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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 F21S
管理番号 1296048
審判番号 不服2013-22534  
総通号数 182 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2015-02-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2013-11-18 
確定日 2015-01-05 
事件の表示 特願2009-120834号「発光素子方式照明灯」拒絶査定不服審判事件〔平成22年1月7日出願公開、特開2010-3683号〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 I.手続の経緯
本願は、平成21年5月19日(優先権主張平成20年5月19日)の出願であって、平成25年4月15日付けで拒絶の理由が通知され、平成25年7月17日に意見書及び手続補正書が提出されたが、その手続補正書に係る手続きは、平成25年9月2日付けで手続却下の処分により却下され、平成25年9月18日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、平成25年11月18日に拒絶査定不服審判の請求がなされるとともに、同時に特許請求の範囲及び明細書についての手続補正がなされたものである。

II.平成25年11月18日付けの手続補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成25年11月18日付けの手続補正(以下、「本件補正」という。)を却下する。

[理由]
1.補正後の本願発明
本件補正により、特許請求の範囲の請求項1は次のように補正された。
「一体で長く延びるか又は断続して長く延びる基板と、前記基板の片面又は両面に飛び飛びに設けた発光素子と、前記基板を少なくとも発光素子の側から覆う筒形又は溝形の細長い透光カバーとを備えており、
前記透光カバーは樹脂よりなる押し出し加工品であって直線状に延びており、
前記基板は、前記透光カバーの内面に形成した基板保持溝に嵌め込まれているか、又は、前記透光カバーに嵌合部を介して取り付けられたアルミ製のベース部材に保持されており、前記基板保持溝及び嵌合部は透光カバー及びベース部材の長手方向の全長に延びており、
更に、前記基板のうち前記発光素子を設けた側に、前記発光素子の光を拡散させる反射体が配置されており、前記反射体には前記発光素子を露出させる貫通穴が空いている、
発光素子方式照明灯。」

2.補正の目的及び新規事項の追加の有無
本件補正は、請求項1に記載した発明を特定するために必要な事項である「透光カバー」について「樹脂よりなる押し出し加工品であって直線状に延びており、」との限定を付加し、同じく「基板」について「基板のうち前記発光素子を設けた側に、前記発光素子の光を拡散させる反射体が配置されており、前記反射体には前記発光素子を露出させる貫通穴が空いている、」との限定を付加し、同じく「前記基板の長手両側縁が直接に嵌まり込む嵌合部を長手方向に沿って延びるように形成しているか、又は、前記基板を保持した保持部材の長手側縁が嵌まり込む嵌合部を長手方向に沿って延びるように形成しており、前記嵌合部により、前記基板がその幅方向と厚さ方向とにずれ不能に保持されている、」について、「基板の嵌まり込む嵌合部」を、「嵌合部」の下位概念である「基板保持溝」に限定し、さらに「長手方向に沿って延びる」のが「全長」であるとの限定を付加するものであり、かつ、補正後の請求項1に記載された発明は、補正前の請求項1に記載された発明と、産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるので、特許法第17条の2第5項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
そして、本件補正は、新規事項を追加するものではない。

3.独立特許要件
そこで、本件補正後の前記請求項1に記載された発明(以下、「本願補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか)について以下に検討する。

3-1.引用文献の記載事項
(刊行物1)
原査定の拒絶の理由に引用された、本願の出願前に頒布された刊行物である特表2001-512279号公報(以下、「引用文献1」という。)には、図面と共に次の事項が記載されている。
(なお、下線は当審が加筆した。刊行物2?5についても同様である。)

(ア)「【0030】
まず図1および図2を参照して、示されるストリップ状照明システム10はいくつかの光源包囲部12を含み、これらの光源包囲部12の各々は、半透明な材料を含む細長い中空ハウジング14を有する。ハウジング14を以下に光管セグメントと呼ぶ。これらのセグメント14は直線状であり実質的に剛性であり、柔軟性セグメント16によって連結される。光管セグメント14はそれぞれの内部通路13を規定し、この内部通路13には、たとえば印刷回路板(PCB)ラミネートであるリボンケーブル支持ストリップ9上に間隔をおいて、発光ダイオード(LED)8の形態の多数の光源が配置される。これらのラミネートは実質的に剛性であるか、または柔軟性を持つタイプのものである。LEDは好ましくは表面取付型である。これらのストリップに印刷された導電体ケーブルは、接続箱20および直立ケーブル包囲部22を介して外部電源/制御装置に電気接続される。PCBラミネートまたは他の支持ストリップは、LEDと協働して反射などの光学効果を生むよう、局所的なまたは延在する層またはコーティングを含み得る。」

