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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) H01L
管理番号 1295532
審判番号 不服2013-19999  
総通号数 182 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2015-02-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2013-10-15 
確定日 2014-12-11 
事件の表示 特願2007- 93598「プラズマ処理装置及びプラズマ処理装置の運転方法」拒絶査定不服審判事件〔平成20年10月16日出願公開、特開2008-251968〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯

本願は、平成19年3月30日の出願であって、平成24年1月31日付けで拒絶理由の通知がなされ、同年4月9日付けで手続補正書の提出がなされ、同年8月7日付けで拒絶理由の通知がなされ、同年10月19日付けで手続補正書の提出がなされ、平成25年7月10日付けで拒絶査定がなされ、これに対して同年10月15日付けで拒絶査定不服審判の請求がなされるとともに手続補正書の提出がなされ、当審において、平成26年1月7日付けで前置報告書を利用した審尋がなされ、同年3月6日付けで回答書の提出がなされたが、同年6月13日付けで拒絶理由が通知され、同年8月6日付けで手続補正書の提出がなされたものである。



2.本願発明

本願の請求項1に係る発明は、平成26年8月6日付け手続補正書によって補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される、以下のとおりのものである(以下「本願発明」という。)。

「内部が真空にされる真空容器内部に配置され、内部で略円形のウエハがプラズマを用いて処理される処理室と、前記ウエハがその上面に載せられる試料台と、この試料台の内部に配置され上方に移動して、その先端を前記試料台の上面から上方に突出させた状態で前記ウエハを当該先端上に保持する複数のピンと、載せられた前記ウエハをその先端部上に保持して搬送し、前記試料台のウエハ載置面と前記ウエハの中心同士の位置を合わせて、前記ウエハを前記先端部上から前記ピン上に受け渡すためのロボットアームとを備えたプラズマ処理装置において、
前記ロボットアームは、前記先端部に配置されて前記ウエハがその上面上方に載せられる平らな部分及び当該ウエハをその外周縁の周囲にすき間を開けて保持する手段とを有し、
前記プラズマを用いた処理の前に実施される作業であって、予め前記ロボットアームが前記ウエハを載せていない状態で、前記ロボットアームの前記先端部の前記平らな部分に配置され特定の位置を示す第一の印の位置と前記試料台上に配置された第二の印とのずれ量が許容範囲内となるように前記ロボットアームの位置を調整する作業により検出された前記ロボットアームの位置情報に基づいて、前記ロボットアームが前記ウエハを載せて搬送する動作を調節する制御装置とを備えたプラズマ処理装置。」



3.引用文献

(1)引用文献1について
平成26年6月13日付けの拒絶理由通知において引用された特開2005-286211号公報(以下、「引用文献1」という。)には、下記の事項が記載されている。

