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審決分類 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 G01D
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G01D
管理番号 1297597
審判番号 不服2013-14691  
総通号数 184 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2015-04-24 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2013-07-31 
確定日 2015-02-12 
事件の表示 特願2008-550515「照明変化計器クラスタ」拒絶査定不服審判事件〔平成19年 7月19日国際公開、WO2007/082263、平成21年 6月18日国内公表、特表2009-523251〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
特許出願: 平成19年1月11日
(パリ条約による優先権主張外国庁受理2006年1月11日、US、を伴う国際出願)
手続補正: 平成24年5月17日(以下、「補正1」という。)
拒絶査定: 平成25年3月26日付け(送達日:同年4月1日)
拒絶査定不服審判の請求: 平成25年7月31日
手続補正: 平成25年7月31日(以下、「本件補正」という。)
審尋 : 平成26年1月29日付け(発送日:同年2月3日)
審尋に対する回答書: 平成26年6月2日


第2 補正の却下の決定

[結論]
本件補正を却下する。

[理由]
1 補正の内容
本件補正によって、特許請求の範囲は、以下のように補正された。

(補正前)
「【請求項1】
車両ゲージアセンブリにおいて、
第1の部分と第2の部分とを有するポインタアセンブリと、
第1の部分のみを照明するための第1の光源と、
第2の部分のみを照明するための第2の光源と、が設けられており、
前記第1の光源と前記第2の光源とが、互いに独立して作動可能であることを特徴とする、車両ゲージアセンブリ。
【請求項2】
所望のパラメータを指示するためのスケールを有するダイヤル面を有する、請求項1記載のアセンブリ。
【請求項3】
前記第1の部分が外側ポインタを含み、前記第2の部分が、外側ポインタ内に配置された内側ポインタを含む、請求項1又は2記載のアセンブリ。
【請求項4】
前記外側ポインタが第1の反射面を有し、前記内側ポインタが第2の反射面を有する、請求項3記載のアセンブリ。
【請求項5】
前記第1の光源が第1の反射面へ光を方向付け、前記第2の光源が第2の反射面へ光を方向付ける、請求項4記載のアセンブリ。
【請求項6】
前記ポインタアセンブリの下方に配置された第1の回路板と、前記ポインタアセンブリの上方に配置された第2の回路板とが設けられており、前記第1の光源が前記第1の回路板に取り付けられており、前記第2の光源が前記第2の回路板に取り付けられている、請求項1から5までのいずれか1項記載のアセンブリ。
【請求項7】
前記第1の光源が前記ポインタアセンブリの第1の側に光を方向付け、前記第2の光源が、前記第1の側とは反対の、前記ポインタアセンブリの第2の側に、光を方向付けるようになっている、請求項6記載のアセンブリ。
【請求項8】
前記第1の部分が第1の色を有し、前記第2の部分が、第1の色とは異なる第2の色を有する、請求項1から7までのいずれか1項記載のアセンブリ。
【請求項9】
前記第1の光源が第1の色を含み、前記第2の光源が、第1の色とは異なる第2の色を含む、請求項1から7までのいずれか1項記載のアセンブリ。
【請求項10】
前記第2の光源が光をダイヤル面へ方向付ける、請求項1から9までのいずれか1項記載のアセンブリ。
【請求項11】
スケールを有するダイヤル面が設けられており、前記スケール上で、ポインタアセンブリが、監視された車両運転パラメータの条件を伝達するために指示する、請求項1から10までのいずれか1項記載のアセンブリ。
【請求項12】
前記第2の光源が、前記ポインタアセンブリの回転軸に沿って配置されている、請求項1から11までのいずれか1項記載のアセンブリ。
【請求項13】
前記内側ポインタが、回転軸に沿って配置された反射面を有する、請求項3から12までのいずれか1項記載のアセンブリ。
【請求項14】
第1の光源が、ポインタアセンブリの回転軸から間隔を置いて配置されている、請求項1から13までのいずれか1項記載のアセンブリ。
【請求項15】
請求項1から14までのいずれか1項記載の複数の車両ゲージアセンブリを備える計器クラスタアセンブリ。」