(イ)「【0033】
実質的に剛性な各光管セグメント14は、内部にあるLEDによって発光される光を拡散、分散または散乱させるように半透明なものとして選択されたプラスチック材料で作られた、均一な断面を有する押出成形部材を備え、これにより、外側から見たときに管が光を放つように見える。このようにすると、延在するストリップ状または線状の照明が提供され、すなわち管はその長さにわたって延び、含まれる光源を包囲する実質的に連続したゾーンにわたって輝いているように見える。好ましくは、半透明な材料は、LEDが、非稼動時にハウジングの外側から見たときに目に見えず、稼動時にハウジングの外側から見たときに実質的に認識できないようにされる。」

(ウ)「【0036】
光管セグメント14の側壁部分24a,24bの内部には、典型的には図示されるように4つである、長手方向に延びる多くのリブ19aが設けられ、これらは介在溝(intervening grooves)19bを規定するよう等間隔に隔てられる。これらの溝は、リボンケーブルストリップ9、光学発散体、レフレクタとしてのストリップまたは他の部品を取付けるために設けられる。これを以下にさらに説明する。」

記載事項(ア)の「・・・中空ハウジング14を有する。ハウジング14を以下に光管セグメントと呼ぶ。これらのセグメント14は・・・」から、「中空ハウジング14」、「ハウジング14」、「光管セグメント」及び「セグメント14」は、同じものを示しているといえるので、以下、用語を「中空ハウジング14」に統一し、同様に、「リボンケーブル支持ストリップ9」及び「リボンケーブルストリップ9」も、同じものを示しているといえるので、以下、用語を「リボンケーブル支持ストリップ9」に統一し、引用文献1の記載事項(ア)?(ウ)及び図面に示された内容を総合すると、引用文献1には、以下の発明(以下、「引用文献1記載の発明」という。)が記載されていると認められる。

「リボンケーブル支持ストリップ9上に間隔をおいて、発光ダイオード8の形態の多数の光源が配置され、光源包囲部12の各々は、半透明な材料を含む細長い中空ハウジング14を有する、ストリップ状照明システム10において、
中空ハウジング14は、半透明なものとして選択されたプラスチック材料で作られた、均一な断面を有する押出成形部材を備え、中空ハウジング14は直線状であり、
中空ハウジング14の側壁部分24a,24bの内部には、長手方向に延びる多くのリブ19aが設けられ、これらは介在溝19bを規定するよう等間隔に隔てられ、これらの溝は、リボンケーブル支持ストリップ9、レフレクタとしてのストリップを取付けるために設けられる、ストリップ状照明システム10。」

(刊行物2)
本願の出願前に頒布された刊行物である特開2002-245813号公報(以下、「引用文献2」という。)には、図面と共に次の事項が記載されている。

(エ)「【0021】そして、灯室S内には、図2,3に示すように前面レンズ2にほぼ沿った形状のリフレクタ8が収容されており、リフレクター8のエクステンション部83(図2,3参照)は、前面レンズ2と同様な三次面形状に形成されている。」

(オ)「【0023】また、リフレクタ8は、ベース4と同じ材質の樹脂を用いた樹脂成形によって一体に成形されるとともに、その前面側は、アルミニウム蒸着膜等が形成されて反射面として構成されている。特に、リフレクタタ部84の反射面は、微小凹凸が設けられたシボ加工処理反射面で構成されて、LED6の発光が拡散反射される。そして、LED6の赤色の発光は、ライトレッド色のアウターレンズ2を透過することで深みのある赤色になる。」

(カ)「【0025】また、各リフレクタ部84の背面には開口部84aが設けられ、この開口部84a内には、ベース4に支持された発光部であるLED6の樹脂モールド62が臨んで配置されて、LED6の樹脂モールド62がリフクレタ8(リフレクタ部84)で囲繞された形態に保持されている。」

