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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) H02J 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) H02J 審判 査定不服 特36条4項詳細な説明の記載不備 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) H02J 審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) H02J 審判 査定不服 4号2号請求項の限定的減縮 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) H02J |
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管理番号 | 1297604 |
審判番号 | 不服2013-18859 |
総通号数 | 184 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2015-04-24 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2013-09-30 |
確定日 | 2015-02-12 |
事件の表示 | 特願2010-205515「電力保存装置とその動作方法及び電力保存システム」拒絶査定不服審判事件〔平成23年 7月28日出願公開、特開2011-147329〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1.手続の経緯 本願は、平成22年9月14日(パリ条約による優先権主張外国庁受理 2010年1月18日 韓国(KR))の特許出願であって、平成24年8月6日付けで拒絶理由が通知され、同年11月13日付けで意見書及び手続補正書が提出されたところ、平成25年5月24日付けで拒絶査定がなされ、これに対して、同年9月30日に本件審判が請求されるとともに同日付けで手続補正書が提出されたが、平成26年5月13日付けで平成25年9月30日付けの手続補正書による手続補正に対する補正の却下の決定がなされると共に同日付で最後の拒絶理由が通知され、これに対し、平成26年7月30日付けで意見書及び手続補正書が提出されたものである。 2.平成26年7月30日付けの手続補正書による手続補正についての補正の却下の決定 [補正の却下の決定の結論] 平成26年7月30日付けの手続補正(以下、「本件補正」という。)を却下する。 [理由I] (1)補正の内容 本件補正前の平成24年11月13日付け手続補正書に記載された特許請求の範囲は、以下のとおりである。 「【請求項1】 発電システムと第1ノードとの間に連結されて、発電システムで発電される電力を第1ノードの電圧に変換する電力変換部と、 バッテリー管理システムと前記第1ノードとの間に連結されて、双方向インバータを通じて出力される電力系統からの電力、及び前記電力変換部から出力される前記発電システムからの電力をDC-DC変換してバッテリーに伝達し、バッテリー管理システムを通じて出力される前記バッテリーからの電力をDC-DC変換して、負荷または前記電力系統に伝達する双方向コンバータと、 前記第1ノードと第2ノードとの間に連結されて、前記第1ノードを通じて入力された電圧をDC-AC反転して、負荷または電力系統に伝達し、前記電力系統からの電力をAC-DC反転して、第1ノードに出力する双方向インバータと、 前記電力系統と前記双方向インバータとを連係する系統連係器と、 前記発電システムからの電力を充電し、前記負荷に電力を供給するバッテリーであって、並列に連結されて個別的に充電及び放電可能な複数のバッテリーユニットと、それぞれの前記バッテリーユニットと充電パスまたは放電パスとを連結する複数のスイッチング素子とを含むバッテリと、 異常状況で前記系統連係器を制御して前記電力系統と電力保存装置との連係を遮断し、前記電力変換部、前記双方向コンバータ、前記双方向インバータ、前記系統連係器及び前記バッテリーを制御する統合制御器であって、前記異常状況を感知し、前記系統連係器を制御して前記電力系統と前記電力保存装置との連係を遮断する系統連係制御部と、前記異常状況での前記バッテリーユニットの充放電状態を監視し、前記充放電状態によって前記バッテリーユニットを前記充電パスまたは前記放電パスに連結するかどうかを決定するバッテリー監視部と、前記バッテリー監視部の決定によって前記スイッチング素子を制御するスイッチング制御部と、前記異常状況で前記バッテリーユニットが前記充電パスに連結された場合、前記発電システムで発電された電力を前記バッテリーユニットに充電するように前記電力変換部及び前記双方向コンバータを制御する充電制御部と、前記異常状況で前記バッテリーユニットが前記放電パスに連結された場合、前記バッテリーユニットに保存された電力を前記負荷に供給するように、前記双方向コンバータ、及び前記双方向インバータを制御する放電制御部と、を含む統合制御器とを備え、 前記統合制御器は、前記異常状況で前記バッテリーの充放電状態を監視し、前記バッテリーから前記負荷に電力を供給すると同時に、前記発電システムからの電力を充電するように制御する電力保存装置。 【請求項2】 前記バッテリー監視部は、 前記バッテリーユニットが充電完了状態である場合、前記バッテリーユニットを前記放電パスに連結するように決定し、 前記バッテリーユニットが充電不足状態である場合、前記バッテリーユニットを前記充電パスに連結するように決定することを特徴とする請求項1に記載の電力保存装置。 【請求項3】 前記発電システムは、太陽発電システム、風力発電システム、地熱発電システム、水力発電システムまたは海洋発電システムなどの新エネルギー発電システムであるか、 または、燃料電池、水素、石炭液化ガスまたは中等品質残油ガスを利用した再生可能エネルギー発電システムであることを特徴とする請求項1に記載の電力保存装置。 【請求項4】 前記第1ノードと前記双方向インバータとの間に連結され、前記第1ノードの電圧を安定化するDCリンクキャパシタをさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の電力保存装置。 【請求項5】 前記バッテリーと前記双方向コンバータとの間に連結され、前記バッテリーの状態を管理するバッテリー管理システムをさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の電力保存装置。 【請求項6】 電力を伝達する電力系統と、 新エネルギーまたは再生可能エネルギーから電気エネルギーを発電する発電システムと、 前記電力系統、前記発電システムまたは電力保存装置から電力を伝達されて消費する負荷と、 電力保存装置と、を備え、 前記電力保存装置は、 発電システムと第1ノードとの間に連結されて、発電システムで発電される電力を第1ノードの電圧に変換する電力変換部と、 バッテリー管理システムと前記第1ノードとの間に連結されて、双方向インバータを通じて出力される電力系統からの電力、及び前記電力変換部から出力される前記発電システムからの電力をDC-DC変換してバッテリーに伝達し、バッテリー管理システムを通じて出力される前記バッテリーからの電力をDC-DC変換して、負荷または前記電力系統に伝達する双方向コンバータと、 前記第1ノードと第2ノードとの間に連結されて、前記第1ノードを通じて入力された電圧をDC-AC反転して、負荷または電力系統に伝達し、前記電力系統からの電力をAC-DC反転して、第1ノードに出力する双方向インバータと、 前記電力系統と前記双方向インバータとを連係する系統連係器と、 前記発電システムからの電力を充電し、前記負荷に電力を供給するバッテリーであって、並列に連結されて個別的に充電及び放電可能な複数のバッテリーユニットと、それぞれの前記バッテリーユニットと充電パスまたは放電パスとを連結する複数のスイッチング素子とを含むバッテリーと、 