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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) G06F |
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管理番号 | 1295959 |
審判番号 | 不服2013-16529 |
総通号数 | 182 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2015-02-27 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2013-08-27 |
確定日 | 2015-01-08 |
事件の表示 | 特願2011- 14486「文字入力装置及び文字入力プログラム」拒絶査定不服審判事件〔平成24年 8月16日出願公開、特開2012-155551〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1.手続の経緯・本願発明 本件は、平成23年1月26日の出願であって、平成25年5月20日付けで拒絶査定がなされ、これに対して、同年8月27日に拒絶査定不服の審判が請求されるとともに手続補正がなされ、平成26年8月8日付けで当審で拒絶理由が通知され、同年10月10日付けで手続補正がなされるとともに意見書が提出されたものである。 そして、本願の特許請求の範囲の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、平成26年10月10日付け手続補正書の特許請求の範囲の請求項1に記載された、次のとおりのものと認める。 「【請求項1】 表示部と入力部を備え、ユーザの入力部への操作にしたがって、文字の入力が可能な文字入力装置であって、 入力部が、ユーザの入力にしたがって、所定の機能を文字入力装置に実行させる、少なくとも1つ以上の操作入力部から構成されるものであり、 入力の可能な文字が複数の第二文字グループのいずれかに属し、 さらに、第一文字グループが複数の第二文字グループから構成されており、 第一文字グループに関する第一文字グループ情報を表示部に表示する第一文字グループ情報表示手段と、 ユーザの入力部への操作にしたがって、第二文字グループから入力する文字を選択する文字選択手段と、 ユーザの入力部への操作にしたがって、文字選択手段によって選択された文字を、入力文字として決定する入力文字決定手段と、 入力部における操作入力部の配置と対応させて、操作入力部の機能に関する情報を表示部に表示する入力部表示手段 とを備え、 第一文字グループ情報表示手段は、複数の第二文字グループのそれぞれに属する文字のうちの一部の文字を表示し、 表示部の表示画面が、第一文字グループ情報表示手段により文字入力に関する情報が表示される文字入力ウィンドウと、ゲームの進行状況が表示される領域とを表示するものであって、 文字入力ウィンドウが、ゲームの進行状況が表示される領域の端の近傍に表示されることを特徴とする文字入力装置。」 2.引用例等 当審の拒絶理由で引用した本願の出願日前に頒布された、特開2002-268803号公報(以下、「引用例1」という。)には、図面とともに以下の事項が記載されている。 a)「【発明の属する技術分野】本発明は、文字入力制御方法、プログラム、記録媒体及び文字入力装置に係り、特に、ゲーム装置用の一般的な入力装置を用いて容易に文字を入力することができる文字入力制御方法、該方法を実現するプログラム、該方法を記録した記録媒体及び文字入力装置に関する。」(【0001】の記載。当審注:下線は当審で付与した。) b)「【0014】本発明によれば、一般的なゲーム装置用のコントローラパッドの十字方向ボタンセットを利用し、その形状をそのまま画面に表示すると共に、各ボタンに割り当てられた文字又は文字列を識別する情報(文字列識別情報若しくは構成要素識別情報という。以下同じ)を画面上の各ボタン位置に表示することで物理的配置関係を維持しているので、実際に入力装置上のボタンを見て確認する必要が無くなり、視覚的に分かり易く、プレイヤは選択したい文字又は文字列を容易に確認することができる。また、予め同一の文字種に属する複数の文字をグループ化しておき、各ボタンに割り当てた各グループの中から、プレイヤにより何れかが選択された後に、その構成要素を各ボタンに再度割り当てて選択できるようにしたので、十字方向ボタンセットのように少ないボタン数であっても、数多くの文字の中から1文字を選択することが可能となる。 【0015】そして、文字列を特定することで更に別な文字列を特定する階層構造であって、予め文字のグループ化について大グループ、中グループ、小グループというように複数の段階に分類してグループ化した文字列で構成された文字データテーブルをRAMにロードしておき、プレイヤが所望する最終的な入力すべき1文字を特定するまで、各ボタンへの文字又は文字列を識別する情報の再割り当て、再画面表示、及びプレイヤによるボタン押下の判定を繰り返すので、濁音等の特殊な文字も容易に入力することができる。例えば、ひらがなの「ぴ」を入力したい場合は、行頭文字「あ、か、さ、た、な、は、…」の大グループの段階で構成要素「は」を選択し、次に対応する母音「は、ひ、ふ、へ、ほ」の中グループの段階で構成要素「ひ」を選択し、「ひ」の小グループの段階では「ぴ、ひ、び」の何れかが選択可能となるようにしてあるので、プレイヤにとっては同一の操作手順で入力文字「ぴ」を特定することができると共に、内部処理においても同一の処理を繰り返すことでこれを実現できる。