(刊行物3)
本願の出願前に頒布された刊行物である特開2006-209120号公報(以下、「引用文献3」という。)には、図面と共に次の事項が記載されている。

(キ)「【0017】
最も上部に位置する保護フィルム35は、スクラッチに弱いプリズムフィルム34を保護する。
反射板40は、LED51とLED熱伝逹部材52の間に位置する。このために反射板40にはLED51を突出させるための貫通孔43が形成されている。反射板40は、貫通孔から突出したLED51の背面側に位置する。貫通孔43はLED51の配置と対応する様に配置され、第1実施形態においては4つの貫通孔列45が互いに同じ間隔で平行に配置されている。各貫通孔列45には貫通孔43が一列に配置されている。LED熱伝逹部材52は、LED51で発生した熱を外部に排出させるためのものであって、金属からなっている。」

(ク)「【0018】
ある物質の表面に入射して反射された光は、拡散反射または正反射される。拡散反射になるか正反射になるかは、入射物質の表面粗度と関係がある。入射する光を拡散反射(乱反射)する表面の粗度(RMS粗度)は可視光線の波長(400乃至700nm)より大きく、入射する光を正反射する表面粗度は可視光線の波長より小さい。
反射板40は表面粗度が互いに異なる第1反射部41と第2反射部42を含み、第2反射部42の表面粗度が第1反射部41の表面粗度に比べて小さい。第1実施形態では、第1反射部41は最も大きい可視光線の波長(700nm)より大きい表面粗度を有して入射する光を拡散反射し、第2反射部42は可視光線の最も小さい波長(400nm)より小さい表面粗度を有して入射する光を正反射する。第2反射部42は貫通孔列45の間に3つ備えられ、帯状を有している。また、第2反射部42は隣接した貫通孔列45の間の中央部に沿って、一定間隔で並列に配置されている。第1反射部41はベースフィルム46とベースフィルム46上に形成される拡散反射層47とで構成される。ベースフィルム46はポリエチレンテレフタレート(PET)やポリカーボネート(PC)からなり、拡散反射層47は炭酸カルシウム(CaCO3)等のビーズ(beads)を含む。反射板40はLED50で発生する強い熱により歪みが発生しないように、厚さを多少厚く備えることができる。」

(刊行物4)
本願の出願前に頒布された刊行物である国際公開2007/037035号(以下、「引用文献4」という。)には、図面と共に次の事項が記載されている。

(ケ)「[0042] 本発明において、光反射板18および光拡散反射板34は、内部に平均気泡径が光の波長以上で50μm以下の微細な気泡または気孔を有する熱可塑性樹脂のフィルムまたはシートによって形成することが好ましい。」

(コ)「[0053] 光反射板18には平均気泡径10μm、厚さ1000μm、比重0.325、可視光の拡散反射率97%のポリエチレンテレフタレート発泡体(古河電気工業株式会社製、商品名MCPET)を用いた。光反射板18の収納凹部20は逆四角錐形状で、頂部24が連続して繋がっており、底部にはLED16を挿通させるための挿通孔22が開いている。寸法は、光反射板18の収納凹部20の上部が縦30mm×横30mm、底部が縦10mm×横10mm、深さが38mm、挿通孔22の直径が7mmである。光反射板18の外寸は、縦300mm、横900mm、高さ39mm、挿通孔22のピッチは30mmである。LED16と光反射板18の挿通孔22との間には、1mm幅の隙間を形成した。」

(刊行物5)
本願の出願前に頒布された刊行物である特開2006-332024号公報(以下、「引用文献5」という。)には、図面と共に次の事項が記載されている。

(サ)「【0017】
反射シート5は、PP(ポリプロピレン)またはPET(ポリエチレンテレフタレート)に硫酸バリウムもしくは酸化チタンを混ぜ合わせた材料、樹脂に微細な気泡を形成した材料、金属板に銀を蒸着した材料、または金属板に酸化チタン等を含む塗料を塗布した材料からなる。」

