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審決分類 審判 査定不服 4項4号特許請求の範囲における明りょうでない記載の釈明 特許、登録しない。 G09C
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G09C
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 G09C
審判 査定不服 4項3号特許請求の範囲における誤記の訂正 特許、登録しない。 G09C
審判 査定不服 4号2号請求項の限定的減縮 特許、登録しない。 G09C
審判 査定不服 4項1号請求項の削除 特許、登録しない。 G09C
管理番号 1296480
審判番号 不服2013-511  
総通号数 183 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2015-03-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2013-01-11 
確定日 2015-01-14 
事件の表示 特願2009-541607「組み合わせコンバイナ暗号化方法」拒絶査定不服審判事件〔平成20年 6月26日国際公開、WO2008/076861,平成22年 5月 6日国内公表、特表2010-515083〕について,次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は,成り立たない。 
理由 第1.手続の経緯
本願は,2007年12月14日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2006年12月15日 アメリカ合衆国)を国際出願日とする出願であって,
平成21年8月7日付けで特許法第184条の4第1項の規定による明細書,請求の範囲,及び,図面(図面の中の説明に限る)の日本語による翻訳文が提出されると共に審査請求がなされ,平成24年1月27日付けで審査官により拒絶理由が通知され,これに対して平成24年8月7日付けで意見書が提出されると共に誤訳訂正がなされたが,平成24年9月3日付けで審査官により拒絶査定がなされ(発送;平成24年9月11日),これに対して平成25年1月11日付けで審判請求がなされると共に手続補正がなされ,平成25年3月26日付けで審査官により特許法第164条第3項の規定に基づく報告がなされ,平成25年5月16日付けで当審により特許法第134条第4項の規定に基づく審尋がなされ,平成25年7月31日付けで回答書の提出があったものである。

第2.平成25年1月11日付けの手続補正の却下の決定

[補正却下の決定の結論]

平成25年1月11日付け手続補正を却下する。

[理由]