異常状況で前記系統連係器を制御して前記電力系統と電力保存装置との連係を遮断し、前記電力変換部、前記双方向コンバータ、前記双方向インバータ、前記系統連係器及び前記バッテリーを制御する統合制御器であって、前記異常状況を感知し、前記系統連係器を制御して前記電力系統と前記電力保存装置との連係を遮断する系統連係制御部と、前記異常状況での前記バッテリーユニットの充放電状態を監視し、前記充放電状態によって前記バッテリーユニットを前記充電パスまたは前記放電パスに連結するかどうかを決定するバッテリー監視部と、前記バッテリー監視部の決定によって前記スイッチング素子を制御するスイッチング制御部と、前記異常状況で前記バッテリーユニットが前記充電パスに連結された場合、前記発電システムで発電された電力を前記バッテリーユニットに充電するように前記電力変換部及び前記双方向コンバータを制御する充電制御部と、前記異常状況で前記バッテリーユニットが前記放電パスに連結された場合、前記バッテリーユニットに保存された電力を前記負荷に供給するように、前記双方向コンバータ、及び前記双方向インバータを制御する放電制御部と、を含む統合制御器と、を備え、 前記統合制御器は、前記異常状況で前記バッテリーの充放電状態を監視し、前記バッテリーから前記負荷に電力を供給すると同時に、前記発電システムからの電力を充電するように制御することを特徴とする電力保存システム。 【請求項7】 前記電力保存装置は、前記バッテリーと前記双方向コンバータとの間に連結され、前記バッテリーの状態を管理するバッテリー管理システムをさらに備えることを特徴とする請求項6に記載の電力保存システム。 【請求項8】 発電システムと第1ノードとの間に連結されて、発電システムで発電される電力を第1ノードの電圧に変換する電力変換部と、 バッテリー管理システムと前記第1ノードとの間に連結されて、双方向インバータを通じて出力される電力系統からの電力、及び前記電力変換部から出力される前記発電システムからの電力をDC-DC変換してバッテリーに伝達し、バッテリー管理システムを通じて出力される前記バッテリーからの電力をDC-DC変換して、負荷または前記電力系統に伝達する双方向コンバータと、 前記第1ノードと第2ノードとの間に連結されて、前記第1ノードを通じて入力された電圧をDC-AC反転して、負荷または電力系統に伝達し、前記電力系統からの電力をAC-DC反転して、第1ノードに出力する双方向インバータと、 前記電力系統と前記双方向インバータとを連係する系統連係器と、 前記発電システムからの電力を充電し、前記負荷に電力を供給するバッテリーであって、並列に連結されて個別的に充電及び放電可能な複数のバッテリーユニットと、それぞれの前記バッテリーユニットと充電パスまたは放電パスとを連結する複数のスイッチング素子とを含むバッテリーと、 異常状況で前記系統連係器を制御して前記電力系統と電力保存装置との連係を遮断し、前記電力変換部、前記双方向コンバータ、前記双方向インバータ、前記系統連係器及び前記バッテリーを制御する統合制御器であって、前記異常状況を感知し、前記系統連係器を制御して前記電力系統と前記電力保存装置との連係を遮断する系統連係制御部と、前記異常状況での前記バッテリーユニットの充放電状態を監視し、前記充放電状態によって前記バッテリーユニットを前記充電パスまたは前記放電パスに連結するかどうかを決定するバッテリー監視部と、前記バッテリー監視部の決定によって前記スイッチング素子を制御するスイッチング制御部と、前記異常状況で前記バッテリーユニットが前記充電パスに連結された場合、前記発電システムで発電された電力を前記バッテリーユニットに充電するように前記電力変換部及び前記双方向コンバータを制御する充電制御部と、前記異常状況で前記バッテリーユニットが前記放電パスに連結された場合、前記バッテリーユニットに保存された電力を前記負荷に供給するように、前記双方向コンバータ、及び前記双方向インバータを制御する放電制御部と、を含む統合制御器と、を備え、前記統合制御器が、前記異常状況で前記バッテリーの充放電状態を監視し、前記バッテリーから前記負荷に電力を供給すると同時に、前記発電システムからの電力を充電するように制御する電力保存装置の動作方法において、 異常状況で前記電力保存装置と前記電力系統との連係を遮断するステップと、 前記複数のバッテリーユニットの充放電状態によって、前記複数のバッテリーユニットの充電または放電を行うステップと、 前記複数のバッテリーユニットの充放電状態によって、一部バッテリーユニットは放電されて負荷に電力を供給し、同時に他の一部バッテリーユニットは前記発電システムで発電した電力を充電するステップと、を含むことを特徴とする電力保存装置の動作方法。 【請求項9】 前記複数のバッテリーユニットの充放電状態によって、前記複数のバッテリーユニットの充電または放電を行うステップは、 前記複数のバッテリーユニットの充放電状態を監視するステップと、 前記監視するステップの監視結果に応じて、充電完了状態のバッテリーユニットを放電パスに連結して、前記バッテリーユニットに保存された電力を前記負荷に供給するステップと、 前記監視するステップの監視結果に応じて、充電不足状態のバッテリーユニットを充電パスに連結して、前記発電システムからの発電された電力を前記バッテリーユニットに充電するステップと、を含むことを特徴とする請求項8に記載の電力保存装置の動作方法。 【請求項10】 前記電力保存システムは、前記バッテリーと前記双方向コンバータとの間に連結され、前記バッテリーの状態を管理するバッテリー管理システムをさらに備えることを特徴とする請求項8に記載の電力保存装置の動作方法。」 これに対し、本件補正により、特許請求の範囲は、以下のように補正された。 「【請求項1】 発電システムと第1ノードとの間に連結されて、発電システムで発電される電力を第1ノードの電圧に変換する電力変換部と、 バッテリー管理システムと前記第1ノードとの間に連結されて、双方向インバータを通じて出力される電力系統からの電力、及び前記電力変換部から出力される前記発電システムからの電力をDC-DC変換してバッテリーに伝達し、バッテリー管理システムを通じて出力される前記バッテリーからの電力をDC-DC変換して、負荷または前記電力系統に伝達する双方向コンバータと、 前記第1ノードと第2ノードとの間に連結されて、前記第1ノードを通じて入力された電圧をDC-AC反転して、負荷または電力系統に伝達し、前記電力系統からの電力をAC-DC反転して、第1ノードに出力する双方向インバータと、 前記電力系統と前記双方向インバータとを連係する系統連係器と、 前記発電システムからの電力を充電し、前記負荷に電力を供給するバッテリーであって、並列に連結されて個別的に充電及び放電可能な複数のバッテリーユニットと、それぞれの前記バッテリーユニットと充電パスまたは放電パスとを連結する複数のスイッチング素子とを含むバッテリと、 異常状況で前記系統連係器を制御して前記電力系統と電力保存装置との連係を遮断し、前記電力変換部、前記双方向コンバータ、前記双方向インバータ、前記系統連係器及び前記バッテリーを制御する統合制御器であって、前記異常状況を感知し、前記系統連係器を制御して前記電力系統と前記電力保存装置との連係を遮断する系統連係制御部と、前記異常状況での前記バッテリーユニットの充放電状態を監視し、前記充放電状態によって前記バッテリーユニットを前記充電パスまたは前記放電パスに連結するかどうかを決定するバッテリー監視部と、前記バッテリー監視部の決定によって前記スイッチング素子を制御するスイッチング制御部と、前記異常状況で前記バッテリーユニットが前記充電パスに連結された場合、前記発電システムで発電された電力を前記バッテリーユニットに充電するように前記電力変換部及び前記双方向コンバータを制御する充電制御部と、前記異常状況で前記バッテリーユニットが前記放電パスに連結された場合、前記バッテリーユニットに保存された電力を前記負荷に供給するように、前記双方向コンバータ、及び前記双方向インバータを制御する放電制御部と、を含む統合制御器とを備え、 前記統合制御器は、前記異常状況で前記バッテリーの充放電状態をリアルタイムで監視し、充電完了状態の前記バッテリーから前記負荷に電力を供給し、前記発電システムからの電力を充電不足状態の前記バッテリーに充電するように制御する電力保存装置。 