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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) B60P
管理番号 1297064
審判番号 不服2013-20104  
総通号数 183 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2015-03-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2013-10-16 
確定日 2015-02-06 
事件の表示 特願2008-272242号「荷役車両の荷受台昇降装置」拒絶査定不服審判事件〔平成22年5月6日出願公開、特開2010-100130号〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本願は、平成20年10月22日の出願であって、平成25年7月11日付けで拒絶査定がなされ、これに対して、平成25年10月16日付けで拒絶査定不服審判の請求がなされるとともに、同時に手続補正がなされたものである。
その後、当審において、平成26年8月25日付けで平成25年10月16日付けの手続補正を却下するとともに、同日付けで拒絶理由が通知され、これに対して、平成26年10月24日付けで意見書が提出されるとともに、同日付けで手続補正がなされたものである。

2.本願発明
本願の特許請求の範囲の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、平成26年10月24日付け手続補正により補正された明細書、特許請求の範囲及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1に記載された以下のとおりのものである。
「車体フレーム(F)の左右両側に間隔をあけて一体に立設される一対の昇降支柱(2)と、前記一対の昇降支柱(2)間に横方向に固定されるクロスメンバー(24)と、前記一対の昇降支柱(2)に昇降可能に設けられる荷受台(1)と、前記クロスメンバー(24)内に設けられる昇降シリンダ(CY)とを備え、昇降シリンダ(CY)にワイヤ連動機構(WM)を介して荷受台(1)を連結し、昇降シリンダ(CY)の伸縮作動により、荷受台(1)を一対の昇降支柱(2)に沿って昇降駆動できるようにした、荷役車両の荷受台昇降装置において、
前記クロスメンバー(24)内に、前記昇降シリンダ(CY)を伸縮作動するパワーユニット(PU)を設け、荷役車両の進行方向左側の、クロスメンバー(24)の端部分において、前記クロスメンバー(24)左端から一定距離離れた、該クロスメンバー(24)内に、第1の基準取付位置(P1)および第2の基準取付位置(P2,P2′)を設定して、第1の基準取付位置(P1)に第1基準取付部を、第2の基準取付位置(P2,P2′)に第2の基準取付部を、それぞれ設け、第1の基準取付部に、昇降シリンダ(CY)を、第2の基準取付部にパワーユニット(PU)をそれぞれ取り付け、クロスメンバー(24)に対する昇降シリンダ(CY)およびパワーユニット(PU)の取付位置を一定とし、前記荷受台昇降装置を操作するコントロールスイッチ(Sc)を荷役車両の進行方向左側の昇降支柱(2)に設けたことを特徴とする、荷役車両の荷受台昇降装置。」

3.引用例
これに対して、当審で通知した拒絶理由に引用され、本願出願前に頒布された刊行物である米国特許第4540329号明細書(以下「引用例1」という。)及び米国特許第5641262号明細書(以下「引用例2」という。)には、それぞれ以下の各事項が記載されている(括弧内は日本語訳)。

[引用例1について]
(1a)「 With reference to FIG. 1 of the drawings, the reference numeral 10 refers generally to a power operated hoist in the form of a tailgate mounted at the rear of a truck body 12. The power operated hoist 10 includes a stationary frame generally identified by the numeral 14 which includes a pair of vertically oriented guide members 16 and a housing 18 which extends transversely therebetween.
The movable component of the hoist includes a platform 20 which is pivotably mounted at its inner end on longitudinally elongated slide members 22. The slide members 22 are slidable in passages formed in the guides 16. Flexible power transmission members in the form of chains 24 extend between the upper end of the slide members 22 and the platform to support the platform in the horizontal position when the hoist is in use. It will be understood that the platform 20 is movable about its pivotal connection with the slides 22 to an upright position to form a tailgate closing the back end of the truck as required in use.」(図1を参照すると、符号10は、トラック本体12の後部に設置されるテールゲートの形式の一般的に動力駆動ホイストを示す。動力駆動ホイスト10は、一対の垂直方向のガイド部材16及びそれらの間で横方向に延びるハウジング18を有する符号14で一般的に識別される固定フレームを備えている。
ホイストの可動構成要素は、長手方向へ延びるスライド部材22にその内側端部が枢着されているプラットフォーム20を備えている。スライド部材22は、ガイド16に形成された通路内にスライド可能となっている。チェーン24により構成される柔軟な動力伝達部材は、ホイストの使用時に水平姿勢となるプラットフォームを支持するために、スライド部材22の上端とプラットフォームとの間に延びている。プラットフォーム20は、使用中必要に応じて、トラックの後端部を閉じるテールゲートとしてスライド部材22の枢着部を中心に上方位置へ可動となっていることが理解できる。)(第3欄36?55行)