1.補正の内容
平成25年1月11日付けの手続補正(以下,「本件手続補正」という)により,平成24年8月7日付けの誤訳訂正により訂正された特許請求の範囲,
「【請求項1】
暗号化デバイス上で動作する方法であって,
複数の入力シンボルを得ることと,
暗号化されるべき前記入力シンボルのおのおのについて,異なるシンボルごとの置換を定義する複数の変換テーブルから,擬似ランダムに選択された変換テーブルを得ることと,
各入力シンボルを個別に暗号化するために,前記入力シンボルのおのおのについてそれらの対応する変換テーブルを使用して,前記入力シンボルを対応する出力シンボルへ変換することと,を備え,
ここにおいて,暗号化されるべき前記入力シンボルのおのおのについて前記擬似ランダムに選択された変換テーブルを得ることは,
第1の入力シンボルについての,擬似ランダムに選択された第1の変換テーブルを得ることと,
第2の入力シンボルについての,擬似ランダムに選択された第2の変換テーブルを得ることと,を含み,
ここにおいて,前記第1の変換テーブル及び前記第2の変換テーブルは,擬似乱数を使用してシンボルをシャッフルすることにより生成された変換テーブルであり,
そして,ここにおいて,前記入力シンボルのおのおのについてそれらの対応する変換テーブルを使用して前記入力シンボルを対応する出力シンボルへ変換することは,
前記第1の変換テーブルを使用して前記第1の入力シンボルを第1の出力シンボルへ変換することと,
前記第2の変換テーブルを使用して前記第2の入力シンボルを第2の出力シンボルへ変換することと,を含む,方法。
【請求項2】
前記複数の入力シンボルは,1組のN個のシンボルによって定義される,但し,Nは,正の整数であり,変換テーブルは,前記N個のシンボルの置換である,請求項1に記載の方法。
【請求項3】
暗号化されるべき前記入力シンボルのおのおのについて,前記擬似ランダムに選択された変換テーブルを得ることは,
暗号化されるべき第1の入力シンボルについての第1の擬似乱数を得ることと,
前記組のN個のシンボルの異なる置換を得るために前記組のN個のシンボルをシャッフルすること,および前記第1の入力シンボルについての前記変換テーブルとしてその置換を使用することと,
を含む,
請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記第1の擬似乱数は,
前記第1の入力シンボルについての擬似乱数を生成することと,但し,前記擬似乱数はkビットの長さであり,kは正の整数である;
前記擬似乱数が最大数Pmaxの範囲内にあるかどうかを決定することと,但し,Pmaxは,最大しきい値2kよりも小さいNの階乗の最大の倍数である;
前記擬似乱数を,もしそれが前記最大数Pmaxよりも大きい場合は,捨てることと;
前記最大数Pmax以下である許容可能な擬似乱数が得られるまで,前記第1の入力シンボルについての異なる擬似乱数を得ることと;
前記第1の擬似乱数を得るために前記許容可能な擬似乱数のモジュロNの階乗を除算することと;
によって得られる,
請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記組のN個のシンボルをシャッフルすることは,
前記組のN個のシンボルのうちのすべてのシンボルを用いて置換ベクトルPを初期化することと,
前記第1の擬似乱数に基づいて前記置換ベクトルの中の前記シンボルをシャッフルすることと,
を含む,
請求項3に記載の方法。
【請求項6】
前記出力シンボルを暗号解読デバイスに送信すること,
をさらに備える請求項1に記載の方法。
【請求項7】
暗号化されるべき前記入力シンボルのおのおのについて,異なるシンボルごとの置換を定義する前記複数の変換テーブルから,第2の擬似ランダムに選択された変換テーブルを得ることと,
各入力シンボルをさらに個別に暗号化するために,前記出力シンボルのおのおのについてそれらの対応する第2の変換テーブルを使用して,前記出力シンボルを対応する第2の出力シンボルへ変換することと,
をさらに備える請求項1に記載の方法。
【請求項8】
複数の入力シンボルを得るための手段と,
暗号化されるべき前記入力シンボルのおのおのについて,異なるシンボルごとの置換を定義する複数の変換テーブルから,擬似ランダムに選択された変換テーブルを得るための手段と,
各入力シンボルを個別に暗号化するために,前記入力シンボルのおのおのについてそれらの対応する変換テーブルを使用して,前記入力シンボルを対応する出力シンボルへ変換するための手段と,を備え,
第1の入力シンボルについての,擬似ランダムに選択された第1の変換テーブルを得るための手段と,
第2の入力シンボルについての,擬似ランダムに選択された第2の変換テーブルを得るための手段と,
ここにおいて,前記第1の変換テーブル及び前記第2の変換テーブルは,擬似乱数を使用してシンボルをシャッフルすることにより生成された変換テーブルであり,
前記第1の変換テーブルを使用して前記第1の入力シンボルを第1の出力シンボルへ変換するための手段と,
前記第2の変換テーブルを使用して前記第2の入力シンボルを第2の出力シンボルへ変換するための手段と,
をさらに備える暗号化デバイス。
【請求項9】
暗号化されるべき第1の入力シンボルについての第1の擬似乱数を得るための手段と,
前記組のN個のシンボルの異なる置換を得るために前記組のN個のシンボルをシャッフルし,そして前記第1の入力シンボルについての前記変換テーブルとしてその置換を使用
するための手段と,
をさらに備える請求項8に記載のデバイス。
【請求項10】
前記第1の入力シンボルについての擬似乱数を生成するための手段と,但し,前記擬似数はkビットの長さであり,kは正の整数である;
前記擬似乱数が最大数Pmaxの範囲内にあるかどうかを決定するための手段と,但し,Pmaxは,最大しきい値2kよりも小さいNの階乗の最大の倍数である;
前記擬似乱数を,もしそれが前記最大数Pmaxよりも大きい場合は,捨てるための手段と;
前記最大数Pmax以下である許容可能な擬似乱数が得られるまで,前記第1の入力シンボルについての異なる擬似乱数を得るための手段と;
前記第1の擬似乱数を得るために前記許容可能な擬似乱数のモジュロNの階乗を除算するための手段と;
をさらに備える請求項9に記載のデバイス。
【請求項11】
前記出力シンボルを暗号解読デバイスに送信するための手段,
をさらに備える請求項8に記載のデバイス。
【請求項12】
暗号化されるべき前記入力シンボルのおのおのについて,異なるシンボルごとの置換を定義する前記複数の変換テーブルから,第2の擬似ランダムに選択された変換テーブルを得るための手段と,
各入力シンボルをさらに個別に暗号化するために,前記出力シンボルのおのおのについてそれらの対応する第2の変換テーブルを使用して,前記出力シンボルを対応する第2の出力シンボルへ変換するための手段と,
をさらに備える請求項8に記載のデバイス。
【請求項13】
入力シンボルストリームを受信するための入力インターフェースと,
前記入力インターフェースに結合された処理回路と,
を備え,
前記処理回路は,
複数の入力シンボルを前記入力インターフェースから取得し,
暗号化されるべき前記入力シンボルのおのおのについて,異なるシンボルごとの置換を定義する複数の変換テーブルから,擬似ランダムに選択された変換テーブルを取得し,そして
各入力シンボルを個別に暗号化するために,前記入力シンボルのおのおのについてそれらの対応する変換テーブルを使用して,前記入力シンボルを対応する出力シンボルへ変換する,
ように構成されている,
ここにおいて,暗号化されるべき前記入力シンボルのおのおのについて前記擬似ランダムに選択された変換テーブルを取得することは,
第1の入力シンボルについての,擬似ランダムに選択された第1の変換テーブルを取得することと,
第2の入力シンボルについての,擬似ランダムに選択された第2の変換テーブルを取得することと,を含み,
ここにおいて,前記第1の変換テーブル及び前記第2の変換テーブルは,擬似乱数を使用してシンボルをシャッフルすることにより生成された変換テーブルであり,
ここにおいて,前記入力シンボルのおのおのについてそれらの対応する変換テーブルを使用して前記入力シンボルを対応する出力シンボルへ変換することは,
前記第1の変換テーブルを使用して前記第1の入力シンボルを第1の出力シンボルへ変換することと,
前記第2の変換テーブルを使用して前記第2の入力シンボルを第2の出力シンボルへ変換することと,を含む,暗号化デバイス。
【請求項14】
前記出力シンボルを送信するための,前記処理回路に結合された出力インターフェース,
をさらに備える請求項13に記載のデバイス。
【請求項15】
前記複数の入力シンボルは,1組のN個のシンボルによって定義されている,但し,Nは正の整数であり,変換テーブルは,前記N個のシンボルの置換である,請求項13に記載のデバイス。
【請求項16】
前記処理回路に結合されたキーストリームジェネレータと,なお,前記キーストリームジェネレータは,暗号化されるべき第1の入力シンボルについて前記キーストリームジェネレータから第1の擬似乱数を取得するように構成されている;
前記処理回路に結合された変換テーブルジェネレータと,なお,前記変換テーブルジェネレータは,前記組のN個のシンボルの異なる置換を取得するために,前記組のN個のシンボルをシャッフルするように構成され,そして前記第1の入力シンボルについての前記変換テーブルとしてその置換を使用する;
をさらに備える請求項15に記載のデバイス。
【請求項17】
前記処理回路は,さらに,
前記第1の入力シンボルについての擬似乱数を生成し,なお,前記擬似乱数はkビットの長さであり,kは正の整数である;
前記擬似乱数が最大数Pmaxの範囲内にあるかどうかを決定し,但し,Pmaxは,最大しきい値2kよりも小さいNの階乗の最大の倍数である;
前記擬似乱数を,もしそれが前記最大数Pmaxよりも大きい場合は,捨て;
前記最大数Pmax以下である許容可能な擬似乱数が得られるまで,前記第1の入力シンボルについての異なる擬似乱数を取得し;そして
前記第1の擬似乱数を取得するために前記許容可能な擬似乱数のモジュロNの階乗を除算する;
ように構成されている,
請求項15に記載のデバイス。
【請求項18】
前記処理回路は,さらに,
暗号化されるべき前記入力シンボルのおのおのについて,異なるシンボルごとの置換を定義する前記複数の変換テーブルから,第2の擬似ランダムに選択された変換テーブルを取得し,そして
各入力シンボルをさらに個別に暗号化するために,前記出力シンボルのおのおのについてそれらの対応する第2の変換テーブルを使用して,前記出力シンボルを対応する第2の出力シンボルへ変換する,
ように構成されている,
請求項15に記載のデバイス。
【請求項19】
プロセッサによって実行されるときに,前記プロセッサに,
複数の入力シンボルを取得させ,
暗号化されるべき前記入力シンボルのおのおのについて,異なるシンボルごとの置換を定義する複数の変換テーブルから,擬似ランダムに選択された変換テーブルを取得させ,そして
各入力シンボルを個別に暗号化するために,前記入力シンボルのおのおのについてそれらの対応する変換テーブルを使用して,前記入力シンボルを対応する出力シンボルへ変換させる,
ここにおいて,暗号化されるべき前記入力シンボルのおのおのについて前記擬似ランダムに選択された変換テーブルを取得させることは,
第1の入力シンボルについての,擬似ランダムに選択された第1の変換テーブルを取得させることと,
第2の入力シンボルについての,擬似ランダムに選択された第2の変換テーブルを取得させることと,を含み,
ここにおいて,前記第1の変換テーブル及び前記第2の変換テーブルは,擬似乱数を使用してシンボルをシャッフルすることにより生成された変換テーブルであり,
ここにおいて,前記入力シンボルのおのおのについてそれらの対応する変換テーブルを使用して前記入力シンボルを対応する出力シンボルへ変換させることは,
前記第1の変換テーブルを使用して前記第1の入力シンボルを第1の出力シンボルへ変換させることと,
前記第2の変換テーブルを使用して前記第2の入力シンボルを第2の出力シンボルへ変換させることと,を含む,
シンボルを暗号化するために動作可能な1つまたは複数の命令,を有する機械可読媒体。
【請求項20】
前記複数の入力シンボルは,1組のN個のシンボルによって定義される,但し,Nは正の整数であり,変換テーブルは,前記N個のシンボルの置換である,請求項19に記載の機械可読媒体。
【請求項21】
プロセッサによって実行されるときに,前記プロセッサに,さらに,
暗号化されるべき第1の入力シンボルについての第1の擬似乱数を取得させ,そして
前記組のN個のシンボルの異なる置換を取得するために,前記組のN個のシンボルをシャッフルさせ,そして前記第1の入力シンボルについての前記変換テーブルとしてその置換を使用させる,
1つまたは複数の命令,を有する請求項20に記載の機械可読媒体。
【請求項22】
プロセッサによって実行されるときに,前記プロセッサに,さらに,
前記第1の入力シンボルについての擬似乱数を生成させ,なお,前記擬似乱数はkビットの長さであり,kは正の整数である;
前記擬似乱数が最大数Pmaxの範囲内にあるかどうかを決定させ,但し,Pmaxは,最大しきい値2kよりも小さいNの階乗の最大の倍数である;
前記擬似乱数を,もしそれが前記最大数Pmaxよりも大きい場合は,捨てさせ,;
前記最大数Pmax以下である許容可能な擬似乱数が得られるまで,前記第1の入力シンボルについての異なる擬似乱数を取得させ;そして
前記第1の擬似乱数を取得するために前記許容可能な擬似乱数のモジュロNの階乗を除算させる,
1つまたは複数の命令,を有する請求項20に記載の機械可読媒体。
【請求項23】
プロセッサによって実行されるときに,前記プロセッサに,さらに,
暗号化されるべき前記入力シンボルのおのおのについて,異なるシンボルごとの置換を定義する前記複数の変換テーブルから,第2の擬似ランダムに選択された変換テーブルを取得させ,そして
各入力シンボルをさらに個別に暗号化するために,前記出力シンボルのおのおのについてそれらの対応する第2の変換テーブルを使用して,前記出力シンボルを対応する第2の出力シンボルへ変換させる,
1つまたは複数の命令,を有する請求項19に記載の機械可読媒体。
【請求項24】
暗号解読デバイス上でシンボルを暗号解読するための方法であって,
1組のn個のシンボル内で定義される複数の入力シンボルを得ることと,
暗号解読されるべき前記入力シンボルのおのおのについて,異なるシンボルごとの置換を定義する複数の逆変換テーブルから,擬似ランダムに選択された逆変換テーブルを得ることと,
各入力シンボルを個別に暗号解読するために,前記入力シンボルのおのおのについてそれらの対応する逆変換テーブルを使用して,前記入力シンボルを対応する出力シンボルへ変換することと,
を備え,
ここにおいて,暗号解読されるべき前記入力シンボルのおのおのについて前記擬似ランダムに選択された逆変換テーブルを得ることは,
第1の入力シンボルについての,擬似ランダムに選択された第1の逆変換テーブルを得ることと,
第2の入力シンボルについての,擬似ランダムに選択された第2の逆変換テーブルを得ることと,を含み,
ここにおいて,前記第1の逆変換テーブル及び前記第2の逆変換テーブルは,擬似乱数を使用してシンボルをシャッフルすることにより生成された逆変換テーブルであり,
ここにおいて,前記入力シンボルのおのおのについてそれらの対応する逆変換テーブルを使用して前記入力シンボルを対応する出力シンボルへ変換することは,
前記第1の逆変換テーブルを使用して前記第1の入力シンボルを第1の出力シンボルへ変換することと,
前記第2の逆変換テーブルを使用して前記第2の入力シンボルを第2の出力シンボルへ変換することと,を含む,方法。
【請求項25】
前記複数の入力シンボルは,1組のN個のシンボルによって定義され,但し,Nは正の整数であり,逆変換テーブルは前記N個のシンボルの置換であり,
さらに前記方法は,
暗号解読されるべき第1の入力シンボルについての第1の擬似乱数を得ることと,
前記組のN個のシンボルの異なる置換を得るために前記組のN個のシンボルをシャッフルすること,および前記第1の入力シンボルについての前記逆変換テーブルとしてその置換を使用することと,
をさらに備える,
請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記第1の擬似乱数は,
前記第1の入力シンボルについての擬似乱数を生成することと,なお,前記擬似乱数はkビットの長さであり,kは正の整数である;
前記擬似乱数が最大数Pmaxの範囲内にあるかどうかを決定することと,但し,Pmaxは,最大しきい値2kよりも小さいNの階乗の最大の倍数である;
前記擬似乱数を,もしそれが前記最大数Pmaxよりも大きい場合は,捨てることと;
前記最大数Pmax以下である許容可能な擬似乱数が得られるまで,前記第1の入力シンボルについての異なる擬似乱数を得ることと;
前記第1の擬似乱数を得るために前記許容可能な擬似乱数のモジュロNの階乗を除算することと;
によって得られる,請求項25に記載の方法。
【請求項27】
暗号解読されるべき前記入力シンボルのおのおのについて,異なるシンボルごとの置換を定義する前記複数の逆変換テーブルから,第2の擬似ランダムに選択された逆変換テーブルを得ることと,
各入力シンボルをさらに個別に暗号解読するために,前記出力シンボルのおのおのについてそれらの対応する第2の逆変換テーブルを使用して,前記出力シンボルを対応する第2の出力シンボルへ変換することと,
をさらに備える請求項24に記載の方法。
【請求項28】
1組のn個のシンボル内で定義される複数の入力シンボルを得るための手段と,
暗号解読されるべき前記入力シンボルのおのおのについて,異なるシンボルごとの置換を定義する複数の逆変換テーブルから,擬似ランダムに選択された逆変換テーブルを得るための手段と,
各入力シンボルを個別に暗号解読するために前記入力シンボルのおのおのについてそれらの対応する逆変換テーブルを使用して前記入力シンボルを対応する出力シンボルへと変換するための手段と,
を備え,
第1の入力シンボルについての,擬似ランダムに選択された第1の逆変換テーブルを得るための手段と,
第2の入力シンボルについての,擬似ランダムに選択された第2の逆変換テーブルを得るための手段と,
ここにおいて,前記第1の逆変換テーブル及び前記第2の逆変換テーブルは,擬似乱数を使用してシンボルをシャッフルすることにより生成された逆変換テーブルであり,
前記第1の逆変換テーブルを使用して前記第1の入力シンボルを第1の出力シンボルへ変換するための手段と,
前記第2の逆変換テーブルを使用して前記第2の入力シンボルを第2の出力シンボルへ変換するための手段と,
をさらに備える暗号解読デバイス。
【請求項29】