この様にすることで、従来の様に、行頭文字選択後の母音を選択する段階で、プレイヤによる表示モードの切り換えを受付け、モード変更の指示があった時、その行頭文字に属する全ての濁音等の特殊文字の母音を表示する必要がなくなる(例えば、従来「ぴ」を入力する時は「はひふへほ」を表示した後、表示モードを切り換えて「ぱぴぷぺぽ」を表示した後、「ぴ」を選択していた)。」(【0014】?【0015】の記載。) c)「【0019】 【発明の実施の形態】以下、図面を参照して本発明を家庭用ゲーム装置に適用した実施の形態について説明する。 【0020】図1に示すように、本実施形態の家庭用ゲーム装置10は、ゲーム装置本体2に、スピーカ5を内蔵したテレビモニタ4及び入力装置3が接続されている。ゲーム装置本体2は、CD-ROM等の記録媒体1を装着可能な媒体読取部(図3参照)を有している。この媒体読取部に記録媒体を装着することにより記録媒体1に記録されたゲームプログラムやゲームデータが自動的にゲーム装置本体2内の記憶部(RAM)にロードされる。 【0021】図2に示すように、入力手段としての入力装置3、即ちコントローラパッドには、スタートボタン30、□ボタン31・△ボタン32・○ボタン33・×ボタン34、右ボタン35・下ボタン36・左ボタン37・上ボタン38で構成される十字方向ボタンセット、セレクトボタン39等の種々のボタンが配置されている。 【0022】図3に示すように、ゲーム装置本体2は装置全体の制御を行う、表示部、配置部、再表示部、再配置部、判定部及び文字特定部としてのCPUブロック20を備えている。CPUブロック20は、ゲーム装置本体2内の各部とのデータ転送を主に制御するSCU(System Control Unit)、中央演算処理装置として高速クロックで作動するCPU、ゲーム装置本体2の基本制御動作が記憶されたROM、CPUのワークエリアとして働くと共に記録媒体1に記録されたゲームプログラム及び種々のデータを一時的に記憶するRAM及びこれらを接続する内部バスで構成されている。」(【0019】?【0022】の記載。) d)「【0024】次に、本実施形態の家庭用ビデオゲーム装置10の動作について図4及び図5に示すフローチャートを参照しながら、ゲーム中のある場面において「きっぷ」という単語を入力する場合について説明する。なお、ゲーム装置本体2には既に記録媒体1が挿入されゲームプログラム、ゲームデータがCPUブロック20内のRAMに格納され、ゲーム起動のための内部的な初期設定処理がなされているものとする。また、説明を簡単にするために、単語入力以外のゲーム進行に係わるゲーム本来の処理の説明は省略した。 【0025】図4に示すように、CPUブロック20内のCPUは、コントローラパッドからの入力情報に応じた文字入力ルーチンを実行する。この文字入力ルーチンでは、先ずステップ100で、本実施形態での文字データテーブルをRAMにロードする。この文字データテーブルは、同一の文字種に属する複数の文字で構成された文字列であって、複数の階層に分類された文字列で構成されたデータテーブルであり、具体的には図6及び図7に示す通りである。尚、本実施形態の文字データテーブルには文字種として、「ひらがな」、「カタカナ」、「英字」、「数字」及び「記号」のデータを含んでいる。また、この文字データテーブルは本発明の文字入力ルーチンに入る前のゲーム初期設定処理時等で予めRAMにロードしておいても良い。そしてここで、図6の文字データテーブルの見方について説明すると、左端の欄のアドレスは厳密なものではなく、文字データの通し番号を5単位で表示したものである(図7においては、主に3単位)。その右側には、文字データとして3つの要素(文字,アドレス,データ数)で一組の文字データが5つ横に並べられている。例えば最初の文字データ(即ちデータ0番)は、(ひらがな,5,10)の3つの要素で一組の文字データとなる。ここで、文字データの最初の要素である文字は、どの文字列であるかを識別する文字列識別情報であり、例えば「あ」,「か」等の行頭文字の情報が記憶されている(文字種を識別する情報の場合もある)。また、次の要素であるアドレスとは、その文字データにより展開される文字データの先頭アドレスを示している。そして、最後の要素であるデータ数とは、展開される文字データの個数であり先頭アドレスから何組読み込むかを示している。展開については後述する。尚、文字種「数字」と「記号」の文字データについては、全てを図6及び図7に表記できないため、データ3(数字,*,5)及びデータ4(記号,*,5)の要素のアドレスについては「*」を用いた。 【0026】次に、図4のステップ102で十字方向ボタンセットの各ボタンに文字種を割り当て、ステップ104で十字方向ボタンセットの形状、文字種及び入力カーソルを画面に表示する。図8に初期状態の文字入力画面を示す。ここでいう文字種とは、「ひらがな」、「カタカナ」、「英字」、「数字」及び「記号」を意味し、十字方向ボタンセットの形状を意味する中央の十字型の枠(以下、十字枠)の内側に表示されている。また、入力カーソルとは、左上の「単語:」という表示の右に示すアンダーラインである。 【0027】図8の初期状態における内部処理は、図6を参照して先ず最初にデータ0からデータ4までの5つのデータを読み込み、データ0(ひらがな)は図8の十字枠の中央、データ1(カタカナ)は十字枠の右、データ2(英字)は下、データ3(数字)は左、データ4(記号)は上という様に、文字データ中の要素の「文字」に対応する文字種を十字枠内の対応する位置に表示する(表示)。そして、コントローラパッドの十字方向ボタンセット上の各ボタンに対応する文字データを割り当てる(配置)。プレイヤにより十字方向ボタンセット上の何れかのボタンが押されると、対応する文字データを選択する。