A.「【0014】
本発明の実施の形態にかかる真空処理装置について図1?図3を参照しながら説明する。図中2は、例えば25枚の基板例えばウエハWを棚状に収納したカセット容器20を複数並べて載置可能なカセットステージであり、このカセットステージ2の長さ方向の一側面には搬送ステージ21が隣接して設けられている。また搬送ステージ21にはウエハWの受け渡しをするための搬送アーム22が進退自在及び旋回自在に設けられており、更に搬送アーム22はガイドレール23に沿ってスライド移動可能に設けられ、これによりいずれのカセット容器20内のウエハWに対してもアクセス自在なように構成されている。
【0015】
また搬送ステージ21の後方には、ウエハWを載置する載置部を備えたロードロック室である予備真空室24A(24B)がゲートバルブ25A(25B)を介して夫々接続されている。更に予備真空室24A(24B)の後方側には、その内部領域を真空引き可能なように構成された移載室3がゲートバルブ26A(26B)を介して接続されている。当該移載室3は上から見て多角形例えば六角形に形成され、左右及び後方の三方に夫々ゲートバルブ31A(31B、31C、31D)を介して例えば4基の真空処理室である処理チャンバ4A(4B、4C、4D)が気密に接続されている。移載室3は放射状に処理チャンバ4A?4Dが接続できれば例えば円形あるいは楕円形に形成されることもある。なお図中27は、例えば上からみてノッチがその中心から所定の方向に設定されるようにウエハWを回転させるなどして当該ウエハWの位置決めを行なう方向位置決め装置であるオリエンタである。
【0016】
ここで前記処理チャンバ4A(4B?4D)は例えば成膜処理、拡散処理、エッチング処理等の種々の処理のなかから同種あるいは異種の処理を行うチャンバが選択されている。その具体例を挙げて説明すると、例えばエッチング処理をするチャンバにあっては、CF系のプロセスガスを用いて、シリコン酸化膜をエッチングするチャンバ又はシリコンナイトライド膜をエッチングするチャンバや、Cl系/HBr系/SF系/O2/He等の単ガス又は混合ガスを用いて、タングステンシリサイド膜をエッチングするチャンバ又は多結晶シリコン膜をエッチングするチャンバなどがある。例えばウエハWに対して同種の処理を並行して行う構成とする場合にはこれらの中から同種のチャンバが選択され、例えばシリコン酸化膜をエッチングした後にタングステンシリサイド膜をエッチングするといったように種類の異なる一連の処理をウエハWに対して行う構成とする場合には異なる種類のチャンバが選択される。なお、図2では処理チャンバ4A?4Dの一例として真空雰囲気にてプラズマによりウエハWをエッチング処理するエッチングチャンバを記載してある。
【0017】
上記エッチングチャンバは、真空状態を形成するための気密容器41を備えており、その天井部は上部電極を兼ねたガスシャワーヘッド42を形成している。また気密容器41の内部には、前記ガスシャワーヘッド42と対向するようにしてウエハWを載置すると共に下部電極を兼ねた基板載置台43が設けられている。この基板載置台43には、載置されたウエハWの外周縁を隙間をあけて囲むようにフォーカスリング44が設けられている。前記上部電極(ガスシャワーヘッド42)にはプラズマ形成用の高周波電界を印加するための図示しない高周波電源が接続されており、また前記下部電極(基板載置台43)にはバイアス用の電圧を印加するための図示しない高周波電源が接続されている。図中45はガスシャワーヘッド42を介して気密容器41内に導入される例えばハロゲン化炭素ガス、酸素ガスおよびアルゴンガスなどを含む処理ガスを排気するための排気口である。また基板載置台43の表面には上下に伸びる貫通孔43aが形成されており、この貫通孔43aを介してウエハWを裏面側から支持する3本の基板支持ピン46が突没自在に設けられている。各基板支持ピン46は共通のベース部材47に連結しており、このベース部材47に接続された昇降部48により昇降自在なように構成されている。図中49は貫通孔43aを介して気密状態が破られないようにするためのベローズである。
【0018】
前記ゲートバルブ31A(31B?31D)について図3を用いて詳しく説明すると、移載室3と処理チャンバ4A(4B?4D)とを仕切る仕切り壁32(前記気密容器41の壁面)の表面を外方に突出して形成された横に伸びる帯状のウエハ搬送口33が形成されており、ゲートバルブ31A(31B?31D)はこのウエハ搬送口33を塞ぐように設けられている(図3には図示せず)。そして図示しない開閉機構によりゲートバルブ31A(31B?31D)が開かれ、移載室3と処理チャンバ4A(4B?4D)との間でウエハWの受け渡しがされるように構成されている。なお、ウエハ搬送口33は「背景技術」の欄に記載したように処理チャンバ4A(4B?4D)内の対称性を良くしてプロセス処理の均一性を良くするためにその長さ及び幅は狭く形成されている。
【0019】
移載室3の底部には、基板移載機構である例えば多関節アームをなす移載アーム5が進退自在且つ旋回自在に設けられている。当該移載アーム5は、例えばウエハWの裏面側を下方側から支持する基板保持アーム51a、中段アーム51b及び下段アーム51cからなる3本の関節アームを備えており、下段アーム51cは基体52の上部をなすベース体53の表面に支持されている。また基体52は有底筒状のケーシング54を備えており、このケーシング54の内部領域には移載アーム5を屈伸及び回転させるためのアーム駆動機構55が設けられている。なお、アーム駆動機構55は、具体的には移載アーム5を進退させるためのモータ及び移載アーム5全体を回転させるためのモータなどから構成される。更に各関節アーム51a?51cの内部にはアーム駆動機構55からの旋回動作を伝達するための図示しない伝達部が夫々設けられており、これにより移載アーム5は例えばウエハWを支持した状態で進退自在且つ旋回自在に構成されている。」