前記複数の入力シンボルは,1組のN個のシンボルによって定義され,但し,Nは正の整数であり,逆変換テーブルは前記N個のシンボルの置換であり,
前記デバイスはさらに,
暗号解読されるべき第1の入力シンボルについての第1の擬似乱数を得るための手段と,
前記組のN個のシンボルの異なる置換を得るために,前記組のN個のシンボルをシャッフルし,そして前記第1の入力シンボルについての前記逆変換テーブルとしてその置換を使用するための手段と,
を備える,
請求項28に記載のデバイス。
【請求項30】
前記第1の擬似乱数は,
前記第1の入力シンボルについての擬似乱数を生成するための手段と,なお,前記擬似乱数はkビットの長さであり,kは正の整数である;
前記擬似乱数が最大数Pmaxの範囲内にあるかどうかを,決定するための手段と,但し,Pmaxは,最大しきい値2kよりも小さいNの階乗の最大の倍数である;
前記擬似乱数を,もしそれが前記最大数Pmaxよりも大きい場合は,捨てるための手段と;
前記最大数Pmax以下である許容可能な擬似乱数が得られるまで,前記第1の入力シンボルについての異なる擬似乱数を得るための手段と;
前記第1の擬似乱数を得るために前記許容可能な擬似乱数のモジュロNの階乗を除算するための手段と;
によって得られる,
請求項29に記載のデバイス。
【請求項31】
暗号解読されるべき前記入力シンボルのおのおのについて,異なるシンボルごとの置換を定義する前記複数の逆変換テーブルから,第2の擬似ランダムに選択された逆変換テーブルを得るための手段と,
各入力シンボルをさらに個別に暗号解読するために,前記出力シンボルのおのおのについてそれらの対応する第2の逆変換テーブルを使用して,前記出力シンボルを対応する第2の出力シンボルへと変換するための手段と,
をさらに備える請求項28に記載のデバイス。
【請求項32】
入力シンボルストリームを受信するための入力インターフェースと,
前記入力インターフェースに結合された処理回路と,
を備え,
前記処理回路は,
1組のn個のシンボル内で定義される複数の入力シンボルを取得し,
暗号解読されるべき前記入力シンボルのおのおのについて,異なるシンボルごとの置換を定義する複数の逆変換テーブルから,擬似ランダムに選択された逆変換テーブルを取得し,そして
各入力シンボルを個別に暗号解読するために,前記入力シンボルのおのおのについてそれらの対応する逆変換テーブルを使用して,前記入力シンボルを対応する出力シンボルへ変換する,
ように構成されている,
ここにおいて,暗号解読されるべき前記入力シンボルのおのおのについて前記擬似ランダムに選択された逆変換テーブルを取得することは,
第1の入力シンボルについての,擬似ランダムに選択された第1の逆変換テーブルを取得することと,
第2の入力シンボルについての,擬似ランダムに選択された第2の逆変換テーブルを取得することと,を含み,
ここにおいて,前記第1の逆変換テーブル及び前記第2の逆変換テーブルは,擬似乱数を使用してシンボルをシャッフルすることにより生成された逆変換テーブルであり,
ここにおいて,前記入力シンボルのおのおのについてそれらの対応する逆変換テーブルを使用して前記入力シンボルを対応する出力シンボルへ変換することは,
前記第1の逆変換テーブルを使用して前記第1の入力シンボルを第1の出力シンボルへ変換することと,
前記第2の逆変換テーブルを使用して前記第2の入力シンボルを第2の出力シンボルへ変換することと,を含む,暗号解読デバイス。
【請求項33】
前記複数の入力シンボルは,1組のN個のシンボルによって定義され,但し,Nは正の整数であり,逆変換テーブルは前記N個のシンボルの置換であり,
前記デバイスはさらに,
前記処理回路に結合されたキーストリームジェネレータと,なお,前記キーストリームジェネレータは,暗号解読されるべき第1の入力シンボルについて前記キーストリームジェネレータから第1の擬似乱数を取得するように構成されている;
前記処理回路に結合された逆変換テーブルジェネレータと,なお,前記逆変換テーブルジェネレータは,前記組のN個のシンボルの異なる置換を取得するために,前記組のN個のシンボルをシャッフルするように構成され,そして前記第1の入力シンボルについての前記逆変換テーブルとしてその置換を使用する;
を備える請求項32に記載のデバイス。
【請求項34】
前記複数の入力シンボルは,1組のN個のシンボルによって定義され,但し,Nは正の整数であり,逆変換テーブルは前記N個のシンボルの置換であり,
前記処理回路は,さらに,
前記第1の入力シンボルについての擬似乱数を生成し,なお,前記擬似乱数はkビットの長さであり,kは正の整数である;
前記擬似乱数が最大数Pmaxの範囲内にあるかどうかを,決定し,但し,Pmaxは,最大しきい値2kよりも小さいNの階乗の最大の倍数である;
前記擬似乱数を,もしそれが前記最大数Pmaxよりも大きい場合は,捨て;
前記最大数Pmax以下である許容可能な擬似乱数が得られるまで,前記第1の入力シンボルについての異なる擬似乱数を取得し;そして
前記第1の擬似乱数を得るために前記許容可能な擬似乱数のモジュロNの階乗を除算する;
ように構成されている,
請求項32に記載のデバイス。
【請求項35】
前記処理回路は,さらに,
暗号解読されるべき前記入力シンボルのおのおのについて,異なるシンボルごとの置換を定義する前記複数の逆変換テーブルから,第2の擬似ランダムに選択された逆変換テーブルを取得し,そして
各入力シンボルをさらに個別に暗号解読するために,前記出力シンボルのおのおのについてそれらの対応する第2の逆変換テーブルを使用して,前記出力シンボルを対応する第2の出力シンボルへと変換する,
ように構成されている,
請求項32に記載のデバイス。
【請求項36】
プロセッサによって実行されるときに,前記プロセッサに,
1組のn個のシンボル内で定義される複数の入力シンボルを取得させ,
暗号解読されるべき前記入力シンボルのおのおのについて,異なるシンボルごとの置換を定義する複数の逆変換テーブルから,擬似ランダムに選択された逆変換テーブルを取得させ,そして
各入力シンボルを個別に暗号解読するために,前記入力シンボルのおのおのについてそれらの対応する逆変換テーブルを使用して,前記入力シンボルを対応する出力シンボルへと変換させる,
ここにおいて,暗号解読されるべき前記入力シンボルのおのおのについて前記擬似ランダムに選択された逆変換テーブルを取得させることは,
第1の入力シンボルについての,擬似ランダムに選択された第1の逆変換テーブルを取得させることと,
第2の入力シンボルについての,擬似ランダムに選択された第2の逆変換テーブルを取得させることと,を含み,
ここにおいて,前記第1の逆変換テーブル及び前記第2の逆変換テーブルは,擬似乱数を使用してシンボルをシャッフルすることにより生成された逆変換テーブルであり,
ここにおいて,前記入力シンボルのおのおのについてそれらの対応する逆変換テーブルを使用して前記入力シンボルを対応する出力シンボルへ変換させることは,
前記第1の逆変換テーブルを使用して前記第1の入力シンボルを第1の出力シンボルへ変換させることと,
前記第2の逆変換テーブルを使用して前記第2の入力シンボルを第2の出力シンボルへ変換させることと,を含む,
シンボルを暗号解読するための1つまたは複数の命令,を有する機械可読媒体。
【請求項37】
前記複数の入力シンボルは,1組のN個のシンボルによって定義され,但し,Nは正の整数であり,逆変換テーブルは前記N個のシンボルの置換であり,
そして前記機械可読媒体は,
プロセッサによって実行されるときに,前記プロセッサに,さらに,
暗号解読されるべき第1の入力シンボルについての第1の擬似乱数を取得させ,そして前記組のN個のシンボルの異なる置換を取得するために,前記組のN個のシンボルをシャッフルさせ,そして前記第1の入力シンボルについての前記逆変換テーブルとしてその置換を使用させる,
1つまたは複数の命令,をさらに備える,
請求項36に記載の機械可読媒体。
【請求項38】
プロセッサによって実行されるときに,前記プロセッサに,さらに,
暗号解読されるべき前記入力シンボルのおのおのについて,異なるシンボルごとの置換を定義する前記複数の逆変換テーブルから,第2の擬似ランダムに選択された逆変換テーブルを取得させ,そして
各入力シンボルをさらに個別に暗号解読するために,前記出力シンボルのおのおのについてそれらの対応する第2の逆変換テーブルを使用して,前記出力シンボルを対応する第2の出力シンボルへと変換させる,
1つまたは複数の命令,を有する請求項36に記載の機械可読媒体。」(以下,上記引用の請求項各項を,「補正前の請求項」という)は,
「 【請求項1】
暗号化デバイス上で動作する方法であって,
1組のn個のシンボルによって定義される複数の入力シンボルを得ることと,
暗号化されるべき前記入力シンボルのおのおのについて,異なるシンボルごとの置換を定義する複数の変換テーブルから,擬似ランダムに選択された変換テーブルを得ることと,
各入力シンボルを個別に暗号化するために,前記入力シンボルのおのおのについてそれらの対応する変換テーブルを使用して,前記入力シンボルを対応する出力シンボルへ変換することと,を備え,
ここにおいて,暗号化されるべき前記入力シンボルのおのおのについて前記擬似ランダムに選択された変換テーブルを得ることは,
第1の入力シンボルについての,擬似ランダムに選択された第1の変換テーブルを得ることと,
第2の入力シンボルについての,擬似ランダムに選択された第2の変換テーブルを得ることと,を含み,
ここにおいて,前記第1の変換テーブル及び前記第2の変換テーブルは,擬似乱数を使用してシンボルをシャッフルすることにより生成された変換テーブルであり,なお前記組の中のシンボルの数が少ない場合には,前記第1の変換テーブル及び前記第2の変換テーブルは,そのようなシンボルのすべての置換をあらかじめ生成し,そしてそれらの置換から擬似乱数を使用して選択される,
そして,ここにおいて,前記入力シンボルのおのおのについてそれらの対応する変換テーブルを使用して前記入力シンボルを対応する出力シンボルへ変換することは,
前記第1の変換テーブルを使用して前記第1の入力シンボルを第1の出力シンボルへ変換することと,
前記第2の変換テーブルを使用して前記第2の入力シンボルを第2の出力シンボルへ変換することと,を含む,方法。
【請求項2】
前記複数の入力シンボルは,1組のN個のシンボルによって定義される,但し,Nは,正の整数であり,変換テーブルは,前記N個のシンボルの置換である,請求項1に記載の方法。
【請求項3】
暗号化されるべき前記入力シンボルのおのおのについて,前記擬似ランダムに選択された変換テーブルを得ることは,
暗号化されるべき第1の入力シンボルについての第1の擬似乱数を得ることと,
前記組のN個のシンボルの異なる置換を得るために前記組のN個のシンボルをシャッフルすること,および前記第1の入力シンボルについての前記変換テーブルとしてその置換を使用することと,
を含む,
請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記第1の擬似乱数は,
前記第1の入力シンボルについての擬似乱数を生成することと,但し,前記擬似乱数はkビットの長さであり,kは正の整数である;
前記擬似乱数が最大数Pmaxの範囲内にあるかどうかを決定することと,但し,Pmaxは,最大しきい値2kよりも小さいNの階乗の最大の倍数である;
前記擬似乱数を,もしそれが前記最大数Pmaxよりも大きい場合は,捨てることと;
前記最大数Pmax以下である許容可能な擬似乱数が得られるまで,前記第1の入力シンボルについての異なる擬似乱数を得ることと;
前記第1の擬似乱数を得るために前記許容可能な擬似乱数のモジュロNの階乗を除算することと;
によって得られる,
請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記組のN個のシンボルをシャッフルすることは,
前記組のN個のシンボルのうちのすべてのシンボルを用いて置換ベクトルPを初期化することと,
前記第1の擬似乱数に基づいて前記置換ベクトルの中の前記シンボルをシャッフルすることと,
を含む,
請求項3に記載の方法。
【請求項6】
前記出力シンボルを暗号解読デバイスに送信すること,
をさらに備える請求項1に記載の方法。
【請求項7】
暗号化されるべき前記入力シンボルのおのおのについて,異なるシンボルごとの置換を定義する前記複数の変換テーブルから,第2の擬似ランダムに選択された変換テーブルを得ることと,
各入力シンボルをさらに個別に暗号化するために,前記出力シンボルのおのおのについてそれらの対応する第2の変換テーブルを使用して,前記出力シンボルを対応する第2の出力シンボルへ変換することと,
をさらに備える請求項1に記載の方法。
【請求項8】
1組のn個のシンボルによって定義される複数の入力シンボルを得るための手段と,
暗号化されるべき前記入力シンボルのおのおのについて,異なるシンボルごとの置換を定義する複数の変換テーブルから,擬似ランダムに選択された変換テーブルを得るための手段と,
各入力シンボルを個別に暗号化するために,前記入力シンボルのおのおのについてそれらの対応する変換テーブルを使用して,前記入力シンボルを対応する出力シンボルへ変換するための手段と,を備え,
第1の入力シンボルについての,擬似ランダムに選択された第1の変換テーブルを得るための手段と,
第2の入力シンボルについての,擬似ランダムに選択された第2の変換テーブルを得るための手段と,
ここにおいて,前記第1の変換テーブル及び前記第2の変換テーブルは,擬似乱数を使用してシンボルをシャッフルすることにより生成された変換テーブルであり,なお前記組の中のシンボルの数が少ない場合には,前記第1の変換テーブル及び前記第2の変換テーブルは,そのようなシンボルのすべての置換をあらかじめ生成し,そしてそれらの置換から擬似乱数を使用して選択される,
前記第1の変換テーブルを使用して前記第1の入力シンボルを第1の出力シンボルへ変換するための手段と,
前記第2の変換テーブルを使用して前記第2の入力シンボルを第2の出力シンボルへ変換するための手段と,
をさらに備える暗号化デバイス。
【請求項9】
暗号化されるべき第1の入力シンボルについての第1の擬似乱数を得るための手段と,
前記組のN個のシンボルの異なる置換を得るために前記組のN個のシンボルをシャッフルし,そして前記第1の入力シンボルについての前記変換テーブルとしてその置換を使用するための手段と,
をさらに備える請求項8に記載のデバイス。
【請求項10】
前記第1の入力シンボルについての擬似乱数を生成するための手段と,但し,前記擬似乱数はkビットの長さであり,kは正の整数である;
前記擬似乱数が最大数Pmaxの範囲内にあるかどうかを決定するための手段と,但し,Pmaxは,最大しきい値2kよりも小さいNの階乗の最大の倍数である;
前記擬似乱数を,もしそれが前記最大数Pmaxよりも大きい場合は,捨てるための手段と;
前記最大数Pmax以下である許容可能な擬似乱数が得られるまで,前記第1の入力シンボルについての異なる擬似乱数を得るための手段と;
前記第1の擬似乱数を得るために前記許容可能な擬似乱数のモジュロNの階乗を除算するための手段と;
をさらに備える請求項9に記載のデバイス。
【請求項11】
前記出力シンボルを暗号解読デバイスに送信するための手段,
をさらに備える請求項8に記載のデバイス。
【請求項12】
暗号化されるべき前記入力シンボルのおのおのについて,異なるシンボルごとの置換を定義する前記複数の変換テーブルから,第2の擬似ランダムに選択された変換テーブルを得るための手段と,
各入力シンボルをさらに個別に暗号化するために,前記出力シンボルのおのおのについてそれらの対応する第2の変換テーブルを使用して,前記出力シンボルを対応する第2の出力シンボルへ変換するための手段と,
をさらに備える請求項8に記載のデバイス。
【請求項13】
入力シンボルストリームを受信するための入力インターフェースと,
前記入力インターフェースに結合された処理回路と,
を備え,
前記処理回路は,
1組のn個のシンボルによって定義される複数の入力シンボルを前記入力インターフェースから取得し,
暗号化されるべき前記入力シンボルのおのおのについて,異なるシンボルごとの置換を定義する複数の変換テーブルから,擬似ランダムに選択された変換テーブルを取得し,そして
各入力シンボルを個別に暗号化するために,前記入力シンボルのおのおのについてそれらの対応する変換テーブルを使用して,前記入力シンボルを対応する出力シンボルへ変換する,
ように構成されている,
ここにおいて,暗号化されるべき前記入力シンボルのおのおのについて前記擬似ランダムに選択された変換テーブルを取得することは,
第1の入力シンボルについての,擬似ランダムに選択された第1の変換テーブルを取得することと,
第2の入力シンボルについての,擬似ランダムに選択された第2の変換テーブルを取得することと,を含み,
ここにおいて,前記第1の変換テーブル及び前記第2の変換テーブルは,擬似乱数を使用してシンボルをシャッフルすることにより生成された変換テーブルであり,なお前記組の中のシンボルの数が少ない場合には,前記第1の変換テーブル及び前記第2の変換テーブルは,そのようなシンボルのすべての置換をあらかじめ生成し,そしてそれらの置換から擬似乱数を使用して選択される,
ここにおいて,前記入力シンボルのおのおのについてそれらの対応する変換テーブルを使用して前記入力シンボルを対応する出力シンボルへ変換することは,
前記第1の変換テーブルを使用して前記第1の入力シンボルを第1の出力シンボルへ変換することと,
前記第2の変換テーブルを使用して前記第2の入力シンボルを第2の出力シンボルへ変換することと,を含む,暗号化デバイス。
【請求項14】
前記出力シンボルを送信するための,前記処理回路に結合された出力インターフェース,
をさらに備える請求項13に記載のデバイス。
【請求項15】
前記複数の入力シンボルは,1組のN個のシンボルによって定義されている,但し,Nは正の整数であり,変換テーブルは,前記N個のシンボルの置換である,請求項13に記載のデバイス。
【請求項16】
前記処理回路に結合されたキーストリームジェネレータと,なお,前記キーストリームジェネレータは,暗号化されるべき第1の入力シンボルについて前記キーストリームジェネレータから第1の擬似乱数を取得するように構成されている;
前記処理回路に結合された変換テーブルジェネレータと,なお,前記変換テーブルジェネレータは,前記組のN個のシンボルの異なる置換を取得するために,前記組のN個のシンボルをシャッフルするように構成され,そして前記第1の入力シンボルについての前記変換テーブルとしてその置換を使用する;
をさらに備える請求項15に記載のデバイス。
【請求項17】
前記処理回路は,さらに,
前記第1の入力シンボルについての擬似乱数を生成し,なお,前記擬似乱数はkビットの長さであり,kは正の整数である;
前記擬似乱数が最大数Pmaxの範囲内にあるかどうかを決定し,但し,Pmaxは,最大しきい値2kよりも小さいNの階乗の最大の倍数である;