【請求項2】 前記バッテリー監視部は、 前記バッテリーユニットが充電完了状態である場合、前記バッテリーユニットを前記放電パスに連結するように決定し、 前記バッテリーユニットが充電不足状態である場合、前記バッテリーユニットを前記充電パスに連結するように決定することを特徴とする請求項1に記載の電力保存装置。 【請求項3】 前記発電システムは、太陽発電システム、風力発電システム、地熱発電システム、水力発電システムまたは海洋発電システムなどの新エネルギー発電システムであるか、 または、燃料電池、水素、石炭液化ガスまたは中等品質残油ガスを利用した再生可能エネルギー発電システムであることを特徴とする請求項1に記載の電力保存装置。 【請求項4】 前記第1ノードと前記双方向インバータとの間に連結され、前記第1ノードの電圧を安定化するDCリンクキャパシタをさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の電力保存装置。 【請求項5】 前記バッテリーと前記双方向コンバータとの間に連結され、前記バッテリーの状態を管理するバッテリー管理システムをさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の電力保存装置。 【請求項6】 電力を伝達する電力系統と、 新エネルギーまたは再生可能エネルギーから電気エネルギーを発電する発電システムと、 前記電力系統、前記発電システムまたは電力保存装置から電力を伝達されて消費する負荷と、 電力保存装置と、を備え、 前記電力保存装置は、 発電システムと第1ノードとの間に連結されて、発電システムで発電される電力を第1ノードの電圧に変換する電力変換部と、 バッテリー管理システムと前記第1ノードとの間に連結されて、双方向インバータを通じて出力される電力系統からの電力、及び前記電力変換部から出力される前記発電システムからの電力をDC-DC変換してバッテリーに伝達し、バッテリー管理システムを通じて出力される前記バッテリーからの電力をDC-DC変換して、負荷または前記電力系統に伝達する双方向コンバータと、 前記第1ノードと第2ノードとの間に連結されて、前記第1ノードを通じて入力された電圧をDC-AC反転して、負荷または電力系統に伝達し、前記電力系統からの電力をAC-DC反転して、第1ノードに出力する双方向インバータと、 前記電力系統と前記双方向インバータとを連係する系統連係器と、 前記発電システムからの電力を充電し、前記負荷に電力を供給するバッテリーであって、並列に連結されて個別的に充電及び放電可能な複数のバッテリーユニットと、それぞれの前記バッテリーユニットと充電パスまたは放電パスとを連結する複数のスイッチング素子とを含むバッテリーと、 異常状況で前記系統連係器を制御して前記電力系統と電力保存装置との連係を遮断し、前記電力変換部、前記双方向コンバータ、前記双方向インバータ、前記系統連係器及び前記バッテリーを制御する統合制御器であって、前記異常状況を感知し、前記系統連係器を制御して前記電力系統と前記電力保存装置との連係を遮断する系統連係制御部と、前記異常状況での前記バッテリーユニットの充放電状態を監視し、前記充放電状態によって前記バッテリーユニットを前記充電パスまたは前記放電パスに連結するかどうかを決定するバッテリー監視部と、前記バッテリー監視部の決定によって前記スイッチング素子を制御するスイッチング制御部と、前記異常状況で前記バッテリーユニットが前記充電パスに連結された場合、前記発電システムで発電された電力を前記バッテリーユニットに充電するように前記電力変換部及び前記双方向コンバータを制御する充電制御部と、前記異常状況で前記バッテリーユニットが前記放電パスに連結された場合、前記バッテリーユニットに保存された電力を前記負荷に供給するように、前記双方向コンバータ、及び前記双方向インバータを制御する放電制御部と、を含む統合制御器と、を備え、 前記統合制御器は、前記異常状況で前記バッテリーの充放電状態をリアルタイムで監視し、充電完了状態の前記バッテリーから前記負荷に電力を供給し、前記発電システムからの電力を充電不足状態の前記バッテリーに充電するように制御することを特徴とする電力保存システム。 【請求項7】 前記電力保存装置は、前記バッテリーと前記双方向コンバータとの間に連結され、前記バッテリーの状態を管理するバッテリー管理システムをさらに備えることを特徴とする請求項6に記載の電力保存システム。 【請求項8】 発電システムと第1ノードとの間に連結されて、発電システムで発電される電力を第1ノードの電圧に変換する電力変換部と、 バッテリー管理システムと前記第1ノードとの間に連結されて、双方向インバータを通じて出力される電力系統からの電力、及び前記電力変換部から出力される前記発電システムからの電力をDC-DC変換してバッテリーに伝達し、バッテリー管理システムを通じて出力される前記バッテリーからの電力をDC-DC変換して、負荷または前記電力系統に伝達する双方向コンバータと、 前記第1ノードと第2ノードとの間に連結されて、前記第1ノードを通じて入力された電圧をDC-AC反転して、負荷または電力系統に伝達し、前記電力系統からの電力をAC-DC反転して、第1ノードに出力する双方向インバータと、 前記電力系統と前記双方向インバータとを連係する系統連係器と、 前記発電システムからの電力を充電し、前記負荷に電力を供給するバッテリーであって、並列に連結されて個別的に充電及び放電可能な複数のバッテリーユニットと、それぞれの前記バッテリーユニットと充電パスまたは放電パスとを連結する複数のスイッチング素子とを含むバッテリーと、 異常状況で前記系統連係器を制御して前記電力系統と電力保存装置との連係を遮断し、前記電力変換部、前記双方向コンバータ、前記双方向インバータ、前記系統連係器及び前記バッテリーを制御する統合制御器であって、前記異常状況を感知し、前記系統連係器を制御して前記電力系統と前記電力保存装置との連係を遮断する系統連係制御部と、前記異常状況での前記バッテリーユニットの充放電状態を監視し、前記充放電状態によって前記バッテリーユニットを前記充電パスまたは前記放電パスに連結するかどうかを決定するバッテリー監視部と、前記バッテリー監視部の決定によって前記スイッチング素子を制御するスイッチング制御部と、前記異常状況で前記バッテリーユニットが前記充電パスに連結された場合、前記発電システムで発電された電力を前記バッテリーユニットに充電するように前記電力変換部及び前記双方向コンバータを制御する充電制御部と、前記異常状況で前記バッテリーユニットが前記放電パスに連結された場合、前記バッテリーユニットに保存された電力を前記負荷に供給するように、前記双方向コンバータ、及び前記双方向インバータを制御する放電制御部と、を含む統合制御器と、を備え、前記統合制御器が、前記異常状況で前記バッテリーの充放電状態を監視し、前記バッテリーから前記負荷に電力を供給すると同時に、前記発電システムからの電力を充電するように制御する電力保存装置の動作方法において、 異常状況で前記電力保存装置と前記電力系統との連係を遮断するステップと、 前記複数のバッテリーユニットの充放電状態によって、前記複数のバッテリーユニットの充電または放電を行うステップと、 前記複数のバッテリーユニットの充放電状態をリアルタイムで監視して、充電完了状態のバッテリーユニットは放電されて負荷に電力を供給し、充電不足状態のバッテリーユニットは前記発電システムで発電した電力を充電するように制御するステップと、を含むことを特徴とする電力保存装置の動作方法。 