍本体と書籍用ジャケットとの天地方向のずれを防止するとともに、製造の手間を抑えた低コストで、且つ、袖部に印刷された情報を読み取るのに邪魔になりにくい書籍用ジャケットを提供することができる。また、当該書籍用ジャケットが装着された装着された書籍を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】第1の実施形態の書籍用ジャケットの平面図である。(a)は表面を示しており、(b)は裏面を示している。
【図2】(a)は第1の袖部の拡大図である。(b)は第1の袖部の斜視図であって可動部を手前側に動かした様子を示す図である。(c)は(b)のIIc-IIc断面図である。(d)は(c)から更に可動部を完全に折り曲げた様子を示す図である。
【図3】(a)は書籍用ジャケットが装着された書籍である。(b)は舌片部を操作している場面である。(c)は書籍用ジャケットの使用状態を示す図である。(d)は(c)のIIId-IIId断面図である。
【図4】舌片部の変形例を示す図である。
【図5】舌片部の他の変形例を示す図である。
【図6】舌片部の他の変形例を示す図である。
【図7】舌片部の他の変形例を示す図である。
【図8】使用状態の変形例を示す図である。
【図9】第2の実施形態の書籍用ジャケットの平面図である。(a)は表面を示しており、(b)は裏面を示している。
【図10】(a)は第1の袖部の拡大図である。(b)は第1の袖部の斜視図であって可動部を手前側に動かした様子を示す図である。(c)は(b)のXc-Xc断面図である。(d)は(c)から更に可動部を完全に折り曲げた様子を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、参照する図面においては同一部分又は相当部分には同一符号を付し、重複する説明は省略する。また、図面は発明の特徴を理解しやすくするべく寸法比率を調整して描かれており、実際の物品の寸法比率を反映したものではない。
【0021】
[用語の定義]
本明細書で使用する用語について、以下のとおり定義する。
【0022】
・「書籍」とは、以下に説明する「書籍本体」に「書籍用ジャケット」が装着されたものをいう。一般に書店で陳列及び販売されているのは、この「書籍」の状態である。
【0023】
・「書籍本体」とは、上製本及び並製本等そのものをいう。
・「表紙」とは、書籍本体の表表紙(おもてびょうし)及び裏表紙(うらびょうし)の双方を指す。一般に、本文用に使用される紙よりも厚い紙が用いられている。
【0024】
・「書籍用ジャケット」とは、書籍本体に装着させるシート状乃至フィルム状のものをいう。「書籍用ジャケット」は、一般に「表紙カバー」、「カバー」等と呼ばれることもあるものである。材質は一般に、紙又は樹脂である。「書籍用ジャケット」は、商品である書籍の一部であり、読んでいる書籍の書名を隠す等の目的で書籍に対して更に被せられる「ブックカバー」とは異なる物品であることに注意されたい。
・書籍用ジャケットの「袖部」とは、書籍用ジャケットの天地方向に垂直な方向における両端部であって、書籍用ジャケットを書籍本体に装着させた際に書籍本体の表表紙の裏側及び裏表紙の裏側(一般に、それぞれ「表2」及び「表3」と呼ばれている部分)に回り込む部分をいう。
・書籍用ジャケットの「本体部」とは、書籍用ジャケットを書籍本体に装着させた際に書籍本体の表表紙及び裏表紙の平の部分に対向する部分をいう。
・書籍用ジャケットの「背部」とは、書籍用ジャケットを書籍本体に装着させた際に書籍本体の背に対向する部分をいう。
【0025】
・「折り目形成部」とは、書籍用ジャケットを使用状態にするに際して折り目が形成されることが予定された部分をいう。
・「折り目形成ガイド」とは、折り目形成部の存在を構造的に明示するためのものであって、折り曲げのガイドとなる線、型押し、孔等が設けられた部分をいう。
【0026】
[第1の実施形態]
まず、書籍用ジャケットについて説明する。図1に示されたとおり、本実施形態の書籍用ジャケット100は、通常の書籍用ジャケットと同様に、第1の袖部1A、第1の本体部2A、背部3、第2の本体部2B、及び第2の袖部1Bがこの順に連設されて構成されたものである。
【0027】