B.「【0022】
ここで、上述の真空処理装置によりウエハWをプロセス処理する際の工程について簡単に述べておく。先ず、カセット容器20がカセットステージ2に置かれると、当該カセット容器20内のウエハWは搬送アーム22により抜き出され、そしてオリエンタ27内に搬入されて位置決めされる。続いて、搬送アーム22によりオリエンタ27から搬出されたウエハWは、空きになっているいずれかの予備真空室24A(24B)内にゲートバルブ25A(25B)を介して搬入され、ゲートバルブ25A(25B)は閉じられる。しかる後、ゲートバルブ26A(26B)を開いて移載アーム5が予備真空室24A(24B)内に進入し、ウエハWを受け取って後退すると共にゲートバルブ26A(26B)が閉じられる。続いて処理チャンバ4A?4D中の空きになっている処理チャンバ4A(4B?4D)内にゲートバルブ31A(31B?31D)を介してウエハWが搬入されると、移載アーム5と基板支持ピン46との協働作用により基板載置台43にウエハWは受け渡しされる。当該処理チャンバ4A(4B?4D)にて所定の処理がされたウエハWは、その後処理チャンバ4A(4B?4D)から搬出され、前記した搬入経路と逆の流れでカセット容器20内に戻される。」

C.「【0030】
更に上述の実施の形態おいては、装置のメンテナンス時などの所定のタイミングで距離データを取得する構成に限られず、例えば装置の立ち上げ時等において移載アーム5に移載動作を学習させるティーチング時に既述の距離データを取得するようにしてもよい。この場合であっても上述の場合と同様の効果を得ることができる。」

D.図1には、移載室3内に移載アーム5が設置され、4つの処理チャンバ4A?4Dが移載室3に接続された真空処理装置の構成が記載されている。

E.図3には、移載アーム5の先端側に基板保持アーム51aが備えられ、基板保持アーム51aは上面に円形のウエハWを搭載する構成が記載されている。

F.ここで、上記引用文献1の記載事項について検討する。
(f1)真空処理装置の構成について
上記Dには、真空処理装置が、移載アーム5を設置した移載室3と、移載室3に接続された処理チャンバ4A?4Dとを備えていることが記載されている。
また、上記Aには、「その内部領域を真空引き可能なように構成された移載室3」、「図2では処理チャンバ4A?4Dの一例として真空雰囲気にてプラズマによりウエハWをエッチング処理するエッチングチャンバを記載してある。」、「上記エッチングチャンバは、真空状態を形成するための気密容器41を備えており」、「気密容器41の内部には、前記ガスシャワーヘッド42と対向するようにしてウエハWを載置すると共に下部電極を兼ねた基板載置台43が設けられている。」、「基板載置台43の表面には上下に伸びる貫通孔43aが形成されており、この貫通孔43aを介してウエハWを裏面側から支持する3本の基板支持ピン46が突没自在に設けられている。」と記載されている。
さらに、上記Eには、ウエハの形状が円形であることが記載されている。
よって、引用文献1には、「真空処理装置」が、「内部領域を真空引き可能で移載アームが設置された移載室と、真空雰囲気にてプラズマにより円形のウエハをエッチング処理する真空状態を形成するための気密容器を備えたエッチングチャンバと、前記気密容器内に設けられ前記ウエハを載置する基板載置台と、前記基板載置台に形成された上下に伸びる貫通孔を介して前記ウエハを裏面側から支持する3本の基板支持ピン」を備えていることが記載されていると認められる。