前記擬似乱数を,もしそれが前記最大数Pmaxよりも大きい場合は,捨て;
前記最大数Pmax以下である許容可能な擬似乱数が得られるまで,前記第1の入力シンボルについての異なる擬似乱数を取得し;そして
前記第1の擬似乱数を取得するために前記許容可能な擬似乱数のモジュロNの階乗を除算する;
ように構成されている,
請求項15に記載のデバイス。
【請求項18】
前記処理回路は,さらに,
暗号化されるべき前記入力シンボルのおのおのについて,異なるシンボルごとの置換を定義する前記複数の変換テーブルから,第2の擬似ランダムに選択された変換テーブルを取得し,そして
各入力シンボルをさらに個別に暗号化するために,前記出力シンボルのおのおのについてそれらの対応する第2の変換テーブルを使用して,前記出力シンボルを対応する第2の出力シンボルへ変換する,
ように構成されている,
請求項15に記載のデバイス。
【請求項19】
プロセッサによって実行されるときに,前記プロセッサに,
1組のn個のシンボルによって定義される複数の入力シンボルを取得させ,
暗号化されるべき前記入力シンボルのおのおのについて,異なるシンボルごとの置換を定義する複数の変換テーブルから,擬似ランダムに選択された変換テーブルを取得させ,そして
各入力シンボルを個別に暗号化するために,前記入力シンボルのおのおのについてそれらの対応する変換テーブルを使用して,前記入力シンボルを対応する出力シンボルへ変換させる,
ここにおいて,暗号化されるべき前記入力シンボルのおのおのについて前記擬似ランダムに選択された変換テーブルを取得させることは,
第1の入力シンボルについての,擬似ランダムに選択された第1の変換テーブルを取得させることと,
第2の入力シンボルについての,擬似ランダムに選択された第2の変換テーブルを取得させることと,を含み,
ここにおいて,前記第1の変換テーブル及び前記第2の変換テーブルは,擬似乱数を使用してシンボルをシャッフルすることにより生成された変換テーブルであり,なお前記組の中のシンボルの数が少ない場合には,前記第1の変換テーブル及び前記第2の変換テーブルは,そのようなシンボルのすべての置換をあらかじめ生成し,そしてそれらの置換から擬似乱数を使用して選択される,
ここにおいて,前記入力シンボルのおのおのについてそれらの対応する変換テーブルを使用して前記入力シンボルを対応する出力シンボルへ変換させることは,
前記第1の変換テーブルを使用して前記第1の入力シンボルを第1の出力シンボルへ変換させることと,
前記第2の変換テーブルを使用して前記第2の入力シンボルを第2の出力シンボルへ変換させることと,を含む,
シンボルを暗号化するために動作可能な1つまたは複数の命令,を有する機械可読媒体。
【請求項20】
前記複数の入力シンボルは,1組のN個のシンボルによって定義される,但し,Nは正の整数であり,変換テーブルは,前記N個のシンボルの置換である,請求項19に記載の機械可読媒体。
【請求項21】
プロセッサによって実行されるときに,前記プロセッサに,さらに,
暗号化されるべき第1の入力シンボルについての第1の擬似乱数を取得させ,そして
前記組のN個のシンボルの異なる置換を取得するために,前記組のN個のシンボルをシャッフルさせ,そして前記第1の入力シンボルについての前記変換テーブルとしてその置換を使用させる,
1つまたは複数の命令,を有する請求項20に記載の機械可読媒体。
【請求項22】
プロセッサによって実行されるときに,前記プロセッサに,さらに,
前記第1の入力シンボルについての擬似乱数を生成させ,なお,前記擬似乱数はkビットの長さであり,kは正の整数である;
前記擬似乱数が最大数Pmaxの範囲内にあるかどうかを決定させ,但し,Pmaxは,最大しきい値2kよりも小さいNの階乗の最大の倍数である;
前記擬似乱数を,もしそれが前記最大数Pmaxよりも大きい場合は,捨てさせ,;
前記最大数Pmax以下である許容可能な擬似乱数が得られるまで,前記第1の入力シンボルについての異なる擬似乱数を取得させ;そして
前記第1の擬似乱数を取得するために前記許容可能な擬似乱数のモジュロNの階乗を除算させる,
1つまたは複数の命令,を有する請求項20に記載の機械可読媒体。
【請求項23】
プロセッサによって実行されるときに,前記プロセッサに,さらに,
暗号化されるべき前記入力シンボルのおのおのについて,異なるシンボルごとの置換を定義する前記複数の変換テーブルから,第2の擬似ランダムに選択された変換テーブルを取得させ,そして
各入力シンボルをさらに個別に暗号化するために,前記出力シンボルのおのおのについてそれらの対応する第2の変換テーブルを使用して,前記出力シンボルを対応する第2の出力シンボルへ変換させる,
1つまたは複数の命令,を有する請求項19に記載の機械可読媒体。
【請求項24】
暗号解読デバイス上でシンボルを暗号解読するための方法であって,
1組のn個のシンボル内で定義される複数の入力シンボルを得ることと,
暗号解読されるべき前記入力シンボルのおのおのについて,異なるシンボルごとの置換を定義する複数の逆変換テーブルから,擬似ランダムに選択された逆変換テーブルを得ることと,
各入力シンボルを個別に暗号解読するために,前記入力シンボルのおのおのについてそれらの対応する逆変換テーブルを使用して,前記入力シンボルを対応する出力シンボルへ変換することと,
を備え,
ここにおいて,暗号解読されるべき前記入力シンボルのおのおのについて前記擬似ランダムに選択された逆変換テーブルを得ることは,
第1の入力シンボルについての,擬似ランダムに選択された第1の逆変換テーブルを得ることと,
第2の入力シンボルについての,擬似ランダムに選択された第2の逆変換テーブルを得ることと,を含み,
ここにおいて,前記第1の逆変換テーブル及び前記第2の逆変換テーブルは,擬似乱数を使用してシンボルをシャッフルすることにより生成された逆変換テーブルであり,なお前記組の中のシンボルの数が少ない場合には,前記第1の逆変換テーブル及び前記第2の逆変換テーブルは,そのようなシンボルのすべての置換をあらかじめ生成し,そしてそれらの置換から擬似乱数を使用して選択される,
ここにおいて,前記入力シンボルのおのおのについてそれらの対応する逆変換テーブルを使用して前記入力シンボルを対応する出力シンボルへ変換することは,
前記第1の逆変換テーブルを使用して前記第1の入力シンボルを第1の出力シンボルへ変換することと,
前記第2の逆変換テーブルを使用して前記第2の入力シンボルを第2の出力シンボルへ変換することと,を含む,方法。
【請求項25】
前記複数の入力シンボルは,1組のN個のシンボルによって定義され,但し,Nは正の整数であり,逆変換テーブルは前記N個のシンボルの置換であり,
さらに前記方法は,
暗号解読されるべき第1の入力シンボルについての第1の擬似乱数を得ることと,
前記組のN個のシンボルの異なる置換を得るために前記組のN個のシンボルをシャッフルすること,および前記第1の入力シンボルについての前記逆変換テーブルとしてその置換を使用することと,
をさらに備える,
請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記第1の擬似乱数は,
前記第1の入力シンボルについての擬似乱数を生成することと,なお,前記擬似乱数はkビットの長さであり,kは正の整数である;
前記擬似乱数が最大数Pmaxの範囲内にあるかどうかを決定することと,但し,Pmaxは,最大しきい値2kよりも小さいNの階乗の最大の倍数である;
前記擬似乱数を,もしそれが前記最大数Pmaxよりも大きい場合は,捨てることと;
前記最大数Pmax以下である許容可能な擬似乱数が得られるまで,前記第1の入力シンボルについての異なる擬似乱数を得ることと;
前記第1の擬似乱数を得るために前記許容可能な擬似乱数のモジュロNの階乗を除算することと;
によって得られる,請求項25に記載の方法。
【請求項27】
暗号解読されるべき前記入力シンボルのおのおのについて,異なるシンボルごとの置換を定義する前記複数の逆変換テーブルから,第2の擬似ランダムに選択された逆変換テーブルを得ることと,
各入力シンボルをさらに個別に暗号解読するために,前記出力シンボルのおのおのについてそれらの対応する第2の逆変換テーブルを使用して,前記出力シンボルを対応する第2の出力シンボルへ変換することと,
をさらに備える請求項24に記載の方法。
【請求項28】
1組のn個のシンボル内で定義される複数の入力シンボルを得るための手段と,
暗号解読されるべき前記入力シンボルのおのおのについて,異なるシンボルごとの置換を定義する複数の逆変換テーブルから,擬似ランダムに選択された逆変換テーブルを得るための手段と,
各入力シンボルを個別に暗号解読するために前記入力シンボルのおのおのについてそれらの対応する逆変換テーブルを使用して前記入力シンボルを対応する出力シンボルへと変換するための手段と,
を備え,
第1の入力シンボルについての,擬似ランダムに選択された第1の逆変換テーブルを得るための手段と,
第2の入力シンボルについての,擬似ランダムに選択された第2の逆変換テーブルを得るための手段と,
ここにおいて,前記第1の逆変換テーブル及び前記第2の逆変換テーブルは,擬似乱数を使用してシンボルをシャッフルすることにより生成された逆変換テーブルであり,なお前記組の中のシンボルの数が少ない場合には,前記第1の逆変換テーブル及び前記第2の逆変換テーブルは,そのようなシンボルのすべての置換をあらかじめ生成し,そしてそれらの置換から擬似乱数を使用して選択される,
前記第1の逆変換テーブルを使用して前記第1の入力シンボルを第1の出力シンボルへ変換するための手段と,
前記第2の逆変換テーブルを使用して前記第2の入力シンボルを第2の出力シンボルへ変換するための手段と,
をさらに備える暗号解読デバイス。
【請求項29】
前記複数の入力シンボルは,1組のN個のシンボルによって定義され,但し,Nは正の整数であり,逆変換テーブルは前記N個のシンボルの置換であり,
前記デバイスはさらに,
暗号解読されるべき第1の入力シンボルについての第1の擬似乱数を得るための手段と,
前記組のN個のシンボルの異なる置換を得るために,前記組のN個のシンボルをシャッフルし,そして前記第1の入力シンボルについての前記逆変換テーブルとしてその置換を使用するための手段と,
を備える,
請求項28に記載のデバイス。
【請求項30】
前記第1の擬似乱数は,
前記第1の入力シンボルについての擬似乱数を生成するための手段と,なお,前記擬似乱数はkビットの長さであり,kは正の整数である;
前記擬似乱数が最大数Pmaxの範囲内にあるかどうかを,決定するための手段と,但し,Pmaxは,最大しきい値2kよりも小さいNの階乗の最大の倍数である;
前記擬似乱数を,もしそれが前記最大数Pmaxよりも大きい場合は,捨てるための手段と;
前記最大数Pmax以下である許容可能な擬似乱数が得られるまで,前記第1の入力シンボルについての異なる擬似乱数を得るための手段と;
前記第1の擬似乱数を得るために前記許容可能な擬似乱数のモジュロNの階乗を除算するための手段と;
によって得られる,
請求項29に記載のデバイス。
【請求項31】
暗号解読されるべき前記入力シンボルのおのおのについて,異なるシンボルごとの置換を定義する前記複数の逆変換テーブルから,第2の擬似ランダムに選択された逆変換テーブルを得るための手段と,
各入力シンボルをさらに個別に暗号解読するために,前記出力シンボルのおのおのについてそれらの対応する第2の逆変換テーブルを使用して,前記出力シンボルを対応する第2の出力シンボルへと変換するための手段と,
をさらに備える請求項28に記載のデバイス。
【請求項32】
入力シンボルストリームを受信するための入力インターフェースと,
前記入力インターフェースに結合された処理回路と,
を備え,
前記処理回路は,
1組のn個のシンボル内で定義される複数の入力シンボルを取得し,
暗号解読されるべき前記入力シンボルのおのおのについて,異なるシンボルごとの置換を定義する複数の逆変換テーブルから,擬似ランダムに選択された逆変換テーブルを取得し,そして
各入力シンボルを個別に暗号解読するために,前記入力シンボルのおのおのについてそれらの対応する逆変換テーブルを使用して,前記入力シンボルを対応する出力シンボルへ変換する,
ように構成されている,
ここにおいて,暗号解読されるべき前記入力シンボルのおのおのについて前記擬似ランダムに選択された逆変換テーブルを取得することは,
第1の入力シンボルについての,擬似ランダムに選択された第1の逆変換テーブルを取得することと,
第2の入力シンボルについての,擬似ランダムに選択された第2の逆変換テーブルを取得することと,を含み,
ここにおいて,前記第1の逆変換テーブル及び前記第2の逆変換テーブルは,擬似乱数を使用してシンボルをシャッフルすることにより生成された逆変換テーブルであり,なお前記組の中のシンボルの数が少ない場合には,前記第1の逆変換テーブル及び前記第2の逆変換テーブルは,そのようなシンボルのすべての置換をあらかじめ生成し,そしてそれらの置換から擬似乱数を使用して選択される,
ここにおいて,前記入力シンボルのおのおのについてそれらの対応する逆変換テーブルを使用して前記入力シンボルを対応する出力シンボルへ変換することは,
前記第1の逆変換テーブルを使用して前記第1の入力シンボルを第1の出力シンボルへ変換することと,
前記第2の逆変換テーブルを使用して前記第2の入力シンボルを第2の出力シンボルへ変換することと,を含む,暗号解読デバイス。
【請求項33】
前記複数の入力シンボルは,1組のN個のシンボルによって定義され,但し,Nは正の整数であり,逆変換テーブルは前記N個のシンボルの置換であり,
前記デバイスはさらに,
前記処理回路に結合されたキーストリームジェネレータと,なお,前記キーストリームジェネレータは,暗号解読されるべき第1の入力シンボルについて前記キーストリームジェネレータから第1の擬似乱数を取得するように構成されている;
前記処理回路に結合された逆変換テーブルジェネレータと,なお,前記逆変換テーブルジェネレータは,前記組のN個のシンボルの異なる置換を取得するために,前記組のN個のシンボルをシャッフルするように構成され,そして前記第1の入力シンボルについての前記逆変換テーブルとしてその置換を使用する;
を備える請求項32に記載のデバイス。
【請求項34】
前記複数の入力シンボルは,1組のN個のシンボルによって定義され,但し,Nは正の整数であり,逆変換テーブルは前記N個のシンボルの置換であり,
前記処理回路は,さらに,
前記第1の入力シンボルについての擬似乱数を生成し,なお,前記擬似乱数はkビットの長さであり,kは正の整数である;
前記擬似乱数が最大数Pmaxの範囲内にあるかどうかを,決定し,但し,Pmaxは,最大しきい値2kよりも小さいNの階乗の最大の倍数である;
前記擬似乱数を,もしそれが前記最大数Pmaxよりも大きい場合は,捨て;
前記最大数Pmax以下である許容可能な擬似乱数が得られるまで,前記第1の入力シンボルについての異なる擬似乱数を取得し;そして
前記第1の擬似乱数を得るために前記許容可能な擬似乱数のモジュロNの階乗を除算する;
ように構成されている,
請求項32に記載のデバイス。
【請求項35】
前記処理回路は,さらに,
暗号解読されるべき前記入力シンボルのおのおのについて,異なるシンボルごとの置換を定義する前記複数の逆変換テーブルから,第2の擬似ランダムに選択された逆変換テーブルを取得し,そして
各入力シンボルをさらに個別に暗号解読するために,前記出力シンボルのおのおのについてそれらの対応する第2の逆変換テーブルを使用して,前記出力シンボルを対応する第2の出力シンボルへと変換する,
ように構成されている,
請求項32に記載のデバイス。
【請求項36】
プロセッサによって実行されるときに,前記プロセッサに,
1組のn個のシンボル内で定義される複数の入力シンボルを取得させ,
暗号解読されるべき前記入力シンボルのおのおのについて,異なるシンボルごとの置換を定義する複数の逆変換テーブルから,擬似ランダムに選択された逆変換テーブルを取得させ,そして
各入力シンボルを個別に暗号解読するために,前記入力シンボルのおのおのについてそれらの対応する逆変換テーブルを使用して,前記入力シンボルを対応する出力シンボルへと変換させる,
ここにおいて,暗号解読されるべき前記入力シンボルのおのおのについて前記擬似ランダムに選択された逆変換テーブルを取得させることは,
第1の入力シンボルについての,擬似ランダムに選択された第1の逆変換テーブルを取得させることと,
第2の入力シンボルについての,擬似ランダムに選択された第2の逆変換テーブルを取得させることと,を含み,
ここにおいて,前記第1の逆変換テーブル及び前記第2の逆変換テーブルは,擬似乱数を使用してシンボルをシャッフルすることにより生成された逆変換テーブルであり,なお前記組の中のシンボルの数が少ない場合には,前記第1の逆変換テーブル及び前記第2の逆変換テーブルは,そのようなシンボルのすべての置換をあらかじめ生成し,そしてそれらの置換から擬似乱数を使用して選択される,
ここにおいて,前記入力シンボルのおのおのについてそれらの対応する逆変換テーブルを使用して前記入力シンボルを対応する出力シンボルへ変換させることは,
前記第1の逆変換テーブルを使用して前記第1の入力シンボルを第1の出力シンボルへ変換させることと,
前記第2の逆変換テーブルを使用して前記第2の入力シンボルを第2の出力シンボルへ変換させることと,を含む,
シンボルを暗号解読するための1つまたは複数の命令,を有する機械可読媒体。
【請求項37】
前記複数の入力シンボルは,1組のN個のシンボルによって定義され,但し,Nは正の整数であり,逆変換テーブルは前記N個のシンボルの置換であり,
そして前記機械可読媒体は,
プロセッサによって実行されるときに,前記プロセッサに,さらに,
暗号解読されるべき第1の入力シンボルについての第1の擬似乱数を取得させ,そして 前記組のN個のシンボルの異なる置換を取得するために,前記組のN個のシンボルをシャッフルさせ,そして前記第1の入力シンボルについての前記逆変換テーブルとしてその置換を使用させる,
1つまたは複数の命令,をさらに備える,
請求項36に記載の機械可読媒体。
【請求項38】
プロセッサによって実行されるときに,前記プロセッサに,さらに,
暗号解読されるべき前記入力シンボルのおのおのについて,異なるシンボルごとの置換を定義する前記複数の逆変換テーブルから,第2の擬似ランダムに選択された逆変換テーブルを取得させ,そして
各入力シンボルをさらに個別に暗号解読するために,前記出力シンボルのおのおのについてそれらの対応する第2の逆変換テーブルを使用して,前記出力シンボルを対応する第2の出力シンボルへと変換させる,
1つまたは複数の命令,を有する請求項36に記載の機械可読媒体。
」(以下,上記引用の請求項各項を,「補正後の請求項」という)に補正された。

