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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A61K
管理番号 1296775
審判番号 不服2013-3865  
総通号数 183 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2015-03-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2013-02-28 
確定日 2015-01-29 
事件の表示 特願2008-547776「プロポリスを含んでなる口腔用組成物」拒絶査定不服審判事件〔平成19年 7月 5日国際公開、WO2007/076446、平成21年 6月 4日国内公表、特表2009-521508〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本願は、2006年12月21日(パリ条約による先権主張外国庁受理 2005年12月21日 米国(US))を国際出願日とする特許出願であって、平成23年11月14日付けで拒絶の理由が通知され、平成24年2月16日に意見書と共に手続補正書が提出されたが、同年10月25日付けで拒絶をすべき旨の査定がされた。これに対し、平成25年2月28日に本件審判の請求がされると共に、同日付けで手続補正書が提出され、平成26年4月18日付けで審尋がされ、同年7月16日に回答書が提出されたものである。

2.本願発明
本願の請求項1?27に係る発明は、平成25年2月28日付け手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1?27に記載された事項により特定されるとおりのもの(以下、「本願発明1?27」という。)であると認められるところ、本願発明1は以下のとおりである。

【請求項1】
プロポリス抽出物;
塩化ベンゼトニウム、オクテニジン、ヘキセチジン、ヘキサミジン、塩化ピリジニウムセチル、アレキシジン、N^(α)-アシルアミノ酸アルキルエステル塩、又はこれらの混合物より選択されるカチオン性抗菌剤、N^(α)-ココイル-L-アルギニンメチルエステル、N^(α)-ココイル-L-アルギニンエチルエステル、N^(α)-ココイル-L-アルギニンプロピルエステル、N^(α)-ステアロイル-L-アルギニンメチルエステル、N^(α)-ステアロイル-L-アルギニンエチルエステル、N^(α)-ラウロイルアルギニンエチルエステル、これらの塩又は混合物より選択される抗付着剤、酵素、ヒスタチン、フラノン、及びこれらの誘導体又は混合物より選択されるバイオフィルム破壊剤、又はインドメタシン、フルビプロフェン、ケトプロフェン、イブプロフェン、ナプロキセン、メクロフェナム酸、少なくとも1つのフリーB環フラボノイド、少なくとも1つのフリーB環フラボノイドと少なくとも1つのフラバンの混合物、モクレン(magnolia)の抽出物、又はこれらの混合物より選択される抗炎症剤より選択される口腔用ケア活性化合物;
メチルビニルエーテル及び無水マレイン酸のアニオン性共重合体、及び
フッ化物イオンの供給源を含んでなる、口腔用組成物。」

3.引用発明
3-1.刊行物の記載
これに対し、原査定の拒絶の理由に引用された本願優先日前に日本国内で頒布された刊行物である

刊行物A:特開2005-29498号公報
刊行物B:特開2005-220087号公報
刊行物C:特開平6-65083号公報

には、それぞれ以下の事項が記載されている。

刊行物A:
A1)「
【請求項1】
プロポリスエキスを含有し、防腐剤を含有しない口腔用組成物。
【請求項2】
プロポリスエキスを0.01?20.0質量%含有する請求項1記載の口腔用組成物。」(特許請求の範囲)

A2)「本発明の口腔用組成物は、その種類、形態に応じて、口腔用組成物に通常使用される添加剤、例えば研磨剤、潤滑剤、増粘剤、発泡剤、可溶化剤、甘味剤、色素、溶剤及び各種有効成分等を含有することができる。それらの配合量は、通常使用される量でよい。これらの成分の具体例を下記に示す。
・・・
その他の成分;酢酸トコフェロール、エピジヒドロコレステリン、塩化ナトリウム、アラントイン、グリチルリチン酸及びその塩類、グアイアズレン及びその塩類、フッ化物、エデト酸塩、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、銅クロロフィリンナトリウム、塩化セチルピリジニウム、イソプロピルメチルフェノール、グルコン酸クロルヘキシジン、トリクロサンなど。」(段落0008、0009)

A3)「実施例12
下記の組成(単位:質量%)にて練り歯磨剤を調製した。

」(段落0021)