ここで、例えば十字枠の中央が選択された場合(実際には十字方向ボタンセットの中央にはボタンは存在しないので、本実施形態では△ボタン32が押された時に選択されたものとする)は、文字データとしてデータ0(ひらがな,5,10)が選択される。要素の文字は「ひらがな」なので、文字種として「ひらがな」が選択されたと処理される。また、要素のアドレスは「5」とあるので、左端の欄の5に位置するデータ5から、要素のデータ数「10」組を読み込む。即ち(あ,15,5)、(か,35,5)…(ら,130,5)の10組の文字データが読み込まれる。ここでアドレス10のデータ10は(-1,-1,-1)であるが、要素の文字が「-1」の場合は、対応する文字列識別情報を画面表示しないことを意味している。また、要素のアドレス及びデータ数が「-1」の場合は、これ以上展開できないことを意味している。ここでいう展開とは、文字データの要素の文字に対応して記憶されている文字列識別情報が、1文字を特定する文字情報でなく、更に別な文字列を識別する情報、例えば、更に細分化されたグループに属する文字を含む文字列を識別する情報の場合は、その文字列が展開され、その文字列に含まれる文字が各ボタンに再度割り当てられる(再配置)ことを意味する。このとき画面上の十字枠内の表示も書き換えられる(再表示)。 【0028】また、十字枠の内側に表示できる文字は図8から明らかなように5つまでであるので、要素のデータ数が5より大の場合は、その文字データの要素の文字に対応する文字列識別情報を十字枠の外側に表示する。例えば、図6のデータ11(は,90,5)では十字枠の右の外側に「は」を表示する。この時の表示を図9に示す。入力カーソルの位置には十字枠の中央の「あ」が表示されている。 【0029】次に図4のステップ106でひらがなボタン(△ボタン32)の押下があったかを判定する。肯定判定の時はステップ108で文字種をひらがなと設定し(図9に示す)、ステップ126の文字入力処理サブルーチンへと進み、その後ステップ102へ戻る。否定判定の時はステップ110でカタカナボタン(右ボタン35)の押下があったかを判定する。肯定判定の時はステップ112で文字種をカタカナと設定し、ステップ126の文字入力処理サブルーチンへと進み、その後ステップ102へ戻る。否定判定の時はステップ114で英字ボタン(下ボタン36)の押下があったかを判定する。肯定判定の時はステップ116で文字種を英字と設定し(図20に示す)、ステップ126の文字入力処理サブルーチンへと進み、その後ステップ102へ戻る。否定判定の時はステップ118で数字ボタン(左ボタン37)の押下があったかを判定する。肯定判定の時はステップ120で文字種を数字と設定し(図23に示す)、ステップ126の文字入力処理サブルーチンへと進み、その後ステップ102へ戻る。否定判定の時はステップ122で記号ボタン(上ボタン38)の押下があったかを判定する。肯定判定の時はステップ124で文字種を記号と設定し(図24に示す)、ステップ126の文字入力処理サブルーチンへと進み、その後ステップ102へ戻る。 【0030】図4のステップ122で、否定判定の時はステップ128で決定セレクトボタン39の押下があったかを判定する。肯定判定の時は、ステップ130で現在までに入力された文字を文字列として確定し、文字入力ルーチンを終了して、確定した文字列をゲーム中のデータとして取り込み(RAMに記憶される)、通常のゲーム進行に戻る。ステップ128で否定判定の時は、ステップ132で中止スタートボタン30の押下があったかを判定する。肯定判定の時は文字入力ルーチンを強制終了し、それまでの入力された文字をゲーム中のデータとして取り込むことなく、通常のゲーム進行に戻る。否定判定の時はステップ106に戻る。 【0031】次に、図4のステップ126の文字入力処理サブルーチンについて図5を用いて説明する。ここでは、図4のステップ106でひらがなボタンの押下があったものとして説明する。この場合、選択された文字種は「ひらがな」なので、図6の文字データテーブルではデータ0(ひらがな,5,10)が選択される。先ず、図5のステップ202で十字方向ボタンセットの各ボタンに文字列識別情報を割り当てる。前述した方法で、先にデータ0(ひらがな,5,10)が選択されたので、図6の文字データテーブルのアドレス5から10組の文字データ、即ちデータ5からデータ14までを読み込み、十字方向ボタンセットの各ボタンに割り当てる。尚、ここでデータ5は△ボタン32、データ6からデータ9までは十字方向ボタンセットの各ボタン、データ11からデータ14までは十字方向ボタンセットの各ボタンと同時に○ボタン33の押下があった時に選択されるように割り当てる。 【0032】次に、図5のステップ204で、文字列識別情報を画面上の各ボタン位置に表示する。図9に示す通り、「あ」から「な」までは十字枠の内側に表示し、「は」から「ら」までは外側に表示する。即ち、ステップ202及び204で、図6のデータ5(あ,15,5)は図9の十字枠の中央(文字列識別情報は行頭文字の「あ」)で△ボタン32、データ6(か,35,5)は十字枠の右(文字列識別情報は行頭文字の「か」)で右ボタン35、…、データ11(は,90,5)は十字枠の右(文字列識別情報は行頭文字の「は」)で右ボタン35と○ボタン33、…データ14(ら,130,5)は十字枠の上(文字列識別情報は行頭文字の「ら」)で上ボタン38と○ボタン33と対応するように、画面表示及び各ボタンへの文字データの割り当てを行う。 【0033】次に、プレイヤの操作により十字方向ボタンセットの各ボタンに変化が有ったが否かを判定する。