2.補正の適否
(1)目的要件
ア.目的要件についての当審の判断
本件手続補正における補正内容は,平成21年8月7日付けで提出された,特許法第184条の4第1項の規定による明細書,請求の範囲,及び,図面(図面の中の説明に限る)の日本語による翻訳文(以下,これを「当初明細書等」という)の内の,明細書の段落【0082】に記載された内容に基づくものであるから,当初明細書等の記載の範囲内でなされたものであって,特許法第184条の12第2項により読み替える同法第17条の2第3項の規定を満たすものである。
そこで,本件手続補正が,特許法第17条の2第5項の規定を満たすものであるか否か,即ち,本件手続補正が,特許法第17条の2第5項に規定する請求項の削除,特許請求の範囲の減縮(特許法第36条第5項の規定により請求項に記載した発明を特定するために必要な事項を限定するものであって,その補正前の当該請求項に記載された発明とその補正後の当該請求項に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるものに限る),誤記の訂正,或いは,明りょうでない記載の釈明(拒絶理由通知に係る拒絶の理由に示す事項についてするものに限る)の何れかを目的としたものであるかについて,以下に検討する。

本件手続補正によって,補正前の請求項1,請求項8,請求項13に記載された,
「複数の入力シンボルを得ることと」が,
「1組のn個のシンボルによって定義される複数の入力シンボルを得ることと」に補正され(以下,これを「補正事項1」という),
補正前の請求項19に記載された,
「複数の入力シンボルを取得させ」が,
「1組のn個のシンボルによって定義される複数の入力シンボルを取得させ」に補正され(以下,これを「補正事項2」という),
更に,補正前の請求項1,請求項8,請求項13,請求項19,請求項24,請求項28,及び,請求項32,並びに,請求項36に,
「なお前記組の中のシンボルの数が少ない場合には,前記第1の逆変換テーブル及び前記第2の逆変換テーブルは,そのようなシンボルのすべての置換をあらかじめ生成し,そしてそれらの置換から擬似乱数を使用して選択される」,
という構成が附加された(以下,これを「補正事項3」という)。