(シ)「【0019】
また、筐体1の底面1bに形成された貫通穴1eに対応するように、筐体1の底面1b上に配置された反射シート5には貫通穴5aが形成される。光源基板3は筐体1の底面1bに外側より取り付けられ、点状光源2が筐体1の貫通穴1eおよび反射シートの貫通穴5aを通して筐体1外部から筐体1内の底面1bに配設される。」

(ス)「【0032】
拡散板4に入射した光は、拡散板4内を透過する光の成分と拡散板4内の粒子で反射する光の成分に分かれる。そのうち、光源側に反射した成分の光は、反射シート5および反射板7で正反射、拡散反射もしくはその複合で反射して、再度、拡散板4に入射する。また、拡散板4に入射し透過した成分の光は、拡散板4表面からあらゆる方向に均一に放射する。」

3-2.対比
本願補正発明と引用文献1記載の発明とを対比する。
引用文献1記載の発明の「リボンケーブル支持ストリップ9」は、上記の記載事項(ウ)及び図2を参照すると、長手方向に延びる多くのリブ19aにより規定される溝に取付けられ、一体で長く延びるものと認められ、本願補正発明の「一体で長く延びる基板」に相当する。
引用文献1記載の発明の「発光ダイオード8の形態の多数の光源」は、「リボンケーブル支持ストリップ9(一体で長く延びる基板)」上に間隔をおいて配置されているから、本願補正発明の「基板の片面に飛び飛びに設けた発光素子」に相当する。
引用文献1記載の発明の「半透明な材料を含む細長い中空ハウジング14」は、光源包囲部12の一部分であり、図2から明らかに、「リボンケーブル支持ストリップ9(基板)」を少なくとも「発光ダイオード8の形態の多数の光源(発光素子)」の側から覆う筒形であり、半透明な材料を含むから透光機能を備えていると認められるので、引用文献1記載の発明の「半透明な材料を含む細長い中空ハウジング14」は、本願補正発明の「基板を少なくとも発光素子の側から覆う筒形の細長い透光カバー」に相当する。
上記の記載事項(ウ)及び図2を参照すると、引用文献1記載の発明の「中空ハウジング14は、半透明なものとして選択されたプラスチック材料で作られた、均一な断面を有する押出成形部材を備え、中空ハウジング14は直線状であり、」は、本願補正発明の「前記透光カバーは樹脂よりなる押し出し加工品であって直線状に延びており、」に相当する。
引用文献1記載の発明は、「中空ハウジング14の側壁部分24a,24bの内部には、長手方向に延びる多くのリブ19aが設けられ、これらは介在溝19bを規定するよう等間隔に隔てられ」ているので、引用文献1記載の発明の「介在溝19b」は、「中空ハウジング14(透光カバー)」の内面に形成されているものと認められる。(以下、「認定事項A」という。)
引用文献1記載の発明の「介在溝19b」は、介在溝19bを規定するリブ19aが長手方向に延びることから、長手方向に延びているものと認められる。(以下、「認定事項B」という。)
引用文献1記載の発明の「発光ダイオード8の形態の多数の光源(発光素子)」は、通常、定まった位置に保持されるから、「発光ダイオード8の形態の多数の光源(発光素子)」が設けれている「リボンケーブル支持ストリップ9(一体で長く延びる基板)」も、通常、定まった位置に保持されると考えられ、併せて引用文献1の図2等を参酌すると、引用文献1記載の発明の「取付ける」は、「リボンケーブル支持ストリップ9(一体で長く延びる基板)」を固定することを意味していると考えられ、「リボンケーブル支持ストリップ9(一体で長く延びる基板)」が「介在溝19b」に嵌め込まれていることを示していると考えるのが妥当である。(以下、「認定事項C」という。)
認定事項A、認定事項B及び認定事項Cから、引用文献1記載の発明の「介在溝19b」は、本願補正発明の「基板保持溝」に相当し、引用文献1記載の発明の「中空ハウジング14の側壁部分24a,24bの内部には、長手方向に延びる多くのリブ19aが設けられ、これらは介在溝19bを規定するよう等間隔に隔てられ、これらの溝は、リボンケーブル支持ストリップ9を取付けるために設けられる、」は、本願補正発明の「前記基板は、前記透光カバーの内面に形成した基板保持溝に嵌め込まれており、前記基板保持溝は透光カバーの長手方向に延びており、」に相当するといえる。
引用文献1の「ストリップ状照明システム10」は、本願補正発明の「発光素子方式照明灯」に相当する。
そうすると、両者は次の一致点で一致し相違点で相違する。

