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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) B63B
管理番号 1297732
審判番号 不服2013-19039  
総通号数 184 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2015-04-24 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2013-10-01 
確定日 2015-02-19 
事件の表示 特願2010-282471号「船舶」拒絶査定不服審判事件〔平成24年 7月12日出願公開、特開2012-131242号〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯及び本願発明
本願は、平成22年12月18日の出願であって、平成25年6月25日付けで拒絶査定がなされ、これに対して、同年10月1日に拒絶査定不服審判の請求がなされると同時に、特許請求の範囲を補正する手続補正書が提出された。その後、平成26年8月27日付けで当審において拒絶理由が通知され、同年10月8日に意見書及び手続補正書が提出されたものである。
そして、本願の請求項1?7に係る発明は、明細書、特許請求の範囲及び図面の記載からみて、平成26年10月8日付け手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1?7に記載された事項により特定されるとおりのものと認められるところ、請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は次のとおりである。

「【請求項1】
左右の側壁を有する船体と、
該船体の内部であって隔壁により推進方向の前後に区画される複数の部屋と、
前記側壁及び前記隔壁に接する浸水防止部屋と、
を備え、
前記複数の部屋のうちの一つは、機関室、補機室、軸室のいずれかの特定部屋であって、
前記浸水防止部屋は、前記特定部屋内に、前記左側の側壁と前記隔壁に接する左方浸水防止部屋と、前記右側の側壁と前記隔壁に接する右方浸水防止部屋とが設けられ、
前記左方浸水防止部屋および前記右方浸水防止部屋は、前記特定部屋と、前記特定部屋の前後の少なくとも一方の前記部屋と、に前記隔壁を挟んでそれぞれ設けられ、
端部が前記左右の側壁及び前記隔壁に接合される仕切板により形成され、
前記仕切板の全面が前記部屋に面すると共に、
前記複数の部屋より容積が小さく、
満載喫水線での幅が前記船体の幅の1/10以上に設定され、かつ、ショアランプが設けられる甲板に面してその下方に設けられることを特徴とする船舶。」

2.刊行物記載の発明または事項
当審の平成26年8月27日付け拒絶理由で引用した本願の出願前に国内で頒布された刊行物は、次のとおりである。
・実願昭49-19748号(実開昭50-111892号)のマイクロフィルム(以下、「刊行物1」という。)
・特開昭63-247188号公報(以下、「刊行物2」という。)
・特開昭52-143689号公報(以下、「刊行物3」という。)
・特開平9-226676号公報(以下、「刊行物4」という。)
・特開2003-137168号公報(以下、「刊行物5」という。)
・特開2006-341818号公報(以下、「刊行物6」という。)

(1)刊行物1
刊行物1には、図面とともに次の事項が記載されている。

(ア)
「横置隔壁2の船側部両端に、船側外板1を一面とした高さ方向に細長い浸水阻止用の区画7を備えてなる、損傷時における浸水量を少なくした船舶。」(明細書1頁5?8行、2.実用新案登録請求の範囲)
(イ)
「本考案は、横置隔壁の船側両端に、その一面を船側外板で構成される区画を設けることにより、その横置隔壁の近辺の船側外板に損傷をうけた場合の浸水を、その区画内のみに限定するか、またはその隔壁隣接区画の片側と前記区画内のみに限定できるようにした・・・」(明細書2頁9?14行)
(ウ)
「図面において、1は船側外板、2は横置隔壁、3a,3b,3c,3dはそれぞれ順に並設された船艙、4は船艙3aの隣りに設けられた機関室、5は船尾水槽、6は船首水槽である。
前記横置隔壁2のうち、各船艙間に設けられたものには、船側部両端にて該外板1とで形成された浸水防止用の液密性区画7を有している。すなわち、該区画7の一面は外板1、底面は船底、上面は上甲板、他の3面は適当な鋼板で構成され、高さ方向に細長いほぼ直6面体のような箱型をしている。」(明細書2頁末行?3頁10行)
(エ)
「このように構成された船舶においては、ちょうど1つの区画7の長さlの中央のところの船側外板1に損傷を受けた場合における浸水は、その1つの区画7内のみにとどめることができ、また第1図にみられるように、1つの区画7の中央部からある程度ずれたところの外板1に損傷部8が生じた場合における浸水は、その1つの区画7とそのずれたほうの1つの船艙3b内のみにとどまり、隣接の船艙3cへの浸水は阻止される。
なお上記実施例では、区画7を各船艙間の横置隔壁に設けたものについて述べたが、他の横置隔壁に設けても同様であり、・・・」(明細書3頁18行?4頁10行)