書籍用ジャケット100の表面(おもてめん;書籍本体に装着した際に外観として見える側の面)には、種々の情報が印刷されている。ここでは、図1(a)に示されたとおり、第1の袖部1Aには書籍本体の内容紹介文4が、第1の本体部2A及び背部3には書籍のタイトル5が、第2の袖部1Bには著者のプロフィール文6がそれぞれ印刷されている。ここで、各情報は、各部における天側(図示上側)の領域に寄せられて印刷されている。
【0028】
一方、書籍用ジャケット100の裏面(書籍本体に装着した際に書籍本体に対面する側の面)には、図1(b)に示されたとおり、情報が印刷されていない。
【0029】
なお、本実施形態では、第1の本体部2Aに書籍のタイトルが印刷されていることから分かるとおり、本文が横書きである書籍本体(すなわち左開きの本)に装着する書籍用ジャケットを例にしている。また、図1では第1の袖部1A、第1の本体部2A、背部3、第2の本体部2B、及び第2の袖部1Bの各境界を破線で示しているが、これらは本明細書における各部の識別の便のために描かれたものであり、実際に書籍用ジャケット10に破線が印刷されているのではない。
【0030】
書籍用ジャケット100の材質としては、紙又は樹脂が挙げられる。紙としては、例えば塗工紙、なかでも特にコート紙を用いることが好ましい。紙の厚さは、後述する舌片部7A,7Bの強度を十分なものとする観点から、連量として四六判換算で100kg?200kgが好ましく、110kg?180kgがより好ましい。より具体的には、110kg、135kg、180kgが挙げられる。また、紙の厚さは、メートル坪量としては100g/m^(2)?210g/m^(2)が好ましく、120g/m^(2)?200g/m^(2)がより好ましい。
【0031】
第1の袖部1A及び第2の袖部1Bの地側の領域内には、袖部1A,1Bと同一面内において、それぞれ舌片部7A,7Bが設けられている。舌片部7A,7Bは、それぞれ袖部1A,1Bの一部からなり、袖部1A,1Bの縁から離間した位置において、地側に開放部が向けられたコ字型の切込みが袖部1A,1Bに設けられることにより、袖部1A,1B内の他の領域から画されて形成されたものである。図2(a)?(c)に示されたとおり、このコ字型の切込みにより、舌片部7A,7Bは、コ字型の切込みの両端部間を渡す部分を基端とし袖部1A,1Bの面の手前側又は奥側に動くことができる可動部8A,8Bを天側へ向けて延在して有することとなっている。換言すれば、舌片部7A,7Bを袖部1A,1Bの他の領域から画して形成している上記切込みは、可動部8A,8Bを包囲するように連続して延びている。なお、可動部8A,8Bを動かしたとき、動かす前の可動部8A,8Bが存在した跡地空間は、窓Wとなる。なお、図面には「8B」、「9B」、「10B」の符号は現れていないが、これらの符号は、第2の袖部1Bに設けられた舌片部7B(図1参照)における、第1の袖部1Aに設けられた舌片部7A内の構造(「8A」、「9A」、「10A」)と同様のものを指していると想定されたい。
【0032】
舌片部7A,7Bは、上記基端として、袖部1A,1Bの面内方向のうち天地方向に垂直な方向に延びる第1の折り目形成部9A,9Bをそれぞれ有している。そして、舌片部7A,7Bは、第1の折り目形成部9A,9Bよりも天側の可動部8A,8B内において、第1の折り目形成部9A,9Bと平行に延びる第2の折り目形成部10A,10Bをそれぞれ有している。なお、図2では第1の折り目形成部9A,9B及び第2の折り目形成部10A,10Bを破線で示しているが、これらは本明細書における識別の便のために描かれたものであり、実際に当該部分に破線が印刷されているのではない。
【0033】
ここで、可動部8A,8Bは、天地方向の長さが、上記基端(これは第1の折り目形成部9A,9Bとされている部分でもある。)と袖部1A,1Bの地側の縁との間の距離よりも長い。また、第1の折り目形成部9A,9Bと第2の折り目形成部10A,10Bとの間の距離(以下「距離A」ともいう。)は、第1の折り目形成部9A,9Bと書籍用ジャケット100が書籍本体に装着された際の当該書籍本体の表表紙又は裏表紙の地側の辺との間の距離(以下「距離B」ともいう。)に等しいものとされている。舌片部7A,7B周辺にこれらの長さ関係が成立していることによって、図2(d)に示されたとおり、第1の折り目形成部9A,9B及び前記第2の折り目形成部10A,10Bの双方で谷折りで折り曲げた場合に、可動部8A,8Bの天側の端部を、袖部1A,1Bの地側の縁を乗り越えて袖部1A,1Bの反対側の面に回り込ませることが可能とされている。ここで「谷折り」とは、書籍用ジャケット100を表面からみた場合に谷折りとなる方向に折ることを指している。