(一致点)
「一体で長く延びるか又は断続して長く延びる基板と、前記基板の片面又は両面に飛び飛びに設けた発光素子と、前記基板を少なくとも発光素子の側から覆う筒形又は溝形の細長い透光カバーとを備えており、
前記透光カバーは樹脂よりなる押し出し加工品であって直線状に延びており、
前記基板は、前記透光カバーの内面に形成した基板保持溝に嵌め込まれているか、又は、前記透光カバーに嵌合部を介して取り付けられたアルミ製のベース部材に保持されており、前記基板保持溝及び嵌合部は透光カバー及びベース部材の長手方向に延びており、
発光素子方式照明灯。」

<相違点1>
「基板保持溝は透光カバーの長手方向に延びて」いるのが、本願補正発明では、「基板保持溝は透光カバーの長手方向の全長に延びて」いるのに対して、引用文献1記載の発明では、「介在溝19b(基板保持溝)」は「半透明な材料を含む細長い中空ハウジング14(透光カバー)」の長手方向の全長に延びているのが特定されていない点。

<相違点2>
本願補正発明は、「更に、前記基板のうち前記発光素子を設けた側に、前記発光素子の光を拡散させる反射体が配置されており、前記反射体には前記発光素子を露出させる貫通穴が空いている、」のに対して、引用文献1記載の発明は、その構成が特定されていない点。

3-3.当審の判断
以下、相違点について検討する。

<相違点1について>
引用文献1記載の発明の「中空ハウジング14は、半透明なものとして選択されたプラスチック材料で作られた、均一な断面を有する押出成形部材を備え、中空ハウジング14は直線状であり(透光カバーは樹脂よりなる押し出し加工品であって直線状に延びており、)」から、「半透明な材料を含む細長い中空ハウジング14(透光カバー)」の形状の一部である「介在溝19b(基板保持溝)」も、「押出成形(押し出し加工)」により、「半透明な材料を含む細長い中空ハウジング14(透光カバー)」の内面に直線状に延びて成形されるものと認められ、押し出しであるから、「半透明な材料を含む細長い中空ハウジング14(透光カバー)」の長手方向の全長に延びていると考えるのが自然であるので(図18の19b、図26も参照)、相違点1は、実質的には一致点であり相違点とはいえない。
また、仮に相違点1で相違するとしても、一般に、押し出し加工により成形される部材において、その押し出し方向に延びて溝を成形する場合には、押し出すから、その押し出し方向の全長に延びて溝が成形されるのが通常であり、引用文献1記載の発明において、押し出し加工を行うことで、「介在溝19b(基板保持溝)」は「半透明な材料を含む細長い中空ハウジング14(透光カバー)」の長手方向の全長に延びている構成を得ることは、格別に困難なことではない。

<相違点2について>
引用文献1の図2及び引用文献1記載の発明の「中空ハウジング14の側壁部分24a,24bの内部には、長手方向に延びる多くのリブ19aが設けられ、これらは介在溝19bを規定するよう等間隔に隔てられ、これらの溝は、リボンケーブル支持ストリップ9、レフレクタとしてのストリップを取付けるために設けられる、」から、引用文献1記載の発明において、「レフレクタとしてのストリップ」を、いずれかの「介在溝19b(基板保持溝)」に取付けてもよく、その「レフレクタとしてのストリップ」は、「レフレクタ」であるから、本願補正発明の「反射体」に対応し、光を反射するために、「リボンケーブル支持ストリップ9(基板)」のうち「発光ダイオード8の形態の多数の光源(発光素子)」を設けた側に、「レフレクタとしてのストリップ(反射体)」が配置されることが示唆されているといえるし、そのようになすことは、格別に困難なことではない。
そして、LED等の発光素子の光を拡散させる反射体に、発光素子を露出させる貫通穴が空いている技術は、引用文献2(記載事項(エ)?(カ)、図1?5等参照)、引用文献3(記載事項(キ)?(ク)、図1?3等参照)、引用文献4(記載事項(ケ)?(コ)、図1?5等参照)、引用文献5(記載事項(サ)?(ス)、図1?5等参照)等に示すように周知の技術であり、発光素子の光を反射させる反射体の技術であるから、この周知の技術を、上記の「レフレクタとしてのストリップ(反射体)」に適用して、引用文献1記載の発明において、「発光ダイオード8の形態の多数の光源(発光素子)」の光を拡散させる「レフレクタとしてのストリップ(反射体)」を配置し、「レフレクタとしてのストリップ(反射体)」には、「発光ダイオード8の形態の多数の光源(発光素子)」を露出させる貫通穴が空いているように構成することは、格別に困難なことではない。