また、図面から次の事項が看取しうる。
(オ)第1図から、区画7は、隣り合う船艙に亘って形成されていること、横置隔壁2は船艙3aと機関室4との間にも設けられていることが看取しうる。

上記の記載事項(ア)?(エ)及び【図1】?【図2】の開示内容からみて、刊行物1には次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
〔引用発明〕
「並設された船艙3a?3dの間に設けられた横置隔壁2の船側部両端に、隣り合う船艙に亘るように、船側外板1を一面とし、底面は船底、上面は上甲板、他の3面は鋼板で構成された高さ方向に細長い浸水阻止用の区画7を備えてなる、損傷時における浸水量を少なくした船舶。」

(2)刊行物2
刊行物2には、図面とともに次の事項が記載されている。

(カ)
「第1図に示す如く、液化ガス運搬船において、隣接するホールド1、1の境界部に、該ホールド1、1を仕切る隔壁2の端部一面に接するよう、コードが要求するl×bの損傷範囲Eより大きい損傷回避区画5を密室の如く設け、且つ各ホールド1、1内に、ホールド1、1のスペースに対応した形状のタンク4、4を夫々設置する。
斯かる構成としてあるので、コードの要求する損傷をどこに受けても、その損傷範囲Eは隣接するホールド1、1の両方に波及することはなく、いずれか一方のホールド1の浸水だけで済む。そのためコードの要求する残存復原性を有効に満たすことができる。」(2頁右上欄1?13行)
(キ)
「又、第3図は上記2つの実施例に於ける応用例を示しており、機関室6と該機関室6に隣接するホールド1との境界部にも、損傷回避区画5を設けることにより、前記機関室6とホールド1の両方に同時に浸水することをも防止し得る。」(2頁左下欄7?12行)

(3)刊行物3
刊行物3には、図面とともに次の事項が記載されている。

(ク)
「第2図は本発明の第1実施例を示し、(A)は見取図、(B)は平面図である。図において、1?4は前記第1図と同一部分を示し、5a、5bが本発明の要部をなす二重構造部(すなわち空室)であり、この例では底部と側壁部の二種類の二重構造部がある。側壁部の二重構造部5aは、衝突の際に2つ以上のタンクに損傷がおよびにくいように作られたものであり、横隔壁3と外板(側部)2の接する部分を、底部から上甲板部1までおおう水密な構造である。この例では、横隔壁3の片側からのみおおう構造となつているが、両側からおおうような構造とすることもできる。」(2頁左上欄6?18行)
(ケ)
「また、上記の二重構造部5a、5bについては、第5図および第6図に示すような種々の変形例が考えられる。第5図(A)?(D)は底部の二重構造部5bの各例の概略を示す横断面図である。そのうち、・・・(B)は縦隔壁4のウイングタンク側とセンタータンク側から二重構造を設けた例、(C)は(B)の2つの二重構造部5bの間の隔壁部を取り除いた例である。このような二重構造部5bを直方体形状とした場合、それに船体外板の補強材である肋板、桁板を利用できる点で工作上有利であり、また(C)の例は、(B)と比較して鋼材重量が少なくなる点で有利である。・・・一方、第6図(A)?(D)は側壁部の二重構造部5aの各例を示す平断面図であり、それらは上記第5図(A)?(D)と同様の特徴をもつている。」(2頁右下欄15行?3頁左上欄15行)