【0034】
ここで、距離A及び距離Bの長さは、5mm?15mmが好ましく、6mm?14mmがより好ましく、7mm?13mmが更に好ましく、8mm?12mmが特に好ましい。可動部8A,8Bの天地方向の長さは、25mm?45mmが好ましく、27mm?43mmがより好ましく、28mm?41mmが更に好ましく、29mm?38mmが特に好ましい。可動部8A,8Bの天地方向に垂直な方向の幅は、10mm?40mmが好ましく、12mm?35mmがより好ましく、13mm?30mmが更に好ましく、15mm?25mmが特に好ましい。上記数値はいずれも、可動部8A,8Bの取り扱いやすさ、見栄え、強度等に応じて適切に選択される。
【0035】
袖部1A,1Bにおける可動部8A,8Bが設けられている位置としては、袖部1A,1Bにおいて天地方向に垂直な方向の幅を100等分した目盛を付したと仮定した場合に、可動部8A,8Bの天地方向の中心線の位置が当該目盛の20?80の位置にあることが好ましく、30?70の位置にあることがより好ましい。この位置は、書籍用ジャケット100の使用状態において書籍本体を支えるバランスの観点から選択される。
【0036】
第1の袖部1A及び第2の袖部1Bの天側の領域には舌片部は設けられていない。
【0037】
次に、書籍用ジャケット100の使用方法について説明する。
【0038】
図3(a)に示されたとおり、一般に、書店で陳列及び販売されている書籍300は、書籍本体200に書籍用ジャケット100が着脱可能に装着されたものである。書籍300にあっては、袖部1A,1Bと本体部2A,2Bとの境界が折り曲げられ、袖部1A,1Bが書籍本体200の表表紙201の裏側及び裏表紙202の裏側(書籍本体200の内部側)に回り込んでいる。ここで、書籍本体200は、並製本であるとする。
【0039】
書籍300の読者は、図2(b)に示されたとおり舌片部7Aの可動部8Aを持ち上げた後、第1の折り目形成部9Aで谷折りで折り曲げる。そして、第2の折り目形成部10Aでも折り曲げる。この過程では、図3(b)に示されたとおり、舌片部7Aを第1の折り目形成部9Aで限界まで折り曲げたとき、可動部8Aのうち第1の折り目形成部9Aと第2の折り目形成部10Aとの間の領域が、第1の折り目形成部9Aと第1の袖部1Aの地側の縁との間の領域に対面する。そして、可動部8Aのうち第2の折り目形成部10Aよりも先端側の端部を、第1の本体部2Aと書籍本体200の表表紙201との間に挿し込みながら、第2の折り目形成部10Aで谷折りで限界まで折り曲げる。その結果、図3(c)及び(d)に示されたとおり、折り曲げる前に可動部8Aの天側の先端であった端部が、第1の本体部2Aと書籍本体200の表表紙201との間に挟まれた状態、且つ、書籍本体200の表表紙201が、可動部8Aの端部と第1の袖部1Aとの間に挟まれた状態となる。
【0040】
そして、第2の袖部1B側の舌片部7Bについても、上記と同様の折り曲げ動作を行う。これらの動作により、書籍用ジャケット100が使用状態となる。
【0041】
以上に説明した書籍用ジャケット100によれば、舌片部7A,7Bの可動部8A,8Bの天地方向の長さが、舌片部7A,7Bの基端と袖部1A,1Bの地側の縁との間の距離よりも長いため、書籍用ジャケット100を書籍本体200に取り付けた際に、可動部8A,8Bの天側の端部が書籍本体200の表表紙201側及び裏表紙202側に回り込むように舌片部7A,7Bを折り曲げることができる。これにより、書籍本体200の表表紙201及び裏表紙202の地側の縁が書籍用ジャケット100の地側の縁から地側にはみ出すことが防止される。すなわち、書籍本体200と書籍用ジャケット100との天地方向のずれを防止することができる。
【0042】
より詳細に述べると、書籍本体200は書籍用ジャケット100よりも通常重いこと、及び、書籍300を手に取って開いて保持するときに指先で書籍300に加えられる力の関係から、読書中に書籍本体200が相対的に下向きに、書籍用ジャケット100が相対的に上向きに移動して互いにずれてきて、読者が煩わしい思いをする。これに対し、本実施形態の書籍用ジャケット100によれば、書籍本体200の表表紙201及び裏表紙202の地側の縁が、折り曲げられた舌片部7A,7Bに当接することにより、舌片部7A,7Bが書籍本体200の重量を支えることができるため、この相対的なずれのストッパーとして働き、当該ずれの発生を防止することができる。