上記補正事項1,及び,補正事項2は,補正前の請求項に記載された発明特定事項である「複数の入力シンボル」を限定するものであることは明らかであるから,以下においては,補正事項3についての適否について検討する。

補正事項3は,上記引用の補正前の請求項各項に記載された,
「前記第1の変換テーブル及び前記第2の変換テーブルは,疑似乱数を使用してシンボルをシャッフルすることにより生成された変換テーブル」(以下,これを「引用記載」といい,該引用記載中の「変換テーブル」を,「補正前の変換テーブル」という),
に加えて,補正事項3,即ち,「組の中のシンボルの数が少ない場合には,前記第1の変換テーブル及び前記第2の変換テーブルは,そのようなシンボルのすべての置換をあたらめて生成し,そしてそれらの置換から疑似乱数を使用して選択される」,
という構成を導入するものである。
そこで,補正事項3が,補正前の変換テーブルを限定的に減縮するものである否かを,以下において検討する。
補正前の変換テーブルとは,引用記載の内容から,“複数あるシンボルを,疑似乱数を用いて,シャッフルすることで生成される”ものであるから,引用記載の内容は,“変換テーブルの生成方法”と言い得るものであり,ここにおいて,「疑似乱数」は,「シンボル」をシャッフルして,その結果を「変換テーブル」とするために用いられるものである。
一方,補正事項3においては,「変換テーブル」は,全て,予め生成されており,「疑似乱数」は,予め生成されている「変換テーブル」を選択するために用いられるものであって,補正事項3の内容は,“生成済みの変換テーブルの選択方法”と言い得るものである。
即ち,補正事項3は,上記引用の補正前の請求項各項の発明特定事項である,上記指摘の“変換テーブルの生成方法”に加えて,「組の中のシンボルの数が少ない」という条件が成立した場合に,前記“変換テーブルの生成方法”を,“生成済みの変換テーブルの選択方法”に置き換えるという,新たな態様を附加するものであって,前記“変換テーブルの生成方法”と,前記“生成済み変換テーブルの選択方法”とでは,“疑似乱数”の使い方も異なっているので,補正事項3は,上記引用の補正前の請求項各項の発明特定事項である,前記“変換テーブルの生成方法”を限定的に減縮するものでないことは明らかである。
また,本件手続補正によって,請求項の数に異同はなく,補正事項3が,拒絶理由において指摘された事項を明りょうにすること,或いは,誤記の訂正を目的とするものでないことも明らかである。

以上検討したとおりであるから,本件手続補正は,特許法第17条の2第5項に規定する請求項の削除,特許請求の範囲の減縮(特許法第36条第5項の規定により請求項に記載した発明を特定するために必要な事項を限定するものであって,その補正前の当該請求項に記載された発明とその補正後の当該請求項に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるものに限る),誤記の訂正,或いは,明りょうでない記載の釈明(拒絶理由通知に係る拒絶の理由に示す事項についてするものに限る)の何れかを目的としたものであるとは認められない。

イ.目的要件むすび
したがって,本件手続補正は,特許法第17条の2第5項の規定に違反するので,同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

(2)独立特許要件
上記「(1)目的要件」において検討したとおり,本件手続補正は特許法第17条の2第5項の規定に違反するので,同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものであるが,
仮に,本件手続補正が,目的要件を満たすものであるとして,本件手続補正が,特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定を満たすものであるか否か,即ち,補正後の請求項に記載されている事項により特定される発明が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか否か,以下に検討する。

ア.補正後の請求項1に記載の発明
補正後の請求項1に記載の発明(以下,これを「本件補正発明」という)は,上記「1.補正の内容」において,補正後の請求項1として引用した記載により特定されるものである。

イ.引用刊行物に記載の発明
一方,原審が平成24年1月27日付けの拒絶理由(以下,これを「原審拒絶理由」という)において引用した,本願の第1国出願前に既に公知である,「加藤正隆,基礎暗号学I,株式会社サイエンス社,1989年9月25日,p.12-16, 28-34, 130-138」(以下,これを「引用刊行物1」という)には,関連する図面と共に次の事項が記載されている。

A.「(5) 一般形式暗号の基本形式
一般形式暗号についてはこれから詳述するわけであるが,その基本となる形式について簡単に述べておく.
基本形式としては換字式と転置式と分置式であるが,分置式は通信文が著しく長くなるので殆ど実用されない.
換字式は前記で振り仮名したように専門用語としては「かえじ」と読むことにしている.これは我が国語で漢字を使用するので区別するためである.
換字式とは文字または語句等を他の文字(群)または記号(群)に置き換えるもので,そのもとの字(語等)を原語,換えられた字(群)を暗語という.この原語と暗語の対応を秘匿することによって暗号文の秘密が保たれる.英語ではSubstitutionという.」(12頁6行?17行,下線は,当審にて,説明の都合上附加したものである。以下,同じ。)

B.「2.原語成分
(1) 暗号化と原語及び符号について
平文を暗号文に変えることを一般用語として暗号化といい,暗号化のための作業を組立という.組立のための平文を文字,文字群,語等の単位に区切って換字,転置または分置を行う.この1単位を原語ということについては既に述べたところである.」(14頁1行?6行)

C.「第2章 単一形式換字暗号
1.概説
(1) 原語成分による分類
現在実用されている暗号の大部分は,換字暗号または換字を主体とする暗号である.各種換字暗号の基本形式が単一形式換字暗号で複雑形式換字暗号はすべてその応用である.この形式の暗号は,単一の換字表を用いて一度の換字作業で暗号化する暗号を総称するものである.当然のことながら翻訳作業も翻訳用の換字表を用いて,一度の換字作業によって完了するものである.
この形式は原語成分の分け方によって3つに大別する.原語成分が単文字の場合,文字換字暗号という.」(28頁1行?11行)

D.「(4) 完全不規則式
原語に対する暗語が全部不規則な配当となっているものを完全不規則式という.これは通常,原語に対して暗語の1語ごとのカードを作り,乱雑に混合して1つ宛取り出して配当する等の方法で作られる.文字換字暗号の1表としては,この方式のものが最も強度が強い.
文字換字暗号の暗語は原語成分と同じ成分でなければならないとは限らない.アルファベット26文字,アイウエオ48文字(濁点の代わりにヰ,半濁点の代わりにヱを使うことによって文字だけで文章が作れる)等,最も基本的な文字だけを原語成分として,これに1対1の暗語を対応させる換字を特に単一文字換字暗号(英語でSimple Substitutionまたはmonoalphabet)という.」(34頁3行?13行)

E.「4. 多表式暗号概説
(1) 表の種類
1通の暗号文を作るとき2つ以上の単一形式換字暗号表を用いて,規則に従って表を変えながら換字を行う形式を総称して多表式暗号という.ただし辞書式暗号で付録暗号を併用する場合等のように暗号文の大部分が1つの暗号表で換字されていて,ごくわずかの部分が別の暗号表で換字されている暗号は多表式とはいわない.また多くの換字暗号表を準備しているが,1通ごとに表を変えて暗号化する暗号もあるが,これを多表式暗号とはいわない.1通の中で1語ないし十数語で換字表を変えることによって,暗号文中の諸特徴を少なくして暗号強度を増加するように考慮した形式を多表式暗号というのである.
多表式暗号に用いる暗号表は単一文字換字の形をとるものが最も広く用いられる.」(130頁15行?131頁1行)

F.「(3) 変表の要領
ア. 使用する表の順序
使用する表の順序は順変と乱変とに分かれる.
順変とは,準備された表または次々に作り出される表を定められた順序に使用することで,表番号の小さい方から大きい方へ使用するものを正順,表番号の大きい方から小さい方へ使用するものを逆順という.また1日ごとに時として1通ごとに表を差し換えて順序をかえることがあるが,1通を組立てるとき頁順に表を使用するものは順変である.
乱変とは,使用する表の番号を指定する鍵(一般に鍵語または乱字を用いる)等によって,準備された表の順序と無関係にランダムに表を使用することである.」(134頁11行?21行)

G.「イ. 原語成分の語数区分
変表を行う語数区分については定変と不定変とがある.
定変とは原語の一定語数を暗号化したら次の表に移ることをいう.その語数は一般に1?数語で,1語ごとに変表するものが最も多い.」(134頁28行?135頁2行)

H.「多表式暗号は変表の要領によって定変順変多表式,定変乱変多表式,不定変順変多表式及び不定変乱変多表式に区分される.」(136頁2行?3行)

(ア)上記Eの「1通の暗号文を作るとき2つ以上の単一形式換字暗号表を用いて,規則に従って表を変えながら換字を行う形式を総称して多表式暗号という」という記載から,引用刊行物1においては,
“1通の暗号文を作る場合に,2つ以上の暗号表を用いて,該暗号表を,規則に従って変えながら,換字を行う”ものであることが読み取れ,
同じく上記Eの「1通の中で1語ないし十数語で換字表を変えることによって,暗号文中の諸特徴を少なくして暗号強度を増加するように考慮した形式を多表式暗号というのである」という記載,同じく上記Eの「多表式暗号に用いる暗号表は単一文字換字の形をとるものが最も広く用いられる」という記載から,引用刊行物1においては,
“暗号文の生成において,1通の暗号文の作成は,原語の1文字ずつについて,暗号表を用いて換字を行うものである”ことが読み取れ,
上記Fの「乱変とは,使用する表の番号を指定する鍵(一般に鍵語または乱字を用いる)等によって,準備された表の順序と無関係にランダムに表を使用することである」という記載と,上記で検討した事項から,引用刊行物1においては,
“暗号表を変える規則は,乱字,即ち,乱数によって,暗号表をランダムに変える”ものであることが読み取れ,
加えて,上記引用の上記Fの「準備された表」という記載から,引用刊行物1においては,
“暗号表が予め準備されている”態様を含むことは明らかである。
更に,上記Gの「定変とは原語の一定語数を暗号化したら次の表に移ることをいう.その語数は一般に1?数語で,1語ごとに変表するものが最も多い」という記載から,引用刊行物1においては,
“暗号表は,原語の1語毎に変えられる”ものであることが読み取れる。
よって,上記指摘のE,F,及び,Gに記載された内容から,引用刊行物1には,次の事項が記載されていることが読み取れる。
“1通の暗号文を作る場合に,原語の1文字ずつについて,2つ以上の暗号表を用いて,前記暗号表を,前記原語の1語毎に乱数によってランダムに変える”
また,上記で指摘した,“暗号表が予め準備されている”態様を含むことから,引用刊行物1においては,
“予め準備されている複数暗号表を,乱数によってランダムに変える”態様が含まれることも明らかである。

(イ)上記Aの「換字式とは文字または語句等を他の文字(群)または記号(群)に置き換えるもので,そのもとの字(語等)を原語,換えられた字(群)を暗語という.この原語と暗語の対応を秘匿することによって暗号文の秘密が保たれる」という記載,上記Bの「暗号化のための作業を組立という.組立のための平文を文字,文字群,語等の単位に区切って換字,転置または分置を行う」という記載,上記Cの「原語成分が単文字の場合,文字換字暗号という」という記載,及び,上記(ア)においても引用した,上記Eの「1通の暗号文を作るとき2つ以上の単一形式換字暗号表を用いて,規則に従って表を変えながら換字を行う形式を総称して多表式暗号という」という記載と,上記(ア)において検討した事項から,引用刊行物1においては,
“原語の1文字ずつについて,変えられた暗号表を用いて,換字を行う”ことが読み取れる。