また、図面から次の事項が看取しうる。

(コ)
第6図(B)から、前後のタンクの間の横隔壁3を挟んで二重構造部5aを設けることが看取しうる。

(4)刊行物4
刊行物4には、図面とともに次の事項が記載されている。

(サ)
「【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、ケミカルタンカーまたはガスキャリアに設けられる独立タンクを有する隔壁に関し、二重隔壁に係るものである。
【0002】
【従来の技術】従来、この種の発明は、図3に示すように、船体31の荷役区域32を数枚の横置隔壁33で区切り、その区切られた中に独立タンク34が設置され、縦通隔壁35は外板36に沿って船体31の幅の約1/10で荷役区域32間に設けられていた。横置隔壁33、外板36および縦通隔壁35に囲まれた区画37はボイドスペースまたはバラストタンクにしており、仕切隔壁38で適当な容量に区切られていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】従来の技術で述べたように、船体の幅の約1/10で荷役区域全通に渡り、縦通隔壁を設けることにより、小事故または横置隔壁間の船側衝突事故に対しては、残存することができるが、横置隔壁に船側衝突事故を受けた場合、浸水量が多くなり、また、非対象浸水となるために船舶は残存することがでないという問題点を有していた。
【0004】この発明は、従来の技術の有するこのような問題点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、横置隔壁において、縦通隔壁の位置を変え、区画の幅を変え、横置隔壁に船側衝突を受けての二区画に損傷は及ばない配置を提供しようとするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するために、この発明は、独立タンク間の横置隔壁の前後いづれかに隣接する区画の縦通隔壁を独立タンクの約1/3の長さで、かつ、外板から船幅の約1/5の幅を離して設ける。」(段落【0001】?【0005】)

(5)刊行物5
刊行物5には、図面とともに次の事項が記載されている。

(シ)
「【0002】
【従来の技術】従来、フェリーで代表されるロールオン・ロールオフ旅客船等の旅客船兼自動車航送船は、例えば、図4?図6に示される如く、船体11の上部甲板12と乾舷甲板13の上にそれぞれ車両を搭載するための車両スペース14,15が形成され、乾舷甲板13の下には機関区域16と車両スペース17とが形成されているのが一般的である。
【0003】前記乾舷甲板13の下の車両スペース17は下部甲板18上に形成されているが、万一、船体11が損傷した場合に沈没等の致命的な事故へ発展することを防止するために、図6に示されるように、満載喫水線の左右の舷側から船幅の少なくとも1/5の幅を取った部分に、船体11前後方向ヘ延びる縦置水密隔壁19を設け、且つ該縦置水密隔壁19によって画成される船体11幅方向左右両側の空間を横置水密隔壁20で複数分割することが法規上義務付けられているため、前記乾舷甲板13の下の車両スペース17は、前記縦置水密隔壁19より船体11の中央側に設けられる形となる。」(段落【0002】?【0003】)

(6)刊行物6
刊行物6には、図面とともに次の事項が記載されている。

(ス)
「【0029】
船尾1にはトレーラ、フォークリフト及び自動車などの車輪走行体が走行移動して陸からC甲板に乗り上がり或いはC甲板から陸へ移動するためのショアランプ2が設けられており、・・・」(段落【0029】