前述したとおり、図9の十字枠の中央に表示された文字列識別情報を選択する場合は、十字方向ボタンセットのボタンで指定できない為、△ボタン32が押下されたか否かで判定する。図5のステップ206で△ボタン32が押下されたか否かを判定し、否定判定のときはステップ208に進み、肯定判定のときはステップ216で、中央に表示された文字列識別情報「あ」が選択される。そして、ステップ208で次にプレイヤの操作により十字方向ボタンセットの右ボタン35に変化が有ったが否かを判定する。否定判定のときはステップ210で下ボタン36、ステップ212で左ボタン37、ステップ214で上ボタン38と判定していく。 【0034】図5のステップ208から214までの何れかで肯定判定された時は、次にステップ218で○ボタン33が押下されたか否かを判定する。否定判定の場合はステップ216に進み、肯定判定の場合はステップ220で十字枠の外側にも文字列識別情報が表示されているか否かを判定する。即ち、表示すべき文字列識別情報の数が5つを越える場合は、十字枠の外側にも表示することになり、具体的には図6に示す文字データの要素のデータ数が5より大きい場合である。図9の状態での現在選択中の文字列識別情報は、図6でのデータ0であり(ひらがな,5,10)となっているが、要素のデータ数は「10」で5より大なので、文字列識別情報を十字枠の外側にも表示することになる。ステップ220で否定判定の場合はステップ216に進み、、肯定判定の場合はステップ222へ進む。 【0035】図5でステップ216が処理される場合は、画面表示されている十字枠の内側に表示されている文字列識別情報を取得し、ステップ222の場合は、十字枠の外側に表示されている文字列識別情報を取得する。 【0036】ステップ216又はステップ222の次に、ステップ224で展開可能かを判定する。肯定判定の場合は、ステップ202に戻り、展開する。また、否定判定の場合は1文字が特定できたので、ステップ226でその文字を入力し、ステップ228で入力カーソルを1進め、ステップ230で現在の文字列識別情報を初期状態に戻し(即ち、データ0)、ステップ202に戻る。 【0037】ここで、「き」を入力したい場合は、先ず右ボタン35(図5のステップ208)を押下して「か」を選択する。この時内部的には図6での文字データはデータ6(か,35,5)が選択される(ステップ216)。そしてこの文字データが展開可能かを判定する(ステップ224)が、アドレス「35」でありデータ数「5」であるから「-1」ではないので、展開可能と判定される。即ち、データ35(か,40,2)から文字データ5組が読み込まれる。そしてそれらの要素の文字を文字列識別情報(この場合は「か」,「き」,「く」,「け」,「こ」)として各ボタンに割り当てる(ステップ202)と共に、画面の十字枠の当該ボタン位置に表示する(ステップ204)。図10にこの時の画面表示を示す。「き」を入力したいので、もう一度右ボタン35(ステップ208)を押下して「き」を選択する。データ36(き,42,2)が選択され、同様にデータ42から文字データ2組を読み込む。即ちデータ42(き,-1,-1)及びデータ43(ぎ,-1,-1)が読み込まれ、「き」を十字枠の中央、「ぎ」を右に表示すると共に、当該文字データを各ボタンに割り当てる。図11にこの時の状態を示す。そして次に△ボタン32を押下して中央の「き」を選択すると、データ42(き,-1,-1)が選択され、アドレス「-1」且つデータ数「-1」なので展開できず、現在の文字列識別情報の「き」は1文字と扱い、その文字が入力される(ステップ226)。入力カーソルを1進め(ステップ228)、現在の文字列識別情報をひらがな入力の初期状態に戻す。即ちデータ0が選択された状態に戻して、データ5からデータ14までを読み込み、表示及び割り当てを行う。この時の画面を図12に示す。」(【0024】?【0037】の記載。) e)「【0045】また、本実施形態では、ゲーム中に単語を入力する特定場面の場合で例示したが、図8に示すような文字入力画面の表示及び処理について、本発明の文字入力ルーチンをFEP(Front End Processor)として常駐させることにより、他のアプリケーション実行中、何時でも小窓を開いて文字入力を実行可能とするような構成であっても良い。この場合OS(Operating System)の動作に基づいて構成されることになる。また、本発明ではゲーム装置用コントローラパッドを利用するが、動作させるソフトウェア自体はゲームに限定するものではなく、文字を入力する場面を含む種々のアプリケーション(例えばインターネット関連ソフトウェア等)においてもゲーム装置で動作可能であれば本発明を実施できるということはいうまでもない。そして前述の如く、ゲーム装置用のコントローラパッドを繋げてインターネット接続が可能となる双方向通信可能なテレビであっても本発明を実施できるということも当業者にとって論を待たない。」(【0045】の記載。) してみると、引用例1には以下の発明(以下、「引用例1記載の発明」という。)が記載されている。 「ゲーム装置用の一般的な入力装置を用いて容易に文字を入力することができる文字入力装置に関し、 一般的なゲーム装置用のコントローラパッドの十字方向ボタンセットを利用し、その形状をそのまま画面に表示すると共に、各ボタンに割り当てられた文字又は文字列を識別する情報(文字列識別情報若しくは構成要素識別情報という。