(1b)「The mechanism which is used for raising and lowering the platform while it is in the horizontal position is best illustrated in FIGS. 2, 3, 4 and 5 of the drawings. As shown in FIG. 2, an hydraulic cylinder 26 is mounted in transverse housing 18. A carriage 28 is mounted at the outer end of the reciprocating shaft 31 of the cylinder 26 and a pair of sprockets 30 and 32 are mounted on the carriage 28. Sprockets 34,36 and 38 are also mounted in the housing 18. A first power transmission chain 40 has its inner end 42 secured with respect to the housing 18 and its outer end 44 (FIG. 5) secured with respect to the lower end of its associated slide member 22. A second power transmission chain 46 has its inner end 48 secured with respect to the housing 18 and its outer end secured with respect to the other slide member 22 in a like manner to that in which the outer end 44 of the first transmission chain is connected to its associated slide member 22.
In extending from the inner end 42 to the outer end 44, the first power transmission chain extends around sprockets 30, 34 and 36. Similarly in extending from its inner end to its outer end, the second power transmission chain extends around sprockets 32 and 38.」(水平位置にあるプラットフォームを昇降させるために使用される機構は、図2、図3、図4及び図5に最もよく示されている。図2に示すように、油圧シリンダ26は、横方向ハウジング18に取り付けられている。キャリッジ28は、シリンダ26の往復動シャフト31の外方端に取り付けられ、また、一対のスプロケット30,32がキャリッジ28に取り付けられている。スプロケット34,36と38も、ハウジング18に取り付けられている。第1動力伝達チェーン40は、ハウジング18に固定されている内側端42及び関連したスライド部材22の下端に固定されている外側端44(図5)を有する。第2動力伝達チェーン46は、ハウジング18固定されている内側端48及び上記外側端44と同様に関連したスライド部材22の下端に固定されている外側端を有する。
内側端42から外側端44へ延びるように、第1の動力伝達チェーンは、スプロケット30、34及び36の周りに延びている。同様に内側端から外側端へ延びるように、第2の動力伝達チェーンは、スプロケット32及び38の周りに延びている。)(第3欄56?第4欄10行)

(1c)図2


以上の記載によると、引用例1には、
「トラック本体12の後部に設置されるテールゲートの形式の動力駆動ホイスト10であって、
動力駆動ホイスト10は、一対の垂直方向のガイド部材16及びそれらの間で横方向に延びるハウジング18を有する固定フレーム14を備え、
動力駆動ホイスト10の可動構成要素は、長手方向へのスライド部材22にその内側端部が枢着されているプラットフォーム20を備え、スライド部材22は、ガイド16に形成された通路内にスライド可能となり、
水平位置にあるプラットフォーム20を昇降させるために使用される機構における油圧シリンダ26は、横方向ハウジング18に取り付けられ、
油圧シリンダ26の往復動シャフト31の外方端に取り付けられキャリッジ28に一対のスプロケット30,32がキャリッジ28に取り付けられ、また、ハウジング18にプロケット34,36と38も取り付けられ、
第1動力伝達チェーン40は、ハウジング18に固定されている内側端42及び関連したスライド部材22の下端に固定されている外側端44を有し、第2動力伝達チェーン46は、ハウジング18固定されている内側端48及び上記外側端44と同様に関連したスライド部材22の下端に固定されている外側端を有し、内側端42から外側端44へ延びるように、第1の動力伝達チェーン40は、スプロケット30、34及び36の周りに延び、同様に内側端から外側端へ延びるように、第2の動力伝達チェーン46は、スプロケット32及び38の周りに延びている動力駆動ホイスト10。」の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。

[引用例2について]
(2a)「This invention relates to hydraulic lift apparatus in general and to a hydraulically operated vehicular tailgate lift apparatus in particular.」(この発明は、一般に油圧リフト装置及び、特に油圧駆動されるテールゲートリフト装置に関する。)(第1欄5?7行参照)