刊行物B:
B1)「
【請求項1】
マイタケ乾燥粉末及び/又はマイタケ抽出物とプロポリスエキスとを含有することを特徴とする組成物。」(請求項1)

B2)「本発明の組成物を口腔用組成物とするとき、・・・。
また、プロポリスエキスの配合量は、口腔用組成物全量に基づいて一般に0.05?30質量%が適当で、好ましくは0.1?25質量%、より好ましくは0.1?20質量%、さらに好ましくは0.1?10質量%の範囲である。」(段落0012)

B3)「 口腔用組成物はその種類、形態に応じて、口腔用組成物に通常使用される添加剤、例えば研磨剤、潤滑剤、増粘剤、発泡剤、可溶化剤、甘味剤、色素、溶剤、防腐剤及び各種有効成分などを含有することができる。それらの配合量は、通常使用される量でよい。これらの成分の具体例を以下に示す。
・・・
その他の成分:酢酸トコフェロール、エピジヒドロコレステリン、塩化ナトリウム、アラントイン、グリチルリチン酸及びその塩類、グアイアズレン及びその塩類、フッ化物、エデト酸塩、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、銅クロロフィリンナトリウム、塩化セチルピリジニウム、イソプロピルメチルフェノール、グルコン酸クロルヘキシジン、トリクロサンなど。」(段落0013、0014)

B4)「[実施例4]
練歯磨剤の調製
以下の組成(単位:質量部)にて練歯磨剤を調製した。なお、精製水により全量100とした。
1.無水ケイ酸 20.0
2.二酸化チタン 0.5
3.カラギーナン 1.0
4.プロピレングリコール 3.0
5.70%ソルビット液 20.0
6.グリセリン 20.0
7.パラオキシ安息香酸メチル 0.1
8.モノフルオロリン酸ナトリウム 0.05
9.塩化セチルピリジニウム 0.1
10.ラウリル硫酸ナトリウム 1.7
11.ラウロイルサルコシンナトリウム 0.3
12.銅クロロフィンナトリウム 0.05
13.プロポリスエキス 3.0
14.マイタケ抽出物 0.3
15.香料 0.9
16.精製水 残部」(段落0036)

刊行物C:
C1)「
【請求項1】 歯の疼痛過敏性を緩和、除去する組成物を含む口腔用組成物であって、該歯の疼痛過敏性を緩和、除去する組成物が少なくとも、一つの高分子電解質であり、該高分子電解質が水溶性または水膨潤性であることを特徴とするもの。
・・・
【請求項2】 高分子電解質がカルボン酸塩、カルボキシ、アミノアルキルアンモニウムおよびこれらの混合物からなるグループから選ばれた官能基を含む請求項1の口腔用組成物。
・・・
【請求項4】 歯の疼痛過敏性を緩和、除去する組成物がメチルビニルエーテル/マレイン酸または無水物コポリマー、または、その塩であることを特徴とする請求項1の口腔用組成物。」(特許請求の範囲)

C2)「口腔用組成物に用いられる他のポリマーとしては、メチルビニルエーテル(MVE)と無水マレイン酸(MA)とのコポリマーまたは加水分解された酸のコポリマーがある。MVE/MAコポリマーと、その塩は、歯石防止、歯垢防止、虫歯予防、口臭とりなどに用いられていたり、歯磨成分の活性成分を安定させるためにも用いられている。」(段落0008)

C3)「水溶性または水膨潤性の高分子電解質、即ち、水溶液中で、一つまたは複数の荷電された官能基をベアリングできる官能基をもつポリマーが歯の疼痛敏感性を緩和、除去する特性を有することが確認された。」(段落0017)

C4)「前記ポリマーおよびその塩は、各種の歯磨(練り歯磨、水歯磨、粉歯磨)、ゲル、口腔内に用いる粘着テープまたは粘着パッチ、口漱ぎ剤、口臭除去剤、芳香口中剤、甘味入り錠剤、チューインガム、薬用ドロップ、嗽い薬、歯科用セメント、歯の充填剤、歯科用消毒剤などに配合、調剤される。」(段落0020)