以下同じ)を画面上の各ボタン位置に表示することで物理的配置関係を維持しているので、実際に入力装置上のボタンを見て確認する必要が無くなり、視覚的に分かり易く、プレイヤは選択したい文字又は文字列を容易に確認することができるものであり、また、予め同一の文字種に属する複数の文字をグループ化しておき、各ボタンに割り当てた各グループの中から、プレイヤにより何れかが選択された後に、その構成要素を各ボタンに再度割り当てて選択できるようにし、 文字列を特定することで更に別な文字列を特定する階層構造であって、予め文字のグループ化について大グループ、中グループ、小グループというように複数の段階に分類してグループ化した文字列で構成された文字データテーブルをRAMにロードしておき、プレイヤが所望する最終的な入力すべき1文字を特定するまで、各ボタンへの文字又は文字列を識別する情報の再割り当て、再画面表示、及びプレイヤによるボタン押下の判定を繰り返すものであって、 家庭用ゲーム装置10は、ゲーム装置本体2に、スピーカ5を内蔵したテレビモニタ4及び入力装置3が接続されており、 入力手段としての入力装置3、即ちコントローラパッドには、スタートボタン30、□ボタン31・△ボタン32・○ボタン33・×ボタン34、右ボタン35・下ボタン36・左ボタン37・上ボタン38で構成される十字方向ボタンセット、セレクトボタン39等の種々のボタンが配置され、 ゲーム装置本体2は装置全体の制御を行う、表示部、配置部、再表示部、再配置部、判定部及び文字特定部としてのCPUブロック20を備え、CPUブロック20は、中央演算処理装置として高速クロックで作動するCPUで構成されており、 ゲーム中のある場面において単語を入力する場合、 プレイヤにより十字方向ボタンセット上の何れかのボタンが押されると、対応する文字データを選択し、 ひらがなボタン(△ボタン32)の押下があったかを判定し、 肯定判定の時は文字種をひらがなと設定し、 選択された文字種は「ひらがな」なので、 十字方向ボタンセットの各ボタンに文字列識別情報を割り当て、 文字列識別情報を画面上の各ボタン位置に、「あ」から「な」までは十字枠の内側に表示し、「は」から「ら」までは外側に表示し、 次に、プレイヤの操作により十字方向ボタンセットの各ボタンに変化が有ったが否かを判定し、 例えば、△ボタン32が押下されたか否かを判定し、肯定判定のときは、中央に表示された文字列識別情報「あ」が選択され、 画面表示されている十字枠の内側に表示されている文字列識別情報を取得し、 次に、展開可能かを判定し、肯定判定の場合は、展開し、また、否定判定の場合は1文字が特定できたので、その文字を入力するものであり、 ここでいう展開とは、文字データの要素の文字に対応して記憶されている文字列識別情報が、1文字を特定する文字情報でなく、更に別な文字列を識別する情報、例えば、更に細分化されたグループに属する文字を含む文字列を識別する情報の場合は、その文字列が展開され、その文字列に含まれる文字が各ボタンに再度割り当てられる(再配置)ことを意味し、このとき画面上の十字枠内の表示も書き換えられる(再表示)ものである、文字入力装置で有り、 例えば、「き」を入力したい場合は、先ず右ボタン35を押下して「か」を選択し、 そしてこの文字データが、展開可能と判定され、 そしてそれらの要素の文字を文字列識別情報(この場合は「か」,「き」,「く」,「け」,「こ」)として各ボタンに割り当てると共に、画面の十字枠の当該ボタン位置に表示し、 「き」を入力したいので、もう一度右ボタン35を押下して「き」を選択すると、「き」を十字枠の中央、「ぎ」を右に表示すると共に、当該文字データを各ボタンに割り当て、 そして次に△ボタン32を押下して中央の「き」を選択すると、展開できず、現在の文字列識別情報の「き」は1文字と扱い、その文字が入力される文字入力装置であり、 ゲーム中に単語を入力する特定場面の場合で例示したが、文字入力画面の表示及び処理について、他のアプリケーション実行中、何時でも小窓を開いて文字入力を実行可能とするような構成であっても良い文字入力装置。」 当審の拒絶理由で提示した本願の出願日前に頒布された、特開平7-200123号公報(以下、「周知例1」という。)には、図面とともに以下の事項が記載されている。 f)「【0001】 【産業上の利用分野】本発明は、文字入力装置、ゲーム装置及び文字入力方法に関する。 【0002】 【従来の技術】従来から、家庭用・業務用のゲーム装置、電子手帳等の電子機器等においては、操作者が文字を入力するための種々の文字入力装置が知られている。以下、ゲーム装置例えば家庭用ゲーム装置を例にとり、従来の文字入力装置について説明する。 【0003】例えばロールプレインゲーム(以下、RPGゲームと呼ぶ)等のゲームにおいては、ゲーム中の関門を突破したり、ゲームの主人公の名前を入力するために文字入力をしなければならない場合がある。このような場合には、操作者即ちプレーヤは、CRT、テレビ等の画像表示部上に表示される文字入力画面を見ながらジョイパッド、ジョイスティック等の操作部を操作して文字を入力する。図9(A)には、このような文字入力操作時に画像表示部に表示される画面の一例が示される。また、図9(B)には、この場合にプレーヤが操作する操作部12の一例が示される。(【0001】?【0003】の記載。) g)「【0071】図6(A)は、この「ジャガーのとらぞう」であるプレーヤが、海賊が秘蔵している宝物を探しに行く画面である。この場合、海賊はプレーヤに対して合い言葉を言うことを要求している。この”合い言葉”は、プレーヤが色々な町で色々な人と会話することにより知ることができた”合い言葉”である。プレーヤは、自分が知っている種々の”合い言葉”から、この場面にふさわしい”合い言葉”を選び文字入力操作を行うことになる。そして、文字入力操作を行う場合には、ゲーム画面上に図6(B)に示すように文字入力用の複数のウィンドウが映し出される。これらのウィンドウは、図2で説明したものと同一のものである。