【請求項9】 前記複数のバッテリーユニットの充放電状態によって、前記複数のバッテリーユニットの充電または放電を行うステップは、 前記複数のバッテリーユニットの充放電状態を監視するステップと、 前記監視するステップの監視結果に応じて、充電完了状態のバッテリーユニットを放電パスに連結して、前記バッテリーユニットに保存された電力を前記負荷に供給するステップと、 前記監視するステップの監視結果に応じて、充電不足状態のバッテリーユニットを充電パスに連結して、前記発電システムからの発電された電力を前記バッテリーユニットに充電するステップと、を含むことを特徴とする請求項8に記載の電力保存装置の動作方法。 【請求項10】 前記電力保存装置の動作方法は、前記バッテリーと前記双方向コンバータとの間に連結され、前記バッテリーの状態を管理するバッテリー管理システムをさらに備えることを特徴とする請求項8に記載の電力保存装置の動作方法。」 (2)目的要件について 本件補正が、特許法第17条の2第5項の各号に掲げる事項を目的とするものに該当するかについて検討する。 特許法第17条の2第5項2号の「特許請求の範囲の減縮」は、第36条第5項の規定により請求項に記載した発明を特定するために必要な事項を限定するものであって、その補正前の当該請求項に記載された発明とその補正後の当該請求項に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるものに限られ、補正前の請求項と補正後の請求項との対応関係が明白であって、かつ、補正前の請求項と補正後の請求項とは、一対一又はこれに準ずるような対応関係に立つものでなければならない。 本件補正前と本件補正後において請求項数に変化はなく、本件補正前も本件補正後も各請求項のカテゴリーや引用関係は同じであるから、本件補正前の請求項1は本件補正後の請求項1に一応対応する。 請求項1に対する本件補正は、本件補正前の請求項1の「統合制御器は、前記異常状況で前記バッテリーの充放電状態を監視し、前記バッテリーから前記負荷に電力を供給すると同時に、前記発電システムからの電力を充電するように制御する」を、本件補正後の請求項1の「統合制御器は、前記異常状況で前記バッテリーの充放電状態をリアルタイムで監視し、充電完了状態の前記バッテリーから前記負荷に電力を供給し、前記発電システムからの電力を充電不足状態の前記バッテリーに充電するように制御する」に変更するものである。 ここで、本件補正前の請求項1における「統合制御器」は、「前記異常状況での前記バッテリーユニットの充放電状態を監視し、前記充放電状態によって前記バッテリーユニットを前記充電パスまたは前記放電パスに連結するかどうかを決定するバッテリー監視部と、前記バッテリー監視部の決定によって前記スイッチング素子を制御するスイッチング制御部と、前記異常状況で前記バッテリーユニットが前記充電パスに連結された場合、前記発電システムで発電された電力を前記バッテリーユニットに充電するように前記電力変換部及び前記双方向コンバータを制御する充電制御部と、前記異常状況で前記バッテリーユニットが前記放電パスに連結された場合、前記バッテリーユニットに保存された電力を前記負荷に供給するように、前記双方向コンバータ、及び前記双方向インバータを制御する放電制御部と、を含む統合制御器」である。 したがって、本件補正によって付加される事項のうち、「バッテリーの充放電状態を監視」することを「バッテリーの充放電状態をリアルタイムで監視」するものとすることは、統合制御器が有する「バッテリー監視部」が行う監視が「リアルタイム」で行われることを限定しようとするものと考えることができる。 しかしながら、「充電完了状態」や「充電不足状態」という状態を付加する点については、本件補正前の請求項1における「統合制御器」が有する、バッテリーユニットを前記充電パスまたは前記放電パスに連結するかどうかを決定する「バッテリー監視部」が監視する、バッテリーユニットの「充放電状態」を限定したものと考えると、補正後の請求項1では、補正前の請求項1と同様、バッテリー監視部により、バッテリーユニットの「充放電状態」によって、バッテリーユニットを前記充電パスまたは前記放電パスに連結するかどうかが決定されていながら、「充電完了状態」や「充電不足状態」に限定されたバッテリーから負荷への電力の供給、発電システムからバッテリーへの充電が行われるものとなり、本件補正後の請求項1は、バッテリーユニットが放電パスや充電パスに連結された場合においても、特定の時期でなければ、負荷への電力の供給が行われないような場合や、充電が行われない場合を含むものとなるから、補正後の請求項が補正前の請求項を限定した関係になっておらず、「特許請求の範囲の減縮」に該当しない。 さらに、「バッテリーから前記負荷に電力を供給すると同時に」を「バッテリーから前記負荷に電力を供給し」とすることは、「同時に」という構成を削除するものであり、この点からも、補正後の請求項1は補正前の請求項1を拡張するものであって「特許請求の範囲の減縮」に該当しないことは明らかである。 なお、当審から平成26年5月13日付で最後の拒絶理由として以下の拒絶の理由(理由A.)が通知されている。 「理由A.この出願は、発明の詳細な説明の記載が下記の点で、特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていない。 記 請求項1には、「異常状況で前記バッテリーユニットが前記充電パスに連結された場合、前記発電システムで発電された電力を前記バッテリーユニットに充電するように前記電力変換部及び前記双方向コンバータを制御する充電制御部と、前記異常状況で前記バッテリーユニットが前記放電パスに連結された場合、前記バッテリーユニットに保存された電力を前記負荷に供給するように、前記双方向コンバータ、及び前記双方向インバータを制御する放電制御部と、を含む統合制御器とを備え、 前記統合制御器は、前記異常状況で前記バッテリーの充放電状態を監視し、前記バッテリーから前記負荷に電力を供給すると同時に、前記発電システムからの電力を充電するように制御する」と記載されている。 また、請求項6,8にも同様の記載がある。 これに対し、発明の詳細な説明の記載を参照しても、バッテリーユニットが「放電パス」および「充電パス」に接続された場合、どのようにすれば「放電パス」および「充電パス」から、「BMS 60」,「双方向コンバータ50」,「第1ノードN1」を介して、「負荷」と「発電システム」とに至る経路を同時に形成することができるのか、また、どのようにすれば、負荷に供給する電力と、発電システムからの電力との双方を同時に制御することができるのかについて、明確かつ十分に記載されておらず、発明の詳細な説明の記載は、請求項1-10に係る発明に関し、発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者がその実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載したものでない。 」 これに対し請求人は、平成26年7月30日付けの意見書において次のように述べている。 「理由A(記載不備(特許法36条第4項第1号該当))について 審査官のご指摘に対応して、上述しましたように、請求項1の記載を「前記統合制御器は、前記異常状況で前記バッテリーの充放電状態をリアルタイムで監視し、充電完了状態の前記バッテリーから前記負荷に電力を供給し、前記発電システムからの電力を充電不足状態の前記バッテリーに充電するように制御する」と補正致しました。 本願の段落0064には「異常状況(S602で電力系統1に異常状況が発生した場合(段落0063)が始まれば、統合制御器200は、バッテリーユニット110及び発電システム3の状態を監視する。例えば、バッテリーユニット1及びバッテリーユニット2は充電完了状態であり、バッテリーユニット3ないしバッテリーユニット5は充電不足状態であると仮定する。統合制御器200は、バッテリーユニット1及びバッテリーユニット2をスイッチ部120の各スイッチ素子122を介して放電パス140に連結して負荷2に電力を供給する。