また、図面から次の事項が看取しうる。
(セ)
図1及び図11から、ロールオン/オフ船のショアランプ2が設けられるC甲板より下に喫水線があることが看取しうる。

3.対比、判断
本願発明と引用発明とを対比すると、後者の「船側外板1」、「横置隔壁2」、「船舶」は、前者の「側壁」、「隔壁」、「船舶」にそれぞれ相当する。
後者の「横置隔壁2の船側部両端に、船側外板1を一面とし」た「浸水防止用の区画7」は、前者の「側壁及び前記隔壁に接する浸水防止部屋」であって「左方浸水防止部屋」及び「右方浸水防止部屋」に相当する。
後者の船側外板1が船体を構成していることは明らかである。
後者の「並設された船艙3a?3d」は、前者の「船体の内部であって隔壁により推進方向の前後に区画される複数の部屋」に相当し、また、後者の「船艙3a?3d」のうちの一つは、前者の「複数の部屋のうちの一つは、機関室、補機室、軸室のいずれかの特定部屋」と、「複数の部屋のうちの一つの部屋」である限りにおいて一致する。
後者の「区画7」が「横置隔壁2の船側部両端に、隣り合う船艙に亘るように、」形成されることは、前者の「左方浸水防止部屋および右方浸水防止部屋は、特定部屋と、特定部屋の前後の少なくとも一方の部屋と、に隔壁を挟んでそれぞれ設けられ」ることと、「左方浸水防止部屋および右方浸水防止部屋は、特定部屋と、特定部屋の前後の少なくとも一方の部屋と、に設けられ」る限りにおいて一致する。
してみると、両者の一致点、相違点は次のとおりと認められる。

〔一致点〕
左右の側壁を有する船体と、
該船体の内部であって隔壁により推進方向の前後に区画される複数の部屋と、
前記側壁及び前記隔壁に接する浸水防止部屋と、
を備え、
前記複数の部屋のうちの一つの部屋であって、
前記浸水防止部屋は、前記左側の側壁と前記隔壁に接する左方浸水防止部屋と、前記右側の側壁と前記隔壁に接する右方浸水防止部屋とが設けられ、
前記左方浸水防止部屋および前記右方浸水防止部屋は、前記一つの部屋と、前記一つの部屋の前後の少なくとも一方の前記部屋と、に設けられ、
た船舶。」

〔相違点1〕
本願発明は、「複数の部屋のうちの一つの部屋」が「機関室、補機室、軸室のいずれかの特定部屋」であるのに対して、引用発明は、当該一つの部屋についてそのように特定されていない点。
〔相違点2〕
本願発明は、左方浸水防止部屋と右方浸水防止部屋とが、「特定部屋内」に設けられるものであり、特定部屋とその前後の少なくとも一方の部屋とに「隔壁を挟んでそれぞれ設けられ」、「端部が左右の側壁及び隔壁に接合される仕切板により形成され、仕切板の全面が部屋に面すると共に、複数の部屋より容積が小さい」ものであるのに対して、引用発明は、区画が、横置隔壁の船側部両端に、隣り合う船艙に亘るように形成されるものであり、上述のような特定がなされていない点。
〔相違点3〕
本願発明は、各浸水防止部屋が「満載喫水線での幅が船体の幅の1/10以上に設定され」ているのに対して、引用発明の区画には、そのような特定がなされていない点。
〔相違点4〕
本願発明は、各浸水防止部屋が「ショアランプが設けられる甲板に面してその下方に設けられる」ものであるのに対して、引用発明の区画には、そのような特定がなされていない点。