(ウ)上記Dの「文字換字暗号の暗語は原語成分と同じ成分でなければならないとは限らない」という記載から,引用刊行物1には,
“通常は,暗語の成分と,原語の成分とが同じである”ことが記載されていると読み取れ,
同じく上記Dの「アルファベット26文字,アイウエオ48文字(濁点の代わりにヰ,半濁点の代わりにヱを使うことによって文字だけで文章が作れる)等,最も基本的な文字だけを原語成分として,これに1対1の暗語を対応させる換字を特に単一文字換字暗号」という記載と,上記において検討した事項から,引用刊行物1には,
“アルファベット26文字,或いは,アイウエオ48文字等の最も基本的な文字を原語成分とし,該原語成分と同じ成分の暗語を1対1に対応される単一換字暗号方法”が記載されていると読み取れる。

(エ)上記Dの「原語に対して暗語の1語ごとのカードを作り,乱雑に混合して1つ宛取り出して配当する等の方法で作られる.文字換字暗号の1表としては,この方式のものが最も強度が強い」という記載において,「乱雑に混合して1つ宛取り出して配当する」とは,“(暗語を)ランダムに選択して,「原語」に割り当てる”ことを意味することは明らかであるから,上記(ウ)において検討した事項を踏まえると,引用刊行物1には,
“原語成分と同じ成分からなる暗語を,ランダムに選択して,前記原語に1対1に割り当てた表を作成する単一換字暗号方法”が記載されていることが読み取れる。

(オ)上記(ア)において引用した,上記Fの「乱変とは,使用する表の番号を指定する鍵(一般に鍵語または乱字を用いる)等によって,準備された表の順序と無関係にランダムに表を使用することである」という記載と,上記Gの「定変とは原語の一定語数を暗号化したら次の表に移ることをいう.その語数は一般に1?数語で,1語ごとに変表するものが最も多い」という記載,及び,上記Hの「定変乱変多表式」という記載,並びに,上記(エ)において検討した事項から,引用刊行物1には,
“原語成分と同じ成分からなる暗語を,ランダムに選択して,前記原語に1対1に割り当てた表を作成する定変乱変多表式単一換字暗号方法”が記載されていることが読み取れる。
そして,上記Bの「この1単位を原語という」という記載と,上記(ウ)においても引用した,上記Dの「「アルファベット26文字,アイウエオ48文字(濁点の代わりにヰ,半濁点の代わりにヱを使うことによって文字だけで文章が作れる)等,最も基本的な文字だけを原語成分」という記載から,引用刊行物1においては,
“原語成分は,原語を構成する要素が,どのようなものであるかを示す情報”であることは明らかである。

以上(ア)?(オ)において検討した事項から,引用刊行物1には,次の発明(以下,これを「引用発明」という)が記載されているものと認める。

“原語において,アルファベット26文字,或いは,アイウエオ48文字等の最も基本的な文字を原語成分とし,
前記原語のそれぞれについて,2つ以上の暗号表を用いて,前記暗号表を,前記原語の1語毎に乱数によってランダムに変えることと,
原語の1文字ずつについて,変えられた前記暗号表を用いて,換字を行うことと,を備え,
前記暗号表は,原語成分と同じ成分からなる暗語を,ランダムに選択して,前記原語に1対1に割り当てて作成するものであり,
前記暗号表を変えることは,予め準備されている複数の前記暗号表を,乱数によってランダムに変えることを含む,定変乱変多表式単一換字暗号方法”

ウ.本件補正発明と引用発明との対比
(ア)引用発明における「原語成分」は,「アルファベット26文字,或いは,アイウエオ48文字等の最も基本的な文字」と定義されているものであり,「アルファベット26文字」,或いは,「アイウエオ48文字」等は「シンボル」と言い得るものであって,引用発明において,「?最も基本的な文字を原語成分と」することは,そのような「原語成分」を得ることに他ならないので,引用発明における「原語成分」から成る「原語」が,本件補正発明における「入力シンボル」に相当し,よって,
引用発明における「アルファベット26文字,或いは,アイウエオ48文字等の最も基本的な文字を原語成分とし」が,
本件補正発明における「1組のn個のシンボルによって定義される複数の入力シンボルを得ること」に相当する。

(イ)引用発明における「暗号表」は,引用発明において,「原語」を,「暗語」に変えるために用いられる「表」であるから,本件補正発明における「変換テーブル」に相当し,
引用発明においては,「原語のそれぞれについて,2つ以上の暗号表を用いて,前記暗号表を,前記原語の1語毎に乱数によってランダムに変える」のであるから,即ち,“原語の1語毎に,2つ以上の暗号表を,乱数を用いてランダムに選択する”ものであって,引用発明における「原語の1語毎」,「2つ以上暗号表」が,それぞれ,本件補正発明における「異なるシンボルごと」,「複数の変換テーブル」に相当し,
よって,引用発明における「原語のそれぞれについて,2つ以上の暗号表を用いて,前記暗号表を,前記原語の1語毎に乱数によってランダムに変えること」が,
本件補正発明における「暗号化されるべき前記入力シンボルのおのおのについて,異なるシンボルごとの置換を定義する複数の変換テーブルから,擬似ランダムに選択された変換テーブルを得ること」に相当する。

(ウ)引用発明における「換字」は,「原語」を「暗語」に「変える」こと,即ち,「変換」であり,そして,引用発明においては,「換字」が,「原語成分」から「暗語」への「暗号化」であることは明らかである。
加えて,引用発明における「暗語」は,「換字」による「暗号化」の結果,即ち,「出力」と言い得るものであるから,本件補正発明における「出力シンボル」に相当する。
よって,引用発明における「原語の1文字ずつについて,変えられた前記暗号表を用いて,換字を行うこと」が,
本件補正発明における「各入力シンボルを個別に暗号化するために,前記入力シンボルのおのおのについてそれらの対応する変換テーブルを使用して,前記入力シンボルを対応する出力シンボルへ変換すること」に相当する。

(エ)引用発明において,「暗号表は,原語成分と同じ成分からなる暗語を,ランダムに選択して,前記原語に1対1に割り当てて作成するもの」であるから,「原語」を1つ選択すると,最初に選んだ「原語」に対応付けるための「暗語」を,「原語成分」から,ランダムに1つ選択するものであって,“ランダムを実現するために,乱数,疑似乱数を用いること”は,当該技術分野にあっては周知の技術事項に過ぎないので,
引用発明における「原語成分と同じ成分からなる暗語を,ランダムに選択」することは,
本件補正発明における「疑似乱数を使用してシンボルをシャッフルする」ことに相当し,
よって,引用発明における「暗号表は,原語成分と同じ成分からなる暗語を,ランダムに選択して,前記原語に1対1に割り当てて作成するものであ」ることと,
本件補正発明における「前記第1の変換テーブル及び前記第2の変換テーブルは,擬似乱数を使用してシンボルをシャッフルすることにより生成された変換テーブルであ」ることとは,
“変換テーブルは,疑似乱数を使用してシンボルをシャッフルすることにより生成された変換テーブルである”点で共通する。

(オ)引用発明は,「暗号表を変えることは,予め準備されている複数の前記暗号表を,乱数によってランダムに変えることを含」んでおり,これは,「暗号表」を予め複数準備しておき,該“予め準備されている複数の暗号表”から,「乱数」を用いて,「ランダム」に選択して変更するというものであるから,
引用発明における「暗号表を変えることは,予め準備されている複数の前記暗号表を,乱数によってランダムに変えること」と,
本件補正発明における「前記組の中のシンボルの数が少ない場合には,前記第1の変換テーブル及び前記第2の変換テーブルは,そのようなシンボルのすべての置換をあらかじめ生成し,そしてそれらの置換から擬似乱数を使用して選択される」こととは,
“変換テーブルは,予め準備されている変換テーブルから,疑似乱数を使用して選択される”点で共通する。

以上(ア)?(オ)において検討した事項から,本件補正発明と,引用発明との,一致点,及び,相違点は,次のとおりである。

[一致点]
1組のn個のシンボルによって定義される複数の入力シンボルを得ることと,
暗号化されるべき前記入力シンボルのおのおのについて,異なるシンボルごとの置換を定義する複数の変換テーブルから,擬似ランダムに選択された変換テーブルを得ることと,
各入力シンボルを個別に暗号化するために,前記入力シンボルのおのおのについてそれらの対応する変換テーブルを使用して,前記入力シンボルを対応する出力シンボルへ変換することと,を備え,
前記変換テーブルは,疑似乱数を使用してシンボルをシャッフルすることにより生成された変換テーブルであり,
前記変換テーブルは,予め準備されている変換テーブルから,疑似乱数を使用して選択されることと,を含む方法。

[相違点1]
“方法”に関して,
本件補正発明において,“方法”は,「暗号デバイス上で動作する方法」であるのに対して,
引用発明における“方法”が,「暗号デバイス上で動作する」か否かについては,特に言及されていない点。

[相違点2]
“選択された変換テーブルを得ること”に関して,
本件補正発明においては,「第1の入力シンボルについての,擬似ランダムに選択された第1の変換テーブルを得ることと,第2の入力シンボルについての,擬似ランダムに選択された第2の変換テーブルを得ることと,を含」むものであるのに対して,
引用発明においては,「第2の入力シンボルについての,擬似ランダムに選択された第2の変換テーブルを得ること」に相当する処理に関しては,特に,言及されていない点。

[相違点3]
“変換テーブルは,予め準備されている変換テーブルから,疑似乱数を使用して選択されること”に関して,
本件補正発明においては,「組の中のシンボルの数が少ない場合には,前記第1の変換テーブル及び前記第2の変換テーブルは,そのようなシンボルのすべての置換をあらかじめ生成し,そしてそれらの置換から擬似乱数を使用して選択される」ものであるのに対して,
引用発明においては,「暗号表を変えることは,予め準備されている複数の前記暗号表を,乱数によってランダムに変えること」が,「原語成分」の“要素数”に依存する点については,特に,言及されていない点。

[相違点4]
“入力シンボルを対応する出力シンボルへ変換すること”に関して,
本件補正発明においては,「前記第1の変換テーブルを使用して前記第1の入力シンボルを第1の出力シンボルへ変換することと,前記第2の変換テーブルを使用して前記第2の入力シンボルを第2の出力シンボルへ変換することと,を含む」ものであるのに対して,
引用発明においては,“第2の変換テーブルを使用して第2の入力シンボルを第2の出力シンボルへ変換すること”に相当する処理に関しては,特に,言及されていない点。

エ.相違点についての当審の判断
(ア)[相違点1]について
暗号化すべき平文を,暗号化テーブルを用いて暗号化する暗号方法を,「デバイス」,即ち,“装置”上で実行する点については,例えば,原審拒絶理由に引用された,本願の第1国出願前に既に公知である,特開平09-114373号公報(1997年5月2日公開,以下,これを「引用刊行物2」という)に,

I.「【0007】キーボードから入力された被暗号化データは一旦被暗号化データバッファに格納される。暗号化処理プログラムは例えば乱数表を用いて暗号化キー番号を決定し,決定された暗号化キー番号に対応する暗号化変換テーブルを選択し,選択した暗号化変換テーブルを参照してデータの基本単位毎に被暗号化データを暗号化して暗号化データファイルに格納してゆく。又,暗号化キー番号は暗号化キー番号バッファに格納する。そして,被暗号化データの全てについて暗号化が終了すると,暗号化データファイルの内容と暗号化キー番号バッファの内容を入出力制御装置13を介してサーバーに送信する。図示されていないサーバーの中央制御装置は,入出力制御装置21を介して受信した暗号化データを磁気ディスクメモリ中の暗号化データファイルに格納し,同様に受信した暗号化キー番号を暗号化キー番号ファイルに格納する。」

と記載されてもいるように,本願の第1国出願前に,当業者には広く知られた技術事項であり,上記Iの記載中の「被暗号化データ」を構成するそれぞれの要素が,引用発明における「原語」に相当することは明らかであるから,引用発明においても,引用発明における「定変乱変多表式単一換字暗号方法」を,“装置”,即ち,「デバイス」上で動作するよう構成することは,当業者が適宜なし得る事項である。
よって,相違点1は,格別のものではない。