次に、作用効果について検討する。
「基板の支持安定性を格段に向上できる。」(明細書の段落【0019】)及び「長い明灯の組み立てを極めて簡単に行うことができる。」(明細書の段落【0021】)等、基板保持溝が透光カバーの長手方向の全長に延びていることによる、本願補正発明の効果は、引用文献1記載の発明、技術常識ないし周知の技術から当業者が予測し得た程度のものであって、格別のものとはいえない。
さらに、本願補正発明による他の効果も、引用文献1記載の発明及び周知の技術から当業者が予測し得た程度のものであって、格別のものとはいえない。

なお、請求人は、審判請求書において、「補正後の発明の効果」として、「補正後の請求項1では、ベース部材がアルミ製であるため放熱性に優れている利点がある。」と主張しているが、補正後の請求項1の記載では、「ベース部材がアルミ製である」構成は、「・・・か、又は、・・・」という択一的な記載の選択肢の1つであり、必須の構成ではないから、「補正後の発明の効果」に係る前記主張は、補正後の請求項1の記載に基づく主張とはいえない。

したがって、本願補正発明は、引用文献1記載の発明及び周知の技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができない。

3-4.むすび
したがって、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

III.本願発明
本件補正は、上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下、同項記載の発明を、「本願発明」という。)は、願書に最初に添付された特許請求の範囲、明細書及び図面の記載からみて、特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される、以下のとおりのものである。
「一体で長く延びるか又は断続して長く延びる基板と、前記基板の片面又は両面に設けた発光素子と、前記基板を少なくとも発光素子の側から覆う筒形又は溝形の細長いカバー部材とを備えており、
前記カバー部材は成形品であって、前記発光素子の光が透過するように少なくとも一部は透光性を有しており、且つ、前記カバー部材の内面部に、前記基板の長手両側縁が直接に嵌まり込む嵌合部を長手方向に沿って延びるように形成しているか、又は、前記基板を保持した保持部材の長手側縁が嵌まり込む嵌合部を長手方向に沿って延びるように形成しており、前記嵌合部により、前記基板がその幅方向と厚さ方向とにずれ不能に保持されている、
発光素子方式照明灯。」

IV.引用文献の記載事項
原査定の拒絶の理由に引用された刊行物1及びその記載事項は、前記II.3.3-1に記載したとおりである。

V.対比・判断
本願発明は、前記II.1.の本願補正発明から、「透光カバー」及び「基板」に係る限定を削除したものである。
そうすると、本願発明の発明特定事項をすべて含み、さらに、他の発明特定事項を限定したものに相当する本願補正発明が、前記II.3.3-3に記載したとおり、引用文献1記載の発明及び周知の技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、「基板」に係る限定の「反射体」に関する周知の技術を示すまでもなく、本願発明は、同様に、引用文献1記載の発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

VI.むすび
以上のとおり、本願発明は、刊行物1に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができない。
そして、本願発明(本願の請求項1に係る発明)が特許を受けることができないものである以上、本願の請求項2?5に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2014-10-29 
結審通知日 2014-11-05 
審決日 2014-11-20 
出願番号 特願2009-120834(P2009-120834)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (F21S)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 高橋 学  
特許庁審判長 鳥居 稔
特許庁審判官 丸山 英行
出口 昌哉
発明の名称 発光素子方式照明灯  
代理人 西 博幸  
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