【0043】
本実施形態の書籍用ジャケット100では、天側には舌片部が設けられていないため、反対向きのずれ、すなわち、書籍本体200が相対的に上向きに、書籍用ジャケット100が相対的に下向きに移動して互いにずれることを防止することはできない。とはいえ、書籍本体200と書籍用ジャケット100との重量の上記関係、及び、読者の手中における指先の力の入り具合からは、そのようなずれは通常生じないため、読者の煩わしさを取り除くには、舌片部7A,7Bを地側のみに設けた本実施形態の態様で十分である。
【0044】
ここで、特許文献1に開示された書籍用ジャケットでは、袖部の地側の領域内だけでなく天側の領域内にも外れ止め部(舌片部に相当)が設けられている。これは、書籍用ジャケットの天地方向の「ずれ」だけでなく全体的な「外れ」も生じないように考慮されたものであると考えられる。特許文献1では、天地方向の「ずれ」については「上下に移動」としか記載されていない。これに対し、本実施形態の書籍用ジャケット100は、「ずれ」を単に「上下に移動」することとして捉えるのではなく、重力や指先の力の作用具合に由来して天地方向のずれに非対称性が存在すること、すなわち、実際には書籍本体200が相対的に下向きに、書籍用ジャケット100が相対的に上向きに移動しやすいことに着目し、これを防止することを達成したものである。
【0045】
また、袖部1A,1Bにおいては、書籍300の内容紹介文4や著者のプロフィール文6が袖部1A,1Bの天側の領域に寄せられて印刷されているため、袖部1A,1Bに印刷された情報を読み取るのに舌片部7A,7Bが邪魔になりにくい。また、舌片部7A,7Bは袖部1A,1Bの天側に設ける必要がないため、製造の手間が抑えられ、低コストでもある。また、天側を操作する必要がないため、書籍用ジャケット100を使用状態とする際の手間も少ない。
【0046】
また、舌片部7A,7Bは、袖部1A,1Bの面内方向のうち天地方向に垂直な方向に延び且つ互いに平行な第1の折り目形成部9A,9B及び第2の折り目形成部10A,10Bで折り曲げられるため、可動部8A,8Bの端部を袖部1A,1Bの地側の縁を乗り越えて袖部1A,1Bの反対側の面に回り込ませる場合に、外観の形状良く可動部8A,8Bの端部を収めることができる。
【0047】
また、第1の折り目形成部9A,9Bと第2の折り目形成部10A,10Bとの間の距離は、第1の折り目形成部9A,9Bと書籍用ジャケット100が書籍本体200に装着された際の書籍本体200の表表紙201又は裏表紙202の地側の辺との間の距離に等しくされているため、第2の折り目形成部10A,10Bでの折り曲げ位置が、袖部1A,1Bの地側の縁の位置に一致する。これによれば、書籍300の地側における可動部8A,8Bのはみ出しが最小となるため、外観の見栄えが良いし、書籍300を本棚等に立てて収納する際に邪魔になりにくい。
【0048】
また、舌片部7A,7Bは、袖部1A,1Bの一部からなり、袖部1A,1Bに設けられた切込みにより袖部1A,1B内の他の領域と画されて形成されたものであるため、舌片部7A,7Bを設けるための他の部材が不要であるため製造しやすく、省資源でもある。ここで、当該切込みは、可動部8A,8Bを包囲するように連続して延びているため、書籍用ジャケット100が装着された書籍300の読者が、舌片部7A,7B及びその可動部8A,8Bが書籍用ジャケット100の袖部1A,1Bに設けられていることを容易に認識することができる。
【0049】
また、書籍本体200としての並製本は、表紙が柔らかい。このため、可動部8A,8Bの端部を第1の本体部2Aと表表紙201との間に挿し込む際に、表表紙201を反らせることにより、第1の本体部2Aと表表紙201との間の空間を広く開けることができる。従って、書籍本体が上製本である場合と比べて挿し込み操作を容易に行える。
【0050】
また、並製本は、書籍300を読んでいる最中は、読者の手の中では表紙201,202が書籍用ジャケット100とともに反った状態であるのが通常である。書籍用ジャケット100の使用状態にあっては、舌片部7A,7Bの可動部8A,8Bが表紙201,202の反りに追従して反ることになる。このため、読書中に可動部8A,8Bが折り戻されて使用状態が解除されてしまうことが防止される。