(f2)ウエハの移動構成について
上記Bには、「ゲートバルブ26A(26B)を開いて移載アーム5が予備真空室24A(24B)内に進入し、ウエハWを受け取って後退すると共にゲートバルブ26A(26B)が閉じられる。続いて処理チャンバ4A?4D中の空きになっている処理チャンバ4A(4B?4D)内にゲートバルブ31A(31B?31D)を介してウエハWが搬入されると、移載アーム5と基板支持ピン46との協働作用により基板載置台43にウエハWは受け渡しされる。」ことが記載されている。ここで、上記「処理チャンバ」には、ウエハWをエッチング処理する「エッチングチャンバ」が含まれることは明らかである。
よって、引用文献1には、「真空処理装置」が、「ウエハをエッチングチャンバへ搬入し、基板支持ピンとの協働作用により基板載置台に受け渡す移載アーム」を備えていることが記載されていると認められる。

(f3)移載アームの構成について
上記Eには、移載アーム5が、円形のウエハWを上面に搭載する基板支持アーム51aを先端側に有する構成が記載されている。
よって、引用文献1には、「移載アームは、円形のウエハを上面に搭載する基板支持アームを先端側に有する」ことが記載されている。

(f4)移載アームのティーチングについて
上記Cには、「装置の立ち上げ時等において移載アーム5に移載動作を学習させるティーチング」を行うことが記載されている。
よって、引用文献1には、「真空処理装置」が、「装置の立ち上げ時において移載アームに移載動作を学習させるティーチングを行う」ことが記載されている。

上記A乃至F及び関連図面の記載から、引用文献1には、実質的に下記の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。

「内部領域を真空引き可能で移載アームが設置された移載室と、真空雰囲気にてプラズマにより円形のウエハをエッチング処理する真空状態を形成するための気密容器を備えたエッチングチャンバと、前記気密容器内に設けられ前記ウエハを載置する基板載置台と、前記基板載置台に形成された上下に伸びる貫通孔を介して前記ウエハを裏面側から支持する3本の基板支持ピンと、前記ウエハを前記エッチングチャンバへ搬入し、前記基板支持ピンとの協働作用により前記基板載置台に受け渡す前記移載アームを備え、
前記移載アームは、前記ウエハを上面に搭載する基板支持アームを先端側に有し、
装置の立ち上げ時において前記移載アームに移載動作を学習させるティーチングを行う真空処理装置。」

(2)引用文献2について
平成26年6月13日付けの拒絶理由通知において引用された特表2007-501527号公報(以下、「引用文献2」という。)には、下記の事項が記載されている。

G.「【0002】
集積回路またはフラットパネルディスプレイなどの半導体デバイスの製造では、プラズマ処理室内で基板(例えばウエハまたはガラスパネルなど)の処理が行われる。このような処理は、基板上に材料層を堆積させること、および堆積された層を選択エッチングすることを含む。」