(補正後)
「 【請求項1】
車両ゲージアセンブリにおいて、
第1の部分と第2の部分とを有するポインタアセンブリと、
第1の部分のみを照明するための第1の光源と、
第2の部分のみを照明するための第2の光源と、
前記第1の光源と前記第2の光源とを、互いに独立して作動させる回路部と、を有することを特徴とする、車両ゲージアセンブリ。
【請求項2】
所望のパラメータを指示するためのスケールを有するダイヤル面を有する、請求項1記載のアセンブリ。
【請求項3】
前記第1の部分が外側ポインタを含み、前記第2の部分が、外側ポインタ内に配置された内側ポインタを含む、請求項1又は2記載のアセンブリ。
【請求項4】
前記外側ポインタが第1の反射面を有し、前記内側ポインタが第2の反射面を有する、請求項3記載のアセンブリ。
【請求項5】
前記第1の光源が第1の反射面へ光を方向付け、前記第2の光源が第2の反射面へ光を方向付ける、請求項4記載のアセンブリ。
【請求項6】
前記ポインタアセンブリの下方に配置された第1の回路板と、前記ポインタアセンブリの上方に配置された第2の回路板とが設けられており、前記第1の光源が前記第1の回路板に取り付けられており、前記第2の光源が前記第2の回路板に取り付けられている、請求項1から5までのいずれか1項記載のアセンブリ。
【請求項7】
前記第1の光源が前記ポインタアセンブリの第1の側に光を方向付け、前記第2の光源が、前記第1の側とは反対の、前記ポインタアセンブリの第2の側に、光を方向付けるようになっている、請求項6記載のアセンブリ。
【請求項8】
前記第1の部分が第1の色を有し、前記第2の部分が、第1の色とは異なる第2の色を有する、請求項1から7までのいずれか1項記載のアセンブリ。
【請求項9】
前記第1の光源が第1の色を含み、前記第2の光源が、第1の色とは異なる第2の色を含む、請求項1から7までのいずれか1項記載のアセンブリ。
【請求項10】
前記第2の光源が光をダイヤル面へ方向付ける、請求項1から9までのいずれか1項記載のアセンブリ。
【請求項11】
スケールを有するダイヤル面が設けられており、前記スケール上で、ポインタアセンブリが、監視された車両運転パラメータの条件を伝達するために指示する、請求項1から10までのいずれか1項記載のアセンブリ。
【請求項12】
前記第2の光源が、前記ポインタアセンブリの回転軸に沿って配置されている、請求項1から11までのいずれか1項記載のアセンブリ。
【請求項13】
前記内側ポインタが、回転軸に沿って配置された反射面を有する、請求項3から12までのいずれか1項記載のアセンブリ。
【請求項14】
第1の光源が、ポインタアセンブリの回転軸から間隔を置いて配置されている、請求項1から13までのいずれか1項記載のアセンブリ。
【請求項15】
請求項1から14までのいずれか1項記載の複数の車両ゲージアセンブリを備える計器クラスタアセンブリ。」

上記補正のうち請求項1についての補正は、補正前の請求項1(すなわち、補正1により補正された請求項1)に記載された、「前記第1の光源と前記第2の光源とが、互いに独立して作動可能であることを特徴とする」という箇所を、「前記第1の光源と前記第2の光源とを、互いに独立して作動させる回路部と、を有することを特徴とする」として、回路部による作動に限定するものであるから、この補正は、特許請求の範囲の減縮を目的とする補正に該当する。
そこで、本件補正後の前記請求項1に記載された発明(以下、「本願補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるかについて以下に検討する。

2 検討
(1)引用例記載の事項・引用発明
原査定の拒絶の理由に引用され、本願の優先日前に日本国内において頒布された刊行物である実願昭50-58654号(実開昭51-138155号)のマイクロフィルム(以下「引用例」という。)には、「発光部を有する指針」(考案の名称)として、次の事項(a)ないし(c)が図面と共に記載されている。

(a)
「これによると、・・・目盛がAM用、FM用等二種以上ある場合には各個別用に光を放射させることは不可能である等の欠点がある。
この考案は・・・指針の内部に発光ダイオードなどの発光部を有し、しかも二種以上の光を各別に点灯しうるように形成したことを特徴とするものである。」(第2ページ第2行?第11行)

(b)
「以下、図示の実施例について説明する。・・・3a、3bは導電体2a上に固着したチップであり、・・・発光部6及び7を形成してある。また、各導電体に続いてリード線をもつて回路を形成し、・・・スイツチ8を閉じると発光部7が、スイツチ9を閉じると発光部6がそれぞれ発光するようになつている。10はシリコン樹脂等からなる指針で、前記発光部6.7を設けたセラミツク基板1を被覆することにより一体化してある。
なお、図中11a、11bは発光部6.7からの光を発散させるために、指針10の内面に設けたカツト部である。」(第2ページ第12行?第3頁第8行)

(c)
「この考案によれば、・・・発光部を各個別に発光させることができるので使用上好都合である。・・・
なお、この考案の指針はラジオに限定されることなく、各種機器、装置の目盛板等における指針として広く適用できるものである。」(第3ページ第18行?第4頁第6行)

上記記載(a)ないし(c)及び第2?4図の記載から、引用例には、次の発明が記載されていると認められる。

「各種機器、装置の目盛板等における指針において、
カツト部11aとカツト部11bとを有する指針10と、
カツト部11aで光を発散させるための発光部6と、
カツト部11bで光を発散させるための発光部7と、
発光部を各個別に発光させる回路と、を有することを特徴とする、各種機器、装置の目盛板等における指針。」(以下、「引用発明」という。)