他方、統合制御器200は、バッテリーユニット3ないしバッテリーユニット5をスイッチ部120の各スイッチ素子121を介して充電パス130に連結して、発電システム3からの電力を該当のバッテリーユニット3ないし5に供給させて、各バッテリユニットが充電されるように制御する(S603)。」と記載されています。また、段落0071には「異常状況が続く場合、図6で説明したように、バッテリーユニットの充放電状態をリアルタイムで監視して、各バッテリーユニットの充電及び放電状態を個別的に制御できる。」と記載されています。 すなわち、リアルタイムで、図6に示すように、異常時には、バッテリーユニットを個別に充電及び放電状態に制御し、その構成が図4(充電スイッチング素子121、放電スイッチング素子122)等に開示されているのであります。 したがって、「前記統合制御器は、前記異常状況で前記バッテリーの充放電状態をリアルタイムで監視し、充電完了状態の前記バッテリーから前記負荷に電力を供給し、前記発電システムからの電力を充電不足状態の前記バッテリーに充電するように制御する」という構成は開示されているものと思料致します。また、当業者であれば、このような構成によれば、「双方向コンバータ」が1つで制御できる(リアルタイムでスイッチング可能である)ものであると理解できることは明らかであるものと思料致します。」 しかしながら、発明の詳細な説明の、段落【0064】,図4,図6に示されることは、複数のバッテリーユニットのそれぞれが充電状態に応じて「放電パス」および「充電パス」に接続され、この「放電パス」および「充電パス」から「負荷」と「発電システム」とに至る放電経路と充電経路(放電と充電の電力の流れ)が形成されることである。 そして、段落【0071】の記載は「異常状況が続く場合、図6で説明したように、バッテリーユニットの充放電状態をリアルタイムで監視して、各バッテリーユニットの充電及び放電状態を個別的に制御できる。」であるが、図6には、異常状態におけるバッテリーユニットの充電と放電とが平行して行われることが図示されており、当該「個別的」との記載は、放電と充電との状態が同時に制御されないことを意味するものではなく、複数のバッテリーユニットのそれぞれを個別的に「放電パス」と「充電パス」とに接続することを意味するものであり、また、それぞれの接続は同時に放電の経路、充電の経路として機能することも明らかであるから、図6に示されるごとく、放電と充電との状態が同時に制御されることとなるものである。 なお、本件補正後の請求項1にも「並列に連結されて個別的に充電及び放電可能な複数のバッテリーユニットと、それぞれの前記バッテリーユニットと充電パスまたは放電パスとを連結する複数のスイッチング素子とを含むバッテリ」の記載があるように、「個別的」に行われるのは、「放電パス」と「充電パス」とへの接続である。 したがって、本件補正後の請求項1の「前記統合制御器は、前記異常状況で前記バッテリーの充放電状態をリアルタイムで監視し、充電完了状態の前記バッテリーから前記負荷に電力を供給し、前記発電システムからの電力を充電不足状態の前記バッテリーに充電するように制御する」という構成を有したとしても、特に「双方向コンバータ」において、放電経路と充電経路(放電と充電の電力の流れ)が同時に形成されるものであり、段落【0064】,図4,図6の記載、及び、段落【0071】の記載に基づき、「双方向コンバータ」1つで制御できることを明らかにするものということはできず、「拒絶の理由に示す事項についてする」「明りょうでない記載の釈明」にも該当しない。 また、本件補正が、請求項の削除及び誤記の訂正を目的としたものでないことも明らかである。 (3)むすび 以上のとおり、本件補正は、特許法第17条の2第5項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 [理由II] 上記のとおり、本件補正は、特許法第17条の2第5項の各号に掲げるいずれの事項を目的とするものにも該当しないが、仮に本件補正が、特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当するとして、本件補正後の前記請求項1に係る発明(以下、「本願補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか)について以下に検討する。 (1)発明の明確性(特許法第36条第6項第2号)について 本件補正後の請求項1には「異常状況で前記系統連係器を制御して前記電力系統と電力保存装置との連係を遮断し、前記電力変換部、前記双方向コンバータ、前記双方向インバータ、前記系統連係器及び前記バッテリーを制御する統合制御器であって、前記異常状況を感知し、前記系統連係器を制御して前記電力系統と前記電力保存装置との連係を遮断する系統連係制御部と、前記異常状況での前記バッテリーユニットの充放電状態を監視し、前記充放電状態によって前記バッテリーユニットを前記充電パスまたは前記放電パスに連結するかどうかを決定するバッテリー監視部と、前記バッテリー監視部の決定によって前記スイッチング素子を制御するスイッチング制御部と、前記異常状況で前記バッテリーユニットが前記充電パスに連結された場合、前記発電システムで発電された電力を前記バッテリーユニットに充電するように前記電力変換部及び前記双方向コンバータを制御する充電制御部と、前記異常状況で前記バッテリーユニットが前記放電パスに連結された場合、前記バッテリーユニットに保存された電力を前記負荷に供給するように、前記双方向コンバータ、及び前記双方向インバータを制御する放電制御部と、を含む統合制御器とを備え、 前記統合制御器は、前記異常状況で前記バッテリーの充放電状態をリアルタイムで監視し、充電完了状態の前記バッテリーから前記負荷に電力を供給し、前記発電システムからの電力を充電不足状態の前記バッテリーに充電するように制御する」との記載がある。 ここには、異常状況でのバッテリーユニットの充放電状態を監視し、前記充放電状態によって前記バッテリーユニットを充電パスまたは放電パスに連結するかどうかを決定するバッテリー監視部による監視と、異常状況でバッテリーの充放電状態をリアルタイムで監視し、充電完了状態の前記バッテリーから負荷に電力を供給し、発電システムからの電力を充電不足状態のバッテリーに充電するように制御する統合制御器による監視との2つの監視が示されている。 「充放電状態」により、前記バッテリーユニットを充電パスまたは放電パスに連結するかどうか決定されることは、統合制御器に含まれる充電制御部と放電制御部とにより「前記異常状況で前記バッテリーユニットが前記充電パスに連結された場合、前記発電システムで発電された電力を前記バッテリーユニットに充電するように前記電力変換部及び前記双方向コンバータを制御する」ことと「前記異常状況で前記バッテリーユニットが前記放電パスに連結された場合、前記バッテリーユニットに保存された電力を前記負荷に供給するように、前記双方向コンバータ、及び前記双方向インバータを制御する」ことが行われる。 一方、統合制御器による異常状況でのバッテリーの「リアルタイム」での監視により、「充電完了状態」の前記バッテリーから負荷に電力を供給する制御と、「充電不足状態」のバッテリーに発電システムからの電力を充電するように制御することとは、共に「充電」と「放電」の制御を目的とするものであるものの、判断を行う値が同じものなのか、異なるものなのか明確でなく、また、制御に用いる要素も同じものなのか、異なるものなのか明確でなく、両者の関係が不明である。 したがって、本件補正後の請求項1は、その記載が明確でなく、当該請求項に係る本願補正発明は、特許法第36条第6項第2号の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。 (2)進歩性(特許法第29条第2号)について ・引用例 当審の拒絶の理由に引用された特開2008-54473号公報(以下、「引用例1」という。)には、図面と共に以下の事項が記載されている。 ア.