(2b)「Referring to FIG. 1 the direct drive lift gate includes a mainframe 1 which is made up to two vertical brackets 3A, 3B which are joined by cross-members 5A, 5B. The mainframe 1 is constructed of a metal such as steel or aluminum, or any other suitably rigid material. The cross-members 5A, 5B are mounted horizontally between vertical brackets 3A, 3B and parallel to each other, with sufficient vertical space in between to house the rotary actuator 31 and the associated power train hardware. In another embodiment (not shown) a one piece, U-shaped channel may be substituted for the cross members 5A, 5B. This may increase the rigidity of the mainframe and reduce the part count, thereby simplifying construction of the device.」(図1を参照すと、ダイレクトドライブ・リフトゲートは、クロスメンバ5A、5Bによって結合されている2つの垂直ブラケット3A、3Bにより構成されたメインフレーム1を備える。メインフレーム1は、鋼又はアルミニウム、あるいは任意の他の適切な剛性材料で構成されている。クロスメンバ5A、5Bは、回動アクチュエータ31と関連したパワートレインの機器を収容するのに十分な垂直方向のスペースをそれらの間に有し、垂直ブラケット3A、3Bと、互いに平行で水平に取り付けられている。別の実施形態(図示せず)として、一体的なU字型チャネルを、クロスメンバ5A、5Bの代わりに用いてもよい。これは、メインフレームの剛性を増加させ、それによって装置の構成を簡素化、部品点数を減らすことができる。)(第2欄23?35行参照)

(2c)「Two vertical actuator mount plates, 9A, 9B, are interposed between cross-members 5A, 5B. The vertical motor mounts 9A, 9B support the rotary actuator 31. In the illustrative embodiment, the actuator mounts 9A, 9B are welded to cross-members 5A, 5B, or may be secured with bolts or other conventional means.」(2つの垂直アクチュエータプレート9A、9Bは、クロスメンバ5A、5Bの間に配置されている。垂直モータ取り付け部材9A、9Bは、回動アクチュエータ31を支持する。図示された実施形態では、モータ取り付け部材9A、9Bは、クロスメンバ5A、5Bに溶接されるか、または、ボルトや他の適宜な手段により固定されている。)(第2欄57?62行参照)

(2d)「Referring again to PIG. 1, the lifting force for the lift gate is provided by a rotary actuator 31 which, in the preferred embodiment, is hydraulically actuated. The hydraulic power can be provided through conventional means. In the illustrative embodiment, hydraulic pressure is provided by a hydraulic pump 43 which draws fluid from a hydraulic reservoir 45 and delivers hydraulic fluid under pressure through a fluid transfer line 47 to the rotary actuator 31. Fluid is returned to the reservoir 45 through a second fluid transfer line 49. The flow of hydraulic fluid is controlled at the reservoir 45 by a solenoid 46 and at the rotary actuator 31 by a flow control 44. The increase or decrease in pressure delivered by the pump 43 is controlled by a control switch 51. Also, the lift can be shut off from a remote location, typically the cab of the truck by means of a cut-off switch 52.」(図1を再び参照すると、リフトゲートのための持ち上げ力は、好ましい実施形態では、油圧作動される回動アクチュエータ31によって発生される。油圧動力は、従来の手段を介して供給することができる。図示した実施形態では、油圧は、リザーバ45から流体を引き込み、移送ライン47を介して圧力下で作動流体を回動アクチュエータ31へ供給する油圧ポンプ43により発生される。作動油は、第2流体移送ライン49を介してリザーバ45へ戻される。作動流体の流れは、ソレノイド46によりリザーバにおいて及び流量コントローラ44により回動アクチュエータ31において制御される。ポンプ43により供給される圧力の増減は、コントロールスイッチ51により制御される。また、リフトは、遠隔的に、典型的にはカットオフスイッチ52を用いて、トラックの運転台から一般的に遮断することができる。)(第3欄13?27行参照)

(2e)「Lift gate 87 provides the lifting surface for the apparatus. It comprises a rectangular platform of the general dimensions of a conventional pickup truck tailgate.」(リフトゲート87は、装置のリフト面を備える。それは、従来のピックアップトラックのテールゲートの一般的な大きさの長方形のプラットホームから構成されている。)(第4欄13?27行参照)

(2f)図4

図4には、「リザーバ45」及び「油圧ポンプ43」がクロスメンバ5A、5Bの間に配置されていること及び、「コントロールスイッチ51」がトラックの進行方向右側の垂直ブラケット3Aに設けられていることが示されている。