C5)「陰イオン官能基の一つの例は、カルボン酸塩基である。この基は、・・・アルキルビニルエーテルとマレイン酸または無水物とのコポリマーなどにおいて見いだされる。アルキルビニルエーテル/マレイン酸または無水物コポリマーにおいては、・・・このコポリマーは、当業者によく知られた常法により製造され、または、市販されている。例えば、メチルビニルエーテル/マレイン酸無水物コポリマーは、商標Gantrez-ANのもとにインターナショナル・スペシャリティ・プロダクツから市販されていたり、商標Gantrez(登録商標)-Sのもとに加水分解された酸として市販されている。」(段落0022)

3-2.引用発明
上記摘示A3の練り歯磨は、塩化セチルピリジニウム、プロポリスエキス及びモノフルオロリン酸ナトリウムを含むものであるから、上記摘示A1及びA3からみて、刊行物Aには、
「塩化セチルピリジニウム、プロポリスエキス及びモノフルオロリン酸ナトリウムを含む練り歯磨剤」
の発明(以下、「刊行物A発明」という。)が記載されている。
また、上記摘示B4の練歯磨剤は、モノフルオロリン酸ナトリウム、塩化セチルピリジニウム及びプロポリスエキスを含むものであるから、上記摘示B1及びB4からみて、刊行物Bには、
「モノフルオロリン酸ナトリウム、塩化セチルピリジニウム及びプロポリスエキスを含む練歯磨剤」
の発明(以下、「刊行物B発明」という。)が記載されている。

4.対比・判断
4-1.刊行物A発明について
本願発明1と刊行物A発明とを対比する。
刊行物A発明の「プロポリスエキス」は本願発明1の「プロポリス抽出物」に相当し、刊行物A発明の「モノフルオロリン酸ナトリウム」は、本願明細書の段落0049にフッ化物イオンの供給源として例示されるとおり、本願発明1の「フッ化物イオンの供給源」に相当する。また、刊行物A発明の「練り歯磨剤」は本願発明1の「口腔用組成物」に相当する。さらに、刊行物A発明の「塩化セチルピリジニウム」と本願発明1の「塩化ピリジニウムセチル」はセチルとピリジニウムの語順が逆になっているが、これらはいずれもピリジンの窒素原子にセチル基が結合したものが、塩素イオンと結合した化合物であり、両者は同じ化合物である。したがって、刊行物A発明の「塩化セチルピリジニウム」は、本願発明1の「塩化ピリジニウムセチル」である「口腔用ケア活性化合物」に相当する。なお、刊行物Aに「口腔ケア用活性」との記載はないが、化合物として異なるところはない。
そうしてみると、本願発明1と刊行物A発明とは、
「プロポリス抽出物;
塩化ベンゼトニウム、オクテニジン、ヘキセチジン、ヘキサミジン、塩化ピリジニウムセチル、アレキシジン、N^(α)-アシルアミノ酸アルキルエステル塩、又はこれらの混合物より選択されるカチオン性抗菌剤、N^(α)-ココイル-L-アルギニンメチルエステル、N^(α)-ココイル-L-アルギニンエチルエステル、N^(α)-ココイル-L-アルギニンプロピルエステル、N^(α)-ステアロイル-L-アルギニンメチルエステル、N^(α)-ステアロイル-L-アルギニンエチルエステル、N^(α)-ラウロイルアルギニンエチルエステル、これらの塩又は混合物より選択される抗付着剤、酵素、ヒスタチン、フラノン、及びこれらの誘導体又は混合物より選択されるバイオフィルム破壊剤、又はインドメタシン、フルビプロフェン、ケトプロフェン、イブプロフェン、ナプロキセン、メクロフェナム酸、少なくとも1つのフリーB環フラボノイド、少なくとも1つのフリーB環フラボノイドと少なくとも1つのフラバンの混合物、モクレン(magnolia)の抽出物、又はこれらの混合物より選択される抗炎症剤より選択される口腔用ケア活性化合物;
及び
フッ化物イオンの供給源を含んでなる、口腔用組成物。」である点で一致し、
本願発明1の口腔用組成物がさらに、「メチルビニルエーテル及び無水マレイン酸のアニオン性共重合体」を含むと特定しているのに対し、刊行物A発明はかかる特定がない点で相違する。
上記相違点について検討する。
刊行物Aには、口腔用組成物は通常使用される添加剤、例えば銅クロロフィリンナトリウム、グルコン酸クロルヘキシジン等を含有することができることが記載されている一方(摘示A2)、刊行物Cには、歯の疼痛過敏性を緩和除去する組成物としてメチルビニルエーテル及びマレイン酸無水物のコポリマーを含有する口腔用組成物(摘示C1)、該コポリマーは歯石防止、歯垢防止、虫歯予防、口臭とり等に用いられること、歯磨成分の活性成分を安定させるために用いられること(摘示C2)、該コポリマーはカルボン酸塩基を官能基として有すること(摘示C1、C3、C5)、練り歯磨を含む各種歯磨等に配合、調剤されること(摘示C4)が記載されている。ここで、上記銅クロロフィリンナトリウム、グルコン酸クロルヘキシジンは口腔に対する作用を有する物質であることは明らかであり、また、上記コポリマーは、カルボン酸塩基、すなわちアニオンを官能基として有するコポリマーであるから、アニオン性共重合体ということができる。さらに、練り歯磨等の口腔用組成物に歯垢防止、虫歯予防、口臭とり等の口腔に対する作用等を有する成分を配合することは通常の事項である。
そうしてみると、口腔に対する作用を有する物質等の通常使用される添加剤を含有してもよいことが記載されている刊行物Aに記載の刊行物A発明において、添加剤として、刊行物Cに記載されるとおり、歯垢防止、虫歯予防、口臭とり、歯磨成分の活性成分の安定化、疼痛過敏の緩和除去の作用を有し、練り歯磨等に配合、調合されるとされるメチルビニルエーテル及びマレイン酸無水物、すなわち、メチルビニルエーテル及び無水マレイン酸のアニオン性共重合体を配合することは当業者が容易になし得たことである。
そして、本願明細書の記載をみても、そのことによって当業者が予測し得ない顕著な効果を奏するということはできない。
したがって、本願発明1は、刊行物A及び刊行物Cに記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

