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審決分類 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) H01L
審判 査定不服 特36条4項詳細な説明の記載不備 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) H01L
管理番号 1296009
審判番号 不服2013-2688  
総通号数 182 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2015-02-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2013-02-12 
確定日 2015-01-05 
事件の表示 特願2011-504450「小ビームブランカ構成体」拒絶査定不服審判事件〔平成21年10月22日国際公開、WO2009/127659、平成23年 5月26日国内公表、特表2011-517131〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、2009年4月15日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2008年4月15日、米国)を国際出願日とする出願であって、平成24年9月3日に手続補正がなされたが、同年10月1日付けで拒絶査定がなされた。
これに対し、平成25年2月12日に拒絶査定に対する審判請求がなされ、同時に手続補正がなされた。
その後、同年4月11日付けで、審判請求人に前置報告書の内容を示し意見を求めるための審尋を行ったところ、同年7月10日に回答書が提出されたものである。
さらにその後、当審において、同年12月20日付けで上記平成25年2月12日付けの手続補正についての補正の却下の決定がなされるとともに、同日付けで最後の拒絶理由通知がなされた。
これに対して、平成26年7月7日に意見書が提出されるとともに手続補正がなされた。

第2 平成26年7月7日付けの手続補正についての補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
平成26年7月7日付けの手続補正(以下「本件補正」という。)を却下する。

[理由]
1.補正後の本願発明の記載
本件補正により、本願の特許請求の範囲の請求項1の記載は、
「偏向デバイスを具備し、
前記偏向デバイスは、複数のアパ-チャが形成されたプレートと、これらアパ-チャと関連して設けられ、アパ-チャを通る小ビームを偏向する複数のスイッチング電極と、各々が記憶素子を備え、スイッチング電極に接続されている複数のメモリセルと、これらメモリセルに夫々接続された光感知素子とを有し、
前記記憶素子の各々は、制御装置により制御可能であり、
前記光感知素子は、前記制御装置から光学的に伝送される制御信号を受けるように配設されており、
前記スイッチング電極は、前記アパ-チャを通る小ビームの入射角に応じて配置される、小ビームブランカ。」
と補正された。
上記補正は、補正前の請求項1に記載された事項である「スイッチング電極」について「前記スイッチング電極は、前記アパ-チャを通る小ビームの入射角に応じて配置される」との限定を付加する補正を含むものであって、当該補正は特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
そこで、本件補正後の前記請求項1に記載された発明(以下「補正発明」という。)が、特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるかについて以下に検討する。

2.特許法第36条第4項第1号に関する理由
本願明細書の発明の詳細な説明の記載は、当業者が補正発明を実施することができる程度に明確かつ十分に記載したものであるかどうかについて検討する。

(1)発明特定事項
補正発明は「各々が記憶素子を備え、スイッチング電極に接続されている複数のメモリセルと、これらメモリセルに夫々接続された光感知素子とを有し、前記記憶素子の各々は、制御装置により制御可能であり、前記光感知素子は、前記制御装置から光学的に伝送される制御信号を受けるように配設されており」という発明特定事項(以下「特定事項」という。)を有する。
そして、請求人も上記意見書(「第1 手続の経緯」参照)で認めているとおり、当該特定事項は「各メモリセルには1つの光感知素子が接続されていること」を特定している。

(2)発明の詳細な説明の記載
上記特定事項に関して、本願明細書の発明の詳細な説明には以下の記載がある。
(a)「【請求項9】
前記記憶素子のローディングは、制御装置によって制御され、
前記制御装置からの信号が、好ましくは、前記偏向デバイス中の光感知素子に伝送される請求項1のシステム。」
(b)「【0027】
さらなる実施の形態では、記憶素子のローディングは、制御装置によって制御される。制御装置からの信号は、偏向デバイス中の光感知素子に光学的に伝送される。このような光伝送は、ブランカにギガビット/秒までのデータ伝送速度を容易に必要とする全ての制御信号を適切に供給する方法を与える。
【0028】
適切には、信号は、多重送信(multiplexed)形式で光学的に伝送される。そして、デマルチプレクサ(demultiplexer)が、ブランカ装置中にある。さらに、中間メモリが、デマルチプレクシング(demultiplexing)のタイムスロット中に制御信号を記憶するためにある。適切には、これは、メモリセルのアレイに隣接して位置されている。」
(c)「【0046】
最も適切には、前記制御信号は、制御装置から、メモリセルに電気的に結合された光感知素子に光学的に伝送される。」

(3)判断
上記特定事項を含む補正発明を実現するためには、「各々が記憶素子を備え、スイッチング電極に接続されている複数のメモリセルと、これらメモリセルに夫々接続された光感知素子とを有」する構造を実現するだけではなく、そのようにメモリセルに接続された光感知素子の1つ1つに、制御信号を光学的に、独立して伝送することが必要不可欠である。
しかしながら、上記摘記箇所を含め、本願の発明の詳細な説明には、そのような事項を実現するための具体的な記載も示唆も認められない。
また、本願の優先日当時、そのような事項を実現するための具体的な技術手段が当業者にとって自明であったことを示す根拠もない。
してみると 本願明細書の発明の詳細な説明の記載は、当業者が補正発明を実施することができる程度に明確かつ十分に記載したものであるとはいえない。

したがって、本願は、特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていないから、補正発明は特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

4.むすび
以上のとおり、本件補正は、特許法第17条の2第6項の規定において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。
よって、上記[補正の却下の決定の結論]のとおり、決定する。

第3 本願発明の記載について
1.本願発明の記載
平成26年7月7日付けの手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1の記載(以下、請求項1に記載された発明を「本願発明」という。)は、平成24年9月3日付けの手続補正書の特許請求の範囲の請求項1に記載された、以下のとおりのものである。
「偏向デバイスを具備し、
前記偏向デバイスは、複数のアパ-チャが形成されたプレートと、これらアパ-チャと関連して設けられ、アパ-チャを通る小ビームを偏向する複数のスイッチング電極と、各々が記憶素子を備え、スイッチング電極に接続されている複数のメモリセルと、これらメモリセルに夫々接続された光感知素子とを有し、
前記記憶素子の各々は、制御装置により制御可能であり、
前記光感知素子は、前記制御装置から光学的に伝送される制御信号を受けるように配設されている、小ビームブランカ。」

2.判断
(1)発明特定事項及び発明の詳細な説明の記載
本願発明は補正発明と同じ特定事項を有する。
本願明細書の発明の詳細な説明の記載は、上記「第2 2.(2)」のとおりである。

(2)判断
上記(1)のとおり、本願発明は補正発明と同じ特定事項を有する。
したがって、上記「第2 2.(3)」と同じ理由により、本願明細書の発明の詳細な説明の記載は、当業者が本願発明を実施することができる程度に明確かつ十分に記載したものであるとはいえない。そして、それは当審の拒絶理由で通知した理由である。

第4 むすび
以上のとおり、本願は、特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていないから、他の理由について検討するまでもなく、本願は、拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2014-07-30 
結審通知日 2014-08-05 
審決日 2014-08-20 
出願番号 特願2011-504450(P2011-504450)
審決分類 P 1 8・ 536- WZ (H01L)
P 1 8・ 575- WZ (H01L)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 佐野 浩樹  
特許庁審判長 神 悦彦
特許庁審判官 土屋 知久
伊藤 昌哉
発明の名称 小ビームブランカ構成体  
代理人 野河 信久  
代理人 幸長 保次郎  
代理人 中村 誠  
代理人 峰 隆司  
代理人 蔵田 昌俊  
代理人 福原 淑弘  
代理人 白根 俊郎  

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