H.「【0023】
更に、ウエハチャックに一体形成されたアラインメント用の特徴部を用いれば、ビーム形成システムを、ウエハチャックの中心に対するロボットアームの相対位置を決定するための測定機器として用いることができる。図4は、本発明の一実施形態にしたがった、一体型のロボットアームアラインメント機能を有するエッチングシステム400の図である。エッチングシステム400は、一体型アラインメント用の特徴部402を中心位置に配されたウエハチャック204を備える。前述のように、一体型アラインメント用の特徴部402は、図2を参照にして上述された反射性アラインメント用の特徴部であっても良いし、あるいは、図3を参照にして上述された透過性アラインメント用の特徴部であっても良い。いずれにせよ、一体型アラインメント用の特徴部402は、発せられた光ビームをウエハチャック204の表面に垂直に入射させるようにビーム形成システムをアラインメントするために用いられる。ロボットアーム408のアラインメントを促進するため、ロボットアーム408上には、基準パターン406を有するロボットアラインメントウエハ404が載置される。基準パターン406は、一般に、ロボットアラインメントウエハ404の中心領域に形成される。一実施形態では、ロボットアラインメントウエハ404は、ウエハカセットに装填される。そして、ロボットアーム408は、ウエハカセットからロボットアラインメントウエハ404を取り出した後に、処理室202に挿入される。
【0024】
エッチングシステムにおいて、ウエハチャック204は、処理環境の中心を定めている。本発明の実施形態の一体型アラインメント用の特徴部402は、ウエハチャック204の中心に形成されているので、ウエハ処理システムにとって、ウエハチャック204の中心の座標は既知である。したがって、ウエハチャック204の表面上の一体型アラインメント用の特徴部402にアラインメントされた光ビームは、ウエハチャック204の中心に対するロボットアラインメントウエハ404上の基準パターン406の相対位置を検出するために用いることができる。具体的に言うと、ロボットアラインメントウエハ404上の基準パターン406は、光ビームにばらつきを生じさせるので、システムは、このばらつきをもとに、ウエハチャック204の中心に対する基準パターン406の中心の、ひいてはロボットアラインメントウエハ404の中心の相対位置を計算することができる。」

I.「【0033】
ロボットアラインメントウエハ上の基準パターンを用いて計算された情報は、次いで、ロボット制御システムにアラインメント座標を送信するために用いられる。例えば、基準パターンによって、ロボットが4分の1ミリだけ左寄りであることが示されたとする。すると、補正座標が生成され、ロボット制御システムに提供される。このようにすれば、搬送モジュールまたは処理室のいずれに開口を設けることもなくロボットアームのアラインメントを行うことができる。」

J.ここで、上記引用文献2の記載事項について検討する。
上記Gには、「半導体デバイスの製造では、プラズマ処理室内で基板(例えばウエハまたはガラスパネルなど)の処理が行われる」、「このような処理は、基板上に材料層を堆積させること、および堆積された層を選択エッチングすることを含む」が記載されている。
上記Hには、「一体型アラインメント用の特徴部402を中心位置に配されたウエハチャック204を備える」、「ロボットアーム408上には、基準パターン406を有するロボットアラインメントウエハ404が載置される。基準パターン406は、一般に、ロボットアラインメントウエハ404の中心領域に形成される。」、「ロボットアラインメントウエハ404上の基準パターン406は、光ビームにばらつきを生じさせるので、システムは、このばらつきをもとに、ウエハチャック204の中心に対する基準パターン406の中心の、ひいてはロボットアラインメントウエハ404の中心の相対位置を計算することができる。」ことが記載されている。
上記Iには、「基準パターンによって、ロボットが4分の1ミリだけ左寄りであることが示されたとする。すると、補正座標が生成され、ロボット制御システムに提供される。このようにすれば、搬送モジュールまたは処理室のいずれに開口を設けることもなくロボットアームのアラインメントを行うことができる。」ことが記載されている。

そして、ロボットアームは、ウエハを処理室へ移載するものであることは明らかであるから、上記G乃至Jの記載を踏まえると、引用文献2には、下記の事項が記載されていると認められる。

「プラズマによるウエハのエッチング処理を行う処理室へウエハを移載するロボットアームにおいて、ウエハチャックの中心に配置されたアライメント用の特徴部と、ロボットアームに載置されたロボットアライメントウエハの中心に形成された基準パターンとの相対位置を求め、ロボットアームの位置を補正する情報を生成して、ロボットアームのアライメントを行うこと。」