(イ)[相違点2],及び,[相違点4]について
本件補正発明における「第1の入力シンボル」,及び,「第2の入力シンボル」の相互の関係については,本件補正発明において,格別の定義はなされていないので,本件補正発明における「1組のn個のシンボルによって定義される複数の入力シンボル」に含まれるものであって,1番目に選んだものを「第1の入力シンボル」,次に選んだものを「第2の入力シンボル」とする,或いは,単に,「n個のシンボル」中の任意の1つを「第1の入力シンボル」,「n個のシンボル」の内の「第1の入力シンボル」以外の任意の1つを,「第2の入力シンボル」とするという態様を含むものであることは明らかである。
したがって,本件補正発明において,
「第1の入力シンボルについての,擬似ランダムに選択された第1の変換テーブルを得ることと,第2の入力シンボルについての,擬似ランダムに選択された第2の変換テーブルを得ること」とは,
“n個のシンボルの内の2つについて,それぞれ,疑似ランダムに選択された変換テーブルを得る”という態様を含むものである。
そして,本件補正発明において,
「第1の変換テーブルを使用して前記第1の入力シンボルを第1の出力シンボルへ変換することと,前記第2の変換テーブルを使用して前記第2の入力シンボルを第2の出力シンボルへ変換すること」とは,
“2つの入力シンボルについて,前記2つの入力シンボルのそれぞれに対応する変換テーブルを使用して,前記2つの入力シンボルを,それぞれ,出力シンボルに変換する”という態様を含むものである。
一方,引用発明においても,「原語成分」は,アルファベット26文字,或いは,アウイエオ48文字等,複数の「基本的な文字」から構成されており,「原語成分」のそれぞれについて,「暗号表は,原語成分と同じ成分からなる暗語を,ランダムに選択して,前記原語成分に1対1に割り当てて作成する」のであるから,「原語成分」内の任意の2つのそれぞれについて,「暗号表」を作成しており,また,「原語」,それぞれに対応した「暗号表」を用いて,「原語成分」を,「暗語」に変換するものであるから,
引用発明においても,“複数の「基本的な文字」から構成される「原語成分」”の中の,任意の1つの「原語」に対して「暗号表」作成し,更に,他の任意の1つの「原語」に対して「暗号表」を作成する処理を行うこと,即ち,
“複数の基本的な文字から構成される原語成分の,第1の原語に対して,暗語をランダムに選択して,第1の暗号表を作成し,第2の原語に対して,暗語をランダムに選択して,第2の暗号表を作成する”という態様を含むことは明らかであり,
更に,引用発明において,“第1の原語に対して,第1の暗号表を用いて換字を行うことと,第2の原語に対して,第2の暗号表を用いて換字を行う”という態様を含むことも明らかである。
以上のとおりであるから,引用発明においも,明文の記載はないものの,本件補正発明と同様に,
“第1の入力シンボルと,第2の入力シンボルに対して,それぞれ,変換テーブルを作成し,第1の入力シンボル,第2の入力シンボルのそれぞれに対応する,変換テーブルの使用して,出力シンボルへ変換する”という態様を含み得るものである。
よって,相違点2,及び,相違点4は,格別のものではない。

(ウ)[相違点3]について
シンボル数が多い場合に,シンボル数をn個としたときに,nの数が大きくなる毎に,n!の計算に時間がかかること,即ち,予め対応表を作成することが困難になることは,当業者にとっては周知の事項である。
そして,平文を構成するシンボルの数が大きくなった場合に,予め表を作成する方式を採らない点については,例えば,引用刊行物1に,

J.「多表式暗号の暗号表として用いる辞書式暗号は,原語数が100ないし数百の1表式の集式暗号が大部分で,原語数が1,000語以上のものは殆ど用いられない.」(131頁5行?7行)

と記載されているように,当業者には周知の手法であるから,引用発明においても,
“原語成分が多い場合に,予め暗号表を作成せず,平文の1語毎に,ランダムに暗語を割り当てるよう構成する”ことは,当業者が適宜なし得る事項である。
よって,相違点3は,格別のものではない。

上記で検討したごとく,相違点1?相違点4はいずれも格別のものではなく,そして,本件補正発明の構成によってもたらされる効果も,当業者であれば容易に予測できる程度のものであって,格別なものとは認められない。
よって,本件補正発明は,引用発明と周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法第29条第2項の規定により,特許出願の際独立して特許を受けることができない。

オ.独立特許要件むすび
したがって,本件手続補正は,特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので,同法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

3.補正却下むすび
以上のとおりであるから,本件手続補正は,特許法第17条の2第5項の規定に違反するので,同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。
仮に,本件補正発明が,補正の目的要件を満たすものであったとしても,特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので,同法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

よって,補正却下の決定の結論のとおり決定する。

第3.本願発明について
平成25年1月11日付けの手続補正は,上記のとおり却下されたので,本願の請求項1に係る発明(以下,これを「本願発明」という)は,平成24年8月7日付けの誤訳訂正により訂正された,特許請求の範囲の請求項1に記載された,上記「第2.平成25年1月11日付けの手続補正の却下の決定」の「1.補正の内容」において,補正前の請求項1として引用した,次の記載のとおりのものである。

「暗号化デバイス上で動作する方法であって,
複数の入力シンボルを得ることと,
暗号化されるべき前記入力シンボルのおのおのについて,異なるシンボルごとの置換を定義する複数の変換テーブルから,擬似ランダムに選択された変換テーブルを得ることと,
各入力シンボルを個別に暗号化するために,前記入力シンボルのおのおのについてそれらの対応する変換テーブルを使用して,前記入力シンボルを対応する出力シンボルへ変換することと,を備え,
ここにおいて,暗号化されるべき前記入力シンボルのおのおのについて前記擬似ランダムに選択された変換テーブルを得ることは,
第1の入力シンボルについての,擬似ランダムに選択された第1の変換テーブルを得ることと,
第2の入力シンボルについての,擬似ランダムに選択された第2の変換テーブルを得ることと,を含み,
ここにおいて,前記第1の変換テーブル及び前記第2の変換テーブルは,擬似乱数を使用してシンボルをシャッフルすることにより生成された変換テーブルであり,
そして,ここにおいて,前記入力シンボルのおのおのについてそれらの対応する変換テーブルを使用して前記入力シンボルを対応する出力シンボルへ変換することは,
前記第1の変換テーブルを使用して前記第1の入力シンボルを第1の出力シンボルへ変換することと,
前記第2の変換テーブルを使用して前記第2の入力シンボルを第2の出力シンボルへ変換することと,を含む,方法。」

第4.引用刊行物に記載の発明
一方,上記「第2.平成25年1月11日付けの手続補正の却下の決定」の「2.補正の適否」における「(2)独立特許要件」の「イ.引用刊行物に記載の発明」において,引用刊行物1として引用した,「加藤正隆,基礎暗号学I,株式会社サイエンス社,1989年9月25日,p.12-16, 28-34, 130-138」には,該「イ.引用刊行物に記載の発明」において認定したとおりの,次の発明(以下,「イ.引用刊行物に記載の発明」の場合と同じく,「引用発明」という)が記載されていると認める。

“原語において,アルファベット26文字,或いは,アイウエオ48文字等の最も基本的な文字を原語成分とし,
前記原語のそれぞれについて,2つ以上の暗号表を用いて,前記暗号表を,前記原語の1語毎に乱数によってランダムに変えることと,
原語の1文字ずつについて,変えられた前記暗号表を用いて,換字を行うことと,を備え,
前記暗号表は,原語成分と同じ成分からなる暗語を,ランダムに選択して,前記原語に1対1に割り当てて作成するものであり,
前記暗号表を変えることは,予め準備されている複数の前記暗号表を,乱数によってランダムに変えることを含む,定変乱変多表式単一換字暗号方法”

第5.本願発明と引用発明との対比
本願発明は,上記「第2.平成25年1月11日付けの手続補正の却下の決定」の「2.補正の適否」において検討した,本件補正発明から,
「1組のn個のシンボルによって定義される」という限定と,
「なお前記組の中のシンボルの数が少ない場合には,前記第1の変換テーブル及び前記第2の変換テーブルは,そのようなシンボルのすべての置換をあらかじめ生成し,そしてそれらの置換から擬似乱数を使用して選択される」という限定とを取り除いたものであるから,
よって,本願発明と,引用発明との一致点,及び,相違点は,次のとおりである。

[一致点]
複数の入力シンボルを得ることと,
暗号化されるべき前記入力シンボルのおのおのについて,異なるシンボルごとの置換を定義する複数の変換テーブルから,擬似ランダムに選択された変換テーブルを得ることと,
各入力シンボルを個別に暗号化するために,前記入力シンボルのおのおのについてそれらの対応する変換テーブルを使用して,前記入力シンボルを対応する出力シンボルへ変換することと,を備え,
前記変換テーブルは,疑似乱数を使用してシンボルをシャッフルすることにより生成された変換テーブルであり,
前記変換テーブルは,予め準備されている変換テーブルから,疑似乱数を使用して選択されることと,を含む方法。

[相違点a]
“方法”に関して,
本願発明において,“方法”は,「暗号デバイス上で動作する方法」であるのに対して,
引用発明における“方法”が,「暗号デバイス上で動作する」か否かについては,特に言及されていない点。

[相違点b]
“選択された変換テーブルを得ること”に関して,
本願発明においては,「第1の入力シンボルについての,擬似ランダムに選択された第1の変換テーブルを得ることと,第2の入力シンボルについての,擬似ランダムに選択された第2の変換テーブルを得ることと,を含」むものであるのに対して,
引用発明においては,「第2の入力シンボルについての,擬似ランダムに選択された第2の変換テーブルを得ること」に相当する処理に関しては,特に,言及されていない点。

[相違点c]
“入力シンボルを対応する出力シンボルへ変換すること”に関して,
本願発明においては,「前記第1の変換テーブルを使用して前記第1の入力シンボルを第1の出力シンボルへ変換することと,前記第2の変換テーブルを使用して前記第2の入力シンボルを第2の出力シンボルへ変換することと,を含む」ものであるのに対して,
引用発明においては,“第2の変換テーブルを使用して第2の入力シンボルを第2の出力シンボルへ変換すること”に相当する処理に関しては,特に,言及されていない点。

第6.相違点についての当審の判断
本願発明と,引用発明との[相違点a]?[相違点c]は,本件補正発明と,引用発明との[相違点1],[相違点2],及び,[相違点4]と同じものであるから,上記「第2.平成25年1月11日付けの手続補正の却下の決定」の「2.補正の適否」における「(2)独立特許要件」の「エ.相違点についての当審の判断」において検討したとおり,相違点a?相違点cは格別のものではない。
そして,本願発明の構成によってもたらされる効果も,引用発明から当業者ならば容易に予測することができる程度のものであって,格別のものとはいえない。

第7.むすび
したがって,本願発明は,本願の特許出願前に日本国内又は外国において頒布された刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるので,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

よって,結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2014-08-18 
結審通知日 2014-08-19 
審決日 2014-09-02 
出願番号 特願2009-541607(P2009-541607)
審決分類 P 1 8・ 575- Z (G09C)
P 1 8・ 573- Z (G09C)
P 1 8・ 572- Z (G09C)
P 1 8・ 574- Z (G09C)
P 1 8・ 571- Z (G09C)
P 1 8・ 121- Z (G09C)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 中里 裕正  
特許庁審判長 仲間 晃
特許庁審判官 石井 茂和
小林 大介
発明の名称 組み合わせコンバイナ暗号化方法  
代理人 白根 俊郎  
代理人 堀内 美保子  
代理人 幸長 保次郎  
代理人 蔵田 昌俊  
代理人 福原 淑弘  
代理人 砂川 克  
代理人 佐藤 立志  
代理人 中村 誠  
代理人 岡田 貴志  
代理人 竹内 将訓  
代理人 野河 信久  
代理人 赤穂 隆雄  
代理人 河野 直樹  
代理人 井上 正  
代理人 井関 守三  
代理人 峰 隆司  

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