4-2.刊行物B発明について
刊行物B発明は、刊行物A発明と同様の成分(塩化セチルピリジニウム、プロポリスエキス及びモノフルオロリン酸ナトリウム)を有し、同様の用途(練り歯磨剤)に用いられるものであるから、本願発明1と刊行物B発明との一致点、相違点は、上記刊行物A発明との対比の場合と同じである。
そして、刊行物Bにも刊行物Aと同様、口腔用組成物は通常使用される添加剤、例えば銅クロロフィリンナトリウム、グルコン酸クロルヘキシジン等を含有することができることが記載されている(摘示B3)から、相違点について検討した際の結論も刊行物A発明の場合と同様であり、結局、本願発明1は刊行物B及び刊行物Cに記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

なお、審判請求人は、平成26年7月16日に提出された回答書において、請求項1に記載の発明において、プロポリス抽出物の組成物中の含有量を0.0001?1重量%又は0.0001?0.5重量%とした場合、口腔用組成物を歯磨剤とした場合に拒絶理由が解消する可能性があるならば、補正の機会を与えて欲しい旨記載するが、当該プロポリスの含有量はいずれも刊行物A、Bに記載の範囲(摘示A1、B2)と重複するものであり、刊行物A、Bのいずれにも歯磨剤であることが記載されている(摘示A3、B4)から、仮にこれらのいずれか又はその組み合わせの補正をしても進歩性を肯定することはできない。

5.むすび
以上のとおり、本願発明1は、刊行物A及びCに記載された発明に基づいて、また、刊行物B及びCに記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、本願発明2?27を検討するまでもなく、本願は拒絶をすべきものである。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2014-09-05 
結審通知日 2014-09-08 
審決日 2014-09-19 
出願番号 特願2008-547776(P2008-547776)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (A61K)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 川合 理恵  
特許庁審判長 星野 紹英
特許庁審判官 冨永 保
加賀 直人
発明の名称 プロポリスを含んでなる口腔用組成物  
代理人 小笠原 有紀  
代理人 星野 修  
代理人 富田 博行  
代理人 小野 新次郎  
代理人 小林 泰  
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