(2)対比
本願補正発明と引用発明とを対比する。
まず、引用発明における「各種機器、装置の目盛板等における指針」と、本願補正発明の「車両ゲージアセンブリ」とは、共に「ゲージアセンブリ」である点で共通する。
また、引用発明の「カツト部11aとカツト部11b」は、本願補正発明の「第1の部分と第2の部分」に相当し、引用発明の「指針10」は、本願補正発明の「ポインタアセンブリ」に相当する。
また、引用発明において発光部は各個別に発光するものであるから、実質的に、発光部6からの光がカツト部11aだけではなくカツト部11bでも発散されたり、逆に発光部7からの光がカツト部11bだけではなくカツト部11aでも発散されたりすることがないように構成されていることは明らかである。したがって、発光部6からの光はカツト部11aのみで発散され、また発光部7からの光はカツト部11bのみで発散されるといえるから、引用発明の「カツト部11aで光を発散させるための発光部6」と「カツト部11bで光を発散させるための発光部7」は、それぞれ本願補正発明の「第1の部分のみを照明するための第1の光源」と「第2の部分のみを照明するための第2の光源」に相当する。
また、引用発明の「発光部を各個別に発光させる回路」は、本願補正発明の「前記第1の光源と前記第2の光源とを、互いに独立して作動させる回路部」に相当する。
してみると、両者の一致点及び相違点は、以下のとおりである。

(一致点)
「ゲージアセンブリにおいて、
第1の部分と第2の部分とを有するポインタアセンブリと、
第1の部分のみを照明するための第1の光源と、
第2の部分のみを照明するための第2の光源と、
前記第1の光源と前記第2の光源とを、互いに独立して作動させる回路部と、を有することを特徴とする、ゲージアセンブリ。」

(相違点)
本願補正発明が「車両ゲージアセンブリ」であるのに対し、引用発明は「各種機器、装置の目盛板等における指針」とされており、その用途として車両用とすることは明示されていない点。

(3)判断
例えば、原査定の拒絶の理由に引用され、本願の優先日前に頒布された刊行物である、米国特許出願公開第2005/0103254号明細書においてFig-1として示されているように、車両用のゲージアセンブリであって、特にその目盛板に二種以上の目盛を備えたものは周知(以下、「周知技術」という。)である。
一方、引用発明は「目盛がAM用、FM用等二種以上ある場合には各個別用に光を放射させることは不可能である等の欠点がある。」(引用例第2ページ第3行?第6行)という、目盛板に二種以上の目盛を備えた指針に関する課題を解決しようとするものであるといえる。

よって、「各種機器、装置の目盛板等における指針」、すなわち汎用の指針として開示されている引用発明の用途として「車両ゲージアセンブリ」を選択することは、上記周知技術に基づいて当業者が容易になし得たものであり、またそのことにより当業者の予想し得ない特段の効果が生じているとも認められない。

したがって、本願補正発明は、引用発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

3 まとめ
したがって、本件補正は、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。


第3 本願発明について
1 本願発明
本件補正は前記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明は、補正1によって補正された特許請求の範囲の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定されるとおりのものと認められるところ、その請求項1に係る発明は次のとおりである。

「車両ゲージアセンブリにおいて、
第1の部分と第2の部分とを有するポインタアセンブリと、
第1の部分のみを照明するための第1の光源と、
第2の部分のみを照明するための第2の光源と、が設けられており、
前記第1の光源と前記第2の光源とが、互いに独立して作動可能であることを特徴とする、車両ゲージアセンブリ。」(以下「本願発明」という。)

2 原査定の拒絶の理由
原査定の拒絶の理由1は、本願発明は、その優先日前に日本国内において頒布された刊行物である実願昭50-58654号(実開昭51-138155号)のマイクロフィルム(引用例)に記載された発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない、というものである。

3 引用例記載の事項
引用例に記載されている事項は、上記「第2 補正の却下の決定」の「2検討」における「(1)引用例記載の事項・引用発明」に示したとおりである。


4 判断
本願発明は、前記「第2 補正の却下の決定」の「1 補正の内容」で検討した本願補正発明から、「前記第1の光源と前記第2の光源とを、互いに独立して作動させる回路部と、を有することを特徴とする」として、回路部による作動に限定することを省いたものである。
そうすると、本願発明の構成に上記本件補正に係る限定を付加した本願補正発明が、前記「第2 補正の却下の決定」の「2 検討」における「(3)判断」に記載したとおり、引用発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も同様の理由により、当業者が容易に発明をすることができたものである。

したがって、本願発明は、引用発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。


6 むすび
以上のとおり、本願発明は、引用発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、他の請求項に係る発明について審理するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2014-09-04 
結審通知日 2014-09-08 
審決日 2014-09-29 
出願番号 特願2008-550515(P2008-550515)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (G01D)
P 1 8・ 575- Z (G01D)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 榮永 雅夫  
特許庁審判長 酒井 伸芳
特許庁審判官 新川 圭二
中塚 直樹
発明の名称 照明変化計器クラスタ  
代理人 アインゼル・フェリックス=ラインハルト  
代理人 久野 琢也  

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