以上の記載によると、引用例2には、
「クロスメンバによって結合されている2つの垂直ブラケットにより構成されたメインフレームを備えた油圧駆動されるテールゲートリフト装置」において、
「リフトゲートのための持ち上げ力を発生させる回動アクチュエータ並びに、回動アクチュエータに作動流体を供給するリザーバ及び油圧ポンプをクロスメンバの間に配置する」技術的事項及び
「油圧ポンプにより供給される圧力の増減を制御するコントロールスイッチがトラックの進行方向右側の垂直ブラケットに設けられている」技術的事項が記載されているものと認められる。

4.対比
本願発明と引用発明とを対比すると、
引用発明の「動力駆動ホイスト10」は、トラック本体12の後部に設置されるものであることから、本願発明の「荷役車両の荷受台昇降装置」に相当し、
引用発明の「トラック本体12」、「ガイド部材16」、「ハウジング18」、「プラットフォーム20」及び「油圧シリンダ26」は、それぞれ本願発明の「車体フレーム」、「昇降支柱」、「クロスメンバー」、「荷受台」及び「昇降シリンダ」に相当する。
また、引用発明において、「油圧シリンダ26」と「プラットフォーム20」とは、「第1の動力伝達チェーン40」及び「第2の動力伝達チェーン46」を介して連動され、油圧シリンダ26の「往復動シャフト31」の往復動により「プラットフォーム20」が昇降駆動されるものと認められることより、引用発明と本願発明とは、「昇降シリンダに連動機構を介して荷受台を連結し、昇降シリンダの伸縮作動により、荷受台を一対の昇降支柱に沿って昇降駆動できるようにした」ものである限りにおいて一致する。
よって、両者は、
「車体フレームの左右両側に間隔をあけて一体に立設される一対の昇降支柱と、前記一対の昇降支柱間に横方向に固定されるクロスメンバーと、前記一対の昇降支柱に昇降可能に設けられる荷受台と、前記クロスメンバー内に設けられる昇降シリンダとを備え、昇降シリンダに連動機構を介して荷受台を連結し、昇降シリンダの伸縮作動により、荷受台を一対の昇降支柱に沿って昇降駆動できるようにした、荷役車両の荷受台昇降装置。」
である点で一致し、以下の各点で相違する。

相違点1;連動機構が、本願発明では、ワイヤを用いたものであるのに対し、引用発明では、動力伝達チェーンを用いたものである点。

相違点2;本願発明では、クロスメンバー内に、昇降シリンダを伸縮作動するパワーユニットを設けているのに対し、引用発明では、そのような特定がない点。

相違点3;本願発明では、荷役車両の進行方向左側の、クロスメンバーの端部分において、前記クロスメンバー左端から一定距離離れた、該クロスメンバー内に、第1の基準取付位置および第2の基準取付位置を設定して、第1の基準取付位置に第1基準取付部を、第2の基準取付位置に第2の基準取付部を、それぞれ設け、第1の基準取付部に、昇降シリンダを、第2の基準取付部にパワーユニットをそれぞれ取り付け、クロスメンバーに対する昇降シリンダおよびパワーユニットの取付位置を一定としているのに対し、引用発明では、そのような特定がない点。

相違点4;本願発明では、荷受台昇降装置を操作するコントロールスイッチを荷役車両の進行方向左側の昇降支柱に設けているのに対し、引用発明では、そのような特定がない点。

5.判断
上記各相違点について検討する。
・相違点1について
連動機構としてワイヤを用いることは、例を挙げるまでもなく周知の技術であり、また、ワイヤとチェーンとは、ともに可撓性の動力伝達部材である点で共通し、両者のどちらを用いるかは、設計上適宜に選択し得る事項と認められる。
よって、引用発明において、上記周知の技術を適用し、動力伝達チェーンに換えてワイヤを用いた連動機構とし、上記相違点1の本願発明のようになすことは、当業者が容易になし得たことである。