「【0006】 本発明のパワーコンディショナは、直流電源の直流電力を交流電力に変換する電力変換回路と、前記電力変換回路と蓄電手段の間に接続され、前記蓄電手段の充放電を行う充放電回路と、負荷に交流電力を供給する商用電力系統と、前記電力変換回路と充放電回路を制御する制御回路と、前記直流電源から駆動電力が供給される第1電源回路と、前記蓄電手段から駆動電力が供給される第2電源回路と、前記商用電力系統から駆動電力が供給される第3電源回路から少なくとも一つの電源回路を選択して、前記制御回路に駆動電力を供給する電源選択回路を備える。 これにより、商用電力系統が停電して第3電源回路が不動作のときは、第1電源回路または第2電源回路から電源選択回路を経由して制御回路が給電を受けて動作することが可能である。また、蓄電池が放電下限に到って第2電源回路が不動作のときは、第1電源回路または第3電源回路から電源選択回路を経由して制御回路が給電を受けて動作することが可能であるため、信頼性の高いシステムを提供することができる。」 イ.「【0009】 図1はこの発明による実施の形態を示すパワーコンディショナの概略構成図である。 直流電源1は、例えば、発電機あるいは風力発電機の交流出力を整流して得た直流電力や、太陽電池または燃料電池等により発生する直流電力を用いることができる。本実施の形態では太陽電池を用いることとする。蓄電手段2は、例えば、二次電池、電気二重層キャパシタあるいは超電導電力貯蔵等の直流電力貯蔵手段を用いることができるが、本実施の形態では二次電池を用いることとする。 一般住宅では、商用電力系統4に家庭内負荷11が接続され、直流電源1および蓄電手段2からパワーコンディショナ3を経由し、スイッチS1を介して出力された交流電力のうち、家庭内負荷11で消費されない余剰電力分が、商用電力系統4側に逆潮流される。 【0010】 上記パワーコンディショナ3は、主としてDC-DCコンバータ8、インバータ回路10、充放電回路5を備えて構成される。直流電源1の直流電力は、DC-DCコンバータ8によって昇圧され、インバータ回路10により、直流母線9の直流電力を商用周波数の交流電力に変換して、例えば単相200Vの商用電力系統4に出力する。蓄電手段2は充放電回路5によって充電または放電され、DC-DCコンバータ8と充放電回路5が接続された直流母線9に接続される。 商用電力系統4が停電した際に、パワーコンディショナ3が商用電力系統4とは独立した非常用電源として動作する自立運転モードの実現のために、スイッチS2を介して自立運転出力12をインバータ回路10の出力端子として備えていることが望ましい。」 ウ.「【0013】 上記充放電回路5は、150V?250Vの二次電池の直流出力電圧を約350Vまで昇圧する双方向DC-DCコンバータである。双方向DC-DCコンバータとして、例えば、図3に示す双方向チョッパまたは図4に示す双方向絶縁型Cukコンバータを適用することができる。」 エ.「【0019】 また、インバータ回路10は、電力料金が安い夜間において商用電力系統4側から直流母線9側にAC-DC変換動作を行える、双方向インバータであることが好ましい。なぜならば、インバータ回路10のAC-DC変換動作時に充放電回路5が充電運転を行うことにより、夜間電力を蓄電手段2へ充電しておいて昼間に家庭内負荷11にて利用することができるからである。」 オ.「【0022】 上記パワーコンディショナ3は、マイコンまたはDSP(Digital signal Processor)等のマイクロプロセッサを有する制御回路7により、動作制御される。ただし、充放電回路5、DC-DCコンバータ8、インバータ回路10等、パワーコンディショナ各部の全動作を、上記制御回路7がまとめて制御する必要はない。本実施の形態においては、DC-DCコンバータ8や充放電回路5の基本的なスイッチング動作は、それぞれ図1に図示しない子制御回路により制御されており、制御回路7は、DC-DCコンバータ8、インバータ回路10や充放電回路5に動作開始、停止等の指令を与え、子制御回路がそれらの指令に基づいて各部を動作させることで、パワーコンディショナ全体の動作が制御されている。図1には制御回路7から充放電回路5、DC-DCコンバータ8、インバータ回路10に接続される制御線41、42、43を示す。」 上記記載事項からみて、引用例1には、 「直流電源1で発生された直流電力を昇圧し直流母線9に出力するDC-DCコンバータ8と、 直流母線9の直流電力と商用周波数の交流電力とを双方向に変換するインバータ回路10と、 直流母線9と蓄電手段2の間に接続され蓄電手段2の充放電を行う双方向DC-DCコンバータからなる充放電回路5と、 インバータ回路10と商用電力系統4との間に接続されるスイッチS1と、 商用電力系統4が停電した際に、自立運転出力12を出力するスイッチS2と、 DC-DCコンバータ8、インバータ回路10や充放電回路5に動作開始、停止等の指令を与え、パワーコンディショナ全体の動作を制御する制御回路7と、 を備えるパワーコンディショナ。」 との発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。 ・対比 本願補正発明と引用発明とを対比すると、引用発明の「パワーコンディショナ」は、直流電源1で発生された直流電力及び商用電力系統4からの電力を蓄電手段2に保存する電力保存の機能を有する装置であり、また商用電力系統の停電の際には、DC-DCコンバータ8とインバータ回路10の自立運転により、蓄電手段2等から商用周波数の交流電力の出力が可能な装置である。 一方、本願補正発明「電力保存装置」は、保存した電力によって商用電力系統の「異常状況」に対応する装置である。 したがって、引用発明の「パワーコンディショナ」は、保存した電力によって停電という商用電力系統の異常に対応可能な機能を含む装置であるから「電力保存装置」といえる。 引用発明の「直流電源1」は、電力を発生させる手段であるから、本願発明の「発電システム」に相当する。 引用発明の「直流母線9」,「商用電力系統4」の構成は、それぞれ本願補正発明の「第1ノード」,「電力系統」に相当する。 引用発明の「DC-DCコンバータ8」は、直流電源1で発生された直流電力を昇圧し直流母線9に出力する機能を有するから、本願補正発明の、「発電システムと第1ノードとの間に連結されて、発電システムで発電される電力を第1ノードの電圧に変換する電力変換部」に相当する。 引用発明の「インバータ回路10」は、直流母線9の直流電力と商用周波数の交流電力とを双方向に変換するものであるから、本願補正発明の「前記第1ノードを通じて入力された電圧をDC-AC反転して、負荷または電力系統に伝達し、前記電力系統からの電力をAC-DC反転して、第1ノードに出力する双方向インバータ」に相当する。 引用発明の「充放電回路5」は、直流母線9と蓄電手段2の間に接続され蓄電手段2の充放電を行うものであり、また、双方向DC-DCコンバータからなるものであるから、本願補正発明の、「前記第1ノードに連結されて、双方向インバータを通じて出力される電力系統からの電力、及び前記電力変換部から出力される前記発電システムからの電力をDC-DC変換してバッテリーに伝達し、前記バッテリーからの電力をDC-DC変換して、負荷または前記電力系統に伝達する双方向コンバータ」と共通する。 また、引用発明の「インバータ回路10」から「スイッチS1」および「スイッチS2」が接続される構成はノードといえ、インバータ回路10との接続構成からみて、本願補正発明の「第2ノード」に相当する。 引用発明の「蓄電手段2」と、本願補正発明の「バッテリー」また「バッテリーユニット」とを比較すると、複数のユニットと複数のスイッチング素子とで構成される点は別として、電力を充放電する「バッテリー」である点において共通する。 引用発明の「自立運転出力12」は、停電時にも給電を行うのための出力であり、直流電源1は電力を発生しない場合もあることから、少なくとも蓄電手段2に蓄えられた電力を負荷に供給するものといえ、本願補正発明の、異常状況で「バッテリーに保存された電力」を「負荷」に「供給」することと同様の技術的な概念を有するものである。 