上記各相違点について以下検討する。
〔相違点1について〕
刊行物1には、「なお上記実施例では、区画7を各船艙間の横置隔壁に設けたものについて述べたが、他の横置隔壁に設けても同様であり、・・・」(上記2.(1)(エ)参照)と記載されており、第1図から、横置隔壁2が船艙3aと機関室4との間に設けられていることが看取しうる(上記2.(1)(オ)参照)。引用発明において、区画を機関室と船艙との間の横置隔壁に設けることを阻害する特段の要因は認められない。
そして、刊行物2には、引用発明の区画と同様の機能を有する「損傷回避区画5」を、機関室6と隣接するホールド1との間の隔壁2の両端に設けることが記載されている。
してみると、引用発明の「船艙」のうちの一つを「機関室」とし、その機関室と隣接する部屋である船艙との間の横置隔壁に区画を設け、相違点1に係る本願発明の構成とすることは、刊行物2に記載の事項に基づいて当業者が容易に想到し得ることといえる。
〔相違点2について〕
刊行物3には、引用発明の区画と同様の機能を有する「二重構造部5a」を、隣接するタンクに亘って形成する例(第6図(C)参照)と、隣接するタンクのそれぞれに横隔壁3を挟んで形成する例(第6図(B))とが、「種々の変形例」(上記2.(3)(ケ)、(コ)参照)として示されている。そして、後者の例においては、二重構造部5aは、タンク内に設けた壁面の端部が外板2と横隔壁3とに接合すること、及び、その容積が二重構造が設けられているタンクより小さくなることは、その構造から明らかといえる。
引用発明において、隣り合う船艙に亘るように形成されている区画を、隣り合う船艙を仕切る横置隔壁を挟んでそれぞれの船艙内に形成することは、刊行物3で示されている「種々の変形例」から、当業者が容易に想到し得ることであり、その際、船艙内に面した区画の壁面の端部が、船側外板と横置隔壁とに接合する構造となること、及び、前記壁面の前面が部屋に面すること、並びに、船艙内の区画が船艙よりも容積が小さくなることは、構造上明らかであるといえる。
してみると、引用発明を、相違点2に係る本願発明の構成とすることは、刊行物3に記載の事項に基づいて当業者が容易に想到し得ることといえる。
〔相違点3について〕
刊行物4には、縦通隔壁35を外板に沿って船体31の幅の1/10以上で設けることが記載され、刊行物5には、満載喫水線の左右の舷側から船幅の少なくとも1/5の幅を取った部分に、船体11前後方向ヘ延びる縦置水密隔壁19を設けることが記載されており、前者の縦通隔壁と後者の縦置水密隔壁は、いずれも船側に損傷を受けた場合の浸水による沈没を防止するためのものである。
引用発明の区画と、刊行物4記載のものの縦通隔壁または刊行物5記載のものの縦置水密隔壁とは、船側の損傷による浸水量を抑えるためのものである点で一致するので、引用発明の区画の幅を、相違点3に係る本願発明の構成とすることは、刊行物4または5に記載の事項に基づいて当業者が容易に想到し得ることといえる。
〔相違点4について〕
刊行物6には、ロールオン/オフ船のショアランプが設けられる甲板より下に喫水線があることが示されており(上記2.(6)(ス)参照)、船体への浸水は喫水線周辺から下方で船体に損傷があった場合に起こることは明らかであるので、浸水への対策はショアランプが設けられる甲板より下方に施されれば足りることは明らかである。そして、ロールオン/オフ船の内部が横置隔壁で仕切られていることは周知である(必要であれば、刊行物5を参照されたい)。
引用発明の船舶を、刊行物6に記載されたようなショアランプを有する船舶とすることは、いずれも横置隔壁を有する船舶であることに鑑みれば、当業者が適宜になし得ることといえ、その際、引用発明の区画を、ショアランプが設けられる甲板よりも下方に設けることも、吃水線との関係から当業者が容易に想到し得ることといえる。
してみれば、引用発明を、相違点4に係る本願発明の構成とすることは、刊行物6に記載の事項に基づいて当業者が容易に想到し得ることといえる。

そして、本願発明の奏する作用及び効果を検討しても、引用発明及び刊行物2?6に記載の事項から予測できる程度のものであって、格別のものとはいえない。

したがって、本願発明は、引用発明及び刊行物2?6に記載の事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

4.むすび
以上のとおり、本願の請求項1に係る発明(本願発明)は、引用発明及び刊行物2?6に記載の事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、本願の他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2014-12-16 
結審通知日 2014-12-24 
審決日 2015-01-06 
出願番号 特願2010-282471(P2010-282471)
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (B63B)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 岸 智章  
特許庁審判長 鳥居 稔
特許庁審判官 平田 信勝
大熊 雄治
発明の名称 船舶  
代理人 酒井 宏明  
代理人 高村 順  

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