図6(B)においては、プレーヤは自分がこれが正しいと思う「めめくらげ」という”合い言葉”を入力している。この場合「げ」を入力するときに、本文字入力手法が非常に有効となる。」(【0071】の記載。) 当審の拒絶理由で提示した本願の出願日前に頒布された、特開2002-325965号公報(以下、「周知例2」という。)には、図面とともに以下の事項が記載されている。 h)「【0130】(アイテムの履歴)本実施形態のオンラインシステムにおけるアイテムの履歴機能について説明する。 【0131】オンラインゲームにおいては、武器、防具等のアイテム(道具)を道具屋で売買したり、ユーザ同士でやり取りしたりする。本実施形態では、アイテムの履歴機能として、このように独立して取引されるアイテムにその履歴情報を付随させる。 【0132】ユーザがアイテムを購入するときに、図13に示すように、そのアイテムに自分の名前を登録することができる。道具屋でアイテムを購入するときには、まず、アイテムの種類を選択する。図13(a)では「SABER」を選択している。次に、アイテムに付ける名前をソフトキーボードを用いて入力する。図13(b)では「FUKAZAWA」と入力している。その結果、アイテムである「SABER」に名前「FUKAZAWA」が付され、図13(c)に示す最終確認の後に購入する。」(【0036】?【0041】の記載。) 3.対比 本願発明と引用例1記載の発明とを対比する。 (1)「表示部と入力部を備え、ユーザの入力部への操作にしたがって、文字の入力が可能な文字入力装置」について 引用例1記載の発明は、「ゲーム装置用の一般的な入力装置を用いて容易に文字を入力することができる文字入力装置」であり、「家庭用ゲーム装置10は、ゲーム装置本体2に、スピーカ5を内蔵したテレビモニタ4及び入力装置3が接続され」たものであるから、引用例1記載の発明の「テレビモニタ」は本願発明の「表示部」と、引用例1記載の発明の「入力装置」は本願発明の「入力部」とそれぞれいい得るものであり、引用例1記載の発明の「文字入力装置」である「ゲーム装置」は、本願発明の「表示部と入力部を備え、ユーザの入力部への操作にしたがって、文字の入力が可能な文字入力装置」といい得るものである。 (2)「入力部が、ユーザの入力にしたがって、所定の機能を文字入力装置に実行させる、少なくとも1つ以上の操作入力部から構成されるもの」について 引用例1記載の発明は、「入力手段としての入力装置3、即ちコントローラパッドには、スタートボタン30、□ボタン31・△ボタン32・○ボタン33・×ボタン34、右ボタン35・下ボタン36・左ボタン37・上ボタン38で構成される十字方向ボタンセット、セレクトボタン39等の種々のボタンが配置され」、たとえば、「ひらがなボタン(△ボタン32)の押下があったかを判定し、肯定判定の時は文字種をひらがなと設定」されるものであるから、引用例1記載の発明の「入力装置3」が「種々のボタン」を有するものであることは、本願発明の「入力部が、ユーザの入力にしたがって、所定の機能を文字入力装置に実行させる、少なくとも1つ以上の操作入力部から構成されるもの」といい得ることである。 (3)「入力の可能な文字が複数の第二文字グループのいずれかに属し、さらに、第一文字グループが複数の第二文字グループから構成されており」について 引用例1記載の発明は、「予め同一の文字種に属する複数の文字をグループ化しておき、各ボタンに割り当てた各グループの中から、プレイヤにより何れかが選択された後に、その構成要素を各ボタンに再度割り当てて選択できるようにし、 文字列を特定することで更に別な文字列を特定する階層構造であって、予め文字のグループ化について大グループ、中グループ、小グループというように複数の段階に分類してグループ化した文字列で構成された文字データテーブルをRAMにロードしておき、プレイヤが所望する最終的な入力すべき1文字を特定するまで、各ボタンへの文字又は文字列を識別する情報の再割り当て、再画面表示、及びプレイヤによるボタン押下の判定を繰り返すもの」であり、 「例えば、△ボタン32が押下されたか否かを判定し、肯定判定のときは、中央に表示された文字列識別情報「あ」が選択され、 画面表示されている十字枠の内側に表示されている文字列識別情報を取得し、 次に、展開可能かを判定し、肯定判定の場合は、展開し、また、否定判定の場合は1文字が特定できたので、その文字を入力するものであり、 ここでいう展開とは、文字データの要素の文字に対応して記憶されている文字列識別情報が、1文字を特定する文字情報でなく、更に別な文字列を識別する情報、例えば、更に細分化されたグループに属する文字を含む文字列を識別する情報の場合は、その文字列が展開され、その文字列に含まれる文字が各ボタンに再度割り当てられる(再配置)ことを意味し、このとき画面上の十字枠内の表示も書き換えられる(再表示)ものである」から、 引用例1記載の発明が、「複数の文字をグループ化」し、「最終的な入力すべき1文字」が「構成要素」である段階の「グループ」、すなわち、「展開可能で無い」段階の「グループ」に属することが、本願発明の「入力の可能な文字が複数の第二文字グループのいずれかに属」することといい得ることである。 また、引用例1記載の発明は、「文字のグループ化について大グループ、中グループ、小グループというように複数の段階に分類」するものであり、前記「展開可能で無い」段階の「グループ」は、より上位の段階の「グループ」である「展開可能」な段階の「グループ」に属する、たとえば、「き」「ぎ」からなるグループは、「文字列識別情報」が「か」「き」「く」「け」「こ」からなるグループに属するものであるから、引用例1記載の発明において、「展開可能」な段階の「グループ」に「展開可能で無い」段階の「グループ」が属することは、本願発明の「さらに、第一文字グループが複数の第二文字グループから構成され」ることといい得ることである。 (4)「第一文字グループに関する第一文字グループ情報を表示部に表示する第一文字グループ情報表示手段」及び、「第一文字グループ情報表示手段は、複数の第二文字グループのそれぞれに属する文字のうちの一部の文字を表示し」について 引用例1記載の発明は、「例えば、「き」を入力したい場合は、先ず右ボタン35を押下して「か」を選択し、 そしてこの文字データが、展開可能と判定され、 そしてそれらの要素の文字を文字列識別情報(この場合は「か」,「き」,「く」,「け」,「こ」)として各ボタンに割り当てると共に、画面の十字枠の当該ボタン位置に表示」するものであるから、引用例1記載の発明の「展開可能」な段階の「グループ」に属する「文字列識別情報」(たとえば、「か」「き」「く」「け」「こ」)は本願発明の「第一文字グループに関する第一文字グループ情報」といい得るものであり、引用例1記載の発明が上記「文字列識別情報」(たとえば、「か」「き」「く」「け」「こ」)を「画面の十字枠の当該ボタン位置に表示」することは、本願発明の「第一文字グループに関する第一文字グループ情報を表示部に表示する第一文字グループ情報表示手段」を備えるといい得ることである。 また、上記「文字列識別情報」のうち、たとえば、「き」は、「き」「ぎ」からなるグループに属する文字のうちの一部の文字であるから、引用例1記載の発明が上記「文字列識別情報」を表示することは、本願発明の「第一文字グループ情報表示手段は、複数の第二文字グループのそれぞれに属する文字のうちの一部の文字を表示」することといい得ることである。 (5)「ユーザの入力部への操作にしたがって、第二文字グループから入力する文字を選択する文字選択手段」について 引用例1記載の発明は、「プレイヤの操作により十字方向ボタンセットの各ボタンに変化が有ったが否かを判定し、 例えば、△ボタン32が押下されたか否かを判定し、肯定判定のときは、中央に表示された文字列識別情報「あ」が選択され、 画面表示されている十字枠の内側に表示されている文字列識別情報を取得し、 次に、展開可能かを判定し、肯定判定の場合は、展開し、また、否定判定の場合は1文字が特定できたので、その文字を入力するものであり」、 「例えば、「き」を入力したい場合は、先ず右ボタン35を押下して「か」を選択し、 そしてこの文字データが展開可能と判定され、 そしてそれらの要素の文字を文字列識別情報(この場合は「か」,「き」,「く」,「け」,「こ」)として各ボタンに割り当てると共に、画面の十字枠の当該ボタン位置に表示し、 「き」を入力したいので、もう一度右ボタン35を押下して「き」を選択すると、「き」を十字枠の中央、「ぎ」を右に表示すると共に、当該文字データを各ボタンに割り当て、 そして次に△ボタン32を押下して中央の「き」を選択すると、展開できず、現在の文字列識別情報の「き」は1文字と扱い、その文字が入力される」ものであり、 引用例1記載の発明は、「十字方向ボタンセットの各ボタン」等を押下し、「文字データ」を選択し、展開可能かを判定することを、「文字データ」が「展開できず」「1文字と扱」われるまで繰り返すものであるから、引用例1記載の発明は、本願発明の「ユーザの入力部への操作にしたがって、第二文字グループから入力する文字を選択する文字選択手段」といい得る構成を有するといえる。 (6)「ユーザの入力部への操作にしたがって、文字選択手段によって選択された文字を、入力文字として決定する入力文字決定手段」について 上記(5)のように、引用例1記載の発明は、「十字方向ボタンセットの各ボタン」等を押下し選択した「文字データ」が「展開できず」「1文字と扱」われると「その文字が入力される」ものであるから、引用例1記載の発明は、本願発明の「ユーザの入力部への操作にしたがって、文字選択手段によって選択された文字を、入力文字として決定する入力文字決定手段」といい得る構成を有するといえる。 (7)「入力部における操作入力部の配置と対応させて、操作入力部の機能に関する情報を表示部に表示する入力部表示手段」について 引用例1記載の発明は、「一般的なゲーム装置用のコントローラパッドの十字方向ボタンセットを利用し、その形状をそのまま画面に表示すると共に、各ボタンに割り当てられた文字又は文字列を識別する情報(文字列識別情報若しくは構成要素識別情報という。以下同じ)を画面上の各ボタン位置に表示することで物理的配置関係を維持しているので、実際に入力装置上のボタンを見て確認する必要が無くなり、視覚的に分かり易く、プレイヤは選択したい文字又は文字列を容易に確認することができるもの」であるから、引用例1記載の発明は、本願発明の「入力部における操作入力部の配置と対応させて、操作入力部の機能に関する情報を表示部に表示する入力部表示手段」といい得る構成を有するといえる。 (8)「表示部の表示画面が、第一文字グループ情報表示手段により文字入力に関する情報が表示される文字入力ウィンドウと、ゲームの進行状況が表示される領域とを表示するもの」について 引用例1記載の発明は、「文字入力画面の表示及び処理について、他のアプリケーション実行中、何時でも小窓を開いて文字入力を実行可能とするような構成であっても良い」ものである。 そして、引用例1記載の発明が「他のアプリケーション実行中、」「文字入力画面の表示及び処理について、」「小窓を開いて文字入力を実行可能とする」ものであることは、本願発明の「表示部の表示画面が、第一文字グループ情報表示手段により文字入力に関する情報が表示される文字入力ウィンドウ」「を表示するもの」といい得るが、本願発明は、「文字入力ウィンドウと、ゲームの進行状況が表示される領域とを表示するもの」であるのに対して、引用例1記載の発明は、「ゲーム中に単語を入力する」ものであるが、ゲーム中ではなく、「他のアプリケーション実行中」に「小窓を開いて文字入力を実行可能とする」とされており、「文字入力ウィンドウと、ゲームの進行状況が表示される領域とを表示する」とはしておらず、この点では相違する。 