引用発明の「スイッチS1」は、インバータ回路10と商用電力系統4との間に接続されるスイッチであって、「商用電力系統4」の「停電」時等の異常時に、系統連係を遮断するスイッチであることは技術常識からみて明らかであるから、本願補正発明の「系統連係器」に相当する。 引用発明の「制御回路7」は、パワーコンディショナ全体の動作を制御するものであり、各構成要素を統合して制御する点において、本願補正発明の「統合制御器」と共通する。 さらに、引用発明の「制御回路7」は、パワーコンディショナ全体の動作を制御するものであるから、スイッチS1の制御や蓄電手段2から電力供給を可能にする手段に対する制御を行うことも明らかであり、「系統連係制御部」や「放電制御部」に相当する手段を「制御する」という技術的な概念を有する点において、本願補正発明の「統合制御器」と共通する。 したがって、両者は 「発電システムと第1ノードとの間に連結されて、発電システムで発電される電力を第1ノードの電圧に変換する電力変換部と、 前記第1ノードに連結されて、双方向インバータを通じて出力される電力系統からの電力、及び前記電力変換部から出力される前記発電システムからの電力をDC-DC変換してバッテリーに伝達し、前記バッテリーからの電力をDC-DC変換して、負荷または前記電力系統に伝達する双方向コンバータと、 前記第1ノードと第2ノードとの間に連結されて、前記第1ノードを通じて入力された電圧をDC-AC反転して、負荷または電力系統に伝達し、前記電力系統からの電力をAC-DC反転して、第1ノードに出力する双方向インバータと、 前記電力系統と前記双方向インバータとを連係する系統連係器と、 前記発電システムからの電力を充電し、前記負荷に電力を供給するバッテリーと、 異常状況で前記系統連係器を制御して前記電力系統と電力保存装置との連係を遮断し、前記電力変換部、前記双方向コンバータ、前記双方向インバータ、前記系統連係器及び前記バッテリーを制御する統合制御器であって、前記異常状況を感知し、前記系統連係器を制御して前記電力系統と前記電力保存装置との連係を遮断する制御と、 前記異常状況で前記バッテリーに保存された電力を前記負荷に供給するように、前記双方向コンバータ、及び前記双方向インバータを制御すること、を含む統合制御器 を備えた電力保存装置。」 の点で一致し、以下の点で相違している。 (相違点1) バッテリーと、当該バッテリーを双方向コンバータに接続する構成に関し、本願補正発明は、バッテリーが、並列に連結されて個別的に充電及び放電可能な複数のバッテリーユニットと、それぞれの前記バッテリーユニットと充電パスまたは放電パスとを連結する複数のスイッチング素子とを含み、バッテリーと双方向コンバータとをバッテリー管理システムによって接続するものであるのに対し、引用発明の蓄電手段2は、充放電を行う双方向DC-DCコンバータである充放電回路5に接続されるものである点。 (相違点2) 制御部に関し、本願補正発明は、「系統連係制御部」及び「放電制御部」が統合制御器に含まれるものであるのに対し、引用発明の「制御回路7」は、スイッチS1の制御を行う手段や蓄電手段2から電力供給を可能に制御する手段を含むか否か不明である点。 (相違点3) 異常状況での充電および放電の制御に関し、本願補正発明は、統合制御器に含まれるバッテリー監視部によって、バッテリーユニットの充放電状態が監視されて、充電パスまたは放電パスに連結するかどうかが決定され、バッテリーユニットが前記充電パスに連結された場合、充電制御部によって、発電システムで発電された電力を前記バッテリーユニットに充電するように制御され、バッテリーユニットが前記放電パスに連結された場合、放電制御部により、前記バッテリーユニットに保存された電力を前記負荷に供給するように制御し、さらに、統合制御器は、異常状況で前記バッテリーの充放電状態をリアルタイムで監視し、充電完了状態の前記バッテリーから前記負荷に電力を供給し、前記発電システムからの電力を充電不足状態の前記バッテリーに充電するように制御するものであるのに対し、引用発明の制御回路7は、停電時に自立運転出力12をインバータ回路10から出力する制御を行うものであるが、充放電状態の監視や、充電制御について明示していない点。 ・判断 相違点1について 発電装置と蓄電装置とから負荷等へ電力の供給を行う装置において、蓄電装置を並列に連結されて個別的に充電及び放電が可能な複数の単位蓄電装置(バッテリーユニット)によって構成し、蓄電が選択された単位蓄電装置は発電装置から発電された電力によって蓄電を行い、放電が選択された単位蓄電装置は負荷等に対して蓄電された電力の供給を行うものとすることは、当審の拒絶の理由に引用された特開2006-311707号公報(以下、「周知例1」という。)、また、特開2001-45677号公報(以下、「周知例2」という。)に示されるように周知の事項である。 そして、単位蓄電装置に発電装置や負荷等とを接続する構成についても、例えば、単位蓄電装置に対し、複数のスイッチ手段により充電経路と放電経路とに連結するものとして構成すること(周知例1(特に、段落【0021】,【0021】,図1を参照。))や、単位蓄電装置に対し、充放電を制御する充放電制御回路が、発電装置の出力の供給経路、および、単位蓄電池からの放電の経路を構成する(周知例2(特に、段落【0005】,【0008】,図1を参照。))等の任意の構成が可能なものである。 また、本願補正発明は、バッテリーと双方向コンバータとをバッテリー管理システムによって接続するものであるが、発明の詳細な説明の記載を参照しても、バッテリーユニットの放電パスおよび充電パスから、バッテリー管理システム,双方向コンバータを介して、負荷に至る放電経路、また、発電システムに至る充電経路をどのように形成するのかは明確でなく、双方向コンバータとバッテリー管理システムとを用いることに関し、バッテリーユニットの放電パスおよび充電パスから、負荷に至る放電経路、また、発電システムに至る充電経路を形成することができること以上の技術的思想を意味するものではない。 したがって、発電システムとバッテリーとを用いて異常状況で電力を供給可能な引用発明において、バッテリーを、並列に連結されて個別的に充電及び放電可能な複数のバッテリーユニットからなるものとすることは、周知の事項に照らして当業者が容易に想到し得たものであり、その際、例えば周知例1に示されるように、バッテリーユニットと充電パスまたは放電パスとを連結する複数のスイッチング素子を用いてバッテリーを構成し、また、バッテリーの充放電を行う双方向コンバータについて、例えば周知例2に示されるような、負荷に至る放電経路、また、発電システムに至る充電経路を形成する手段を有するものとして構成することは、適宜なし得た程度のものである。 相違点2について 引用例には、上記オ.に「パワーコンディショナ3は、マイコンまたはDSP(Digital signal Processor)等のマイクロプロセッサを有する制御回路7により、動作制御される。ただし、充放電回路5、DC-DCコンバータ8、インバータ回路10等、パワーコンディショナ各部の全動作を、上記制御回路7がまとめて制御する必要はない。本実施の形態においては、DC-DCコンバータ8や充放電回路5の基本的なスイッチング動作は、それぞれ図1に図示しない子制御回路により制御されており、制御回路7は、DC-DCコンバータ8、インバータ回路10や充放電回路5に動作開始、停止等の指令を与え、子制御回路がそれらの指令に基づいて各部を動作させることで、パワーコンディショナ全体の動作が制御されている」とあるように、制御回路7が各部の制御をまとめて行う必要はないことが示されている。 しかし、制御回路7は、マイクロプロセッサを有するものとして構成されることから、当該マイクロプロセッサの能力次第では、一般的には、その機能はいかようにも拡張可能なものと考えられ、スイッチS1の制御を行う手段に相当する「系統連係制御部」、また、蓄電手段2から電力供給を可能に制御する手段に相当する「放電制御部」等の構成を制御回路7にまとめ、制御回路7に含まれるものとすることは容易である。 相違点3について 上記周知例2(特に、段落【0008】を参照。)