【0051】
次に、本実施形態の変形例を紹介する。
【0052】
上記実施形態では、舌片部7A,7Bは切込みが袖部1A,1Bに設けられることにより袖部1A,1B内の他の領域と画されて形成された態様を示したが、図4に示されたとおり、切込みは、これに代えてミシン目(図4(a))、スリット(図4(b))、連続する孔(図4(c))、又は、切込みとミシン目の組み合わせ(図4(d))等であってもよい。ここで「スリット」とは、切込みとは異なり、幅を有する打ち抜き状の隙間をいう。なお、図4、及び、以下に説明する図5?7においては、煩雑さを避けるために、一部の符号を付していないことに留意されたい。
【0053】
また、上記実施形態では、切込みが可動部8A,8Bを包囲するように連続して延びている態様を示したが、連続して延びているうちの少なくとも一箇所で不連続な部分を有していてもよい。例えば、図5に示されたとおり、天側の頂点部分に不連続な部分を有していてもよく(図5(a),(b)及び(c))、その他の部分に不連続な部分を有していてもよい(図5(d))。これらの場合、舌片部7A,7Bにまだ折り目を付けていないときに(例えば、書店で陳列されている書籍を客が手に取ったときに)、可動部8A,8Bがヒラヒラ動いて不意に無用の折り目がついたり破れたりすることが防止される。
【0054】
また、図6に示されたとおり、上記実施形態の第1の袖部1Aにおいて、第1の折り目形成部9Aに沿って、この上に第1の折り目形成ガイド19Aを設け、且つ、第2の折り目形成部10Aに沿って、この上に第2の折り目形成ガイド20Aを設けた態様としてもよい。例えば、第1の折り目形成ガイド19A及び第2の折り目形成ガイド20Aとして直線状の型押しによる肉薄部分を設けてもよく(図6(a))、線(ここでは破線)や文字(ここでは「谷折り」の文字)を印刷してもよく(図6(b))、孔を設けてもよく(図6(c))、これらの組み合わせを設けてもよい(図6(d))。第1の折り目形成ガイド19A及び第2の折り目形成ガイド20Aは、第1の折り目形成部9A及び第2の折り目形成部10Aの存在を構造的に明示して舌片部7Aを折り曲げやすくするための構造であるため、これらによれば、第1の折り目形成部9A及び第2の折り目形成部10Aでの山折り又は谷折りを適切な位置で容易に行うことができる。なお、このとき同様に、第2の袖部1Bにおいても、第1の折り目形成部9Bに沿って、この上に第1の折り目形成ガイドを設け、且つ、第2の折り目形成部10Bに沿って、この上に第2の折り目形成ガイドを設ける。
【0055】
また、上記実施形態では切込みがコ字型である態様、すなわち可動部8A,8Bが矩形である態様を示したが、切込みは、他の形状、例えば人工物、自然物、ヒト、動物等を象った形状でもよい。例えば、図7に示されたとおり、徳利のような形状でもよく(図7(a))、岩のような形状でもよく(図7(b))、ヒトのような形状でもよく(図7(c))、猫のような形状でもよい(図7(d))。これらの場合、視覚的に楽しく、この書籍用ジャケットが装着されている書籍の購入意欲が湧くことが期待される。また、これらの形状を有する可動部又は舌片部に対して、線を描いたり色を付けたりすると、視覚的に一層楽しいものとなる。
【0056】
使用方法についての変形例としては、第1の折り目形成部9A,9Bにおける折り目を谷折りに代えて山折りにする態様が挙げられる。この場合、図8に示されたとおり、可動部8A,8Bの端部が袖部1A,1Bの地側の縁を乗り越えるのではなく、可動部8A,8Bが折り畳まれるようにして、書籍本体200の表紙201,202の受け入れ口が形成される。使用状態では、折り畳まれた可動部8A,8Bの間に書籍本体200の表紙201,202が挟まれた状態となる。なお、図8は、書籍用ジャケット100の第1の本体部2Aを省略して描かれている。
【0057】
また、使用方法の変形例としては、書籍用ジャケット100を書籍本体200に装着する前にあらかじめ舌片部7A,7Bを折り曲げた状態にしておいてもよい。上記実施形態では、書籍本体200が並製本であるとはいえ、可動部8A,8Bの端部を本体部2A,2Bと表紙201,202との間に挿し込むのに手間取ることがある。そこで、あらかじめ舌片部7A,7Bを折り曲げた状態にしておくことにより、書籍本体200の表紙201,202をその可動部8A,8Bの端部と袖部1A,1Bとの間に挿し込むことにより、書籍用ジャケット100を書籍本体200に容易に装着し、使用状態とすることができる。