したがって、両者は以下の一致点と相違点とを有する。 <一致点> 「表示部と入力部を備え、ユーザの入力部への操作にしたがって、文字の入力が可能な文字入力装置であって、 入力部が、ユーザの入力にしたがって、所定の機能を文字入力装置に実行させる、少なくとも1つ以上の操作入力部から構成されるものであり、 入力の可能な文字が複数の第二文字グループのいずれかに属し、 さらに、第一文字グループが複数の第二文字グループから構成されており、 第一文字グループに関する第一文字グループ情報を表示部に表示する第一文字グループ情報表示手段と、 ユーザの入力部への操作にしたがって、第二文字グループから入力する文字を選択する文字選択手段と、 ユーザの入力部への操作にしたがって、文字選択手段によって選択された文字を、入力文字として決定する入力文字決定手段と、 入力部における操作入力部の配置と対応させて、操作入力部の機能に関する情報を表示部に表示する入力部表示手段 とを備え、 第一文字グループ情報表示手段は、複数の第二文字グループのそれぞれに属する文字のうちの一部の文字を表示し、 表示部の表示画面が、第一文字グループ情報表示手段により文字入力に関する情報が表示される文字入力ウィンドウを表示する ことを特徴とする文字入力装置。」 〈相違点〉 本願発明においては、「表示部の表示画面」が、「第一文字グループ情報表示手段により文字入力に関する情報が表示される文字入力ウィンドウと、ゲームの進行状況が表示される領域とを表示するもの」とされ、 「文字入力ウィンドウ」が、「ゲームの進行状況が表示される領域の端の近傍に表示される」とされているのに対し、引用例1記載の発明においては、「表示部の表示画面」が「ゲーム中に単語を入力する」ことができるもの、または、「他のアプリケーション実行中、」「文字入力画面を小窓により表示」することができるものとはされているものの、「文字入力ウィンドウと、ゲームの進行状況が表示される領域とを表示する」ものとはされておらず、また、「文字入力ウィンドウ」が、「ゲームの進行状況が表示される領域の端の近傍に表示される」ものともされていない点。 4.当審の判断 〈相違点についての判断〉 周知例1には、「文字入力操作を行う場合には、ゲーム画面上に図6(B)に示すように文字入力用の複数のウィンドウが映し出される。」(【0071】)と記載されると共に図6にゲーム画面に重畳して文字入力用のウィンドウが表示されることが示され、周知例2には、「図13(a)では「SABER」を選択している。次に、アイテムに付ける名前をソフトキーボードを用いて入力する。図13(b)では「FUKAZAWA」と入力している。」(【0132】)と記載されると共に図13(b)にゲーム画面に重畳してソフトキーボードのウィンドウが画面左下端部に表示されることが示されているように、「ゲーム中に文字を入力する場合に、ゲーム画面に文字入力用のウィンドウを重畳して表示する」ことは、本願出願日前周知技術である。 そして、引用例1記載の発明は、ゲーム中に単語を入力するものであり、また、引用例1記載の発明は、他のアプリケーション実行中に文字入力画面を小窓(ウィンドウ)により表示する構成であっても良いものであるから、引用例1記載の発明に上記周知技術を適用し、ゲーム画面に重畳して文字入力画面の小窓(ウィンドウ)を表示する、すなわち、「表示部の表示画面が、第一文字グループ情報表示手段により文字入力に関する情報が表示される文字入力ウィンドウと、ゲームの進行状況が表示される領域とを表示するもの」とすることは、当業者が容易になし得たことである。 また、上記周知例2に文字入力用のウィンドウであるソフトキーボードをゲーム画面の端部に表示することが開示されるように、文字入力用ウィンドウをゲーム画面に重畳して表示するにあたり、文字入力ウィンドウの表示位置をゲーム画面の端部とすることは、ゲーム画面の視認性を考慮して当業者が適宜なし得る設計事項である。 したがって、本願発明は、引用例1記載の発明及び上記周知技術に基づいて当業者が容易になし得たものである。 そして、本願発明の構成によってもたらされる効果は、引用例1記載の発明に上記周知技術を適用したものが奏するであろうと当業者が予想する効果に比して、格別顕著なものではなく、本願発明の進歩性を肯定する根拠となり得るものではない。 5.むすび 以上のとおり,本願発明は、引用例1に記載された発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条2項の規定により特許を受けることができない。 したがって、本願は、その他の請求項について検討するまでもなく、拒絶されるべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2014-11-06 |
結審通知日 | 2014-11-11 |
審決日 | 2014-11-27 |
出願番号 | 特願2011-14486(P2011-14486) |
審決分類 |
P
1
8・
121-
WZ
(G06F)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 岩橋 龍太郎 |
特許庁審判長 |
和田 志郎 |
特許庁審判官 |
山田 正文 千葉 輝久 |
発明の名称 | 文字入力装置及び文字入力プログラム |
代理人 | 特許業務法人ライトハウス国際特許事務所 |