には、個々の蓄電量を監視することにより充放電を選択する制御を行う技術的思想が示されており、蓄電量の監視は、充放電状態の監視といえるものであるから、バッテリーユニットの充電と放電との選択を充放電状態の監視に基づき決定することは、適宜なし得ることである。 また、充電完了状態のバッテリーから負荷に電力を供給し、充電不足状態のバッテリーに充電するように制御することは、ごく一般的な制御動作であるといえる。 さらに、異常状況でバッテリーの充放電状態をリアルタイムで監視することに関しても、通常、バッテリーの状態監視はリアルタイムで行われるものであるため、格別の監視動作ということはできない。 そして、バッテリー監視部が全体の制御を行う統合制御器に含まれることも、相違点2で行われた検討と同様、容易になし得たものである。 すると、相違点3に係る相違は、引用発明に周知の事項を適用する際に容易に採用し得る事項である。 したがって、本願補正発明は、引用発明及び上記周知の事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものである。 (3)むすび 以上のとおり、本件補正は、特許法第17条の2第6項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法同法第126条第7項の規定により却下すべきものである。 3.本願発明について (1)本願発明 本件補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1-10に係る発明は、上記した平成24年11月13日付手続補正書の特許請求の範囲の請求項1-10に記載された事項により特定されるとおりのものである(請求項1に係る発明を以下「本願発明」という。)。 (2)当審の拒絶の理由 (2-1)理由A.について 当審で平成26年5月13日付で最後の拒絶理由として通知した拒絶理由の理由A.は、上記2.[理由I](2)に示したとおりである。 ・理由A.に対する判断 発明の詳細な説明の記載は、バッテリーユニットが「放電パス」および「充電パス」に接続された場合、どのようにすれば「放電パス」および「充電パス」から、「負荷」と「発電システム」とに至る経路(電力の流れ)を同時に形成することができるのか、また、どのようにすれば、負荷に供給する電力と、発電システムからの電力との双方を同時に制御することができるのかについて依然として不明なものであって、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有するものがその実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載されたものでない。 なお、上記理由A.に対する意見書の内容は、上記2.[理由I](2)に示したとおりのものであるが、その主張の主要な内容は却下された本件補正に基づくものでもあり、その内容を検討しても、上記理由A.は依然として解消していない。 (2-2)理由B.について 当審で平成26年5月13日付で最後の拒絶理由として通知した拒絶理由の理由B.の概要は上記2.[理由II](2)に示したとおりである。 ・引用例 当審の拒絶の理由に引用された引用例及びその記載事項は、上記2.[理由II](2)に示したとおりである。 ・対比 本願発明は、本願補正発明の「統合制御器は、前記異常状況で前記バッテリーの充放電状態をリアルタイムで監視し、充電完了状態の前記バッテリーから前記負荷に電力を供給し、前記発電システムからの電力を充電不足状態の前記バッテリーに充電するように制御する」を「統合制御器は、前記異常状況で前記バッテリーの充放電状態を監視し、前記バッテリーから前記負荷に電力を供給すると同時に、前記発電システムからの電力を充電するように制御する」としたものである。 そうすると、本願発明と引用発明とを対比すると、上記2.[理由II](2)における対比の相違点3は次のような相違となるが、一致する点、また、相違点1,2については、上記2.[理由II](2)に示したとおりである。 (相違点3) 異常状況での充電および放電の制御に関し、本願発明は、統合制御器に含まれるバッテリー監視部によって、バッテリーユニットの充放電状態が監視されて、充電パスまたは放電パスに連結するかどうかが決定され、バッテリーユニットが前記充電パスに連結された場合、充電制御部によって、発電システムで発電された電力を前記バッテリーユニットに充電するように制御され、バッテリーユニットが前記放電パスに連結された場合、放電制御部により、前記バッテリーユニットに保存された電力を前記負荷に供給するように制御し、さらに、統合制御器は、前記異常状況で前記バッテリーの充放電状態を監視し、前記バッテリーから前記負荷に電力を供給すると同時に、前記発電システムからの電力を充電するように制御するものであるのに対し、引用発明の制御回路7は、停電時に自立運転出力12をインバータ回路10から出力する制御を行うものであるが、充放電状態の監視や、充電制御について明示していない点。 ・判断 相違点1,2に対する判断は、上記2.[理由II](2)に示したとおりである。 相違点3について 上記周知例2(特に、段落【0008】を参照。)には、個々の蓄電量を監視することにより充放電を選択する制御を行う技術的思想が示されており、蓄電量の監視は、充放電状態の監視といえるものであるから、バッテリーユニットの充電と放電との選択を充放電状態の監視に基づき決定することは、適宜なし得ることである。 また、個別的に充電及び放電が可能な複数のバッテリーユニットにそれぞれ充電パスと放電パスとが接続制御される状態は、バッテリーから負荷に電力を供給すると同時に、前記発電システムからの電力を充電するように制御するものといえる。 そして、バッテリー監視部が全体の制御を行う統合制御器に含まれることも、相違点2と同様、容易になし得たものである。 すると、相違点3に係る相違は、引用発明に上記周知の事項を適用する際に適宜なし得る設計的な事項というべきである。 したがって、本願発明は、引用発明及び上記周知の事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の既定により特許を受けることができないものである。 (3)むすび 以上のとおり、本願は、発明の詳細な説明の記載が、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有するものがその実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載されたものでなく、特許法36条第4項第1号の既定により特許を受けることができない。 また、請求項1に係る発明は、引用発明及び上記周知の事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の既定により特許を受けることができないものである。したがって、その他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は、拒絶されるべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2014-09-09 |
結審通知日 | 2014-09-16 |
審決日 | 2014-09-29 |
出願番号 | 特願2010-205515(P2010-205515) |
審決分類 |
P
1
8・
537-
WZ
(H02J)
P 1 8・ 121- WZ (H02J) P 1 8・ 575- WZ (H02J) P 1 8・ 536- WZ (H02J) P 1 8・ 572- WZ (H02J) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 相澤 祐介、麻川 倫広 |
特許庁審判長 |
新海 岳 |
特許庁審判官 |
堀川 一郎 矢島 伸一 |
発明の名称 | 電力保存装置とその動作方法及び電力保存システム |
代理人 | 辻 徹二 |
代理人 | 松永 宣行 |