4.対比

(1)本願発明と引用発明との対応関係について
a.引用発明の「エッチングチャンバ」は、「真空雰囲気にてプラズマにより円形のウエハをエッチング処理する真空状態を形成するための気密容器を備えた」ものであるから、本願発明の「内部で略円形のウエハがプラズマを用いて処理される処理室」に相当している。

b.引用発明の「基板載置台」は、「気密容器内に設けられ前記ウエハを載置する」ものであるから、本願発明の「ウエハがその上面に載せられる試料台」に相当している。

c.引用発明の「基板支持ピン」は、「基板載置台に形成された上下に伸びる貫通孔を介して前記ウエハを裏面側から支持」するので、基板載置台の内部の貫通孔内を上下に移動するものであり、ウエハを支持する場合には基板載置台から上方に出され、ピンの先端においてウエハを支持するものと認められる。よって、引用発明の「3本の基板支持ピン」は、本願発明の「この試料台の内部に配置され上方に移動して、その先端を前記試料台の上面から上方に突出させた状態で前記ウエハを当該先端上に保持する複数のピン」に相当している。

d.引用発明の「移載アーム」は、「ウエハを上面に搭載する基板支持アームを先端側に有し」ているので、移載アームは先端部上にウエハを搭載するものである。
また、引用発明の「移載アーム」は、「ウエハを前記エッチングチャンバへ搬入し、前記基板支持ピンとの協働作用により前記基板載置台に受け渡」すものであるが、「装置の立ち上げ時において前記移載アームに移載動作を学習させるティーチング」がなされているので、移載アームに搭載されたウエハは、基板支持ピン上の適切な位置、即ち、ウエハの中心と基板載置台の中心が合う位置まで搬送されて基板支持ピンに受け渡されるものであることは明らかである。
よって、引用発明の「移載アーム」は、本願発明の「載せられた前記ウエハをその先端部上に保持して搬送し、前記試料台のウエハ載置面と前記ウエハの中心同士の位置を合わせて、前記ウエハを前記先端部上から前記ピン上に受け渡すためのロボットアーム」に相当している。

e.引用発明の「真空処理装置」では、「移載室」及び「エッチングチャンバ」が真空状態にされ得るものであること、「エッチングチャンバ」においてプラズマ処理が実施されるものであること、及び、上記a?dの事項を踏まえれば、引用発明の「真空処理装置」は、本願発明の「内部が真空にされる真空容器内部に配置され、内部で略円形のウエハがプラズマを用いて処理される処理室と、前記ウエハがその上面に載せられる試料台と、この試料台の内部に配置され上方に移動して、その先端を前記試料台の上面から上方に突出させた状態で前記ウエハを当該先端上に保持する複数のピンと、載せられた前記ウエハをその先端部上に保持して搬送し、前記試料台のウエハ載置面と前記ウエハの中心同士の位置を合わせて、前記ウエハを前記先端部上から前記ピン上に受け渡すためのロボットアームとを備えたプラズマ処理装置」に相当しているといえる。

f.本願発明の「移載アーム」は、「ウエハを上面に搭載する基板支持アームを先端側に有」するものである。そして、引用文献1の図3には、基板支持アームが2本の腕を持ったU字状の形状とされ、基板支持アームのウエハを搭載する部分は平らであり、基板支持アームにはウエハの外周縁の周囲にウエハの外周縁と接するようなピン等が設けられておらず、また、基板支持アームの2本の腕の部分はウエハの内側においてウエハを搭載する構造が記載されている。
よって、引用発明の「移載アーム」も「先端部に配置されて前記ウエハがその上面上方に載せられる平らな部分及び当該ウエハをその外周縁の周囲にすき間を開けて保持する手段」を有していると認められる。

g.引用発明では、「装置の立ち上げ時」に「移載アームに移載動作を学習させるティーチング」が行われるが、該「ティーチング」は、ティーチングによって得られた位置に関する情報により、移載アームがティーチング後において搭載したウエハを適切な位置に移載できるように何らかの制御手段により調整が行われるものであると認められるので、本願発明と引用発明は、「前記プラズマを用いた処理の前に実施される作業であって、前記ロボットアームの位置を調整する作業により検出された前記ロボットアームの位置情報に基づいて、前記ロボットアームが前記ウエハを載せて搬送する動作を調節する制御装置とを備えた」ものである点で共通しているといえる。