・相違点2について
引用例2には、クロスメンバによって結合されている2つの垂直ブラケットにより構成されたメインフレームを備えた油圧駆動されるテールゲートリフト装置において、リフトゲートのための持ち上げ力を発生させる回動アクチュエータ並びに、回動アクチュエータに作動流体を供給するリザーバ及び油圧ポンプがクロスメンバの間に配置する技術的事項が記載されている。ここで、回動アクチュエータに作動流体を供給する「リザーバ」及び「油圧ポンプ」は、本願発明の「昇降シリンダを伸縮作動するパワーユニット」に対応する。
また、引用発明においても、油圧シリンダ26を伸縮作動するパワーユニットが必要とされることは明らかであり、当該パワーユニットの配置は、設計上適宜に決め得るものと認められる。
そして、当該パワーユニットを油圧シリンダ26と同様にハウジング18内に取り付けることにより、動力駆動ホイストの組み立て作業が向上するなるなどの効果を奏することは、当業者が容易に想到し得る事項である。
よって、引用発明において、引用例2に記載された技術的事項を適用し、油圧シリンダ26を伸縮作動するパワーユニットをハウジング18内に取り付け、上記相違点2の本願発明のようになすことは、当業者が容易になし得たことである。

・相違点3について
機械装置を設計・製造する際に、予め各部品の取付け位置を設定する寸法を記入した設計図を作成し、当該設計図に基づいて機械装置を製造することは、技術分野にかかわらず技術常識である。
また、部品の取付け位置等を、基準面を定めて当該基準面からの寸法により設定することは周知の技術であり(例えば、特開平9-177130号公報、特開平8-55141号公報参照)、上記基準面は設計上適宜に選択し得るものと認められる。
そうすると、引用発明において、「油圧シリンダー26」を、横向きハウジング18の所定の位置(本願発明の「基準取付け位置」に相当。)に設けられた取付部(本願発明の「基準取付部」に相当。)に取り付けるために、横向きハウジング18の左端を上記基準面とし、そこから一定距離離れた取付け位置(寸法)を設定することは、単なる設計事項に過ぎないといえる。
また、上記相違点2について検討したように、「パワーユニット」をハウジング18内に取り付ける場合には、上記油圧シリンダ26と同様に、その取付け位置(寸法)を設定することは、単なる設計事項に過ぎないといえる。
さらに、「油圧シリンダー26」及び「パワーユニット」が、上記のように設定された位置に取り付けられれば、ハウジング18に対する「油圧シリンダー26」及び「パワーユニット」の取付位置が一定となることは明らかである。
よって、引用発明において、上記技術常識及び周知の技術を考慮すれば、「油圧シリンダー26」及び「パワーユニット」を上記相違点3の本願発明のように取り付けることは、当業者が容易になし得たことである。

・相違点4について
引用例2には、クロスメンバによって結合されている2つの垂直ブラケットにより構成されたメインフレームを備えた油圧駆動されるテールゲートリフト装置において、油圧ポンプにより供給される圧力の増減を制御するコントロールスイッチがトラックの進行方向右側の垂直ブラケットに設けられている技術的事項が記載されている。
ここで、「コントロールスイッチ」は、テールゲートリフト装置を操作するためのものであるので、本願発明の「荷受台昇降装置を操作するコントロールスイッチ」に対応する。また、引用例2において、「コントロールスイッチ」は、トラックの進行方向右側の垂直ブラケットに設けられているが、引用例2が発行された米国は右側通行であって、テールゲートリフト装置の操作は路側側から行う必要があることを考慮すれば、左側通行の日本国内において実施する際に、上記「コントロールスイッチ」をトラックの進行方向左側の垂直ブラケットに設けることは、当然の事項に過ぎない。
そして、引用発明においても、動力駆動ホイストを操作するスイッチをその近傍に設ける必要があることは自明な事項である。
よって、引用発明において、引用例2に記載された技術的事項を適用し、動力駆動ホイストを操作するコントロールスイッチをトラックの進行方向左側の昇降支柱に設けて、上記相違点4の本願発明のようになすことは、当業者が容易になし得たことである。

したがって、本願発明は、引用発明、引用例2に記載された技術的事項、技術常識及び周知の技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

6.むすび
以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、本願は、拒絶をすべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2014-11-20 
結審通知日 2014-11-26 
審決日 2014-12-16 
出願番号 特願2008-272242(P2008-272242)
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (B60P)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 小岩 智明  
特許庁審判長 大熊 雄治
特許庁審判官 平田 信勝
鳥居 稔
発明の名称 荷役車両の荷受台昇降装置  
代理人 仁木 一明  
代理人 落合 健  
代理人 ▲ぬで▼島 愼二  

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