【0058】
[第2の実施形態]
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。第2の実施形態の書籍用ジャケットが第1の書籍用ジャケットと異なる点は、舌片部が袖部の一部から構成されているのではなく、別部材が袖部に固定されることにより構成されている点である。以下、第1の実施形態との相違点を中心に説明する。
【0059】
図9に示されたとおり、本実施形態の書籍用ジャケット110は、第1の実施形態の書籍用ジャケット110と同様に、第1の袖部1A、第1の本体部2A、背部3、第2の本体部2B、及び第2の袖部1Bがこの順に連設されて構成されたものである。書籍用ジャケット100の裏面は、図9(b)に示されたとおり、情報が印刷されていないばかりか、形状についても従来の書籍用ジャケットと何ら変わりがないようにみえる。
【0060】
一方、書籍用ジャケット110の表面(おもてめん)においては、図9(a)に示されたとおり、第1の袖部1A及び第2の袖部1Bの地側の領域にそれぞれ舌片部17A,17Bが設けられている。舌片部17A,17Bは、矩形の紙片からなり、当該紙片は、天地方向が長手方向となる向きにされ、地側の端部において、接着剤により袖部1A,1Bに固定された固定部11A,11Bを有している。図10(a)?(c)に示されたとおり、舌片部17A,17Bは、固定部11A,11Bの天側の限界の部分を基端とし袖部1A,1Bの面の手前側(表面側)に動くことができる可動部8A,8Bを天側へ向けて延在して有することとなっている。なお、可動部8A,8Bが動いた跡地空間は、窓とはならず、袖部1A,1Bの隠れていた領域が見えるようになるだけである。
【0061】
舌片部17A,17Bは、上記基端として、袖部1A,1Bの面内方向のうち天地方向に垂直な方向に延びる第1の折り目形成部9A,9Bを有している。そして、舌片部17A,17Bは、第1の折り目形成部9A,9Bよりも天側の可動部8A,8B内において、第1の折り目形成部9A,9Bと平行に延びる第2の折り目形成部10A,10Bを有している。なお、図10では第1の折り目形成部9A,9B及び第2の折り目形成部10A,10Bを破線で示しているが、これらは本明細書における識別の便のために描かれたものであり、実際に当該部分に破線が印刷されているのではない。
【0062】
舌片部17A,17Bは、第1の折り目形成部9A,9B及び第2の折り目形成部10A,10Bで谷折りされることで、図10(d)に示されたとおり、可動部8A,8Bの端部が袖部1A,1Bの地側の縁を乗り越えて袖部1A,1Bの反対側の面に回り込ませることが可能とされている。書籍用ジャケット110の使用状態ではこのような形状とされる。
【0063】
本実施形態では、袖部1A,1Bの資材の都合に関わらず、舌片部17A,17Bを袖部1A,1Bとは別の部材として用意するため、可動部8A,8Bの強度等に関する設計の自由度が高い。
【0064】
なお、舌片部17A,17Bの固定部11A,11Bを袖部1A,1Bに固定する手段としては、接着剤に限られない。また、舌片部17A,17Bの形状については、第1の実施形態と同様に、様々な形状に象ってもよい。
【0065】
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に何ら限定されるものではない。「特許請求の範囲」に規定された事項の範囲内において、具体的な実施形態を様々に構成することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0066】
本発明は、書書籍用ジャケットを備える書籍について利用可能である。
【符号の説明】
【0067】
1A …第1の袖部
1B …第2の袖部
2A …第1の本体部
2B …第2の本体部
3 …背部
4 …内容紹介文
5 …書籍のタイトル
6 …著者のプロフィール文
7A,7B …舌片部
8A,8B …可動部
9A,9B …第1の折り目形成部
10A,10B …第2の折り目形成部
11A,11B …固定部
17A,17B …舌片部