(2)本願発明と引用発明の一致点及び相違点について
上記の対応関係から、本願発明と引用発明は、下記の点で一致し、また、相違すると認められる。

<一致点>
「内部が真空にされる真空容器内部に配置され、内部で略円形のウエハがプラズマを用いて処理される処理室と、前記ウエハがその上面に載せられる試料台と、この試料台の内部に配置され上方に移動して、その先端を前記試料台の上面から上方に突出させた状態で前記ウエハを当該先端上に保持する複数のピンと、載せられた前記ウエハをその先端部上に保持して搬送し、前記試料台のウエハ載置面と前記ウエハの中心同士の位置を合わせて、前記ウエハを前記先端部上から前記ピン上に受け渡すためのロボットアームとを備えたプラズマ処理装置において、
前記ロボットアームは、前記先端部に配置されて前記ウエハがその上面上方に載せられる平らな部分及び当該ウエハをその外周縁の周囲にすき間を開けて保持する手段とを有し、
前記プラズマを用いた処理の前に実施される作業であって、前記ロボットアームの位置を調整する作業により検出された前記ロボットアームの位置情報に基づいて、前記ロボットアームが前記ウエハを載せて搬送する動作を調節する制御装置とを備えたプラズマ処理装置。」

<相違点>
本願発明は、「予め前記ロボットアームが前記ウエハを載せていない状態で、前記ロボットアームの前記先端部の前記平らな部分に配置され特定の位置を示す第一の印の位置と前記試料台上に配置された第二の印とのずれ量が許容範囲内となるように前記ロボットアームの位置を調整する作業」により「ロボットアームの位置情報」の検出が行われるが、引用発明ではそのような作業により検出が行われるか定かではない点。



5.当審の判断

(1)相違点について
プラズマによるウエハのエッチング処理を行う処理室へウエハを運び込むロボットアームにおいて、ウエハチャックの中心に配置されたアライメント用の特徴部と、ロボットアームに載置されたロボットアライメントウエハの中心に形成された基準パターンとの相対位置を求め、ロボットアームの位置を補正する情報を生成して、ロボットアームのアライメントを行うことは引用文献2に記載されている。
また、引用発明の「ティーチング」は、ティーチングによって移載アームがウエハを適切な位置に移載すること、即ち、ウエハの中心位置と基板載置台の中心位置が合うように移載するために実施されるものであり、そのためには、ティーチング時にウエハの中心位置が基板載置台の中心位置に合うようにするための位置に関する情報を得ているものと認められる。
そして、引用発明の移載アームのティーチングと、引用文献2に記載されたロボットアームのアライメントは、共に、ウエハがプラズマを用いて処理される処理室の特定の位置に、搬送するウエハの中心位置が合うようにロボットアームの調整を行うものであることを鑑みれば、引用発明の移載アームのティーチングにおいても、引用文献2に記載されたロボットアームのアライメントが有用である場合があることは当業者に自明である。
してみると、引用文献2に接した当業者であれば、引用発明のティーチングを行う構成として引用文献2に記載された事項を適用することで、基板支持アームに基準パターンが形成されたアライメントウエハを載置し、該アライメントウエハの基準パターンの位置と基板載置台に配置されたアライメント用の特徴部の位置との相対位置を求めて、ウエハの中心位置が基板載置台の中心位置に合うようにするための位置を修正する情報を得ることで、引用発明に相違点の構成を備えることは、当業者が容易に相当し得たものである。

(2)本願発明の作用効果について
本願発明の作用効果も、引用発明、引用文献2に記載された事項から当業者が予測できる範囲のものである。



6.むすび
以上のとおり、本願発明は、引用発明及び引用文献2に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、本願は、他の請求項について検討するまでもなく、拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2014-10-08 
結審通知日 2014-10-14 
審決日 2014-10-28 
出願番号 特願2007-93598(P2007-93598)
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (H01L)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 宮崎 園子  
特許庁審判長 鈴木 匡明
特許庁審判官 飯田 清司
松本 貢
発明の名称 プラズマ処理装置及びプラズマ処理装置の運転方法  
代理人 特許業務法人第一国際特許事務所  
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