19A …第1の折り目形成ガイド
20A …第2の折り目形成ガイド
100 …書籍用ジャケット
110 …書籍用ジャケット
200 …書籍本体
201 …表表紙
202 …裏表紙
300 …書籍
W …窓
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の袖部、第1の本体部、背部、第2の本体部、及び第2の袖部がこの順に連設されてなる書籍用ジャケットであって、
前記第1の袖部及び前記第2の袖部の少なくとも一方は、当該袖部の天側の領域ではなく地側の領域のみにおいて、天地方向に延在するように設けられた舌片部を備え、
前記舌片部は、地側を基端とし当該袖部の面の手前側又は奥側に動く可動部を天側へ向けて延在して有し、
前記可動部は、天地方向の長さが、前記基端と当該袖部の地側の縁との間の距離よりも長い、書籍用ジャケット。
【請求項2】
前記舌片部は、前記基端として、当該袖部の面内方向のうち天地方向に垂直な方向に延びる第1の折り目形成部を有し、
前記舌片部は、前記第1の折り目形成部よりも天側の前記可動部内において、前記第1の折り目形成部と平行に延びる第2の折り目形成部を有し、
前記舌片部は、前記第1の折り目形成部及び前記第2の折り目形成部で山折り又は谷折りを選択して折り曲げた場合に、前記可動部の天側の端部を、当該袖部の地側の縁を乗り越えて当該袖部の反対側の面に回り込ませることが可能である、請求項1記載の書籍用ジャケット。
【請求項3】
前記舌片部は、
前記第1の折り目形成部に沿って前記第1の折り目形成部上に設けられた第1の折り目形成ガイドと、
前記第2の折り目形成部に沿って前記第2の折り目形成部上に設けられた第2の折り目形成ガイドと、を有し、
前記第1の折り目形成ガイドと前記第2の折り目形成ガイドとの間の距離は、前記第1の折り目形成ガイドと当該書籍用ジャケットが書籍本体に装着された際の当該書籍本体の表表紙又は裏表紙の地側の辺との間の距離に等しい、請求項2記載の書籍用ジャケット。
【請求項4】
前記舌片部は、当該袖部の一部からなり、当該袖部に設けられた孔、切込み及びスリットからなる群より選ばれる少なくとも一つにより当該袖部内の他の領域と画されて形成されたものである、請求項1?3いずれか一項記載の書籍用ジャケット。
【請求項5】
前記孔、切込み及びスリットからなる群より選ばれる少なくとも一つは、前記可動部を包囲するように連続して延びている、請求項4記載の書籍用ジャケット。
【請求項6】(削除)
【請求項7】
前記舌片部は、当該袖部に固定された固定部を有する部材からなり、
前記可動部は、前記基端を介して前記固定部から連設され天側へ向けて延在し、当該袖部の面の前記舌片部が固定された側に動く、請求項1?3のいずれか一項記載の書籍用ジャケット。
【請求項8】
請求項1記載の書籍用ジャケットが書籍本体に装着された、書籍。
【請求項9】
請求項2又は3記載の書籍用ジャケットが書籍本体に装着された、書籍。
【請求項10】
前記舌片部が、前記第1の折り目形成部及び前記第2の折り目形成部のいずれでも山折り又は谷折りを選択して折り曲げられており、
前記可動部の天側の端部が、当該袖部に連設された前記第1の本体部又は前記第2の本体部と書籍本体の表表紙又は裏表紙との間に挟まれており、
前記書籍本体の表表紙又は裏表紙が、前記可動部の天側の端部と当該袖部との間に挟まれている、請求項9記載の書籍。
【請求項11】
前記書籍本体は、並製本である、請求項8?10のいずれか一項記載の書籍。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
審決日 2014-11-11 
出願番号 特願2013-256444(P2013-256444)
審決分類 P 1 41・ 851- Y (B42D)
P 1 41・ 855- Y (B42D)
P 1 41・ 856- Y (B42D)
P 1 41・ 854- Y (B42D)
P 1 41・ 841- Y (B42D)
最終処分 成立  
前審関与審査官 砂川 充  
特許庁審判長 黒瀬 雅一
特許庁審判官 畑井 順一
江成 克己
登録日 2014-04-25 
登録番号 特許第5527707号(P5527707)
発明の名称 書籍用ジャケット、及び、書籍  

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